有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100G5P7
株式会社イオレ 事業等のリスク (2019年3月期)
以下、当社の事業展開上、リスク要因になり得る主な事項を記載しております。また、当社は、当社でコントロールできない外部要因や事業上のリスクとして具現化する可能性が必ずしも高くないとみられる事項を含め、投資家の投資判断上重要と考えられる事項については積極的に開示することとしております。当社はこれらのリスク発生の可能性を識別した上で、その発生の予防及び発生時の対応に努力する方針でありますが、当社の経営状況及び将来の事業についての判断は、以下の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 事業環境に関するリスクについて
① 市場動向について
a インターネット関連市場
当社は、インターネットメディア関連事業を事業領域としており、インターネット関連市場が拡大していくことが事業展開の基本条件であると考えておりますが、ブロードバンド環境並びにスマートフォン、タブレット端末等のスマートデバイスの普及により、インターネット関連市場は今後も安定的な成長を続けるものと見込んでおります。しかしながら、インターネットの環境整備やその利用に関する新たな法的規制の導入、技術革新等の要因により、今後のインターネット関連市場の発展や、サイト運営の遂行が阻害される場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
b インターネット広告市場
2018年のインターネット広告市場は、インターネット広告費で1兆7,589億円(前年比16.5%増)となり、5年連続で二桁成長となるなど、インターネットメディアへのシフトが続いております(株式会社電通「2018年 日本の広告費」)。しかしながら、今後急激な景気変化等により広告需要が変化し、クライアント企業における広告予算の縮小、媒体別の予算配分方針に変化が生じた場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
c インターネットを活用した求人広告市場
「ガクバアルバイト」や「らくらくアルバイト」が属し、また「pinpoint及びその他運用型広告」を通じて注力しておりますインターネットを活用した求人広告市場につきましては、企業の求人が増加傾向にあり、2019年3月の求人メディア全体の求人広告件数も156万8千件と好調に推移する中(公益社団法人全国求人情報協会「求人広告掲載件数等集計結果(2019年3月分)」)、ソーシャルリクルーティングなどの新形態サービスサービスの出現や、経団連を中心に新卒採用における一括採用の見直しが議論されるなど、市場は、変化をしながら拡大を続けております。しかしながら、求人広告市場は景気動向や雇用情勢等の経済環境の影響を受けやすく、これらの経済環境が著しく変動した場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
② 技術革新について
当社が事業展開しているインターネット関連市場では、技術革新や顧客ニーズの変化のサイクルが極めて早いことが特徴であり、また、新たなスマートデバイス等のインターネット端末の技術革新も絶えず進展しております。さらに、アドテクノロジー分野において、広告配信システムの開発、改善、機能強化等や、アドテクノロジー広告の新たな技法の開発、配信アルゴリズムの変化等が進む可能性があります。当社は、急速に変化する環境に柔軟に対応すべく、業界の動向を注視し、先端的なテクノロジーの知見やノウハウの研究と蓄積、高度な技能を習得した優秀な技術者の採用と育成を積極的に推進してまいります。しかしながら、何らかの要因により技術革新への対応に問題が生じた場合、当社の技術的優位性やサービス競争力が低下し、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 検索エンジンへの対応について
当社サイトを利用するユーザーの集客は、口コミや「らくらく連絡網」からの誘導を主としておりますが、「Google」等の検索エンジンによる集客にも注力しており、今後も検索エンジンからの集客をより強化すべくSEO(検索エンジン最適化)を実施してまいります。しかしながら、検索エンジンが検索結果を表示するロジックについて変更する等の何らかの要因により、これまでのSEOが有効に機能しなかった場合、当社サイトへの集客に影響が生じ、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 競合について
当社が事業展開しているインターネット広告市場やインターネット求人情報市場においては、現時点で競合他社が国内外に複数存在しており、今後も競合他社による新規参入等により競争が激化する可能性があります。当社は、「らくらく連絡網」においては連絡網に特化することによるSNSサービスとしての独自性の確立、「pinpoint及びその他運用型広告」においては「らくらく連絡網」の登録情報を基にした精度の高いデータとの連携と自社プロダクトであるプライベートDMP『pinpoint DMP』の開発を通じた高付加価値の実現、「ガクバアルバイト」・「らくらくアルバイト」においては「らくらく連絡網」会員の誘導や他社媒体との提携などによる保持するデータベース量やクライアント企業の案件への応募数の拡大など、優位性の構築を推進してまいりました。今後も技術開発・ユーザー視点でのサービス充実等を図り、当社の優位性の確保に努めてまいります。しかしながら、企画力・開発力・資金等を潤沢に持つ企業の新規参入や台頭により当社の優位性を保てなくなった場合は、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業内容及び当社サービスに関するリスクについて
① 新規事業について
当社は、およそ660万人の会員を擁する「らくらく連絡網」のデータベースを活用し、また、会員を誘導することにより、「pinpoint及びその他運用型広告」、「ガクバアルバイト」、「らくらくアルバイト」に代表される各種サービスを提供しております。今後も、事業規模の拡大と収益源の多様化を進めるため、市場・業界動向、法的規制等に留意しつつ、積極的に新サービスないしは新規事業に取り組んでまいります。しかしながら、新規事業を推進する中で、当初の見通しとは異なる状況が発生する等により、新サービスや新規事業の展開が当初の計画通りに進まない場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② サイト機能等の充実について
当社は、ユーザーのニーズに対応し、会員の増加及び活性化を図るため、サイト機能やサービスの充実、ユーザビリティの向上に努め、また、直接的には収益につながらないコンテンツの拡充等を、当社サービスのコアコンピタンス、ユーザーが当社サービスに求めていることを慎重に考慮しつつ、サービスごとに市場の環境変化を見据えながら行っております。しかしながら、今後、コンテンツの導入やユーザーのニーズの的確な把握が困難となり、十分な機能拡充に支障が生じた場合、当社の業界における競争力が低下し、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) システムに関するリスクについて
① システム障害について
当社の事業は、コンピューターシステムや通信ネットワークに依存しております。そのため、ネットワーク機器の故障やアクセス過多によるサーバーの停止、事故、火災、自然災害、電力供給の停止、コンピューターウィルスやハッカーの侵入等によるシステムトラブル、従業員の誤操作によるネットワーク障害等について、その発生を防止するべく、稼働状況の常時監視、定期的なバックアップの実施、サーバーの負荷分散、セキュリティ対策による外部からの不正アクセスの回避、内部統制の構築等に取り組んでおります。しかしながら、予測不可能な要因によって、コンテンツを管理しているサーバーやシステム、通信ネットワーク、データセンターに何らかのトラブルが発生した場合、円滑に事業を運営できなくなる可能性があり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 事業拡大に伴う設備投資について
当社は、サービスの安定稼働やユーザー満足度の向上を図るためには、サービスの成長に即してシステムやインフラに対する先行投資を行っていくことが必要であると認識しております。今後予測されるユーザー数及びトラフィックの拡大、並びに新サービスの導入及びセキュリティの向上に備えて継続的な設備投資を計画しております。しかしながら、実際のユーザー数及びトラフィックが当初の予測から大幅に乖離する場合は、設備投資の時期、内容、規模について変更せざるを得なくなる可能性があります。このような事態が生じた場合、設備投資、減価償却費負担の増加が想定され、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 法的規制及び知的財産等に関するリスクについて
① 法的規制等について
当社の事業継続に必ずしも著しく重要な影響を及ぼす法的規制等ではありませんが、「電気通信事業法」、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律(不正アクセス禁止法)」、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(特定電子メール法)」、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」、「職業安定法」、「労働基準法」、「不当景品類及び不当表示防止法」等の各種法的規制等を受けております。当社では社内教育を実施するなど、これらの法令遵守体制の構築に努めておりますが、新たな法的規制の制定や既存法令等の改正又は解釈変更等がなされた場合には、当社の事業が制約を受ける可能性や新たな法的規制を遵守するための費用増加につながる可能性があり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 個人情報の保護について
当社は、登録ユーザーを広く募っており、ユーザー登録に伴って各種の個人情報を取得していることから、「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者としての義務が課されております。当社は、個人情報の管理を事業運営上の重要事項と捉え、個人情報の外部漏洩、不適切な利用、改ざん等の防止を徹底すべく、個人情報保護管理規程を制定し、また、社内教育を通じて関連ルールの周知と意識の向上を図っております。なお、当社は、一般財団法人日本情報経済社会推進協会よりプライバシーマークの認定・付与を受けております。
しかしながら、個人情報の流出等の重大なトラブルが発生した場合には、当社は損害賠償を含む法的責任を課される可能性があります。また、広告主及びユーザーの信頼を失い、さらにはブランドイメージの悪化等により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社は「pinpoint及びその他運用型広告」等において、ユーザー登録情報に基づきDMPに格納された匿名加工情報を活用しております。匿名加工情報とは、特定の個人を識別することができないように個人情報を加工し、当該個人情報を復元できないようにした情報のことをいい、「個人情報の保護に関する法律」の改正により、一定のルールの下で事業者間におけるデータ取引やデータ連携を含むパーソナルデータの利活用を促進することを目的に導入されたものであります。当社では、2017年10月より、匿名加工情報の取扱を開始しており、適法な運用を図っております。
しかしながら、今後、匿名加工情報の利用の制限につながる法的規制あるいは、当社の出稿する各種インターネットメディアにおける関連ガイドラインが大きく変更された場合は、当社の広告効果に影響を及ぼし、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 知的財産権について
当社は、運営する事業に関する知的財産権の獲得に努めるとともに、第三者の知的財産権侵害の可能性については可能な範囲で対応を行っております。しかしながら、当社の事業分野で当社の認識していない知的財産権が既に成立している可能性、又は新たに当社の事業分野で第三者により著作権等が成立する可能性があります。この場合、当社が第三者の知的財産権を侵害したことによる損害賠償請求や差止請求、又は当社に対するロイヤリティの支払い要求等を受けることにより、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 事業運営体制に関するリスクについて
① 人材の獲得・育成について
当社は、未だ成長過程にあることから、今後の事業拡大・成長に伴い、継続して優秀な人材の確保・育成を行っていく方針であります。しかしながら、人材の確保・育成が計画通りに進まない場合や、既存人材の社外流出等が生じた場合には、競争力の低下や事業拡大の制約要因が生じる可能性があり、当社の業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
② 内部管理体制について
当社は、企業価値の持続的な増大を図るためには、コーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であると認識しております。当社では、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、更には健全な倫理観に基づく法令遵守の徹底等、内部管理体制の充実、継続的なコンプライアンス体制の強化に努めており、今後についても、規模に応じた業務執行体制の整備や内部管理体制の更なる強化を図っていく方針であります。しかしながら、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の構築が追いつかない状況や法令等に抵触する事態が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 経営陣への依存について
当社は、小規模組織であることから、インターネット関連事業及びWebマーケティング等に関する豊富な経験と知識、技術に関する知識等、事業遂行において重要なノウハウを経営陣が保有しております。当社では取締役会等において、役員及び幹部社員の情報共有や組織強化を図るとともに、権限委譲を適時に行うことで、経営陣に過度に依存しない体制整備を進めております。しかしながら、何らかの理由により経営陣が当社業務を行うことが困難となった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) その他
① 紛争・係争について
当社は、事業展開にあたり、内部統制体制の強化と法令及び社会的道徳の遵守を含めたコンプライアンスの強化及び各種リスクの低減に努め、必要に応じて弁護士等の専門家の助言等を受けております。しかしながら、事業活動にあたっては、法令等の違反の有無に関わらず訴訟を提起される可能性があり、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 資金使途について
2017年12月に当社が行った公募増資による調達資金は、事業拡大のための人材採用費や広告宣伝費、システム開発・運用のための投資資金等に充てる予定であります。しかしながら、急速に変化する業界環境により柔軟に対応するため、現時点における資金使途計画以外の使途へ充当する可能性があります。また、当初の計画に基づいて資金を投下しても、想定通りの投資効果を上げられない可能性があり、その場合には当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ ストックオプション行使による株式価値の希薄化について
当社は、取締役及び従業員に対するインセンティブを目的としたストックオプション制度を採用しております。今後につきましてもストックオプション制度を活用していくことを検討しており、付与している新株予約権の行使が行われた場合は、保有株式の株式価値が希薄化する可能性があります。
なお、提出日の前月末現在における新株予約権による潜在株式は234,100株であり、発行済株式総数2,306,700株(2019年5月31日現在)の10.1%に相当します。
④ 配当政策について
当社は設立以来、業績向上のための人的投資や財務基盤を強固にすることが重要であると考え、配当を実施しておりません。また、現在の当社は、配当原資である利益剰余金が累積損失によりマイナスとなっており、会社法の規定上、配当可能な状態にはありません。株主への利益還元については、重要な経営課題の一つであると認識しており、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、配当を検討する所存でありますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期については未定であります。
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