有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1004G0E
アンジェス株式会社 研究開発活動 (2014年12月期)
事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度における研究開発費は23億38百万円(前年同期比13億14百万円(+128.3%)の増加)となりました。主に、HGF遺伝子治療薬の国際共同第Ⅲ相臨床試験にかかる費用が発生したことにより、外注費が9億20百万円、研究用材料費が2億55百万円、消耗品費が98百万円増加しております。
当社グループでは、以下のプロジェクトを中心に研究開発を進めました。
・HGF遺伝子治療薬(一般名:ベペルミノゲンペルプラスミド、開発コード:AMG0001)(自社品)
<対象疾患:重症虚血肢>
重症虚血肢を対象疾患としたHGF遺伝子治療薬の開発については、海外での承認取得を目的とした国際共同第Ⅲ相臨床試験を進め、当期第4四半期に1例目の患者登録および投与を開始いたしました。本試験は米国FDA(米国食品医薬品局)とSPA(Special Protocol Assessment、特別プロトコール査定)を合意しており、2010年9月には米国FDAからFast Track指定を取得しています。また、2012年10月には田辺三菱製薬株式会社との間で米国における末梢性血管疾患を対象とした独占的販売権許諾契約を締結致しました。本契約により当社は、契約一時金と開発の進捗に応じたマイルストーンの支払いを受けることになり、さらに上市後は売上高に応じた一定の対価を受領致します。
また、当該第Ⅲ相臨床試験のプロトコールによるフィージビリティ(実施可能性)を確認する目的で、少数例のオープンラベルの臨床試験を2014年3月より実施しており、当第4四半期中までに、目標の10例に対し6例の被験者への投与が開始されています。
国内では2013年11月に、国会において再生医療等製品の早期の実用化につながる条件及び期限付承認制度を含む薬事法の改正案が成立し、2014年11月に「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」が施行されました。当社のHGF遺伝子治療薬においては、大阪大学附属病院が主導する医師主導型臨床研究が、当第4四半期に開始されました。当社は、この臨床研究の結果も合わせ、再生医療等製品の条件及び期限付承認制度を活用することで重症虚血肢を対象とした日本国内での早期承認申請を行うことを目指しております。
<対象疾患:リンパ浮腫>
リンパ管の障害によりリンパ流が停滞して手足等が高度に腫れる疾患であるリンパ浮腫に対する治療薬の実用化を目指し開発を進めており、2013年10月に原発性リンパ浮腫患者を対象とした第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を開始し、当期においても引き続き臨床試験を進めました。この試験は世界で初めてのリンパ浮腫に対する遺伝子治療薬の臨床試験であり、原発性リンパ浮腫患者に対するHGF遺伝子治療薬の有効性と安全性を探索的に確認することを目的としています。本プロジェクトは、2014年5月に独立行政法人新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)の「2013年度イノベーション実用化ベンチャー支援事業」に採択され、当社は2015年3月に事業期間(2014年5月29日から2015年2月28日)における開発費用の3分の2相当額を助成金として受領する予定です。
・NF-κBデコイオリゴ(自社品)
NF-κBデコイオリゴのアトピー性皮膚炎の治療薬(AMG0101、軟膏剤)の開発について、国内において第Ⅲ相臨床試験に移行することを2014年8月に発表いたしました。これまで当社は、軟膏製剤では適応が顔面に限られることから、より広範囲な適応を検討する目的で新製剤の開発を進め、国内において第Ⅰ相臨床試験を実施いたしましたが、2014年5月2日開示のとおり新製剤については第Ⅱ相臨床試験に進まず開発戦略を見直すことといたしました。これを受け、軟膏製剤については、適応が顔面に限られる一方で、開発ステージが進んでおり早期製品化の可能性があることを考慮し総合的な観点から検討した結果、国内において第Ⅲ相臨床試験に移行することとなり、2015年3月16日開示のとおり臨床試験を開始いたしました。なお、NF-κBデコイオリゴについては、塩野義製薬株式会社に対しアトピー性皮膚炎適応に関する全世界における独占的な販売権許諾を供与する契約を締結しております。NF-κBデコイオリゴの新たな適用疾患として椎間板性腰痛症を含む腰痛疾患を適応症とした開発も進めています(AMG0103、注射剤)。国内においては日本臓器製薬株式会社と日本における独占的開発販売権許諾契約を2013年3月に締結しておりましたが、2014年12月に契約を解消することに両社で同意し、また当社における開発戦略を変更いたしました。当社は、改定した開発戦略の下、米国FDA(米国食品医薬品局)から臨床試験開始許可(IND)を取得後、2016年に第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を開始する予定です。
NF-κBデコイオリゴをPTAバルーンカテーテルの外表面に塗布した新規医療機器(AMG0102、薬剤塗布型PTAバルーンカテーテル)の開発については、透析シャントの血管狭窄を有する被験者を対象とした臨床試験を2012年9月より開始し、当期も臨床試験を進めてまいりました。なお、2015年1月に当該臨床試験の症例登録を完了したことについて発表しております。今後は、一定の観察期間終了後にデータの解析および評価を行い、本製品の既存のPTAバルーンカテーテルに対する有意差が示され、計画通り進捗した場合には、2016年前半に国内の製造販売承認申請を行う見込みです。本製品については、2012年1月にメディキット株式会社と国内の治験から上市に渡る共同開発および製造販売に関する契約を締結しました。本製品はバルーン拡張による血管炎症や再狭窄を抑制することが期待され、世界で初めての抗炎症薬塗布型のPTAバルーンカテーテルを目指して開発を進めています。
さらに、NF-κBデコイオリゴの次世代型である新規構造を有する核酸ハイブリッドデコイを対象に難治性炎症性疾患に対する核酸医薬品の開発を目指し探索研究を進めております。
・CIN治療ワクチン(GLBL101c、導入開発品)
当社は、韓国のBioLeaders Corporation(バイオリーダース)より、子宮頸部上皮内腫瘍性病変(CIN)の治療ワクチン(CIN治療ワクチン)について日米英中の開発、製造、使用および販売の独占的実施権を取得しています。現在、東京大学医学部附属病院では、川名敬准教授のもと、本剤を用いた「HPV16型陽性の子宮頸部中等度上皮内腫瘍性病変(CIN2)に対する乳酸菌を利用したCIN治療薬の探索的臨床研究」(プラセボ対照二重盲検比較試験)が進められています。本試験の経費については、厚生労働科学研究費補助金(医療技術実用化総合研究事業(臨床研究・治験推進研究事業))が使用されています。現在、世界各国で発売中の子宮頸がん予防ワクチンは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染予防を目的としたワクチンでありHPV既感染者に対して癌化を防ぐような治療効果は得られません。一方、当社が開発するCIN治療ワクチンは、HPVのE7蛋白質に対する特異的な細胞性免疫を効率的に誘導することで子宮頸部の高度異形性を消失させ、子宮頸がんへの移行を回避できる画期的な世界初の治療ワクチンとして期待されます。2009年より東京大学付属病院において探索的臨床研究が行われ、良好な結果が得られております。・転移性メラノーマ治療薬「Allovectin®」(導入開発品)
転移性メラノーマ治療薬「Allovectin®」については、提携先の米国バイカル社が第Ⅲ相臨床試験として、米国、欧州を中心とした15カ国の国際共同治験を実施しておりましたが、同社から2013年8月のプレスリリース及び11月の学会において、主要評価項目、副次評価項目のいずれも統計学的に有意な改善効果が示されなかった旨の発表がありました。これを受け、当社は、当該試験の詳細データを検証し、メラノーマ以外の癌に対する開発の可能性を引き続き検討しております。医薬品開発の状況
(自社品)
区分 | 製品名/プロジェクト | 適応症 | 地域 | 開発段階 | 主な提携先 | |
医 薬 品 | HGF遺伝子治療薬 | 重症虚血肢 (閉塞性動脈硬化症及びバージャー病) | 日本 | 第Ⅲ相終了、 医師主導臨床研究※ | 田辺三菱製薬株式会社 (販売権の許諾に関する 基本合意) | |
欧米 | 第Ⅲ相 | 田辺三菱製薬株式会社 (販売権供与(米国)) | ||||
リンパ浮腫 | 日本 | 第I/Ⅱ相 | 未定 | |||
NF-κBデコイオリゴ | アトピー性皮膚炎 | 日本 | (軟膏剤) 第Ⅲ相 | 塩野義製薬株式会社 (販売権供与(全世界)) | ||
(新製剤)前臨床 | ||||||
椎間板性腰痛症 | 米国 | 第I/Ⅱ相準備中 | 未定 | |||
医療 機器 | 薬剤塗布型 PTAバルーン カテーテル | 血管再狭窄予防 | 日本 | 臨床試験 | メディキット株式会社 (共同開発販売権供与) |
※ 日本は今後、条件及び期限付承認制度を活用して承認申請を行う計画
(導入開発品)
区分 | 製品名/プロジェクト | 適応症 | 当社の権利 | 開発段階 | 提携先 |
医 薬 品 | CIN治療ワクチン | 子宮頸がん 前がん病変 | 日米英中の開発販売権 | 研究者主導 探索的臨床試験 (日本) | バイオリーダース(韓) |
Allovectin® (遺伝子治療薬) | 癌全般 | アジアの開発販売権 | 検討中 | バイカル社(米) |
事業等のリスク財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
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