有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100TV7H (EDINETへの外部リンク)
鉄建建設株式会社 研究開発活動 (2024年3月期)
当社の研究開発においては、工事の生産性向上、安全性、品質の向上を図り、長期的な安定受注を図るという技術戦略に基づき、年々テーマ数を増やすとともに、持続可能な社会の実現に向けたサステナブル推進に関するテーマなど多くの研究開発に挑戦し取り組んでいます。
本年度はICT技術の活用・建設DX推進により生産性向上に資するシステムの開発、CO2排出量削減、施工の効率化・省力化や鉄道・大規模更新工事を見据えた新たな施工技術の開発を進め、当社の技術力のさらなる向上に努めます。また、保有工法のブラッシュアップにより他社との差別化を図っていきます。
当連結会計年度の研究開発費は1,018百万円(土木工事891百万円・建築工事127百万円)で、主な研究開発活動及びその成果は次のとおりです。なお、研究開発活動には、子会社である株式会社ジェイテックとの共同研究開発活動が含まれています。
(1)土木分野
①建設DX推進への取り組み
~PC・RC構造物の建設に変革をもたらす統合システムの構築~
当社ではPC・RC構造物の建設プロセスにおいて最新のICT、IoT、AIを活用して、生産性向上と品質向上を実現するツールやシステムとして「コンクリート打設管理システム」や「配筋検査システム」などを開発してきました。現在、これらの技術を統合した建設システム「TK Construction Flow 360」の構築に取組んでいます。
本システムは、画像や点群等により得られる多種・多様・大容量の情報をクラウド上で一元管理し、それらの情報を建設プロセスの各段階でのツールやシステムで効果的に使用します。数値や図などを活用して情報を視覚的に示すことで、誰もが、いつでもどこからでも状況を把握し、指示・確認することを容易にし、PC・RC構造物の建設を多角的にサポートします。本システムを使用することで、発注者、元請、専門工事会社間での情報共有の強化、コミュニケーションの円滑化により、遠隔臨場や集中管理の効果を最大限に高め、さらなる業務の効率化、省人化に貢献し、建設現場全体の働き方改革を促進します。
②鉄道工事の安定的受注に向けた技術開発
~深礎工法の施工環境改善に向けて機械式深礎工法(Shinso-MaN工法)を開発~
駅改良工事のような狭隘かつ近接構造物の多い箇所に用いられていた深礎工法について、人力主体で実施していた作業を、遠隔操作による機械化・システム化することにより、施工性・安全性を向上した工法を東日本旅客鉄道株式会社他3社と共同で開発しました。従来の深礎工法は、杭孔底面に作業員が降り、掘削・排土をしながらライナープレートを設置し掘り進めていきます。作業は危険で過酷なものであることから、少子高齢化に伴う作業員の担い手不足や作業の長期化による建設費用の増大といった課題がありました。開発した工法では、人力での掘削を機械式の掘削・排土システムにより代替することで、作業環境を大幅に改善しました。この機械は、杭孔外から遠隔操作されるため、掘削作業員が危険な杭孔内へ降りる必要はありません。掘削スピードも、人力と比較して大幅に向上しています。今後は、更なる施工効率向上、コストダウンなど工法のブラッシュアップを図っていきます。
③サステナブル推進に関する技術開発
~山岳トンネルにおけるCO2排出量削減技術の開発~
当社では、持続可能な社会の実現に向けて、環境保全に役立つさまざまな技術開発に取組んでいます。このうち、山岳トンネルにおけるCO2排出量削減を目的として、地山掘削後の一次支保に用いる吹付けコンクリートを対象に研究開発を進めてきました。一般的に吹付けコンクリートでは、急結性や初期強度発現性の確保のために普通ポルトランドセメントを用いますが、本研究ではCO2排出量原単位の少ない高炉セメントB種を用いた場合の吹付けコンクリートの配合を検討し、従来配合に匹敵する品質を有することを確認するとともに実施工への適用を図りました。実施工においても、フレッシュ性状、初期強度、圧縮強度や発生粉じん量などについて、要求性能を満足する結果が得られ、吹付けコンクリート1m3あたり119kg※に相当するCO2排出量の削減が可能となりました。今後も本技術を山岳トンネルのCO2排出量削減のひとつとして普及展開を図るとともに、吹付けコンクリートのさらなる低炭素化に向けての研究開発を進めていきます。
※一般財団法人セメント協会HP「セメントのLCIデータの概要」のセメント品種別イベントリデータより算出
(2)建築分野
①建設DXの推進に向けた取り組み
~建物外周壁開口部の遮音検討BIMアドインツールの開発~
集合住宅やホテルの設計では、居室内の静謐性を確保するために、仕様書などの中で、外部から建物の外周壁を透過して、室内で生じる騒音の目標値が一般に定められています。そのため、当社では、計画時に敷地周辺の外部騒音を調査し、騒音の目標値を満足し得る建物外周壁並びに外周壁に含まれる窓や換気口(以後、外周壁開口部と記す。)の遮音仕様の検討を行っています。今回、BIMで構築するモデルが、パーツごとに様々な情報を併せ持つ特徴を活かし、業務の効率化を目的として、建物外周壁開口部の遮音検討BIMアドインツールを開発しました。本ツールは、これまで机上で行っていた予測計算を、BIMソフトウェア上で連携して行うもので、ダイアログの各種条件設定時に、計算に必要な情報をBIMモデルから自動的に取得して計算します。また、設定した室内騒音の目標値に対する判定までをシステム化しており、目標値を満足する外周壁開口部の遮音仕様が定まるまで繰り返し計算を実施します。本ツールの利用により、予測検討に要する作業時間は、従来に比べて1/10以上短縮され、業務の効率化が図れていることを確認しました。
②鉄骨造柱梁接合部の柱絞り工法の開発
~シンプルダイア®の適用拡大~
鉄骨造の建物において、角形鋼管を用いた柱で上下階の柱幅が異なる場合、上方に向かい柱径を絞るテーパー管形式を接合部パネルに用いる方法があります。しかし、テーパー管形式は、製作難易度が高く製作に時間を要するため、コストアップや納期に与える影響が大きい形式です。そこで、鉄骨造のホテル・オフィスビルの中間階や倉庫の最上階などを対象に、製作が容易であり製作時間も短縮できる異幅接合部工法(シンプルダイア®)を開発しました。本工法は、上階柱に接続する通しダイアフラムを厚くすることで、テーパー加工を施さない接合部パネルとすることができます。本工法により接合部製作を省力化したところ、従来のテーパー管形式と比較してコストダウンが図れました。現在、設計施工案件を中心に採用されており、今後も鉄骨造の商業ビルや大型物流施設へ適用していきます。
③上家直接基礎の開発
~基礎のプレキャスト化により工期短縮を図る~
ホームの延伸・拡幅や駅改良工事等により、新たに旅客上家を構築する場合、上家を支える基礎工事が発生します。直接基礎の構築には多くの作業ステップ・工種があり、工期が長期化する場合があります。そこで、ホーム上での作業の省力化を目的とし、複数のプレキャストコンクリート部材を結合させることで上家基礎を構築する工法を東日本旅客鉄道株式会社と共同で開発しました。通常は、ホーム下の掘削・整地から、型枠、鉄筋工事、コンクリート打設と多くの作用ステップがありますが、今回、開発した工法は、事前に製作したプレキャストコンクリート部材を敷き並べたあと、その隙間をコンクリートの他、プレミックスグラウトを用いて充填することも可能とするものです。ホーム上での型枠設置や配筋作業の省力化だけでなく、現場打ちのコンクリート作業も削減可能となり、工期短縮が図れます。今後は実プロジェクトへの適用を目指しています。
(3)不動産事業、付帯事業及びその他
研究開発活動は特段行われていません。
本年度はICT技術の活用・建設DX推進により生産性向上に資するシステムの開発、CO2排出量削減、施工の効率化・省力化や鉄道・大規模更新工事を見据えた新たな施工技術の開発を進め、当社の技術力のさらなる向上に努めます。また、保有工法のブラッシュアップにより他社との差別化を図っていきます。
当連結会計年度の研究開発費は1,018百万円(土木工事891百万円・建築工事127百万円)で、主な研究開発活動及びその成果は次のとおりです。なお、研究開発活動には、子会社である株式会社ジェイテックとの共同研究開発活動が含まれています。
(1)土木分野
①建設DX推進への取り組み
~PC・RC構造物の建設に変革をもたらす統合システムの構築~
当社ではPC・RC構造物の建設プロセスにおいて最新のICT、IoT、AIを活用して、生産性向上と品質向上を実現するツールやシステムとして「コンクリート打設管理システム」や「配筋検査システム」などを開発してきました。現在、これらの技術を統合した建設システム「TK Construction Flow 360」の構築に取組んでいます。
本システムは、画像や点群等により得られる多種・多様・大容量の情報をクラウド上で一元管理し、それらの情報を建設プロセスの各段階でのツールやシステムで効果的に使用します。数値や図などを活用して情報を視覚的に示すことで、誰もが、いつでもどこからでも状況を把握し、指示・確認することを容易にし、PC・RC構造物の建設を多角的にサポートします。本システムを使用することで、発注者、元請、専門工事会社間での情報共有の強化、コミュニケーションの円滑化により、遠隔臨場や集中管理の効果を最大限に高め、さらなる業務の効率化、省人化に貢献し、建設現場全体の働き方改革を促進します。
②鉄道工事の安定的受注に向けた技術開発
~深礎工法の施工環境改善に向けて機械式深礎工法(Shinso-MaN工法)を開発~
駅改良工事のような狭隘かつ近接構造物の多い箇所に用いられていた深礎工法について、人力主体で実施していた作業を、遠隔操作による機械化・システム化することにより、施工性・安全性を向上した工法を東日本旅客鉄道株式会社他3社と共同で開発しました。従来の深礎工法は、杭孔底面に作業員が降り、掘削・排土をしながらライナープレートを設置し掘り進めていきます。作業は危険で過酷なものであることから、少子高齢化に伴う作業員の担い手不足や作業の長期化による建設費用の増大といった課題がありました。開発した工法では、人力での掘削を機械式の掘削・排土システムにより代替することで、作業環境を大幅に改善しました。この機械は、杭孔外から遠隔操作されるため、掘削作業員が危険な杭孔内へ降りる必要はありません。掘削スピードも、人力と比較して大幅に向上しています。今後は、更なる施工効率向上、コストダウンなど工法のブラッシュアップを図っていきます。
③サステナブル推進に関する技術開発
~山岳トンネルにおけるCO2排出量削減技術の開発~
当社では、持続可能な社会の実現に向けて、環境保全に役立つさまざまな技術開発に取組んでいます。このうち、山岳トンネルにおけるCO2排出量削減を目的として、地山掘削後の一次支保に用いる吹付けコンクリートを対象に研究開発を進めてきました。一般的に吹付けコンクリートでは、急結性や初期強度発現性の確保のために普通ポルトランドセメントを用いますが、本研究ではCO2排出量原単位の少ない高炉セメントB種を用いた場合の吹付けコンクリートの配合を検討し、従来配合に匹敵する品質を有することを確認するとともに実施工への適用を図りました。実施工においても、フレッシュ性状、初期強度、圧縮強度や発生粉じん量などについて、要求性能を満足する結果が得られ、吹付けコンクリート1m3あたり119kg※に相当するCO2排出量の削減が可能となりました。今後も本技術を山岳トンネルのCO2排出量削減のひとつとして普及展開を図るとともに、吹付けコンクリートのさらなる低炭素化に向けての研究開発を進めていきます。
※一般財団法人セメント協会HP「セメントのLCIデータの概要」のセメント品種別イベントリデータより算出
(2)建築分野
①建設DXの推進に向けた取り組み
~建物外周壁開口部の遮音検討BIMアドインツールの開発~
集合住宅やホテルの設計では、居室内の静謐性を確保するために、仕様書などの中で、外部から建物の外周壁を透過して、室内で生じる騒音の目標値が一般に定められています。そのため、当社では、計画時に敷地周辺の外部騒音を調査し、騒音の目標値を満足し得る建物外周壁並びに外周壁に含まれる窓や換気口(以後、外周壁開口部と記す。)の遮音仕様の検討を行っています。今回、BIMで構築するモデルが、パーツごとに様々な情報を併せ持つ特徴を活かし、業務の効率化を目的として、建物外周壁開口部の遮音検討BIMアドインツールを開発しました。本ツールは、これまで机上で行っていた予測計算を、BIMソフトウェア上で連携して行うもので、ダイアログの各種条件設定時に、計算に必要な情報をBIMモデルから自動的に取得して計算します。また、設定した室内騒音の目標値に対する判定までをシステム化しており、目標値を満足する外周壁開口部の遮音仕様が定まるまで繰り返し計算を実施します。本ツールの利用により、予測検討に要する作業時間は、従来に比べて1/10以上短縮され、業務の効率化が図れていることを確認しました。
②鉄骨造柱梁接合部の柱絞り工法の開発
~シンプルダイア®の適用拡大~
鉄骨造の建物において、角形鋼管を用いた柱で上下階の柱幅が異なる場合、上方に向かい柱径を絞るテーパー管形式を接合部パネルに用いる方法があります。しかし、テーパー管形式は、製作難易度が高く製作に時間を要するため、コストアップや納期に与える影響が大きい形式です。そこで、鉄骨造のホテル・オフィスビルの中間階や倉庫の最上階などを対象に、製作が容易であり製作時間も短縮できる異幅接合部工法(シンプルダイア®)を開発しました。本工法は、上階柱に接続する通しダイアフラムを厚くすることで、テーパー加工を施さない接合部パネルとすることができます。本工法により接合部製作を省力化したところ、従来のテーパー管形式と比較してコストダウンが図れました。現在、設計施工案件を中心に採用されており、今後も鉄骨造の商業ビルや大型物流施設へ適用していきます。
③上家直接基礎の開発
~基礎のプレキャスト化により工期短縮を図る~
ホームの延伸・拡幅や駅改良工事等により、新たに旅客上家を構築する場合、上家を支える基礎工事が発生します。直接基礎の構築には多くの作業ステップ・工種があり、工期が長期化する場合があります。そこで、ホーム上での作業の省力化を目的とし、複数のプレキャストコンクリート部材を結合させることで上家基礎を構築する工法を東日本旅客鉄道株式会社と共同で開発しました。通常は、ホーム下の掘削・整地から、型枠、鉄筋工事、コンクリート打設と多くの作用ステップがありますが、今回、開発した工法は、事前に製作したプレキャストコンクリート部材を敷き並べたあと、その隙間をコンクリートの他、プレミックスグラウトを用いて充填することも可能とするものです。ホーム上での型枠設置や配筋作業の省力化だけでなく、現場打ちのコンクリート作業も削減可能となり、工期短縮が図れます。今後は実プロジェクトへの適用を目指しています。
(3)不動産事業、付帯事業及びその他
研究開発活動は特段行われていません。
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