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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1004EX4

有価証券報告書抜粋 ラクオリア創薬株式会社 事業等のリスク (2014年12月期)


対処すべき課題メニュー研究開発活動

以下において、当社グループの事業展開その他に関してリスク要因と考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しないと思われる事項についても、投資家の判断上、重要であると考えられる事項については、積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
また、以下の記載は本株式への投資に関するリスクすべてを網羅するものではありませんのでご留意ください。
なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)事業の内容について
① 医薬品の研究開発について
一般的に、医薬品の研究開発は長期かつ多額の費用を要するものであります。また、研究開発の各段階においては、有効性、安全性やその他の問題により研究開発の中止や遅延等の事態が生じる等、開発化合物が上市に至るまでには様々なリスクがあり、その成功確率は高いものではありません。
当社グループは、医薬品開発に係る研究開発リスクの低減・分散を図るため、複数の研究開発プロジェクトを保有するとともに、必要に応じてバックアップ化合物を保有する等の戦略を採っております。各プロジェクトの研究開発を円滑に推進すべく事業を展開しておりますが、これらが当社グループの想定どおりに推移する保証はありません。
当社グループの研究開発過程において何らかの問題が生じた場合には、それまでの研究開発投資が回収困難となる、当社グループの想定を上回る期間や費用が必要となる、将来の収益獲得に結び付かない等の可能性があります。また、導出先企業の研究開発過程において問題が生じた場合には、それ以降のマイルストーン収入を始めとする収益が獲得できない、又は収益獲得までに長期間を要する等の可能性があります。これらの状況が生じた場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
② 薬事規制について
当社グループが属する医薬品業界は、研究開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動において、各国の薬事法及びそれに関わる行政指導、その他関係法令等により、様々な規制を受けております。
医薬品に関わる薬事規制や当局の対応は、科学の進歩や国際的調和等の影響も受けながら、年々変化しております。特に近年は、治療薬の安全使用に関わる薬事規制当局の対応が全世界的に厳しくなり、同種のメカニズムの治療薬に安全性の問題が生じた場合には、当社グループの開発化合物が承認申請に際して、より多くの安全性評価成績を求められる可能性があります。
当社グループにおいては、これらの規制を遵守し、適切なリスク管理を実施していく方針でありますが、将来において各国の薬事法等の諸規制に大きな変化が生じた場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
③ 技術革新について
当社グループが事業を展開する医薬品分野は、いずれも技術の革新及び進歩の度合いが著しく速いと考えられます。当業界における急激な研究の進歩等により、医薬品の研究開発に有効と考えられる技術等への当社グループの対応に支障が生じた場合には、事業展開に影響を及ぼす可能性があります。また、事業に必要となる最先端の技術を導入するためには、多額な費用・投資及び時間を要する可能性もあり、これにより当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
④ 競合について
当社グループは、疼痛疾患及び消化管疾患を重点領域として医薬品の研究開発を行っておりますが、これらの領域においては、多くの製薬会社や創薬ベンチャー企業等による研究開発活動が行われており、当社グループの研究開発との間に競合関係が生じております。競合品の存在やその研究開発の進捗等が当社グループの開発化合物の導出等に影響を及ぼし、当社グループの事業戦略、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 低分子化合物医薬への特化について
近年、医薬品業界においては、抗体医薬やワクチン等のいわゆるバイオ医薬の研究開発が盛んに行われておりますが、低分子化合物は依然として医薬品開発の大きな柱であります。当社グループは低分子化合物医薬において高い専門性を有していることから、当面は低分子化合物医薬を中心とした研究開発を推進していく方針であります。
将来、医薬品業界において、抗体医薬やワクチン等の比重が著しく高まった場合、当社グループの開発化合物の導出機会が減少する可能性があります。


⑥ 製薬会社等への導出等による収益獲得について
当社グループの事業は、製薬会社等との創薬共同研究の実施や彼らへの開発化合物の導出により収益を獲得するものであります。当社グループの収益獲得には、製薬会社等との当該契約の締結、共同研究による医薬品開発候補化合物の創出、さらには導出化合物が臨床開発、承認申請、製造及び販売の各段階において成功を収めることが必要であります。
一般的に、製薬会社等において共同研究の実施や開発化合物の導入に際しては、(a)重点領域、既存医薬品、開発化合物の状況及び研究開発予算等を踏まえた自社の戦略との合致、(b)開発化合物の安全性や有効性に関する科学的検証及び評価、(c)想定される収益、費用及びリスク等の費用対効果等を総合的に判断して決定されるものであり、その評価・判断は個々の製薬会社等により異なります。
当社グループにおいては、契約締結先となる製薬会社等の各種情報を分析し、各々のニーズを考慮したアプローチ及び提案等の活動を推進しておりますが、当社グループが契約締結を企図するプロジェクトや開発化合物が製薬会社等における上述の各要素を充足する保証はなく、結果として契約締結に結び付かない、又は契約条件が当社グループの想定と大きく異なる等の可能性があり、これにより当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、特に導出の場合には、それ以降の臨床開発、承認申請、製造及び販売活動は導出先企業が行うことになるため、当社グループの収益は導出先である製薬会社等の戦略及びプロジェクトの推進等に依存することとなります。導出先企業における戦略変更等により開発投資の縮小や開発プロジェクトの中止又は延期等の決定がなされた場合には、当社グループの収益獲得に影響が及び、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当連結会計年度末現在において、当社グループは、共同研究契約及び導出契約を締結したことにより、これまでに契約一時金収入、研究協力金収入、及び導出後の開発進捗等に応じて受領するマイルストーン収入を獲得しておりますが、上市後において医薬品販売高に応じて受領するロイヤリティー収入等の獲得には至っておりません。
⑦ 為替リスクについて
当社グループの事業は、全世界の製薬会社等を対象としており、事業収益及び事業費用における海外企業の構成比率が高くなる可能性があります。海外企業との取引においては、必要に応じて為替予約等によるリスクヘッジ策を検討する方針でありますが、為替変動が生じた場合には、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

(2)社内体制について
① 特定の人材への依存について
当社グループの経営戦略、研究開発及び事業開発等の事業推進については、当社代表取締役、子会社代表取締役及び各部門の業務執行を担当する取締役及び執行役員等に大きく依存しております。これら人材は、業務に必要となる経験及びスキルを有し、さらに各部門の業務に精通しており、業務運営において重要な存在であります。
当社グループでは、これら特定の人材に過度に依存しない経営体制を構築するため、組織体制の強化を図っておりますが、当面の間はこれら業務執行者への依存度が高い状態で推移するものと考えております。このような状態において、これらの業務執行者の当社グループの業務の継続が何らかの理由により困難となった場合には、当社グループの業務運営、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
② 小規模組織であることについて
当社グループは、当連結会計年度末現在、役員7名及び従業員72名の組織規模であり、社内における管理体制については、この規模に応じたものとなっております。当社グループにおいては、業務上必要な人員の増強及び育成等を図っていく方針でありますが、管理部門その他において、従業員に業務遂行上の支障が生じた場合、人材流出が生じた場合及び代替要員の不在等の問題が生じた場合には、当社グループの業務運営に影響を与える可能性があります。
③ 人材確保及び育成について
当社グループは、現時点において人員規模を急速に拡大させる計画等は有しておりませんが、研究開発型の創薬企業としての競争力の維持・向上のためには、研究開発分野における専門的な知識・技能をもった優秀な人材の確保及び社内育成が必須であると考えております。
しかしながら、優秀な人材の社外流出が生じた場合、又は当社グループの想定した社内育成に支障が生じた場合には、当社グループの事業戦略、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。


④ 情報管理体制について
当社グループ事業において、研究開発における見地、技術及びノウハウ等は極めて重要性の高いものであります。また、導出先である製薬会社等と共有する情報等は高い機密性を保持することが要請されます。当社グループは、これら機密情報の漏洩リスクを低減するため、役職員及び取引先等との間で守秘義務等を定めた契約を締結するほか、システム対応等を含む情報管理体制の強化に努めております。
しかしながら、当社グループの体制不備その他の何らかの要因により、これら重要な機密情報の漏洩等が生じた場合には、当社グループの事業に著しい不利益が生じる可能性があることに加え、当社グループに対する信頼性低下等により、当社グループの事業戦略、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

(3)知的財産権について
① 当社グループの保有する知的財産権について
研究開発型の企業、特に創薬企業においては、競合他社に対抗していくために特許権その他の知的財産権の確保が非常に重要であると考えられております。2014年12月末現在において当社グループは、当社グループ単独または共同研究によって見出した医薬品候補物質等について77件(当社75件、連結子会社2件)の特許を出願しております。
特許の出願については、当社グループ単独で出願する場合と、製薬企業等との提携にかかる医薬品関連の特許について、発明の実態と共同研究契約に基づき当社グループが出願する場合及び共同出願する場合並びに提携先企業が出願する場合があります。
研究の過程において特許性を有する成果が生じた場合においても、特許出願については、全ての場合について行うものではなく、有用性及び費用対効果等を考慮して行っており、特許を出願及び取得した場合においても特許の取得及び費用等について当社グループの事業の収益により全て回収できる保証はありません。
また、出願した当該特許の全てが成立する保証はなく、特許出願によって当社グループの権利を確実に保全できる保証はありません。なお、日本その他の国の特許関連法規、或いは各国当局の解釈により、競合他社、或いはその他の組織が当社グループに補償等を行うことなく技術を使用し、医薬品等の開発及び販売を行うことができる可能性があります。
② 知的財産権に関する苦情及び訴訟等の対応に係るリスクについて
当連結会計年度末現在において、当社グループの事業に対する、特許権等の知的財産権に関する第三者との間での苦情及び訴訟等といった問題は認識しておりません。
現在、当社グループは、知的財産権の出願前及び出願後に、事業展開上の重要性を考慮しつつ必要な調査等の対応を実施しております。しかし、当社グループのような研究開発型の創薬企業にとって、知的財産権侵害問題の発生を完全に回避することは困難であります。今後、当社グループが第三者との間で係争に巻き込まれた場合、当社グループは弁護士や弁理士との協議の上、その内容に応じて対応策を検討していく方針であります。しかしながら、係争の解決に多大な労力、時間及び費用を要する可能性があり、その場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。また、将来的な事業展開においては、他社が保有する特許権等への抵触により、事業上の制約を受けるなど、当社グループの事業戦略に影響を及ぼす可能性があります。
③ 職務発明に係る社内対応について
2005年4月1日から施行された特許法の改正に伴い、職務発明の取扱において、労使間の協議による納得性、基準の明示化、当事者の運用の納得性が重視されることとなりました。これを受け、当社グループでは、代表取締役、執行役員及び従業員が協議の上、取締役会決議により「知的財産権管理規程」を作成し、運用しております。しかしながら、将来、発明者の認定及び職務発明の対価の相当性につき、係争が発生した場合には、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

(4)事業における事故やトラブル等のリスクについて
① 当社グループの臨床開発における健康被害について
当社グループは、研究開発活動において、開発化合物の有効性及び安全性を評価するため、前臨床試験を実施した上でヒトでの初期の臨床試験を実施しております。被験者数が限られた初期の臨床試験においても、開発化合物に係る治験薬が健康被害を引き起こす可能性は否定できません。

当社グループは、研究開発においてGLP、GCP、GMP(*)等の薬事関連法規制を確実に遵守し、安全性に優れた品質の高い医薬品開発を推進することにより、当該リスクの低減を図っております。しかしながら、治験薬には、製造物責任等に基づく損害賠償のリスクが内在しており、被験者において重大な健康被害が発生した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。また、損害賠償の影響が軽微であった場合においても、健康被害の発生が与えるネガティブなイメージにより、当社グループ及び当社グループの開発化合物に対する信頼性に悪影響が生じ、当社グループの事業に影響を与える可能性があります。
② 研究施設における事故等について
当社グループは、研究開発活動において、各種化学物質、特に危険物質を取り扱っております。これらの危険物質や有害物質等の管理の徹底に加え、設備の点検・保守、安全のための設備投資、定期的な防災訓練の実施等、予防管理に努めております。しかしながら、何らかの要因により火災や爆発事故又は環境汚染事故等が発生した場合には、重大な損失を招くリスクがあり、当社グループの事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
③ 自然災害等のリスクについて
当社グループは、愛知県を本拠地としており、この地域において、地震(東南海地震含む)、津波又は台風等の自然災害や大規模な事故、火災、テロ等により、当社グループの設備の損壊や各種インフラの供給制限等の不測の事態が発生した場合には、事業活動に停滞が生じ、当社グループの事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
④ 訴訟の可能性について
当社グループは、事業を展開する上で、当社グループの瑕疵又は責任の有無に拘わらず、第三者の権利又は利益を侵害した場合には、損害賠償等の訴訟を提起される可能性があります。また、取引関係や労使関係その他において何らかのトラブルが生じた場合、訴訟等に発展する可能性があります。さらに、業務委託先においてコンプライアンス違反が発生した場合、発注元である当社グループに対しても責任が問われる可能性があります。その結果として、金銭的負担の発生や当社グループに対する信頼性低下等により、当社グループの事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

(5)経営上の重要な契約について
当社グループの事業展開上、重要と思われる契約が期間満了、解除、その他の理由に基づき終了した場合もしくは当社グループにとって不利な改定が行われた場合、又は契約の相手方の財務状況が悪化したり、経営方針が変更された場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、これらの契約の中には、相手方が一定期間前に通知することにより契約期間中でも任意に解除できる旨の規定を含むものがあり、かかる解除権を行使された場合、又は、解除されない場合でも開発プロジェクトの中止又は延期等がなされた場合には、当社グループの事業戦略、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、これらの契約の対象となる化合物やプロジェクトについて、当社グループの競業避止義務が定められているものもあり、これにより、当社グループの事業戦略が制約を受ける可能性があります。

(6)経営成績及び財政状態について
① 社歴が短いことについて
当社グループは、2008年2月に設立し、同年7月に独自に事業を開始して以来の社歴は短いものであり、事業運営の実績も安定しておらず限定的であります。そのため、今後の事業成長を予測するための客観的材料として、過年度の経営成績だけでは不十分な面があると考えられます。
② 今後における損失計上の見通しについて
当社グループは、前述のとおり、開発化合物を製薬会社等に導出することにより、契約締結時の契約一時金収入、導出後の開発進捗等に応じて受領するマイルストーン収入、さらには、上市後において医薬品販売高に応じて受領するロイヤリティー収入の獲得を目指しております。
しかしながら、多額の研究開発費が継続して必要となるため、現時点においても研究開発費等を賄う十分な事業収益の計上には至っておりません。また、当社グループは、安定した収益獲得が実現するまでには相応の期間が必要であるものと考えており、当面の業績について損失の計上を想定しております。
当社グループは、契約締結時における契約一時金収入の獲得に加え、将来におけるマイルストーン収入、さらには、ロイヤリティー収入の獲得に注力していく方針でありますが、販売計画や研究開発計画が当社グループの想定どおりに進捗しなかった場合は、想定以上に損失計上が継続する可能性があり、その状況によっては当社グループの事業継続が困難となる可能性があります。

③ 事業資金の確保について
当社グループは、研究開発活動の推進等に伴い、設立以来、営業損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスが継続しており、今後も事業活動の進捗に伴って、研究開発投資、運転資金及び設備投資等の資金需要の増加が予想されます。
当社グループは、今後も導出活動による収益獲得の推進、手元保有資金の効率的活用に加え、予算と実績の管理等により資金支出等をコントロールし、事業資金の確保に努めていく方針であります。また、第6期連結会計年度及び第7期連結会計年度においては、新株予約権を利用した第三者割当増資により資金調達を行いましたが、今後も資金調達について事業計画上での必要性を始め、その最適な方法やタイミングなどを適宜検討していく方針であります。しかしながら、適時適切な資金調達ができる保証はなく、その状況によっては当社グループの事業が計画通りに進展しない可能性や継続が困難となる可能性があります。
④ 税務上の繰越欠損金について
当社グループは、過年度の損失計上により税務上の繰越欠損金を有しております。これにより、将来において利益計上に至った場合でも、当該繰越欠損金が解消されるまでは法人税等の税負担は概ね発生しないと予想されます。但し、将来において当該繰越欠損金が解消又は失効した場合には、通常の税率に基づく税負担が生じることとなり、その場合には当期純利益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
⑤ 導出先に対する出資について
当社グループは、Aratana社との導出契約の締結に際し、同社への出資(所有株式数103,088株、発行済株式総数に対する所有株式数の割合0.29%)を行っております。なお、同社への出資は外貨(米ドル)で行われているため、為替相場が将来、円に対して大きく変動した場合、当社グループの資産に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当連結会計年度末現在において新たな出資等が想定される事項はありません。

(7)ファイザーグループについて
① ファイザーグループの当社株式の保有及び経営関与に係る方針について
前述のとおり、当社グループはファイザー株式会社(以下、「日本ファイザー社」という。)旧中央研究所を前身としており、旧中央研究所閉鎖に起因する当社独立時に、ファイザーグループより支援の一環として出資を受けております。当連結会計年度末現在、ファイザーグループは、当社株式の10.00%(潜在株式を除く)を保有する大株主であります。なお、当社株式は、米国ファイザー社の日本法人である日本ファイザー社が保有しております。
ファイザーグループによる当社株式の保有は、純投資を目的としたものであり、今後も当社株式を継続保有する意向を有しておりますが、当社株式の買い増し等の考えはないものと認識しております。また、同グループと当社グループの間では、役員受入や人員出向等の関係はなく、同社の当社グループ経営への重要な影響は生じておらず、今後も当社グループの経営に積極的に関与する等の考えはないものと認識しております。
しかしながら、将来において、何らかの要因により、ファイザーグループの経営方針や事業戦略等に変更が生じた場合には、当社グループの事業、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
② 取引関係について
当社グループは、事業の開始に際して、日本ファイザー社からの研究設備等の資産の譲り受けや米国ファイザー社からの知的財産権の譲り受け等の取引が生じており、知的財産権の譲り受けに関しては、その後も契約では定められていない詳細な権利調整等について協議を行っております。
また、当連結会計年度末現在において、ファイザー・ファーマ株式会社(日本ファイザー社が製造部門を分社化したものであり、日本ファイザー社から同社の当社との建物賃貸借契約上の地位を承継)からの当社社屋等の賃借取引等が継続しているほか、今後においても、日本国内における開発、販売及び製剤の製造に関する権利を有するプロジェクト2件(海外既承認薬)や開発プロジェクト等に関して原薬に係る仕入取引等が発生する可能性があります。
さらに、今後においては、同グループに対して当社グループの研究開発成果である開発化合物を導出する可能性がありますが、他の導出先企業と同様の取引を想定しております。
③ 契約について
当社グループは、設立の経緯から、米国ファイザー社及び日本ファイザー社との間で当社グループの事業展開上、重要と考えられる契約を締結しております。しかしながら、当該契約が期間満了、解除、その他の理由に基づき終了した場合又は当社グループにとって不利な改定が行われた場合には、当社グループの事業戦略、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。


(8)名古屋大学について
当社グループは、名古屋大学との間で締結した産学協同研究部門設置契約に基づき、当社グループの生物系研究の拠点を名古屋大学内に置いております。この生物系研究拠点を中心として名古屋大学との研究者と積極的な交流を図っており、今後、同大学と共同で開発候補品を創出する可能性があります。
しかしながら、当該契約が解除、その他の理由に基づき終了した場合、又は当該契約の更新に際し改定が行われた場合には、当社グループの事業戦略、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

(9)その他
① 新株予約権について
当社グループは、ストック・オプション制度を採用しております。本制度は、当社グループの役員や従業員に対して業績向上に対する意欲を持たせるものとして有効であると当社グループは認識しており、今後も優秀な人材の確保のために、同様のインセンティブ・プランを継続し、また、必要に応じて報酬の一部として外部協力者に対して新株予約権を付与することを検討しております。
今後、これらの新株予約権が行使された場合、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。また、今後ストック・オプションを付与する際に費用が計上されることにより、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
② 配当政策について
当社グループは設立以来、当期純損失を計上しており、利益配当を実施しておりません。また、各研究分野における研究開発活動を今後も引き続き実施していく必要があることから、資金の確保を優先する方針であり、当面は配当を予定しておりません。
しかし、株主への利益還元は重要な経営課題であると認識しており、将来において安定的な収益の獲得が可能となった場合には、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を考慮した上で、利益配当についても検討してまいります。
③ ベンチャーキャピタル及び投資事業組合の株式保有比率について
当連結会計年度末現在、ベンチャーキャピタル及びベンチャーキャピタルが組成した投資事業組合(以下、「VC等」)が所有している株式数は4,470,400株存在し、発行済株式総数に占める比率は30.08%であります。一般的に、VC等が未公開株式に投資を行う目的は、株式公開後に当該株式を売却してキャピタルゲインを得ることにありますので、VC等は当社株式の一部または全部を売却することが想定されます。当該株式売却により、一時的に需給のバランスの悪化が生じる可能性があり、当社株式の市場価格が低下する可能性があります。
④ 子会社の設立について
当社グループは、外部リソース(公的資金、ファイナンス等)を活用し、「戦略的オプションプログラム」の開発を加速させ、プログラムごとの価値を向上させることにより、将来的な収益の獲得を目指すことを目的として、2013年1月に新設分割により株式会社AskAtを設立しております。
この子会社における外部リソースの導入や開発活動が計画どおりに実施できる保証はなく、また事業展開に伴う開発費用の増加等が当社グループの事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。


対処すべき課題研究開発活動


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