有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100T5D4 (EDINETへの外部リンク)
株式会社ノーリツ 事業等のリスク (2023年12月期)
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している全社重要リスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)リスクマネジメント活動の目的
当社グループは、新たに次期中期経営計画『Vプラン26』策定に伴い、ERM(統合的リスクマネジメント)体制を再構築しました。事業活動の継続・発展及び事業目標達成のために、ERM活動のコンセプトを取締役会にて決定し、経営戦略である『Vプラン26:Vision』と一体となったリスクマネジメント活動を進めていきます。事業活動の継続に関わるサステナビリティ経営の推進や、マテリアリティ(重点課題)に関わる新たな事業取組のリスクについて、ガバナンス体制(取締役会・サステナブル委員会)とERMが一体となり、リスク対応状況のモニタリングを実施します。ERMが正しく機能するために、「3つのラインモデルによる内部統制システム」を合わせて適切に運用し、経営体制として『ガバナンス-ERM-内部統制』を一体的に運用して参ります。
(2)リスクマネジメント体制について
当社グループは、サステナブル委員会にてリスクマネジメントを含むESGに関わる内容を議論しており、委員長である経営戦略統括本部長を全社リスク統括責任者として、リスクマネジメント統轄部門である総務法務部の指示のもと、各本部の内部統制責任部門がリスクマネジメント活動を実施しています。当社の重要度の高いリスク項目はサステナブル委員会での審議を経たのち、主要なリスク項目の内容は「全社重要リスク」として、取締役会で報告しています。「全社重要リスク」は取締役会にてモニタリングを実施し、経営者が重要と認識しているリスク項目について、管轄部門の対応状況を確認することができる体制を構築しております。
(3)リスクマネジメントのプロセス
リスクマネジメント活動のプロセスは、各本部の内部統制責任部門が事業活動に影響を与えるリスク項目を特定し、特定したリスク項目を発生頻度と影響度の2つの判断基準で評価します。次に、実施した評価をもとに、「リスクマップ」を作成し、重要度の高いリスク項目についてリスク対応計画を策定します。リスクマップは発生頻度と影響度に合わせて4つのエリアに分け、リスク回避・リスク低減・リスク移転・リスク保有をガイドラインとして指示し、各部門にてリスク対応計画の策定を進めています。策定された計画内容は、サステナブル委員会で報告し実施状況をモニタリングします。モニタリングを通して、次年度のリスクマネジメント活動のリスク項目の特定へ、サイクルを回していくことがリスクマネジメント活動のプロセスになります。
(4)全社重要リスクの決定
全社重要リスクの決定プロセスは、サステナブル委員会で報告しているリスクマネジメント活動における全社リスクマップをもとに、リスク回避エリアを中心に緊急で対応が必要となる重要リスクを抽出し、サステナブル委員会で報告をしています。サステナブル委員会での議論を経て、取締役会にて重要リスクの決定を最終決議しております。取締役会にて重要リスクへの対応状況のモニタリングは年2回実施し、当年度のリスクマネジメント活動状況の報告と合わせて行っており、重要リスクの対応状況と、当年度のリスクマネジメント活動から抽出された新たなリスク項目と合わせて、取締役会にて翌年度の重要リスクの決定決議を行います。モニタリング状況により、継続対応が必要なリスク項目は、引き続き重要リスクとしてモニタリング対象とし、対応の目途や、対応方針が固まったリスク項目については対象からは引き下げ、主管部門における通常の業務課題として対応を進めてまいります。
(5)全社重要リスク対応
経営者が連結会社の財政状態、経営成績の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している「全社重要リスク」は以下のとおりであります。
① サプライチェーンの分断
新型コロナウイルスの感染拡大による諸外国でのロックダウンや世界的な電子部品の供給不足により部品調達が困難となったことで、国内の生産活動や製品の出荷への多大な影響を経験し、サプライチェーンの再構築を優先課題として推し進めてまいりました。今後も、新型コロナウイルス感染症の様な重大な感染症が流行した場合に限らず、部品調達先での大規模な行動制限等のロックダウンの発生や世界各地での紛争の発生による地政学的リスク影響により、サプライチェーンが分断される可能性があります。また、国内外問わず、大規模な台風、地震等の自然災害が発生し、生産活動に関わる仕入先等の操業中止・被災・倒産、物流に支障が生じることによって、生産部品の調達が困難となり、製品の出荷ができなくなる可能性があり、サプライチェーンの分断は、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす重要なリスク項目として継続して対応に取り組んでまいります。
製品の安定供給を最優先に取り組み、部品の調達難に対しては、調達条件の変更や代替部品確保などの対策を進め、受注残は解消し納期も正常化致しました。部品調達体制を強化するため、主要部品ごとに「複社購買」「拠点分散」「単一国供給」「生産安定性」の項目を整理し、リスクが高い部品から優先的に、新規調達先の検討と性能品質の検査を行い、複社購買化を推進しました。調達リスクの低減は順調に進められておりますが、依然として対応の必要な部品が残っており、生産部品の中長期的な安定供給へ向けた体制構築に引き続き取り組んでまいります。
② IT・情報セキュリティ
当社グループは事業活動の大半において情報システムを利用しており、情報システムの通信ネットワークに生じる障害や情報システムのハードウェア、もしくはソフトウェアの不具合・欠陥、データセンターの機能停止等により事業活動が一時的に停止する可能性があります。また、国内企業においてもコンピューターウイルスやサイバー攻撃、サイバーテロなどによって情報システムの不具合が発生している事例が見受けられます。当社グループの生産活動に関連した情報システムが影響を受け、製品の出荷が停止することは、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす重要なリスクと認識しております。また、情報セキュリティ上の不備により、社内の重要な機密情報が外部に流出するリスクを抱えています。個人情報については、当社グループ関係者などの故意または過失による外部流出、またサイバー攻撃等により第三者へ不正取得された場合には、賠償責任の他、当社グループのブランドイメージの低下により、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。個人情報の他にも、製品情報や開発情報の漏洩、経営戦略情報や、インサイダー情報に関わる決算情報など、様々な重要情報の漏洩防止について、対応が必要となる重要なリスク項目と認識しております。
ファイアウォールなどのいわゆる出入口対策のほかにも、外部・内部からの不正アクセスやエンドポイントの常時監視など、多層的な情報保護対策を行っており、更なるセキュリティの強化に向け、グループ統一のクラウドストレージの導入を進めてまいりました。システムの導入により、ランサムウェア等のサイバー攻撃による不正アクセスの常時監視、バックアップによる情報資産の保護を実施するとともに、個人情報の流出対応強化に向けては、その他の重要機密情報も含め、機密レベルに応じたアクセス権限を設けることで、重要情報へのアクセスを一部の責任者のみに限定する体制の構築を進めます。システムの導入は既に開始しており、切り替えの運用は順調に行われておりますが、グループ全体で随時切り替えを進めている状態であり、体制構築の完了に向けた対応を継続して取り組んでまいります。
個人情報の取得・取り扱い・管理・開示・訂正・利用停止などの方法については、プライバシーポリシーを定めるとともに、社内規定の整備、個人情報の取り扱いを記した冊子の配布を実施し、個人情報の適正な管理を実施しています。また、情報セキュリティに関連する規定(「ノーリツグループ情報セキュリティ基本規定」「情報セキュリティ共通対策基準」等)の整備に加えて、情報セキュリティに関するEラーニングや標的型メール訓練を役職員に実施するなど教育・研修の徹底を図っております。
③ 品質不正リスク
近年社会からの品質への要求が高まる中、企業における品質不正事例が発生しております。品質データの不正書き換えや品質検査データの改ざん、性能偽装により環境基準等の認証の不正問題などが、発生した品質不正事例と確認しております。メーカーとして品質における不正が発生してしまった場合、当社グループのブランドイメージが低下し、ステークホルダーに与える影響が大きく、製品に関わる賠償費用やリコール対応費用の他、製品販売台数減少によって、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす重要なリスクと認識しております。経営からも改めて監査部門へ品質不正に関わる事例が無いか調査を指示し、ノーリツグループ内において発生事例は無いことを確認しております。
品質コンプライアンスに関わる内部統制の構築を推進しています。ISO内部監査で品質不正の観点を追加し、生産工程のFMEAにおいて、生産工程における品質不正の発生が起きないような仕組みを構築しました。又、品質を高めるためには、企画・開発・調達・製造・販売・施工・アフターサービスまで関わる全ての部門が品質に対する意識を持つことが必要となるため、ノーリツグループ『品質方針』を改定し、「品質=製品品質」という従来の考え方から脱却した、新たな『品質ガイドライン』を各部門へ展開しました。今後も、「品質コンプライアンスに関わる内部統制」を構築し、製品品質とサービス品質の両方を高め、各本部で品質不正が起こらない管理体制づくりを継続して進めてまいります。
④ 人材確保難
当社グループの事業活動において、従業員は大切な資産であり、会社の発展には多様な人材が必要と捉えています。国内は、労働人口減少や求人倍率の増加を背景とした人材不足が顕在化しており、劇的に変化する社会のニーズに対応し、多様な価値観・才能・ライフスタイルを持った人材が能力を最大限発揮出来る会社・職場にしなければ、有能な社員や将来を担う若手社員などの離職により、製品・サービスの品質が落ちることで、事業活動における競争力が低下することは、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす重要なリスクと認識しております。
経営戦略と連動した人材確保に向け、新卒採用だけではなく、経験者採用や専門職の採用の比率を増やし、あるべき人材ポートフォリオの形成を進めています。また、成果創出支援だけでなく、多様化する価値観をもった従業員のやりがい創出やキャリア自立支援を目的としたマネジメントへの変革や、従業員がありたいキャリアを考える機会の提供とそれを実現できる制度の充実に取り組むことで、従業員のエンゲージメントを向上させていきます。
⑤ 海外国基準対応
当社グループは、中国・香港・北米・豪州にグループ会社を設置しており、中期経営計画『Ⅴプラン26』事業ポートフォリオの変革においても、海外事業の拡大は重要な課題として位置づけております。世界的にカーボンニュートラルへの対応要請が高まる中、製品に関する電力等のエネルギー使用量の認証や燃焼機器における熱効率基準の他、製品や事業活動におけるCO2排出量等の基準への対応状況により、販売活動が制限される可能性があります。海外における各国の法令や基準等の変更に対応できなければ、海外での製品販売事業に重大な影響を与えるリスクとなるため、全社重要リスクとして新たに特定を致しました。
各国における製品・販売基準の情報収集を進め、各種基準への対応体制を構築してまいります。各国の法令や規定、認証、販売の基準等の変更が予想される時期をロードマップとして整理し、リスクが高い項目を優先対象として進めてまいります。
⑥ 製品含有化学物質対応
当社グループは、ガス・石油機器の製造及び販売を主力事業としており、サステナブル調達への要請が高まる中、サプライヤーからの調達部品が、材質や製品含有化学物質に関する規制の基準に違反していた場合や人権侵害等による不法行為による生産部品の他、紛争地域の資金源となる鉱物などが使用されていた場合、それらを使用して製造された製品は、今後の規制強化に伴い販売ができなくなる可能性があります。海外の国基準への対応とともに、サプライヤーからの調達部品の管理を進め、法令を遵守した調達活動を実施し対応しなければ、市場から排除され、将来的な事業活動に影響を及ぼすリスクとなるため、全社重要リスクとして新たに特定を致しました。
製品含有化学物質の規制基準の情報収集を進めるとともに、調達部品において使用されている物質について、サプライヤーと共同で情報管理を進め、対応体制構築を進めます。環境法令の基準変更の時期をロードマップとして整理し、リスクが高い項目を優先対象として進めてまいります。
⑦ 新規国 商品展開
中期経営計画『Vプラン26』の基本方針において、重要戦略「事業ポートフォリオの変革」を掲げております。今後、住宅着工数など国内の需要が減少していくことが予想され、事業活動に影響を与えるリスクと特定するとともに、住宅向け温水分野に偏重した事業構造の変革を進めていくことが、リスクマネジメント対応においても重要課題であると認識しております。それらの外部環境を踏まえ、海外事業において、中国エリアや北米エリアなど既存エリアでの事業拡大を継続しつつ、新規市場エリアの開拓も推進していかなければ、将来的な事業活動に影響を及ぼすリスクとなるため『新規国 商品展開』を新たに重要リスクとして特定致しました。
事業拡大を進めるにあたっての各国特有の規制や法令など社会情勢の他、市場情報と販売プロセスなどの項目から、リスク特定を実施します。特定されたリスク内容をもとに、優先的に対応が必要となるリスク項目について、取締役会でのモニタリングを通して、活動の進捗状況を確認します。
※ 環境対応 低炭素経済
前事業年度において、全社重要リスクとしておりました「環境対応 低炭素経済」について、製品においては環境配慮型商品の開発及び普及を進め、事業活動においては、「RE100」に加盟し、事業所での再生可能エネルギー100%化に向けて取組を進めてまいりました。
環境配慮型商品開発のPJが発足され、部門連携を図りながら活動が実施できる体制が整いましたので、今後は通常業務における事業課題として、取組を進めてまいります。
事業活動における「RE100」の推進については、「RE100推進PJ」による各事業所における再生可能エネルギー100%化に向けた試算と実施のロードマップが完成しましたので、全社重要リスクからは引き下げ、今後は省エネルギー設備への更新など、通常業務における事業課題として、取組を進めてまいります。
※ 地政学リスク
前事業年度において、全社重要リスクとしておりました「地政学リスク」について、サプライチェーンへの影響と海外で勤務をしているグループ社員への影響について、リスク対応を進めてまいりました。
地政学リスクに起因するサプライチェーンへの影響は、重要リスクである『サプライチェーンの分断』と統合し、複社購買政策と合わせて対応してまいります。
海外で勤務をしているグループ社員への影響につきましては、有事発生の際、安全に帰国できるようサポートサービスを付帯した海外危機管理に関わる保険への加入を進め、地政学的な有事の他、テロの発生や大規模な自然災害の発生時に、グループ社員の安全を確保できる体制構築の目途がたちましたので、重要リスクから引き下げることと致しました。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)リスクマネジメント活動の目的
当社グループは、新たに次期中期経営計画『Vプラン26』策定に伴い、ERM(統合的リスクマネジメント)体制を再構築しました。事業活動の継続・発展及び事業目標達成のために、ERM活動のコンセプトを取締役会にて決定し、経営戦略である『Vプラン26:Vision』と一体となったリスクマネジメント活動を進めていきます。事業活動の継続に関わるサステナビリティ経営の推進や、マテリアリティ(重点課題)に関わる新たな事業取組のリスクについて、ガバナンス体制(取締役会・サステナブル委員会)とERMが一体となり、リスク対応状況のモニタリングを実施します。ERMが正しく機能するために、「3つのラインモデルによる内部統制システム」を合わせて適切に運用し、経営体制として『ガバナンス-ERM-内部統制』を一体的に運用して参ります。
(2)リスクマネジメント体制について
当社グループは、サステナブル委員会にてリスクマネジメントを含むESGに関わる内容を議論しており、委員長である経営戦略統括本部長を全社リスク統括責任者として、リスクマネジメント統轄部門である総務法務部の指示のもと、各本部の内部統制責任部門がリスクマネジメント活動を実施しています。当社の重要度の高いリスク項目はサステナブル委員会での審議を経たのち、主要なリスク項目の内容は「全社重要リスク」として、取締役会で報告しています。「全社重要リスク」は取締役会にてモニタリングを実施し、経営者が重要と認識しているリスク項目について、管轄部門の対応状況を確認することができる体制を構築しております。
(3)リスクマネジメントのプロセス
リスクマネジメント活動のプロセスは、各本部の内部統制責任部門が事業活動に影響を与えるリスク項目を特定し、特定したリスク項目を発生頻度と影響度の2つの判断基準で評価します。次に、実施した評価をもとに、「リスクマップ」を作成し、重要度の高いリスク項目についてリスク対応計画を策定します。リスクマップは発生頻度と影響度に合わせて4つのエリアに分け、リスク回避・リスク低減・リスク移転・リスク保有をガイドラインとして指示し、各部門にてリスク対応計画の策定を進めています。策定された計画内容は、サステナブル委員会で報告し実施状況をモニタリングします。モニタリングを通して、次年度のリスクマネジメント活動のリスク項目の特定へ、サイクルを回していくことがリスクマネジメント活動のプロセスになります。
(4)全社重要リスクの決定
全社重要リスクの決定プロセスは、サステナブル委員会で報告しているリスクマネジメント活動における全社リスクマップをもとに、リスク回避エリアを中心に緊急で対応が必要となる重要リスクを抽出し、サステナブル委員会で報告をしています。サステナブル委員会での議論を経て、取締役会にて重要リスクの決定を最終決議しております。取締役会にて重要リスクへの対応状況のモニタリングは年2回実施し、当年度のリスクマネジメント活動状況の報告と合わせて行っており、重要リスクの対応状況と、当年度のリスクマネジメント活動から抽出された新たなリスク項目と合わせて、取締役会にて翌年度の重要リスクの決定決議を行います。モニタリング状況により、継続対応が必要なリスク項目は、引き続き重要リスクとしてモニタリング対象とし、対応の目途や、対応方針が固まったリスク項目については対象からは引き下げ、主管部門における通常の業務課題として対応を進めてまいります。
(5)全社重要リスク対応
経営者が連結会社の財政状態、経営成績の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している「全社重要リスク」は以下のとおりであります。
全社重要リスク | リスク概要 | 前年比較 | |
① サプライチェーンの分断 | 生産部品の供給停止による製品生産・販売活動の停止 | 継続 | |
② IT・情報セキュリティ | 機密情報の漏洩、ランサムウェアによる損害費用の発生 サイバー攻撃によるシステム障害の発生、生産・販売活動停止 | 継続 | |
③ 品質不正リスク | 製品品質の不正が発生する事による生産活動の停止 | 継続 | |
④ 人材確保難 | 人材確保難化 業務後継者不足 開発・販売競争力低下影響 | 継続 | |
⑤ 海外国基準対応 | 海外法規制基準変化 カーボンニュートラル対応 製品性能基準への対応 | 新規 | |
⑥ 環境負荷物質対応 | 製品含有化学物質 サプライ部品調達の使用物質管理対応 | 新規 | |
⑦ 新規国 商品展開 | 国内需要の減少するリスクへ、新規市場開拓対応 | 新規 | |
※ 環境対応 低炭素経済 | 環境配慮型商品開発 事業活動における環境配慮への対応 | 引き下げ | |
※ 地政学リスク | 地政学的有事によるサプライ影響 グループ社員へ危機対応 | 引き下げ |
① サプライチェーンの分断
新型コロナウイルスの感染拡大による諸外国でのロックダウンや世界的な電子部品の供給不足により部品調達が困難となったことで、国内の生産活動や製品の出荷への多大な影響を経験し、サプライチェーンの再構築を優先課題として推し進めてまいりました。今後も、新型コロナウイルス感染症の様な重大な感染症が流行した場合に限らず、部品調達先での大規模な行動制限等のロックダウンの発生や世界各地での紛争の発生による地政学的リスク影響により、サプライチェーンが分断される可能性があります。また、国内外問わず、大規模な台風、地震等の自然災害が発生し、生産活動に関わる仕入先等の操業中止・被災・倒産、物流に支障が生じることによって、生産部品の調達が困難となり、製品の出荷ができなくなる可能性があり、サプライチェーンの分断は、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす重要なリスク項目として継続して対応に取り組んでまいります。
製品の安定供給を最優先に取り組み、部品の調達難に対しては、調達条件の変更や代替部品確保などの対策を進め、受注残は解消し納期も正常化致しました。部品調達体制を強化するため、主要部品ごとに「複社購買」「拠点分散」「単一国供給」「生産安定性」の項目を整理し、リスクが高い部品から優先的に、新規調達先の検討と性能品質の検査を行い、複社購買化を推進しました。調達リスクの低減は順調に進められておりますが、依然として対応の必要な部品が残っており、生産部品の中長期的な安定供給へ向けた体制構築に引き続き取り組んでまいります。
② IT・情報セキュリティ
当社グループは事業活動の大半において情報システムを利用しており、情報システムの通信ネットワークに生じる障害や情報システムのハードウェア、もしくはソフトウェアの不具合・欠陥、データセンターの機能停止等により事業活動が一時的に停止する可能性があります。また、国内企業においてもコンピューターウイルスやサイバー攻撃、サイバーテロなどによって情報システムの不具合が発生している事例が見受けられます。当社グループの生産活動に関連した情報システムが影響を受け、製品の出荷が停止することは、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす重要なリスクと認識しております。また、情報セキュリティ上の不備により、社内の重要な機密情報が外部に流出するリスクを抱えています。個人情報については、当社グループ関係者などの故意または過失による外部流出、またサイバー攻撃等により第三者へ不正取得された場合には、賠償責任の他、当社グループのブランドイメージの低下により、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。個人情報の他にも、製品情報や開発情報の漏洩、経営戦略情報や、インサイダー情報に関わる決算情報など、様々な重要情報の漏洩防止について、対応が必要となる重要なリスク項目と認識しております。
ファイアウォールなどのいわゆる出入口対策のほかにも、外部・内部からの不正アクセスやエンドポイントの常時監視など、多層的な情報保護対策を行っており、更なるセキュリティの強化に向け、グループ統一のクラウドストレージの導入を進めてまいりました。システムの導入により、ランサムウェア等のサイバー攻撃による不正アクセスの常時監視、バックアップによる情報資産の保護を実施するとともに、個人情報の流出対応強化に向けては、その他の重要機密情報も含め、機密レベルに応じたアクセス権限を設けることで、重要情報へのアクセスを一部の責任者のみに限定する体制の構築を進めます。システムの導入は既に開始しており、切り替えの運用は順調に行われておりますが、グループ全体で随時切り替えを進めている状態であり、体制構築の完了に向けた対応を継続して取り組んでまいります。
個人情報の取得・取り扱い・管理・開示・訂正・利用停止などの方法については、プライバシーポリシーを定めるとともに、社内規定の整備、個人情報の取り扱いを記した冊子の配布を実施し、個人情報の適正な管理を実施しています。また、情報セキュリティに関連する規定(「ノーリツグループ情報セキュリティ基本規定」「情報セキュリティ共通対策基準」等)の整備に加えて、情報セキュリティに関するEラーニングや標的型メール訓練を役職員に実施するなど教育・研修の徹底を図っております。
③ 品質不正リスク
近年社会からの品質への要求が高まる中、企業における品質不正事例が発生しております。品質データの不正書き換えや品質検査データの改ざん、性能偽装により環境基準等の認証の不正問題などが、発生した品質不正事例と確認しております。メーカーとして品質における不正が発生してしまった場合、当社グループのブランドイメージが低下し、ステークホルダーに与える影響が大きく、製品に関わる賠償費用やリコール対応費用の他、製品販売台数減少によって、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす重要なリスクと認識しております。経営からも改めて監査部門へ品質不正に関わる事例が無いか調査を指示し、ノーリツグループ内において発生事例は無いことを確認しております。
品質コンプライアンスに関わる内部統制の構築を推進しています。ISO内部監査で品質不正の観点を追加し、生産工程のFMEAにおいて、生産工程における品質不正の発生が起きないような仕組みを構築しました。又、品質を高めるためには、企画・開発・調達・製造・販売・施工・アフターサービスまで関わる全ての部門が品質に対する意識を持つことが必要となるため、ノーリツグループ『品質方針』を改定し、「品質=製品品質」という従来の考え方から脱却した、新たな『品質ガイドライン』を各部門へ展開しました。今後も、「品質コンプライアンスに関わる内部統制」を構築し、製品品質とサービス品質の両方を高め、各本部で品質不正が起こらない管理体制づくりを継続して進めてまいります。
④ 人材確保難
当社グループの事業活動において、従業員は大切な資産であり、会社の発展には多様な人材が必要と捉えています。国内は、労働人口減少や求人倍率の増加を背景とした人材不足が顕在化しており、劇的に変化する社会のニーズに対応し、多様な価値観・才能・ライフスタイルを持った人材が能力を最大限発揮出来る会社・職場にしなければ、有能な社員や将来を担う若手社員などの離職により、製品・サービスの品質が落ちることで、事業活動における競争力が低下することは、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす重要なリスクと認識しております。
経営戦略と連動した人材確保に向け、新卒採用だけではなく、経験者採用や専門職の採用の比率を増やし、あるべき人材ポートフォリオの形成を進めています。また、成果創出支援だけでなく、多様化する価値観をもった従業員のやりがい創出やキャリア自立支援を目的としたマネジメントへの変革や、従業員がありたいキャリアを考える機会の提供とそれを実現できる制度の充実に取り組むことで、従業員のエンゲージメントを向上させていきます。
⑤ 海外国基準対応
当社グループは、中国・香港・北米・豪州にグループ会社を設置しており、中期経営計画『Ⅴプラン26』事業ポートフォリオの変革においても、海外事業の拡大は重要な課題として位置づけております。世界的にカーボンニュートラルへの対応要請が高まる中、製品に関する電力等のエネルギー使用量の認証や燃焼機器における熱効率基準の他、製品や事業活動におけるCO2排出量等の基準への対応状況により、販売活動が制限される可能性があります。海外における各国の法令や基準等の変更に対応できなければ、海外での製品販売事業に重大な影響を与えるリスクとなるため、全社重要リスクとして新たに特定を致しました。
各国における製品・販売基準の情報収集を進め、各種基準への対応体制を構築してまいります。各国の法令や規定、認証、販売の基準等の変更が予想される時期をロードマップとして整理し、リスクが高い項目を優先対象として進めてまいります。
⑥ 製品含有化学物質対応
当社グループは、ガス・石油機器の製造及び販売を主力事業としており、サステナブル調達への要請が高まる中、サプライヤーからの調達部品が、材質や製品含有化学物質に関する規制の基準に違反していた場合や人権侵害等による不法行為による生産部品の他、紛争地域の資金源となる鉱物などが使用されていた場合、それらを使用して製造された製品は、今後の規制強化に伴い販売ができなくなる可能性があります。海外の国基準への対応とともに、サプライヤーからの調達部品の管理を進め、法令を遵守した調達活動を実施し対応しなければ、市場から排除され、将来的な事業活動に影響を及ぼすリスクとなるため、全社重要リスクとして新たに特定を致しました。
製品含有化学物質の規制基準の情報収集を進めるとともに、調達部品において使用されている物質について、サプライヤーと共同で情報管理を進め、対応体制構築を進めます。環境法令の基準変更の時期をロードマップとして整理し、リスクが高い項目を優先対象として進めてまいります。
⑦ 新規国 商品展開
中期経営計画『Vプラン26』の基本方針において、重要戦略「事業ポートフォリオの変革」を掲げております。今後、住宅着工数など国内の需要が減少していくことが予想され、事業活動に影響を与えるリスクと特定するとともに、住宅向け温水分野に偏重した事業構造の変革を進めていくことが、リスクマネジメント対応においても重要課題であると認識しております。それらの外部環境を踏まえ、海外事業において、中国エリアや北米エリアなど既存エリアでの事業拡大を継続しつつ、新規市場エリアの開拓も推進していかなければ、将来的な事業活動に影響を及ぼすリスクとなるため『新規国 商品展開』を新たに重要リスクとして特定致しました。
事業拡大を進めるにあたっての各国特有の規制や法令など社会情勢の他、市場情報と販売プロセスなどの項目から、リスク特定を実施します。特定されたリスク内容をもとに、優先的に対応が必要となるリスク項目について、取締役会でのモニタリングを通して、活動の進捗状況を確認します。
※ 環境対応 低炭素経済
前事業年度において、全社重要リスクとしておりました「環境対応 低炭素経済」について、製品においては環境配慮型商品の開発及び普及を進め、事業活動においては、「RE100」に加盟し、事業所での再生可能エネルギー100%化に向けて取組を進めてまいりました。
環境配慮型商品開発のPJが発足され、部門連携を図りながら活動が実施できる体制が整いましたので、今後は通常業務における事業課題として、取組を進めてまいります。
事業活動における「RE100」の推進については、「RE100推進PJ」による各事業所における再生可能エネルギー100%化に向けた試算と実施のロードマップが完成しましたので、全社重要リスクからは引き下げ、今後は省エネルギー設備への更新など、通常業務における事業課題として、取組を進めてまいります。
※ 地政学リスク
前事業年度において、全社重要リスクとしておりました「地政学リスク」について、サプライチェーンへの影響と海外で勤務をしているグループ社員への影響について、リスク対応を進めてまいりました。
地政学リスクに起因するサプライチェーンへの影響は、重要リスクである『サプライチェーンの分断』と統合し、複社購買政策と合わせて対応してまいります。
海外で勤務をしているグループ社員への影響につきましては、有事発生の際、安全に帰国できるようサポートサービスを付帯した海外危機管理に関わる保険への加入を進め、地政学的な有事の他、テロの発生や大規模な自然災害の発生時に、グループ社員の安全を確保できる体制構築の目途がたちましたので、重要リスクから引き下げることと致しました。
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