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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1004EWD

有価証券報告書抜粋 アサヒグループホールディングス株式会社 研究開発活動 (2014年12月期)


事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


アサヒグループでは、第5次中期経営計画の達成に向けて、酒類、飲料、食品の各事業において革新的で差別化された商品の開発、及びそのベースとなる技術開発を行っています。また、アサヒグループの次世代を担う新たな事業の創出のための研究開発も行っています。さらに、国内外の社外研究機関を活用し、研究開発のスピードアップを図っています。一方、2011年の純粋持株会社制移行後、グループ内のシナジーを発揮するための横串の取り組みを積極的に進めています。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、10,718百万円です。なお、研究開発費については、研究開発にかかわる費用をセグメント別に関連づけることが困難であるため、その総額を記載しています。

[酒類事業]
(商品開発関連)
アサヒビール㈱はビール市場のさらなる活性化を目指し、『アサヒスーパードライ』に高度な酵母管理技術「S-3(エススリー)」※1を導入し、“洗練されたクリアな味”をさらに進化させました。「S-3」の導入によって厳選された優良な酵母は発酵力に優れ、またビールの泡を分解する酵素の溶出量が少ないという特長をもっているため、“辛口”のうまさはそのままに、“キレ”と“泡のきめ細かさ”をそれぞれ1割向上させることが可能となりました。
昨年にギフト限定で発売した、「アサヒスーパードライ」ブランド初のプレミアム商品『アサヒスーパードライ ドライプレミアム』は、お客様のご要望にお応えして通年商品として発売しました。アルコール度数を従来の5.5%から6%に変更し、『アサヒスーパードライ ドライプレミアム』の特長である「贅沢なコクとキレ」をさらに向上させました。また、『アサヒスーパードライ ドライプレミアム 香りの琥珀』を歳暮ギフト限定で発売しました。7種類の厳選したホップと黒麦芽由来の麦芽エキスを原材料の一部に使用することで奥行きのある芳醇な香りを実現し、スーパードライ酵母を使用することで琥珀色の液色でありながらキレ味のよい、爽快な味わいに仕上げました。さらに、『アサヒスーパードライ ドライプレミアム 初仕込みプレミアム』を期間限定で発売しました。2014年に収穫した国産ゴールデン麦芽、国産ホップ(一部使用)、国産米を使用し、爽やかなホップの香りと麦のうまみを実感いただける味わいに仕上げました。
発泡酒市場では、“プリン体ゼロ”と“糖質ゼロ※2”が特長で、本格的な飲みごたえとキレのあるのどごしを実現した発泡酒『アサヒ スーパーゼロ』を発売しました。『アサヒ ドライゼロ』などのアルコールテイスト清涼飲料の開発で培った調合技術に加え、新たな原料として“米乳酸発酵液※3”を採用することによって、ビールに近い本格的な飲みごたえを実現しました。アルコール度数は5.5%です。
新ジャンル市場では、“糖質ゼロ※2”でありながらしっかりとした“飲みごたえ”が特長の新ジャンル『アサヒ アクアゼロ』を発売しました。仕込み工程において、酵母の発酵に影響を与えることが知られている3種のミネラル(マグネシウム、カルシウム、カリウム)を補いました。また、さらに食物繊維を使用することで従来の糖質に配慮した新ジャンルと比較して、よりビールに近い“飲みごたえ”を実現しました(当社比)。この他、期間限定の新ジャンルとして、ソチオリンピック開催時期に合わせた『アサヒクリスタルゴールド』、「クリアアサヒ」ブランドから山形県産ホップを使用した『クリアアサヒ 摘みたてホップ』、「深煎り麦芽※4」を一部使用した芳醇なコクと味わいが特長の秋限定『アサヒ 深煎りの秋』、麦由来の贅沢なコクとフルーティな香りが特長の冬限定『アサヒ 冬の贈り物』を発売しました。
ビアカクテル市場においては、これまで期間限定で発売したトマトのビアカクテル『アサヒ レッドアイ』を通年商品として発売しました。さらにコーラのビアカクテル『アサヒ コーラ&モルト』、白ワインのビアカクテル『アサヒ ビアスプリッツァー』を期間限定で発売しました。また、「ドライブラック」の新しい楽しみ方を提案する『アサヒスーパードライ ドライブラック バースタイル』を期間限定で発売しました。氷を入れたグラスに「ドライブラック」を注ぎ、柑橘系フルーツを加えミントを添えた「爽快なキレ味」が引き立つ、新しい味わいが特長です。
RTD市場においては、新ブランド『アサヒ辛口焼酎ハイボール』を発売しました。アルコール度数8%で、当社RTD商品の中で最も炭酸感が強く、焼酎をベースにした、甘くない本格的な辛口の味わいが特長です。力強い飲みごたえで、キレのある爽快なのどごしが楽しめます。さらに、糖質ゼロ※2、プリン体ゼロを実現しました。「アサヒ ハイリキ ザ・スペシャル」ブランドでは新フレーバーとして『グレープスプラッシュ』を発売しました。「アサヒSlat(すらっと)」ブランドでは新フレーバーとして『シークァーサーサワー』、期間限定では『アサイー&ブルーベリーサワー』、『アップル&ジンジャーサワー』を発売しました。「アサヒ チューハイ果実の瞬間」ブランドでは秋限定の新フレーバーとして『山梨産ピオーネ』、『国産和梨』を発売しました。「アサヒカクテルパートナー」ブランドでは新フレーバーとして『桃とマンゴーとオレンジ』、冬季限定品として『ストロベリー&ピーチ』、『マスカット&レモン』を発売しました。「カルピスサワー」ブランドでは期間限定の新フレーバーとして『白桃』、『完熟いちご』を発売しました。
ビールテイスト清涼飲料市場においては、世界初※5となる “カロリーゼロ※2” と“糖質ゼロ※2”を実現した黒ビールテイスト清涼飲料『アサヒ ドライゼロブラック』を発売しました。カクテルテイスト清涼飲料市場においては、「アサヒゼロカク」の新提案として、『ぎゅっとカシスのノンアルコール』を発売しました。あわせて、期間限定の新フレーバーとして『ピーチスパークリングテイスト』、『モヒートテイスト』、『パイン&ライムテイスト』、『ヨーグルトフィズテイスト』、『ストロベリースパークリングテイスト』を発売しました。
本年はウイスキー製造会社であるニッカウヰスキー㈱が創業80周年、創業者・竹鶴政孝の生誕120周年を迎えました。そこで洋酒市場においては、“日本のウイスキーの父”と呼ばれる竹鶴政孝が目指した理想のウイスキーづくりを継承してつくりあげたプレミアム・ブレンデッドウイスキーの新ブランド「ザ・ニッカ」を発売しました。モルトの比率をグレーンの比率より多くしており、しっかりとしたモルトのコクが感じられながらもグレーン本来の甘くまろやかな味わいとしました。また、数ヶ月間の再貯蔵(マリッジ※6)を行うことで、調和のとれたおいしさを実現しました。『ザ・ニッカ40年』は、ニッカウヰスキー㈱に現存する最古の原酒を一部使用したニッカ史上最高傑作となるプレミアム・ブレンデッドウイスキーで、数量限定として発売しました。 通年販売の『ザ・ニッカ12年』は、12年以上貯蔵した原酒を厳選してブレンドしたプレミアム・ブレンデッドウイスキーです。モルトとグレーンを絶妙なバランスで仕上げた香りと味わいが楽しめます。また、ニッカウヰスキー㈱の創業80周年記念限定商品として、『竹鶴21年ピュアモルト ポートウッドフィニッシュ』、『竹鶴21年ピュアモルト マディラウッドフィニッシュ』、『竹鶴21年ピュアモルト ノンチルフィルタード』、『ニッカ アップルブランデーリタ 30年』を数量限定で発売しました。さらに、缶入りハイボールとして『竹鶴ハイボール』、『リタハイボール』を期間限定で発売しました。
焼酎市場においては、昨年数量限定で新発売した『麦焼酎樽かのか』を『麦焼酎琥珀かのか』と商品名を変更し、通年商品として全国で発売しました。樽貯蔵原酒由来の樽熟成の香りと、芳醇な味わいが特長の麦焼酎です。
ワイン市場においては、国産ワイン「サントネージュ リラ」ブランドのプレミアムタイプとして『サントネージュ リラ プレミアムこく赤』を発売しました。色と果実味が濃く凝縮感のある黒ぶどうを使用することで、果実味が豊かでコクが感じられるリッチな味わいのワインに仕上げており、既存の『サントネージュ リラ赤』と比較すると、ポリフェノールの含有量が1.2倍となりました。リンゴ100%のスパークリングワイン「ニッカシードル」ブランドでは、夏限定として『ニッカシードルサマースパークリング“ふじリンゴ”』、『ニッカ シードルヌーヴォスパークリング2014』を発売しました。
業務用チューハイ市場における新たな価値のご提案として、“氷点下のとろけるチューハイ”が楽しめる「樽ハイ倶楽部」専用のディスペンサー『ICE DISPENSER(アイス ディスペンサー)』を開発し、首都圏と近畿圏エリアの飲食店に導入しました。

※1:「S-3」独自の酵母管理技術「Super Screening System」の略称
※2:栄養表示基準による
※3:米をエキス化し、乳酸発酵させた後にろ過して清澄化させたもの。乳酸発酵により、香り・味に複雑味やふくらみが付与される。米乳酸発酵液の使用に関する特許を出願中。
※4:クリスタル麦芽と呼ばれるほのかに甘い風味をもつ麦芽の一種を、通常より深くローストすることにより濃い色に仕上げた麦芽の一つ。
※5:アルコール0.00%の黒ビールテイスト清涼飲料において、世界で初めてカロリーゼロと糖質ゼロを実現(当社調べ)。
※6:モルト原酒とグレーン原酒をブレンドした後で、両者をなじませるために、再び樽に詰めて、数ヶ月程度熟成させることです。マリッジとは結婚の意味で、主にブレンデッドウイスキーに用いられる製法。

(技術開発関連)
アメリカの国際的ビールコンテストである「ワールドビアカップ2014」において、アサヒビール㈱の『アサヒ スーパードライ』は、インターナショナルスタイルラガー部門においてゴールドメダルを獲得しました。58カ国、1,403ヶ所の醸造所から4,754品のエントリーがあり、31カ国から選ばれた219名の審査員によって審査されました。「ワールドビアカップ」はブリュワーズアソシエイションによって、ビール醸造における優れた技術を賞賛するために、1996年から2年に1度開催されています。
ニッカウヰスキー㈱が製造する『竹鶴17年ピュアモルト』は、ウイスキーの国際的コンテスト「ワールド・ウイスキー・アワード2014」(WWA)において、「ワールド・ベスト・ブレンデッドモルトウイスキー」を受賞し、“世界最高賞”のブレンデッドモルトウイスキー(ピュアモルトウイスキー)として認定されました。『竹鶴17年ピュアモルト』が世界最高賞を受賞するのは、2012年に続き今回で2回目となりました。また、『竹鶴21年ピュアモルト』が07年、09年、10年、11年にワールド・ベスト・ブレンデッドモルトウイスキーを4回受賞していることから、「竹鶴」ブランドとしては今回で6回目の受賞となりました。ワールド・ウイスキー・アワード(WWA)とは、英国のウイスキー専門誌「ウイスキーマガジン」が2007年から開催している国際的ウイスキーコンテストです。
また、『竹鶴ピュアモルト』など全8アイテム(『竹鶴ピュアモルト』・『竹鶴21年ピュアモルト』・『鶴17年』・『シングルモルト余市12年 ウッディ&バニリック』・『シングルモルト宮城峡12年』・『ニッカピュアモルト ホワイト』・『フロム・ザ・バレル』・『ニッカ カフェモルト』)は、世界的な酒類品評会である「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)2014」において金賞を受賞しました。ISCで、ニッカブランドのウイスキーが金賞を受賞するのは7年連続となります。ISCとは毎年イギリスの酒類専門出版社「ドリンクス・インターナショナル」が主催している酒類品評会です。ウイスキー部門のほか、ブランデー、テキーラ、ジン、ウォッカなどの部門があります。ウイスキー部門については、世界の著名なウイスキー蒸溜所のブレンダーやディスティラーなどが審査員となっています。

[飲料事業]
(商品開発関連)
アサヒ飲料㈱は、「確固たるブランドの育成」を成長戦略に掲げ、自社の持つ強みのさらなる強化と新たな需要創造のための新価値の提案に取り組んでまいりました。
具体的には、ブランド生誕130周年を迎える「三ツ矢サイダー」、110周年を迎える「ウィルキンソン」、「ワンダ」、「十六茶」、「おいしい水」といった優位性のあるブランドへ経営資源を集中し“選ばれ続けるブランド”への育成を目指すとともに、お客様のニーズに対応した新たな提案や、市場の変化を先取りした新市場創造型の提案に積極的に取り組みました。
「三ツ矢」ブランドでは、革新的な商品の提案として、専用冷蔵庫により凍る直前マイナス5℃まで冷やし、開栓時に中味が凍結する現象を体感できる“氷点下の三ツ矢サイダー”『三ツ矢フリージングサイダー』をセブン‐イレブン店舗にて発売しました。中味は、氷点下という条件で最もおいしく飲める味わいを追求し、氷点下においてもしっかりとした『三ツ矢サイダー』の味わいをお楽しみいただくため、通常の『三ツ矢サイダー』より少し濃い目の設計といたしました。
また、「三ツ矢にしかつくれないものを、つくる。」をスローガンに、産地・品種指定果汁を国内はじめ世界中から厳選して使用したプレミアム果汁炭酸「ぜいたく三ツ矢」シリーズとして『ぜいたく三ツ矢 ニュージーランド産グリーンキウイ』、『ぜいたく三ツ矢 青森県産王林』、『ぜいたく三ツ矢 長野県産巨峰』を発売しました。“磨かれた水”や“果実などから集めた香り”といった「三ツ矢サイダー」ブランドのこだわりをベースに、「三ツ矢サイダー」ブランドが長年培ってきた独自の技術を進化させて完成した「フルーツクオリティ製法」を採用し、香り高く、上品に甘い、爽やかな味わいを実現しました。
「ワンダ」ブランドでは、『ワンダ モーニングショット』、『ワンダ 金の微糖』、『ワンダ ゼロマックスプレミアム』、『ワンダ 特製カフェオレ』などの定番商品のブラッシュアップを行いました。『ワンダ モーニングショット』については深煎り豆を増量し、さらに朝にふさわしいおいしさに仕上げました。『ワンダ 金の微糖』については、ブラジルの輸出規格品における最高等級の高級豆を中心にブレンドすることで豊潤なコクとまろやかな味わいを実現しました。また『金の微糖』から初のエクステンション品として厳選高級豆をブレンドした、上質で深い味わいが特長のプレミアムブラック缶コーヒー『ワンダ ゴールドブラック -金の無糖-』を発売。中味は、コーヒーの専門的技能者であるQ-Grader(キューグレーダー)がコーヒー豆の選定やテイスティングを監修。アラビカ種100%のコーヒー豆を使用し、複数の高級豆をブレンドすることで深いコクと豊潤な味わいを実現しました。さらに、「ワンダ」ブランドの新提案としてコーヒー由来のカフェインとブレンド果汁を配合した朝にふさわしい新飲料 「ワンダ カフェズメニュー」として『ワンダ カフェズメニュー フルーツカフェ アクティブベリー』と『ワンダ カフェズメニュー フルーツカフェ ファインシトラス』を発売するなど、ブランド価値の向上に努めました。
「アサヒ 十六茶」ブランドについては、2005年より「カフェインゼロ」として生まれ変わり、10年目を迎えました。“健康的な水分補給” ד明るく元気”というブランドコンセプトの更なる強化を目的として中味のリニューアルを実施いたしました。「あわ」「きび」に替えて健康素材として知られる「大麦若葉」と、さわやかな香味の「仙草」を採用。「カフェインゼロ」はそのままに、素材本来の旨み・甘味を活かしながら、無糖茶の嗜好のトレンドに合致したすっきり香ばしいおいしさに仕上げました。また、活性化する特保飲料市場に対して、『アサヒ 食事と一緒に十六茶W(ダブル)』を発売。「中性脂肪対策」「血糖値対策」の2つのヘルスクレームを有する、W(ダブル)の特保という新しい価値を提案いたしました。
「ウィルキンソン」ブランドは、110周年を迎え大人向け炭酸ブランドとしての更なる確固たる地位を築くため、主力である『ウィルキンソン タンサン』『ウィルキンソン タンサン レモン』の炭酸水ラインにて“絶対的炭酸水No.1ブランド”の確立を目指すと共に、エントリー層拡大のためのフレーバーラインの継続展開として、『ウィルキンソン ミキシング グレープフルーツ』のリニューアルを実施いたしました。更に後味をすっきり感じられるようにブラッシュアップを実施。甘さはありつつも、すっきりとした一味違う味わいを楽しんでいただけるよう改良を行いました。
カルピス㈱においては、飲用層が拡大し続けている炭酸飲料カテゴリーにおいて、甘さを抑えた「カルピスソーダ」を、強めの炭酸とほろ苦いグレープフルーツピールのアクセントでキレのある後味に仕立てたカロリーオフの『カルピスソーダ NEO DRY』、さらに、強めの炭酸と大人に相応しいジンジャーの本格的な刺激が楽しめる『カルピスソーダ NEO ジンジャースパーク』を開発いたしました。また昨年度日常の水分補給シーンに適したソルティテイストの新しい乳性飲料として発売した『カルピスオアシス』については、液色をスポーツドリンクに近づけ、さらに甘味・酸味・塩味及びフレーバーを調整することでカルピス本来の美味しさと、止渇感向上を目指したリニューアルを行いました。加えて夏場の需要期に向けて、炭酸入りの『カルピスオアシス スパークリングウォーター』の開発も行いました。「カルピスフルーツパーラー」においては、混濁果汁を使用し、大人品質で満足度の高いリッチな味わいを目指して『カルピスフルーツパーラー 濃い目ピンクグレープフルーツ&カルピス』を開発いたしました。「Welch’s」ブランドにおいては、丸ごとクラッシュした果汁を活かした炭酸入り果汁飲料である『Welch’s クラッシュグレープ』、『Welch’s クラッシュピンクグレープフルーツ』、『Welch’s クラッシュマスカット』の開発を行い「Welch’s」ブランドの価値向上に努めました。ストレスの増大や生活習慣の変化といった社会背景から、カラダの中から強くなりたいという健康ニーズはますます高まりを示し、お客様の乳酸菌への期待は、以前から知られていた腸内環境の改善による整腸に止まることはなく、様々な特徴を持った乳酸菌が注目を集めております。またヨーグルトに代表される、生きた乳酸菌を含む食品だけではなく、殺菌乳酸菌の菌体においても様々な機能が見出されてきています。そこで昨年度、清涼飲料カテゴリーにおいて、カルピス㈱の中で数多くの乳酸菌の中から選び抜かれた独自の「L-92乳酸菌」を配合した乳性飲料『守る働く乳酸菌』が発売され売上を伸ばしています。また、さらに「L-92乳酸菌」に続いて見出された「プレミアガセリ菌CP2305」を配合した乳性飲料『届く強さの乳酸菌』を本年度開発いたしました。カルピス㈱は、今後もこれらの乳酸菌の可能性について研究を続けるとともに、新しい乳酸菌及び乳酸菌飲料の価値を提案していきます。
㈱エルビーにおけるデイリーチルド及びロングライフ(LL)紙容器飲料では、まず基幹カテゴリーであるデイリーチルド無糖茶の品質向上に向け、緑茶、烏龍茶、むぎ茶の中味・デザインをリニューアルする一方、各コンビニエンスストアチェーンとの取組み強化によるシェア拡大を図りました。カロリーゼロのデイリーチルド紅茶飲料(「大人の紅茶」シリーズ)は好調に推移しており、差別化商品として紅茶市場における地位を確立しつつあります。
またグループシナジーとして、「カルピス」ブランドでは、デイリーチルドのナタデココ、アロエ、タピオカ等の食感素材入りシリーズ、ラテ風仕立ての「カルピス オリジナルカフェスタイル」シリーズ、「味わいカルピス」シリーズ、またLLでは宅配専用『守る働く乳酸菌』、『カルピス フルーツパーラー厳選巨峰』等を発売しました。アサヒ飲料ブランドでは、LL「バヤリース とろける」シリーズのリニューアル及び『バヤリース とろけるフルーツミックス』の新発売をいたしました。
自社ブランドのLLでは新たに『毎朝1本バナナオレ』、『アサイーバナナ』の発売等、前述のカルピス、アサヒ飲料ブランド商品と合わせLL商品の強化を行っております。
なお、昨年発売した高単価商品(税抜150円/500ml)「アサイー」シリーズについては定番化されており、酸性乳飲料として差別化された独自の地位を確立いたしました。
カップ飲料については、コンビニエンスストアチェーンとの取組みを強化、独自技術を応用したタピオカ、白玉といった食感素材入りカップ飲料、独自製法による果汁100%スムージー飲料を開発・発売、また「カルピス」ブランドでカットゼリー入りの『カルピス&ミキシングゼリー』を発売しました。

(技術開発関連)
アサヒ飲料㈱では、アサヒグループの「環境ビジョン2020」に基づき「低炭素社会」及び「循環型社会」の構築に貢献できる技術開発を推進してまいりました。
生産技術開発におきましては、工場にて製品製造時に使用する水や燃料などを削減する目的で、水と空気を混合噴射させ、効率よくPETボトルを洗浄するエアインダクションノズルを開発。これにより、大幅なユーティリティーの削減(使用水の50%~75%、CO2換算で11~15t)を実現しました。この技術につきましては「日本清涼飲料研究会 第23回 研究発表会 奨励賞」を受賞しております。
容器包装資材に関する取組については、カートン素材の軽量化と積み付け時の強度を両立するための函形状について最適化を行いました。また、キャップメーカーとの共同開発にて国内最軽量クラスのアセプティック充填用キャップの開発を行い、キャップ重量を従来から約20%削減することが可能となりました。これら2つの技術開発につきましては「2014年第52回全日本包装技術研究大会」において発表を行い、ともに「優秀発表賞」を受賞いたしました。
この他、製品、工程、苦情品解析に必要な安心安全技術(新規分析技術、解析技術)の拡充と有害微生物の検出技術、同定技術、静菌技術の研究についても継続して取り組みました。
カルピス㈱では、人々の心とからだの健康に役立つ商品・技術を提供することを目指し、乳酸菌や微生物を活用した研究に取り組みました。その中で、永井克也大阪大学名誉教授の監修のもと、当社独自の乳酸菌と酵母を活用した乳酸菌飲料のおいしさ研究において、乳酸菌単独では作りだせない“乳酸菌と酵母”で発酵して作られる独特の“香り”には、自律神経に働きかけて、日周リズムの改善や不安を和らげるなどの“癒し”効果がある可能性を動物実験にて確認し、日本農芸化学会で発表しました。今後も、さらに研究をすすめ、“乳酸菌と酵母”で発酵した乳酸菌飲料の香りの作用に関する科学的な知見を深めてまいります。
そして、高齢化が進む社会への貢献を目指し、昨年度に引き続き、愛媛大学大学院医学系研究科公衆衛生・健康医学分野及び、特定非営利活動法人しまの大学(愛媛県越智郡上島町、代表理事 村上律子)のご協力をいただき、乳酸菌飲料<希釈タイプ>の継続飲用が高齢者の心身に与える健康への影響を調査しました。50年後の日本の高齢者比率に近いとされている愛媛県越智郡(おちぐん)上島町(かみじまちょう)岩城島(いわぎじま)の住民の方々118名(平均71.4歳)を対象に、乳酸菌飲料<希釈タイプ>を自身で希釈して、1日1杯、8週間にわたって継続飲用した前後の心身の健康度への影響を健康関連QOL尺度SF-8™※1やアンケートを用いて評価しました。その結果、高齢者のQOLの向上が認められると共に、精神健康度や体調アンケート(便秘の症状など)においても、有意なスコアの向上や改善が認められ、これら研究成果を、日本公衆衛生学会にて発表しました。今後は都市部など他の地域での調査を実施し、高齢者のQOL改善効果の検証を進めます。
また、徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部ストレス制御医学分野 六反一仁教授との共同研究の成果で、Lactobacillus gasseri CP2305株(「プレミアガセリ菌CP2305」)が、腸から脳への神経伝達を通じて中枢神経へ働きかけること(脳腸相関※2)で、整腸効果や安眠効果などの有益な生体機能調節作用を発現することを確認し、国際乳酸菌シンポジウムや、日本睡眠学会で発表しました。カルピス社独自の乳酸菌素材の有効性、信頼性がさらに高まる結果となりました。
さらに、小学校で実施している食育・理科・キャリア教育が複合的に学べる出前授業「『カルピス』こども乳酸菌研究所」が、株式会社リバネス(本社:東京都新宿区、代表取締役 丸 幸弘)が運営する教育応援プロジェクト主催の『教育CSRシンポジウム2014』において有識者及び全国の教員・教育関係者が選ぶ『出前実験教室(小学生部門)』で大賞を、『中高生が選ぶ教育CSR活動』で大賞を受賞しました。本出前授業は製品「カルピス」を題材に「カルピス」の原料となる生乳の特徴や、「カルピス」の味をつくる 〝発酵〟のしくみについて、五感を使った体験をしながら学び、社員とのディスカッションにより未来の夢を考える体験型のプログラムです。学校教育の中の食育教育においてお子様たちに「カルピス」の良さを認知していただくことができました。
※1:米国のJohn Ware博士らによって開発された健康関連のQOL(生活の質)を評価するための調査票
※2:腸と脳が自律神経系を通じて双方向の情報伝達を行いながら、生体機能の恒常性を保つ仕組みのこと

[食品事業]
(商品開発関連)
アサヒフードアンドヘルスケア㈱は、食品事業分野において「ミンティア」ブランドのエクステンション商品、「ミンティア ブリーズ」シリーズを発売しました。これは1粒で5分間、ミントのさわやかな清涼感が続く“おいしいミント”の中粒錠菓です。また、「バランスアップ」ブランドでは、健康感のある素材「ライ麦、グラノーラ、オーツ麦、小麦ブラン、玄米」を生地に練り込んで堅く焼き上げた新シリーズ『ベイクド玄米ブラン』を発売しました。一方、ヘルスケア事業分野におきましては「エビオス」ブランドを一層身近なものと感じていただくためのエクステンション品『ビール酵母(栄養酵母)粉末200g』を発売しました。さらには、シェア拡大を続けるサプリメント分野においても「ディアナチュラスタイル」シリーズのラインナップ展開も実施いたしました。また、調味料事業分野においても、『ハイパーミーストHG』を軸として、風味にバラエティーを持たせた酵母エキスである『ハイパーミーストCH-01(チーズ風味)』、『セサミーストMT(ごま風味)』が堅調に売り上げを伸ばすとともに、カツオ風味酵母エキス『ハイパーミーストRFK-Ps』を上市するなど着実な事業発展に努めました。
和光堂㈱は、ベビーフード市場での強みを活かし、新たな幼児食分野に商品提案を行いました。家にある食材を用い、親子が一緒のおかずを手軽に作って食べられる簡単合わせ調味料「おやこdeごはん」全4品、従来の「栄養マルシェ」シリーズの高月齢向けとしてレンジ対応の新容器を使ったカップ容器入りベビーフード『BIGサイズの栄養マルシェ』全10品を新提案しました。この新容器は「持ちやすさ」や「食べさせやすさ」にも配慮した形状とし、合わせて添付スプーンにつきましても同様の配慮を行いました。また、お母様方の要望が多い沢山の野菜を充足できるレトルトベビーフード『1食分の野菜が摂れるグーグーキッチン』全7品を投入しました。ベビースキンケアシリーズにおいては、育児用ミルクの研究を活かし、母乳にも含まれる保湿成分を配合した「ミルふわ」シリーズに『ベビーUVケア』2商品を追加しました。シニア向けの介護食品では、レトルトパウチ「食事は楽し」シリーズの中でも人気の高い『ふっくら雑炊』全7品を、創業315周年となる日本橋の鰹節専門店㈱にんべんと共同で旨味と素材の風味を生かせるだしを選定し、リニューアル新発売いたしました。シニア向けの口腔ケア商品では、手軽に口腔にうるおいをもたせることで口中を浄化し、口臭を予防する『口腔用スプレーうるおいミスト』を新発売しました。「牛乳屋さん」シリーズにおいては、他社にない冷水溶解性のある新商品『牛乳屋さんのミルクココア』を投入し、ブランド力強化に努めました。さらに、冷水でも溶解可能なクリーミングパウダーの追加により、業務用途への展開を広げました。また、コンビニエンスストアのカウンターコーヒー用にトッピングパウダー2品を追加発売しました。
天野実業㈱は、お客様の多様なニーズに応えることを事業方針とし、流通事業では大きく二つに分類して展開をしました。一つ目は、主力商品の「フリーズドライみそ汁」のラインアップ強化をしました。品質と価格のバランスを最良化し、保管に便利なチャック付き袋の個包装5食入り「うちのおみそ汁」全4品(小売売価70円/食)、お求めやすいワンコインプライス「いつものおみそ汁」定番全10品、減塩全5品(小売売価100円/食)、ひと手間の美味しさを加えた高級タイプ「味わうおみそ汁」全8品(小売売価130円/食)と多くのラインアップを図り、3月の発売とあわせて東京銀座プランタンや東京駅アンテナショップにて約8,000人にサンプリングを実施しました。二つ目は、「フリーズドライみそ汁」以外のカテゴリーごとの商品フルラインアップに取り組みました。米飯類では和風系の「おかゆ・雑炊」に加えて、洋風系「ビストロリゾット」シリーズ全4品と中華系「中華粥」シリーズ全2品、スープ類では野菜の素材感を楽しむ濃厚な「ポタベジ ほっこりポタージュ」シリーズ全3品、にゅうめん類では「CAFÉにゅうめん」シリーズ全4品と幅広い層の方に喜んでいただける商品を展開し、フリーズドライ食品の魅力の提案をしました。通販事業では、自社流通商品と差別化した通販ならではの商品展開に取組みました。一つ目は、主力フリーズドライみそ汁の「国産具材使用」を差別化の柱とし「定番みそ汁」全12品、「減塩みそ汁」全10品を国産具材へとリニューアルしました。二つ目は、四季を感じていただけるこだわりの商品を季節ごとに展開しました。年初には業界初となるフリーズドライ「一人鍋」を発売し、多くのお客様から好評を戴きました。また、四季シリーズの「四季のお味噌汁」各季節2品、「四季のにゅうめん」秋と冬に各1品をラインアップ強化し発売しました。

(技術開発関連)
アサヒフードアンドヘルスケア㈱では、グルコサミンサプリメント『筋骨グルコサミン』に配合した筋骨草中の有効成分を明らかにし、キチンキトサン国際学会誌に投稿しました。また、食物繊維を1日必要量の1/3(6g)配合した焼き菓子で排便改善効果に関する人試験を行い、その効果を確認して第21回日本未病システム学会でポスター発表を行いました。
和光堂㈱では、牛乳で美味しく作れるヨーグルト風ドリンク粉末を独自製法で開発し、特許を出願しました。
天野実業㈱では、「フリーズドライ固形みそ汁」の新たな製法開発に取り組み、具材感(大きさや食感)を向上させる製法技術を確立しました。新たな製法での商品開発を進めています。

[食の安心安全]
食品の安全性に対するお客様の期待が高まる中、食品に含まれる微量成分を網羅的に分析することが可能な最新の飛行時間型質量分析計を導入しました。本分析機器を活用して、食品の原材料、とくに食品添加物や容器包装資材を精密に分析することで、安全な製品づくりに貢献しています。また、水・原料・製品の安全性を正確かつ迅速に評価するために、最先端の分析技術を駆使し、残留農薬、残留動物用医薬品、カビ毒、有害金属、その他食品リスクとなる化学物質の高感度・高精度そして高速分析が可能な分析法を新規開発・改良し、品質確認のための分析体制を常に最先端のものに更新しています。各種学会や社外研究機関において密な情報交流を行うことで食品リスクに関する情報をいちはやく入手し、新規リスクの迅速な分析技術確立や新規技術導入に役立てています。グループ各社の分析部門と連携し、原料・製品の品質保証体制の更なる充実に貢献しました。

[新規事業関連]
バイオエタノールに関する研究開発では、砂糖とエタノールの同時増産を実現する新プロセス“逆転生産プロセス”を開発しました。サトウキビは、ショ糖(砂糖原料)と還元糖(砂糖生産を阻害するブドウ糖,果糖)の2種類の糖分を含有しています。多くの収穫量が期待できる高バイオマス量サトウキビや収穫期間外のサトウキビなどは、還元糖の含有率が高いため、砂糖の生産効率を低下させるという課題がありました。今回開発した逆転生産プロセスは、従来の砂糖・エタノールという製造順序を逆転させ、砂糖生産効率を下げる原因となる還元糖のみを先に選択的にエタノールに変換した後に、砂糖を生産するという画期的な同時生産プロセスです。バイオエタノールを生産することによって、砂糖生産効率を大幅に向上させ、これまでの収穫期間(工場稼働期間)を延長することができる革新的な技術で、国内外で特許登録が進んでいます。本技術は2013年度にマスコミ向けに発表を行い、地球規模で懸念される食料・エネルギー問題の解決に貢献する技術として、砂糖産業など多くの関係者から関心を集めています。現在、事業化を目指して本技術を実用レベルに高めるための技術開発を推進しています。
一方、副産物としての酵母を活用した農業資材などの新規事業開発についても実用化を目指して技術開発を推進しています。

事業等のリスク財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


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