有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100525Z
三井化学株式会社 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2015年3月期)
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2015年6月24日)現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、当連結会計年度における資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える将来に関する見積りを実施する必要があります。経営者は、これらの見積りについて、当連結会計年度末時点において過去の実績やその他の様々な要因を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、将来においてこれらの見積りとは異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表作成において採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が、連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
① 棚卸資産
当社グループの保有する棚卸資産について、「棚卸資産の評価に関する会計基準」に基づき、厳格な処理を実施しております。回収可能価額の評価を行うに当たっては、製品、商品については正味売却価額に基づき、原材料等については購入価格に基づき、それぞれ収益性の低下を検討しております。
当社グループの保有する棚卸資産は、価格変動の著しい経済環境の影響を受ける傾向にあるため、市場価格が下落した場合には、棚卸資産の簿価を切り下げ、売上原価を増加させることになります。
また、従来より一定期間を超えて在庫として滞留する棚卸資産についても簿価を切り下げており、在庫実態に変化が生じた場合には、同様に棚卸資産の簿価を切り下げることとなります。
② 投資有価証券
当社グループの保有する投資有価証券について、従来より減損処理に関する基準を設けており、これに基づいて厳格な処理を実施しております。市場価格のある投資有価証券については、期末日における被投資会社の株価が取得原価に比べ50%以上下落している場合は原則として減損処理を行い、30%以上50%未満下落している場合は2年間継続して下落率が30%以上の場合又は3年程度の期間にわたり業績が著しく低迷している場合に「回復可能性なし」と判断して減損処理を行っております。市場価格のない投資有価証券については、被投資会社の純資産額を基にした1株当たりの実質価値を見積り、株価の代わりに用いて検討することで市場価格のある投資有価証券と同等の厳格な減損処理を行っております。
被投資会社の株価もしくは業績の著しい低迷があった場合には、投資有価証券の評価損を計上する可能性があります。
③ 固定資産
当社グループの保有する固定資産について、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、適時かつ厳格な処理を実施しております。
減損の測定に至った場合に見積ることになる回収可能価額は、事業に供している資産については正味売却価額もしくは経済的残存使用年数における将来キャッシュ・フローを使用し、遊休及び休止資産については主として正味売却価額を使用しております。将来キャッシュ・フローについては、予算等社内における管理会計の計画数値を基に見積り、正味売却価額については不動産鑑定評価額等から関連する経費等を差し引いた額で見積っております。また当社グループにおいては、減損リスクの管理として、新たな案件発生の可能性の把握と対応及び既に減損処理した案件についての定期的な回収可能価額の見直しを行っております。
事業損益見込の悪化、新たな遊休及び休止資産の発生、並びに正味売却価額の変更等があった場合には、回収可能価額を見積ることになり、減損損失を計上する可能性があります。
当連結会計年度においては、事業構造改善等に伴い、事業に供している資産を中心に、当社グループ全体で53億円の減損損失を計上しております。
④ 繰延税金資産
当社グループが計上している繰延税金資産は、将来減算一時差異等に関するものであり、定期的かつ合理的に回収可能性の評価のための見積りを実施しております。繰延税金資産の回収可能性は、主に将来の課税所得の見積りによるところが大きく、課税所得の予測は将来の市場動向や当社グループの事業活動の状況及びその他の要因により変化します。繰延税金資産の回収可能性に不確実性がある場合、将来回収される可能性が高いと考えられる金額までを繰延税金資産に計上しています。
なお、「第5 経理の状況」の連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項及び重要な会計方針に記載のとおり、当社及び一部の子会社は、連結納税制度を適用しており、同制度を適用する場合の会計処理を行っております。
⑤ 環境対策引当金
環境対策を目的とした工事等について具体的な実施計画が策定された場合には、計画に関する資料を入手の上、引当金として計上すべき金額を合理的に算定しております。また、工事等の計画に重要な変更が生じた場合には見直しを行うこととしております。
この見直しの実施、あるいは新たな案件の発生により引当金残高が増減し、結果、税金等調整前当期純損益が増減する可能性があります。
⑥ 事業構造改善引当金
当社グループの一部の事業再構築について意思決定がされた場合には、見込まれる将来の支出に基づき、引当金として計上すべき金額を合理的に算定しております。また、事業再構築策に重要な変更が生じた場合には見直しを行うこととしております。
この見直しの実施、あるいは新たな事業再構築の意思決定により引当金残高が増減し、結果、税金等調整前当期純損益が増減する可能性があります。
なお、当連結会計年度末において、121億円の事業構造改善引当金を計上しております。
⑦ 退職給付に係る負債
当社グループの従業員の退職給付債務及び退職給付費用は、簡便法を採用している連結子会社を除き、割引率、退職率、昇給率、期待運用収益率等の計算基礎を決定の上、数理計算結果に基づき算定しております。
会計数値の計算上重要な要素となる計算基礎については、当社の割引率を長期国債の実績利回りに基づき決定している他、それぞれ基準を設定の上、定期的に見直しを行っております。
この見直しの結果、計算基礎を変更する場合の他、年金資産の期待運用収益と実際の運用成果との差など予め定めた基礎率と実際の数値とに差が生じる場合には、数理計算上の差異が発生し、売上原価及び一般管理費を増減させる可能性があります。また、数理計算上の差異については、一定の年数(10年~13年)による定額法により按分した額をそれぞれ発生の翌連結会計年度から費用処理することとしております。
未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用については、税効果を調整の上、純資産の部におけるその他の包括利益累計額の退職給付に係る調整累計額に計上しております。
なお、「退職給付に関する会計基準」(企業会計基準第26号 2012年5月17日。以下「退職給付会計基準」という。)及び「退職給付に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第25号 2015年3月26日。以下「退職給付適用指針」という。)を、退職給付会計基準第35項本文及び退職給付適用指針第67項本文に掲げられた定めについて当連結会計年度より適用し、退職給付債務及び勤務費用の計算方法を見直し、退職給付見込額の期間帰属方法を期間定額基準から給付算定式基準へ変更するとともに、割引率の決定方法を従業員の平均残存勤務期間に近似した年数に基づく割引率から、退職給付の支払見込期間及び支払見込期間ごとの金額を反映した単一の加重平均割引率を使用する方法へ変更しております。
(2) 経営成績の分析
① 売上高
売上高は、前連結会計年度に比べ159億円減(1.0%減)の1兆5,501億円となりました。これは、主にナフサなど原燃料価格上昇や円安による販売価格改善の影響が328億円あったことなどによるものと、石化事業におけるプラント稼働率上昇による増販や機能化学品事業における歯科材料の増販があったものの、前連結会計年度の決算期変更影響がなくなったことや基礎化学品事業における子会社の持分法関連会社への整理変更などによる影響が487億円あったことなどによるものです。
海外売上高は6,861億円となり、売上高全体に占める割合は前連結会計年度に比べ0.3ポイント減の44.3%となりました。
セグメント別増減内訳は以下のとおりであります。
② 営業利益
営業利益は、前連結会計年度に比べ171億円増(68.8%増)の420億円となりました。これは、主に基礎化学品事業及び機能樹脂事業の交易条件の改善や基礎化学品事業における固定費の削減などによるものです。
セグメント別に見ると、機能化学品は増販効果があったものの固定費の増加等により、前連結会計年度に比べ4億円減の146億円となりました。機能樹脂は円安効果、需要拡大への的確な対応等により、前連結会計年度に比べ70億円増の189億円となりました。ウレタンはポリウレタン材料の海外市況下落があったものの円安等の影響により、前連結会計年度に比べ17億円改善の35億円の損失となりました。基礎化学品は交易条件改善と当社が進めてきた事業再構築の効果が発現したことを受け、前連結会計年度に比べ100億円改善の74億円の損失となりました。石化は原油価格急落に伴う在庫評価減等により、前連結会計年度に比べ44億円減の209億円となりました。フィルム・シートは高付加価値製品の拡販、円安効果及びコスト削減努力により、前連結会計年度に比べ28億円増の37億円となりました。
セグメント別増減内訳は以下のとおりであります。
(注) 交易条件=価格差+変動費差(主として原燃料価格差)
③ 経常利益
経常利益は、前連結会計年度に比べ219億円増(97.2%増)の444億円となりました。これは、主に営業利益が増加したことに加え、為替差益が増加したことなどによるものです。
④ 特別利益・損失
特別損益は、前連結会計年度に比べ244億円改善の86億円の損失となりました。これは、前連結会計年度に計上したポリウレタン材料事業及びフェノール事業における事業再構築費用がなくなったことなどによるものです。
以上により、税金等調整前当期純損益は、前連結会計年度に比べ463億円改善の358億円の利益となりました。当期純損益は、法人税等及び少数株主利益を控除した結果、前連結会計年度に比べ424億円改善の173億円の利益となり、1株当たり当期純利益額は17.24円となりました。
(3) 財政状態の分析
① 総資産
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ204億円減の1兆4,118億円となりました。
② 負債
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ821億円減の9,405億円となり、このうち、有利子負債は326億円減の5,487億円となりました。この結果、総資産に対する有利子負債の比率は前連結会計年度末に比べ1.7ポイント減少の38.9%となりました。
③ 純資産
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ617億円増の4,713億円となりました。
このうち、株主資本は、当期純利益の計上173億円、配当金の支払いによる減少20億円等により、前連結会計年度末に比べ160億円増の3,671億円となりました。
その他の包括利益累計額は、円安による為替換算調整勘定の増加224億円等により、前連結会計年度末に比べ374億円増の392億円となりました。
少数株主持分は、為替換算調整勘定の増加等により、前連結会計年度末に比べ83億円増の651億円となりました。
この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ4.2ポイント増の28.8%となりました。
また、当連結会計年度末のネット有利子負債(有利子負債-現預金)/自己資本比率(ネットD/Eレシオ)は、前連結会計年度末に比べ0.22ポイント減の1.22となりました。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、206億円減少し、当連結会計年度末には506億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られた資金は、前連結会計年度に比べ148億円増の583億円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の増加によるものです。
これらの結果、営業キャッシュ・フローに対する有利子負債の比率は前連結会計年度の13.4から9.4に減少し、インタレスト・カバレッジ・レシオは5.6倍から7.7倍に改善しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によって使用された資金は、前連結会計年度に比べ548億円減の350億円となりました。これは、前連結会計年度における歯科材料事業の譲受に関する支出の影響がなくなったことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によって使用された資金は、466億円となりました。これは、主として有利子負債の返済を行ったことなどによるものです。
なお、キャッシュ・フローに関する指標は以下のとおりであります。
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
※有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
② 資金の調達について
資金の調達については、
1)高い格付けを維持し、資金需要に応じて都度、社債、借入及びコマーシャル・ペーパーを主体に低コストの資金調達を行うこと。
2)一定割合の間接金融を導入し、資金調達の安定化を図ること。
3)売上債権流動化等の資産の流動化により、資金調達の多様化を図ること。
を基本的な考え方として実施しております。
③ 資金の流動性について
資金の流動性については、資産効率を考慮しながら、手元流動性を確保すると共に、コミットメント・ライン、当座貸越枠等の代替調達手段を備えております。
(5) 収益課題
当社グループは、2015年度においては、財務健全性の早期回復と2014年度中期経営計画目標の達成を確実なものとするため、次の点を重点課題として取り組んでまいります。
■大型市況製品の収益力回復と成長をけん引する事業の更なる収益拡大
■新事業・新製品創出の加速
■あらゆるコスト削減の実行による財務体質の強化
■安全最優先の考えに基づく取り組みの強化徹底による、異常現象・事故、労災の撲滅
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、当連結会計年度における資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える将来に関する見積りを実施する必要があります。経営者は、これらの見積りについて、当連結会計年度末時点において過去の実績やその他の様々な要因を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、将来においてこれらの見積りとは異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表作成において採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が、連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
① 棚卸資産
当社グループの保有する棚卸資産について、「棚卸資産の評価に関する会計基準」に基づき、厳格な処理を実施しております。回収可能価額の評価を行うに当たっては、製品、商品については正味売却価額に基づき、原材料等については購入価格に基づき、それぞれ収益性の低下を検討しております。
当社グループの保有する棚卸資産は、価格変動の著しい経済環境の影響を受ける傾向にあるため、市場価格が下落した場合には、棚卸資産の簿価を切り下げ、売上原価を増加させることになります。
また、従来より一定期間を超えて在庫として滞留する棚卸資産についても簿価を切り下げており、在庫実態に変化が生じた場合には、同様に棚卸資産の簿価を切り下げることとなります。
② 投資有価証券
当社グループの保有する投資有価証券について、従来より減損処理に関する基準を設けており、これに基づいて厳格な処理を実施しております。市場価格のある投資有価証券については、期末日における被投資会社の株価が取得原価に比べ50%以上下落している場合は原則として減損処理を行い、30%以上50%未満下落している場合は2年間継続して下落率が30%以上の場合又は3年程度の期間にわたり業績が著しく低迷している場合に「回復可能性なし」と判断して減損処理を行っております。市場価格のない投資有価証券については、被投資会社の純資産額を基にした1株当たりの実質価値を見積り、株価の代わりに用いて検討することで市場価格のある投資有価証券と同等の厳格な減損処理を行っております。
被投資会社の株価もしくは業績の著しい低迷があった場合には、投資有価証券の評価損を計上する可能性があります。
③ 固定資産
当社グループの保有する固定資産について、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、適時かつ厳格な処理を実施しております。
減損の測定に至った場合に見積ることになる回収可能価額は、事業に供している資産については正味売却価額もしくは経済的残存使用年数における将来キャッシュ・フローを使用し、遊休及び休止資産については主として正味売却価額を使用しております。将来キャッシュ・フローについては、予算等社内における管理会計の計画数値を基に見積り、正味売却価額については不動産鑑定評価額等から関連する経費等を差し引いた額で見積っております。また当社グループにおいては、減損リスクの管理として、新たな案件発生の可能性の把握と対応及び既に減損処理した案件についての定期的な回収可能価額の見直しを行っております。
事業損益見込の悪化、新たな遊休及び休止資産の発生、並びに正味売却価額の変更等があった場合には、回収可能価額を見積ることになり、減損損失を計上する可能性があります。
当連結会計年度においては、事業構造改善等に伴い、事業に供している資産を中心に、当社グループ全体で53億円の減損損失を計上しております。
④ 繰延税金資産
当社グループが計上している繰延税金資産は、将来減算一時差異等に関するものであり、定期的かつ合理的に回収可能性の評価のための見積りを実施しております。繰延税金資産の回収可能性は、主に将来の課税所得の見積りによるところが大きく、課税所得の予測は将来の市場動向や当社グループの事業活動の状況及びその他の要因により変化します。繰延税金資産の回収可能性に不確実性がある場合、将来回収される可能性が高いと考えられる金額までを繰延税金資産に計上しています。
なお、「第5 経理の状況」の連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項及び重要な会計方針に記載のとおり、当社及び一部の子会社は、連結納税制度を適用しており、同制度を適用する場合の会計処理を行っております。
⑤ 環境対策引当金
環境対策を目的とした工事等について具体的な実施計画が策定された場合には、計画に関する資料を入手の上、引当金として計上すべき金額を合理的に算定しております。また、工事等の計画に重要な変更が生じた場合には見直しを行うこととしております。
この見直しの実施、あるいは新たな案件の発生により引当金残高が増減し、結果、税金等調整前当期純損益が増減する可能性があります。
⑥ 事業構造改善引当金
当社グループの一部の事業再構築について意思決定がされた場合には、見込まれる将来の支出に基づき、引当金として計上すべき金額を合理的に算定しております。また、事業再構築策に重要な変更が生じた場合には見直しを行うこととしております。
この見直しの実施、あるいは新たな事業再構築の意思決定により引当金残高が増減し、結果、税金等調整前当期純損益が増減する可能性があります。
なお、当連結会計年度末において、121億円の事業構造改善引当金を計上しております。
⑦ 退職給付に係る負債
当社グループの従業員の退職給付債務及び退職給付費用は、簡便法を採用している連結子会社を除き、割引率、退職率、昇給率、期待運用収益率等の計算基礎を決定の上、数理計算結果に基づき算定しております。
会計数値の計算上重要な要素となる計算基礎については、当社の割引率を長期国債の実績利回りに基づき決定している他、それぞれ基準を設定の上、定期的に見直しを行っております。
この見直しの結果、計算基礎を変更する場合の他、年金資産の期待運用収益と実際の運用成果との差など予め定めた基礎率と実際の数値とに差が生じる場合には、数理計算上の差異が発生し、売上原価及び一般管理費を増減させる可能性があります。また、数理計算上の差異については、一定の年数(10年~13年)による定額法により按分した額をそれぞれ発生の翌連結会計年度から費用処理することとしております。
未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用については、税効果を調整の上、純資産の部におけるその他の包括利益累計額の退職給付に係る調整累計額に計上しております。
なお、「退職給付に関する会計基準」(企業会計基準第26号 2012年5月17日。以下「退職給付会計基準」という。)及び「退職給付に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第25号 2015年3月26日。以下「退職給付適用指針」という。)を、退職給付会計基準第35項本文及び退職給付適用指針第67項本文に掲げられた定めについて当連結会計年度より適用し、退職給付債務及び勤務費用の計算方法を見直し、退職給付見込額の期間帰属方法を期間定額基準から給付算定式基準へ変更するとともに、割引率の決定方法を従業員の平均残存勤務期間に近似した年数に基づく割引率から、退職給付の支払見込期間及び支払見込期間ごとの金額を反映した単一の加重平均割引率を使用する方法へ変更しております。
(2) 経営成績の分析
① 売上高
売上高は、前連結会計年度に比べ159億円減(1.0%減)の1兆5,501億円となりました。これは、主にナフサなど原燃料価格上昇や円安による販売価格改善の影響が328億円あったことなどによるものと、石化事業におけるプラント稼働率上昇による増販や機能化学品事業における歯科材料の増販があったものの、前連結会計年度の決算期変更影響がなくなったことや基礎化学品事業における子会社の持分法関連会社への整理変更などによる影響が487億円あったことなどによるものです。
海外売上高は6,861億円となり、売上高全体に占める割合は前連結会計年度に比べ0.3ポイント減の44.3%となりました。
セグメント別増減内訳は以下のとおりであります。
(単位:億円) |
第17期 | 第18期 | 増減 | |||
計 | 数量差 | 価格差 | |||
機能化学品 | 1,904 | 2,190 | 286 | 232 | 54 |
機能樹脂 | 1,767 | 1,745 | △22 | △139 | 117 |
ウレタン | 1,638 | 1,548 | △90 | △140 | 50 |
基礎化学品 | 3,762 | 3,112 | △650 | △580 | △70 |
石化 | 5,524 | 5,768 | 244 | 94 | 150 |
フィルム・シート | 799 | 827 | 28 | 1 | 27 |
その他 | 266 | 311 | 45 | 45 | - |
消去又は全社 | - | - | - | - | - |
合計 | 15,660 | 15,501 | △159 | △487 | 328 |
② 営業利益
営業利益は、前連結会計年度に比べ171億円増(68.8%増)の420億円となりました。これは、主に基礎化学品事業及び機能樹脂事業の交易条件の改善や基礎化学品事業における固定費の削減などによるものです。
セグメント別に見ると、機能化学品は増販効果があったものの固定費の増加等により、前連結会計年度に比べ4億円減の146億円となりました。機能樹脂は円安効果、需要拡大への的確な対応等により、前連結会計年度に比べ70億円増の189億円となりました。ウレタンはポリウレタン材料の海外市況下落があったものの円安等の影響により、前連結会計年度に比べ17億円改善の35億円の損失となりました。基礎化学品は交易条件改善と当社が進めてきた事業再構築の効果が発現したことを受け、前連結会計年度に比べ100億円改善の74億円の損失となりました。石化は原油価格急落に伴う在庫評価減等により、前連結会計年度に比べ44億円減の209億円となりました。フィルム・シートは高付加価値製品の拡販、円安効果及びコスト削減努力により、前連結会計年度に比べ28億円増の37億円となりました。
セグメント別増減内訳は以下のとおりであります。
(単位:億円) |
第17期 | 第18期 | 増減 | ||||
計 | 数量差 | 交易条件 | 固定費差他 | |||
機能化学品 | 150 | 146 | △4 | 31 | 1 | △36 |
機能樹脂 | 119 | 189 | 70 | 32 | 40 | △2 |
ウレタン | △52 | △35 | 17 | △17 | 22 | 12 |
基礎化学品 | △174 | △74 | 100 | △24 | 63 | 61 |
石化 | 253 | 209 | △44 | 1 | △36 | △9 |
フィルム・シート | 9 | 37 | 28 | 8 | 8 | 12 |
その他 | △6 | 8 | 14 | - | - | 14 |
消去又は全社 | △50 | △60 | △10 | - | - | △10 |
合計 | 249 | 420 | 171 | 31 | 98 | 42 |
③ 経常利益
経常利益は、前連結会計年度に比べ219億円増(97.2%増)の444億円となりました。これは、主に営業利益が増加したことに加え、為替差益が増加したことなどによるものです。
④ 特別利益・損失
特別損益は、前連結会計年度に比べ244億円改善の86億円の損失となりました。これは、前連結会計年度に計上したポリウレタン材料事業及びフェノール事業における事業再構築費用がなくなったことなどによるものです。
以上により、税金等調整前当期純損益は、前連結会計年度に比べ463億円改善の358億円の利益となりました。当期純損益は、法人税等及び少数株主利益を控除した結果、前連結会計年度に比べ424億円改善の173億円の利益となり、1株当たり当期純利益額は17.24円となりました。
(3) 財政状態の分析
① 総資産
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ204億円減の1兆4,118億円となりました。
② 負債
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ821億円減の9,405億円となり、このうち、有利子負債は326億円減の5,487億円となりました。この結果、総資産に対する有利子負債の比率は前連結会計年度末に比べ1.7ポイント減少の38.9%となりました。
第14期 | 第15期 | 第16期 | 第17期 | 第18期 | |
有利子負債残高(億円) | 4,807 | 4,648 | 5,072 | 5,813 | 5,487 |
有利子負債比率(%) | 37.1 | 37.0 | 37.9 | 40.6 | 38.9 |
③ 純資産
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ617億円増の4,713億円となりました。
このうち、株主資本は、当期純利益の計上173億円、配当金の支払いによる減少20億円等により、前連結会計年度末に比べ160億円増の3,671億円となりました。
その他の包括利益累計額は、円安による為替換算調整勘定の増加224億円等により、前連結会計年度末に比べ374億円増の392億円となりました。
少数株主持分は、為替換算調整勘定の増加等により、前連結会計年度末に比べ83億円増の651億円となりました。
この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ4.2ポイント増の28.8%となりました。
また、当連結会計年度末のネット有利子負債(有利子負債-現預金)/自己資本比率(ネットD/Eレシオ)は、前連結会計年度末に比べ0.22ポイント減の1.22となりました。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、206億円減少し、当連結会計年度末には506億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られた資金は、前連結会計年度に比べ148億円増の583億円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の増加によるものです。
これらの結果、営業キャッシュ・フローに対する有利子負債の比率は前連結会計年度の13.4から9.4に減少し、インタレスト・カバレッジ・レシオは5.6倍から7.7倍に改善しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によって使用された資金は、前連結会計年度に比べ548億円減の350億円となりました。これは、前連結会計年度における歯科材料事業の譲受に関する支出の影響がなくなったことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によって使用された資金は、466億円となりました。これは、主として有利子負債の返済を行ったことなどによるものです。
なお、キャッシュ・フローに関する指標は以下のとおりであります。
第14期 | 第15期 | 第16期 | 第17期 | 第18期 | |
自己資本比率(%) | 29.6 | 29.2 | 28.2 | 24.6 | 28.8 |
時価ベースの自己資本比率(%) | 22.7 | 20.0 | 15.4 | 17.7 | 27.4 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 | 6.6 | 10.7 | 27.4 | 13.4 | 9.4 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) | 9.5 | 6.4 | 2.7 | 5.6 | 7.7 |
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
※有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
② 資金の調達について
資金の調達については、
1)高い格付けを維持し、資金需要に応じて都度、社債、借入及びコマーシャル・ペーパーを主体に低コストの資金調達を行うこと。
2)一定割合の間接金融を導入し、資金調達の安定化を図ること。
3)売上債権流動化等の資産の流動化により、資金調達の多様化を図ること。
を基本的な考え方として実施しております。
③ 資金の流動性について
資金の流動性については、資産効率を考慮しながら、手元流動性を確保すると共に、コミットメント・ライン、当座貸越枠等の代替調達手段を備えております。
(5) 収益課題
当社グループは、2015年度においては、財務健全性の早期回復と2014年度中期経営計画目標の達成を確実なものとするため、次の点を重点課題として取り組んでまいります。
■大型市況製品の収益力回復と成長をけん引する事業の更なる収益拡大
■新事業・新製品創出の加速
■あらゆるコスト削減の実行による財務体質の強化
■安全最優先の考えに基づく取り組みの強化徹底による、異常現象・事故、労災の撲滅
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このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00840] S100525Z)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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