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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100W7L9 (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 日揮ホールディングス株式会社 研究開発活動 (2025年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等


当連結会計年度は、長期経営ビジョン「2040年ビジョン」の1stフェーズ、「挑戦の5年間」と位置付ける中期経営計画「BSP2025」の4年目として、3つの重点戦略①「EPC事業のさらなる深化」、②「高機能材製造事業の拡大」、及び③「将来の成長エンジンの確立」に取り組んでまいりました。
①「EPC事業のさらなる深化」では、設計・プロジェクトマネジメントのデジタル化、高度メンテナンス、現場建設の効率化・省人化などに関する技術開発及び協業に注力しております。また、②「高機能材製造事業の拡大」を目指し、触媒、ファインケミカル、ファインセラミックス製品などの開発投資及び設備投資を確実に進めております。さらに、③「将来の成長エンジンの確立」として、バイオものづくり分野では、2件の国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、「NEDO」という。)によるプロジェクトの採択を受け、微生物を活用した素材・食料・エネルギーなどの幅広い製品を製造するプロセスを開発し、ライセンス事業の確立に取り組んでおります。その一環として、神戸市ポートアイランドにCO2を原料とした世界初のガス発酵プロセス研究所の建設を開始しました。加えて、国内初となる国産SAF大規模製造プラントを竣工させ、国産SAF実用化に係る継続的な生産及び供給体制の構築を図ったほか、SAFが持続可能な事業となるための機運醸成活動を行い、SAF製造のための原料となる廃食用油回収促進のパートナリングを加速するなど、国内初の本格的な大規模SAF製造の共同事業が順調に進展しております。
このように、当社グループでは、様々な分野・領域において知財・無形資産の創出と活用を推進しております。重要テーマとなる事業・技術開発の戦略立案においては、IPランドスケープによる分析結果を活用し、市場ポジショニングの明確化やパートナー選定に役立てております。これら知財インテリジェンス機能を強化し、協業やアライアンスなどの広い視点から事業拡大に取り組んでまいります。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額9,770百万円には、総合エンジニアリング事業に関するもの2,541百万円及び機能材製造事業に関するもの3,098百万円に加え、その他の事業に関するもの31百万円及び各セグメントに配分できないもの4,099百万円が含まれております。

① 総合エンジニアリング事業等

設計・調達・建設(EPC)ビジネス分野
現地セキュリティが厳しい地域や自然環境が過酷な地域、労働者の確保が困難な地域等、建設工事の遂行が困難な地域においてEPCプロジェクトが増加する傾向にある中で、当社グループは現地での工事量を減らすために、大型モジュール工法の採用や、EPCプロジェクト遂行の効率性向上のためにAWP(Advanced Work Packaging)による工事管理の採用などを実践しております。また、当社グループのIT戦略「ITグランドプラン2030」による新しい設計手法(AI設計やデジタルツイン)や現場省人化につながるような新しい工法(ロボティクスによる自動化、3Dプリンター導入、中・小型モジュール工法、リモート化など)、要素技術の導入(新素材、設計へのAIやBIM導入など)、EPC全領域でのAWP採用拡大などを図り実装することによって、熟練労働者不足や不安定な現場生産性、スケジュール遅延などのEPCプロジェクトリスクを低減し、現場工事の安全性を高めることを目指しております。同時にこうした取組みが当社グループの競争力強化にもつながると考え、EPCを担う事業会社を中心に全社的な活動を展開しております。

IT/DX関連
1. EPC効率向上を目指して行っているもの
(1) プロットプラン自動化Auto Plot PATHFINDER®
プラント全体の配置図であるプロットプランの設計は、プラントの運転・メンテナンスのし易さ、安全性の確保、環境保全はもちろんのこと、建設コストを決定付ける最も重要なものとして位置付けられております。したがって、複雑な制約条件のもとで様々な要求を最適化するという大変難しい技術が必要であり、従来、経験豊富なシニア技術者の感覚に頼る部分が大きい領域でした。
もっとも、当社グループはIT戦略「ITグランドプラン2030」において、AI設計イノベーションを掲げ、プロットプラン設計を自動化するAuto Plot PATHFINDER®を開発しました。Auto Plot PATHFINDER®による設計は、形式知化・コード化されたシニア技術とAIによるユニット分割をもとにしたユニット単位・機器単位の自動配置、位置確定などのエンジニアによる指示取込み、最適配置のステップで行われます。Auto Plot PATHFINDER®により、多数のプロットプラン案を超短時間で作成することが可能になり、人間が思いつかないものを含む多くの提案が瞬時にできることから、新しい提案型設計 (Generative Design)への変革につながり、基本設計の段階から顧客の検討に貢献できると考えております。
前連結会計年度からはFS(フィージビリティスタディ)やFEED(基本設計)業務で、加えて当連結会計年度には見積業務でもプロットプランの提案に適用しました。今後は、さらに適用プロジェクトを増やし、顧客により良い価値を提供してまいります。

(2) Data Centric EPC遂行、AWP
Data Centric EPC遂行は、従来の人の手を介した図書ベースの情報交換に代え、ICT技術を最大活用したデータ中心の効率の良い情報交換とタイムリーな意思決定を図ることを目指した新たなEPCプロジェクト遂行手法であり、EPCプロジェクト遂行におけるリスクを低減し品質・コスト・納期それぞれの要素を向上させることが期待されております。
当社グループにおけるData Centric EPC開発においては、設計・調達・建設の作業対象となるタグを一元管理し、そのタグのデータをデータソースとなるシステムから集約し、またそのデータを活用するシステムへ連携する仕組みを構築しております。AWPは、Data Centric EPC遂行の仕組みを活用した一例であり、対象作業の開始を制限する可能性がある先行作業の特定とモニタリングが可能となります。現在進行中の複数プロジェクトにおいて、建設工事に実装したほか、設計・調達業務との連携と効果波及を目指してAWP管理の拡大を進めております。また、当社グループでは、Data Centric EPC遂行とAWPの統合を主軸に置き、EPC全体におけるデジタルトランスフォーメーション (Digital Project Delivery) にも取り組んでおります。

(3) 3D プリンタ導入
3Dプリンタは、省力化施工による生産性向上やリードタイム短縮による工期短縮など、建設産業においても大きな革新をもたらすポテンシャルを持つ技術として注目されております。また、海外顧客などがプラントのメンテナンス分野への適用を検討する動きも出てまいりました。
当社グループのIT戦略「ITグランドプラン2030」においても「3Dプリンタ導入や建設自動化による建設工法最適化」を掲げ、取組みを進めております。具体的には、セメント系材料を扱うデンマークのCOBOD International A/S社の3Dプリンタを導入し、国内EPCプロジェクトでの基礎型枠としての適用などを経て、海外EPCプロジェクトにおいても適用を進めております。また、金属系材料を扱うオランダのMX3Dとの共同研究を通じて、炭素鋼を用いた形状最適化により、配管部材の重量削減や強度向上への本技術に寄与することを確認しました。今後も、当社グループの競争力強化に向けて検証活動及びEPCプロジェクトへの導入を継続してまいります。

2. 顧客によるオペレーション&メンテナンス(O&M)業務の面からの要求に応えるもの
(1) アセットインフォメーションマネジメント(IM)
アセットインフォメーションは、顧客が安定したプラント操業を維持するために重要な情報です。近年は顧客要求の高まりもあり、複数のEPCプロジェクトでアセットインフォメーションマネジメントを実現するシステムの実装が進み、当社グループにおける技術の蓄積が進んでおります。
EPCの各フェーズの中で、プラントを構成する膨大な量の各種アセットインフォメーションが生成されます。これらを一貫性をもって管理・統合するため、当社グループではデジタルツイン技術への取組みを進めており、その社内標準化を進めることでインフォメーションの精度を飛躍的に向上させるとともに、データハンドオーバーの国際業界標準規格である「CFIHOS」に準拠したインフォメーションマネジメント遂行を実現しております。これにより遂行したプラントの引渡し後においては、顧客はスムーズに運転・保全に移行できます。加えて、プラント操業を通じてアセットやプラントのオペレーション&メンテナンス(O&M)コストの低減に係る情報を蓄積し、かかる情報を将来の設備改良や業務改善に繋げることで、さらなる顧客の事業価値向上に貢献することができます。

(2) スマート保全ビジネス
プラントの高経年化や人材確保が難しくなる中で、正常運転のために一層重要性が増している保全業務に対して、当社グループは、プラントの設備診断業務を強力に支援する設備管理システム(A-MIS®)の販売・運用を行ってまいりました。また、このシステムも包含するIoTやビッグデータを活用した統合型スマート保全サービス(INTEGNANCE®)の事業化を進めております。

INTEGNANCE®では、検査結果や運転情報などをもとに検査ポイントの推奨や故障リスクのアラートなどを行うAI予兆保全と定期修理計画の立案を保全戦略支援サービスとして提供するほか、モバイル端末タブレットやスマートフォンを活用した作業状況の電子化とタイムリーな情報共有による工事進捗管理を行っております。
また、3Dビューア「INTEGNANCE® VR」を開発し、デジタルツインの構築・運用を行うために設立した「ブラウンリバース株式会社」にて、既存プラント全体を撮影した360°パノラマ写真上にアノテーション(関連データをタグ登録)することで、各機器や部材の関係を可視化しています。また、この360°パノラマ写真空間に対しマウスで自由な視点移動を実現、プラント内のあらゆる情報に視覚的かつ迅速にアクセスすることで実務者の運用・保守業務の大幅な効率化を可能にし、多くのプラント保全の現場で活用頂いております。
さらに、当社グループは、英国の原子力業界をはじめ、高度かつ確実な安全管理が求められる分野で幅広く利用されている事故想定シナリオ管理手法「フォルトスケジュール」をベースに開発したスマート保安の最適化を支援するリスクマネジメントソフトウェア(CoreSafety®)を提供しております。

天然ガス分野
昨今、温室効果ガスの1つである二酸化炭素(CO2)の排出量削減が求められておりますが、当社グループでは、CO2の排出抑制、分離回収、有効利用・貯留、資源再生というカーボンマネジメント・サイクルの各要素で技術・知見を継続して積み上げております。
当社グループでは、効率的にCO2を分離・回収し有効に活用するための技術開発を進めております。その一つであるHiPACT®は、溶剤を用いた天然ガスからのCO2分離技術であり、従来技術よりも高圧でCO2を回収することで効率的なCO2の有効活用に資する技術です。HiPACT®は既に商業化されており、現在も商業機は稼働を続けております。また、さらなるCO2分離技術として、高濃度CO2を含む天然ガス及びCO2-EOR(原油増進回収)に伴って産出される随伴ガスから、特殊なゼオライト膜を用いて効率的にCO2を分離回収する技術を開発しており、米国テキサス州等での実証試験を継続して実施中です。これらの技術とともにカーボンマネジメント・サイクルの知見と合わせて、産油ガス国、企業向けにCO2に関する課題解決に向けたトータルソリューションを提供していく方針です。
また、当連結会計年度にJOGMECの先進的CCS事業として採択された「マレーシア・サラワク沖CCS事業」に取り組み、日本から排出されるCO2を回収、輸送し、大規模貯留適地でのCCSを実現、日本の脱炭素化に寄与することを目指していきます。本プロジェクトが実現すれば、アジア地域における国境を越えたCCS事業のモデルになるものと期待しております。
さらに、温室効果ガスの中でもメタンの排出量は、既存の計算や計測では精度高く求めることが困難とされております。欧州や米国などでは、規制によりメタン排出量の実測が求められつつありますが、実際に精度の高い計測を実施している企業は多くありません。精度の高いメタン排出量の計測がなされていないために、排出源が特定されておらず、正しいメタン削減ソリューションに繋げられていない現状があります。当社グループは、石油・天然ガス設備からのメタン排出を想定した「メタン排出計測技術評価設備」を技術研究所に建設し、国内外の計測器メーカーなどと幅広い協働を通じて計測技術を向上させることにより、一層効果的なメタン排出対策を実現してまいります。優れた温室効果ガス測定技術とエンジニアリング技術を駆使し、温室効果ガス排出の少ない設備の実現を目指しております。
加えて、既設LNGプラントの運転データ解析及び気象解析を通じて得られた知見をもとに、操業改善によるLNG増産サービスを海外顧客向けに展開しております。例えば、空冷式LNGプラントの場合、生産量減退の要因となるHot Air Recirculation(HAR)に対しコンピューター解析を活用した予測モデル「HARview®」による対策や、Dry Fogging systemによるHARの緩和等、LNGプラントの運転改善ソリューション「AIRLIZE LNG®」を提案し、増産やプラントの低炭素化に貢献しております。

オフショア分野
世界には未開発の中小規模海洋ガス田や、発生する随伴ガスを再圧入・フレアリングしている既存石油生産設備が多数存在し、それらのガス資源の効率的な開発手段が期待されております。その最有力候補は、当社グループが世界有数の建造実績を持つ洋上LNGプラント(以下、「FLNG」という。)です。FLNGは、現地ガス消費市場規模に限界のある、またセキュリティ・環境問題を抱えるような地域での陸上パイプラインガス、及び操業中の洋上石油生産設備で大量に生産される随伴ガスなどの現金化ソリューションでもあります。

また、当連結会計年度でも、海洋石油・ガス開発分野において、低炭素化・脱炭素化に代表されるSDGs達成に向けたソリューションへのニーズのさらなる高まりを受け、当社グループは、社会と顧客の課題に応えるべく、2023年から浮体式海洋石油生産・貯蔵・出荷設備上で、従来技術よりも効率的かつ低コストで高濃度CO2を分離・回収し、海底への再注入を行うゼオライト膜の適用技術開発を継続して取り組んでおります。

低炭素・脱炭素化分野
温室効果ガス排出量削減に向けた取組みとして、当社グループではCO2フリー燃料の導入促進やカーボンリサイクル及びEMS(エネルギーマネジメントシステム)の観点で研究開発を行っております。
CO2フリー燃料としてCO2フリーアンモニアが国内で着目されており、2020年代半ばの日本でのCO2フリーアンモニアの商業実装に向けた検討が進められております。当社グループは、2014~2018年度に実施した内閣府による戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)のエネルギーキャリアプロジェクトの成果を活用し、再生可能エネルギーや化石資源からのCO2フリーアンモニアの製造・供給の社会実装を目指して、様々な案件のフィージビリティスタディに参画するとともに、CO2フリーアンモニアのより効率的な製造方法やコストダウンに向けた研究開発を行っております。特に、変動する再生可能エネルギー由来のCO2フリーアンモニア製造について、従来にはないダイナミックな変動型アンモニア合成を目指したシステムを開発しております。
再生可能エネルギー由来の水素を利用したグリーンケミカルの普及に際しては、天候・時刻・季節によって変動する再生可能エネルギーを利用し、いかにして安定的・効率的にケミカルを製造するかが課題になります。その課題解決のためには、統合制御システムの開発が必須となります。
当社グループは、福島県浪江町の福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)で製造される水素利用を想定したアンモニア製造プラントの基本設計や、統合制御システムの要件定義を行ってまいりました。この統合制御システムを組み込んだ再生可能エネルギー由来のグリーンアンモニア製造技術の実証プラントを福島県浪江町に建設しており、技術実証に向けて大きく進展しました。当社グループは、かかる実証プロジェクトを通じて、再生可能エネルギー由来の水素を原料とするグリーンアンモニア製造技術の確立を引き続き目指してまいります。
また、当社グループでは、NEDOの支援を受けて、輸入したアンモニアを熱分解し、水素を製造する技術の開発を行っております。現在、アンモニアを分解して水素を製造する技術は、要素技術の多くが商業レベルに達する一方で、実際は小型の装置でしか商業利用されておらず、大規模には行われていません。特に、アンモニア分解管と、アンモニア分解ガスから窒素ガスとアンモニアを分離精製する一段ガス製造装置(PSA方式)については、さらなる要素試験による検証・開発が必要であり、かかる技術開発による進展が期待されております。今後も、国内外で水素の利用拡大が見込まれる2030年の社会実装を視野に入れ、カーボンニュートラル社会に欠かせない大規模な水素製造の技術開発を行ってまいります。

資源循環分野
1. ケミカルリサイクル
当社グループでは、中期経営計画「BSP2025」において、ケミカルリサイクルを注力分野の1つと位置づけており、ガス化ケミカルリサイクル、油化、モノマー化(廃繊維リサイクル)を含め、幅広いプロセス技術を通じてケミカルリサイクルを推進し、循環型社会の構築に貢献していくことを目指しております。
廃プラスチックのケミカルリサイクルは、リサイクルが困難な異種素材や不純物を含むプラスチックを分解し、様々な化学物質に再生することが可能であり、リサイクル率の大幅な向上をもたらす技術として期待されております。当社グループは、荏原環境プラント株式会社とUBE株式会社からEUP(Ebara Ube Process)に関する技術供与、また株式会社レゾナック・ホールディングスから量産化技術の供与と運転支援を受け、廃プラスチックのリサイクル推進に向けて、①廃プラスチックのガス化設備及びガス化設備から製造される合成ガスを用いた化学品製造設備の提案、②廃プラスチックを原料とする水素製造装置の提案、並びに③廃プラスチックリサイクルを実現するためのバリューチェーン構築を行っております。このEUPは、2003年より稼働を続けているガス化設備で、世界で唯一の長期商業運転実績を有する極めて信頼性が高いプロセスです。さらに、EUPでは、混合プラスチックや不純物を含むプラスチックの活用が可能となります。当社グループは、廃プラスチックの活用及び地産地消水素の製造により、水素社会の実現にも貢献してまいります。

また、プラスチックのケミカルリサイクル技術の1つに油化技術があり、当社グループでは、10年間の運転実績を有する国内大型商用装置をベースとして、廃プラスチックの油化ケミカルリサイクルに関する自社ライセンス(Pyro-Blue®)の開発・提供を推進しております。当社グループの油化技術は、他の油化プロセスでは事前除去する必要があるPVC(塩化ビニル)やPET(ポリエステル)を含む混入プラスチックの処理が可能です。顧客が処理したい廃プラスチックを試験的に処理しサンプル油を製造できるベンチ装置も完成し、実際にサンプルを希望している顧客向けの提供を始めております。今後、処理できるプラスチックの種類拡大、装置の大型化による経済性向上、効率化等を進め、プラスチックの資源循環社会の実現に貢献していきます。
繊維産業においては、製造工程における大量のCO2排出や衣類の大量廃棄が課題となっております。使用済繊維製品の利用は、現状、熱利用を目的とする「サーマルリカバリー」や別の製品原料とする「マテリアルリサイクル」が一般的ですが、「ケミカルリサイクル」は繊維製品を再び繊維の原料へ化学分解することにより、繊維 to 繊維のリサイクルができる画期的な方法です。PET(ポリエステル)は、繊維製品だけではなく、ボトルをはじめ、フィルムや食品トレーなど多くの製品に使用されております。当社グループが提供するケミカルリサイクル技術は、着色されたポリエステルから染料や不純物を除去できるため、添加物、付着物等の影響によりメカニカルリサイクルできないポリエステル製品の受け皿としても機能し、製品を限定せず素材としてのポリエステル全体の資源循環を目指すことが可能な技術です。当社グループは、本技術のライセンスを提供する目的において「株式会社RePEaT(リピート)」を設立し、既に中国の浙江建信佳人新材料有限公司とライセンス契約を締結いたしました。

2. 持続可能な航空燃料(SAF)
2050年のカーボンニュートラルに向けて、航空分野における脱炭素化として、「空のカーボンニュートラル」の機運が高まっております。中・大型機に対しては、機体の軽量化と効率化を進める一方、燃料の低脱炭素化が必須とされております。また、空のカーボンニュートラル達成のためには、実質的にはSAF(Sustainable Aviation Fuel)が切り札とも言われており、世界的なSAF需要の高まりに対し、日本でも国産SAFの安定的な供給及び利用拡大は急務となっております。
当社グループは、廃食用油を原料としたSAFの継続的な生産及び利用体制の確立とバリューチェーンの構築による国内初となる国産SAFの実用化を達成いたしました。具体的には、「合同会社SAFFAIRE SKY ENERGY」を設立し、最大で年間約3万キロリットルのSAFを継続的に供給できる国内初の国産SAF大規模生産プラントを竣工させました。同社を通じて、2025年4月以降、当該プラントにて長期にわたるSAFの生産及び供給を行ってまいります。
加えて、SAFが持続可能な事業となるための機運醸成活動として、個人や自治体、企業がSAFの原料となる廃食用油の提供を通じ国内における資源循環の促進に直接参加ができる場である「Fry to Fly Project」を、当社が事務局となって2023年より開始し、既に200を超える企業、自治体、学校などの方々に参加していただいております。また、主に原料の種類にかかわらず国産SAFのサプライチェーン構築、普及と拡大を目指す「Act for Sky」についても、当社が代表幹事となって2022年より取り組んでおり、40を超える企業や自治体に参画していただいております。今後とも、国内において脱炭素化に向けた資源循環の促進に積極的に参加できる機会を創出し、また、これらの活動を通じて、個人や自治体、企業の行動変容に繋げていくことを目指してまいります。

バイオ分野
バイオ分野における取組みとして当社グループが注力しているものは、NEDOより前事業年度に採択された「グリーンイノベーション基金事業・バイオものづくり技術によるCO2を直接原料としたカーボンリサイクルの推進/CO2からの微生物による直接ポリマー合成技術開発」(以下、「グリーンイノベーション基金事業」という。)、及び当事業年度に採択された「バイオものづくり革命推進事業・木質等の未利用資源を活用したバイオものづくりエコシステム構築事業」(以下、「バイオものづくり革命推進事業」という。)となります。これらのバイオものづくりは、微生物を活用し、素材、エネルギー、食品など幅広い分野の製品を生み出す手法であり、経済協力開発機構(OECD)によると、2030年には世界の市場規模が200兆円に達すると試算されております。
グリーンイノベーション基金事業では、NEDOに対する共同提案者の株式会社カネカ、株式会社バッカス・バイオイノベーション及び株式会社島津製作所とともにバイオものづくりの社会実装に向けた開発を推進しております。その一環として、神戸市ポートアイランドにCO2を原料とした世界初のガス発酵プロセス研究棟建設を進めており、2025年12月に完成の予定です。当社は、将来市場の拡大が見込まれるバイオものづくりに向けて、株式会社バッカス・バイオイノベーションと共同で、微生物の開発・改良から生産プロセスの開発までをワンストップで手掛ける「統合型バイオファウンドリ®」※の事業を推進しており、当社グループが長年培ってきた安全にガスを取扱うハンドリング技術を活用し、世界初のガス培養技術開発を行っております。当該開発により、従来、数十年かかっていた微生物の開発から商業化までの期間を1/10以下に短縮し、社会実装に向けた時間とコストを大幅に削減することを目指してまいります。
バイオものづくり革命推進事業は、化石資源を原料とした既存の製造プロセスからバイオマスをベースとした製造プロセスへの転換を目指し、持続可能な原料の開発、微生物の育種、培養・分離・精製・加工プロセスの開発及び生産実証を一貫して実施するものであり、NEDOに対する共同提案者の王子ホールディングス株式会社、株式会社ENEOSマテリアル、大阪ガス株式会社、東レ株式会社、株式会社バッカス・バイオイノベーション及び当社が知見や技術を結集して開発を推進してまいります。当社グループは、ライフサイエンス分野の知見とエンジニアリング技術を融合し、木質等の多種多様な原料、微生物、プロダクト(製品)に対応したデータ駆動型の生産プロセス開発基盤を確立し、バイオものづくりプロセス開発に貢献するとともに、「バイオものづくりプラットフォーマー」としてバイオものづくり産業の普及推進に取り組みます。
また、当社グループは、「タイヤ原料のブタジエン選択率が高い」独自の触媒を保有しており、バイオマス由来の原料(エタノール)を使用してタイヤの原料となるブタジエンを製造するプロセス開発に取り組んでおります。株式会社ブリヂストン、株式会社ENEOSマテリアル及び当社は、2022年より各社の経営ビジョンに共通する持続可能な社会の実現に向けて、植物資源由来のバイオブタジエン及びタイヤ用合成ゴム製造の基礎的な技術検討や市場調査を進めており、今後も植物資源由来の合成ゴムを使用したタイヤの商業化に向けた取組みを加速してまいります。かかる取組みにより、タイヤ原材料のサステナビリティの向上や将来的なブタジエンの安定確保へ貢献していくとともに、植物資源由来の合成ゴムの使用により、タイヤの廃棄・リサイクル段階でのCO2削減にも貢献していきます。
※統合型バイオファウンドリは、株式会社バッカス・バイオイノベーションの登録商標です。

ライフサイエンス・ヘルスケア分野
1. ライフサイエンス
ライフサイエンス分野においては、低分子合成医薬品に加え核酸及びペプチドを含む中分子合成医薬品、バイオ医薬品を主体とする高分子医薬品の設備投資が増加傾向であり、これらの複合製剤を含む従来にない複雑な医薬品や活性の強い医薬品など、付加価値の高い医薬品が開発されております。当社グループでは、こうしたマーケット変化に対応すべく、以下の技術開発活動を推進しており、建設するプラント・施設への導入事例を増やすことで、技術差別化に繋げております。
①高薬理活性物質製造への対応:高薬理活性の医薬品製造において必要とされる高度な封じ込め技術と封じ込め性能を正しく評価する測定手法について医薬品業界内への浸透を進めております。
② 合成医薬品製造への対応:合成医薬品製造におけるプロセスの連続化について近年注目度が高まっており、知財戦略に基づき開発した製造技術の実装を推進しております。
③ 中分子医薬品製造への対応:上流の合成工程から下流の精製工程に対応する多様な製造法の実績を積み上げております。
④ バイオ医薬品製造への対応:大量培養に向けたスケールアップ技術及び高度な品質モニタリング技術の他、合成医薬品製造と同様に連続生産に向けた技術開発を進めております。
⑤ 再生医療等製品への対応:中期的に需要拡大が見込まれる根治治療に対し、個別プロセスの効率化や実現可能な設備コンセプト開発を支援し、社会実装を推進しております。
⑥ 製造DXシステム:新規大型設備だけでなく研究開発段階の設備や既設製造設備も適用可能な当社グループ独自の情報管理システム(HistoHub®)の開発及び実装を推進しております。
⑦ 固形製剤/無菌製剤製造におけるスマート工場の実現:ロボット活用による無人(塵)化の実現、情報管理と一体化した生産設備など、スマート工場のコンセプト開発を進めております。
⑧ 環境負荷低減対策:近年重要視されているライフサイクルアセスメント技術の強化を進めております。

2. ヘルスケア
ヘルスケア分野においては、「病院からのまちづくり」及び「病院から地域をデザインする」をキーワードとする「まちづくり×医療」への取組みを進めております。横浜市泉区ゆめが丘エリアに整備された複合商業施設「ゆめが丘ソラトス」及び「ゆめが丘総合病院」(当社グループが設計及び施工)並びに大規模居住施設を中心とするまちづくり活動においては、エリアマネジメント協議会に参画し、新たなコンセプト「WELL-BEING TOWN ゆめが丘」のもと、「食を中心としたサステナブルな社会を体感できるまち」、「自然、人との交流で健康になれるまち」、「子育てしやすいまち」及び「最先端で安全な暮らしやすいまち」の実現を目指してまいります。また、健康データ管理システム及びかかりつけ医連携システムを包含する「クラウドチェックアップ」の実装などに取り組み、「まちづくり×医療」を具現化したヘルスケアシティの実現を目指しております。
また、カンボジア王国で当社グループが出資するSunrise Japan Hospitalにおいては、順天堂大学医学部附属順天堂医院と初期臨床研修の実施に関する協定を締結し、公立大学法人奈良県立医科大学とは学術交流に関する協定及び同大学附属病院との初期臨床研修の実施に関する覚書を締結しました。これらの取組みを通じて、日本の高度な医療技術のカンボジア王国への導入をさらに進め、同国の医療水準の向上に貢献してまいります。加えて、当社グループでは、病院経営に参画することで得た医療、経営、運営の知見と、医療施設の設計との融合を図り、高い機能性とホスピタリティを持つ病院づくりを進めております。

原子力分野
当社グループは、原子力発電所及び再処理工場の廃止措置に係るプロジェクトマネジメントのサービス提供と廃棄物処理関連技術の開発を進めております。このうち、原子力発電所の廃止措置について、発電所内に貯蔵されている放射線量の高い使用済イオン交換樹脂を安全、かつ安定的に貯蔵するための分解技術の実用化に目処が得られつつあります。また、分解されたイオン交換樹脂を含む、多種・多様な放射性廃棄物への適用を目指し、閉じ込め性能の高い固型化技術の開発を進めております。さらに、原子力発電所や再処理工場を含む様々な原子力施設の廃止措置を対象に、長期間にわたる廃止措置プロジェクトを安全かつ効率的に実施するためのマネジメント支援システムを開発中です。
核融合については、実用化に向けた取組みが各国で加速していることを踏まえ、国内スタートアップのなかでも核融合関連技術に独自の強みを有する京都フュージョニアリング株式会社や核融合燃料の供給に不可欠な技術を有する株式会社MiRESSOへのCVCからの出資を通じて、技術の共創に向けた取組みを行っております。
国内外で注目されている小型モジュール炉(以下、「SMR」という。)をはじめとする次世代原子炉技術については、水素や再生可能エネルギーと並んで脱炭素社会の実現への貢献が期待され多くの炉型が提案されておりますが、なかでも米国NuScale Power, LLC(以下、「ニュースケール社」という。)が開発を進めるSMRが米国で初となる設計認証を取得しており、商業化に最も近いSMR技術であると言われております。この様な状況を踏まえ、当社グループは2021年3月に米国の特別目的会社を通じてニュースケール社に出資いたしました。また、2022年4月には株式会社国際協力銀行(JBIC)が、2024年11月には中部電力株式会社がそれぞれニュースケール社に出資しております。米国初のニュースケール社SMR実証プラントとして計画されていたプロジェクトは建設に至ることなく終了しましたが、新たな建設プロジェクトに向けた検討が進められており、当社グループも新規案件に向けてEPC準備業務を実施中です。
当社グループは、AIデータセンター電力需要や脱炭素電力需要に向けたSMRの将来的な市場拡大に伴って、中長期的には海外市場を中心にSMRのEPCプロジェクトを受注・遂行していくことを視野に入れ活動するほか、SMRと再生可能エネルギー設備、水素製造設備とのインテグレーションも検討していく予定です。

洋上風力発電分野
国内の洋上風力発電分野においては、「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」(2018年法律第89号)に基づくラウンド1からラウンド3までの事業者グループが決定されております。世界的な物価高騰を受けて、一部のプロジェクトの動向に不透明さはあるものの、日本政府は制度の見直しを含めた対応などにより、引き続き洋上風力発電の本格的な導入を推進しております。当社グループは、洋上風力発電分野の主力EPCコントラクターとなるべく、事業性検討や基本設計など早い段階から計画に関与しプロジェクトの受注を目指しております。
今後成長が期待されている浮体式洋上風力分野についても、NEDOのグリーンイノベーション基金における浮体式洋上風力実証事業の事業者が決定され、2030年以降の本格的な導入へ向けた動きが加速しております。当社もこれまで取り組んできた撤去実証事業やフィージビリティスタディ、浮体の要素技術の検討などに加えて、浮体のサプライチェーン構築に向けた取組みを開始しており、継続的に技術力・競争力の強化を図りながら、プロジェクト全体の最適化とマネジメント力を武器に受注拡大を目指して取り組んでまいります。


② 機能材製造事業

石油精製分野
石油精製企業は、化石燃料及び石化原料の安定供給に加え、カーボンニュートラルに向けたエネルギーシフトに対応する製油所の事業変革が求められております。当社グループでは、これら顧客のニーズ変化に対応する触媒及び触媒素材開発に取り組んでおります。
FCC触媒については、各製油所ニーズに対応する最適化触媒と技術サービスによる国内外製油所へのソリューション展開を図るとともに、高液収率と高オクタン価が両立する新規マトリックス素材を使用したFCC触媒を新たに開発し、市場展開に着手しました。水素化処理触媒については、競争力強化のため活性とコストの両立を目指し製造技術の高度化に取り組みました。また、海外石油会社と共同開発し採用された水素化分解触媒の改良にも取り組み、採用された製油所での継続採用及び他製油所への新たな採用に繋がりました。
当社グループの触媒調製技術を活用して開発されたゼオライトや非晶質シリカアルミナなどの触媒素材は、主に水素化分解触媒用材として触媒メーカーに採用されております。今後は石油精製分野だけでなくケミカルや環境保全分野にも素材販売を拡大する方針のもと、固体酸や細孔径制御に訴求性を有する触媒素材の開発を行い、顧客へのサンプルワークを開始しております。

石油化学分野
汎用石油化学市場は、汎用化学製品の需要減少と中国の化学プラント新設による供給過多が重なり低迷が継続しております。そのため、国内ケミカルメーカーは、汎用石化から高機能ケミカル製品へのポートフォリオ変革や競争力のあるプロセスへの転換及びケミカルリサイクルなどカーボンニュートラルの実現による持続可能な社会に向けた取組みを進めております。
当社グループにおいては、国内ケミカルメーカーの高機能ニーズに対応する高活性で高選択性を有する水添触媒の開発に取り組んでおり、高ニッケル含有水添触媒が良好な評価を得て採用されました。また、石精・石化原料中の硫黄や塩素を高効率で除去可能な各種吸着剤の市場展開により販売が拡大しております。これらの水添触媒や吸着剤技術開発は将来のケミカルリサイクルやCO2リサイクルプロセスへの触媒、吸着剤展開につながるため開発を継続してまいります。また、国内の実績と技術サービスをもとに触媒、吸着剤の海外展開に取組み販売拡大を目指しております。

環境保全分野・クリーンエネルギー分野
環境保全・クリーンエネルギー分野では、バイオマス混焼、専焼用及びごみ焼却場など低温脱硝向けの触媒開発に取り組み、触媒への高被毒環境物質存在環境下での初期活性と長寿命が両立する脱硝触媒の開発に目途を付け、工業化段階に進捗しました。当社グループでは、かかる触媒の早期の実商化及び拡販に向けて取り組んでおります。また、石油精製触媒部門と連携して、当社グループの特殊ゼオライトや素材を活用した次世代エネルギー源として期待される水素やアンモニアに関連する触媒や吸着剤の開発にも取り組んでおります。

生活関連(眼鏡、ライフサイエンス、化粧品)分野
薄肉化(高屈折率化)が進むプラスチック眼鏡レンズ用高屈折率ハードコート向け材料として、レンズの屈折率及び耐候性を高めるチタニアナノ粒子の顧客評価が進んでおります。一方、薄肉レンズの汎用化に合せたコスト競争力を高める検討も進めており、ブルーライトカット機能を有する高屈折率粒子や硬化時間短縮可能な高屈折率ハードコートラッカー塗布液を提案し、市場拡大に取り組んでおります。
ナノ粒子技術を活用しライフサイエンス分野に展開する検討の一環として、金属ナノ粒子技術を用いた特殊施設向け高濃度硝酸廃水分解触媒を開発し、パイロットプラントでの評価が開始されました。また、本技術を応用して一般事業所工業廃液に対応する汎用硝酸分解触媒についても開発を進めております。
マイクロプラスチック海洋汚染問題の原因の一つである化粧品マイクロプラスチックビーズ代替採用が進んでおります。当社グループでは、プラスチックビーズの使用感触に近いシリカマイクロビースを開発しており、その採用が拡大しております。また、より環境負荷の小さいボタニカルマイクロビーズに関しても、2023年より上市米澱粉(でんぷん) ビーズやもみ殻から抽出したシリカ原料を用いたビーズ開発に取り組んでおり、2026年度の商品化を目指しております。

電子材料分野
ChatGPTなど世界的な生成AIの拡大によりデータセンター向けストレージデバイスなどの需要が回復・拡大し、ハードディスクやHBMなど半導体デバイス市場が復調しております。ディスプレイ市場は中国政府の経済刺激策もあり市場は堅調に推移しております。ただし、かかる施策は需要の先食い懸念もあり今後の見通しは不透明な部分もあります。
現在、シリカゾルについては、ハードディスクやシリコンウェハー市場拡大対応として、増設プラントの2025年度竣工、顧客認定評価を経て、計画通り2026年度からの本格稼働を見込んでおります。また、一時停滞していた半導体CMP向け研磨材は、2026年度の本格採用に向け評価が進捗しております。高速通信用低誘電率シリカバルーン封止材も顧客中量テストが終了し、顧客へのサンプルワークが開始されており、2026年の量産化に向け順調に進んでおります。
高品位テレビ用機能性光学材料については、有機ELテレビ、QLEDテレビなどに展開しておりますが、デジタルサイネージュ、車載ディスプレイ、光学デバイスなど多用途展開に向けた材料開発とサンプルワークを進めております。

ファインセラミックス分野
ハイブリッド車、電気自動車、太陽光発電、LEDなどの高出力化や省エネルギーを達成するために、パワー半導体の高性能化が進んでおりますが、同時に絶縁放熱基板への要求が厳しくなってきております。その要求に応えるため、当社グループでは、ファインセラミックス分野における開発加速のためのオープンイノベーション及びアライアンスを強化し、推進しております。新規市場への参入を見据えた知財戦略については、日本ファインセラミックス株式会社が当社ガバナンス統括オフィス知的資産ユニット等と連携して立案し、実施しております。
当社グループでは、国立研究開発法人産業技術総合研究所と共同開発した独自の製造方法により世界最高レベルの放熱性・信頼性を持つ「高熱伝導窒化ケイ素基板」の開発及び事業化を推進してまいりました。既に新量産工場を立ち上げ、製品の品質及び生産性向上を実現しながら、さらなる高性能品開発及び増産体制の構築にも取り組んでおります。
通信分野においては、自動運転やIoTの普及に欠かせない5Gが本格導入され、今後、さらなるデータ量の増大に向けたBeyond 5Gなどの無線通信や光通信回線の大容量化・高速化が必須になります。当社グループでは、最先端の無線通信技術、光通信技術に対応できる薄膜回路基板、単板コンデンサなどの性能・信頼性向上などの開発・製造・販売を行っております。
今後成長が期待される再生医療分野においては、最先端の骨再生材料について国立大学法人東北大学などとの共同研究を継続しております。その他、当社グループ独自のセラミックス材料技術と高精度加工技術により、補助人工心臓用部品や「はやぶさ2」などの宇宙衛星用部品、半導体装置用部材や燃料電池用部材など、先端分野で使用される製品の開発や新材料の開発に大学や各研究機関などと連携して取り組んでおります。

事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01575] S100W7L9)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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