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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1004ZFI

有価証券報告書抜粋 日本海洋掘削株式会社 事業の内容 (2015年3月期)


沿革メニュー関係会社の状況

当社グループは、当社、連結子会社15社、非連結子会社1社及び持分法適用関連会社1社により構成されており、石油・天然ガスの探鉱・開発に関する海洋掘削事業、「ちきゅう」の運用・管理受託事業及びエンジニアリングと水平孔掘削等を主体とするその他の事業を行っております。
当社グループのセグメントごとの事業の内容は以下のとおりであります。また、当社と連結子会社・持分法適用関連会社の当該事業に係わる位置付けは[事業系統図]のとおりであります。
なお、次の(1)、(2)の2部門は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。

(1) 海洋掘削事業
当社グループは、国内及び海外において海洋掘削リグを運用し、石油・天然ガス等の探鉱・開発に係わる坑井掘削作業その他関連サービスを提供しております。海外においては、現地国の自国産業育成政策により、事業の実施主体は現地法人であることが求められる場合や、現地法人への発注が優先される場合があるため、当社も操業先国に子会社(Pars Drilling Kish Co., Ltd.、P.T. Japan Drilling Indonesia、JDC Offshore Malaysia Sdn. Bhd.等)を設立し、事業を展開することが多くなっております。
また、操業基盤の安定・強化を図る観点から、主要な産油・産ガス国であるマレーシアにおきましては、現地有力企業をパートナーとする合弁会社UMW JDC Drilling Sdn. Bhd.を設立し、本合弁会社を通して同国他での海洋掘削事業を行っております。
子会社のHakuryu 5, Inc.、Sagadril, Inc.、Sagadril 2, Inc. 及びJDC Panama, Inc.は、いずれも海洋掘削リグの保有会社であります。また、Japan Drilling (Netherlands) B.V.は、海洋掘削リグ保有会社であると同時に、掘削工事請負会社とリースの運用主体を兼ねております。

(2) 運用・管理受託事業
当社グループは、日本郵船株式会社との共同出資により設立した日本マントル・クエスト株式会社(以下MQJ社)を通じ、JAMSTECが保有する「ちきゅう」の運用・管理業務を受託しております。また、JDC RIG Management Services, Inc.は「ちきゅう」に外国人船員を配乗する人員派遣会社であります。

(3) その他の事業
当社グループは、リードドリル工法(弧状推進工法)による石油・ガスパイプライン、電力ケーブル、通信ケーブル、上下水道等の管路敷設のための掘削工事請負事業とメタンハイドレート開発・エンジニアリングサービス事業及び教育・研修事業等を行っております。また、子会社の石油開発サービス株式会社を通じ、石油・天然ガスその他地下資源の探鉱・開発に関する設備、機械、器具及び資材の販売並びに輸出入等の業務を行っております。

[事業系統図]
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[当社グループのセグメント別事業内容について]
(1) 海洋掘削
① 当社グループの事業分野
海洋掘削事業とは、海洋掘削リグを運用し、国内外の石油開発会社に対して、海洋における石油及び天然ガス井等の掘削サービスを提供する事業であります。石油開発全体の流れの中で海洋掘削事業者が係わる事業分野は、海洋における試掘井、探掘井及び生産井の掘削(下図の「試掘・探掘」及び「生産井の掘削」)であります。海洋掘削事業者は一般的に「オフショア・ドリリング・コントラクター」あるいは「ドリリング・コントラクター」と呼ばれております。

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石油・天然ガスの探鉱開発事業は、オペレータと呼ばれる石油会社・石油開発会社が中心となり、ドリリング・コントラクターのほか、様々な専門分野の技術サービス会社が数多く参加して行われます。当社は、顧客であるオペレータと掘削契約を締結し、その掘削契約に基づいて、リグ本体、掘削監督者・作業員等の人材及びドリルパイプ等の機器・資材を提供し、石油・天然ガス井の掘削サービスを提供いたします。

② 当社グループが運用するリグ
当社グループが運用するリグは、稼働する海域の水深により、次のイメージ図にある3つの型式に分類されます。
a.ジャッキアップ型 b.セミサブ型 c.ドリルシップ型
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a.ジャッキアップ型
ジャッキアップ型は、接地式甲板昇降型とも呼ばれ、船体及び甲板が昇降可能な脚によって支えられており、曳航時には脚を上げて浮上し、掘削地点に到着すると脚を下げ、海底面に設置させて掘削作業を行います。
この型式の場合、掘削作業時には脚が海底面に着いており、作業甲板は海面上にあるので、波浪の影響を直接受けにくく、比較的気象・海象の荒い海でも稼働が可能という特徴がありますが、最大水深150m程度までの比較的浅い沿岸海域での稼働が中心となります。当社グループのリグでは「SAGADRIL-1」(最大稼働水深約92m)、「SAGADRIL-2」(最大稼働水深約92m)、プレミアムクラスのリグ「HAKURYU-10」(最大稼働水深約115m)、「HAKURYU-11」(最大稼働水深約130m)及びリース方式により運用を開始した「HAKURYU-12」(最大稼働水深約122m)がこの型式に属します。
b.セミサブマーシブル型(セミサブ型)
セミサブ型は半潜水型ともいわれ、船体下部の浮力体上に複数の脚柱があり、その上に作業甲板を搭載した構造の掘削装置です。
移動時は喫水を浅くした状態で曳航されますが、掘削時には脚柱を半ばまで沈めた状態で作業し、波浪の影響を抑えます。さらに、リグの周囲に複数の錨を打ち、リグを係留します。最近では投錨の代わりにDPS(注)を使用した自動制御により船位を保持するタイプもあります。
ジャッキアップ型と比較して稼働水深が深く、また、構造上船体の揺れが少なく、安定性が高いことから、気象・海象の厳しい海域での稼働が可能であることがこの型式の特徴です。当社グループでは、「NAGA1(最大稼働水深約300m)」及び「HAKURYU-5(最大稼働水深約500m)」がこの型式に属します。
c.ドリルシップ型
ドリルシップ型は通常の船舶に掘削機器等を取り付けたタイプのリグで、掘削船(ドリルシップ)とも呼ばれます。掘削作業時は、かつてはセミサブ型と同様に複数の錨により船位を保持しましたが、現在は、DPSを使用した自動制御により船位を保持するシステムが主流となっております。探鉱開発活動が大水深海域に拡がるにつれて、船体の大型化が進み、セミサブ型並みに安定性が向上し、資機材の搭載能力も高くなり、1,500メートル以上の大水深海域での稼働が可能となっております。なお、ロケーション移動時には普通の船舶と同様にスクリュー推進により自航が可能であるなど機動性にも富んでおります。JAMSTEC所有の「ちきゅう(最大稼働水深2,500m)」がこの型式に属します。
(注)DPS(ダイナミック・ポジショニング・システム)
船又は浮遊式海洋掘削リグ(船型、半潜水型)を洋上の一定位置に保持するにあたり、船自体の持つ推進装置(スラスター)を自動的に制御することにより、アンカーなしで船を定位置に保持するシステムをいいます。

③ 掘削作業
海底下の地層は、中空のパイプ(ドリルパイプ、ドリルカラー)の先にビットと呼ばれる一種のキリを取り付け、それを回転させることによって掘り進められます。その際生成される掘り屑は、パイプを通して循環される流体により海上の掘削リグまで運ばれ、掘り屑除去装置により取り除かれます。用いられる流体は、掘削泥水と呼ばれる各種調泥剤を調合した流体で、掘削された穴(坑壁)を保護して崩れるのを防いだり、地層から流体が噴出するのを防いだりするなど様々な重要な役目があります。
掘削泥水を使っても坑壁を保護するには限度があるため、計画深度に応じてケーシングパイプと呼ばれる大径のパイプを坑井内に挿入し、その周囲をセメントで固めて地層の圧力を抑えるとともに、地層の崩れを防ぎます。さらに掘削を進め、先に挿入したケーシングパイプよりも小径のパイプを挿入し、さらに掘削を進める、という作業を繰り返しながら安全に穴を掘り進め、目的深度に到達します。安全装置としてBOP(Blow Out Preventer)と呼ばれる暴噴防止装置を設置し、地層からの流体の噴出を防ぎます。
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④ 当社グループが運用するリグの稼働海域
当社グループは、国内外の石油会社・石油開発会社を顧客とし、極東、東南アジア、インド洋、中東、アフリカ、地中海、メキシコ湾、オセアニア、南米など、世界の海域を舞台に、海洋掘削工事を実施してまいりました。
また、当社グループは事業戦略の一環として主要な石油・天然ガス生産国の現地企業と合弁会社を設立し、長期契約に基づいた安定的事業基盤の構築に努めております。
マレーシアでは同国上場企業である UMWグループの UMW Corporation Sdn. Bhd.との合弁によりUJD社を設立し、マレーシア海域を中心に操業しております。なお、UMW Corporation Sdn. Bhd.が保有するUJD社の株式が2013年8月30日付でUMW Oil & Gas Corporation Berhad(以下UMW Oil & Gas社)に譲渡されたことに伴い、合弁パートナーも同日付でUMW Oil & Gas社となりました。

2015年3月31日現在の当社グループが運用するリグの操業海域は下図のとおりであります。

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(2) 運用・管理受託
当社連結子会社であるMQJ社は、当社と日本郵船株式会社の共同出資により2008年9月10日に設立され、JAMSTECよりJAMSTECの所有する「ちきゅう」の運用・管理業務を受託しております。
世界最深レベルの掘削能力を有する「ちきゅう」は、国際的研究プロジェクトである国際深海科学掘削計画(注)のための主力船として我が国が建造し、提供している掘削船であり、地球深部の地層を掘削してそのサンプルを採取することにより、巨大地震発生のメカニズムや地球規模の環境変動、海底下生命圏、新しい海底資源の解明などを目指す科学掘削を実施しています。
MQJ社は、当社と日本郵船株式会社が有するそれぞれの知見、技術等を生かし、JAMSTECが計画する「ちきゅう」の科学掘削プログラムに従事しております。
MQJ社が受託する運用・管理業務は、掘削作業の実施、船舶の運航管理のみならず、掘削機器等の保守管理、サブコントラクターによるサービスの管理、資機材の調達、科学掘削支援基地の運営などを含めた広範囲なものとなっております。

(注)国際深海科学掘削計画 (International Ocean Discovery Program)
日米両国を中心に欧州及び中国が参加し、2003年10月からスタートした多国間国際協力プロジェクト、総合国際深海掘削計画(Integrated Ocean Drilling Program)は2013年9月で10年間の計画期間を満了し、10月から新たなフェーズとなる国際深海科学掘削計画(International Ocean Discovery Program)へと移行しております。新プログラムでは「ちきゅう」等の掘削船を用いて深海底を掘削することにより、気候・海洋変動、生命圏フロンティア、地球活動の関連性、変動する地球を4大テーマとして研究活動を行うことが目的とされております。

(3) その他
① 掘削技術事業
本事業では、海洋掘削技術・ノウハウを応用したエンジニアリングサービス、具体的には、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)、石油開発会社等に向けた「メタンハイドレート開発に関する受託研究及び技術提供」、「石油掘削技術に関する教育研修請負業務」及び「その他の業務」に係る事業を行っております。
a.メタンハイドレート開発に関する受託研究及び技術提供
メタンハイドレートは、メタン(天然ガスの主成分)と水分子が低温・高圧状態で結晶化した氷状の固体で、海底面下や凍土地帯に存在します。日本周辺にも大量に存在すると推測され、将来、我が国が自給可能なエネルギー資源の候補のひとつとして注目されております。
2001年に経済産業省(当時、通商産業省)から「我が国におけるメタンハイドレート開発計画」が公表されました。これに沿って2002年にメタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム(通称:MH21)が組織され、メタンハイドレート開発の研究が進められています。
同開発計画のフェーズ1(2001年度〜2008年度)において、当社は基礎試錐での実証実験、海洋産出試験準備、生産手法開発及び経済性評価の分野での開発研究を受託・実施いたしました。フェーズ2(2009年度~2015年度)においては、当社は2013年3月に実施された第1回海洋産出試験に関わる技術検討及び基本計画立案、メタンハイドレート開発システムの実現可能性及び最適化に関する技術検討等の開発研究を受託・実施するとともに、産出試験のコア技術となる坑内試験システムの設計・調達・運用・評価業務等を受託・実施し、世界で初めて海底下のメタンハイドレート層に減圧法を適用したガス生産の成功に貢献しました。2014年度には、「メタンハイドレート中長期海洋産出試験にむけての基本方針・基本計画検討に係る支援作業」を石油資源開発株式会社、当社及び国際石油開発帝石株式会社の3社で受託し、基本方針案策定の支援作業、試験基本計画の立案に必要な技術検討を実施、さらに追加業務として技術検証のための次回海洋産出試験に向けての技術検討を実施しました。
また、国が実施する砂層型メタンハイドレート開発に関する中長期の海洋産出試験計画への参画を目指して、2014年10月に新たに「日本メタンハイドレート調査株式会社」が設立されましたが、当社は、石油開発企業、エンジニアリング企業ほかと共に同社に出資参加しました。
b.石油掘削技術に関する教育研修請負業務
国内外の石油開発関連技術者の育成を目的とした各種講座において、石油掘削技術に関する教育研修業務(「海外技術者研修講座」、「ウェルコントロール講座」等)をJOGMECから受託し、実施しております。特に「海外技術者研修事業」では産油国からの研修生向けに「掘削マネージメントコース」をJOGMECの前身の石油公団からの受託を含め1992年から2014年まで15回開催し、我が国と産油国との関係強化に貢献しております。
c.その他の業務
坑井掘削・仕上げ計画立案、海洋掘削関連技術の調査・解析、大深度・大水深、氷海等の掘削技術及び海洋技術に係るエンジニアリング業務を推進しております。

② 水平孔掘削事業
a.本事業では、リードドリル工法(弧状推進工法)による石油・ガスパイプライン、電力ケーブル、通信ケーブル、上下水道等の管路掘削のための工事を行っております。
リードドリル工法とは、小~大口径(100~1,000mm)の孔を地表から地中に向けて水平方向に1,000~
2,000mの長距離にわたって計画された三次元曲線に沿って掘削する工法です。また地表の改変を伴わないことから、地球環境にやさしい工法であり、河川や海峡等を横断するパイプラインや、海底に敷設された通信・電力ケーブル等の陸揚げ管路掘削に応用することができます。
当社のリードドリル工法は、高精度位置測定システムを使用し、硬質岩~軟質岩中を高速度で掘進することができます。
b.エンジニアリング業務
リードドリル工法を用いた概念・詳細設計、工事計画立案、技術・経済性評価及び技術指導等に係るエンジニアリング業務を国内外で展開しております。


河川横断海峡横断
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山岳貫通汀線アプローチ
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沿革関係会社の状況


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