有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1005AZR
大成建設株式会社 研究開発活動 (2015年3月期)
経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社グループは、「建設事業本業の深耕」の基本的方針のもと、品質と安全の確保によって高い顧客満足を得るとともに、安定的かつ持続的な成長を目的として、リニューアル・リプレイス分野、原子力分野、環境分野、エンジニアリング分野並びに都市開発分野に重点を置き、技術開発を推進している。実施に際しては、技術ニーズの高度化・多様化に対応し、また技術開発への投資効率を高めるべく、大学をはじめとした研究開発、異業種企業、同業他社等との社外アライアンスを積極的に推進している。
当連結会計年度における研究開発費は106億円である。このうち、主な研究開発事例とその成果は次のとおりである。
当連結会計年度における研究開発費は106億円である。このうち、主な研究開発事例とその成果は次のとおりである。
(土木事業)
(1) コンクリートの耐久性向上を追求した連続養生工法「Wキュアリング」の開発
コンクリート構造物の長期耐久性向上の観点から、コンクリート品質を大きく向上させるための養生工法を開発した。本工法では、コンクリート本来の性能を発揮させる養生工程において、余剰水・気泡の排出と硬化後の給水を行う。この連続養生により、相乗効果を引出し、コンクリート表層の美観、強度、緻密化及び中性化・塩化物イオン浸透の抑制等について大幅な向上を実現した。今後、高品質で安全性が高く、維持管理費を軽減する構造物の施工技術として橋梁やトンネル等への適用を図る。(2) LNG地上式貯蔵タンク防液堤の設計・施工技術の開発と適用
発電時の二酸化炭素排出が少ないという環境適合性から、液化天然ガス(LNG)の利用が今後も拡大していくものと考えられることから、LNG関連施設建設に関わる技術として、地上式貯蔵タンクを囲う防液堤の建設工法「デュアルPCスピード・エレクション」を開発し、石狩LNGタンクに採用した。コンクリート打設のための型枠の一部をそのまま本体構造に利用し、据付・撤去作業を軽減するとともにタンク内側の足場を不要とすることで、タンク本体を含む施工の高速化と安全性向上を実現した。今後、適用効果の高い大型タンクへの適用を図る。(3) 環境配慮型トンネル自動掘削機「TM-100」の開発
騒音・振動の発生が許されない都心部、住宅地付近及び重要構造物近傍で適用するトンネル掘削装置を開発した。高硬度のディスクカッターを取り付けた直径2.7mの円盤を回転させ、掘削面に押し当てながら一軸圧縮強度100MPaを超える岩盤を掘削する。高速施工を行うとともに、自動制御装置により高い掘削精度と省力化を実現する。国内トンネル現場を中心に活用を図る。(4) ダム改修の水中作業ロボット「T-iROBO UW」の開発・適用
ダムの改修工事などにおいては、大規模な仮締切、高橋脚の仮設桟橋の設置や潜水作業を必要としてきたが、高速化・省力化技術として、水面から湖底に鉛直に設置したシャフトを昇降して底部での水中作業を行うロボットを開発した。アタッチメントを変えることで、削岩、掘削、ズリ処理及び精密計測等の作業を地上からの遠隔操作によって行うことができる。潜水士による水中作業を回避し、安全性を向上させるメリットを活かして天ヶ瀬ダムの排水路建設工事で適用した。今後、ダム改修のみならず大水深工事での展開も図る。(5) 自然由来ヒ素含有土の浄化技術の開発
首都圏を中心に多く計画されている大深度のシールドトンネル工事において発生が懸念されている、自然由来のヒ素を含む土壌から、効率的にヒ素を回収する技術を開発した。これは、シールド掘削に伴って発生するヒ素を含む泥水に鉄粉を混ぜ、磁気分離装置によりヒ素を回収するものであり、実用化に向けて装置を小型化するとともに鉄粉の再利用方法を確立した。発生土のヒ素溶出量を環境基準値以下に抑えることにより、埋立て処分の減容化に貢献する。今後、建設副産物の減容化技術として各種プロジェクトに適用を図る。(6) 連結子会社における研究開発の主なもの
大成ロテック㈱において、舗装の維持修繕に関わる技術として、路面性状を回復するための「薄層舗装用のアスファルト混合物の開発」や環境にやさしい「耐久性の高いひび割れ補修材の開発」、循環型社会の構築へ向けた舗装技術からのアプローチとして「繰り返し再生されたアスファルト混合物の望ましい再生方法の検討」や「CO2排出量の削減を目的とした中温化技術の高度化」及び寒冷地の冬季路面対策として「車道用凍結抑制舗装技術の開発」や「歩道用の除雪補助機能を有する舗装の開発」等の研究を行っている。(建築事業)
(1) 「ZEB実証棟」の完成
建築物のエネルギー問題の解決を目的として「ZEB実証棟」を技術センターに建設した。ZEBはZero Energy Building(ゼロエネルギービル)の略であり、特に条件の厳しい都市でのZEB実現を目指している。一般ビルの年間消費エネルギーの75%を新開発の採光システム「T-Light Cube」、躯体放射空調システム「T-Radiant Slab」等で削減し、残りの25%を屋上と外壁の太陽電池による発電で補う。外壁には三菱化学(株)がNEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成事業「有機系太陽電池実用化先導技術開発」で開発中の薄くて軽い太陽電池を、当社と共同開発した「有機薄膜太陽電池外壁ユニット」に組み込んだ。BELS(一般社団法人住宅性能評価・表示協会:建築物省エネルギー性能表示制度)の5つ星評価及びLEED(米国グリーンビルディング協会:建築環境性能認証制度)の新築カテゴリープラチナ認証(どちらも最高位)を国内で初めて取得し、地球温暖化防止活動環境大臣賞も受賞した。現在、導入技術の効果を実証中である。(2) 地震時の天井落下防止技術の開発
東日本大震災において発生した約2000件の天井脱落事故を受け、国土交通省は新たな告示を2014年4月1日付で施行している。当社は、かねてから天井脱落対策に注力しており、体系化した社内マニュアルを整備するとともに、天井の耐震技術の開発を進めている。構造体と吊り天井材との間にV字型の斜材を設置する耐震技術「T-Ceiling・V-brace工法」は、新しい告示に対応した日本建築センター評定の第一号となった。また、既存建物に対する耐震補強技術「T-Ceiling・Grid工法」は既存天井を解体せずに格子状の支持部材で補強する工法であり、天井落下防止技術として様々な用途の建物に提案・展開していく。(3) 大スパン梁「T-POP構法」の適用拡大
プレキャスト・プレストレストコンクリート梁を大梁に使用する設計・施工法について、日本建築センターの評定を国内で初めて取得した。「T-POP構法・高密度配線タイプ」は、現場での緊張作業不要、PC鋼より線の本数削減、梁断面の縮小という特長を持ち、省力化と低コストを兼ね揃えた大スパン梁の施工を可能とした。大型倉庫や高層マンションをはじめ、一般建築物にも積極的に適用を進めていく。(4) 広域で景観を可視化できる景観評価システムの開発
施設の建設計画初期段階において、10kmスケールの広域で、計画施設が景観に与える影響を任意の視点から事前確認できる景観評価システムを開発した。本システムは、地形や周辺施設を考慮し計画施設の見え方を数値化した可視化率で評価するとともに、既に実績が多数あるバーチャルリアリティシステムによる体感や、広域温熱・気流解析技術による工場や発電所等から発生する白煙の影響などの視覚的評価も可能とした。景勝地付近での景観配慮や、建物外観や広告物を検討するうえで事業主や近隣住民、設計者などへの合意形成に活用していく。(5) 無線給電システム「電化フロア電動カート」の開発
走行中の電気自動車にワイヤレスで電気を供給する電化フロア技術を豊橋技術科学大学と共同で開発した。本技術は、床に施工した金属に高周波電流を流すと、近づいた別の金属(タイヤのスチールベルト)に電界が生じて電気が流れる特性を利用した電界結合方式を利用している。従来の電磁界誘導方式では連続的に給電することは不可能であったため充電装置や作業が必要であったが、連続給電によってそれらが不要となり、電気自動車の稼働率向上や軽量化及びコストダウンが図れる。今後、生産施設や物流施設内の無人搬送システムなど幅広い用途での展開を目指して技術開発を進める。経営上の重要な契約等財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
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このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00052] S1005AZR)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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