エンカレッジ・テクノロジ株式会社 業績等の概要 (2015年3月期)

(1)業績
当事業年度におけるわが国経済は、原油安と円安の定着により企業収益が改善する等緩やかに回復が続きました。
当社の属する情報システム分野におきましては、主要顧客先である金融機関においては保険や銀行業のシステム統合による需要の一服感がみられることなどから、2014年度のソフトウエア投資額は前年度比で減少となりました。
このような経営環境のもと、当社は製品開発面では、教育産業における情報漏洩事件など相次ぐシステム管理者の不正事件を受け、主力製品である「ESS REC」のモバイルデバイス(スマートフォン)接続に対応した「ESS REC5.3」をリリースしたほか、特権ID(注)管理製品「ESS AdminControl(EAC)」の管理対象OS(オペレーティングシステム)拡大及び複数のデータベース管理を可能にした「EAC1.3」等の機能拡張に取り組み、金融業界のみならず幅広い業種での特権ID管理ニーズに対応いたしました。また、既存製品のクラウド化に向けた取り組みにつきましては、「ESS AdminGate(EAG)」をリリースし、クラウド型の情報セキュリティ事業を開始いたしました。
営業面においては、金融業界への深耕策として、地方銀行や有力信用金庫への営業活動強化に取り組み、2015年2月には日本金融通信社主催の「FITフォーラム東京及び名古屋」へ出展し知名度向上を図ってまいりましたほか、各種情報漏洩対策セミナーへの出展や自社セミナー開催により企業の情報漏洩対策の関心の高まりに呼応した企画を展開いたしました。また、当事業年度においては、株式会社富士通エフサス様、キヤノンプロダクションプリンティグシステムズ株式会社様とセキュリティ分野での協業を開始いたしましたほか、主要代理店の得意分野での連携推進など代理店販売の強化を図ってまいりました。
以上の結果、当事業年度の売上高は前期比16.8%増の1,368,562千円となりました。ライセンス売上は、主力製品の「ESS REC」が対前期比48.2%増となるなど、企業業績の改善を受け一部の企業においてセキュリティ対策が前倒しされるなど、ライセンス売上全体では25.7%の増加となりました。保守サポートサービス売上は、新規ライセンスの積上げと引き続き高い更新率を維持したことにより12.0%の増加、コンサルティングサービス売上は、機能強化版をリリースした「EAC」導入に伴うシステム構築案件が増加したことにより、上半期の落ち込みをカバーし、ほぼ前期なみの結果となりました。営業利益は、研究開発費や上場に伴う株式関係手数料の増加と労務費・人件費などの固定費の増加がありましたが、454,899千円(同10.3%増)を確保いたしました。経常利益は、460,277千円(同15.9%増)となりました。当期純利
益は318,690千円(同24.9%増)となりました。

(注)システム運用においてプログラムの変更やデータベースの変更時に使用する高いアクセス権限を持つIDを付与され
たシステム管理者。

(2)キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,488,537千円(前事業年度末比98,962千円増)となりました。当事業年度中における各キャッシュ・フローは次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果得られた資金は430,629千円(前年同期比100,571千円増)となりました。
主な収入要因は、税引前当期純利益460,277千円、未払金の増加額33,811千円であり、主な支出要因は売掛金の増加63,551千円、法人税等の支払額166,727千円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果支出した資金は302,360千円(同55,369千円の支出増)となりました。
主な支出要因は、定期預金の預入による支出200,000千円、無形固定資産、主に製品の拡張・改良にともなう市場販売目的ソフトウエアの取得による支出62,668千円、投資有価証券の取得による支出32,127千円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果支出した資金は29,306千円(前年同期は685,847千円の収入)となりました。
収入要因は、株式の発行による収入20,000千円、支出要因は、配当金の支払額49,306千円によるものです。