シェア: facebook でシェア twitter でシェア google+ でシェア

有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100546L

有価証券報告書抜粋 東洋建設株式会社 研究開発活動 (2015年3月期)


経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当社総合技術研究所では、安全の最優先とコンプライアンスの遵守を基本に、顧客及び市場の要求を的確に捉え、社会に役立ち、顧客満足度の高い企画・技術提案力を強化することで、事業量の確保と利益向上に結びつく研究や技術開発を推進している。また産・官・学との連携強化及びオープンイノベーションを推進することで技術の先端化(差別化)や開発のスピードアップとコストの低減を図り、成果を速やかに実務に反映することを目指している。そのための方策として、(1)当社の基幹技術を中心に先端技術を見据えた業界トップクラスの研究及び技術開発の実施、(2)総合評価方式入札における技術提案力の向上、(3)技術の継承及び人材の育成、(4)社会、地域、顧客及び社内におけるコミュニケーション強化に取り組んでいる。
技術開発においては、支店と連携し、実際の工事を通して即応的な開発を行うことで、コストの低減、施工効率の向上に迅速に対応できる体制を構築している。また設計変更や施工方法変更に対する現場支援を迅速かつ的確に行うことで、工事利益の確保と向上、及び瑕疵工事の低減を図るなど、会社業績への貢献、すなわち受注拡大と施工利益向上に寄与することを常に希求している。なお、当連結会計期間の研究開発費は352百万円であった。
(1) 研究・技術開発
① 浚渫に伴う人工地盤造成に関する研究
浚渫工事で発生する高含水比で軟弱な土砂に対して、濁りの発生を回避しうる投入方法を開発するとともに、埋立・投入管理に必要となる堆積地盤の上昇速度の予測や早期安定化手法の提案を目指すものである。初年度となる本年度は、実施工を想定したスラリー土の段階投入試験を行って沈降・自重圧密を伴う堆積地盤の上昇速度の検証を行うとともに、遠心実験で使用する新たなスラリー投入装置を開発した。また新規提案中の性状変化の少ないトレミー(伸縮型底開式トレミー)に関して、粘性土やセメント固化処理土での投入実験を行い、高い堆積率や材料分離抵抗性及び強度低減の抑制効果などを確認した。
② ポンプ浚渫埋立時の濁り低減に関する開発研究
一般にポンプ浚渫は余水処理が必要で、その際の濁りに関して課題がある。本研究ではポンプ船による浚渫土が海面土砂処分場へ投入され、余水吐から濁りを含む余水が排出される事象を対象に、濁りを対象とした水理模型実験手法の構築及び数値計算法の適用性拡張を図り、その中で濁りの抑制に資する要素技術を検討することを目指している。
③ 港湾工事や外洋工事における動揺浮体を解析対象とした施工検討システムの開発研究
エネルギー関連施設や遠隔離島など大水深域での工事や海外の工事では、台風の発生域に近いなど国内工事では経験の無い波浪場での施工が予想される。本研究では3ヵ年計画で施工対象の施設や構造物が、その様な波浪場で浮体としてどの様な挙動を示し、また効果的な係留方法を検討可能なシステムの構築を目指す。初年度の2014年度においては、既存の数値解析手法を断面2次元場の係留系に拡張し、断面水路での実験により検証した。さらに防波堤築造実現場で、据付時ケーソンの動揺量及び係留索張力の現地計測とウィンチ操作の関係を調査した。
④ 大規模な外力の連続的・複合的な作用下における構造物・地盤の安定性評価と対策法に関する研究
遠心力場での地震・津波実験により、小型模型ながら実規模寸法の再現が可能であり、地震や津波・構造物・地盤の相互作用を定量的に再現できる特徴を持つ世界初の実験手法を確立している。本実験手法を用い、防波堤や護岸、埋立地を対象に地震・津波実験を行い、構造物の被災メカニズムを把握するとともに、既存対策工の効果の確認や粘り強い津波対策工事の提案等を行っている。研究成果は今後発生が懸念されている巨大地震、大津波に対する沿岸防災や対策工事の提案に活かすことが可能である。
⑤ 海岸・港湾構造物基礎における耐波安定性評価と洗掘対策工法の開発研究
有脚式離岸堤を始め杭式構造物で問題となる杭周辺での局所洗掘現象に対し、その耐波安定性を評価する方法を確立すべく、模型実験および数値シミュレーションにより開発研究を進めている。局所洗掘現象の特性を詳細に把握するため、安価で高精度な計測手法として光ファイバを用いた手法を新たに開発し、現地計測によりその手法および計測結果の信頼性を確認する予定である。またバリアウィンTの更なる受注拡大を目指し、施工・設計段階での状況に応じた選択肢を確保するため、透過壁の構造が異なる場合(鉛直スリット)の消波性能を数値シミュレーションにより検討し、水平スリットの場合と同等の性能であることを確認した。
⑥ 特殊コンクリートの開発や改良に関する研究開発
学校法人早稲田大学、国立研究開発法人港湾空港技術研究所等との共同研究により、離島工事や湾岸の緊急工事などで必要とされる海水や未洗浄の海砂を用いた自己充填型コンクリートの開発を進めてきた。本年度はさらなる活用範囲の拡大を目的とした低品質なフライアッシュの適用性検討や水和メカニズムに関する基礎検討を行い、当該技術の優位性を立証した。また太平洋マテリアル株式会社との共同研究により、水中不分離性コンクリートの適用範囲の拡大を目指して実験的検討を行った。その結果、従来のコンクリートに比べて硬化時間が早く、乾燥収縮を低減しうる配合を見出した。今後は実用化検討を行い、干満帯での施工を可能とする技術の確立を図る。
⑦ リサイクル材料の有効利用に関する研究開発
学校法人東洋大学との共同研究により、鉄鋼・非鉄スラグなどのリサイクル材の密度が、コンクリート用の天然骨材(砂利や砕石)と比較して大きいことに着目し、水中における構造物の重量化による安定性向上や躯体の小型化のためにコンクリートへの活用を考え、高密度な水中不分離性コンクリートの開発を進めてきた。本年度は、銅スラグと電気炉酸化スラグを骨材とした水中不分離性コンクリートの実規模での施工実験を実施し、ポンプ圧送性、水中での流動性及び流動に伴う硬化品質の安定性を調べることで、スラグ骨材を用いた最大単位容積質量3.0t/㎥の水中不分離性コンクリートの実用性を確認した。
⑧ 構造物の点検、診断技術に関する研究開発
維持管理の高度化を目指した予防保全的維持管理の実施が可能となる点検診断手法の開発や、システムの構築が必要とされている。特に塩害環境にあるRC構造物においては鉄筋腐食のモニタリングが重要であるが、確立された手法が無いため、電気化学的手法を用いた鉄筋腐食モニタリングシステムの構築を目指し、プロトタイプの腐食モニタリングシステムを作製し、暴露による効果検証実験を開始した。またコンクリート構造物の表面品質可視化の一手法として、電磁波レーダ法による空洞探査の適用性を検証中である。

⑨ 吸水併用型振動締固め工法による石炭灰埋立地盤の減容化技術開発
石炭火力発電所から排出される石炭灰の灰捨て場の延命策として石炭灰埋立地盤を減容化する技術が求められている。本工法はバックホウとケーシングロッド及びガイドとスラリー製造プラントというコンパクトな設備構成で施工可能であり、施工規模の大小を問わず対応可能である。当工法に関する装置開発、現地適用試験を経て、一定の効果があることを確認した。その改良メカニズムの把握とさらなる効率化を図り設備改良検討を行った。
⑩ コンクリートの高品質化・高耐久化に関する研究開発
コンクリートの高品質化や施工の信頼性向上を目指し、コンクリート品質を確保するための内部養生工法の適用性についての基礎的検討及びコンクリート品質の可視化技術の導入検討を進めた。前者については、特殊保水性セルロースゲルに着目し、内部養生効果の検証を開始した。コンクリートの自己収縮の低減や初期強度の増進の効果などが確認され、今後実用化検討を進めていく。後者については、生コン車のドラム内に設置したプローブを用いることで、ドラム内コンクリートの性状の可視化を可能にした。今後は特殊コンクリートの品質管理へ活用を考えていくことにより、良好な躯体の構築につなげていく。
⑪ 構造物の補修・防食技術に関する研究開発
土木・建築構造物における維持管理の重要性はますます高まっており、確実な補修・補強工法の確立が望まれている。これらの需要に対応するために、土木分野では鋼管杭の新たな被覆工法の開発に着手した。また建築分野では、各補修工法における材料評価を行うために、各種断面修復材及び注入材等補修材の性能評価試験を実施し、次期も新たな検討を実施する予定である。
⑫ 騒音振動制御技術の研究
工事中の騒音振動発生を抑制するために、施工エリア周辺に及ぼす影響をリアルタイムに把握できる工事騒音振動の広域監視システムを開発し、特許出願及びNETIS(新技術情報提供システム)への登録をするとともに、現場適用を推進した。また地下鉄に近接したホテル建築工事において、地下鉄固体音低減技術の効果実証を行ったほか、油圧ハンマやバイブロハンマなどの工事騒音振動データを収集し、音源特性や振動伝搬特性ほかのデータベース構築も推進した。
⑬ 制振構法による耐震化技術の開発
2012年4月東京都条例による耐震診断義務化、2013年11月耐震改修促進法改正などにより、自社保有技術の耐震化構法(マスターフレーム構法)の市場が拡大している。一方で耐震化促進のための補助金においては制振構法が有利なため、競合他社の制振補強技術に対抗すべく、制振化構法の取組みも必要不可欠となっている。そこで主にマスターフレーム構法との併用を確立するために、制振化構法で不可欠な動的解析による効果検証や、制振ブレース接合部の構造実験を実施した。次期は当期の成果を踏まえ更なる構造実験の実施や、構造設計技術の向上により、制振化対応のための建築技術審査証明取得を目指す。

経営上の重要な契約等財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00082] S100546L)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。