有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100537W
日本酸素ホールディングス株式会社 研究開発活動 (2015年3月期)
事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社グループ(当社および連結子会社)は、従来技術の延長線上にないナンバーワン技術・オンリーワン技術に代表される「ワン」技術を次々と生み出し、他社との差異化を達成することで、世界の産業ガスメジャーと比肩しうる企業を目指しております。
環境・エネルギー、エレクトロニクス、医療分野といった先端産業分野を中心に、ファインマテリアル等の新素材分野の開発にも積極的に取り組んでおります。また、知的財産の有効活用と特許出願についても鋭意推進しており、2014年の特許保有件数は683件となっております。
当連結会計年度に支出した研究開発費の総額は34億30百万円であり、その内訳は「国内ガス事業」に26億37百万円、「米国ガス事業」に7億43百万円、「その他事業」に49百万円となっております。主な研究開発活動の概要は次のとおりです。
〔国内ガス事業〕
国内ガス事業においては、鉄鋼、化学工業、自動車産業、半導体メーカー、医療・ライフサイエンス分野等、様々な産業で当社製品・技術をご利用戴いております。当社では、山梨事業所、つくば事業所、京浜事業所、SIイノベーションセンターの4拠点が連携して研究開発を実施しています。
エネルギー分野では、燃料電池自動車に70MPaの高圧水素ガス供給が可能で、低コスト・コンパクトな移動式パッケージ型水素ステーション(商品名:「Hydro Shuttle」)を一昨年度商品化し、その後ブラシュアップやコストダウンに取り組んで参りました。「Hydro Shuttle」は、充填プロトコールにも精度よく対応できており、コンパクト化により製作コストの低減および現地設置工事費の大幅な削減を実現しました。また、「Hydro Shuttle」は定置式にも対応可能な設計としており、移動式水素ステーションとしても受注実績をあげております。定置式水素ステーションのバリエーションを加えて、水素ステーションの早期普及に貢献して参ります。
環境分野では、酸素燃焼技術を応用し、排ガス中に含まれるNH3やシアン化水素を分解・無害化する技術の開発を完了しました。この技術は、今後成長が期待される、炭素繊維製造工程で排出される排ガスの処理に適用が期待されます。既存の空気燃焼式除害設備と比較して、ランニングコスト低減を図る事が可能であり、同分野への拡販を図って参ります。
熱処理分野では、アルゴンガス雰囲気とマグネシウム含有ろう材を使用した新たなアルミニウム・フラックスレスろう付技術を三菱アルミ殿と共同で開発しました。この技術は、フラックス塗布によるろう付けでは適用が難しいマグネシウム含有合金への適用や、真空雰囲気中のろう付けにおいて課題の亜鉛蒸発による材料の品質低下防止が可能となります。今後は、ハイブリッド車や電気自動車に搭載されているパワーコントロールユニット用冷却器および、マグネシウム含有の高強度部材を用いた自動車用やルームエアコン用冷却器への適用に取り組んで参ります。
高温超電導分野では、参画していたNEDOプロジェクト「イットリウム系超電導電力機器技術開発」(期間:2008~2012年度)の成果を用いて、冷凍能力2kWを有するメンテナンスフリーネオン冷凍機の商品化(商品名:NeoKelvin turbo-2kW)を達成しました。本冷凍機は超電導電力機器を-200℃以下まで冷却することが可能な、世界初のネオンガスを冷媒とする冷凍機であり、これまでに4基を納入し、引き続き5基目の製作を行っています。また、海外においても、当社のネオン冷凍機を利用して超電導電力機器の共同研究を実施しております。超電導電力機器は、省エネルギー電力技術の切り札として期待されており、間もなく実用化の段階に達します。当社は長距離送電用ケーブルの冷却に適した10kW級ネオン冷凍機を開発中であり、現在試作冷凍機の能力試験を実施しております。
ジェネレータ分野では、昨年に引き続きPSA式窒素ガス発生装置の新型機や新シリーズのリリースを行いました。はじめに、市場が拡大しております船舶市場向けには、従来の6塔式から4塔式にすることでコストダウンを図った新機種を市場投入、既にLPG船向けに1号機を納入致しました。昨年リリースしましたレーザー加工装置向けLTRシリーズについては、一部マイナーチェンジを実施、ファイバーレーザ向けに特化した装置をラインナップ致しました。また、好評をいただいております省エネ型PSA式窒素ガス発生装置(EZシリーズ)の省エネシステムを安価なPLCで実現、省エネ効果は維持しながらコストダウンを図った新型省エネ機種(FEシリーズ)をリリースいたしました。一方、台湾のPSAメーカーでありますBenson社から入手した吸着剤中間体を利用した安価な高性能吸着剤の量産の見通しが付き、来期の早い段階でコンパクト化とコストダウンを図った新型機種を、一般工業ガス向け大型装置や船舶向け市場に投入し売り上げの拡大を図って参ります。
新素材分野では、「高機能フッ素樹脂」の商品化と「低温で焼成可能な高純度銅ナノ粒子」の開発に成功致しました。さらに、「球状アルミナ」の量産技術の開発についても完了しております。
「高機能フッ素樹脂」は、フッ素樹脂に長尺で結晶度の高い自社製カーボンナノチューブ(CNT)を微量添加することで、高い電気伝導性を付加いたしました。現在、フッ素樹脂成形加工メーカー、高機能フッ素樹脂利用ユーザー向けに、来年度の顧客製品への部材採用に向けた販売活動を行っております。また、透明導電膜・帯電防止膜向け「分散液」の商品化に向けて、分散液の量産プロセスならびに透明導電膜塗布プロセスの開発を継続して進めております。
「低温で焼成可能な高純度銅ナノ粒子」は、電子機器の微細配線や電子部品の接合用途向けに、開発に取り組みました。一般的な銅系ナノ粒子には、有機物で表面を保護した銅ナノ粒子や亜酸化銅のナノ粒子があります。これらは、高い導電性を得るために、300℃以上の加熱や長時間の還元処理が必要でした。開発した銅ナノ粒子は、表層のみ酸化した高純度銅ナノ粒子で、150~200℃の還元雰囲気において、10分程度の短時間の加熱で焼結させることができます。独自開発した酸素燃焼によるナノ粒子合成技術によって、低コストで大量に製造することが可能です。今後は、銅ナノ粒子の実用化を促進すべく、お客様のご要望に応じたサンプルの試作・提供を行い、本格的な事業化を進めて参ります。
「球状アルミナ」については、球状シリカ製造技術として拡販してきた「CERAMELT」技術を応用し、TIM(Thermal Interface Material)向けに量産技術の開発が完了しました。TIMは自動車用パワーデバイスや、高輝度LEDの普及に伴い、今後も成長が期待できる分野であり、同分野向けの商品として展開を図り、当社の事業拡大へと繋げて参ります。
MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)装置関連では、種々のアプリケーション・ユーザの要求にマッチした処理基板サイズ、処理枚数の装置開発を進めております。世界各国の顧客からの高度な顧客要求に効率的に応えていくため、国内外の国立研究機関とのアライアンスを積極的に取り入れて開発を推進して参りました。
GaNパワーデバイスの分野では、名古屋工業大学「窒化物半導体マルチビジネス創生センター」に参画し、8インチまたは6インチSi基板に対応した大量処理能力を有する「UR26K」の高性能化を推進、国内外の顧客からの引き合いに対応しております。
光デバイスの分野では殺菌・UVキュア等の分野で注目されている紫外光のLEDをアプリケーションとしたMOCVD装置の開発を推進しております。台湾の研究機関であるITRI(工業技術研究院)にLED製造プロセスの技術開発を委託、中型MOCVD装置「SR4000」のブラッシュアップ(高温プロセス化)を実現して複数の受注実績を上げております。
当社では大口径化・高付加価値化の開発を継続して実施しており、MOCVD装置へのガス供給、精製および排気等を担うガス関連機器の開発にも引き続き取り組んで参ります。また、顧客の仕様に合わせた供給から排気までの最適なガストータルシステムの提供を行って参ります。
シリコン半導体では、更なる集積化に対応するために原子スケールの技術開発が進められており、当社はそのトレンドに合わせた材料ガスとその供給システムの開発を実施しています。特に半導体製造装置メーカーとのコラボレーションワークを推進することで、顧客への材料およびプロセスの一括提案を行って参ります。
半導体、液晶、太陽電池の製造プロセスで使用される地球温暖化係数が高いパーフルオロ化合物(PFCs)に対しては、排ガス処理装置による排出削減の技術開発を継続して実施しております。当社は燃焼式、吸着式、プラズマ式の排ガス処理装置を有し、お客様の仕様に合わせた最適提案を行うことで多くの納入実績を上げております。
医療・ライフサイエンス分野では、安定同位体の研究開発拠点として「SIイノベーションセンター」を設立しました。研究開発の人員・設備を増強し、新製品・新用途の開発を加速させるとともに、医療・ライフサイエンス分野向け製品のスケールアップ生産を図ります。本分野では、主に、タンパク質の機能解明や抗体医薬研究に資する「タンパク質の無細胞合成技術」の開発を進めております。抗体たんぱく質の合成を目的として商品化したキット「無細胞くんSI SS」は、多品種の抗体を効率的に合成することができることから、大学・研究所や製薬企業などで高い評価を頂いております。また、米国Sigma-Aldrich社を通じ、商品名「iPE kit」として販売を開始し、「無細胞くん」シリーズのグローバル展開を進めています。
バイオメディカル分野では、液体窒素式全自動凍結保存装置「クライオライブラリーアドバンス」を商品化いたしました。2011年度から参画しているNEDO事業「ヒト幹細胞産業応用促進基盤技術開発」において、iPS細胞の培養から凍結・保存・解凍まで一連の操作の自動化に取り組んで参りました。これらの成果として、バイアルボックス単位での収納により従来の3倍以上の試料収納効率を図りつつ、処理時間の高速化、液体窒素使用量の半減を達成しました。今後も、創薬分野や再生医療分野での研究応用が活発化しており、先端医療分野に向けた凍結保存システムである「クライオライブラリー」のラインアップ充実を図って参ります。
〔米国ガス事業〕
米国ガス事業では、ロングモント研究所におけるガスの分析・精製技術の開発に加え、日本からのガスアプ技術の導入、ベンチャー投資を含むオープンイノベーションの活用等により、新規事業の立ち上げ及びサプライチェーンの最適化を中心に既存ガス事業とのシナジーを創出することを目的として研究開発活動を進めております。
分析・精製技術開発では、韓国のアサン工場にて製造している三塩化ホウ素中の不純物の同定・除去技術をロングモント研究所で開発し、更なる高品質化を実現しました。
ガスアプ分野では、液体窒素による食品冷凍分野において新規顧客獲得数が堅調に伸びたことに加え、山梨研究所にて開発されたバーナー技術の初の米国導入実績を上げるなど、2009年の米国ガスアプセンター設立以来着実に成果が上がっております。
オープンイノベーションの活用でも、2012年に過半数を取得したRASIRC社が着実に実績を上げる中、更なる新規製品・技術の獲得に向け複数のベンチャーとの資本提携を模索し新規事業の立ち上げの加速を目指しています。
〔その他事業〕
家庭用品分野においては、「サーモスマジック」をコンセプトに、独自の断熱技術とユニークな生活快適発想を柔軟に組み合わせた夢あるライフスタイルの創造を目指し、積極的な商品開発を推進しております。
直接飲めるスポーツ&キッズボトルのカテゴリーでは、ユーザートレンドに合わせ、デザイン、カラーの一新を図るとともに、お客様からの要望が強かった大容量ジャグを当社の軽量・コンパクト設計により商品化致しました。合わせて、“大人スポーツ”と称したコンセプトのもと、成人、シニアの熱中症対策、スポーツパフォーマンス向上のための商品レンジにも大容量タイプを追加投入致しました。
お弁当カテゴリーでは、新しいライフスタイル型商品として急成長しているフードコンテナー市場に向けて、大容量タイプを追加致しました。
ベビーカテゴリーにおいては、これまでの真空断熱ストローマグを、より軽量化し、飲み易いデザインとした新商品を投入致しました。
その他のカテゴリーでは、真空技術を応用したワイヤレスポータブルスピーカーを世界で初めて商品化し、“世界初!「真空サウンド」”として、ヴェクロス(VECLOS)というブランド名で音響製品に新規参入致しました。
当該通期に投入した新商品は54機種となり、これら積極的な新商品投入を続けることにより、サーモスブランドは「新しいライフスタイルやそれを可能にする商品を提案するブランド」として、市場やエンドユーザーから高い評価を受けています。
(注) 上記の金額に、消費税等は含まれておりません。
環境・エネルギー、エレクトロニクス、医療分野といった先端産業分野を中心に、ファインマテリアル等の新素材分野の開発にも積極的に取り組んでおります。また、知的財産の有効活用と特許出願についても鋭意推進しており、2014年の特許保有件数は683件となっております。
当連結会計年度に支出した研究開発費の総額は34億30百万円であり、その内訳は「国内ガス事業」に26億37百万円、「米国ガス事業」に7億43百万円、「その他事業」に49百万円となっております。主な研究開発活動の概要は次のとおりです。
〔国内ガス事業〕
国内ガス事業においては、鉄鋼、化学工業、自動車産業、半導体メーカー、医療・ライフサイエンス分野等、様々な産業で当社製品・技術をご利用戴いております。当社では、山梨事業所、つくば事業所、京浜事業所、SIイノベーションセンターの4拠点が連携して研究開発を実施しています。
エネルギー分野では、燃料電池自動車に70MPaの高圧水素ガス供給が可能で、低コスト・コンパクトな移動式パッケージ型水素ステーション(商品名:「Hydro Shuttle」)を一昨年度商品化し、その後ブラシュアップやコストダウンに取り組んで参りました。「Hydro Shuttle」は、充填プロトコールにも精度よく対応できており、コンパクト化により製作コストの低減および現地設置工事費の大幅な削減を実現しました。また、「Hydro Shuttle」は定置式にも対応可能な設計としており、移動式水素ステーションとしても受注実績をあげております。定置式水素ステーションのバリエーションを加えて、水素ステーションの早期普及に貢献して参ります。
環境分野では、酸素燃焼技術を応用し、排ガス中に含まれるNH3やシアン化水素を分解・無害化する技術の開発を完了しました。この技術は、今後成長が期待される、炭素繊維製造工程で排出される排ガスの処理に適用が期待されます。既存の空気燃焼式除害設備と比較して、ランニングコスト低減を図る事が可能であり、同分野への拡販を図って参ります。
熱処理分野では、アルゴンガス雰囲気とマグネシウム含有ろう材を使用した新たなアルミニウム・フラックスレスろう付技術を三菱アルミ殿と共同で開発しました。この技術は、フラックス塗布によるろう付けでは適用が難しいマグネシウム含有合金への適用や、真空雰囲気中のろう付けにおいて課題の亜鉛蒸発による材料の品質低下防止が可能となります。今後は、ハイブリッド車や電気自動車に搭載されているパワーコントロールユニット用冷却器および、マグネシウム含有の高強度部材を用いた自動車用やルームエアコン用冷却器への適用に取り組んで参ります。
高温超電導分野では、参画していたNEDOプロジェクト「イットリウム系超電導電力機器技術開発」(期間:2008~2012年度)の成果を用いて、冷凍能力2kWを有するメンテナンスフリーネオン冷凍機の商品化(商品名:NeoKelvin turbo-2kW)を達成しました。本冷凍機は超電導電力機器を-200℃以下まで冷却することが可能な、世界初のネオンガスを冷媒とする冷凍機であり、これまでに4基を納入し、引き続き5基目の製作を行っています。また、海外においても、当社のネオン冷凍機を利用して超電導電力機器の共同研究を実施しております。超電導電力機器は、省エネルギー電力技術の切り札として期待されており、間もなく実用化の段階に達します。当社は長距離送電用ケーブルの冷却に適した10kW級ネオン冷凍機を開発中であり、現在試作冷凍機の能力試験を実施しております。
ジェネレータ分野では、昨年に引き続きPSA式窒素ガス発生装置の新型機や新シリーズのリリースを行いました。はじめに、市場が拡大しております船舶市場向けには、従来の6塔式から4塔式にすることでコストダウンを図った新機種を市場投入、既にLPG船向けに1号機を納入致しました。昨年リリースしましたレーザー加工装置向けLTRシリーズについては、一部マイナーチェンジを実施、ファイバーレーザ向けに特化した装置をラインナップ致しました。また、好評をいただいております省エネ型PSA式窒素ガス発生装置(EZシリーズ)の省エネシステムを安価なPLCで実現、省エネ効果は維持しながらコストダウンを図った新型省エネ機種(FEシリーズ)をリリースいたしました。一方、台湾のPSAメーカーでありますBenson社から入手した吸着剤中間体を利用した安価な高性能吸着剤の量産の見通しが付き、来期の早い段階でコンパクト化とコストダウンを図った新型機種を、一般工業ガス向け大型装置や船舶向け市場に投入し売り上げの拡大を図って参ります。
新素材分野では、「高機能フッ素樹脂」の商品化と「低温で焼成可能な高純度銅ナノ粒子」の開発に成功致しました。さらに、「球状アルミナ」の量産技術の開発についても完了しております。
「高機能フッ素樹脂」は、フッ素樹脂に長尺で結晶度の高い自社製カーボンナノチューブ(CNT)を微量添加することで、高い電気伝導性を付加いたしました。現在、フッ素樹脂成形加工メーカー、高機能フッ素樹脂利用ユーザー向けに、来年度の顧客製品への部材採用に向けた販売活動を行っております。また、透明導電膜・帯電防止膜向け「分散液」の商品化に向けて、分散液の量産プロセスならびに透明導電膜塗布プロセスの開発を継続して進めております。
「低温で焼成可能な高純度銅ナノ粒子」は、電子機器の微細配線や電子部品の接合用途向けに、開発に取り組みました。一般的な銅系ナノ粒子には、有機物で表面を保護した銅ナノ粒子や亜酸化銅のナノ粒子があります。これらは、高い導電性を得るために、300℃以上の加熱や長時間の還元処理が必要でした。開発した銅ナノ粒子は、表層のみ酸化した高純度銅ナノ粒子で、150~200℃の還元雰囲気において、10分程度の短時間の加熱で焼結させることができます。独自開発した酸素燃焼によるナノ粒子合成技術によって、低コストで大量に製造することが可能です。今後は、銅ナノ粒子の実用化を促進すべく、お客様のご要望に応じたサンプルの試作・提供を行い、本格的な事業化を進めて参ります。
「球状アルミナ」については、球状シリカ製造技術として拡販してきた「CERAMELT」技術を応用し、TIM(Thermal Interface Material)向けに量産技術の開発が完了しました。TIMは自動車用パワーデバイスや、高輝度LEDの普及に伴い、今後も成長が期待できる分野であり、同分野向けの商品として展開を図り、当社の事業拡大へと繋げて参ります。
MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)装置関連では、種々のアプリケーション・ユーザの要求にマッチした処理基板サイズ、処理枚数の装置開発を進めております。世界各国の顧客からの高度な顧客要求に効率的に応えていくため、国内外の国立研究機関とのアライアンスを積極的に取り入れて開発を推進して参りました。
GaNパワーデバイスの分野では、名古屋工業大学「窒化物半導体マルチビジネス創生センター」に参画し、8インチまたは6インチSi基板に対応した大量処理能力を有する「UR26K」の高性能化を推進、国内外の顧客からの引き合いに対応しております。
光デバイスの分野では殺菌・UVキュア等の分野で注目されている紫外光のLEDをアプリケーションとしたMOCVD装置の開発を推進しております。台湾の研究機関であるITRI(工業技術研究院)にLED製造プロセスの技術開発を委託、中型MOCVD装置「SR4000」のブラッシュアップ(高温プロセス化)を実現して複数の受注実績を上げております。
当社では大口径化・高付加価値化の開発を継続して実施しており、MOCVD装置へのガス供給、精製および排気等を担うガス関連機器の開発にも引き続き取り組んで参ります。また、顧客の仕様に合わせた供給から排気までの最適なガストータルシステムの提供を行って参ります。
シリコン半導体では、更なる集積化に対応するために原子スケールの技術開発が進められており、当社はそのトレンドに合わせた材料ガスとその供給システムの開発を実施しています。特に半導体製造装置メーカーとのコラボレーションワークを推進することで、顧客への材料およびプロセスの一括提案を行って参ります。
半導体、液晶、太陽電池の製造プロセスで使用される地球温暖化係数が高いパーフルオロ化合物(PFCs)に対しては、排ガス処理装置による排出削減の技術開発を継続して実施しております。当社は燃焼式、吸着式、プラズマ式の排ガス処理装置を有し、お客様の仕様に合わせた最適提案を行うことで多くの納入実績を上げております。
医療・ライフサイエンス分野では、安定同位体の研究開発拠点として「SIイノベーションセンター」を設立しました。研究開発の人員・設備を増強し、新製品・新用途の開発を加速させるとともに、医療・ライフサイエンス分野向け製品のスケールアップ生産を図ります。本分野では、主に、タンパク質の機能解明や抗体医薬研究に資する「タンパク質の無細胞合成技術」の開発を進めております。抗体たんぱく質の合成を目的として商品化したキット「無細胞くんSI SS」は、多品種の抗体を効率的に合成することができることから、大学・研究所や製薬企業などで高い評価を頂いております。また、米国Sigma-Aldrich社を通じ、商品名「iPE kit」として販売を開始し、「無細胞くん」シリーズのグローバル展開を進めています。
バイオメディカル分野では、液体窒素式全自動凍結保存装置「クライオライブラリーアドバンス」を商品化いたしました。2011年度から参画しているNEDO事業「ヒト幹細胞産業応用促進基盤技術開発」において、iPS細胞の培養から凍結・保存・解凍まで一連の操作の自動化に取り組んで参りました。これらの成果として、バイアルボックス単位での収納により従来の3倍以上の試料収納効率を図りつつ、処理時間の高速化、液体窒素使用量の半減を達成しました。今後も、創薬分野や再生医療分野での研究応用が活発化しており、先端医療分野に向けた凍結保存システムである「クライオライブラリー」のラインアップ充実を図って参ります。
〔米国ガス事業〕
米国ガス事業では、ロングモント研究所におけるガスの分析・精製技術の開発に加え、日本からのガスアプ技術の導入、ベンチャー投資を含むオープンイノベーションの活用等により、新規事業の立ち上げ及びサプライチェーンの最適化を中心に既存ガス事業とのシナジーを創出することを目的として研究開発活動を進めております。
分析・精製技術開発では、韓国のアサン工場にて製造している三塩化ホウ素中の不純物の同定・除去技術をロングモント研究所で開発し、更なる高品質化を実現しました。
ガスアプ分野では、液体窒素による食品冷凍分野において新規顧客獲得数が堅調に伸びたことに加え、山梨研究所にて開発されたバーナー技術の初の米国導入実績を上げるなど、2009年の米国ガスアプセンター設立以来着実に成果が上がっております。
オープンイノベーションの活用でも、2012年に過半数を取得したRASIRC社が着実に実績を上げる中、更なる新規製品・技術の獲得に向け複数のベンチャーとの資本提携を模索し新規事業の立ち上げの加速を目指しています。
〔その他事業〕
家庭用品分野においては、「サーモスマジック」をコンセプトに、独自の断熱技術とユニークな生活快適発想を柔軟に組み合わせた夢あるライフスタイルの創造を目指し、積極的な商品開発を推進しております。
直接飲めるスポーツ&キッズボトルのカテゴリーでは、ユーザートレンドに合わせ、デザイン、カラーの一新を図るとともに、お客様からの要望が強かった大容量ジャグを当社の軽量・コンパクト設計により商品化致しました。合わせて、“大人スポーツ”と称したコンセプトのもと、成人、シニアの熱中症対策、スポーツパフォーマンス向上のための商品レンジにも大容量タイプを追加投入致しました。
お弁当カテゴリーでは、新しいライフスタイル型商品として急成長しているフードコンテナー市場に向けて、大容量タイプを追加致しました。
ベビーカテゴリーにおいては、これまでの真空断熱ストローマグを、より軽量化し、飲み易いデザインとした新商品を投入致しました。
その他のカテゴリーでは、真空技術を応用したワイヤレスポータブルスピーカーを世界で初めて商品化し、“世界初!「真空サウンド」”として、ヴェクロス(VECLOS)というブランド名で音響製品に新規参入致しました。
当該通期に投入した新商品は54機種となり、これら積極的な新商品投入を続けることにより、サーモスブランドは「新しいライフスタイルやそれを可能にする商品を提案するブランド」として、市場やエンドユーザーから高い評価を受けています。
(注) 上記の金額に、消費税等は含まれておりません。
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