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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1004YF3

有価証券報告書抜粋 株式会社SBI新生銀行 事業等のリスク (2015年3月期)


対処すべき課題メニュー経営上の重要な契約等

以下において、当行及び当行グループ(当行並びにその連結子会社及び関連会社)の事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。なお、当行は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は本有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

1 当行の経営戦略について

当行は2013年3月18日に、2014年3月期から2016年3月期までの3年間を対象とする「第二次中期経営計画」(以下「第二次中計」という。)を発表いたしました。「正常化・再構築」のステージと位置付けていた第一次中期経営計画(2011年3月期から2013年3月期までの3年間を対象。)を踏まえ、第二次中計は、「明確な戦略確立と継続的な成長追求」のステージと位置付け、「顧客基盤の更なる拡大」と「良質資産の積み上げ、ポートフォリオの改善」を基本方針とし、以下の3つの目標を定めております。
・特色ある事業基盤の確立
・収益の増加と財務体質の一層の改善
・顧客から共感され、社会・市場から必要とされる金融グループへ

当行は、第二次中計の目標達成に向けて各業務に邁進し、持続的な成長と経営理念の実現につなげていきたいと考えております。また引き続き、公的資金を受けている銀行としての役割期待を認識し、その社会的責任を全うするとともに、社会基盤たるシステムの安定稼動に努め、堅牢で安定的なシステム構築にも取り組んでまいります。なお、2016年3月期は同計画の最終年度となることから、第二次中計期間中の成果の見極めや計画と実績とのギャップ分析など十分な総括を行った上で、2017年3月期以降を対象とする新たな(第三次)中期経営計画の検討を進めております。次期中期経営計画は、深度あるビジネス環境分析を踏まえ、当行が将来的に目指す姿、中長期的なビジネスビジョンを十分に議論しつつ策定していく所存です。

当行は、法人業務については、事業法人・公共法人向けファイナンス、アドバイザリービジネスや金融法人向けビジネス等を中心に行う「法人部門」と、金融市場向けビジネスを行う「金融市場部門」により推進しており、個人業務については、リテールバンキング業務及びコンシューマーファイナンス業務を行う「個人部門」により推進しております。

〔法人業務〕
・法人業務については、基本戦略として、お客さまの課題解決に向け、自らも当事者の視点で取り組む「事業参画」を通じた企業・産業・地域の成長支援と専門能力の強化・実践を図ってまいります。
具体的には、「事業参画」アプローチを基本とした営業体制の強化と多面的な収益獲得モデルを構築し、当行グループ各社の有する金融機能を活用したソリューションを企業・産業・地域に提供するとともに、「医療・ヘルスケア」「再生可能エネルギー」「創業支援・企業再生支援」を重点分野とし、当該分野における知見・ネットワーク・金融機能の融合による最高のサービスを提供することによる差別化を実現いたします。また、当行グループの専門性ある分野を一層強化し、不動産ファイナンスにおけるポートフォリオの再構築と収益の確保、プロジェクトファイナンスなど今後成長が見込まれるストラクチャードファイナンス分野での取り組み拡大、「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律(金融円滑化法)」終了後の対応として他の金融機関等との 連携を通じた事業再生ノウハウの提供等、市場環境に応じた商品・ソリューションの提供等を積極的に推進してまいります。
さらに海外戦略として、地域金融機関、海外現地金融機関との連携を通じた事業法人の海外展開支援の強化、欧州やオセアニアでのPFIや日系案件を中心とした優良プロジェクトへの取り組み、豪州等での優良不動産案件への参加等を図ってまいります。
当行は、こうした法人向けビジネス戦略の実践を通じて、良質な資産の積み上げと収益力の拡大を図ってまいります。
〔個人業務〕
・個人業務については、基本戦略として、当行グループ各社の商品・サービスを、ニーズに合わせて自由に利用できる「コア顧客」を第二次中計公表時点(2013年3月)での約250万人から2016年3月末で約500万人へと拡大することを目指し、新たなリテール金融モデルを実現してまいります。
具体的には、グループ一体となった顧客基盤の拡大に向けて、グループ全ての機能を活用したサービスの提供と、運用・決済・融資・コンサルティング等の幅広い接点を通じた複数世代にわたる多面的な取引を展開し、また、グループ全体の資産増加に合わせて安定的な資金調達を推進してまいります。新たなリテール金融モデルの実現に向けては、各顧客チャネルの特性を活かしながらのチャネル間の連携強化、お客さま視点からの投資信託・仕組債等の商品・サービスの他社・他行に先行した提供の推進、お客さまとのより深い信頼関係の構築に向けたコンサルティング力の強化等に努めてまいります。また、ローンビジネスの拡大・発展を図るべく、顧客ニーズをより深く理解した住宅ローン商品の拡充、無担保カードローン市場においての信頼される貸し手としての地位の確立、地域金融機関との連携による保証ビジネスの拡大を推進いたします。さらに海外戦略として、中間層が拡大していくアジア地域での小口資金ニーズに対する無担保ローンや割賦業務の展開、及び国内顧客の海外での資金運用ニーズへの対応についても検討してまいります。

・財務目標については、以上のようなビジネス戦略の実践を通じて、収益力の拡大と効率性向上を目指します。また、不良債権の削減を推進し、より強靭な財務体質の構築を図ってまいります。資本政策については、当行は国内基準行ではありますが、国際統一基準も意識した経営を行うこととしており、主に内部留保の積み上げによる自己資本の充実・強化等を推進し、国内基準における自己資本比率、及び国際統一基準における普通株式等Tier1比率の一層の改善を図ってまいります。


2016年3月期
(2015年度)
目標値
成長性当期純利益(注1)700億円
キャッシュベース当期純利益(注1)(注2)760億円
収益性当期純利益RORA(注1)(注3)1.0%程度
経費率50%台
ROE10%程度
健全性普通株等Tier1比率(注4)7.5%程度
金融再生法上の開示不良債権比率(単体)2%台
(注1)企業結合に関する会計基準の改正を踏まえ、当期純利益につきましては、2016年3月期より、「親会社株主に帰属する当期純利益」へ表記が変更されます。
(注2)純利益からのれんに係る償却額及び企業結合に伴う無形資産償却とそれに伴う繰延税金負債取崩額を除いたもの
(注3)当期純利益/期末リスクアセット額
(注4)バーゼルⅢ完全適用ベース

・さらに、当行は、これらの業務遂行のために、リスク管理、システムについて以下の施策を推進してまいります。

リスク管理につきましては、多元化する外部諸規制に適切に対応するとともに、各リスクのフレームワークの高度化による適正なリスクリターン運営の実現、ビジネス展開に即したリスク管理の実践、人材育成・強化を通じた全行的な案件審査力の向上を図り、リスクテイク能力の強化、リスクカルチャーの一層の深化を目指します。

システムにつきましては、まずは重要システムの総点検、新たなバックアップセンターの構築等によって現行システムの稼動安定化に注力し、さらに中長期の経営方針に沿った堅牢で安定的な次期システムの構築に向けた取り組みを着実に進めてまいります。

・当行のビジネスモデルは、法人業務において、伝統的な銀行業務と革新的な投資銀行業務を組み合わせ、さらには「事業参画」という当行固有の視点を重視した業務運営を志向しており、また個人業務において、リテールバンキング業務及びコンシューマーファイナンス業務を組み合わせ、かつグループの有機一体的な業務運営を志向しており、日本の金融業界においては新しく特色のあるものとなっております。こうしたビジネスモデルの実践は、長期的には継続的利益を上げるために有効であると考えておりますが、その理解が正しいという保証はありません。また、当行グループの業務拡大のためには顧客に当行グループのビジネスモデルが認知される必要がありますが、当行グループのビジネスモデルが顧客にとって馴染みの薄いものである場合、顧客に認知されにくい可能性があります。さらに、今後、経営環境、顧客ニーズ、当行の財務状況等が当初想定と異なる状況となった場合には、現在の中期経営計画の達成が困難となり、または見直しが必要となる可能性があります。

2.法人向け銀行業務の戦略的拡充について

当行は、法人向け銀行業務の拡充のため企業向け貸出及び貸出以外の業務を強化する戦略を掲げております。当行がかかる戦略を実行するに際しては、わが国経済全体の景気動向に加えて、以下のようなリスク及び課題があります。

・法人顧客ベースの規模が、国内大手銀行グループより小さいため、既存の顧客に対する貸出増強には限界がある可能性があります。
・わが国の銀行業界における過当競争により、他行の貸出利率が当行が考えるリスク見合いより低い水準となった場合、新規融資獲得における競争力に欠けることがあります。
・わが国の銀行業界における競争が厳しいことから、貸出利率における利幅の拡大や債務者のリスクに応じた適切な貸出金利設定が困難となる場合があり、全体としての取引関係の維持及び関連業務の獲得のため、当該顧客の信用格付に鑑みて適切と判断される利率より低い貸出利率で貸付を実行しなければならないことがあります。
・当行が経営資源を投入しているノンリコースローンやレバレッジドファイナンス等の新しい貸出形態は、更なる成長やその収益性の維持・拡大が保証されているわけではありません。
・貸出以外の業務の一部で、国内大手銀行グループや証券会社、外資系金融機関との競争激化により、想定した収益の獲得が困難となることがあります。
・政府並びに政府系金融機関が企業再生を主導・関与することにより、企業再生に対する融資及びアドバイザリー業務の機会が縮小したり、収益性が低下する可能性があります。
・当行が重点的に取り組もうとしている特定の業種・分野について、今後の社会環境の変化や経済動向等に伴って当初想定していた成長が見込めなくなる等といった事態が発生することにより、業務戦略の一部見直しが必要となる可能性があります。

3.リテールバンキング業務の戦略的拡充について

当行は、リテールバンキング業務において、継続的に必要な人員及び情報システムに多大な経営資源を投入してきております。当行のリテールバンキング業務を将来に亘って拡大していくに当たっては以下のような課題があります。

・当行は、順調に顧客基盤を拡大してきましたが、メガバンクと呼ばれる他の大手銀行と比較した場合には、相対的にリテール顧客基盤の規模がまだ小さいため、当行が企図する収益性を実現できない可能性があります。
・ATMやテレフォンバンキング、インターネットバンキングで24時間365日いつでもお取引頂けるといった当行が提供するサービスに匹敵するサービスを、競合他社も提供し、或いは提供しようとしており、これにより、他社との差別化が困難となる可能性があります。
・当行が提供する資産運用商品や、住宅ローン等のローン商品が、お客さまの嗜好の変化等によって受け入れられない可能性があり、当行はこうした局面に適切に対応していく必要があります。
・将来の法令及び規制等や行政処分が当行のリテールバンキング業務の成長を阻害する可能性があります。

4.コンシューマーファイナンス業務の経営環境について

当行は、2004年9月に株式会社アプラス(現在の株式会社アプラスフィナンシャル。なお、同社は2010年4月に組織再編を行ったが、「事業等のリスク」においては、同社及び傘下の子会社を包括して引き続き「アプラス」という。)(大阪証券取引所(現東京証券取引所)市場第一部上場)を、2007年12月にシンキ株式会社(以下「シンキ」という。)を子会社化、さらに、2008年9月に新生フィナンシャル株式会社(以下「新生フィナンシャル」という。)及びその子会社を完全子会社化(詳細は下記5.をご参照ください。)したことにより、コンシューマーファイナンス業務を大きく拡大しました。

また、上記のほか、例えば、新生プロパティファイナンス株式会社(旧商号:株式会社エクイオン)及びアポロファイナンス株式会社の買収、帝人ファイナンス株式会社からの個品割賦事業の譲受並びに株式会社ユニコ・コーポレーションからの事業譲受を通じて、中小企業向け融資、消費者金融(コンシューマーファイナンス)及び個品割賦市場等に参入してきました。

これらの買収が成功するかどうかは、1つには、これらの企業の効率性や収益性を強化するために業務運営及び提供する商品を改善することができるかどうかに拠っております。我々の直面している課題には、取引先との緊密な関係を維持する必要があること、いくつかの商品は市場規模が縮小していること、及びアプラスやその他の子会社の業務の効率性を向上させるために当行のIT技術を用いることが困難な可能性があること等が含まれます。これらの目標を達成できない場合、当行の収益が減少し、収益の多様化を目標とする当行の取組みが阻害される可能性があります。

当行子会社によるコンシューマーファイナンス業務については、上限金利及びいわゆる「グレーゾーン金利」の取扱に関する法令及び規制等の変更により影響を受け、当行は2007年3月期以降、必要に応じてアプラス及びシンキについてのれん及び無形資産の減損並びに投資損失の計上を実施いたしました。アプラスはこれまで一連の経営変革を行ってまいりましたが、それがアプラスの収益性を回復するのに十分でない場合、または、下記6.に記載のとおり、シンキがコンシューマーファイナンス業界の経営環境の変化に対応するために採る方策が十分でない場合、コンシューマーファイナンス業務が当行グループの経営成績に将来に亘って悪影響を与え続ける可能性があります。(法令及び規制等の変更については下記26.をご参照ください。)

また、債務者一人当たりに対する全貸金業者からの貸付可能総額についての上限を定める総量規制も、貸金業者一般にとって業務上大きな制約となっております。返済期限を迎えたコンシューマーローンの債務者は、借り換えが不可能な場合、かかる返済金の支払ができなくなる可能性があります。こうした債務者は複数の貸主から借入れを行っておりますが、改正法の成立後、アプラス、シンキ及び新生フィナンシャルを含む多くの貸金業者は、厳格化された信用査定基準に従って、これらの債務者に対する追加貸付を制限しております。こうした債務者が貸金業者から借入れを続けることができなくなると、アプラス、シンキ及び新生フィナンシャルからのローンも含め、既存のローンについて債務不履行となる可能性があります。下記7.に記載のとおり、アプラス、シンキ及び新生フィナンシャルは必要に応じて過払金返還及び貸倒損失に関する追加の引当てを実施しており、また、現時点ではこうした顕著な現象は生じていないと認識しておりますが、消費者金融業界をとりまく昨今の急速な状況変化に鑑みれば、状況変化による影響が予想を上回る可能性があります。

なお、下記5.に記載のとおり、日本GE株式会社(以下「日本GE」という。)による損失補償の対象となっていたグレーゾーン損失を受ける可能性のある新生フィナンシャルの資産の相当の部分について、将来発生が見込まれる過払利息返還損失の額として1,750億円の一括支払いを日本GEから受けたことと引き換えに、2014年3月末をもって同損失補償は終了いたしました。

また、下記8.に記載のとおり、当行は、2011年10月より、従来新生フィナンシャルが「レイク」ブランドで行っていた個人向け無担保ローン事業の一部を譲り受け、銀行本体による個人向け無担保ローン業務を開始しております。

5.新生フィナンシャル株式会社の買収について

当行は、2008年9月に、日本GE(買収当時はGEジャパン・ホールディングス株式会社)より、同年7月における同社との合意に基づき、新生フィナンシャル(旧商号:GEコンシューマー・ファイナンス株式会社)とその子会社を取得し、新生フィナンシャル及びその子会社における、「レイク」ブランドの個人ローン、住宅ローン、クレジットカード及び割賦販売業務の資産8,790億円(個人ローン6,470億円、住宅ローン1,050億円、クレジットカード・割賦債権810億円など)を総額5,800億円で取得しております。

本件買収に際して、将来のグレーゾーン金利関連費用発生に備えた利息返還損失引当金2,210億円がクロージングの段階で計上されております。また、買収時に締結した株式譲渡契約上、取得したグレーゾーン損失を受ける可能性のある資産の相当の部分について、買収時の消費者ローン及びクレジットキャッシング顧客からの将来の過払利息返還請求については、当行の負担は合計で最大2,039億円とし、それを超えるグレーゾーン金利関連費用につき、日本GEが負担することとなっており、2010年6月以降、グレーゾーン金利関連費用の累積額が上記の当行最大負担額を超えたため、新生フィナンシャルは日本GEからかかる費用の支払を受けておりましたが、2014年3月末、将来発生が見込まれる過払利息返還損失の額として1,750億円の現金払いを日本GEから新生フィナンシャルが受けることにより、日本GEの損失補償は終了しました。なお、下記7.に記載のとおり、新生フィナンシャルは日本GEから受け取った1,750億円を利息返還損失引当金に追加計上しました。

新生フィナンシャルにおける過払利息返還動向は安定して低下傾向が続いていることから、当行及び新生フィナンシャルとしては、上記の利息返還損失引当金の追加計上により、将来発生が見込まれる損失に対して必要な引当水準を確保したものと考えておりますが、上記の追加計上が過去の実績をも踏まえたものであることなどを勘案すると、現在の引当水準が将来に亘って十分であるという保証はなく、もし同引当金に不足が生じた場合には、当行グループの損益状況や財務状況に相当な影響が生じる可能性も皆無とはいえません。

6.シンキ及び新生フィナンシャルの業務統合・再編成等について

2009年2月、当行は、消費者金融業界の経営環境が厳しくなる中、新生フィナンシャルとシンキの経営効率の最大化を図るため、新生フィナンシャルとシンキの大幅な業務の統合、再編成を推進すべく両社と基本合意を締結しました。さらに、当行と新生フィナンシャルは共同でシンキ株式の公開買付けを実施した後、シンキの完全支配化手続きを完了し、2010年3月にはシンキを新生フィナンシャルの子会社として、より一体的な業務運営を行う体制を整えました。こうした施策に基づき、例えば、2015年3月に決定した新生フィナンシャルやシンキを含むコンシューマーファイナンス関連子会社6社の本社機能の移転・集約など、新生フィナンシャルとシンキとの間で各種経営資源(対顧客営業及びリスク管理のための各種インフラ等を含む。)の共有及び相互に重複する業務等を始めとしたシンキの業務の大幅な統合・再編成を進めてきておりますが、今後の当行グループを巡る経営環境の変化や、その他予期せぬ事態等が発生した場合、かかる業務の統合・再編成を当行が最終的に期待する内容・規模・時期に実施できる保証はありません。

7.コンシューマーファイナンス子会社における引当金について

「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」(以下、「出資法」という。)の改正以前から、「利息制限法」は貸付金額に応じて年15%から年20%を、貸付債権に適用できる上限金利として定めていました。そして、「出資法」の上限金利と「利息制限法」の上限金利との差額は一般に「グレーゾーン」金利、超過利息あるいは過払金と呼ばれていました。「利息制限法」の下では、超過利息の支払を定める契約は、かかる超過部分に関して無効であるとされます。しかし、かかる利息制限にかかわらず、「貸金業の規制等に関する法律」(2007年12月に施行された法改正により、同法の題名は「貸金業法」に改められた。以下、「貸金業法」という。)では、超過利息の支払が任意になされ、かつ貸金業者が貸付実行及び返済に関する各種書面交付義務を遵守している限りは、「出資法」の上限金利以下であれば、超過利息の支払は有効であるとされておりました。
しかし、2006年1月の最高裁判所の判決では、超過利息の支払は原則として任意になされたものとはみなされないものとされました。(詳細は下記26.をご参照ください。)

アプラス及びシンキは過払金返還及びそれに関連する貸倒損失について引当金を計上しておりますが、過払金返還のための引当てに関する2006年10月の日本公認会計士協会公表の監査委員会報告を適用した影響もあり、2006年9月中間期に、両社は引当金を増額しました。さらに、上限金利を引き下げる改正法が2006年12月に最終的に成立したことを受けて、アプラスは、大手貸金業者が高リスク債務者への貸付を制限することやそれによって生じる債務不履行の増加及び過払金返還請求の最新の動向を含む、マーケットの変化を考慮して、改めて引当金計上の前提を検討し、現在に至るまで、必要に応じて相当額の追加引当を行ってきております。また、シンキも同様に適宜引当金の積み増しを行ってきております。なお、新生フィナンシャルについては、必要に応じて、貸倒引当金とともに、買収契約に定められた日本GEによる損失補償の対象外の貸出資産について利息返還損失引当金を追加計上してまいりました。
近時では「グレーゾーン」金利に関する取引履歴開示請求の件数や過払金返還額は過去のピークを大きく下回っております。このような状況に鑑み、2011年度以降も、将来に亘る過払金リスクから決別するため、引き続き、必要に応じて利息返還損失引当金の追加繰入を実施してきております。また、新生フィナンシャルについては、上記5.に記載のとおり、新生フィナンシャルが将来発生が見込まれる損失の額として1,750億円の現金払いを日本GEから受けることにより、日本GEの過払利息返還損失補償は終了しましたが、これに伴い、新生フィナンシャルは、2014年3月末に、日本GEから受け取った1,750億円を利息返還損失引当金に追加計上しました。

当行といたしましては、上記の措置を講じたことにより、過払金返還に係る追加的な損失の発生は限定的なものになると認識しておりますが、引当金額は過去の経験に基づく要素をもとに計算されており、将来的に発生する過払金返還請求を考慮するために適切ではない可能性があるため、現在の引当金額が過払金返還請求によって生じる損失に対処するために十分であるという保証はありません。現在の引当金額が将来の過払金返還請求及び関連する貸倒損失への対応として不十分である場合、将来追加の費用が生じる可能性があり、当行グループの損益状況や財務状況に相当な影響が生じる可能性も皆無とはいえません。

8.銀行本体による新たなコンシューマーファイナンス業務の展開

当行は、当局からの必要な認可の取得等を経て、2011年10月より、新生フィナンシャルが「レイク」ブランドで行っている個人向け無担保ローン事業の一部を譲り受け、銀行本体での本格的な無担保カードローンサービス「新生銀行カードローン レイク」を開始し、現時点に至るまで順調に業容を拡大しております。
国内の個人向け無担保ローン市場は、2010年6月に改正貸金業法が完全施行され、さらに貸し手の市場からの撤退も加速する中にあって、大きく縮小しており、未曾有の転換点にあります。一方で、健全な借り手としての個人の小口金融に対するニーズは引き続き存在し、貸し手としては円滑かつ合理的にサービスを提供していくことが求められております。
こうした環境認識の下、当行は、既に一定の顧客認知度を有する「レイク」ブランドを活用して銀行本体で個人向け無担保ローンサービスを提供することにより、お客さまに対する訴求力を一層強めつつ、グループ会社と当行が蓄積してきた審査能力、マーケティングノウハウを融合してお客さまのニーズに円滑・迅速に対応することで、収益力の向上に繋げるとともに、中長期的な視点に立って、この分野におけるリーディングカンパニーとして健全な個人向け無担保ローン市場の形成に貢献してまいります。
当行が本体で上記サービスを開始するにあたって、当行は新生フィナンシャルから、「レイク」ブランドおよび無人店舗、ATM、ACM(自動契約機)、ウェブサイトやカスタマーサービスセンター等、事業展開に必要な資産を譲り受けました。また、マーケティング、契約の受付、顧客サービス、与信管理、債権管理等の業務は当行本体で行っており、これらの業務の体制構築のために、専門部署として当行個人部門コンシューマーファイナンス本部の中に「レイク事業部」を2011年10月に新設いたしました。
さらに、新生フィナンシャルは、当行本体による個人向け無担保ローンについて保証サービスを提供いたします。なお、新生フィナンシャルの既存貸付債権の当行への譲渡は行わず、引き続き同社で管理いたします。本件事業譲渡後、同社は「レイク」ブランドは使用せず、「新生フィナンシャル」として既存のお客さまにサービスを提供いたします。同社については、これらの業務に加えて、他の金融機関向けの信用保証業務の拡大にも注力し、今後とも安定的な収益を上げ、さらなる成長を図ってまいります。

当行は、上記事業を展開することにより、収益力の向上とコンシューマーファイナンス業界での確固たる地位の構築を目指してまいりますが、個人のお客さまのニーズの変化、法令等の規制動向、同業他社との競合状況等により、当初目標を達成することが困難となり、または事業展開の再検討が必要となる可能性があります。
9.金融商品及びサービスの範囲の拡大について

当行の主要な事業戦略は、金融商品、サービス及び投資活動の範囲を拡大することであり、今後もそのような事業戦略を実施してまいります。アプラス、昭和リース、新生フィナンシャル等の買収もまた事業多様化の一環です。また、法人業務においては、引き続き適正なリスク管理の下、様々な資産への投資を検討するとともに、リテールバンキング業務においては、必要に応じて外部金融機関等とも連携しながら、商品・サービスを提供してまいります。当行が、その事業活動を拡充するにあたっては、以下を含むリスク及び課題があります。
・新規の業務活動は、見込みどおりとは限らず、また、収益を生むものとなる保証もありません。
・当行は、新規事業活動を監督し、指導することのできる人材を獲得し、継続的に雇用することが必要となります。
・情報システム、特に顧客が直接にアクセスできるサービスをさらに拡充する必要があります。

10.マーケットの変動及び不安定要因による影響について

当行は、債券、株式、デリバティブ商品等の多種の金融商品に対し、日本の国内外において、広く取引・投資活動を行っております。これらの活動による業績は、金利、外国為替、債券及び株式市場の変動等により変動します。例えば、金利の上昇は、一般的に、債券ポートフォリオに悪影響を与えます。さらに、当行のポートフォリオ中の債券に対する信用格付の低下またはデフォルトは、当行業績に悪影響を与える可能性があります。当行が当行の取引・投資に関連して、将来において投資による損失を計上しない保証はありません。
また、近時では、サブプライム・ローン問題に端を発する世界的な金融・資本市場の混乱、2011年3月に発生した東日本大震災による日本経済の一時的な落ち込み、さらには欧州債務危機をはじめとした、いわゆるソブリンリスクの高まり等、実体経済や金融市場の動揺を引き起こす事態が連続して発生しております。このような事態が発生した場合、貸出先顧客の破綻による貸倒等の損失の発生、貸出先顧客の信用力低下によるリスクアセットの増加、株式を含む有価証券等の価格の下落に伴う資産の目減り、優良な貸出先顧客の減少等に伴う貸出業務や投資銀行業務等における収益の減少、円高の進行に伴う外国資産の時価の下落等が予想され、これらが当行グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

11.ローン及びその他の資産への投資に関するリスクについて

当行は、クレジットトレーディングや証券化業務において、住宅ローン、不良債権、売掛債権、リース資産等の多様な資産に対する投資を行っており、最終的には、これを回収、売却または証券化することを目的としております。また、特定の資産または特定の格付もしくは種類の有価証券を集中的に保有する場合があります。かかる営業資産から得られる当行の収益が予想より少ない場合(当行により証券化された資産のプールにおいて、当行グループ自身がその残余持分を保有している場合におけるその残余持分の価値の下落を含む)には、当行及び当行グループの損益及び財政面が悪影響を受ける可能性があります。こうした当行が取得できる資産の市場規模及びその価格は常に変動していることから、当行が魅力的な投資機会を常に得られるとは限らず、投資活動の結果が大きく変動する場合もあります。

12.海外業務の拡大によるリスクについて

当行の業務の大部分は日本国内におけるものですが、その他の市場における事業・投資の可能性について選別的に検討しております。
たとえば、ユーロ債の引受け及び資本市場のアドバイザリー業務を行うShinsei International Limited(在英国子会社)の設立、ドイツの銀行等と共同で不良債権の買取・再編並びに処理を専門に行うドイツの合弁会社の設立や、台湾の金融持株会社である日盛金融控股股份有限公司に対する戦略的投資を行い、さらに、自己勘定によるトレーディング・投資業務を拡大し、米国住宅ローン市場関連、その他の米国・欧州向けを中心としたアセットバック投資等の海外投融資を増加させてまいりました。しかしながら、サブプライム・ローン問題等による世界的な金融市場の混乱の中、海外投融資に係る損失の計上を余儀なくされたことから、当行としては、海外業務の見直しを含む経営資源の戦略的な再配分を行っており、これらリスクの高い海外投融資の縮小を推進するとともに、リスク管理体制の再構築に取り組んでおります。

一方で、近時は、アジア・豪州を中心とした優良案件に対する取り組み強化や地場の金融機関との提携推進に加えて、香港において個人のお客さま向け資産運用サービスを専門に行う銀行であるNippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank(当行が50%の議決権を保有するOJBC Co. Ltdの100%子会社。)の設立等、限定的ながら海外での業務展開を図っているところであります。

当行が海外において行う業務活動は、以下のような一般的に国際的な業務及び投資に関連するリスク及び課題に直面する可能性があります。

・外貨建資産及び負債に関連する金利及び為替リスク
・金融サービスの提供及び直接投資に関連する税務及び規制環境の相違
・社会的、政治的及び経済的な状況の変化
・能力があり、地域市場の知識の豊富な従業員の雇用の必要性

このようなリスクは、当行の投資経験の浅い資産及び地域に投資する場合に高まる可能性があります。

13.リスクマネジメントポリシーの有効性について

当行は、リスクマネジメントポリシー及びそのための手続の確立に向けて注力してきており、今後もその予定であります。しかしながら、当行は急速に事業を発展させているため、かかるポリシー及び手続が、リスクの認識及び管理に際して充分に機能しない可能性があります。当行のリスク管理方法には、過去の市場動向の観測を基準にしているものがあるため、将来のリスク・エクスポージャーを必ずしも正確に予測できない可能性があります。業務上の諸リスク及び法令及び規制等に対応するためには、多くの取引及び事象の検証に基づいて、ポリシー及び手続を適切に制定、改廃する必要があり、そうした調整が充分に行われるまではこのようなポリシー及び手続は、効果が十分でない可能性があります。また、当行が買収する可能性のある事業については、より広範な統合手続の中の一環として行わなければならないため、リスクマネジメントポリシーの実施及び管理が特に困難なものとなる可能性があります。

14.訴訟及び預金保険機構によるこれに関する補償について

預金保険機構、ニュー・エルティーシービー・パートナーズ・シー・ヴィ及び当行の間の2000年2月9日付株式売買契約書(以下「株式売買契約書」という。)のもとで、当行は、2000年3月1日以前の事実に関する訴訟により負担した費用に対する補償を含め、預金保険機構より訴訟等に関連して一定の補償を受けることが可能となっております。

かかる株式売買契約書記載の株式売買契約に基づいて、当行は、預金保険機構に対し計3件の補償請求訴訟を提起していましたが、これら3件の訴訟については2009年3月10日に訴訟上の和解が成立し、かかる和解により当行と預金保険機構との間で係属中の訴訟はすべて終結しております。

今後も、当行は、株式売買契約に基づいて、預金保険機構に対して補償金の支払いを求める可能性がありますが、かかる請求についてその全額の補償が得られない可能性があります。また、当行は潜在的な請求権の範囲を評価し適正な引当金を積んでおりますが、かかる引当金が当行の被る損失をカバーするのに十分でない可能性があります。

15.貸倒引当金の十分性について

当行グループは、顧客の状況、差し入れられた担保の価値及び経済全体の見通しに基づいて、貸倒引当金の額を決定しています。実際の貸倒損失は、予測したそれと大きく異なり、引当額を大幅に上回り、貸倒引当金が不十分となる可能性があります。また、経済状況の悪化により当行が前提及び見通しを変更したり、担保価値が下落したり、またはその他の要因により予測を上回る悪影響が生じた場合には、貸倒引当金を増やす可能性があります。
当行グループは、現状の貸倒引当金計上額で、認識する信用リスクからの損失を十分にカバーしていると考えておりますが、今後、これら以外に信用リスクからの損失が発生しない保証はありません。

16.ローン・ポートフォリオにおける大口貸出先への集中について

2015年3月末現在、連結ベースで当行グループの上位10位までの貸出先は、当行グループの有する貸出金の約9%を占めており、かかる主要な取引先の業績悪化または当行との関係の著しい変化により、当行の業績及び財政状況が悪影響を受ける可能性があります。
2015年3月末現在、当行グループの有する貸出金残高のうち、連結ベースで不動産業分野の占める割合は約12%になりますが、その約5割はノンリコースローンであります。同日現在において最も高い集中度を示しているのが約14%を占めている金融・保険業分野です。当行の貸出先である公的セクターのいくつかは、当行の業種別貸出分類では金融・保険業に含まれております。当行グループの消費者金融会社向けの貸出金は、金融・保険業分野に対する貸出金の約14%、当行グループの有する貸出金の約2%をそれぞれ占めています。公的セクターに関しては、これらの民営化またはリストラクチャリングにより信用力が低下したり、貸出需要が減少する可能性があります。

17.資金調達について

近年、資金調達方法の多様化に努めておりますが、以下のとおり、資金の効率的な調達が困難となるリスクがあります。
・今後、リテールバンキング業務及び同業務にかかる預金の営業基盤・顧客基盤の拡大のテンポが伸び悩む可能性があります。
・国内の公社債市場の変化や市況動向により、社債またはその他の債券を発行することに制限が生ずる可能性があります。
・日本銀行の金利に係る方針の変更により、金融市場における資金需給が変化した場合、当行の資金調達に何らかの影響を受ける可能性があります。
・人々の認識や市場環境の著しい変化により、資金調達のコストが増加し、または十分な流動性を確保することが予期に反して困難となる可能性があります。

18.信用格付の影響について

格付機関により信用格付が下げられると、銀行間市場での短期資金調達あるいは資本調達活動等において相手方との取引を有利な条件で実施できず、または一定の取引を行うことができない可能性があります。そのため、当行の資金調達コスト増加ないし流動性の制約、デリバティブ取引あるいは信託業務上の制約等により当行及び当行グループの損益・財務面が悪影響を受ける可能性があります。

19.有能な従業員の雇用について

既存の市場における当行の地位及び顧客基盤を最大限活かすために、卓越した商品知識・技術及び専門的で豊富な経験や実績を有した従業員を採用し、活用することが事業戦略上重要であります。当行は、投資銀行業務、リテールバンキング業務や財務会計などのさまざまな分野において、豊富な実績と経験を有する従業員を必要としております。さらに、情報システムにおけるインフラを維持し、向上させるためには、熟練した技術者を雇用し、訓練し、かつ定着させる必要があります。当行は、他の銀行のみならず、証券会社及びその他の金融機関との間で、このような従業員の採用において競合関係にありますので、当行が有能な人材を採用し、定着させられる保証はありません。

20.重要な経営陣の退社による事業への影響について

事業を引き続き成功させることは、当行の業務執行取締役や執行役員等、上級経営陣の業務能力にかかっています。上級経営陣の誰かの将来における退社が、当行の業務遂行に悪影響を与える可能性があります。

21.情報システムへの依存について

当行の業務の中でも、とりわけリテールバンキング業務においては、その業務戦略の一つとして、当行の情報システム及びインターネットにより顧客にサービスを提供しております。この方法は費用効率がよいものではありますが、当行の業務はシステムの容量及び信頼性に大きく依存しております。2006年4月後半から5月上旬にかけて、ATMやインターネットバンキング・サービスにおける不具合が一部発生しました。顧客数及び取引数の増加またはその他の理由により、今後ともサービスの停止が生じない保証はありません。

2012年1月10日には他行宛送金取引の一部が未完了となり、未完了取引分の送金完了が翌11日までかかるという事態が発生いたしました。本件遅延の原因は、当行が同年1月8日から9日にかけて全銀為替取引システムを東京のセンターから大阪のセンターに移設した際にネットワーク構成に不備が生じたことにあります。当行といたしましては、原因となったネットワーク構成を見直し、十分な処理速度を確保できること等を含むテストを実施するとともに、システム面での内部管理態勢の強化・改善を図る等、再発防止に向けた対策を講じているところであり、今後同様の障害を繰り返すことのないよう、万全を期してまいります。
当行のハードウェア及びソフトウェアは、人為的なミス、地震等の自然災害、停電、妨害・不正行為、コンピューターウィルス等によるサイバー攻撃またはインターネットプロバイダー等の第三者からのサポートサービスの中断等により、損害を受け、または機能しなくなる可能性があります。
当行の情報システムは、緊急性・重要性の高い業務についてのバックアップ機能を備えておりますが、これらの機能が十分である保証はありません。さらに、当行のバックアップ・プランは、サービスの大規模な中断時に生じるおそれのあるあらゆる偶発事象に対処できない可能性があります。

22.年金制度及び年金資産に関するリスクについて

当行の年金資産の時価が下落した場合や、将来の退職給付債務の予測計算の基礎に関する事項が変動した場合(年金資産の期待運用収益率が低下するなど)、さらに、退職給付制度が変更された場合、年金費用計上額が増加する可能性があります。また、利子率を巡る環境の変化や他の要因が未積立退職給付債務額や毎年の費用処理額に悪影響を及ぼす可能性があります。

23.金融サービス市場における競合について

規制緩和、当行を含む国内銀行による収益源の多様化に対する取組み並びに外国企業及び外国人投資家の台頭により、わが国の金融サービス市場は極めて競争の激しいものとなっております。当行は、数多くの金融サービス企業と競争関係にあり、当行より優位に立つ企業もあります。当行の主要な競争相手は以下のとおりです。

・大手銀行:わが国における大手銀行グループは、資産、顧客ベース、支店数、及び従業員数の観点から見ても、当行より規模が大きく、また、これらの銀行グループは、様々な投資銀行業務を行っており、かつ、子会社または関係会社として証券会社を有しているうえ、当行同様その収益源を多様化する戦略を採っています。さらに、大手銀行グループ同士の経営統合が成功した場合には、日本の金融市場における競争がより激しくなる可能性があります。また、上記の大手銀行グループのほとんどは、政府が保有していた株式を消却するとともに金融庁への健全化計画の提出義務から解放され、より柔軟な経営を行える可能性があります。
・証券会社/投資銀行:国内の証券会社及び主要な外国投資銀行の日本における関係会社を含み、当行は、コーポレート・アドバイザリー及び投資活動を含む様々な事業領域において、このような企業との競争関係にあります。
・その他の銀行:信託銀行、地方銀行、一部の海外商業銀行の日本支店及びリテール専門のオンライン・バンク等とは、これらのその他の銀行が営むそれぞれの分野において競争関係にあります。
・政府系金融機関:日本のリテールバンキング部門においては、株式会社ゆうちょ銀行(以下「ゆうちょ銀行」という。)が依然として最大の預貯金総額を有しております。2012年4月に成立した「郵政民営化法等の一部を改正する等の法律」では、日本郵政株式会社によるゆうちょ銀行等の株式処分が期限のない努力義務とされた一方、新規業務規制については政府がゆうちょ銀行等の株式の二分の一以上を処分した後は認可制から届出制に移行するとされております。このように政府関与が残されたまま届出制に移行する場合には、ゆうちょ銀行等の業務範囲拡大による民業圧迫の懸念がある上、当行を含む民間との適正な競争が担保されないことが懸念されます。また、政府系金融機関については、2008年10月に、国民生活金融公庫等の4つの機関を1つに統合した株式会社日本政策金融公庫が発足するとともに、日本政策投資銀行及び商工組合中央金庫も民営化(政府全額出資の株式会社に転換)されました。日本政策投資銀行及び商工組合中央金庫については、完全民営化への動きが進捗した時期もありましたが、その後、2011年5月に成立した「東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律」により、完全民営化の時期が2015年4月1日から起算して概ね5年から7年を目途とする旨延長されたことに加えて、2015年5月には「株式会社日本政策投資銀行法」及び「株式会社商工組合中央金庫法」において、完全民営化の時期を「できる限り早期に」とする、具体的な年限を示さない法改正が成立しました。今後、完全民営化等が実現されなかった場合や、新たな形での政府の金融市場への参画が行われた場合、当行の事業に悪影響を及ぼす可能性があります。
・消費者金融会社及びノンバンク:当行が自ら及び子会社を通じて行っている業務において競争関係にあります。
・その他の金融サービス提供者:当行または当行の子会社、関連会社は、債権回収会社及びプライベート・エクイティ・ファンド並びに他の投資家と競争関係にあります。

当行の業務にかかる競争は今後も激化を続けることが見込まれ、当行が現在及び将来の競争相手と効果的に競争できない可能性があります。

24.金融機関に対する監督官庁による広範な規制等について

近年、わが国の金融サービス市場においては大幅な規制緩和が実施されていますが、当行は依然として、金融機関としての広範な法令上の制限及び監督官庁による監視を受けます。さらに、当行及び当行の関係会社は、金融当局による自己資本規制その他の銀行業務規制に加えて、業務範囲についての制限を受けており、これによって、ビジネスチャンスを追求できないことがあります。当行及び当行のいくつかの関係会社は、業務全般及び貸出資産分類に関して、金融庁またはその他の政府機関により検査を受けております。加えて、金融関連法規・規制をはじめ、その他の適用法規・規制の遵守を怠った場合には、当行または当行のそれらの関係会社が銀行法第26条その他の法令の規定に基づく「業務改善命令」や「業務停止命令」といった行政処分やその他の制裁・罰則・損害賠償請求を受けること等により、当行または当行のそれらの関係会社の業務に制限を受け、評価が悪化し、または経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。なお、当行及び当行の関係会社は、これらの命令が発せられた際には、これを厳粛に受け止め、再発防止に向けた抜本的な措置を講じるとともに、全行・全社が一丸となってその履行に努めてまいります。

当行並びにその子会社及び関連会社は、コンシューマーファイナンス業務に関する規制、とりわけ貸金業法(並びに出資法及び利息制限法)の規制に服しています。これらの法令に係る最近の裁判所や金融庁による解釈及び2006年12月に成立した改正法により、コンシューマーファイナンス業務は影響を受けてきました。金融庁や他の政府機関によるコンシューマーファイナンス業務に対する規制上の監視強化によって、かかる業務に従事する当行の子会社や関連会社が適用法令の遵守を怠ったことが判明した場合、これらに対する行政措置がとられる可能性があります。

当行を含む銀行がお客さまに対して販売する仕組預金は通常の預金と異なる投資リスクを内包しているため、銀行は各顧客の知識、経験、財産の状況及び契約を締結する目的に応じて仕組預金の性質や詳細について適切な説明をすることを求められます。金融商品取引法には、仕組預金やその他の投資商品についての説明義務を強化する規定が盛り込まれており、これに伴って、銀行法上も、デリバティブ預金、外貨預金及び通貨オプション組入型預金等の投資性の強い預金について、広告等に関する規制や契約締結前の書面交付義務、適合性原則等、金融商品取引法上の行為規制が準用されることになっております。また、2012年9月6日より一時的に募集・販売を停止しておりました円建て仕組預金については、2012年12月17日より募集・販売を再開しておりますが、同日以降にお預け入れいただく際には、従来、預金保険の保護の範囲となっていた利息等の一部が預金保険の対象外となっており、お客さまに対して、その旨周知徹底を図っております。これらの新たな規制の導入に伴い、当行は、内部コンプライアンス体制のより一層の強化を図っておりますが、これらの遵守を怠った場合は、民事責任を負いまたは行政上の措置を受ける可能性があります。

25.自己資本比率規制について

当行は、銀行法及び金融庁長官の告示に基づく自己資本比率規制に服しており、2015年3月末における連結自己資本比率14.86%(バーゼルⅢ(国内基準)ベース。詳細は後述。)となっております。当行は、海外に支店等の営業拠点を有しない銀行として、自己資本比率を4.0%以上に保つことが義務付けられておりますが、この最低比率を維持できない場合には、当行は行政処分を受ける可能性があり、間接的に当行の業務遂行能力に影響を受ける可能性があります。当行が将来追加的な資本を必要とする要因としては、以下のようなものがあります。

・将来における重要な事業または資産の取得:当行は、コンシューマーファイナンス業務等を買収によって拡大してきました。また、不良債権やその他の金融資産の市場にも積極的に参加してきました。当行が将来、魅力的な機会を見出した場合、当行はこれらの機会を追求するために必要な追加的な資本を必要とする可能性があります。
・政府の保有する当行株式の取得:政府は、現在、当行の普通株式469,128,888株を保有しております。当行は、政府が保有する株式を買い取る義務を負っていませんが、かかる買取り(自己株式の取得)を行えば、当行が現在負っている金融庁への健全化計画の提出及び履行状況の報告の義務がなくなります。かかる買取りを行おうとする場合、当行は追加的な資本を必要とする可能性があります。
・バーゼル銀行監督委員会による自己資本に関するバーゼル合意(バーゼルⅡ)に沿った自己資本比率規制が2007年3月末から金融庁により導入されました。この自己資本比率規制における主な変更点には、各銀行が有する行内格付を利用して借り手のリスクを反映する内部格付手法の(金融庁の承認を得ての)採用、オペレーショナルリスクに関するリスク資産の割当て、並びにリスク評価方法及び自己資本比率についての当局による検証等があります。当行は基礎的内部格付手法を採用しておりますが、内部格付手法においては債務者の信用状況の悪化等により所要規制資本が増大する可能性があります。
・サブプライム・ローン問題が表面化した後、世界的な金融市場の混乱を招いた反省に基づき、資本の量・質の強化等規制資本の枠組の見直しについてバーゼル委員会あるいは各国金融当局等で検討が進められ、2010年11月のソウル・サミットにおいて、G20首脳によってバーゼルⅢの規制枠組みが承認され、翌12月にバーゼル委員会によってバーゼルⅢテキストが公表されました。バーゼルⅢは2013年1月1日より段階的に実施されており、それに対応すべく、2012年3月には上記バーゼルⅢテキストを踏まえて国際基準の自己資本規制に関する金融庁告示が一部改正され、さらに、2013年3月には国内基準の自己資本規制に関する同告示が一部改正されました。そこでは、かかる新国内基準は2014年3月末から適用開始されておりますが、経過措置を導入して十分な移行期間を確保しながら段階的に実施されています。当行は、継続的にビジネスを安定的かつ円滑に展開していくため、バーゼルⅢの規制枠組みの達成を念頭に置いた自己資本の量・質の向上を図っていく所存であります。
・現在、上記の自己資本比率規制のさらなる高度化や見直しに加えて、資本等の各種バッファーの導入、レバレッジ比率規制や流動性規制をはじめ、新たな規制強化案の導入の決定または議論が行われていますが、かかる規制強化案が将来適用された場合、規制の内容によっては、当行の業務運営や業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

しかしながら、当行が、かかる状況に対処するため、またはその他の理由によりさらなる追加的な資本増強を必要とした場合に、適切な時期にそれを行えず、または資本増強が困難な状況に直面した場合、当行によるビジネスチャンスの追及や事業戦略の遂行は制約される可能性があります。

26.コンシューマーファイナンス業務にかかる法令及び規制等について

当行のコンシューマーファイナンス業務を行う子会社におけるカードローン等の融資業務事業(以下「貸金業事業」という。)は、「貸金業法」、「利息制限法」及び「出資法」の適用を受けております。また、2011年10月より事業を開始した当行本体における個人向け無担保ローン事業については、「出資法」、「利息制限法」の適用を受けており、さらに貸金業者の適正な運営確保と借り手の利益保護という「貸金業法」の趣旨を踏まえつつ、銀行法の下において適切に運営していくことが求められているものと認識しております。2010年6月に施行された改正「出資法」の貸付上限金利は年20%であり、これを超える金利で貸付を行うことはできません。

また、「利息制限法」第1条第1項で、金銭を目的とする消費貸借上の利息の契約は、利息の最高限度(元本金額により年利15%乃至20%)の超過部分について無効とするとされております。2010年6月施行にかかる改正前の「貸金業法」第43条では、同法所定の書面が金銭貸付時及び弁済時に債務者等に交付され、かつ、当該超過部分について債務者が利息として任意に支払った場合において、その支払が同法に規定する書面が交付された契約に基づく支払に該当するときは、「利息制限法」第1条第1項の規定にかかわらず、有効な利息の債務の弁済とみなすとされておりました。
しかし、貸金業業界において、「貸金業法」に定める契約書記載事項等の不備を理由に、「利息制限法」に定められた利息の最高限度額の超過部分(超過利息)について返還を求める訴訟が多数提起され、これを認める判決も多数下されております。最高裁判所は、2006年1月、貸付けに関する契約書に、債務者が超過利息を含む約定利息の支払を遅滞したときには期限の利益を喪失する旨の特約が含まれる場合、特段の事情がない限り、当該超過利息は任意に支払われたとは認められないとする判断を下しました。金融庁も、かかる最高裁判所の判断に従った貸金業法の施行規則の改正を行いました。当行の貸金業事業も含め、多くの貸金業者が用いる貸付けに関する契約書には、このような期限の利益喪失特約条項が設けられていたことから、最高裁判所の判断及び金融庁による貸金業法の施行規則改正は、超過利息について支払いを拒む債務者や、既に支払った超過利息の返還を求める債務者の増加等により、当行の貸金業事業を含む貸金業一般に対して重大な悪影響を与えております。さらに、2010年6月に施行された改正貸金業法では、一人の顧客が貸金業者から借り入れることのできる総額についても、原則として年収の3分の1を上限とする新たな規制(総量規制)を課しており、このことも貸金業者にとって業務上大きな制約となっております。

アプラスの消費者金融、シンキ及び新生フィナンシャルについては、2007年度より新規顧客及び既存顧客の一部については既に引き下げ後の上限金利を適用して新たな貸付を行ってきましたが、2010年6月の完全施行により、新規貸付は全て利息制限法の範囲内で実施しております。今後、さらなる業務規制が課せられた場合、当行グループのコンシューマーファイナンス業務が影響を受ける可能性があります。

当行グループのコンシューマーファイナンス業務における包括信用購入あっせん事業及び個別信用購入あっせん事業は「割賦販売法」の適用を受けており、これにより各種の事業規制(取引条件の表示、書面の交付、契約解除等に伴う損害賠償等の額の制限、信用購入あっせん業者に対する抗弁、支払能力を超える購入の防止、継続的役務に関する消費者トラブルの防止等)を受けております。特に信用購入あっせん業者に対する抗弁に関連し、顧客が商品、指定権利または役務につき販売業者に対し抗弁を有する場合、それをもって信用購入あっせん業者への支払を停止しまたは支払を免れることが可能となる場合がありえます。このような事態が多数生じた場合、当行の業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当行グループのコンシューマーファイナンス業務が直接適用を受けるものではありませんが、当行グループのコンシューマーファイナンス業務の提携先の中に「特定商取引に関する法律」(以下「特定商取引法」という。)の適用を受ける提携先があります。「特定商取引法」は、特定商取引(訪問販売、通信販売及び電話勧誘販売に係る取引、連鎖販売取引、特定継続的役務提供に係る取引、業務提供誘引販売取引並びに訪問購入に係る取引)に関する法令ですが、これまでにクーリングオフの延長、役務取引、電話勧誘販売や訪問購入取引の規制、特定継続的役務における指定役務の追加、訪問販売等における指定商品・指定役務制の廃止等の改正が実施されてまいりました。同法の適用を受ける提携先の動向によっては、包括信用購入あっせん事業及び個別信用購入あっせん事業に影響を及ぼす可能性があります。

27.個人情報等の保護について

近年、企業や金融機関等が保有する個人に関する情報や記録の漏洩または不正アクセスに関する事件が多発しています。2005年4月より「個人情報の保護に関する法律(以下「個人情報保護法」という。)」が全面的に施行されたことに伴い、当行としても、個人情報を保有する金融機関として、個人情報保護法に従い個人情報の保護に努めております。しかしながら、万一事故があった場合、それによる損害に対し賠償を行わなければならない事態が発生し、または監督機関の処分を受ける可能性があります。さらに、そうした事故が発生することにより、当行の営業やブランドに対する一般の認識に悪影響が及ぶおそれがあり、その結果として顧客や市場の当行に対する信用が低下する可能性があります。

28.わが国の金融システム全般の不振に伴うリスクについて

わが国の金融システムの健全性に懸念が持たれた場合、当行を含む銀行の業務及び財政状態に、以下のような影響を与える可能性があります。
・わが国の金融市場に関する否定的な報道により、預金者からの信頼が損なわれ、当行の企業イメージまたは当行の株価が悪影響を受ける可能性があります。
・国際金融市場において、当行を含む国内金融機関がリスク・プレミアムの要求または信用規制を受ける可能性があり、それにより、当行の海外での資金運用・調達が影響を受ける可能性があります。
・政府は、社会経済全体の利益を保護する政策を導入する可能性があり、それは個々の銀行の株主の利益とは反する可能性があります。
・金融庁は、当行を含む銀行に対する定期検査または特別検査の結果、規制、会計等についての政策を変更する可能性があります。

29.政府による当行の普通株式の売却の可能性について

2006年7月、預金保険機構は整理回収機構が保有していた第三回乙種優先株式の半数である3億株を普通株式200,033千株に転換(当行が優先株式の取得と引換えに行う普通株式の交付をいいます。以下同様。)し、翌8月に東京証券取引所の立会時間外取引であるToSTNeT-2により売却しました。これを受けて、当行は当該転換にかかる普通株式の87.7%に相当する175,466千株を当該ToSTNeT-2取引により総額1,321億円で買い入れました。その余の普通株式は一般投資家によって購入されました。
また、整理回収機構が保有していた第三回乙種優先株式の残り3億株は、2007年8月1日に普通株式に一斉転換され、整理回収機構は当行の普通株式2億株を保有することとなりました。
さらに預金保険機構は、当行の第二回甲種優先株式全てを保有しておりましたが、2008年3月31日、預金保険機構の請求により、360円の転換価額で全て当行の普通株式269,128,888株に転換されました。

その結果、預金保険機構及び整理回収機構は、合計で当行の普通株式を469,128,888株(当行の普通株式の17.1%)を保有しています(預金保険機構保有分269,128,888株(当行の普通株式の約9.8%)、整理回収機構保有分200,000,000株(当行の普通株式の約7.3%))。当行は、預金保険機構及び整理回収機構が保有する普通株式を買い取る法的義務を負っておりませんが、かかる普通株式は政府により売却される可能性があり、実際に売却された場合には、当行の普通株式の市場価格に影響を与える可能性があります。

30.当行の経営に対する政府の影響力について

当行の普通株式の保有者である政府(預金保険機構及び整理回収機構)は、当行の経営に影響力を有します。金融庁は、2005年10月28日に、「公的資金(優先株式等)の処分の考え方について」を公表し、公的資本増強により取得した優先株式等の処分について、「納税者の利益」の立場により重きを置いた財産管理という観点を踏まえ、公的資本増強行の経営の健全性の維持及び市場への悪影響の回避を前提としつつ、金融システム安定化の果実として公的資金から生じる利益を確実に回収することを基本とするとの方針を確立しました。また、預金保険機構に対し、公的資本増強行を巡る局面の変化に応じ、今後とも、公的資本増強行自らの資本政策に基づく申出による処分を基本としつつ、あわせて、優先株式の商品性やその時点での株価の状況等を踏まえ、適切かつ柔軟な対応を行いうるようにしておくよう求めました。預金保険機構は、これを踏まえ、同日、「資本増強のために引受け等を行った優先株式等の処分に係る当面の対応について」を公表し、金融機関からの申出があった場合の対応に加え、新たに、申出がなくても処分を検討する場合の考え方・判断基準を示しました。しかし、政府が当行の普通株式をいつまで保有するかは明らかではありません。政府がこれらの株式を保有する限り、当行が政府から公的資金の注入を受けている状態が継続します。
整理回収機構から公的資金を受ける際に、当行は、法律に基づき経営健全化計画を作成し、これを定期的に見直しするよう義務づけられております。当行は、経営健全化計画の収益目標と実績値が大幅に乖離した場合には、金融庁より、業務改善命令を受ける可能性があります。さらに、その際には業務改善命令に基づく業務改善計画を提出した後、その内容を反映した経営健全化計画の修正計画を提出いたしますが、同計画が達成されないときはさらなる行政処分を受ける可能性があります。また、同計画については、中小企業に対する貸出に関する計画目標を達成できない場合等には、金融庁から業務改善命令を受け、業務改善計画の提出・履行等を求められる可能性があります。
今後も、政府が当行経営に必要に応じて影響を与える可能性があります。政府は、株主及び監督当局の両方の立場から、当行の経営陣が当行の戦略全般に沿っていないと考える活動を求める可能性があります。

31.当行による募集株式の発行・自己株式の処分による影響について

当行の取締役会は、通常は株主総会決議を経ずに、発行可能株式総数の範囲内で募集株式を発行することができます。
将来当行が新規に募集株式を発行し、または自己株式を処分した場合、株式が希薄化するおそれがあります。募集株式の発行等及びその可能性があることが、当行の株式の市場価格に影響を及ぼす可能性があります。


32.普通株式の配当に関する制約について

当行の普通株式の配当につきましては、経営健全化計画等に基づき、原則として、経営健全化計画に記載された普通株式配当金の数値が当該年度の配当金の上限であると考えられております。
かかる制約により、当該年度の当行の利益に照らして十分な配当が行われないおそれがあります。

33.将来における法令及び規制等の変更の影響について

当行は現時点の規制に従って業務を遂行していますが、将来における法律、規則、税制、実務慣行、法解釈、財政及びその他の政策の変更並びにそれらによって発生する事態が、当行の業務運営や業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。しかし、どのような影響が発生しうるかについて、その種類・内容・程度等を予測することは困難であり、当行がコントロールしうるものではありません。

34.当行の銀行主要株主について

2008年1月、サターンIサブ(ケイマン)エグゼンプト・リミテッド、サターン・ジャパンⅡサブ・シーブイ、サターン・ジャパンⅢサブ・シーブイ及びサターンⅣサブ・エルピー(以下「サターン4者」といいます。)は、当行普通株式に対する公開買付けにより当行普通株式358,456,000株を取得しました。さらに、当行は2008年2月に総額500億円の普通株式(117,647,059株)の第三者割当増資をサターン4者宛てに実施いたしました。サターン4者は、大株主として長期に亘り当行を支援し、また金融業界の豊かな知識と経験を持った当行取締役として継続的に助言を行ってきた、J.クリストファー・フラワーズ氏(以下「JCF氏」といいます。)が会長を務めるジェイ・シー・フラワーズ・アンド・カンパニー・エルエルシー(J.C.Flowers & Co. LLC、以下「JCF&Co.」といいます。)の関係者を含む投資家が本件の公開買付けのために組成した投資ビークルです。
さらに、2011年3月には、海外募集により当行普通株式690百万株を新規発行いたしましたが、その際、JCF氏から当行の発展に対するコミットメントを従来同様に維持する意向を受けており、当行としても、JCF氏の実績及び意向を勘案すれば、サターン4者及びJCF氏(以下「本指定先」という。)に対する配分の指定は当該増資を円滑に実施するために重要であると判断し、本指定先に対して合計172百万株を割り当てました。
以上の結果、サターン4者及びその他のJCF&Co.の関係者は、既存保有分並びに公開買付け、第三者割当増資及び海外募集による取得分を含め、当行の普通株式を2015年3月末現在約20%保有しております。
当行は、当行の銀行主要株主等との取引について、通常の手続に加えて第三者的視点から、銀行主要株主等からの独立性確保・事業リスク遮断の状況を確認することを目的とする「銀行主要株主等との取引に係るガイドライン」を定めております。

また、サターン4者及びその他のJCF&Co.の関係者は、当行の株主基盤及びビジネスモデルを強化し、顧客に提供される金融商品及びサービスを拡大することを目的として当行の長期的な事業計画に対する自らのコミットメントを維持したいとの意向を示しておりますが、かかる普通株式はこれらの株主により売却される可能性があり、実際に売却された場合には、当行の普通株式の市場価格に影響を与える可能性があります。

対処すべき課題経営上の重要な契約等


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