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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S10055V7

有価証券報告書抜粋 CYBERDYNE株式会社 事業の内容 (2015年3月期)


沿革メニュー関係会社の状況


当社は、山海嘉之が創出したサイバニクスを駆使して、社会が直面する様々な課題を解決するため、革新技術(イノベーション技術)の創出と基礎的研究開発から社会実装までを一貫した事業スキームとして事業展開することで、イノベーション創出と新産業創出による市場開拓を上向きにスパイラルを描くように同時展開する未来開拓型大学発ベンチャー企業です。
「テクノロジーは人や社会の役に立ってこそ意味がある」との理念のもと、ロボットスーツHAL®に代表される「メイドインジャパンの最先端ロボット医療機器/最先端人支援機器/最先端医療機器」の研究開発・社会実装及び当該技術を核とした世界規模でのサービス産業を推進し、健康長寿社会を支える人支援産業(ロボット・ヘルスケア産業を含む)のリーディング企業として国際事業展開・市場開拓を行い、重介護ゼロ®社会の実現に挑戦します。今後、世界の先進各国は超高齢社会に直面しますが、そこには医療・介護福祉・生活支援及び重作業支援の分野での新産業創出の機会があり、1980年代に産業用ロボットが成し遂げた生産現場における革命を超えるパラダイムシフトによって人や社会に役立つことが、当社グループの事業ミッションです。
山海嘉之は、「社会が直面する様々な課題解決と新産業創出」を実現するために必要な仕組みについて研究開発を行い、その研究開発の成果を社会実装し、人や社会に役立つことを目的として、当社を設立しました。新産業創出に向けた国際戦略を実現するため、研究開発・事業推進体制を構築し、実運用してきました。その結果、基礎研究から社会実装までを一気通貫で実現できる体制がまとまってきました。

(1) サイバニクス技術による事業分野
サイバニクスは、主に、医療・介護福祉・生活支援分野から、災害レスキューまでを広く包括できる人支援技術として、人とロボットと情報系が融合複合したトータルシステムを「基礎研究レベルから社会実装」に至るまで取り扱うことのできるものとなっています。当社グループは、このサイバニクス技術を駆使して、主に医療、介護福祉、生活支援、重作業支援の分野の事業展開を行います。HAL®は、人・ロボット・情報系の融合複合領域サイバニクスを駆使して研究開発された最先端人支援技術の代表的成果であり、これを中心として下記のような事業分野に展開しております。

1) 医療サービス分野:脳・神経・筋系疾患の患者への機能改善・機能再生治療サービスを提供する事業分野(エンドユーザー(利用者個人)向けのサービスの提供)。
2) 医療機器分野:HAL®医療用に代表される脳・神経・筋系疾患の患者向けの機能改善治療を行うロボット医療機器(メディカルロボット)の研究開発・製造・販売(専門家ユーザー(利用施設)向けの機器の提供)及びそれらに関連する事業分野。
3) 生活支援サービス分野(介護福祉を含む):高齢者や障碍者への健康トレーニングを提供する事業分野(エンドユーザー(利用者個人)向けのサービスの提供)。
4) 生活支援機器分野(介護福祉を含む):高齢者や障碍者の自立動作をサポートするHAL®福祉用・自立支援用(下肢タイプ、単関節タイプ)や作業者や介護者の重作業をサポートするHAL®作業支援用・介護支援用(腰タイプ)、人工知能AI搭載型の清掃・搬送ロボットなどの介護福祉を含む生活支援を行う生活支援ロボット(パーソナルケアロボット)の研究開発・製造・販売(専門家ユーザー(利用施設)向けの機器の提供)やそれに関連する事業分野。その他に、災害現場でのレスキュー活動支援する災害対策ロボットや手のひらサイズで動脈硬化度や心電図を計測するバイタルセンサーの研究開発やそれに関連する事業分野。


図1 サイバニクス技術を活用した当社グループの事業分野

(2) 中核技術としてのHAL®の動作原理と制御方法
HAL®は、人が装着して利用します。HAL®の技術は様々な分野で利用でき、当社グループの事業の中核となるものです。HAL®は、2つの制御手法が組み込まれています。一つは「サイバニック随意制御」、もう一つは「サイバニック自律制御」です。
人が体を動かそうとする際、その運動意思は微弱なイオン電流の神経系指令信号として、脳、脊髄、運動神経、筋肉へと伝達され、最終的に筋骨格系が動くことになります。その際、微弱な生体電位信号が皮膚表面にも到達してくるので、これを検出できれば運動意思を捉えたことになります。HAL®はこの微弱な生体電位信号を装着者の皮膚表面に貼付けられたセンサーで検出し、これを活用して機能します。これにより、装着者が身体を動かそうとすると、その運動意思に応じてHAL®が駆動します。HAL®は身体に密着しているため、装着者の意思によって駆動すると同時に、脚などの装着部位を動かすことになり、筋紡錘(※1)からの求心性ニューロン(※2)の信号が感覚神経、脊髄を経て脳に戻る(フィードバックされる)ことになります。更に、視聴覚情報や感覚神経系情報も脳にフィードバックされることになります。このようにして、「脳→脊髄→運動神経→筋骨格系→HAL®」、そして、「HAL®→筋骨格系→感覚神経→脊髄→脳」という脳と身体とHAL®との間でインタラクティブなバイオフィードバック(iBF仮説)が構成されることになります。
これが基本的な「サイバニック随意制御」であり、機能的に人間とロボットとを一体化させることに成功した新しい制御手法の動作原理の一つです。また、重度の運動機能障がいを有する場合、特に、生体電位信号がまだ検出できないような状態では、「サイバニック随意制御」が機能しないため、人間の基本運動パターンや動作メカニズムの解析結果を元に予め準備されたプログラムによってロボットのように動作する「サイバニック自律制御」が機能します。


図2 HAL®の動作原理






図3 HAL®の制御方法

※1.筋紡錘
骨格筋中にある紡錘形の微小な感覚器です。筋肉の収縮を感知して手足の位置・運動・重量・抵抗の感覚を起こします。動物の姿勢保持や細かい運動に重要なものです。

※2.求心性ニューロン
感覚器官や末梢の感覚受容器からの刺激を脊髄や脳など中枢に伝達する知覚神経のニューロンです。


(3) HAL®の医療機器認証と保険収載のプロセス
上記のような原理をもつHAL®を用いると、高齢化に伴い増加してくる脳・神経・筋系の疾患を有する患者の中枢系と末梢系の機能改善が促進されることが期待されます。HAL®のiBF仮説は、現時点まで国内外の主要な医療機関で成果が認められ,さまざまな疾患に対して歩行機能に有意な改善が報告されています。


スウェーデンのカロリンスカ研究所のダンドリード病院で急性期・回復期を対象にした脳卒中患者に対してロボットスーツHAL®の臨床試験を実践し、歩行機能の他にさまざまな運動機能の改善が認められています。また、ドイツのBG RCI(公的労災保険組合)の傘下のベルクマンスハイル大学病院では、外傷性の麻痺患者(主に脊髄損傷患者)に対してロボットスーツHAL®による集中的な運動療法を実施し、優れた歩行機能改善を実証しております(※)。
上記のような取り組みにより、ロボットスーツHAL®は国内外の医療機関で実証された臨床データによって運動機能改善が確かめられ、ロボット治療機器としてEUにおける医療機器認証(CEマーキング)を取得しました。なお、適用疾患の範囲は脳・神経・筋系の疾患(具体的には、脳卒中・脊髄損傷に起因する運動麻痺、廃用、進行性疾患など)となっております。医療機器としての認証はEU圏内で効力を有するため、認証規制面でのプロセスは既にクリアしております。今後はドイツ公的医療保険など欧州各国での各種保険適用のプロセスを順次進める予定です。
またドイツにおいては、ロボットスーツHAL®による機能改善治療に対して、DGUV(ドイツ法的損害保険)により公的労災保険の適用を受けることになりました。2013年8月より適用された当該労災保険での治療やNEDOプロジェクトでの臨床データを収集して、民間・公的の医療保険への適用拡大を進めます。ドイツの他の保険制度は、公的労災保険に倣う恰好で先端医療技術を導入してきた歴史的な流れがあるため、労災保険適用下で医療機器CEマーキング取得後の機器の臨床データを積み上げることで公的医療保険制度等への適用拡大を促進できることになります。
なお、ロボットスーツHAL®は人種や民族により安全性や有効性に関する差異がでにくいという特徴があります。また、非侵襲でリスクレベルも低いため、各国の各種保険制度にはほぼ共通の臨床データを利用することができます。したがって、高レベルの臨床データを蓄積することで、その後の展開(ドイツ国内だけでなくEU圏内の各種保険適用拡大)を迅速に進めることができるようになります。

※ 主な学術論文は、下記の通りです。
・“Locomotion training using voluntary driven exoskeleton (HAL) in acute incomplete SCI” Neurology (2014)
・“Voluntary driven exoskeleton as a new tool for rehabilitation in chronic spinal cord injury — A pilot study” The Spine Journal (2014)
・“Gait training early after stroke with a new exoskeleton — the hybrid assistive limb: a study of safety and feasibility” Journal of Neuro Engineering and Rehabilitation (2014)


米国での医療機器認証については、2014年11月にFDA(米国食品医薬品局)にHAL®医療用(下肢タイプ)の医療機器承認の申請書類を提出し、2015年中の承認を目指しています。次のステップとしては、FDA通過後に民間保険への適用を目指すことになります。


筑波大学附属病院で行われた「運動器不安定症患者およびその基礎疾患を有する患者に対する Hybrid Assistive Limb (HAL®)装着による運動機能改善効果の探索的研究(UMIN試験ID:UMIN000002969)」により、機能回復が一定水準に達した脳卒中、脊髄損傷、神経筋疾患、運動器疾患等の患者に対して有意な歩行機能の改善が認められており、現在も臨床研究を進めております(※1)本臨床データに基づき作成されたプロトコルによって、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)による治験実施許可が得られ、2013年3月よりHAL®医療用(下肢タイプ)は新医療機器として、独立行政法人国立病院機構新潟病院の中島孝医師を中心に、希少性難治性の神経・筋難病疾患の患者に対して、厚生労働省の厚生科学研究費補助金による医師主導治験を実施しました。またHAL®医療用(下肢タイプ)は2014年12月には希少疾病用医療機器の厚生労働大臣指定を受け、製造販売承認申請後の優先審査対象になりました。2015年3月にHAL®医療用(下肢タイプ)について、筋ジストロフィーやALS等(※2)の希少性難治性の神経・筋難病疾患に対する「新医療機器」としての製造販売承認申請を行いました.また、2014年9月より対象疾患を希少性難治性の脊髄疾患に適用拡大して医師主導多施設共同治験が実施されています。
今後は医療保険の適用申請手続きに入り、希少性難治性の神経・筋難病疾患用の医療機器としての承認と医療保険収載のために関連行政機関との折衝を進めます。希少性難治性の神経・筋難病疾患で医療機器承認と保険収載を獲得した後は、脳卒中や脊髄損傷などへと適用範囲の拡張を図ります。関連行政機関との折衝は既に並行して進めており、希少性神経・筋難病疾患としての承認取得後直ちに、次のプロセスを開始できるよう準備を整えています。脳卒中や脊髄損傷の医療保険収載のプロセスについても、医療機器承認の範囲拡大と同時に進みます。

※1. 主な学術論文は、下記の通りです。
・“Pilot study of locomotion improvement using hybrid assistive limb in chronic stroke patients” Neurology (2013)
・“Feasibility of rehabilitation training with a newly developed wearable robot for patients with limited mobility” American Congress of Rehabilitation Medicine (2013)

※2. 医療機器製造販売承認申請の対象となる希少性神経・筋難病疾患は、下記の通りです。
脊髄性筋萎縮症(SMA)、球脊髄性筋萎縮症(SBMA)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、シャルコー・マリー・トゥース病(CMT)、遠位型ミオパチー、封入体筋炎(sIBM)、先天性ミオパチー、筋ジストロフィー

(4) 当社グループ製品の内容
当社グループでは、多様な技術分野において製品開発を推進しておりますが、現時点での当社グループの事業はHAL®が中心となっています。HAL®は、その使用目的別に、①医療・ヘルスケア分野での患者の身体機能改善を目的としたロボット治療機器(メディカルロボット)、②介護福祉分野での自立動作補助を目的とした健康トレーニング機器や生活支援機器(自立支援ロボット)、③建設現場や工場や介護施設や災害現場での作業者に対する作業支援機器(作業支援ロボット)などとして、人が装着して活用することで様々な用途展開を可能とするものです。


(5) 当社グループの事業系統図
以上に述べた事項を、以下の事業系統図に示します。なお、当社グループのセグメントはロボット関連事業のみの単一セグメントであります。

HAL®を製品として出荷するためには、研究開発の手順から製造・管理に至るまで、高品質の研究開発・製造・管理体制を整備しつつ、①専門家ユーザー(利用施設:医療機関および病院・福祉施設)向けに当社機器のレンタル・リース販売及び保守サービスを提供し、更に②エンドユーザー(個人利用者:患者等)向けに機能改善・機能再生治療およびトレーニングサービスの提供を行っております。

沿革関係会社の状況


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E30118] S10055V7)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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