有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100HNWT
株式会社EduLab 事業等のリスク (2019年9月期)
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1) 多教科プラットフォームサービスの収益化と株式会社旺文社との関係について
当社グループは、株式会社旺文社による例題提供・監修のもと、2018年5月より小中学生を対象とした英語だけでなく他の教科も含めた無料の動画学習アプリを「スタディチャンネル」ブランドで提供する多教科プラットフォームサービスを開始しています。
株式会社旺文社は、当社子会社の株式会社教育測定研究所の設立を支援し、2002年3月から2005年6月まで子会社としていました。その後、株式会社教育測定研究所の独立性を強めるために持ち分比率を下げ、2015年2月に一度株主ではなくなりましたが、多教科プラットフォームサービスの提供に際して、再び当社グループとの関係を強化すべく2017年10月の第三者割当増資を通じて当社の株主となりました。本サービスについての開発資金は同社への第三者割当増資を通じて調達しております。
今後、的確なマーケティング戦略や営業戦略を通じて、同プラットフォームの個人及び法人ユーザーや広告主を獲得し、早期の収益化を実現する予定ですが、計画通りにユーザーや広告主の獲得が進まない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(2) 英検協会との関係について
当社グループは、主要事業において、特定の取引先に対する販売に大きく依存しており、特に英検協会関連のサービスを提供するために英検協会及び株式会社教育デジタルソリューションズに対する2019年9月期の全売上高に占める売上割合はそれぞれ20.6%及び18.1%となっております。当社グループは、多岐にわたって英検協会に関わる案件を受注しておりますが、その多くは、当社グループの能力測定技術、テスト理論の専門性、大規模テストに係る業務設計及び運用力等に基づき受注しており、他社代替性が低いものと理解しております。当該販売先との取引関係は安定していますが、販売先の業績が悪化した場合や販売先との契約内容に変更が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(3) 新規事業の収益化について
当社グループは英検協会が導入する予定の、1日で英語4技能を測定することができる新しい受験形態の「S-CBT」の実施にあたり、その実施会場であるテストセンターを全国に展開しその運営を開始いたします。これは当社グループにとって新規事業であり、固定費の発生に伴う稼働リスクに対して受験者数が十分獲得できなかったり、システム運用上のトラブルで安定的な運用が果たせずコストが増加したりする等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、当社グループは上記以外も国内外において新規事業を検討していますが、これらの新規事業に参入した結果、当該新規事業が収益化しない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(4) テスト運営・受託事業が性質上入札の結果に大きく影響されることについて
テスト運営・受託事業は国内の公的機関が発注者となる場合が多く、安定的に発注がある一方で、受託の際に入札プロセスが導入されるため長期に亘る継続的な契約を結ぶことが難しく、毎年の入札結果によっては受託できないことも起こりえます。当社グループが実績を積み重ね、技術点を上げることである程度継続的に落札することが可能となるものの、新規参入企業による競争激化の可能性もあり、安定的かつ確実な受注環境にあるとはいえない事業です。文部科学省の実施する全国学力・学習状況調査等の特に大規模な案件が国内の公的機関から落札できなかった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(5) 当社グループの業績(売上高、営業利益)が四半期毎に偏重する傾向があることについて
当社グループの提供する「e-Testing/e-Learning事業」及び「テスト運営・受託事業」の主要顧客には教育機関(公的機関を含む)が多く、その多くが3月末を会計年度末としているため、受託事業における検収や、ライセンス収益の従量部分の清算などが3月に集中する傾向にあります。また、当社グループの「e-Testing/e-Learning事業」において、サービス提供開始時期やシステムやサービスの仕様変更業務等が特定の期間に集中することによって、さらに「CASEC」の主要顧客である多くの教育機関において4月から始まる新年度のクラス分けのための試験として3月に利用されることが多く、当社グループの売上高及び営業利益の計上も同時期に集中する傾向が顕著となる場合があります。2019年9月期においては前者のシステムやサービスの仕様変更業務の検収が集中したことによって9月に当該の傾向が顕著となりました。
一方、「テスト運営受託事業」において、当社グループは2019年及び2020年の全国学力・学習状況調査(小学校第6学年の児童を対象)を受注しており、この案件の売上高及び営業利益が4月から7月にかけて増加する傾向にあります。
以上のとおり、当社グループの売上高及び営業利益は、商品やサービスの特性及び大きなプロジェクトの受注状況により、四半期毎の偏重が生じる傾向があります。なお、2019年9月期の通期売上高に占める四半期毎の売上高の割合、並びに通期営業利益に占める四半期毎の営業利益の割合は以下のとおりです。
(単位:売上高/営業利益・千円)
(注)1.売上高には、消費税等は含まれておりません。
2.四半期毎の割合は通期に対するパーセンテージです。
(6) 売上計上の期ずれが業績に与える影響について
当社グループが展開している「テスト運営・受託事業」においては、システム開発受託、コンテンツ開発受託等のサービスを行っております。また、ライセンス及びソフトウエアの提供においても、仕様変更や機能拡充等に関して変更料等を計上する場合があります。これらのサービスの提供においては、取引先の都合による検収時期の変動や、受注後の仕様変更等により納入時期が変更となり、売上及び利益の計上について翌四半期あるいは翌連結会計年度への期ずれが発生する場合があります。期ずれの金額の大きさによっては、各四半期あるいは連結会計年度における当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(7) 海外事業展開について
海外拠点の拡充に伴って、法律・規制・租税制度の予期しない変更や社会的混乱など、各国における諸事情の変化や為替・金利などの市場動向が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。現在、当社グループの海外拠点の活動はソフトウエア開発・コンテンツ開発・採点業務・教育ベンチャーへの投資が中心となっており、コストセンターとなっています。早いタイミングでの収益化を目指していますが、海外売上の実現の後れにより収益化が遅れ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(8) テスト運営・受託事業における収益性について
テスト運営・受託事業は、実施に係る印刷コストや採点等に関する経費が原価に占める割合が高い事業です。そのため、経済状況の変動におけるアルバイト賃金の上昇や外注費の高騰等により、期待した利益率を達成できない可能性があります。また、採点や集計に関するトラブルが発生した場合、印刷コストや採点等に関して追加負担が発生することがありますが、受託金額の上乗せを実現することは困難であることから、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(9) 少子化による需要の低下について
国内の教育市場については、構造的な少子化傾向がこのまま継続して市場の縮小と受験競争の緩和が進み、業界全体に対する需要の低下が続いた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループが提供するサービスの中心となる英語学習市場については、英語学習の低年齢化、英語試験の4技能化の要請、旺盛な企業による職員に対する英語教育需要等により足元は拡大傾向にありますが、少子化の影響による市場の縮小を受け、市場拡大が頭打ちになる可能性があります。
(10) 教育に関わる各種制度の変更について
国内市場においては、2019年11月に決定した大学入試における民間の英語資格・検定試験活用の延期をはじめ、学習指導要領の改訂や就学支援金制度、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置等、行政による教育に関わる制度変更が発生します。このような制度変更に対して早期に察知できなかったり、適切な対応ができなかったりした場合は、ビジネスチャンスの逸失や集客の低下等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(11) システム開発について
当社グループが開発する教育関連システムについては、受託開発から当社グループがリスクをとって開発して使用料を得るライセンスモデルへと移行しております。これによりマージンの高いライセンス収入が経常的に見込める一方、アップフロントの開発コストがかかり、サービス開始前の資金需要が発生するとともに、サービス売上が予定を下回った場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(12) コンテンツ開発について
当社グループが展開するテスト商品及びラーニング商品は、時代の変化による問題の陳腐化を避けるため、継続的に新たなテスト問題の作成やラーニングのためのコンテンツ制作を行うことが不可欠です。また、ラーニングのためのツールは、様々なデバイスに対応する教材のアプリ化などにより必要な技術も高度化する傾向にあります。当社グループは、これらをサービスインに1~2年先立ってコンテンツ制作リスクを負って開発を行いますが、商品の競争力が十分でなくサービス売上が予定を下回った場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(13) 減損会計
当社グループは、e-Testing/e-Learning事業に関する各種サービスを提供するため、無形固定資産としてシステム提供のためのソフトウエア及び学習コンテンツを保有するとともに、継続的に開発投資を行っています。これらの資産を利用して提供するサービスの収益性が著しく低下した場合には、当社グループが保有するソフトウエア等の資産について減損損失の計上が必要となることが考えられます。
また、当社グループは海外を中心にEdTech企業及びEdTechに特化したベンチャーキャピタルに対して投資を行っており、これら投資先の業績が投資時の想定に届かない場合、保有するベンチャー企業株式等やベンチャーキャピタルの持分について減損損失の計上が必要となることが考えられます。
そのような場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(14) ライセンス収入への依存度が高いことについて
当社グループの収益において、コンテンツ、ソフトウエア及びシステムの提供に基づくライセンス収入が拡大しており、2019年9月期の連結の売上高は2,105,595千円で、当社グループの連結の売上高に占める割合は33.6%となっております。当社グループの提供するコンテンツ、ソフトウエア及びシステムは、複数年に亘ってサービスを提供する前提で顧客と協議した上で開発される場合がほとんどですが、契約期間中にライセンス料が改定された場合やライセンス契約が解除された場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(15) 有利子負債依存度について
当社グループの有利子負債依存比率(連結)は、2018年9月期末及び2019年9月期末でそれぞれ58.2%、38.0%となっております。当社グループでは、これまで、株式会社教育測定研究所が受託する学力調査等の案件において、アルバイト賃金や外注費等の一時的なコスト負担が生じることや、一般競争入札において流動比率を高めることが入札要件として有利である等の事情があり、借入を増やして現金及び預金残高を高めてまいりました。今回、有利子負債依存比率が低下したことは2018年12月に実施した公募増資による純資産額の上昇によるものですが、今後は調達した資金をもとに収益を上げ、常に相当額の現金及び預金残高を維持することで、流動比率を維持することが可能と考えられます。一方、調達資金に基づく収益が意図したとおりに上がらず、流動比率を維持するための借り入れを継続する状況下で、急激な調達環境の悪化や金利の上昇などが起きた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(16) システムトラブルについて
当社グループの事業は、コンピュータ・システムを結ぶ通信ネットワークに依存しており、自然災害や事故等により通信ネットワークが切断された場合には、当社グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループではセキュリティ対策やシステムの安定性確保に取り組んでおりますが、何らかの理由によりシステムトラブルが発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(17) 個人情報の管理について
株式会社教育測定研究所は、「英ナビ・スタディギア」における会員情報や「CASEC」等の受験者情報等の個人情報を保有しており、「個人情報の保護に関する法律」の適用を受ける個人情報取扱事業者です。
株式会社教育測定研究所はプライバシーマークを認証取得するとともに、個人情報については、社内研修などを通じて社員への啓蒙活動を継続的に実施するなどの施策を講じておりますが、何らかの理由で個人情報が漏えいした場合、信用失墜や損害賠償請求等が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(18) 人材の確保・育成について
当社グループは、今後の事業拡大のために優秀な人材の確保、育成は重要な課題であると認識しており、積極的に人材を採用していくとともに、研修の実施等により人材の育成に取り組んでいく方針であります。
しかしながら、これらの施策が効果的である保証はなく、必要な人材を確保できない可能性や育成した人材が当社グループの事業に十分に寄与できない可能性があります。そのような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(19) 特定の経営者への依存について
当社グループは、当社代表取締役社長兼CEO 髙村淳一に経営の重要な部分を依存しております。現在、当社グループでは同氏に過度に依存しないよう、内部管理体制の整備、人材の育成を行うなど体制の整備に努めておりますが、何らかの理由により同氏による当社グループの業務遂行が困難となった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(20) 資金使途について
2018年12月に当社が実施した公募増資による調達資金の使途につきましては、テスト及びラーニングツール開発のためのソフトウエア開発及びコンテンツ開発費に概ね計画のとおりに充当し、今後も継続してまいります。
しかしながら、学習教材市場は参加者も多く新商品も多数投入されており、計画通りに資金を使用したとしても、期待通りの効果を上げられない可能性があります。そのような場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(21) 自然災害
当社グループにおいては、地震等の大災害発生に備え、グループ各社の被災状況の情報集約体制の構築、国内事業の情報システムの分散等の事業継続のための施策を講じております。
しかしながら、大災害が発生した場合、被災地域における営業活動の停止、当社グループの施設等の損壊、交通、通信、物流といった社会インフラの混乱、委託先の被災等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、各事業会社の本部機能の東京への集中度が高いため、東京が被災した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(22) 技術革新等について
インターネット、クラウドコンピューティング、AIの開発環境は技術進歩が速く、当社グループが想定する以上の技術革新により、当社グループの技術やサービスが競争力を失うような事態が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(23) 知的財産権について
当社グループは、現在、他社の知的財産権を侵害している事実は認識しておりません。しかしながら、当社グループの認識していない知的財産権が既に成立していることにより当社グループの事業運営が制約を受ける場合や第三者の知的財産権侵害が発覚した場合などにおいては、信用失墜や損害賠償請求等が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
また、他社により当社グループの知的財産権が侵害された場合においては、他社が当社グループの参加する一般競争入札において優位な位置を占めるなどして、当社グループの受託を阻害し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(24) ストック・オプション制度について
当社グループは業績向上に対する意欲や士気を高めることを目的として、ストック・オプション制度を採用しており、会社法の規定に基づく新株予約権を当社グループ取締役及び従業員等に付与しております。これらの新株予約権又は今後付与される新株予約権が行使された場合、株式価値が希薄化する可能性があります。なお、2019年9月30日現在における新株予約権による潜在株式数は935,000株であり、発行済株式総数8,780,000株の10.65%に相当します。
(25) 配当政策について
当社は、株主への利益還元を経営上の重要な課題として認識しており、事業基盤の整備状況や事業展開の状況、業績や財政状態等を総合的に勘案しながら、継続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針としております。
ただし、当社は現在成長過程にあり、内部留保の充実を図り、更なる成長に向けた事業の拡充や組織体制、システム環境の整備への投資等の財源として有効活用することが、株主に対する最大の利益還元に繋がると考え、現状は通常配当を実施しておりません。将来的には、財政状態及び経営成績を勘案しながら配当を実施していく方針ではありますが、現時点において通常配当の実施時期等については未定であります。
なお、当事業年度につきましては、2020年4月に創業20周年を迎えることから記念配当として、1株当たり23円の特別配当を実施することを決定しました。
(26) 法的規制等について
当社グループは、下請法の他、広告事業拡大に伴い景品表示法の適用を受けておりますが、これらの法令を含め当社に適用のある各種法令や税制等について、今後変更があった場合や新たな規制が導入された場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
特に日本国内の税制については、2019年10月1日に消費税の増税が実施されました。消費税の増税により税込み販売価格が上昇した結果、特に「CASEC」を中心に顧客の購買意欲が減退する可能性があり、その場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(1) 多教科プラットフォームサービスの収益化と株式会社旺文社との関係について
当社グループは、株式会社旺文社による例題提供・監修のもと、2018年5月より小中学生を対象とした英語だけでなく他の教科も含めた無料の動画学習アプリを「スタディチャンネル」ブランドで提供する多教科プラットフォームサービスを開始しています。
株式会社旺文社は、当社子会社の株式会社教育測定研究所の設立を支援し、2002年3月から2005年6月まで子会社としていました。その後、株式会社教育測定研究所の独立性を強めるために持ち分比率を下げ、2015年2月に一度株主ではなくなりましたが、多教科プラットフォームサービスの提供に際して、再び当社グループとの関係を強化すべく2017年10月の第三者割当増資を通じて当社の株主となりました。本サービスについての開発資金は同社への第三者割当増資を通じて調達しております。
今後、的確なマーケティング戦略や営業戦略を通じて、同プラットフォームの個人及び法人ユーザーや広告主を獲得し、早期の収益化を実現する予定ですが、計画通りにユーザーや広告主の獲得が進まない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(2) 英検協会との関係について
当社グループは、主要事業において、特定の取引先に対する販売に大きく依存しており、特に英検協会関連のサービスを提供するために英検協会及び株式会社教育デジタルソリューションズに対する2019年9月期の全売上高に占める売上割合はそれぞれ20.6%及び18.1%となっております。当社グループは、多岐にわたって英検協会に関わる案件を受注しておりますが、その多くは、当社グループの能力測定技術、テスト理論の専門性、大規模テストに係る業務設計及び運用力等に基づき受注しており、他社代替性が低いものと理解しております。当該販売先との取引関係は安定していますが、販売先の業績が悪化した場合や販売先との契約内容に変更が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(3) 新規事業の収益化について
当社グループは英検協会が導入する予定の、1日で英語4技能を測定することができる新しい受験形態の「S-CBT」の実施にあたり、その実施会場であるテストセンターを全国に展開しその運営を開始いたします。これは当社グループにとって新規事業であり、固定費の発生に伴う稼働リスクに対して受験者数が十分獲得できなかったり、システム運用上のトラブルで安定的な運用が果たせずコストが増加したりする等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、当社グループは上記以外も国内外において新規事業を検討していますが、これらの新規事業に参入した結果、当該新規事業が収益化しない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(4) テスト運営・受託事業が性質上入札の結果に大きく影響されることについて
テスト運営・受託事業は国内の公的機関が発注者となる場合が多く、安定的に発注がある一方で、受託の際に入札プロセスが導入されるため長期に亘る継続的な契約を結ぶことが難しく、毎年の入札結果によっては受託できないことも起こりえます。当社グループが実績を積み重ね、技術点を上げることである程度継続的に落札することが可能となるものの、新規参入企業による競争激化の可能性もあり、安定的かつ確実な受注環境にあるとはいえない事業です。文部科学省の実施する全国学力・学習状況調査等の特に大規模な案件が国内の公的機関から落札できなかった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(5) 当社グループの業績(売上高、営業利益)が四半期毎に偏重する傾向があることについて
当社グループの提供する「e-Testing/e-Learning事業」及び「テスト運営・受託事業」の主要顧客には教育機関(公的機関を含む)が多く、その多くが3月末を会計年度末としているため、受託事業における検収や、ライセンス収益の従量部分の清算などが3月に集中する傾向にあります。また、当社グループの「e-Testing/e-Learning事業」において、サービス提供開始時期やシステムやサービスの仕様変更業務等が特定の期間に集中することによって、さらに「CASEC」の主要顧客である多くの教育機関において4月から始まる新年度のクラス分けのための試験として3月に利用されることが多く、当社グループの売上高及び営業利益の計上も同時期に集中する傾向が顕著となる場合があります。2019年9月期においては前者のシステムやサービスの仕様変更業務の検収が集中したことによって9月に当該の傾向が顕著となりました。
一方、「テスト運営受託事業」において、当社グループは2019年及び2020年の全国学力・学習状況調査(小学校第6学年の児童を対象)を受注しており、この案件の売上高及び営業利益が4月から7月にかけて増加する傾向にあります。
以上のとおり、当社グループの売上高及び営業利益は、商品やサービスの特性及び大きなプロジェクトの受注状況により、四半期毎の偏重が生じる傾向があります。なお、2019年9月期の通期売上高に占める四半期毎の売上高の割合、並びに通期営業利益に占める四半期毎の営業利益の割合は以下のとおりです。
(単位:売上高/営業利益・千円)
第1四半期 | 第2四半期 | 第3四半期 | 第4四半期 | 2019年9月期合計 | ||||||
売上高 (%) | 営業利益 (%) | 売上高 (%) | 営業利益 (%) | 売上高 (%) | 営業利益 (%) | 売上高 (%) | 営業利益 (%) | 売上高 (%) | 営業利益 (%) | |
e-Testing/e-Learning事業 | 700,460 (18.4) | 249,958 (12.8) | 880,191 (23.1) | 427,914 (21.8) | 713,846 (18.7) | 321,281 (16.4) | 1,517,835 (39.8) | 960,006 (49.0) | 3,812,332 (100.0) | 1,959,159 (100.0) |
テスト運営・受託事業 | 394,858 (16.1) | △7,307 (△1.5) | 613,657 (24.9) | 100,232 (20.7) | 1,054,527 (42.9) | 342,416 (70.8) | 396,755 (16.1) | 48,351 (10.0) | 2,459,797 (100.0) | 483,692 (100.0) |
合計 | 1,095,318 (17.5) | 242,651 (9.9) | 1,493,848 (23.8) | 528,146 (21.6) | 1,768,373 (28.2) | 663,697 (27.2) | 1,914,590 (30.5) | 1,008,357 (41.3) | 6,272,130 (100.0) | 2,442,852 (100.0) |
2.四半期毎の割合は通期に対するパーセンテージです。
(6) 売上計上の期ずれが業績に与える影響について
当社グループが展開している「テスト運営・受託事業」においては、システム開発受託、コンテンツ開発受託等のサービスを行っております。また、ライセンス及びソフトウエアの提供においても、仕様変更や機能拡充等に関して変更料等を計上する場合があります。これらのサービスの提供においては、取引先の都合による検収時期の変動や、受注後の仕様変更等により納入時期が変更となり、売上及び利益の計上について翌四半期あるいは翌連結会計年度への期ずれが発生する場合があります。期ずれの金額の大きさによっては、各四半期あるいは連結会計年度における当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(7) 海外事業展開について
海外拠点の拡充に伴って、法律・規制・租税制度の予期しない変更や社会的混乱など、各国における諸事情の変化や為替・金利などの市場動向が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。現在、当社グループの海外拠点の活動はソフトウエア開発・コンテンツ開発・採点業務・教育ベンチャーへの投資が中心となっており、コストセンターとなっています。早いタイミングでの収益化を目指していますが、海外売上の実現の後れにより収益化が遅れ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(8) テスト運営・受託事業における収益性について
テスト運営・受託事業は、実施に係る印刷コストや採点等に関する経費が原価に占める割合が高い事業です。そのため、経済状況の変動におけるアルバイト賃金の上昇や外注費の高騰等により、期待した利益率を達成できない可能性があります。また、採点や集計に関するトラブルが発生した場合、印刷コストや採点等に関して追加負担が発生することがありますが、受託金額の上乗せを実現することは困難であることから、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(9) 少子化による需要の低下について
国内の教育市場については、構造的な少子化傾向がこのまま継続して市場の縮小と受験競争の緩和が進み、業界全体に対する需要の低下が続いた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループが提供するサービスの中心となる英語学習市場については、英語学習の低年齢化、英語試験の4技能化の要請、旺盛な企業による職員に対する英語教育需要等により足元は拡大傾向にありますが、少子化の影響による市場の縮小を受け、市場拡大が頭打ちになる可能性があります。
(10) 教育に関わる各種制度の変更について
国内市場においては、2019年11月に決定した大学入試における民間の英語資格・検定試験活用の延期をはじめ、学習指導要領の改訂や就学支援金制度、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置等、行政による教育に関わる制度変更が発生します。このような制度変更に対して早期に察知できなかったり、適切な対応ができなかったりした場合は、ビジネスチャンスの逸失や集客の低下等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(11) システム開発について
当社グループが開発する教育関連システムについては、受託開発から当社グループがリスクをとって開発して使用料を得るライセンスモデルへと移行しております。これによりマージンの高いライセンス収入が経常的に見込める一方、アップフロントの開発コストがかかり、サービス開始前の資金需要が発生するとともに、サービス売上が予定を下回った場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(12) コンテンツ開発について
当社グループが展開するテスト商品及びラーニング商品は、時代の変化による問題の陳腐化を避けるため、継続的に新たなテスト問題の作成やラーニングのためのコンテンツ制作を行うことが不可欠です。また、ラーニングのためのツールは、様々なデバイスに対応する教材のアプリ化などにより必要な技術も高度化する傾向にあります。当社グループは、これらをサービスインに1~2年先立ってコンテンツ制作リスクを負って開発を行いますが、商品の競争力が十分でなくサービス売上が予定を下回った場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(13) 減損会計
当社グループは、e-Testing/e-Learning事業に関する各種サービスを提供するため、無形固定資産としてシステム提供のためのソフトウエア及び学習コンテンツを保有するとともに、継続的に開発投資を行っています。これらの資産を利用して提供するサービスの収益性が著しく低下した場合には、当社グループが保有するソフトウエア等の資産について減損損失の計上が必要となることが考えられます。
また、当社グループは海外を中心にEdTech企業及びEdTechに特化したベンチャーキャピタルに対して投資を行っており、これら投資先の業績が投資時の想定に届かない場合、保有するベンチャー企業株式等やベンチャーキャピタルの持分について減損損失の計上が必要となることが考えられます。
そのような場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(14) ライセンス収入への依存度が高いことについて
当社グループの収益において、コンテンツ、ソフトウエア及びシステムの提供に基づくライセンス収入が拡大しており、2019年9月期の連結の売上高は2,105,595千円で、当社グループの連結の売上高に占める割合は33.6%となっております。当社グループの提供するコンテンツ、ソフトウエア及びシステムは、複数年に亘ってサービスを提供する前提で顧客と協議した上で開発される場合がほとんどですが、契約期間中にライセンス料が改定された場合やライセンス契約が解除された場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(15) 有利子負債依存度について
当社グループの有利子負債依存比率(連結)は、2018年9月期末及び2019年9月期末でそれぞれ58.2%、38.0%となっております。当社グループでは、これまで、株式会社教育測定研究所が受託する学力調査等の案件において、アルバイト賃金や外注費等の一時的なコスト負担が生じることや、一般競争入札において流動比率を高めることが入札要件として有利である等の事情があり、借入を増やして現金及び預金残高を高めてまいりました。今回、有利子負債依存比率が低下したことは2018年12月に実施した公募増資による純資産額の上昇によるものですが、今後は調達した資金をもとに収益を上げ、常に相当額の現金及び預金残高を維持することで、流動比率を維持することが可能と考えられます。一方、調達資金に基づく収益が意図したとおりに上がらず、流動比率を維持するための借り入れを継続する状況下で、急激な調達環境の悪化や金利の上昇などが起きた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(16) システムトラブルについて
当社グループの事業は、コンピュータ・システムを結ぶ通信ネットワークに依存しており、自然災害や事故等により通信ネットワークが切断された場合には、当社グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループではセキュリティ対策やシステムの安定性確保に取り組んでおりますが、何らかの理由によりシステムトラブルが発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(17) 個人情報の管理について
株式会社教育測定研究所は、「英ナビ・スタディギア」における会員情報や「CASEC」等の受験者情報等の個人情報を保有しており、「個人情報の保護に関する法律」の適用を受ける個人情報取扱事業者です。
株式会社教育測定研究所はプライバシーマークを認証取得するとともに、個人情報については、社内研修などを通じて社員への啓蒙活動を継続的に実施するなどの施策を講じておりますが、何らかの理由で個人情報が漏えいした場合、信用失墜や損害賠償請求等が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(18) 人材の確保・育成について
当社グループは、今後の事業拡大のために優秀な人材の確保、育成は重要な課題であると認識しており、積極的に人材を採用していくとともに、研修の実施等により人材の育成に取り組んでいく方針であります。
しかしながら、これらの施策が効果的である保証はなく、必要な人材を確保できない可能性や育成した人材が当社グループの事業に十分に寄与できない可能性があります。そのような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(19) 特定の経営者への依存について
当社グループは、当社代表取締役社長兼CEO 髙村淳一に経営の重要な部分を依存しております。現在、当社グループでは同氏に過度に依存しないよう、内部管理体制の整備、人材の育成を行うなど体制の整備に努めておりますが、何らかの理由により同氏による当社グループの業務遂行が困難となった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(20) 資金使途について
2018年12月に当社が実施した公募増資による調達資金の使途につきましては、テスト及びラーニングツール開発のためのソフトウエア開発及びコンテンツ開発費に概ね計画のとおりに充当し、今後も継続してまいります。
しかしながら、学習教材市場は参加者も多く新商品も多数投入されており、計画通りに資金を使用したとしても、期待通りの効果を上げられない可能性があります。そのような場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(21) 自然災害
当社グループにおいては、地震等の大災害発生に備え、グループ各社の被災状況の情報集約体制の構築、国内事業の情報システムの分散等の事業継続のための施策を講じております。
しかしながら、大災害が発生した場合、被災地域における営業活動の停止、当社グループの施設等の損壊、交通、通信、物流といった社会インフラの混乱、委託先の被災等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、各事業会社の本部機能の東京への集中度が高いため、東京が被災した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(22) 技術革新等について
インターネット、クラウドコンピューティング、AIの開発環境は技術進歩が速く、当社グループが想定する以上の技術革新により、当社グループの技術やサービスが競争力を失うような事態が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(23) 知的財産権について
当社グループは、現在、他社の知的財産権を侵害している事実は認識しておりません。しかしながら、当社グループの認識していない知的財産権が既に成立していることにより当社グループの事業運営が制約を受ける場合や第三者の知的財産権侵害が発覚した場合などにおいては、信用失墜や損害賠償請求等が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
また、他社により当社グループの知的財産権が侵害された場合においては、他社が当社グループの参加する一般競争入札において優位な位置を占めるなどして、当社グループの受託を阻害し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(24) ストック・オプション制度について
当社グループは業績向上に対する意欲や士気を高めることを目的として、ストック・オプション制度を採用しており、会社法の規定に基づく新株予約権を当社グループ取締役及び従業員等に付与しております。これらの新株予約権又は今後付与される新株予約権が行使された場合、株式価値が希薄化する可能性があります。なお、2019年9月30日現在における新株予約権による潜在株式数は935,000株であり、発行済株式総数8,780,000株の10.65%に相当します。
(25) 配当政策について
当社は、株主への利益還元を経営上の重要な課題として認識しており、事業基盤の整備状況や事業展開の状況、業績や財政状態等を総合的に勘案しながら、継続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針としております。
ただし、当社は現在成長過程にあり、内部留保の充実を図り、更なる成長に向けた事業の拡充や組織体制、システム環境の整備への投資等の財源として有効活用することが、株主に対する最大の利益還元に繋がると考え、現状は通常配当を実施しておりません。将来的には、財政状態及び経営成績を勘案しながら配当を実施していく方針ではありますが、現時点において通常配当の実施時期等については未定であります。
なお、当事業年度につきましては、2020年4月に創業20周年を迎えることから記念配当として、1株当たり23円の特別配当を実施することを決定しました。
(26) 法的規制等について
当社グループは、下請法の他、広告事業拡大に伴い景品表示法の適用を受けておりますが、これらの法令を含め当社に適用のある各種法令や税制等について、今後変更があった場合や新たな規制が導入された場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
特に日本国内の税制については、2019年10月1日に消費税の増税が実施されました。消費税の増税により税込み販売価格が上昇した結果、特に「CASEC」を中心に顧客の購買意欲が減退する可能性があり、その場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E34544] S100HNWT)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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