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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100DZXB

有価証券報告書抜粋 株式会社レノバ 事業の内容 (2018年5月期)


沿革メニュー関係会社の状況


当社グループは「グリーンかつ自立可能なエネルギー・システムを構築し枢要な社会的課題を解決する」という経営理念のもと、再生可能エネルギー発電所を開発し、所有・運営しています。再生可能エネルギーとは、エネルギー源として永続的に利用可能な太陽光、バイオマス、風力、地熱及び水力等の総称です。当社グループは、大規模太陽光発電、バイオマス発電、洋上・陸上風力発電、地熱発電等のマルチ電源の発電事業を開発し運営することを事業の目的としています。
当社グループは、(Ⅰ)長期に亘る再生可能エネルギー発電所の所有と当該発電所による売電(「再生可能エネルギー発電事業」)及び(Ⅱ)新たな発電所の開発と運転開始済み発電所の運営管理(「再生可能エネルギー開発・運営事業」)を主な事業として取り組んでいます。当社グループは、当社に加え、運転開始済みの発電事業を運営する連結子会社8社を中心に構成されています。
なお、当社グループの連結財務諸表の注記事項に掲げるセグメント情報においては、「再生可能エネルギー発電事業」、「再生可能エネルギー開発・運営事業」及び「プラスチックリサイクル事業」の3つの報告セグメントに区分されていました。当社グループは、今後市場成長が期待され、かつ社会的意義の大きい再生可能エネルギー分野へ経営資源を集中させるべく、2017年5月期第1四半期に、「プラスチックリサイクル事業」を担う当社連結子会社の全株式の譲渡を実施しました。本書提出日現在において当社グループは「プラスチックリサイクル事業」を行っていません。
また、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。

(1) 概要

(再生可能エネルギー業界の概観)

再生可能エネルギーの導入は世界的なエネルギー政策の潮流です。2015年末にCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)において2020年以降の温暖化対策の国際枠組みについて合意(パリ協定)が得られ、脱炭素化に向けたグローバルでの取り組みが加速し、化石燃料から再生可能エネルギーへのエネルギーシフトが加速しています。
この潮流を受け、世界各国は再生可能エネルギーの導入に係る取り組みを推進しており、世界の再生可能エネルギー発電設備の新規導入容量は2017年に過去最多の約178GWを記録しました(出典:Renewable Energy Policy Network for the 21st Century(本部:パリ)「The Renewables 2018 Global Status Report」)。
このような世界的なエネルギー政策の潮流並びに2011年の東日本大震災及び福島第一原子力発電所における事故を経て、日本政府は国内における再生可能エネルギーの導入拡大を目的とし、2012年より固定価格買取制度(FIT)(*1)を導入しています。
再生可能エネルギーは、資源の乏しい我が国のエネルギー自給率向上に資するとともに、温室効果ガスを排出しないことから温暖化対策に寄与するエネルギー源として注目されています。しかしながら、我が国における総発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合は、2015年において16%(水力を除くと8%)と欧州主要国に比して遅れているのが現状です。


(主要国の発電電力量と発電電力量に占める各電源の割合(2015年))

出典:経済産業省・資源エネルギー庁「2017年度エネルギーに関する年次報告」(IEA「World Energy Balances 2017 Edition」を基に作成)より当社作成

(*1)固定価格買取制度(FIT):
「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(FIT法)に基づき、電気事業者(電気事業法上に定義された、小売電気事業者、一般送配電事業者及び登録特定送配電事業者の総称)が再生可能エネルギーで発電された電力を固定価格で買い取る制度です。太陽光、バイオマス、風力、地熱及び水力等により発電された電力が当該制度に基づいて電気事業者に販売され、その販売単価は年度毎に経済産業省・資源エネルギー庁の調達価格等算定委員会において定められます。電気事業者との受給契約(売電契約)・系統連系契約(電力系統への接続契約)が締結された場合、一定期間(10kW以上太陽光・バイオマス・風力・水力:20年間、地熱:15年間)に亘り設備認定(2017年4月以降は事業計画認定(事業認定))手続き等に基づき適用される固定価格での電力売買が行われます。
また、2015年1月に、太陽光発電所や風力発電所等の自然変動電源による発電量が大幅に増加した場合でも電力需給バランスを保ち、電力供給の安定化を図ることを目的とし、出力抑制ルールを拡充する制度改定が行われています。出力抑制ルールに基づき、旧一般電気事業者(東京電力・北海道電力・東北電力・北陸電力・中部電力・関西電力・中国電力・四国電力・九州電力・沖縄電力の総称)は、一定条件のもとで再生可能エネルギーを電源とする発電所による系統への送電電力の数量や質に制限を加えることができます。

なお、日本政府は2018年7月に「第5次エネルギー基本計画」を閣議決定し、総発電電力量に占める再生可能エネルギーの比率を2030年度までに22%~24%程度に高めることを目標として掲げています。このため、今後再生可能エネルギー発電市場の更なる拡大が期待されています。なお、国内再生可能エネルギー発電市場の成長性は次のように見込まれています。

(国内再生可能エネルギー発電導入量及び政府目標(GW))
太陽光バイオマス風力地熱
2016年12月末37.63.13.20.5
2030年度政府目標64.06.0~7.310.01.4~1.6
成長倍率約1.7倍約1.9~2.4倍約3.1倍約2.8~3.2倍

出典:経済産業省・資源エネルギー庁「再生可能エネルギーの大量導入時代における政策課題について」



また、FIT法に基づく再生可能エネルギーの買取価格及び買取期間は、下記表のとおりです。FIT法は、再生可能エネルギーの導入と発電コストの持続的な低減を促し、長期的な目線で再生可能エネルギーを自立した電源とすることを企図した制度です。そのため、固定価格での買取単価は、各再生可能エネルギー電源の導入量又は導入見通し等に鑑み、年度毎に経済産業省・資源エネルギー庁の調達価格等算定委員会において見直しが行われます。

(買取価格及び買取期間の抜粋)
再生可能エネルギー
発電設備の区分等
参入時期別の買取価格(1kWh当たり)(税別)買取
期間
電源種類・規模2017年度2018年度2019年度2020年度
太陽光2,000kW以上入札制20年間
バイオマス間伐材等由来
2,000kW以上
32円20年間
一般木質等
10,000kW以上
20,000kW以上は
21円(2017年9月末まで24円)
入札制に移行20年間
風力陸上
20kW以上
21円(2017年9月末まで22円)20円19円18円20年間
洋上
(着床式)
36円(一般海域の利用ルール整備に合わせて、
ルールの適用される事業は入札制に移行)
20年間
洋上
(浮体式)
36円20年間
地熱15,000kW以上26円15年間
15,000kW未満40円15年間

出典:経済産業省・資源エネルギー庁ウェブサイト
(注) 1 kW(キロ・ワット)、MW(メガ・ワット)は電力の大きさを示す単位で、MWは千kW(キロ・ワット)又は百万W(ワット)と同じ大きさを意味します。kWh(キロ・ワット・アワー)は電力量を示す単位で、GWh(ギガ・ワット・アワー)は千MWh(メガ・ワット・アワー)、百万kWh(キロ・ワット・アワー)又は十億Wh(ワット・アワー)と同じ量を意味します。
2 買取価格は、各年度の期間内にFIT法に基づく要件を満たした再生可能エネルギー発電所の買取期間に亘り適用される、固定の電力買取価格(消費税抜表示)を示しています。
3 表示年度は各年4月から翌年3月までの期間を意味しています。
4 バイオマスの買取価格設定区分は下記のとおりです。
間伐材等由来:国内発生の未利用間伐・主伐材
一般木質等 :製材端材、輸入材、パーム椰子殻、もみ殻、稲わら等


(再生可能エネルギー発電業界における主な事業者群及び当社グループの事業領域)
当社グループが事業を展開する再生可能エネルギー発電業界は、①各種メーカーによる発電設備(太陽光パネル、タービン、ボイラー等)の製造、②開発事業者、AM事業者(*2)及びEPC事業者(*3)や施工事業者による発電所の建設、③運転開始済み発電所による発電及び電力卸売、並びにAM事業者やO&M事業者(*4)による当該発電所の運営・管理・保守、そして④小売電気事業者又は一般送配電事業者(*5)等による電力小売の各事業に大別されます。
上記①及び②における事業者は発電所の建設工事に際して一般的に一括して収益を享受します。一方、③及び④における事業者は発電所の長期に亘る発電及び売電に関与するため、一般的に複数年に亘り安定的に収益を享受します。
当社グループが手掛ける事業は(Ⅰ)長期に亘る発電所の所有と当該発電所による売電(「再生可能エネルギー発電事業」)及び(Ⅱ)新たな発電所の開発と運転開始済み発電所の運営管理(「再生可能エネルギー開発・運営事業」)であり、上記バリューチェーンにおいて下記の図のとおり位置づけられます。
(*2)AM事業者:
発電所の建設や運営においてアセットマネジメント(管理業務)を請け負う事業者のことを指しています。
(*3)EPC事業者:
発電所建設において、Engineering(設計)、Procurement(調達)及びConstruction(建設)を含む一連の工程を請け負う事業者のことを指しています。
(*4)O&M事業者:
発電所の運営において、Operation(運転)及びMaintenance(維持)を請け負う事業者のことを指しています。
(*5)小売電気事業者又は一般送配電事業者:
電気事業法第2条17項における小売電気事業者又は一般送配電事業者を指します。本書では主として電力需要家又は卸売事業者に対して電力販売を行う事業者全般を意味しています。

(当社グループの事業領域)



(2) 再生可能エネルギー発電事業

「再生可能エネルギー発電事業」は、当社の連結子会社及び関連会社が所有する再生可能エネルギー発電所が発電した電力を、FITに則り小売電気事業者又は一般送配電事業者に販売する事業です。当社グループは「再生可能エネルギー開発・運営事業」において開発した発電所を連結子会社又は関連会社として長期に亘り所有し、当該発電所の売電収入を「再生可能エネルギー発電事業」の収益として計上しています。FIT法に基づき所定の買取期間に亘り売電価格が保証されるため、「再生可能エネルギー発電事業」は長期的に安定した収益が見込まれます。
現在、当社グループは、大規模太陽光発電に関しては連結子会社7社において、バイオマス発電に関しては連結子会社1社において発電・売電を行っています。現在運転中の発電所の概要は以下のとおりです。

(運転中の大規模太陽光発電所一覧)(2018年5月31日時点)
出資先名称事業者住所議決権の所有(被所有)割合又は出資割合
(連結区分)
出力
(MW)
買取価格
(1kWh
当たり)
発電開始
時期
売電契約先
株式会社
水郷潮来
ソーラー
同左茨城県
潮来市
68.0%
(連結)
15.340円2014年
2月
(運転中)
東京電力エナジーパートナー株式会社
ミツウロコグリーンエネルギー株式会社
株式会社
富津ソーラー
同左千葉県
富津市
51.0%
(連結)
40.440円2014年
7月
(運転中)
東京電力エナジーパートナー株式会社
ミツウロコグリーンエネルギー株式会社
株式会社
菊川石山
ソーラー
同左静岡県
菊川市
63.0%
(連結)
9.440円2015年
2月
(運転中)
中部電力株式会社
ミツウロコグリーンエネルギー株式会社
株式会社
菊川堀之内谷
ソーラー
同左静岡県
菊川市
61.0%
(連結)
7.540円2015年
2月
(運転中)
中部電力株式会社
ミツウロコグリーンエネルギー株式会社
九重ソーラー
匿名組合事業
合同会社
九重
ソーラー
大分県
玖珠郡
九重町
100.0%
(連結)
25.440円2015年
5月
(運転中)
九州電力株式会社
ミツウロコグリーンエネルギー株式会社
那須塩原
ソーラー
匿名組合事業
合同会社
那須塩原
ソーラー
栃木県
那須塩原市
100.0%
(連結)
26.240円2015年
9月
(運転中)
東京電力エナジーパートナー株式会社
ミツウロコグリーンエネルギー株式会社
大津ソーラー
匿名組合事業
合同会社
大津
ソーラー
熊本県
菊池郡
大津町
100.0%
(連結)
19.036円2016年
4月
(運転中)
九州電力株式会社
ミツウロコグリーンエネルギー株式会社

(注) 1 出力はモジュールベース(太陽電池モジュール最大出力の和)の設備容量表記です。
2 買取価格は、売電先との実際の契約価格ではなく、各発電設備に対してFIT法に基づき適用される買取価格(消費税抜表示)を示しています。

(運転中のバイオマス発電所一覧)(2018年5月31日時点)
出資先名称事業者住所議決権の所有(被所有)割合又は出資割合
(連結区分)
出力
(MW)
買取価格
(1kWh当たり)
発電開始
時期
売電契約先
ユナイテッド
リニューアブル
エナジー
株式会社
同左秋田県
秋田市
69.2%
(連結)
20.5間伐材等由来の
木質バイオマス32円
及び一般木質等
バイオマス24円
2016年
5月
(運転中)
東北電力株式会社
ミツウロコグリーンエネルギー株式会社

(注) 1 出力は発電端出力ベースの設備容量表記です。
2 買取価格は、売電先との実際の契約価格ではなく、各発電設備に対してFIT法に基づき適用される買取価格(消費税抜表示)を示しています。
3 第1四半期連結会計期間において、ユナイテッドリニューアブルエナジー株式会社(URE)の持株会社である千秋ホールディングス株式会社(千秋HD)を新たに設立し、連結子会社としています。これに伴い、第1四半期連結会計期間において、UREに対する議決権比率が増加し、当社グループが同社の議決権の過半数を保有することとなったため、同社を持分法適用関連会社から連結子会社としています。なお、当社の千秋HDに対する持株比率(51%)に千秋HDのUREに対する持株比率(69.2%)を乗じて計算される、当社のUREに対する実質持株比率は35.3%です。


(3) 再生可能エネルギー開発・運営事業

「再生可能エネルギー開発・運営事業」は、再生可能エネルギー発電所のデベロッパーとして、新しい発電所の企画・開発及び建設管理を行い、その後の運営・管理も行う事業です。各再生可能エネルギー発電所は前述の「再生可能エネルギー発電事業」を行う当社の連結子会社又は関連会社により所有され、「再生可能エネルギー開発・運営事業」を行う当社及び当社の連結子会社により開発・運営・管理されています。
当社グループの一般的な事業開発・運営スキームは以下の例示のとおりです。当社はプロジェクトを遂行するSPC(*6)を設立し、資金的な制約の中で複数のプロジェクトへの投資を実現させるため、共同事業者による出資を募ります。当該SPCは事業者として自治体許認可の取得、地権者と土地賃借・売買契約の締結、金融機関からの資金調達及びEPC事業者との工事契約締結等を行い、再生可能エネルギー発電所を建設します。再生可能エネルギー発電所の運転開始後、SPCは発電した電気を小売電気事業者又は一般送配電事業者に売電し、売電から得たキャッシュ・フローを原資として金融機関からの借入を返済し、余剰キャッシュを当社及び共同事業者に分配します。また、SPCの設立当初は、資金的な制約により当社からSPCへの出資持分比率を原則として持分法適用水準とし、SPCが再生可能エネルギー発電所の運転開始後の売電による安定したキャッシュ・フローを計上できる段階から、順次出資持分比率を高め、SPCを連結子会社化する方針を有しています。発電所の保守・運営業務に関して、大規模太陽光発電の場合はO&M事業者が行い、また、バイオマス発電の場合はSPC又はO&M事業者が行います。SPCの運営管理業務に関しては当社グループのAM事業者が行います。

(事業開発・運営スキームの例示)


(*6)SPC:
特別目的会社(Special Purpose Company)のことを指しています。当社グループでは基本的に発電所毎に共同事業者が異なること、またプロジェクトファイナンスを行う上でリスク分散を図ることを理由として、発電所を立ち上げる毎にSPCを設立し、当該SPCに発電所を所有させています。なお、当社グループにおいてはSPCを株式会社として設立して株式による出資を行う場合に加え、SPCを会社法上の合同会社(GK)として設立して商法上の匿名組合(TK)として営業者に出資を行う場合(TK-GKスキーム)があります。TK-GKスキームの主な特徴としては匿名組合員が有限責任であること及び営業者であるSPCの段階で法人税課税が発生せず、匿名組合員に直接課税されることが挙げられます。


「再生可能エネルギー開発・運営事業」は、当社が主導又は参画して開発する再生可能エネルギー発電所の開発成功時に発電所を所有するSPCから支払われる報酬(事業開発報酬(*7))、発電所の建設・運営管理に係る報酬(運営管理報酬(*8))及び配当・匿名組合分配益(*9)を収益として計上しています。年間の事業開発報酬の総額は新規発電所の開発状況により変化し、年によっては「再生可能エネルギー開発・運営事業」における他の収益に比べて多額となることがあります。そのため「再生可能エネルギー開発・運営事業」の業績は、「再生可能エネルギー発電事業」と異なり大きく変動する傾向にあります。

(*7)事業開発報酬:
再生可能エネルギー発電所に係る土地確保、主要な融資関連契約の締結及び主要なプロジェクト関連契約の締結等をもって開発支援に係る役務の提供を完了とみなし、役務提供の完了をもって概ね開発規模に応じて支払われる報酬です。なお、子会社や関連会社に対する当社の持分に相当する事業開発報酬については、連結決算上は連結グループ内取引として連結消去されています。
(*8)運営管理報酬:
発電所建設の工程管理、決算及び金融機関へのレポーティング等に代表される業務に対して、発電所の建設期間及び売電期間に亘り支払われる報酬です。なお、子会社や関連会社に対する当社の持分に相当する運営管理報酬については、連結決算上は連結グループ内取引として連結消去されています。
(*9)配当・匿名組合分配益:
「再生可能エネルギー発電事業」に属するSPCが株式会社として運営されている場合は、当該SPCから当社へ支払われた配当金については当社単体の営業外収益に計上され、これはセグメント間取引として「再生可能エネルギー開発・運営事業」のセグメント利益に反映されます。
また、「再生可能エネルギー発電事業」に属するSPCが匿名組合として運営されている場合は、当該SPCで計上された利益のうちの当社出資割合分相当額についてその発生年度に匿名組合分配益として当社単体の売上高に計上し、一方損失が発生した場合は、その損失のうちの当社出資割合分相当額を匿名組合分配損として当社単体の販売費及び一般管理費へ計上しています。これらもセグメント間取引として「再生可能エネルギー開発・運営事業」のセグメント利益に反映されます。
なお、これらセグメント利益に反映された株式会社SPCからの配当金及び匿名組合SPCからの分配損益については、連結決算上は連結グループ内取引として連結消去されます。

(当社グループのセグメント間取引の例示)


(事業開発から運転開始までの流れの概要と当社の役割)
再生可能エネルギー発電所の事業開発から運転までの流れは、新たな発電事業候補の「開拓」、土地確保・発電所の設計・許認可取得等の「開発」、出資・融資両面での「資金調達」、発電所の「工事」及び「運転・所有」に大別されます。当社グループは、この再生可能エネルギー発電所開発の一連のプロセスにおいて「開拓」から「工事」までにおける事業設計、協力業者や資金調達元の選定・交渉やプロセス全般の指揮・監督といった上流領域を内製化しています。次の図は再生可能エネルギー発電所の事業開発における一般的なプロセスを図示しています。

(再生可能エネルギー発電所の事業開発における一般的なプロセス)

(注) 上記は開発プロセスの例示であり、事業によって異なります。また、事業によっては「②開発」における一部のプロセスが「③資金調達」における融資実行の前提条件となる場合もあります。

「開拓」段階において、当社は事業候補の事業性評価を行い、有望事業を選別します。主な評価事項は地権者・地域関係者から同意取得の蓋然性、許認可取得の蓋然性、当社の開発基準に見合った収益性の確保、事業リスクの評価及び資金調達の蓋然性等です。当社は創業以来取り組んできた1,000件以上に及ぶ環境・エネルギー分野における調査・コンサルティングの実績や、当社既存発電所が存在する地域の関係者も含めた環境関連の人的・情報ネットワーク、金融機関との関係等を活用して新規事業開拓に取り組んでいます。
一定の事業性が認められた事業については、「開発」段階に進み、より詳細な検証を行うと同時に地権者協議、設計・電力会社協議、燃料の確保及び許認可取得を進めていきます。なお、風力及び地熱事業においては当該検証と同時に資源量調査を行います。風力事業においては、風況ポールを設置して一定期間に亘る風の状況を分析することにより事業性を評価します。地熱事業においては、地表調査及び掘削調査により資源量を推計して事業性を評価します。また、当該検証において事業性がより高まったと判断し、かつ法令や条例により環境アセスメントの実施が定められる場合には、環境アセスメント(*10)を本格的に実施して開発を推進します。
当社は再生可能エネルギー発電所の立ち上げ・運営に必要な知見・技術・プロジェクトマネジメントのノウハウを有する専門人材を擁しています。また、大手企業グループの系列に属さない独立系の事業者として、事業毎に多様な事業パートナーと連携して事業開発を推進しています。再生可能エネルギー事業は、発電所の立地する地域の自然環境資源を活用して行うものであり、地域社会に対する配慮及び地域環境への最大限の配慮の上で開発していくものです。法令や条例で定められた許認可や環境アセスメントの実施のみならず、地域社会との対話や貢献、地域環境への配慮を重視しながら開発を進めていくことも、当該業務における当社事業開発の特徴の一つです。
「開発」が終盤に差し掛かった時点で、共同出資者を募り、プロジェクトファイナンスを組成する「資金調達」を実施します。当社は、再生可能エネルギー発電所のプロジェクトファイナンスにおいて、ハイレバレッジのファイナンス組成を実現しており、再生可能エネルギー事業において2018年7月末時点までに累計約1,700億円のプロジェクトファイナンス組成実績(連結子会社及び持分法適用会社における約定ベース)があります。なお、前述の事業開発報酬は本段階における主要な融資関連契約及びプロジェクト関連契約の締結に伴い発生します。
「資金調達」後は「工事」、「運転・所有」段階に進みます。当社は発電所の工事自体に関してはEPC事業者に委託し、大規模の事業を多数立ち上げて運営しているノウハウを活かして発電所建設の指揮・監督を行います。なお、前述の運営管理報酬は本段階以降、継続的に発生します。また、当社は運転開始後、長期に亘り発電所を所有・運営する方針です。当社グループは長期に亘る事業と地域へのコミットメントを示して各ステークホルダーからの信頼を醸成し、次なる事業開拓に繋げていきます。

(*10)環境アセスメント:
1997年6月に制定された環境影響評価法(環境アセスメント法)は、道路、ダム、鉄道、空港、発電所等13種類の事業において環境アセスメントの手続きを行うことを定めています。また、各地方自治体が規定する環境影響評価条例(環境アセスメント条例)においては、各地域に適した環境アセスメント対象事業が別途定められています。環境アセスメント法や環境アセスメント条例の対象事業となる場合、事業者は環境アセスメントを行うことが義務付けられています。
環境アセスメントにおいては、「環境の自然的構成要素の良好な状態の保持」(大気環境、水環境及び土壌環境・その他の環境)、「生物の多様性の確保及び自然環境の体系的保全」(植物、動物及び生態系)、「人と自然との豊かな触れ合い」(景観及び触れ合い活動の場)、「環境への負荷」(廃棄物及び温室効果ガス等)の中から対象事業の性質に応じて適切な環境要素が選定され、事業者自らが調査・予測・評価を行っていきます。

(開発中の事業)
当社グループの開発中の事業に係る進捗評価基準は次のとおりです。事業の進捗度合いに応じて、①ファイナンス関連契約及びプロジェクト関連契約が締結され発電所工事に着手済みの「建設中事業」、②開発が一定程度進捗している「推進中事業」、③資源量の賦存ポテンシャルが一定程度評価されており、かつ環境アセスメントや許認可取得手続き、設備設計等、事業化に必要な主要な事項が明確化され、対応に着手済みである「アセス中事業」、④当社の経営会議にて一定の事業性が確認され、経営資源を投下の上での事業開発の推進が認められた「先行投資事業」と分類しています。事業開発が成功し各発電所の運転開始に至る確率は、①建設中事業が最も高く、②推進中事業は今後の開発進捗に伴い計画が変更又は中止となる可能性もあり、③アセス中事業及び④先行投資事業は今後の調査検討に伴い中止となる可能性が相応にあります。
なお、開発中の事業は当社が主導して開発を実施し、SPCに対する出資持分についても当社が筆頭の出資者となる「当社主導」事業と、パートナー企業と共同で事業を開発する「共同推進」事業に分類しています。
①建設中事業②推進中事業③アセス中事業④先行投資事業
太陽光・ローン契約
締結済み
・工事着手
済み
・主要な地権者・地域
及びその他関係者の
同意取得済み
・環境アセスメント実施
(必要のある場合)
・事業認定取得済み・資源量の一定のポテンシャルを評価済み
・環境アセスメント、許認可取得手続き、設備設計等、事業化に必要な主要な事項に着手済み
・事業性に関する
一定の社内確認
済み
・開発に必要な先行投資を開始済み
バイオマス・燃料調達等の実現可能性確認済み
風力・風況観測による
資源量確認済み
地熱・地表調査及び掘削調査による資源量確認済み


(開発中の事業一覧 ①建設中事業)(2018年5月31日時点)
出資先名称事業者住所議決権の所有(被所有)割合又は出資割合
(連結区分)
出力
(MW)
買取価格
(1kWh
当たり)
建設着手時期売電契約先
軽米西
ソーラー
匿名組合事業
合同会社
軽米西
ソーラー
岩手県
九戸郡
軽米町
38.0%
(持分法)
48.036円2016年3月
(建設中)
東北電力株式会社
軽米東
ソーラー
匿名組合事業
合同会社
軽米東
ソーラー
岩手県
九戸郡
軽米町
38.5%
(持分法)
80.836円2016年12月
(建設中)
東北電力株式会社
四日市ソーラー匿名組合事業合同会社四日市ソーラー三重県四日市市38.0%
(持分法)
21.636円2017年9月
(建設中)
中部電力株式会社
那須烏山ソーラー匿名組合事業合同会社那須烏山ソーラー栃木県那須烏山市38.0%
(持分法)
19.236円2018年1月
(建設中)
東京電力エナジーパートナー株式会社
軽米尊坊ソーラー匿名組合事業合同会社軽米尊坊ソーラー岩手県九戸郡軽米町46.0%
(持分法)
40.836円2018年4月
(建設中)
東北電力株式会社

(注) 1 いずれも電源種類は太陽光であり、出力はモジュールベース(太陽電池モジュール最大出力の和)の設備容量表記です。
2 買取価格は、売電先との実際の契約価格ではなく、各発電設備に対してFIT法に基づき適用される買取価格(消費税抜表示)を示しています。
3 当社は軽米西ソーラー匿名組合事業に関して、他の出資者(共同スポンサー)と出資を行っています。当社は2018年5月31日現在において、「合同会社軽米西ソーラーに係る匿名組合出資持分等の譲渡に関する覚書」に基づき発電所竣工後、段階的に共同スポンサーの匿名組合出資持分(62.0%)を買い増す権利を有しています。また、全ての権利を行使するには、当発電所の竣工から2年間の期間を必要とします。なお、当発電所の竣工は2019年7月を予定していますが、工事の進捗により前後する可能性があります。
4 当社は軽米東ソーラー匿名組合事業に関して、他の出資者(共同スポンサー)と出資を行っています。当社は2018年5月31日現在において、「合同会社軽米東ソーラーに係る匿名組合出資持分等の譲渡に関する覚書」に基づき発電所竣工後、段階的に共同スポンサーの匿名組合出資持分(61.5%)を買い増す権利を有しています。また、全ての権利を行使するには、竣工から1年間の期間を必要とします。なお、当発電所の竣工は2019年12月を予定していますが、工事の進捗により前後する可能性があります。
5 当社は四日市ソーラー匿名組合事業に関して、他の出資者(共同スポンサー)と出資を行っています。当社は2018年5月31日現在において、「合同会社四日市ソーラーに係る匿名組合出資持分等の譲渡に関する覚書」に基づき発電所竣工後、段階的に共同スポンサーの匿名組合出資持分(62.0%)を買い増す権利を有しています。また、全ての権利を行使するには、当発電所の竣工から1年間の期間を必要とします。なお、当発電所の竣工は2019年3月を予定していますが、工事の進捗により前後する可能性があります。
6 当社は那須烏山ソーラー匿名組合事業に関して、他の出資者(共同スポンサー)と出資を行っています。当社は2018年5月31日現在において、「合同会社那須烏山ソーラーに係る匿名組合出資持分等の譲渡に関する覚書」に基づき発電所竣工後、段階的に共同スポンサーの匿名組合出資持分(62.0%)を買い増す権利を有しています。また、全ての権利を行使するには、当発電所の竣工から1年間の期間を必要とします。なお、当発電所の竣工は2019年5月を予定していますが、工事の進捗により前後する可能性があります。
7 当社は軽米尊坊ソーラー匿名組合事業に関して、他の出資者(共同スポンサー)と出資を行っています。当社は2018年5月31日現在において、「合同会社軽米尊坊ソーラーに係る匿名組合出資持分等の譲渡に関する覚書」に基づき発電所竣工後、共同スポンサーの匿名組合出資持分(9.0%)を買い増す権利を有しています。なお、当発電所の竣工は2021年10月を予定していますが、工事の進捗により前後する可能性があります。
8 上記5事業はいずれも「当社主導」事業です。


(開発中の事業一覧 ②推進中事業)(2018年5月31日時点)
地域(電源)出力(MW)
(予定)
買取価格
(1kWh当たり)
環境
アセスメント
事業形態
(当社主導/共同推進)
福岡県京都郡苅田町
(バイオマス)
75程度一般木質等
バイオマス24円
及び間伐材等
由来の木質
バイオマス32円
必要なし共同推進
徳島県徳島市
(バイオマス)
75程度一般木質等
バイオマス24円
及び間伐材等
由来の木質
バイオマス32円
必要なし当社主導

(注) 1 バイオマスの出力は発電端出力ベースの設備容量表記です。なお、出力規模は今後の詳細設計に伴い変動する可能性があります。
2 買取価格は、売電先との実際の契約価格ではなく、各発電設備に対してFIT法に基づき適用される買取価格(消費税抜表示)を示しています。
3 福岡県京都郡苅田町におけるバイオマス発電事業については、2018年6月に主要な融資関連契約等を締結し、着工しています。当該事業における、当社の議決権所有割合は43.1%、売電契約先は九州電力です。なお、当該事業の株主間契約において、当社は共同スポンサーから株式を買い増す権利を有していません。そのため、当社は株主間契約に則った持分の買い増しを行うことはできません。

(開発中の事業 ③アセス中事業及び④先行投資事業)(2018年5月31日時点)
当社は大規模太陽光発電、バイオマス発電、洋上・陸上風力発電及び地熱発電の電源毎に専属チームを立ち上げ、電源毎に複数事業の事業開発を日本全国で進めています。これらの事業開発には当社が主導で開発を進めている事業に加え、事業パートナーと共同で推進している事業もあります。
大規模太陽光発電に関しては、事業認定取得済みの事業の開発を進めています。
バイオマス発電に関しては、現在、環境アセスメントの実施が必要な、複数の事業の開発を推進しています。
洋上・陸上風力発電に関しては、複数の事業を開発中です。風況ポールを設置した風速の測定、地盤調査、環境アセスメント等を行っています。
地熱発電に関しては、複数の事業の開発を推進しています。一部の事業につきましては、JOGMEC(独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構)による助成金を取得しての資源量調査を行なっています。


本章にて述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりです。

(事業の主な系統図)



(注) 2018年5月31日現在において事業を営んでいない関係会社(軽米西ソーラー匿名組合事業、軽米東ソーラー匿名組合事業、四日市ソーラー匿名組合事業、那須烏山ソーラー匿名組合事業、軽米尊坊ソーラー匿名組合事業及び千秋ホールディングス株式会社等)は、上記事業系統図には記載していません。

沿革関係会社の状況


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