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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100JZTO (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 株式会社ステムリム 事業等のリスク (2020年7月期)


従業員の状況メニュー研究開発活動


本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしも事業上のリスク要因に該当しないと考えられる事項についても、投資家の判断において重要と考えられる事項は、積極的な情報開示の観点から記載しています。当社は、これら事業等のリスクを認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応を図り事業活動を行っていますが、このような諸策の成否には不確実性が存在します。また、当社の事業はこれら以外にも様々なリスクを伴っており、下記の記載はリスクを網羅するものではありません。当社は、医薬品等の開発を行っていますが、医薬品等の開発には長い年月と多額の研究費用を要し、各パイプラインの開発が必ずしも成功するとは限りません。特に研究開発段階のパイプラインを有する製品開発型バイオベンチャー企業は、事業のステージや状況によっては、一般投資者の投資対象として供するには相対的にリスクが高いと考えられており、当社への投資はこれに該当します。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであります。

(1) 再生医療事業全般に係るリスク

① 医薬品パイプラインの開発及びそれに伴う収益獲得の不確実性
医療用医薬品の開発には多額の研究開発投資と長い年月を要しますが、臨床試験で有用な効果を発見できないこと等により、研究開発が予定とおりに進行せず、開発の延長や中止の判断を行うことは稀ではありません。また、日本国内はもとより、海外市場の展開においては、各国の薬事関連法等の法的規制の適用を受けており、新薬の製造及び販売には各国別に厳格な審査に基づく承認を取得しなければならないため、有効性、安全性及び品質等に関する十分なデータが得られず、予定していた時期に上市できずに延期になる、又は上市を断念する可能性があります。
これは、当社のパイプラインを他社にライセンスアウトした場合も同様であり、当社が研究開発を行った医療用医薬品候補及び他社にライセンスアウトした医療用医薬品の候補の上市が延期又は中止された場合、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。

② 「再生誘導医薬」の開発に関するリスク
(ⅰ)先端医療に関する事業であることに由来するリスク
当社が研究開発を進める「再生誘導医薬」とは、患者本人の体内に存在する幹細胞の働きを高めることで、怪我や病気によって損傷した組織や臓器の自己修復/再生を促進させる新しいタイプの医薬品です。
「再生誘導医薬」は、細胞の採取や生体外培養を一切必要とせず、医薬品の投与のみによって、患者本人の体内に存在する幹細胞を損傷部位に動員し、組織の機能的な再生を促します。
医薬品により「再生医療」を実現する「再生誘導医薬」は、細胞を一旦生体外に取り出し培養したのちに体内に戻す、従来型の「再生医療」の実用化に伴う課題を一気にクリアし、難病に苦しむ世界中の患者の手に届く、革新的な治療手段となり得るものと考えております。
しかしながら、現在において、「再生誘導医薬」が医療用医薬品として当局から製造承認を受けたものはありません。また、他の再生医療技術についても、現時点では本格的な普及段階には至っておらず、主に特定の医療機関や研究機関が用いる高度な医療技術として比較的限定された範囲での臨床研究・臨床試験を中心として行われております。
こういった現状の背景には、最先端の医療・医薬品に特有の課題やリスクが存在します。まず再生医療の基盤となる学問や技術が急速な進歩を遂げている中で再生医療そのものに関する研究開発も非常に速いスピードで進んでおり、日々新しい研究開発成果や安全性・有効性に関する知見が生まれてきております。
当社の「再生誘導医薬」は現時点では新規性の高い再生医療技術であり、また学術的に見ても安全性・有効性・応用可能性ともに他の再生細胞薬等よりも優れていると自負しておりますが、一方で常に急激な技術革新の波に追い越されるリスクや想定していない副作用が出るリスクが存在し、またそのために当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。


(ⅱ)法規制改正・政府推進政策等の変化に由来するリスク
再生誘導医薬に関連する法規制についても、最新の技術革新の状況に対応すべく常時変更や見直しがなされる可能性があります。例えば、法律・ガイドライン等の追加・改正により、これまで使用が認められてきた原材料が突然全く使用できなくなるといったリスクや当社の想定とおりの内容で薬事承認が下りない又は薬事承認の取得に想定以上の時間を要するといったリスクも否定できません。また世界的な医療費抑制の流れの中で、当社が想定している製品価値よりも低い薬価・保険償還価格となる可能性もあります。当然このような場合には、当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また現在、米国や日本をはじめとする医療先進国においては先端医療に係る各種の推進政策が実施されております。これらの推進政策は、当社が推進する再生誘導医薬に大きな影響を与える可能性がありますが、その影響の内容・大きさはまだ定かではないことから、当社の今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。

③ 副作用発現、製造物責任
医薬品には、臨床試験段階から更には上市後以降において、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。当社は、こうした事態に備えて、製造物責任を含めた各種賠償責任に対応するための適切な保険に加入する予定ですが、最終的に当社が負担する賠償額の全てに相当する保険金が支払われる保証はありません。
また、当社に対する損害賠償の請求が認められなかったとしても、製造物責任請求等がなされたこと自体によるネガティブ・イメージにより、当社及び当社の製品に対する信頼に悪影響が生じる可能性があります。これら予期せぬ副作用が発現した場合、当社の業績及び財政状態に重大な影響が及ぶ可能性があるとともに、社会的信頼の失墜を通じて当社の事業展開にも重大な影響を及ぼす可能性があります。

④ 競合
医薬品業界は、国際的な巨大企業を含む国内外の数多くの企業や研究機関等による激しい競争状態にあり、その技術革新は急速に進んでいる状況であります。これら競合相手との競争において必ずしも当社が優位性をもって継続できるとは限らず、研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動における競争の結果により、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 医療費抑制策
世界各国において、政府は増え続ける医療費に歯止めをかけるため、医療費の伸びを抑制していく方針を示しており、定期的な薬価引き下げをはじめ、ジェネリック医薬品の使用促進等が進んでいます。今後の医療費政策の動向が当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(2) 固有のパイプラインに関するリスク
① 特定のパイプラインに関する提携契約への依存、収益の不確実性
当社は、塩野義製薬株式会社に、レダセムチド又は同化合物を有効成分として含有する医薬品の医薬品用途、及びそれらの製法又は製剤に関連する全世界における特許に基づき、全世界において当該医薬品の医薬品用途での独占的な開発、製造、使用又は販売するための再実施許諾権付のライセンスを付与しており、これらの提携契約による収益を中心とした事業収益計画を有しています。
しかしながら、このような提携契約は、相手先企業の経営方針の変更や経営環境の極端な悪化等の、当社がコントロールし得ない何らかの事情により、期間満了前に終了する可能性があります。現時点ではこれらの契約が終了となる状況は発生していませんが、本契約が終了した場合は、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、製品上市前の収益として、所定の成果達成に基づくマイルストーン収益及び所定の受領条件達成に基づく一時金収益を見込んでいますが、この発生時期は開発の進捗に依存した不確定なものであり、開発に遅延が生じた場合には、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社では今後、後続パイプラインによる収益化に努め、現状の提携契約に基づく収益への依存度を低減していく方針ですが、それらの収益化についても、開発の進捗に依存した不確実なものであり、これらの開発に遅延が生じた場合には、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。


(3) その他事業活動に関するリスク
① マイナスの繰越利益剰余金の計上
当社は、医薬品の研究開発を主軸とするベンチャー企業であります。医薬品の研究開発には多額の初期投資を要し、その投資資金回収も他産業と比較して相対的に長期に及ぶため、ベンチャー企業が当該事業に取り組む場合は、一般的に期間損益のマイナスが先行する傾向にあります。当社も過年度において第11期(2016年7月期)は、営業利益及び当期純利益を計上しておりますが、第10期(2015年7月期)以前、第12期(2017年7月期)、第13期(2018年7月期)及び第14期(2019年7月期)と営業損失及び当期純損失を計上しています。
当社は、レダセムチドを始めとするパイプラインの開発を推し進めることにより、将来の利益拡大を目指しており、当事業年度においては、欠損填補を行ったうえで、レダセムチドの適応拡大に向けた新たな契約に基づく収益を獲得した結果、営業利益及び当期純利益を計上しており、繰越利益剰余金のマイナスは解消されております。
しかしながら、開発の進捗状況によっては、将来において計画とおりに当期純利益を計上できない可能性もあります。仮に、当社事業が計画とおりに進展せず収益を獲得できない場合には、繰越利益剰余金が再びマイナスとなる可能性があります。

② 剰余金の分配について
当社は、当面は、多額の先行投資を行う研究開発活動の継続的かつ計画的な実施に備えた資金の確保を優先するため、配当等の株主還元は行わない方針としております。しかし、株主への利益還元については、重要な経営課題と認識しており、将来的には経営成績及び財政状態を勘案しつつ剰余金の分配を行うことを考えております。
剰余金の分配には、配当可能利益が必要となりますが、「① マイナスの繰越利益剰余金の計上」に記載したとおり、当社事業の進捗いかんによっては、繰越利益剰余金のプラスが維持できない可能性があります。この場合、剰余金の分配を行う時期についても遅延する可能性があります。

③ 収益計上が大きく変動する傾向
当社の事業収益は、レダセムチドを始めとする現在開発中のパイプラインのライセンスアウト時の契約一時金及び開発進捗に伴うマイルストーン収入に大きく影響されるため、過年度の事業収益、当期純利損益は不安定に推移しています。この傾向は、現在開発中のパイプラインが上市され安定的な収益基盤となるまで続くと見込まれます。

④ 再生誘導医薬の市場規模に係るリスク
当社が研究開発を進める「再生誘導医薬」は、投与によって患者の体内で誘導される幹細胞が、血液循環を介して体内を巡り、損傷した組織特異的に集積し、神経や皮膚、骨、軟骨、筋肉、血管など、様々な種類の組織に分化する能力を有するため、「再生誘導医薬」という共通のプラットフォームによって、脳梗塞や脊髄損傷などの中枢神経系疾患、心筋梗塞や心筋症などの循環器系疾患、難治性皮膚潰瘍などの上皮系疾患、難治性骨折などの間葉系疾患など、組織損傷をともなう数多くの難病に対して幅広い治療効果をもたらすことが期待されます。
よって、「再生誘導医薬」は、大きな市場を獲得できると考えており、当社収益にも大きく寄与するものと考えております。しかしながら、何らかの事情により当社の想定とおりに適応範囲が拡大できない場合、将来の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 小規模組織及び少数の事業推進者への依存
当社は、取締役4名、監査役3名(非常勤監査役2名を含む。)及び従業員34名(臨時雇用者含む、従業員兼務役員除く)の小規模組織であり、現在の内部管理体制はこのような組織規模に応じたものとなっています。今後、業容拡大に応じて内部管理体制の拡充を図る方針であります。
また、当社の事業活動は、現在の経営陣、事業を推進する各部門の責任者及び少数の研究開発人員に強く依存するところがあります。そのため、常に優秀な人材の確保と育成に努めていますが、人材確保及び育成が順調に進まない場合、並びに人材の流出が生じた場合には、当社の事業活動に支障が生じ、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。


⑥ 特定の提携契約に依存した事業計画について
当社は、現時点で、特定の製薬企業との限られた共同研究契約及びライセンス契約を主軸とする事業計画を有しております。
しかしながらこのような提携契約は、相手先企業の経営環境の極端な悪化や経営方針の変更など、当社がコントロールし得ない何らかの事情により、期間満了前に終了する可能性及び当社の想定と異なる事態が生じる可能性があります。
このような事態が発生した場合には、他の製薬企業との新たな提携等により当社事業計画への影響を最小限に食い止める所存ではありますが、これが適時に実現できる保証はなく、このため当社の希望どおりの事業活動ができず、若しくは制約を受け、その結果、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社が現時点で有している提携契約としては、2014年11月に塩野義製薬株式会社との間で締結した、レダセムチド又は同化合物を有効成分として含有する医薬品の医薬品用途、及びそれらの製法又は製剤に関連する全世界における特許に基づき、全世界において当該医薬品の医薬品用途での独占的な開発、製造、使用又は販売するための再実施許諾権付のライセンス契約があります。
塩野義製薬株式会社とは2010年4月よりレダセムチドに関する共同研究を開始しております。一般論として、候補物質に係る研究を進め、およそ2億円から3億円の投資である非臨床試験の研究ステージから、最終的には少なくとも数百億円規模の投資となる臨床開発ステージに進むことは、巨大な製薬企業といえども、大きな決定です。塩野義製薬株式会社がステージを進めることを決定するためには、多面的な審査をうけ、塩野義製薬株式会社の要求する基準を充足する必要があります。
当社プロジェクトは当該基準をクリアし、2014年11月にレダセムチドに係るライセンス契約を締結しております。当社は当該ライセンス契約に基づき、これまでに契約一時金、マイルストーン収益として、総額1,696百万円を受領しております。
ライセンス契約によるライセンスアウト後の収入については、所定条件の達成が条件となることから、ライセンスアウト後の開発の進捗状況によっては予定された収益の計上時期が遅れる、それが得られない等の事態があり得ます。
なお、塩野義製薬株式会社とのライセンス契約に係る開発の進捗状況としては、先行する表皮水疱症においては第Ⅱ相医師主導治験が終了し、承認申請に向けて準備を進めている段階となっております。また、脳梗塞においては塩野義製薬株式会社による企業治験が進められており、2020年6月1日公表の塩野義製薬株式会社の新中期経営計画において、第Ⅱ相試験が実施中である旨が同社からも公表されております。
さらに、当社と塩野義製薬株式会社は新たな3つの疾患(慢性肝疾患、変形性膝関節症、心筋症)を対象とした医師主導治験を推進するため、2020年6月30日に新たな契約を締結し、当社は対価の一部である1,700百万円を受領しております。また、当該契約と時期を同じくして、2020年6月29日に弘前大学及び塩野義製薬株式会社と当社との間で、変形性膝関節症を対象とした第Ⅱ相医師主導治験実施に関する契約を締結、続く2020年9月15日には、新潟大学及び塩野義製薬株式会社と当社との間で、慢性肝疾患を対象とした第Ⅱ相医師主導治験実施に関する契約を締結しており、2020年内に試験を開始する計画となっております。
これらの治験の実施においては前述のとおり相当の費用が発生することが見込まれるため、当然将来的な上市を期待した上で、治験を実施することになりますが、必ずしも望ましい結果が得られるとは限りません。仮に、治験の結果が望ましいものとならなかった場合、当社事業にも重要な影響を及ぼす可能性があります。
これらを含め、当社の事業展開上、重要と思われる契約の概要は「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等」に記載しておりますが、当該契約が期間満了、解除、その他の理由に基づき終了した場合若しくは当社にとって不利な改定が行われた場合、又は契約の相手方の財務状況が悪化したり、経営方針が変更されたりした場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。


⑦ 資金繰り
当社は、研究開発型企業として多額の研究開発資金を必要とし、また研究開発費用の負担により長期にわたって先行投資の期間が続きます。この先行投資期間においては、継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。当社は、当事業年度においては、レダセムチドの適応症拡大に向けた新たな契約に基づく収益を獲得した結果、営業キャッシュ・フローはプラスとなっておりますが、現状では、当社は継続的なロイヤリティ収入などの安定的な収益源を有しておらず、今後の収益獲得については、レダセムチドの開発の進捗状況や、その他のパイプラインのライセンス交渉等の結果に大きく左右されるため、未だ、営業活動から安定的に資金が得られる状況にあるとは言えません。
このため、安定的な収益源を確保するまでの期間においては、必要に応じて適切な時期に資本市場からの資金調達等を実施し、財務基盤の強化を図る方針ですが、必要なタイミングで資金を確保できなかった場合は、当社事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。

⑧ 調達資金使途
上場時の公募増資等により調達した資金は、医薬品の研究開発を中心とした事業費用に充当する計画です。ただし、新薬開発に関わる研究開発活動の成果が収益に結びつくには長期間を要する一方で、研究開発投資から期待した成果が得られる保証はなく、その結果、調達した資金が期待される利益に結びつかない可能性があります。

⑨ 設備投資に係るリスク
当社は、上場時の公募増資等により調達した資金を用いて、研究施設・動物実験施設を拡充することとしております。
当該計画に基づき、2020年4月に国立大学法人大阪大学と共同で「再生誘導医学協働研究所(床面積1,540㎡)」を開設いたしました。当社として研究開発を推進する上でその意義は大きく、今後事業進展の拡大に寄与するものと考えております。また、動物実験施設についても、拡充に向けて計画を推進しております。
しかしながら、現時点において当該設備投資の効果が十分に実現する保証はありません。仮に、当社が想定したとおりに事業を展開できない場合、減損会計の適用による減損処理が必要となるなど、当社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

⑩ 新株発行による資金調達
当社は医薬品の研究開発型企業であり、将来の研究開発活動の拡大に伴い、増資を中心とした資金調達を機動的に実施していく可能性があります。その場合には、当社の発行済株式数が増加することにより、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。

⑪ 新株予約権等の発行について
当社は、当社取締役、監査役、従業員及び社外協力者の業績向上に対する意欲や士気を高め、また優秀な人材を確保する観点から、ストック・オプション制度を採用しています。会社法第236条、第238条及び第239条の規定に基づき、株主総会の承認を受け、当社取締役、監査役、従業員及び社外協力者に対して新株予約権の発行と付与を行っています。
提出日の前月末時点における当社の発行済株式総数は57,026千株であり、発行済みの新株予約権全ての権利が行使された場合は、新たに6,897千株の新株式が発行され、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。また、今後も優秀な人材の確保のため、株式価値の希薄化に配慮しつつも同様のインセンティブ・プランを継続する可能性があります。従って、今後付与される新株予約権等によっても、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。


⑫ 知的財産権
当社では研究開発をはじめとする事業展開において様々な知的財産権を使用しており、これらは当社所有の権利であるか、あるいは適法に使用許諾を受けた権利であるものと認識しています。
また、当社が保有している現在出願中の特許が全て成立する保証はありません。さらに、特許が成立した場合でも、当社の研究開発を超える優れた研究開発により、当社の特許に含まれる技術が淘汰される可能性は常に存在しています。当社の特許権の権利範囲に含まれない優れた技術が開発された場合には、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、当社では他社の特許権の侵害を未然に防止するため、当社として必要と考える特許の調査を実施しており、これまでに、当社の開発パイプラインに関する特許権等の知的財産権について第三者との間で訴訟が発生した事実はありません。しかし、当社のような研究開発型企業にとって知的財産権侵害の問題を完全に回避することは困難であり、第三者との間で知的財産権に関する紛争が生じた場合には、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

⑬ 特定人物への依存について
当社はこれまで、大阪大学大学院医学系研究科の玉井克人教授らが同定した骨髄多能性幹細胞動員因子を医薬品として開発することを目的に設立した企業であり、玉井克人氏を中心として、基礎研究・研究開発をはじめとする事業の全般を推進してまいりました。当社設立は、同氏の研究成果の事業化を目的とするものであり、また、現在の当社と大阪大学との共同研究においても中心となっていることから、当社の研究開発活動において重要な位置付けを有しており、その依存度は極めて高いと考えられます。
また、玉井克人氏は、当社株式を9,600千株保有する当社筆頭株主である主要株主であり、当社の経営基盤の安定のためにも、重要な位置づけを有しております。
当社は、今後においても玉井克人氏の当社への関与が必要不可欠であると考えており、何らかの理由により同氏の関与が困難となった場合等には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

⑭ 国立大学法人大阪大学との関係について
当社は、自社での研究活動の他、国立大学法人大阪大学と共同研究を実施しており、特許権について共同保有するなどしております。また、同大学は当社のストック・オプションを保有しております。
当社は、同大学との間で、レダセムチドにかかる同大学との共有特許について同大学から独占的実施権の許諾を受け、その対価として、当社の新株予約権1,460個を同大学に割り当てること、契約一時金及びかかる特許権を第三者に実施許諾したことによる収入(契約一時金、マイルストーン収入、ロイヤリティ収入)の一定料率に相当する金額を同大学に支払うこと等を定めた契約を締結しており、当該契約に基づき、塩野義製薬株式会社等から上記に該当する収入を受け取った場合には、一定率の金額を大阪大学に支払うことになります。
当社は、今後も同大学との間で良好な関係を維持し、共同研究を継続していく方針であります。また、2020年4月には、同大学と共同で再生誘導医学協働研究所を設置し、研究拠点を確保すると共に、幅広い学部・学科との緊密かつ横断的・効率的な連携を図り、より一層研究能力を強化していく方針です。しかしながら、何らかの理由で、これらの契約の更新が困難となった場合又は解除等により取引が困難となった場合、当社の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、同大学との取引については、良好な関係を維持しつつも当社又は株主の利益を害することのないよう、法規制を遵守するとともに、取締役会の監視等を通じて十分留意しております。しかしながら、このような留意にかかわらず、利益供与を疑われるなどの事態が発生した場合には、当社の利益及び社会的評価を損ねる可能性があり、その結果として当社の事業、業績や財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。


⑮ 新型コロナウイルス感染症の影響について
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載したとおり、現時点では、当社における新型コロナウイルス感染症による影響は限定的であると考えております。しかしながら、今後新型コロナウイルス感染症がさらに拡大し、事態が長期化、深刻化した場合には、当社が事業活動の継続に向けて万全の対策を行ったとしても、経済・社会活動が全体的に停滞するなど、当社がコントロールし得ない要因により、研究開発が予定とおりに進行せず、開発の延長や中止が発生する可能性があります。
当該リスクに対しては、世界中で、有効なワクチン、治療薬の開発が行われているところであります。当社が開発したレダセムチドの投与により骨髄から損傷組織に集積する間葉系幹細胞は、抗炎症作用、抗線維化作用と共に、上皮組織や血管組織を再生する作用を持つことが示されていることから、レダセムチドはCOVID-19肺炎の後遺症リスクを軽減する治療薬となることが期待されます。
当社としては、世界中のCOVID-19肺炎に苦しむ患者に後遺症リスクを軽減する再生誘導医薬を届けることを、社会的使命であると考えており、大阪大学との共同研究により、レダセムチドの非臨床試験を実施し、COVID-19肺炎に対する有効性の評価を加速することで、できる限り速やかにCOVID-19肺炎患者を対象とした臨床試験の開始に繋げることを目指しております。
なお、当該プロジェクトは、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)「新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業(新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する治療薬開発)」(3次公募)に採択されております。

従業員の状況研究開発活動


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