有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S10053A1
不二製油グループ本社株式会社 研究開発活動 (2015年3月期)
事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社は長年積み重ねてきた研究成果と先進の技術力を生かし、植物性油脂と大豆および大豆たん白を基礎とする新しい機能を持つ食品素材の開発に取り組んでおります。「自然の良さを生かしながら自然を超える製品を」、「多様化する食生活のニーズに応える製品を」を方針として、グローバル展開に向けた独創性のある製品の開発に注力しております。
当連結会計年度は、2014年4月より導入している研究開発本部制の下に、基盤研究所、食品素材研究所、食品応用研究所、知的財産室および研究戦略室による研究開発を進めてまいりました。
研究開発本部では、基礎研究・素材開発・応用開発に係る3研究所が三位一体となり、グローバル展開に向けた研究開発を、生産技術開発部ではコア技術の強化・革新に関する研究開発を、それぞれの使命に対し責任を持ってスピード感ある活動を進めております。また、大学等の公的研究機関との共同研究も積極的に行っており、特に国立大学法人京都大学とは、共同研究講座を2015年4月に創設することを決定いたしました。
なお、当社グループでは、当社以外のグループ各社においても、素材開発・応用開発を行っております。また個別のユーザーへ対応した開発も、積極的に行っております。
当連結会計年度の研究開発費の総額は、39億44百万円であります。
研究開発活動の概要は次のとおりであります。
(油脂部門)
安全安心で環境に配慮した油脂の製造技術、新機能を有する油脂製品およびその最適な応用法に関する研究開発を通して、お客様のご要望をかたちにし、新しいおいしさの創造に貢献しております。
当連結会計年度の主な成果としては、昨年来より検討してきましたDTR技術(*)をチョコレート用油脂やサンドクリーム用油脂に応用し、風味発現の向上に取り組みました。また同技術を調理加工食品用途に用い、小麦粉製品や水産畜肉製品に練り込むことで、素材の風味を増強させながら酸化安定性を高めるなど、お客様の製品の品質向上にも貢献できるようになりました。さらにおいしさを維持しながら減塩が可能となる老健市場向けの調理油を製品化しました。これにより、年齢を重ねて味への感受性が変化してもおいしく栄養を摂ることができるといった提案が可能となりました。
当部門の研究開発費は6億24百万円であります。
*DTR技術:水溶性成分を油脂に微分散させる技術で、素材の呈味(塩味、旨味、辛味など)や保存安定性を付与、増強する技術。
(製菓・製パン素材部門)
チョコレートやホイップクリーム、マーガリン、チーズ様素材、パイ製品等、製菓・製パン用素材を中心にした新技術・新製品開発、およびソフト開発を行っております。
当連結会計年度の主な成果としては、チョコレートにおいては、産地別高級チョコレート「フロルデカカオ」を2品追加するとともに、ココアバター代用脂を用いたおいしい製品の開発や、生チョコレートではソース状にするなどの機能性改良に取り組みました。クリームにおいては、従来の製菓用ホイップクリームだけでなく、喫茶・加工食品向け素材の拡充を図りました。またマーガリンにおいては、国内におけるバター不足の市場背景を下に、バターの代替として使用可能な製品の開発に取り組みました。チーズ様素材では、製菓製パン市場向けにクリームチーズを「Class-F」製品としてラインナップし、さらに成形品としてブロック形状やシュレッド形状製品を拡充し、調理加工食品用途等幅広い用途でお使いいただけるよう製品開発を進めてまいりました。また、これら製品開発に加え新しいソフトアプリケーションの開発を行い、お客様への総合的な提案活動を実施しております。
当部門の研究開発費は14億79百万円であります。
(大豆たん白部門)
大豆たん白、大豆たん白食品、豆乳、大豆多糖類、大豆イソフラボン他大豆関連製品の開発を行っております。
当連結会計年度の主な成果としては、昨年に続き世界初の豆乳の分離分画技術、USS(ウルトラソイセパレーション)製法で加工された豆乳クリームおよび低脂肪豆乳は、風味の面から調理加工分野にて高い評価をいただくことができました。また、これらUSS素材(豆乳クリームおよび低脂肪豆乳)の特性を生かし、これまでに無かった豆腐類、ドレッシング、ホイップクリーム、フィリング等が誕生し、大豆加工素材として新しい分野への展開が進んでおります。植物性の組織状たん白素材は、肉に近い食感をもつ大豆ミートとしての高品質化、バラエティー化を進める一方、粉末状植物性たん白素材は、高騰する卵白やすり身の保水力を代替できるように物理特性を見直し、動物性資源の代替の可能性を高めました。また、たん白補給、高齢化社会に対応すべく、大豆たん白粉末、大豆イソフラボン素材を、応用されやすいよう改質するほか、高齢者が喫食しやすい食品、柔らかい食感の冷凍流通豆腐、がんもどきなどの大豆たん白食品を開発し、老健向けの豆腐パティーも展開しております。生協向け大豆たん白食品では具材の産地にこだわった商品が好調で、チーズ様素材を包餡したハンバーグも引き続き好調であります。大豆多糖類においては、引き続き国内外における飲料分野や国内市場での麺および米飯用品質改良剤分野での使用が好調であります。
当部門の研究開発費は12億42百万円であります。
(全社(共通))
基盤研究所では、経営課題である「おいしさと健康」に重点を置いた取り組みをしております。特に健康については、2015年度より始まる新たな食品の機能性表示制度の準備として種々の大豆素材を中心に研究を進めてまいりました。また、新規事業に繋がる新しい素材や技術の開発にも積極的に取り組んでおります。
当連結会計年度の主な成果としては、「おいしさ」に関する研究として、新規大豆分画技術であるUSS(ウルトラソイセパレーション)製法を利用した豆乳クリームおよび低脂肪豆乳のおいしさの基本的研究に取り組み、おいしさに寄与する特定成分の解明を進めております。また「健康」に関する研究開発として、大豆ペプチドの認知機能や抗炎症に対する研究に取り組み、認知機能については特定のアミノ酸配列が解明されつつあり、炎症については、関節炎症に効果があることが明らかとなりました。また豆類として大豆に続いて緑豆のたん白質の機能研究も進めております。新規事業に繋がる技術においては、今まで利用されていない新規原料から新規プロセスにより機能性成分を有効に取り出す技術の確立や、農林水産省の食品産業科学研究推進事業における油脂酵母を用いた高機能油脂生産に向けた基盤研究に参画しており、将来の国内および海外における事業化を見据えた取り組みを行っております。
当部門の研究開発費は5億98百万円であります。
事業等のリスク財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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