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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1005TWH

有価証券報告書抜粋 日本国土開発株式会社 研究開発活動 (2015年5月期)


経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


当社グループの研究開発は、現場施工に密着した技術あるいは工事受注に有効な差別化技術の開発に積極的に取り組んでいることが特徴です。
当連結会計年度の研究開発費は292百万円(消費税等含まず)であり、内訳は土木事業が238百万円、建築事業が53百万円です。主な研究開発成果は以下のとおりです。

(土木事業)

(1) 不良土改良技術
東日本大震災後、資源循環型社会形成が強く望まれる社会的ニーズより、地盤改良分野においては、従来の施工技術では改良が困難な建設副産物を再資源材として利用する機運が高まっており、これまでは適正に処分されていた建設副産物をも資源として活用する地盤改良技術が期待されております。
当社は、東日本大震災以前から資源循環型社会形成を背景として、当社保有技術の回転式破砕混合工法を主に適用した独自技術の開発に取り組んでおります。2004年には、公益社団法人日本材料学会から「ツイスター工法(回転式破砕混合工法)を用いた遮水土の製造技術」(第2回変更・2015年5月)として技術認証を受けております。また、2007年5月には同学会より「2006年度技術賞」を、NPOリサイクルソリューションから「利用促進賞」を、リデュース・リユース・リサイクル推進協議会(3R推進協議会)からは「国土交通大臣賞」及び「会長賞」を受賞するなど、技術的優位性の評価を多方面から受けております。
本工法の施工実績は既に320万㎥を超えており、適用実績も各種建設発生土の有効利用、遮水混合土の製造、汚染土壌の浄化、各種副産物の再資源化と多岐にわたっております。
建設発生土の有効利用については、土砂災害などで河川に堆積した葦地下茎や廃棄物が混在する堆積土を、葦地下茎と廃棄物と土砂とに分別し、分別した土砂を築堤材料へと有効利用する技術を応用し、甚大な被害をもたらした東日本大震災で発生した災害廃棄物の復興資材への再生利用について技術検討を行い、災害廃棄物由来の混合土砂や津波堆積物を瓦礫と土砂に分別処理する復興施工技術としてあらたな開発を行いました。
この技術は、2011年12月に開催された公益社団法人地盤工学会主催の震災関連シンポジウムで優れた地盤改良技術として評価を得ました。2012年には、宮城県で圃場に堆積した災害廃棄物由来の土砂の分別処理工事を受注しました。2013年には、宮城県・岩手県で粗選別後の災害廃棄物由来の土砂の分別処理や改良処理の工事を受注し、高度な復興施工技術として高い評価を得ております。また、安定的な供給が困難であった高含水比土に対応する地盤改良システムを開発し、北海道にて遊水地掘削高含水比土砂の改良工事を受注し、高い改良効果を発揮しております。
今後もソフト・ハード両面からの技術開発を行い、地盤改良技術、汚染土壌の浄化、各種副産物の再資源化への適用拡大を図って行きます。

(2) 処分場関連技術
一般廃棄物や産業廃棄物の最終処分場、放射性廃棄物処理の最終処分施設に活用可能な技術として、降雨浸透抑制型覆土(キャピラリーバリア)とベントナイトを用いた遮水ライナーの研究開発を継続しております。
キャピラリーバリアの技術は、元々は放射性廃棄物の処分時の覆土を対象にして開発されたため、数百年を超える長期耐久性と放射性核種の移行抑制性能が求められました。長期耐久性を実現するために、砂、砂利、粘性土という天然材料のみを使用して覆土を設計し、放射性核種の移行を抑制するために、降雨浸透、地下水の吸上げを同時に抑制する技術として開発されました。キャピラリーバリアは、これまでに6箇所の一般廃棄物最終処分場の閉鎖工事に適用されております。また、2000年に実規模実証試験施設として運用を開始した宮城県蔵王町の実規模土槽では現在も現位置試験を継続しており、長期の貴重なデータを取得し、耐久性を確認していると共に、コンサルタント等の視察の場として活用しております。
一般廃棄物最終処分場では、ベントナイトを用いた遮水ライナーの実績が増加してきました。当社も、ツイスターを用いて遮水土を製造することで、コスト低減、品質安定性を同時に実現できるようになっております。現地発生土やベントナイト原鉱石の利用でコスト削減を図り、ツイスター連続品質管理システムを用いて品質の安定性を実現しております。現在は、放射性廃棄物の処分施設を対象として、更に透水係数の低い遮水土の製造を目指した開発を実施しております。(前記、公益社団法人日本材料学会から「ツイスター工法」(回転式破砕混合工法)を用いた遮水土の製造技術」の第2回変更分として透水係数が1.0×10-10m/sまでの材料製造技術の認証を受けました。2015年5月)さらに、長期の耐久性を有するCa型ベントナイトを用いた遮水土の製造方法等の開発にも取り組んでおります。一方で、地盤工学会「低透水性土質材料の活用と性能評価技術に関する研究委員会」に参加し、遮水土の性能評価方法について研究を実施しております。


(3) 石炭灰有効利用技術
東日本大震災により被災したインフラの復旧や沈下地盤の復旧、防潮堤や防災緑地などの津波多重防御設備の構築などに大量の土砂が必要となり、福島県・宮城県内では大量の土砂が不足すると見込まれております。その代替品として、石炭灰の有効活用が期待されております。
当社では、沖縄電力㈱と共同開発した「頑丈土破砕材」の技術をベースとして、配合範囲の拡大や灰埋立場に堆積している既成灰の利用によって、大量かつ安定的に土砂代替材料を提供すべく、配合確認・適用性確認の試験を行っております。
今期は、東北電力㈱原町火力発電所や相馬共同火力発電㈱新地発電所から排出された石炭灰の配合試験を実施したほか、沖縄電力㈱金武発電所や常磐共同火力㈱勿来発電所の既成灰を使った配合試験と製造方法の開発を行っております。これらの成果として、2014年には、東北電力㈱から石炭灰混合材料(汽砂→輝砂;きずな)の製造(約5万㎥)業務を受託しました。また、常磐共同火力㈱が運用を始めましたIGCC(石炭ガス化複合発電)の石炭灰溶融スラグについても有効利用を図るべく研究を行っております。IGCCは今後建設される石炭火力発電の主流となると考えられております。更に石炭灰は炭種や燃焼するボイラーによってその性状が大きく変化するため、石炭灰微量物質の溶出特性や不溶化機構について、秋田大学と共同研究を行っております。

(4) リニューアル技術
当社技術であるNLDH(高性能陰イオン交換物質:陰イオン吸着剤)と日本アドックス株式会社のエポキシ樹脂コンクリート補修製品を混和した防錆性能を有するハイブリッド製品の開発を行っております。その性能については、これまでの基礎試験結果から確認されておりますが、更なる検証試験を実施するにあたり、コンクリート材料やエポキシ樹脂に関する研究実績を持ち、また港湾構造物を管理する水産庁に強いパイプを持つ東海大学工学部土木工学科伊達重之教授との共同研究を継続しております。

(5) NLDH
NLDHは早稲田大学との共同研究によって開発した高性能陰イオン交換物質で、環境、医薬、触媒、各種添加剤等への応用が期待できる技術です。これまでに高度水処理システムや井戸水浄化等の環境分野、樹脂添加剤の産業分野などへの用途開発を進めております。また、経済産業省の「地域新生コンソーシアム事業」や独立行政法人科学技術振興機構の「独創的シーズ展開事業委託開発」として、基本性能の把握、製造加工技術、再生技術等の研究開発を行っております。
さらに、佐賀大学との共同研究により、陽イオン吸着も可能にしたハイブリット吸着剤の開発を進めており、陰陽両イオン共に優れた吸着性能を持つことを確認しております。更に、生体関連物質の吸着や脱臭効果も確認しており、新たな用途開発に向けて研究開発を行っております。

(6)除染関連技術
東日本大震災以降、内閣府除染モデル実証事業、環境省南相馬市拠点除染業務を通じて、除染関連技術の開発を行ってきました。現在は、これらの技術を用いて環境省南相馬市本格除染工事を施工しております。
現在は、除染除去物の仮置場から中間貯蔵施設までを対象とした技術開発を実施しております。具体的には、腐敗性除去物の低温熱処理による減容化技術、処分容器を兼ねた高耐久性保管コンクリート容器の製作技術、Na型ベントナイトを用いた高性能な遮水土の製造技術等の開発を継続しております。


(7)機械化技術
当社保有技術をベースとした機械施工の実施において、品質向上、コスト低減、安全性向上を目的に機械システムの開発・改良を行っております。また、新たな工法等に関連した機械技術の開発の取組みに関しては試験機レベルで検討・試験を実施しております。
①自走式一体型ツイスターの開発
ツイスタープラントのコストダウン、適用範囲拡大を目的とした新型機種の開発に取り組んでおります。プラント設備を簡略化し、一体構造とした定置式一体型ツイスター開発の技術を応用し、クローラに搭載した自走式一体型ツイスターを開発しました。試運転が完了し、現場適用への準備中です。
②石炭灰有効活用技術(処理機械技術)の向上
石炭火力発電量の増大、復興資材不足を背景に、石炭灰の有効利用技術についての開発を進めております。当社保有の頑丈土破砕材について、その処理機械の混合効率向上、安定した混合技術の確立を目指しております。改良型乾灰加湿装置の現場実証試験が完了し、実用化の目途が立ち、実機製作準備を進めております。湿灰対応技術においては、既成灰処理における混合性能向上のための細粒化・混合試験を計画中です。
③土砂改良加水技術の向上
土砂改良プラントにおけるベルトコンベヤー先端部での加水システムを開発し、実用化されました。
含水比調整の精度が向上し、盛土における安定した品質の確保が実現されました。
④シールド工事関連技術の開発
長距離化するシールド工事における残土改質技術の開発に取り組んでおります。様々な土質に対応できるツイスターの特徴を生かした、残土処理ライン組込型ツイスターの試作機を設計中です。また、坑内からのビット摩耗検知技術の開発に取り組んでおります。当社施工現場での実証試験を計画中であります。
⑤焼却灰自動詰替え技術の開発
福島県内における震災ガレキの焼却灰を、既存の耐候性土嚢から特殊土嚢へ詰め替える自動化システムの開発を進めております。各工程における要素試験を計画・実施中です。
⑥情報化施工に関する技術開発
無人化施工、独自性、技術の差別化を目標に、下記内容について取り組みを始めています。
・メガソーラ基礎部の施工に、ICT対応重機を適用した実証試験
・CIMへの取り組みとして、UAVを利用した航空測量技術の取得・応用の検討
・土工品質管理システムのICT化に関する技術開発

(8) ADOX工法
ADOX工法は二液無溶剤型のエポキシ樹脂接着剤を使用した構造物補修・補強工法であります。
本工法に関連した事業強化のため2001年10月に日本アドックス株式会社を設立し、構造物診断から接着剤の製造・販売及び施工までの一貫したシステム作りに取り組んでおります。一般的なエポキシ樹脂の施工環境温度が5℃以上であるのに対して、5℃以下の低温下での施工を可能にし、また工程を機械化する技術の確立により、コンクリート構造物全般に広く採用されております。
2011年7月には、技術名称「寒冷地用エポキシ樹脂コンクリート補修材ADOX1380W」として、NETIS(国土交通省の新技術情報提供システム)登録を完了しております。本材料は、2012年10月から2016年3月までの期間で開始された、国立研究開発法人土木研究所寒地土木研究所他当社を含む材料メーカー6社との共同研究「コンクリートのひび割れ注入・充填後の品質評価及び耐久性に関する研究」の試験材料に採り上げられております。
新たな市場開拓として、道路橋コンクリート床板の耐久性向上にも取り組んでおり、本年度も札幌市などで「ADOX床版防水工法」の採用が増えております。また、樹脂系あと施工アンカーへの適用についても、太陽光発電関連の工事などで採用が増えております。
厨房や食品工場等のリニューアルでは、使用材料として速硬性や耐荷重性、耐熱性のほかに抗菌性も求められております。ADOXの代表的な製品4種類の抗菌性について評価し、高い抗菌性を有していることを確認しました。今後、抗菌性を新たな機能としてPRするとともに、抗カビ性についても評価していく予定です。
更なる市場開拓として、他製品のNETIS(国土交通省の新技術情報提供システム)登録を進めると共に、炭素繊維シート補強への適用を目指した取組みも進めております。

(建築事業)

(1) 免震・震動技術
① 低床免震システムの開発
仕上高さ200mmの低床、メンテナンスフリーで高性能な「低床免震システム」は、消防署の通信指令室やエネルギー関連の監視制御室、先端技術による微細加工装置など、地震に対して最高レベルの安全性が要求される用途で、多くの導入実績をあげています。さらに高性能・高機能の追求だけでなく、施工の効率化や経済性など普及に向けた技術開発にも取り組んでいます。また、長周期地震動や高層階などの適用範囲拡大を狙った免震装置の開発を㈱不二越と共同で進めております。
②振動台設備の活用
技術センター保有の3次元大型振動台では、大学や企業などの研究機関をはじめ様々な振動試験を受託しております。また、振動台を活用した研究開発では免震技術をはじめ、より安全で安心な地震対策技術の確立を目指しております。

(2) 建築価値再生技術
スクラップ&ビルドの時代が終わり、資産の有効活用が注目される中、低コストを図りながら資産価値向上の実現を図るソリューション技術「DRESS」を展開しております。建物・耐震診断をはじめ、耐震補強、内外装設備のリニューアル・リノベーション技術の研究開発に取組んでいます。特に20mmの小さなコンクリートサンプルで劣化・強度を的確に診断できる「ソフトコアリング」技術は多くの現場で活用されております。

(3)省エネルギー・環境向上技術
持続可能な循環型社会に適した建築物を目指し、省エネルギーや長寿命化など設備・環境技術の開発に取り組んでおります。また、食品工場エンジニアリングではHACCPやFSSC22000等の規格・認証に対応するため、建設の観点から基礎技術および要素技術を整備し、食品工場における安全衛生環境の実現を追求しております。

(4) 施工合理化・省力化技術
①CFT造(コンクリート充填鋼管構造)
大スパン構造物や高層建物において、構造性能の向上、施工の合理化、工期短縮を図ることができるCFT造の研究開発を実施しております。施工技術ランクを取得し、物流センターや商業施設などへの適用を図っております。
②施工・品質管理技術
高い施工精度が要求される鉄骨建方では「モニタリング制御ジャッキダウン工法」、コンクリートの品質管理では、充填センサーや透明型枠を利用したコンクリート打設管理、スマートセンサ型枠によるコンクリート強度の推定、LHTシートによるコンクリートの保温・保湿養生など、様々な施工技術の向上に取り組んでおります。また、IT技術を活用したタブレットなどによる施工管理支援システムについても導入に向けて調査研究を行っております。
③中高層住宅のPC化技術
10階~15階の中高層住宅を対象として、工期短縮、施工の合理化が図れるPC化工法の開発を行っております。

(5) 植物工場
植物工場は閉鎖された空間において植物を栽培する際に、光、温度、湿度、CO2濃度等の環境をコントロールして野菜等を育成するものであり、いわゆる4定(定時、定量、定品質、定価格)、食の安心・安全の観点から多方面において注目を浴びております。とりわけ、東北地方においては、福島第一原発の事故による放射能対応、被災地の復興・雇用促進を目的として、多くの計画がなされております。
このような現状に対して当社では、2014年5月に技術センター管理棟屋内に人工光型植物工場の試験プラントを設置しました。ここでは、建設会社として植物工場における環境制御手法を検討すると共に、実際に数種類の葉物野菜を生産して試験的に販売等を行うことで、事業化に向けた基礎データの蓄積を行います。具体的には、既に植物工場プラントの製造販売及び生産野菜の販売を行っている㈱成電工業のプラントを設置し、同社の出口戦略等を参考として事業化に向けた課題の整理を行います。また、技術的にはNPO法人植物工場研究会(理事長:古材豊樹千葉大名誉教授)に参加することで、千葉大学から指導を受けると共に、関連企業からの情報収集も行っております。
今期は主に、栽培方法や管理方法の習得ならびに見直し、多種類の野菜について実際に安定して栽培が可能かどうかの確認、栽培コストの把握などを実施しております。

(開発事業)

研究開発活動は特段行われておりません。

(関係会社)

研究開発活動は特段行われておりません。

(その他)

研究開発活動は特段行われておりません。

経営上の重要な契約等財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


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