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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1004YCP

有価証券報告書抜粋 住友化学株式会社 研究開発活動 (2015年3月期)


事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


当社グループ(当社および連結子会社)は、事業拡大と収益向上に寄与すべく、独自の優位性ある技術の確立を基本方針とし、各社が独自に研究開発活動を行っているほか、当社グループ全体としての効率性を念頭に置きながら、互いの研究開発部門が密接に連携して共同研究や研究開発業務の受委託等を積極的に推進している。
当連結会計年度においては、2013年度から2015年度までの中期経営計画に従い、環境・エネルギー、ライフサイエンス、ICT(情報・通信技術)の3分野に研究資源を重点投入するとともに、異分野技術融合による新規事業の芽の発掘とその育成に取り組んできた。
これに基づき、当連結会計年度の研究開発費は、前連結会計年度に比べ66億円増加し、1,479億円となった。

セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりである。

基礎化学分野では、カプロラクタム、メタアクリルを中心とする既存バルク製品の競争力強化のための触媒・プロセス改良や、機能性に特徴を持つ各種製品開発に積極的に取り組んでいる。当連結会計年度において、無機材料関連では、独自に開発したチタン酸アルミニウム製のディーゼルエンジンすす除去フィルターについて、顧客から納入業者指定を受けた。ポーランド工場で2015年度より商業生産を開始する予定である。また、触媒塗布量増大が可能な次世代用フィルターについても、顧客の指定取得に向け大きな進捗があった。高純度アルミナについては、リチウムイオン電池用グレードの生産性を大幅に向上する技術を開発し、その工業化技術をほぼ確立した。アルミニウム分野では、高純度アルミニウムの特徴を活かした新規用途・新規材料の開拓に引き続き注力し、顧客評価を進めている。メタアクリルモノマーに関しては、性能が大幅に向上した触媒を開発し、その製造を開始した。メタアクリル樹脂関連では、高機能製品をシンガポールのPMMAプラントにて製造開始した。化成品関連では、機能性ゴム薬品について、タイヤ用途及び防振ゴム用途それぞれに新規製品の上市を行った。機能性樹脂分野でも環境対応を切り口とした新規の水系接着剤用原料開発を進め、いくつかの用途で有望な材料を見出し、顧客で良好な評価が得られている。
なお、基礎化学部門の研究開発費は75億円であった。

石油化学分野では、事業のグローバル競争力強化のために、石油化学品、合成樹脂および合成ゴム製品の製造プロセスの改良、既存素材の高性能化や新規高付加価値製品の開発に取り組んでいる。当連結会計年度において、合成ゴムでは、省燃費タイヤグレードのさらなる燃費性能の改良や加工性の改善検討が進展した。ポリエチレンでは、太陽電池用封止向け材料の性能改良に進展があった。具体的には、太陽電池の大規模発電で出力低下に繋がるPID(PotentialInducedDegradation)現象を抑えることが可能な封止材の顧客評価が進展し、顧客採用に向けた進捗があった。ポリプロピレンでは、軽量化等の環境ニーズに対応した自動車材や機能性フィルム材に求められる高性能ポリプロピレンの材料、及び、その製造プロセスの開発に進展が見られた。機能性材料としては塗布型ガスバリアコーティング剤の開発、顧客での実用評価が進展した。また、新製品開発では、前連結会計年度の研究組織改編による機能別研究開発ユニット体制のもとで、制振、蓄熱などの機能を有する製品の開発が進捗した。
なお、石油化学部門での研究開発費は66億円であった。

情報電子化学分野では、IT関連企業の先端技術に対応する新規材料・部材・デバイスに関する新製品の開発に、引き続き積極的に取り組んでいる。当連結会計年度は、機能性光学フィルム分野において、当社が培ってきた差別化技術に基づく最先端製品の開発・製造をさらに推進した。具体的には、大型液晶TV用光学フィルムにおいては、自社開発フィルムを適用した製品開発を広範に展開し、様々な顧客ニーズに応えた。小型液晶用光学フィルムにおいては、国内外の顧客ニーズを先取りした薄型化・高性能化を実現する製品を開発し、スマートフォン、タブレット市場での採用が進んだ。また、フレキシブルディスプレイに代表される次世代ディスプレイに用いられる様々な新製品・新技術の開発を推し進めており、今後新製品の上市に向け量産化技術の確立など各種対応を加速していく。
電子材料分野では、半導体向け液浸ArFレジスト・厚膜i線レジストや高性能液晶パネル向け高輝度・高色再現性カラーレジストが国内外の需要家から高い評価を得ているなか、更なる高性能化に向けた研究開発を進めている。また、スーパーエンジニアリングプラスチックの分野では、用途に合わせた新規グレードの積極的な開発が結実し、液晶性ポリマーのOA機器用途への採用拡大、自動車部品での採用を実現した。さらにMOエピタキシャルウエハ分野では、今後成長が見込まれるパワーデバイス分野においてさらなる開発の効率化と競争優位を獲得するため、国家プロジェクトへの参画を含め、技術・研究開発体制を強化した。
電池部材分野では、リチウムイオン二次電池用耐熱セパレータのEV用電池向けの採用が進み、事業が着実に拡大している。また、正極材料においては、当社の強みを活かしたハイニッケル系材料を含めたいくつかの品目を開発し、市場評価の段階に達した。
表示デバイス分野では、タブレットPCやスマートフォンに使用されるタッチセンサーパネルに関する設計・開発・製造を韓国の関係会社(東友ファインケム)にて精力的に実施している。当連結会計年度は、タッチセンサーパネルの技術をさらに深化させるとともに、次世代ディスプレイにも適用可能な湾曲可能な新しいタッチセンサーパネルの開発・製品化に成功し、市場投入を果した。
なお、情報電子化学部門の研究開発費は165億円であった。

健康・農業関連事業分野では、新製品、新技術の開発や製造プロセスの改善・向上に積極的に取り組み、コア事業強化と周辺事業への展開および川下化を推進し、健康・農業関連事業を取り巻く環境の変化に柔軟に対応している。
当連結会計年度において、農業関連事業については、国内では新規農薬・肥料製品の上市により製品ラインナップの拡充を図るとともに新しい取り組みとして、良食味で多収が可能な性能を持つコメ品種等を研究開発機能とともに取得し、事業化に向けた第一歩を踏み出した。また、グループ会社を通じては、種子・種苗や培土・灌水資材の販売、農業法人の運営、農産物販売などを積極展開している。非農耕地分野においても、グループ会社を通じて、家庭用園芸、ゴルフ場、森林防除等の非農耕地分野に農薬・肥料製品を展開している。
海外では、米国において、種子処理用殺菌剤を上市した。欧州においては、殺虫剤の新規登録を花卉、野菜向けに取得した。また、果樹野菜用殺菌剤の新規登録をドイツ、スペイン等で取得し上市した。南米においては、殺虫剤を花卉、野菜向けにエクアドル、コロンビアで上市した。アジア地域では、水稲用除草剤の新規登録を中国、マレーシアで取得した。また、資本提携している豪州農薬会社ニューファーム社とは、混合剤新製品の商業化に向けた開発に取り組んでいる。生活環境事業については、家庭用殺虫剤・業務用殺虫剤・動物用殺虫剤・ヒューマンヘルスケア・エアプロテクションの各重点分野における新製品開発を推進している。家庭用殺虫剤については、国内において優れた速効性と広いスペクトルを有する新規有効成分を含む不快害虫用高性能エアゾール製品、ならびに、屋外での広範囲の虫よけ機能を有する噴霧デバイス商品を上市し、東南アジアにおいて、蚊に優れた効果を示す蚊取り線香用の新規有効成分を含む製品を上市した。業務用殺虫剤については、国内においてシロアリ対策用新製品を上市するとともに、海外においても北米を中心としてトコジラミなどの難防除害虫対策新製品の開発を推進している。また、動物用殺虫剤については国内外においてペット用駆虫剤の新商品開発を推進しており、ヒューマンヘルスケア分野については他社との共同開発によりヒト疥癬症対策製品の薬事承認を取得し、販売を開始した。エアプロテクション分野については静電噴霧技術を用いた業務用芳香消臭デバイスの新製品を上市し、新規市場の開発を加速している。熱帯感染症対策事業については、シンガポールでは、優れた速効性と拡散性を有する空間散布剤、マリ等のアフリカ諸国で上市したピレスロイド抵抗性対策蚊帳の普及と販売推進を行っている。マラリア対策用防虫蚊帳は、国際入札ビジネスの他、ケニア、ウガンダの一般商業市場において上市しているが、ナイジェリアなどの西アフリカ諸国に加え、ASEAN各国での一般商業市場への進出も検討を開始した。また、熱帯感染症に対する総合防除に係る製品強化のため、新しいコンセプトのピレスロイド抵抗性対策蚊帳、室内残留散布剤や幼虫防除剤などの蚊帳以外の防除手段の開発も推進している。加えて、熱帯地域のみならず近年先進国にも拡大しつつある感染症リスクに対応するため、北米でのウエストナイル熱、日本でのデング熱等に有効な製品の開発も進めている。アニマルニュートリション事業においては、マレーシアに開設したアニマルニュートリションテクノロジーセンターの飼料分析ラボ及び家禽栄養に関する試験研究施設を活用した新規商材の開発を推進している。医薬化学品事業では、ジェネリック原薬の製法開発と商用生産に注力するとともに、原薬・中間体の受託製造案件の獲得に積極的に取り組んでいる。また、新規分野である核酸医薬原薬については、ボナック社からライセンスを取得し、開発用原薬の製造を開始した。
なお、健康・農業関連事業部門の研究開発費は257億円であった。

医薬品分野では、精神神経領域とがん領域を重点領域とし、革新的な医薬品の創製を目指しており、世界に先駆ける分野や先端的技術領域での事業展開を図るべく自社研究、技術導入、ベンチャーやアカデミアとの共同研究等あらゆる手法を取り入れている。当連結会計年度においては、大日本住友製薬株式会社、日本メジフィジックス株式会社保有の先端技術を活かした創薬研究等を進めるとともに、国内外の大学を含む研究機関等とのアライアンスも積極的に進めている。
医療用医薬品の研究初期段階では、自らが保有する先端技術などの活用により研究効率の向上に取り組むとともに、iPS細胞等の最先端サイエンスを創薬や再生医療・細胞医薬に応用する取組を進めている。また、京都大学iPS細胞研究所と難治性希少疾患の治療薬の創製を目指した共同研究を推進中であり、産官学連携プロジェクトにも積極的に参加している。
研究後期および開発段階では、グローバルな視点からグループ全体でのポートフォリオの最適化を行っている。加えて、製品価値の最大化を目指した剤形展開等の製品ライフサイクルマネジメントにも積極的に取り組んでいる。
精神神経領域では、次の進展があった。①抗てんかん剤「アプティオム」について、米国およびカナダにおいて昨年10月に、部分てんかん単剤療法に関する適応追加承認申請を行った。②非定型抗精神病薬ルラシドン塩酸塩について、昨年11月にタイにおいて、昨年12月にロシア・トルコ・ベネズエラ・香港において、それぞれ海外提携先より承認申請が行われた。日本において、統合失調症を対象とした第Ⅲ相臨床試験の結果を得たが、本年4月に本試験結果に基づく製造販売承認申請は難しいと判断し、現在、今後の開発方針を検討している。③注意欠如・多動症(ADHD)治療剤SEP-225289について、米国において、成人を対象とした第Ⅲ相臨床試験を昨年10月に開始した。④非定型抗精神病薬ブロナンセリンの経皮吸収型製剤について、日本において、統合失調症を対象とした第Ⅲ相臨床試験を昨年8月に開始した。⑤パーキンソン病治療剤「トレリーフ」について、日本において、レビー小体型認知症(DLB)に伴うパーキンソニズムを対象とした第Ⅲ相臨床試験を本年2月に開始した。
がん領域では、がん幹細胞への抗腫瘍効果を目指して創製されたBBI608について、結腸直腸がんを対象とした単剤での国際共同第Ⅲ相臨床試験は、昨年5月に新規の患者登録および登録済みの患者への投与が中止された。一方、胃または食道胃接合部腺がんを対象とした併用での国際共同第Ⅲ相臨床試験などの継続中の試験は計画通り進んでおり、さらに、米国、カナダおよび日本において、固形がんまたは血液がんを対象とした第Ⅰ相臨床試験を開始した。固形がん治療剤BBI503について、米国、カナダおよび日本において、複数のがん種を対象に第Ⅰ相臨床試験および第Ⅱ相臨床試験を開始した。
新規分野およびその他の領域では、次の進展があった。①再生医療・細胞医薬に関して、昨年4月に神戸市が推進する「神戸医療産業都市」に研究拠点「神戸再生・細胞医薬センター」を大日本住友製薬株式会社が開設した。また、昨年5月から京都大学iPS細胞研究所とパーキンソン病に対するiPS細胞由来神経細胞移植の共同研究を開始した。②脳梗塞治療剤SB623について、昨年9月に米国のサンバイオ・インクとの間で米国およびカナダをテリトリーとした共同開発およびライセンス契約を締結し、米国において後期第Ⅱ相臨床試験の準備を進めている。③慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療剤SUN-101について、米国において、第Ⅲ相臨床試験を本年1月に開始した。
当社グループは、開発品の導入および研究提携にも積極的に取り組んでおり、昨年12月に、初期臨床段階までの化合物の導入を推進する「オープンイノベーション開発室」と、医薬事業のM&A、導出入および提携に関する機能を担う「ビジネスディベロップメント部」を大日本住友製薬株式会社内に設置した。
放射性医薬品では、2003年度にライセンス導入した新規がん診断用PET製剤で開発が進捗した。また、2013年度にライセンス導入したアルツハイマー診断剤も、申請に向けて準備を進めている。
なお、医薬品部門の研究開発費は729億円であった。

全社共通およびその他の研究分野では、上記5事業分野の事業領域を外縁部へ積極拡大するための研究および触媒技術をはじめとする共通基盤技術開発とともに、既存事業の枠に属さない新規事業分野への展開を図るべく、環境・エネルギー、ICT、ライフサイエンスの各分野で研究開発に取り組んでいる。当連結会計年度においては、次の進展があった。ICT分野では、ディスプレイ用途において、高分子有機EL材料の性能向上を図り、印刷プロセスへの適性向上を目的にインク改良を進めた。また、プリンテッド・エレクトロニクス技術を使った有機半導体の開発を進めている。また有機成分と無機成分をナノレベル・分子レベルで機能設計することにより、これまでにない機能を有する材料を生み出す技術の開発を進めている。環境・エネルギー分野では、高分子有機ELを活かした照明用途において、一般照明向けの材料開発、プロセス開発を更に進めるとともに、デザイン照明向けに光素子パネルのラインナップを増強した。ライフサイエンス分野では、農作物に環境ストレス耐性を付与する化学物質の開発を行うクロップ・ストレス・マネジメント(CSM)に取り組んでいる。また、理化学研究所と共同で、ヒトES細胞から毛様体縁幹細胞ニッチを含む立体網膜を作製することに成功した。
なお、全社共通部門の研究開発費は187億円であった。

このように、事業拡大および競争力強化を図るべく、新製品・新技術の研究開発および既存製品の高機能化・既存技術の一層の向上に取り組み、各事業分野において着実に成果を挙げつつある。

事業等のリスク財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


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