有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1006QXT
クミアイ化学工業株式会社 研究開発活動 (2015年10月期)
事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当グループは、化学品セグメントにおいて、農業用の除草剤、殺虫剤、殺菌剤及び植物成長調節剤について、国内外の市場に適合する自社化合物を含む新製品の研究開発に引き続き注力しております。なお、当連結会計年度における研究開発経費の総額は24億1千8百万円であります。
国内水稲分野におきましては、前年度に新たに農薬登録を取得した自社開発有効成分「フェノキサスルホン」を含有する初中期一発除草剤「ガンガン」(1kg粒剤、豆つぶ250、ジャンボ)、「クミスター」(1kg粒剤、豆つぶ250、ジャンボ、フロアブル)、「ベンケイ」(1kg粒剤)を当連結会計年度から上市し、さらに「ベンケイ豆つぶ250」、「ベンケイジャンボ」、「クサビフロアブル」の登録を2015年9月に取得しました。2016年度には「ヤブサメ」(豆つぶ250)、「ベンケイ」(豆つぶ250、ジャンボ)の上市を予定しています。
水稲用除草剤では、今年度、新規有効成分「フェンキノトリオン」を含有する「ジータ1キロ粒剤」の国内農薬登録申請を完了しました。「フェンキノトリオン」をはじめ、「フェノキサスルホン」や自社有効成分「ピリミスルファン」を含有する一発処理除草剤の開発も進めており、将来的に水稲用除草剤分野での自社開発化合物のさらなる拡販が期待されます。
また、水稲分野では殺菌剤「トライ」剤、殺虫剤「バズ顆粒水和剤」、「パディート箱粒剤」を今年度上市しました。さらに、水稲箱処理剤として「ツインパディート箱粒剤」、「ルーチンパンチ箱粒剤」、「エバーゴルブラス箱粒剤」の登録を2015年に取得しました。園芸分野でもシアントラニリプロールを有効成分とする殺虫剤「ベリマークSC」、「エクシレルSE」および「ベネビアOD」を上市し、さらに「テプロスフロアブル」の登録を2015年に取得しました。
海外におきましては、トウモロコシやダイズなどに適用する自社開発畑作用除草剤有効成分「ピロキサスルホン」が2012年度からオーストラリア、アメリカで販売を開始した後、現在6か国(オーストラリア、アメリカ、カナダ、南アフリカ、サウジアラビア、日本)で登録を取得、販売を開始しました。オーストラリア、アメリカの普及面積はいずれも300万ヘクタールを超えており、今後、さらに拡大する見込みです。引き続き、南米やアジア等でも積極的に開発を進め、畑作用除草剤の世界的なブロックバスターとしての地位を確立する考えです。
直播水稲用除草剤「ノミニー」は2014年にジャマイカで登録を取得し登録国は世界55か国となり、世界の穀物安定生産へ大きく貢献しています。また、殺菌剤では自社開発有効成分「ピリベンカルブ」が今年度から韓国で販売を開始しました。今後も、除草剤、殺菌剤分野を中心に自社開発有効成分の登録、上市に向けた世界各国での開発を積極的に行っていきます。
当グループは研究開発型企業として、自社開発有効成分の開発を行ない農薬製品を上市しております。今後も継続して自社化合物の創製に注力し、除草剤、殺菌剤、殺虫剤の各分野で次のパイプラインとなる化合物の創出をめざします。
当グループでは環境負荷低減型農薬の開発に積極的に取組んでおります。そのひとつとして、水稲用の水面施用製剤「豆つぶ剤」があります。「豆つぶ剤」は当社独自の製剤技術を生かした軽量・省力的な剤型であり、その高い技術が評価され2015年日本農薬学会業績賞を受賞しました。「ガンガン」、「ナギナタ」、「ベンケイ」、「ヤイバ」をはじめとする除草剤から殺菌剤「オリブライト」、殺虫剤「スタークル」まで、豆つぶ剤を水溶性フィルムでパックした「ジャンボ剤」とあわせて、農家の方々のニーズに応じた製品ラインアップをとりそろえています。
また、微生物農薬「エコシリーズ」も環境にやさしい微生物農薬として積極的に開発を進めています。「エコショット」の有効成分バチルス・ズブチリスD747株を含有する製剤は、イタリア、アメリカをはじめ7か国で登録を取得、販売しており、今後、韓国、台湾、ブラジルなどのアジア、南米へも拡大を図る考えです。
当グループでは農薬開発で培った周辺技術を活用し、バイオテクノロジー分野にも注力して研究開発を行なっています。「パルセレクト」は、安全性に配慮した植物由来の新規な除草剤耐性遺伝子(変異型ALS遺伝子)を用いた植物形質転換選抜マーカーセットであり、植物バイオテクノロジーベンチャーとの業務提携を通じて販売しております。また、これらの植物バイオ技術を用いて形質転換受託ビジネスを行っております。
さらに、研究開発型企業として最先端技術を開発・導入する目的で、大学や国の研究機関との共同研究に積極的に取り組んでいます。その一例として、経済産業省の委託事業「革新的バイオマテリアル実現のための高機能遺伝子合成技術開発」、農林水産省の科学技術推進事業プロジェクト「新しい作用メカニズムにより多種作物で利用可能な新型抵抗性誘導剤の開発」に参画しています。
以上のように、当グループでは、環境にやさしく自然と調和した新たな製品および技術を創出していく取り組みを今後も継続して参ります。
研究拠点として、国内におきましては、当社の生物科学研究所、製剤技術研究所及びイハラケミカル工業㈱と共同で設立した㈱ケイ・アイ研究所を有しております。また、米国におきましては、ケイ・アイケミカルU.S.A.Inc.がミシシッピー試験場を有しております。さらに、2013年度に設立した北・中・南米・欧州を中心とした開発業務を担う組織としてクミカインターナショナルInc.、韓国での開発業務を担う組織としてクミカコリア㈱があります。これら各拠点の有機的かつ効率的な運営に努め、自社新規化合物開発、自社独自製剤技術を用いた新製品開発のスピードアップ及び品質保証を含む当グループの研究開発技術の質的向上を図っております。
なお、賃貸セグメント及びその他では研究開発活動を行っておりません。
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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