有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S10057YS
株式会社DNAチップ研究所 事業等のリスク (2015年3月期)
当社の事業展開その他に関してリスク要因と考えられる主な事項を記載しております。また、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から下記に開示しております。なお、当社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針です。
なお、記載における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)当社の事業について
当社が属しているライフサイエンス関連市場は、国内外を問わないことから、日本国内のみならず世界中の同業他社と競合状態にあり、また他業種からの参入も増加するとみられ、市場における競争はさらに激化することが予想されます。当社としては、チップを利用した関連技術の開発及びこの技術を用いた事業の早期展開を目指しておりますが、他社が同種の事業を当社より先に開始した場合や、当社よりも安価に製品を販売した場合など、当社が新事業を開始しても期待どおりの収益をあげることができない可能性があります。
(2)経営成績の季節変動について
現在、バイオ産業は主として国のバイオ関連予算をベースに事業を行っております。これはバイオ企業全体の傾向であり、当社の顧客も例外ではありません。予算施行が可能となっても、顧客は年度内に予算の施行を行えば良いことから、1月~3月に施行する例が多くあります。同様に、大口案件では導入準備に時間を要することもあり、年度末近くに納入することが一般的で、このため下期の売上が大きくなる傾向があります。
今後については、季節性の少ない医療機関や民間企業からの受注増加を図るとともに、季節性の少ないサービスメニューの開発等により収益を安定させていく考えです。
(3)経営上の重要な契約等
当社は当事業年度末現在、「5.経営上の重要な契約等」に示すとおりビジネス展開上重要と思われる契約を締結しております。契約先とは密接な関係があり、相互利益のもとに研究開発を推進していることから、当該契約の解消の可能性は低いと考えておりますが、契約が継続されない場合は当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 知的財産権について
①当社の特許戦略について
当社が事業を営んでいるバイオ業界は技術革新が著しく、特許が非常に重要視されております。
当社が現在保有している特許は12件でありますが、これ以外に出願中のものが21件あります。しかしながら、現在出願している特許がすべて成立するとは限らず、他社特許に抵触した場合等、当社の事業に影響を及ぼす可能性があります。
また、他社特許への抵触は事業に影響する要因のひとつとなるため、当社事業に関連する他社特許については、特許電子図書館(特許庁)などを利用し、定期的かつ継続的に情報を収集し監視するとともに、重要と思われる特許については、特許庁から個別に資料を入手し、他社特許の出願・審査状況等の早期把握に努めております。また、関連特許に問題点等がある場合には、特許事務所など有識者の意見、指導を受け、他社特許に抵触することのないように注意を払っております。
当事業年度末現在、当社の事業に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームといった問題が発生したという事実はありません。当社として、このような問題を防止するために、上記のような注意を払っておりますが、潜在特許や他社との開発競争の中で、今後どのような特許が成立するか予測しがたいところであり、知的財産権に関する問題を完全に回避することは困難であります。。
したがいまして、仮に第三者の出願した特許が成立し、当社がその第三者の知的財産権を侵害しているという公的な判断が下された場合、損害賠償金を負担する可能性や、ロイヤリティを支払わざるを得ないという可能性があり、これらの事態が生じた場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。
②共同研究における特許の帰属について
当社と大学及びその他公的機関に属する研究者との間で実施する共同研究において、その成果となる知的財産権に関しては、共同研究開発契約により各々の権利の持分を定めております。今後、大学の特許管理体制の方針転換が行われた場合、新たな費用発生が生じる可能性があり、当社の事業に影響を及ぼす可能性があります。
(5)薬事法等の法的規制について
①「薬事法」について
「薬事法」では、人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされているものであって器具器械でないものを医薬品と定めており、医薬品は薬局開設者又は医薬品販売業の許可を受けた者でなければ販売できません。
DNAチップは、血液疾患の研究や毒性物質検査、環境ホルモン検査等に使用されるものであり、「薬事法」に該当する医薬品ではありませんので、薬事法の規制は受けておりません。しかし、DNAチップのユーザが医療臨床診断に使用した場合は薬事法に該当することになりますので、ユーザーに使用方法の注意を促すため、当社が販売している汎用DNAチップのカタログには、「本製品は研究用であり、医療、臨床診断には使用しないようご注意ください。」と記載しております(なお、現在は研究用のDNAチップを販売しておりますが、臨床診断用チップの研究開発を進めており、これを製品化した場合は「薬事法」の対象となる可能性があります)。
②「組換えDNA実験指針」について
本指針は、組換えDNA実験の安全を確保するために必要な基本条件を示し、組換えDNA研究の推進を図ることを目的に、1979年8月に内閣総理大臣決定されたものであります。当社では、本指針に規定されている物理的封じ込めレベルP2(レベルはP1~P4であり、数値が大きいほど高い安全性が要求される)までの実験が可能な施設を保有しており、本指針に従って実験を行っております。なお「組換えDNA実験指針」(2002年1月31日文部科学省告示第5号)の「組換えDNA実験の安全確保」には以下が示されております。
(ⅰ)組換えDNA実験(以下「実験」)は、その安全を確保するため、微生物実験室で一般に用いられる標準的な実験方法を基本とし、実験の安全度評価に応じて、物理的封じ込め及び生物学的封じ込めの方法を適切に組み合わせて計画され、及び実施されるものとする。
(ⅱ)組換え動物及び組換え植物の飼育又は栽培の管理は、この指針に定める方法に基づき実施されるものとする。
(ⅲ) 実験従事者、実験責任者、実験実施機関の長及び安全主任者は、規定する任務をそれぞれ適切に果たすものとする。
(ⅳ)実験計画の策定及び実施に際しては、この指針のほか関係する法令、指針その他の規程を遵守するものとする。
③「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」及び倫理審査委員会の設置について
遺伝子解析研究は、個人を対象とした研究に大きく依存し、また研究の過程で得られた遺伝情報は提供者及びその血縁者の遺伝的素因を明らかにし、その取扱いによっては様々な倫理的、社会的問題を招く可能性があるという側面を持っています。
そこで、人間の尊厳及び人権が尊重され、社会の理解と協力を得て研究の適正な推進が図られることを目的とし、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」が制定され、2001年4月1日より施行されました。
この指針は、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の「ヒトゲノムと人権に関する世界宣言」等を踏まえて策定された「ヒトゲノム研究に関する基本原則」(2000年6月14日科学技術会議生命委員会取りまとめ)に示された原則に基づき、また「遺伝子解析研究に付随する倫理問題等に対応するための指針」(2000年4月28日厚生科学審議会 先端医療技術評価部会取りまとめ)を参考に、ヒトゲノム・遺伝子解析研究一般に適用されるべき倫理指針として、文部科学省、厚生労働省及び経済産業省により共同で作成されたものです。ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する全ての関係者において、この指針を遵守することが求められています。
当社は、自主研究、共同研究並びに受託研究としてヒト遺伝子解析研究を行うにあたり、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」の趣旨に基づき設置した倫理審査委員会で審査を行い、倫理的・法的・社会的問題に配慮し、人の尊厳と基本的人権を損なうことなく、適切に研究を実施しております。なお、当委員会は、以下に該当する研究を実施する場合に開催します。
(ⅰ) 大学・医療機関及び民間機関を含む外部研究機関等より提供された試料等(研究に用いる血液、組織、細胞、体液及び排泄物並びにこれらから抽出したDNAなど人の体の一部)を用いた遺伝子解析研究
(ⅱ)大学・医療機関及び民間機関を含む外部研究機関から、ヒト遺伝子情報を受領し、当該研究機関もしくは第三者研究機関と共同して行う遺伝子解析研究
(6)DNAチップ関連市場の歴史、会社の歴史が浅いことについて
DNAチップ関連市場は、1999年8月に国産第一号となるDNAチップを当社が開発・商品化するなど、比較的歴史が浅い市場分野であり、また当社自身も1999年4月に設立した社歴が浅い会社であります。このため、期間業績比較を行うには十分な財務数値が得られないうえ、新規開発プロジェクトの存在などにより、過年度の経営成績だけでは今後の当社業績を予測する材料としては不十分な面があります。
(7)小規模組織であることについて
当社は当事業年度末現在で、取締役4名、監査役3名、従業員21名の小規模組織であります。当社は、業務遂行体制の充実に努めてまいりますが、小規模組織であり、限りある人的資源に依存しているために、社員に業務遂行上の支障が生じた場合、あるいは社員が社外流出した場合には、当社の業務に支障をきたすおそれがあります。
一方、急激な規模拡大は、固定費の増加につながり、当社の業績に影響を与えるおそれがあります。
(8)提出会社が将来にわたって活動を継続するとの前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況その他提出会社の経営に重要な影響を及ぼす事象
将来にわたって事業活動を継続するとの前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況といたしまして、2006年3月期より、継続的な営業損失の発生及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上しております。当事業年度におきましても営業損失99百万円、経常損失119百万円、当期純損失135百万円、営業キャッシュ・フロー△30百万円を計上しております。
なお、詳しい内容につきましては、「第2 事業の状況 7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4) 提出企業が将来にわたって活動を継続するとの前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況その他提出会社の経営に重要な影響を及ぼす事象を解消し、又は改善するための対応策」 に記載しております。
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