有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100TVS1 (EDINETへの外部リンク)
株式会社 ジーエス・ユアサ コーポレーション 研究開発活動 (2024年3月期)
当社グループは、自動車電池、産業電池電源、車載用リチウムイオン電池、その他の事業について、基盤技術から製品・製造技術に至るまで、積極的な研究開発活動を行っております。
自動車電池の研究開発は、国内においては、㈱GSユアサの技術開発部門、自動車電池技術部、㈱GSユアサ エナジーの技術開発部門などがそれぞれ実施しております。また、海外においては、海外生産拠点の技術開発部門、㈱GSユアサの技術開発部門、自動車電池技術部、GS Yuasa Asia Technical Center Ltd.などがそれぞれ実施しております。産業電池電源の研究開発は、㈱GSユアサの技術開発部門、産業電池生産本部技術部、電源システム開発本部、電源システム生産本部技術部、㈱GSユアサ ライティングサービスなどがそれぞれ実施しております。車載用リチウムイオン電池の研究開発は、㈱GSユアサの研究・技術開発部門、㈱ブルーエナジーの技術開発部、株式会社Honda・GS Yuasa EV Battery R&Dなどがそれぞれ実施しております。その他事業の研究開発は、㈱GSユアサの研究・技術開発部門、㈱ジーエス・ユアサ テクノロジーの技術部、㈱GSユアサ メンブレンの技術生産部などがそれぞれ実施しております。
当連結会計年度における研究開発費の金額は14,002百万円(連結グループ全体の研究開発費12,049百万円に、持分法適用関連会社である株式会社Honda・GS Yuasa EV Battery R&D(以下、HGYB)の研究開発費の総額1,952百万円を含めた金額)であります。HGYBは、持分法適用関連会社ではありますが、当社グループの主要な開発活動を担っている拠点であるため上記金額に含めております。当該金額は、すべて車載用リチウムイオン電池事業に係る研究開発費であります。
当連結会計年度における各事業別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は、次のとおりであります。
(1) 自動車電池
自動車電池においては、国内、海外における自動車用鉛蓄電池、二輪車用鉛蓄電池に関する研究開発を実施しております。
自動車用鉛蓄電池の国内においては、拡大しているHEV、BEV補機用途電池の開発を継続的に進めております。補修市場向けのEN電池シリーズにおいては、更なる減液抑制を達成できる技術を開発し、補水メンテナンスの軽減と耐久性向上を実現した電池を2023年6月に発売しました。これはGOA社と共同開発した触媒付液栓(GRテック液栓Ⓡ)によって、水の電気分解で発生した水素と酸素を再結合させるという独自技術によるものです。
海外においては、欧州を中心としたモビリティの電動化需要を見据え、駆動用リチウムイオンと並行して需要のある補機・バックアップ用鉛蓄電池の国際規格化への参画、および、この規格に適合するVRLA(AGM)電池開発を、トルコのInci GS Yuasa Aku Sanayi ve Ticaret Anonim Sirketiと開始しました。
二輪車用鉛蓄電池の分野では国内海外とも、レジャー用バイク、一般生活用のコミューターバイクなどに加え、自動車用補機用途など車両ニーズに適応した新技術の開発を進めております。二輪車においてもアイドリングストップ車やハイブリッド車などの環境対応車両への関心が高まってきており、当社グループの高い耐久性能と充電受入性能を実現した二輪車用鉛蓄電池が採用されております。
欧州市場において自動車用補機電池(12V電源用途)が拡大しており、GYAUXシリーズとして品種拡大/市場投入を推進しております。今後も大きな成長が見込まれるインド市場向けには、アイドリングストップ車用に加えて、ハイブリッド車用の制御弁式鉛蓄電池を開発し、品種の拡大と新車提案を進めております。また、性能面で選ばれるGY電池という市場イメージに加えて、原材料費変動に強く生産効率にも優れた、コスト競争力のある製品開発についても推進しております。更に、カーボンニュートラル達成に向け、製造時の充電方法の改良による省エネルギー化も推進しております。
この分野に係る研究開発費は、1,993百万円であります。
(2) 産業電池電源
産業電池及び電源装置事業では、産業用鉛蓄電池、電源装置、産業用リチウムイオン電池、照明に関する研究開発を実施しております。産業用鉛蓄電池の分野では、カーボンニュートラルへの貢献として、3R(リサイクル・リユース・リデュース)を軸とした環境配慮商品の推進に取り組んでおります。鉛蓄電池の優れたリサイクル性を活かした再生部材の適用率向上や接続部材リユースによる更なる循環性の向上、リデュースに関しましては、新技術や新製造手法による生産エネルギーの大幅削減や、データセンタ用途向けなど高温耐久性向上による蓄電池設備の空調節電を可能とする商品開発を国内外の工場にて目指しております。現在、量産化に向けて試作および評価を進めており、今後、商品ラインナップの拡充を計画していきます。
また、国内外における通信・UPS用途や太陽光併設などの再生可能エネルギー用途の分野では、新技術による短時間バックアップ性能やサイクル性能を大幅に向上させた商品を展開し、更なる顧客獲得を目指しております。
電気車用途の分野では、バッテリー式フォークリフトの需要が増加しているASEAN地域への拡販を目指しており、タイ工場において、新技術や新部材の活用による市場ニーズに適した商品開発に取り組んでおります。今年度より、順次、量産を開始予定であり、今後、更なる商品ラインナップの拡充を計画していきます。
電源装置分野では、蓄電システム併設用大容量PCSの開発に着手しました。2022年の電気事業法改正により、「蓄電所」における系統用蓄電池用PCS需要の高まりを見据え、2024年度内に500kW機/1MW機 2機種のリリースを予定しています。蓄電池とPCSを列盤構成とすることで設置面積の低減、蓄電池とPCSとの外部接続ケーブルレス化が実現でき、施工面でのメリットも生まれます。また、蓄電池メーカーならではの蓄電池を最大限に利用するための最適なPCS運転制御を実現し、2025年度には需要家向けのBCP用途に自立出力の機能追加も計画しています。
加えて電源装置分野では、中長期を見据えカーボンニュートラルの観点から環境負荷を減らすため「小型化・高効率」をテーマに変換効率99%の電力変換器の回路技術、電力会社との共同研究による制御技術を開発しており、更なる小型化とお客様の利便性を向上させるための電源の筐体・構造に関する新技術の検討を進めています。開発効率の向上と共通部材の使用率の向上をするために、最新のシミュレーション技術を導入したフロントローディング設計やモジュラー設計にも取り組んでいます。以上のような技術を取り入れ、2023年度はユニット並列冗長方式UPS、MLUシリーズにおいてリチウムイオンバッテリー対応版や屋外型常時商用1kVA UPS,SGU-Aにおいて1kVA~5kVAまで並列増設を可能にした製品を発売しました。
産業用リチウムイオン電池分野では、蓄電システム向けに屋外用蓄電盤の開発に着手しました。蓄電池盤タイプとすることで国内狭小地への施工、一般貨物輸送が可能となり、小・中規模の蓄電システムへの適用増加を狙います。1システム当たり、最大16面の蓄電池盤が接続でき、前述の大容量PCSと組み合わせることで柔軟な蓄電システムの構成が可能となります。また、弊社独自の遠隔監視による解析・診断、保守・保全、容量保証の各種サービスを取り揃えた「STARELINK®サービス」にも対応しており、2024年度内のリリースを予定しています。
照明分野では、「省エネ」+「省資源」をキーワードに独自性のある研究開発を進めています。2023年度は、LEDの普及が遅れている市場向けに、マーケットイン型の製品開発に取り組みました。2024年度の商品化を計画しています。
この分野に係る研究開発費は、4,089百万円であります。
(3) 車載用リチウムイオン電池
車載用リチウムイオン電池事業では、㈱ブルーエナジーで生産を行うHEV(ハイブリッド車)用リチウムイオン電池、GSユアサ栗東工場で生産を行うBEV(電気自動車)用、PHEV(プラグインハイブリッド車)用、車載12V用のリチウムイオン電池があります。HEV用リチウムイオン電池においては、新車メーカーへ納入する次期モデルのセル・モジュールの開発推進を行いました。また、この開発の中で、負極の素材変更による高出力低コスト化を実現しました。
PHEV用リチウムイオン電池においては、高容量のNCM系正極材料を適用して、エネルギー密度を従来電池よりも40%以上アップし、かつ高出力/長寿命性能を有する新型電池LEV65の開発を進めております。量産準備段階まで開発が進んでおり、2024年6月から量産開始を予定しております。
BEV用リチウムイオン電池においては、本田技研工業株式会社との合弁による新会社「株式会社Honda・GS Yuasa EV Battery R&D」で、拡大するバッテリー需要に対応するため、電極材料や構造設計によりグローバルレベルで高い競争力を持つ高入出力性能と長寿命性能を有したリチウムイオンバッテリーの製造方法と研究開発を進めております。加えて、主要原材料のサプライチェーンや効率的な生産システムの構築も進めております。
車載12V用リチウムイオン電池においては、始動用12Vリチウムイオンバッテリーで培った優れた低温出力特性を損なうことなく、新品時の出力特性が車両寿命末期まで維持できる高耐久の次世代BEV用補機電池開発を進めております。
将来の車載用電池事業に向けたポストリチウムイオン電池の研究開発については、高容量なシリコン系負極を用いた電池開発に取り組んでいます。高エネルギー密度と長寿命性能を両立するシリコン系負極電池の開発成果を2023年6月発行のGSユアサテクニカルレポートに掲載しております。
全固体電池については、2022年にNEDO「グリーンイノベーション基金事業/次世代蓄電池・次世代モーターの開発」に採択された補助金を活用し、当社独自の固体電解質技術をベースに高エネルギー密度化を目指して、特徴ある電池を開発しております。全固体電池の実用化に向けて今後もさらに研究開発のスピードを加速させていきます。
この分野に係る研究開発費は7,595百万円(セグメント全体の研究開発費5,642百万円に、HGYBの研究開発費の総額1,952百万円を含めた金額)であります。
(4) その他
その他事業では、航空宇宙用リチウムイオン電池に関する研究開発を実施しております。航空用途では、米国ボーイング社787型機に搭載されるリチウムイオン電池を納入中です。宇宙用途では、液体燃料ロケット「H-ⅡA」および「H3」に、当社グループのロケット用リチウムイオン電池を納入しております。また、人工衛星用途では、宇宙ステーションの電源をはじめとし、X線分光撮像衛星「XRISM」、準天頂衛星システム「みちびき」、宇宙ステーション補給機「シグナス」など、数多くに搭載されております。当社グループの電池は現在までに250機以上の人工衛星や宇宙ステーション補給機などの宇宙機に搭載されており、軌道投入容量で世界トップクラスを維持しています。
2019年から継続実施しているNEDO航空機用先進システム実用化プロジェクトにおける軽量なリチウム硫黄電池の研究開発については、5年間の研究開発に取り組み、質量エネルギー密度500Wh/kgのセル開発に成功しました(現行のリチウムイオン電池の2倍以上のエネルギー密度)。本プロジェクトはおおよそのプロジェクト目標を達成し、2023年度末に完了しました。
膜分野においては、鉛蓄電池のセパレータ技術を応用した分離・精製・浄化などを目的とした膜を開発しております。環境関連機器の分野では、固液分離システムの小型化に取り組んでおり、これまでコストやスペースの都合で導入が進んでこなかった小規模工場や植物工場などに向けた小型、省エネルギーの膜分離ユニットの実証試験を進めています。また、気体分離においてもカーボンニュートラル推進に寄与する新規膜製品の開発を進めており、環境負荷低減に貢献する製品の拡充を進めております。
この分野に係る研究開発費は、324百万円であります。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E02089] S100TVS1)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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