有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1004W9Y
株式会社資生堂 研究開発活動 (2015年3月期)
事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社グループは、さまざまな技術の融合により、世界中のお客さまの「美と健康」を実現する画期的な商品、サービスの実現をめざしています。横浜市のリサーチセンターをはじめ、東京都港区のビューティークリエーション研究センター、米州(米国)、欧州(フランス)、中国、東南アジア(タイ)の各拠点において、研究開発活動を推進しています。また、新たに毛髪再生医療の事業化に向けた研究開発に取り組む資生堂細胞加工培養センターを神戸市に開設しました。これら各拠点での研究内容は高く評価されており、化粧品科学技術の最も権威ある研究発表会 IFSCC(国際化粧品技術者会連盟)では、IFSCC Conference 2013に引き続き、2014年10月フランス パリにて開催のIFSCC Congress 2014にて、顔の形が加齢とともに大きく変化する悩みに対し、加齢とともに肌の弾力が衰え、顔の形状を支えられなくなることが大きな原因となっていることの解明に対し、通算23回目の賞を受けました。これは世界の化粧品メーカーの中で最多受賞回数となります。加えて、市場拡大が著しい中国で開催された、第10回中国化粧品学術研討会におきましても、1等賞を受賞しました。これは通算5回目となります。
このように世界中のお客さまに向けた安心・安全、高品質な商品の創出に向けた技術の積み重ねは、世界の化粧品業界をリードしています。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は14,226百万円(売上高比1.8%)であり、各事業別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は、以下のとおりです。なお、基礎研究などの各事業に直接配賦できない費用4,422百万円が含まれます。
(1) 国内化粧品事業
お客さまに、より美しい肌と美しい生活を実現していただくために、基礎的な皮膚科学・界面科学の研究から化粧品原料素材の開発、製品の開発・評価、美容法の開発、さらにはお客さまが言葉に表しにくいような感覚や気持ちの領域など、幅広い研究開発を行っています。スキンケアでは、最新のコラーゲン研究の結果と、シワやたるみを立体的に計測する手法、年代ごとの肌計測、年齢による皮膚内のコラーゲン線維状態(IFSCC最優秀賞技術の進化)やうるおい状態の可視化手法や3Dデータを用いた毛穴解析など高度な観察技術による知見を集約し、ブランド生誕30年を迎え刷新した「エリクシール」に採用しました。
メーキャップでは、肌に負担感がなく、軽く空気感のある素肌のような質感に注目しました。美容液水と当社で最も軽い無重力級のパウダーを空気と混ぜ合わせた軽いムースをゆっくりプレス・乾燥させる製法を実現しました。この技術は美容液成分をたっぷり含んだ軽いパウダーを軽い力でスポンジにとることができ、ふわっと溶け込むように肌にフィットするパウダリーファンデーションとして「マキアージュ」に採用しました。
シャンプー・コンディショナーでは、「地肌のやわらかさは、美しい髪の大きなカギを握っている」ことに着目し、お客さまの「髪と地肌のやわらかさ」を求める意識に寄り添うべく、「椿麹つけこみ美容」という新しいコンセプトを「TSUBAKI」に採用しました。
ヘルスケア事業では、美と健康をつなぐ食品を中心とした研究開発を進めており、コラーゲン研究の成果を「ザ・コラーゲン」に応用しました。
当事業に関わる研究開発費は6,503百万円です。
(2) グローバル事業
「ハイ・クオリティ」を追求する海外化粧品に対応するために、当社独自の高度なサイエンスと最先端テクノロジーに立脚した製品の開発を推進しています。スキンケアでは、肌への刺激や肌内部に侵入した異物や肌内部で発生した肌トラブルを引き起こす因子により、健やかな肌状態が損なわれることを解明しました。現代の女性の肌は紫外線や乾燥、ストレスなど様々なダメージにさらされており、これをはねかえすことで肌本来の美しさを取り戻せるという考えのもと、研究を進めました。前述の研究を含め、20年間の肌と免疫の研究を続けた結果をもとに見い出した知見を「アルティミューン」に採用し、世界中のお客さまにお届けしました。また、中国女性1,500名以上の肌調査を行い、老化関連酵素ゼラチナーゼの量が、紫外線ケア商品の使用頻度や日照時間の地域差に関連することを解明しました。この研究は資生堂(中国)研究開発中心有限公司(資生堂中国リサーチセンター)が中心となり進めた成果であり、中国専用ブランドの「オプレ」に応用しました。
サンケアでは、肌に塗ることで、水や汗に含まれるミネラルによって水をはじく撥水性を高めるとともに、日やけ止め剤表面の細かい凹凸が均一かつ滑らかになり、塗布膜を強化する技術を開発しました。これはこれまでの常識を覆す革新的な日やけ止めの新技術「ウェットフォース」として「資生堂パーフェクトUVプロテクション」に採用しました。
プロフェッショナル事業では、デバイス(温熱、音波振動、赤色LEDの3つの機能)により基剤をすみずみまで浸透させる技術を「アデノバイタル」に採用し、サロン専用メニューとして、抜け毛・薄毛でお悩みのお客さまに提供しました。
当事業に関わる研究開発費は3,254百万円です。
(3) その他
フロンティアサイエンス事業では、医療用医薬品、化粧品・医薬品原料、クロマトグラフィー、美容皮膚医療などの研究開発を進めています。当事業に関わる研究開発費は45百万円です。
その他の活動としては、新たなイノベーションに向けた取組みを進めています。動物実験によらない価値開発を促進するため、ヒト由来の培養細胞(細胞株)で化学物質のアレルギー性を正確、迅速かつ低コストで調べる皮膚感作性試験代替法「h-CLAT」の基本技術に関する特許使用を無償化しました。また、動物実験削減の一助となる本技術を世界共通の公定法とすべく、「OECDテストガイドライン」化を積極的に進めています。
また、経済産業省の委託事業であるファインバブル基盤技術研究開発事業に、産・官・学連携の一員として参画しました。ファインバブル(微細気泡、マイクロ・ナノバブル)は、日本発の革新的技術として、 医療、農業、化学など様々な分野で応用され始めており、当社では化粧品での展開可能性を探っています。
加えて、「イノベーションに最も適した国」「起業、創業の精神に満ちあふれた国」の実現に向け内閣府が進めている革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)に参画しています。当社が得意とする肌の可視化計測技術を深めることによる、社会的な貢献に向けた研究に取り組んでいます。
事業等のリスク財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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