有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1004ZQD
三井住友建設株式会社 研究開発活動 (2015年3月期)
経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社グループでは、技術の信頼、受注の拡大、利益の向上を目指して、顧客ニーズに応える技術開発をタイムリーに推進することを技術開発の基本方針とし、技術研究開発本部、土木本部、建築管理本部、設計本部、事業開発推進本部を中心として、技術開発を積極的に進めてきました。
当連結会計年度の技術開発に要した費用の総額は、1,118百万円です。なお、当該費用については、セグメントに共通する費用を区分することが困難であるため、総額のみを記載しています。
当連結会計年度における主な技術開発成果は次のとおりです。
(1)土木工事
①アラミドFRPロッドによるRC橋脚の耐震補強工法を開発
既設橋脚の上端より削孔してアラミドFRPロッドを挿入固定し、プレストレスを与えることにより、橋脚の曲げ耐力、せん断耐力を向上させるRC橋脚の耐震補強工法を開発しました。アラミドFRPロッドは高強度で耐食性があり、非電導なので特に鉄道橋に適しています。また、作業は橋の上部工に干渉することなく橋脚上面から行えるため、仮桟橋や河川締切りなどの大規模な仮設備や水中作業が不要で、従来の工法に比べて工費、工期ともに大幅な削減が可能な工法です。
②のり面締固め管理システムを開発実用化
土工事において、盛土のり面施工を行う重機(バックホウ)に全地球航法衛星システムGNSSを搭載し、締固めに用いる振動バケットの稼働時間、位置情報等をリアルタイムで取得して盛土のり面の締固め管理を行うシステムを開発実用化しました。締固めエネルギーを定量的に評価することで、今日まで管理方法が確立されていなかった盛土のり面の締固め管理ができます。施工情報は重機運転席のモニターにリアルタイム表示されるので、施工ミスによる品質不良を未然に防止でき、また、施工管理の帳票も自動作成されるので省力化が図れます。
③トンネル用低周波騒音低減装置レゾウォールサイレンサーを開発実用化
トンネル工事用の低周波騒音低減装置レゾウォールサイレンサーを開発しました。レゾウォールサイレンサーは、スリットを有する吸音隔壁(レゾウォール)を延長20~30m程度、トンネル形状・寸法にあわせて設置し、妻隔壁とレゾウォールで囲まれたトンネル内空部分を共鳴空間として利用することにより低周波騒音を吸音吸収する装置で、低周波騒音を10dB程度低減させることができます。また、スリット幅の調整により低減目標とする中心周波数をチューニングすることが可能で、要求性能に合わせた低周波騒音対策を実施することができます。
④3Dクレーンブーム位置監視システムを実用化
鉄道営業線や高圧送電線などとの近接する作業において、安全にクレーン作業を行うための3Dクレーンブーム位置監視システムを開発実用化しました。GPS受信アンテナでブーム位置をリアルタイムに測定し、あらかじめ設定した3次元のクレーン作業制限範囲(制限エリア)に接近した場合に警報を発するシステムです。本システムでは、クレーンの移動状況をリアルタイムでバーチャル空間上に表示する機能を付加し、また、複数のクレーンを同一システム上で管理するなど、あらゆる視点からの監視を行い、接触事故等を未然に防止します。
(2)建築工事
①梁のないマンションを実現する“SuKKiT(スキット)ノンスリーブ”を開発
“SuKKiTノンスリーブ”は、バルコニー側と外部廊下側ともに構造架構を部分的に集約したグリッドフレームを採用しており、住戸の外壁面には梁がありません。外壁面に梁がないので、バルコニー側リビングでは床から天井いっぱいの高さのハイサッシが設置可能で、従来よりも眺望と採光性に優れた住空間を実現します。外部廊下側にあるグリッドフレーム自体が外観デザインのアクセントとなるため、バルコニー側と統一感のとれた外観となります。15階までの高層板状マンションに適した構法です。
②新発想ハイブリッド液状化対策工法“SLiC工法”の開発
液状化被害の低減をローコストで実現するSLiC(スリック)工法を開発しました。SLiC工法は、地表面近くの地盤を固める方法と、杭穴に砕石を充填する方法を併用したハイブリッド形式にすることで、液状化発生時に生じる噴砂現象や、構造物の不同沈下を防止します。本工法は、新築物件のみならず既存物件の外構部にも適した工法で、従来工法に比べて6割程度の費用で液状化対策が可能となります。東京湾岸を中心に計画されている2020年開催の東京オリンピック・パラリンピック関連施設周辺敷地への積極的な展開を目指しています。本工法は、株式会社不動テトラとの共同開発です。
③VERJON(異種強度梁)工法の建築技術性能証明を再取得
VERJON工法は、施工品質に配慮し、梁の上部に床スラブと同一のコンクリートを使用する異種強度梁工法です。このたび、更なる施工品質の向上、コストダウンを目的とし、本工法の適用範囲を拡大した建築技術性能証明(GBRC性能証明第10-17号改)を、一般財団法人日本建築総合試験所より再取得しました。今回の再取得で、これまで対象としていなかったスパンの短い梁や床スラブのない梁、段差付きスラブが取り付いた梁など、ほとんどすべての部位への適用が可能となり、品質・施工性がさらに向上しました。本工法は、ゼネコン9社(錢高組、安藤ハザマ、鴻池組、大末建設、大日本土木、NIPPO、長谷工コーポレーション、ピーエス三菱、三井住友建設)による共同開発です。
④中大規模の木造建築市場の創出と拡大を目指し、共同取組に関する業務提携契約を締結
国が推進する木材の利用拡大と普及において必要不可欠な中大規模木造建築市場の創出と拡大、新たなビジネス機会の創出を目指し、住友林業株式会社と共同取組に関する業務提携契約を締結(2014年12月26日)しました。中大規模木造市場の拡大は、国産材を含む木材の活用に寄与するのみならず、都市にぬくもりの空間を創出します。さらに環境配慮の観点において、木は再生可能な唯一の建築材料であると共に炭素を固定することから、環境負荷の低減と地球温暖化の緩和にも寄与します。今後両社は、中大規模木造建築物の普及を通じ、人にやさしい空間の提供と、エネルギー負荷が少なく環境に優しい安全で安心な社会の実現に貢献してまいります。
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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