有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100TMEU (EDINETへの外部リンク)
太陽ホールディングス株式会社 研究開発活動 (2024年3月期)
当社グループは「我がグループの「あらゆる技術」を高め、革新的な製品をもって、夢あるさまざまなモノをグローバルに生み出し、楽しい社会を実現します。」という経営理念のもと、電子機器分野で高度情報化社会や快適な環境に貢献する各種絶縁材料、高周波対応材料、ディスプレイ向け材料等の研究開発を行っています。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は6,194百万円となり、前連結会計年度に比べ1,711百万円増加しています。各セグメントの研究開発費につきましては、以下のとおりです。
エレクトロニクス事業に係る研究開発費は、5,284百万円です。
医療・医薬品事業に係る研究開発費は、725百万円です。
その他の研究開発費は、183百万円です。
エレクトロニクス事業ではSRの顧客基盤強化(既存市場×既存技術)、継続的な新製品上市の迅速化(既存市場×新規技術)、用途展開の推進(新規市場×既存技術)の 3つの施策を主として、SRについては市場のシェアを拡大し、その他のエレクトロニクス部材についてはSRに続く利益の柱となる新規事業開発の創出(新規市場×新存技術)を進めていくことで、エレクトロニクス事業の持続的な成長を推進していきます。
当社グループの主力製品であるSRは、リジッド基板やPKG基板に広く使用されています。年々、各製品の要求される特性が厳しくなる中で、いち早く市場の要求に応えるために顧客とのコミュニケーションと開発スピードの向上を重視してSRの開発を推進しています。
リジッド基板の分野では、スマートフォンに使用される高密度実装配線(HDI)基板用途と車載基板用途の開発に注力しています。近年、第5世代移動通信システム(5G)関連の開発要求が増えていく中で、他社に先駆けて伝送損失の低い材料を新たに開発し、顧客に採用される段階まで来ています。今後は、薄膜化への対応において液状タイプからDFタイプへの移行が考えられることから、DFタイプのSRを開発し顧客への紹介を開始しています。車載基板は、ガソリン車からハイブリッド車、電気自動車へ急速な移行が世界的にみられSRに求められる特性が多様化しています。過酷な状況下で使用される車載基板用SRは、特に高温と低温との熱サイクルにおける特性が重要視されていることから、新たに原料を見直すことでSRに要求される特性を達成しました。現在は、次期車載基板用SRとして最終顧客認証を得ることができ、採用が決定しました。また、コンソーシアムに参加するなど外部連携をはかりながら事業開発を進めています。
一方、PKG基板は半導体チップの保護、半導体との接続や実装性能を確保するために無くてはならないものであり、近年はオンライン需要の増加によりPC、スマートフォンやタブレット端末を始めとする電子機器を中心に市場が拡大しています。そのPKG基板に使用されるSRには回路間の絶縁性のみならず、PKGの信頼性を左右する特有の性質が求められます。PCでは、中央演算処理を行う半導体チップのCPUや3Dグラフィックスなどの画像描写を行う際に必要となる計算処理を行う半導体チップのGPU、モバイル端末では通信や動作を司るアプリケーションプロセッサ、記憶媒体であるDRAM、NANDフラッシュメモリなど主要な半導体デバイス向けPKG基板に当社グループのSRが広く使用されています。モバイル端末の薄型化や小型化のニーズを背景とした搭載部品の小型化・高性能化に伴い、半導体や電子部品に隣接して使用されるSRはデバイスの信頼性を大きく左右する重要な役割を担うことになります。例えばPKGの寸法精度や接続信頼性を向上させるための厚み精度や表面平坦性、最先端の半導体チップを搭載するために必要な開口精度などが挙げられます。近年はこれらの要求や課題を解決するためにDFタイプのSRの採用が増加しています。DFタイプの製品により従来の液状製品では実現できなかった仕様の実現を可能とし、加えてPKG基板を製造する当社グループの顧客においても生産性のみならず品質の向上にも貢献しています。今後、世界中で拡大が見込まれる5G通信関連やIoT関連に必要な半導体デバイスにおいても、当社グループのDFタイプの製品が技術の発展に大きく寄与します。近年では表面の凹凸加工技術を生かしたDFタイプで艶消し(マット)製品の開発など、当社グループのコア技術を生かして新しい価値、性能を付与した製品開発を通じて新しい市場の創造を目指していきます。
電子部品用途への展開
既存材料の電子部品用途への展開を進めています。電気信号の高周波化により、電子部品に従来採用されていた材料では対応困難な課題が生じ始めています。この様な課題に対して当社は、プリント基板市場で培った知見をもとに材料や工法の提案を行っており、既に一部電子部品にて当社材料が採用されています。今後も顧客の課題や要望に応えられる製品・工法を提案していきます。
インクジェット印刷対応SR
インクジェット塗布機に対応したSRについて、車載基板向けに顧客での採用が決定し量産を開始しました。インクジェット法は工程の大幅な短縮が可能となり、基板の製造コスト削減や環境負荷の低減に有効です。市場拡大の期待されるフレキシブル基板向けに引き続き開発を進めていきます。また当社グループではSR用途だけでなく、マーキングインキ、めっきレジスト、エッチングレジスト、ディスプレイ用材料等、様々な用途に向けインクジェット法に対応した製品の開発を進めています。
層間絶縁材
近年のPKG基板の高集積化を支える様々なDFタイプの層間絶縁材料を開発・販売しています。最近では5G高速通信基板向けのニーズに対応した低誘電特性を有した層間絶縁材料の開発を進め、顧客評価まで進行しています。今後、更なる微細配線化に向けた感光性DFの開発・技術提案を行っています。また層間絶縁材料の知見に基づきフィルムタイプの封止材の開発も進めており、顧客の採用につながっています。今後も顧客の新しい要求に応えられる製品を開発・提案していきます。
感光性カバーレイ
スマートフォンやタブレット端末の軽量薄型化により、基板を搭載する内蔵スペースが狭小化してきたため、従来のリジッド基板主体から、柔軟で折りたたみ収納できるフレキシブル基板の使用が増加しています。当社グループが開発した感光性カバーレイフィルムは市場のニーズである微細加工性と耐熱性・折り曲げ性等の機械特性の両立を可能にし、スマートフォンのカメラを初めとした様々な電子機器用途で採用されています。引き続きこの新材料の用途拡大に向けて、様々な分野での技術提案と新規開発を行っていきます。
高周波対応配線形成用新シードフィルム
5Gの普及に伴い、使用周波数帯域である6GHz未満のSub6やSub6以上の高周波帯域であるミリ波帯で高周波信号をロスなく伝送する銅配線形成技術が重要となります。高周波伝送では、高周波帯域になるほど電気信号が銅配線表層に流れやすくなります。この電気信号に対する伝送損失を抑えるためには、銅配線表層の形状を平滑にすることが求められています。本フィルム材料を用いることで、基材フィルムと銅配線の界面を極めて平滑な状態で密着させることができます。また、より精度の高い銅配線を形成する方法として、従来用いられている銅シード・モディファイドセミアディティブプロセス(MSAP)は、シード層の銅をエッチングする際に銅配線が同時に溶解するため、配線の表面や側面の凹凸が大きくなる課題がありました。一方、本フィルム材料では、銅とは異なる金属をシード層に用いるためシード層のみをエッチングすることが可能となり、銅配線表面や側面が平滑なファインパターンを得ることができます。
ウェアラブル端末用部材
新規市場として注目されているウェアラブル端末市場は、医療ヘルスケア向けデバイスとして、アプリケーションの具体化が進み、新しい市場の誕生が近づいてきています。医療ヘルスケア向けデバイスは「体に密着させて使用する電子製品」です。ここには柔らかさも備えた「ストレッチャブル性」が必要とされ、当社グループが展開するストレッチャブルな導電材料の採用が広がり始めています。
ディスプレイ用材料
高画質、高輝度、省エネに対するディスプレイへの要求に応えるためにMini LEDの採用が始まり、Micro LEDの研究開発が進められています。当社グループはこれらLEDディスプレイの部材としてバックライトユニットに使用される高反射材等を開発しています。LEDの反射材(LEDの明るさを向上、保持させるための部材)としてDFタイプ、液状タイプまた、インクジェット法で塗布、形成できる部材を開発し市場に提供しています。白色のDFタイプ、白色の液状タイプに関しては、多くのLEDディスプレイのバックライトユニットに採用されています。一方、遮蔽材はブラックマトリックスとしてバックライトの光もれやRGBの混色を防止する役割を担っており、この遮蔽材を従来の印刷法に加え、工程を簡略化でき環境への負荷が小さいインクジェット法で塗布、形成できる部材の開発に取り組んでいます。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は6,194百万円となり、前連結会計年度に比べ1,711百万円増加しています。各セグメントの研究開発費につきましては、以下のとおりです。
エレクトロニクス事業に係る研究開発費は、5,284百万円です。
医療・医薬品事業に係る研究開発費は、725百万円です。
その他の研究開発費は、183百万円です。
エレクトロニクス事業ではSRの顧客基盤強化(既存市場×既存技術)、継続的な新製品上市の迅速化(既存市場×新規技術)、用途展開の推進(新規市場×既存技術)の 3つの施策を主として、SRについては市場のシェアを拡大し、その他のエレクトロニクス部材についてはSRに続く利益の柱となる新規事業開発の創出(新規市場×新存技術)を進めていくことで、エレクトロニクス事業の持続的な成長を推進していきます。
当社グループの主力製品であるSRは、リジッド基板やPKG基板に広く使用されています。年々、各製品の要求される特性が厳しくなる中で、いち早く市場の要求に応えるために顧客とのコミュニケーションと開発スピードの向上を重視してSRの開発を推進しています。
リジッド基板の分野では、スマートフォンに使用される高密度実装配線(HDI)基板用途と車載基板用途の開発に注力しています。近年、第5世代移動通信システム(5G)関連の開発要求が増えていく中で、他社に先駆けて伝送損失の低い材料を新たに開発し、顧客に採用される段階まで来ています。今後は、薄膜化への対応において液状タイプからDFタイプへの移行が考えられることから、DFタイプのSRを開発し顧客への紹介を開始しています。車載基板は、ガソリン車からハイブリッド車、電気自動車へ急速な移行が世界的にみられSRに求められる特性が多様化しています。過酷な状況下で使用される車載基板用SRは、特に高温と低温との熱サイクルにおける特性が重要視されていることから、新たに原料を見直すことでSRに要求される特性を達成しました。現在は、次期車載基板用SRとして最終顧客認証を得ることができ、採用が決定しました。また、コンソーシアムに参加するなど外部連携をはかりながら事業開発を進めています。
一方、PKG基板は半導体チップの保護、半導体との接続や実装性能を確保するために無くてはならないものであり、近年はオンライン需要の増加によりPC、スマートフォンやタブレット端末を始めとする電子機器を中心に市場が拡大しています。そのPKG基板に使用されるSRには回路間の絶縁性のみならず、PKGの信頼性を左右する特有の性質が求められます。PCでは、中央演算処理を行う半導体チップのCPUや3Dグラフィックスなどの画像描写を行う際に必要となる計算処理を行う半導体チップのGPU、モバイル端末では通信や動作を司るアプリケーションプロセッサ、記憶媒体であるDRAM、NANDフラッシュメモリなど主要な半導体デバイス向けPKG基板に当社グループのSRが広く使用されています。モバイル端末の薄型化や小型化のニーズを背景とした搭載部品の小型化・高性能化に伴い、半導体や電子部品に隣接して使用されるSRはデバイスの信頼性を大きく左右する重要な役割を担うことになります。例えばPKGの寸法精度や接続信頼性を向上させるための厚み精度や表面平坦性、最先端の半導体チップを搭載するために必要な開口精度などが挙げられます。近年はこれらの要求や課題を解決するためにDFタイプのSRの採用が増加しています。DFタイプの製品により従来の液状製品では実現できなかった仕様の実現を可能とし、加えてPKG基板を製造する当社グループの顧客においても生産性のみならず品質の向上にも貢献しています。今後、世界中で拡大が見込まれる5G通信関連やIoT関連に必要な半導体デバイスにおいても、当社グループのDFタイプの製品が技術の発展に大きく寄与します。近年では表面の凹凸加工技術を生かしたDFタイプで艶消し(マット)製品の開発など、当社グループのコア技術を生かして新しい価値、性能を付与した製品開発を通じて新しい市場の創造を目指していきます。
電子部品用途への展開
既存材料の電子部品用途への展開を進めています。電気信号の高周波化により、電子部品に従来採用されていた材料では対応困難な課題が生じ始めています。この様な課題に対して当社は、プリント基板市場で培った知見をもとに材料や工法の提案を行っており、既に一部電子部品にて当社材料が採用されています。今後も顧客の課題や要望に応えられる製品・工法を提案していきます。
インクジェット印刷対応SR
インクジェット塗布機に対応したSRについて、車載基板向けに顧客での採用が決定し量産を開始しました。インクジェット法は工程の大幅な短縮が可能となり、基板の製造コスト削減や環境負荷の低減に有効です。市場拡大の期待されるフレキシブル基板向けに引き続き開発を進めていきます。また当社グループではSR用途だけでなく、マーキングインキ、めっきレジスト、エッチングレジスト、ディスプレイ用材料等、様々な用途に向けインクジェット法に対応した製品の開発を進めています。
層間絶縁材
近年のPKG基板の高集積化を支える様々なDFタイプの層間絶縁材料を開発・販売しています。最近では5G高速通信基板向けのニーズに対応した低誘電特性を有した層間絶縁材料の開発を進め、顧客評価まで進行しています。今後、更なる微細配線化に向けた感光性DFの開発・技術提案を行っています。また層間絶縁材料の知見に基づきフィルムタイプの封止材の開発も進めており、顧客の採用につながっています。今後も顧客の新しい要求に応えられる製品を開発・提案していきます。
感光性カバーレイ
スマートフォンやタブレット端末の軽量薄型化により、基板を搭載する内蔵スペースが狭小化してきたため、従来のリジッド基板主体から、柔軟で折りたたみ収納できるフレキシブル基板の使用が増加しています。当社グループが開発した感光性カバーレイフィルムは市場のニーズである微細加工性と耐熱性・折り曲げ性等の機械特性の両立を可能にし、スマートフォンのカメラを初めとした様々な電子機器用途で採用されています。引き続きこの新材料の用途拡大に向けて、様々な分野での技術提案と新規開発を行っていきます。
高周波対応配線形成用新シードフィルム
5Gの普及に伴い、使用周波数帯域である6GHz未満のSub6やSub6以上の高周波帯域であるミリ波帯で高周波信号をロスなく伝送する銅配線形成技術が重要となります。高周波伝送では、高周波帯域になるほど電気信号が銅配線表層に流れやすくなります。この電気信号に対する伝送損失を抑えるためには、銅配線表層の形状を平滑にすることが求められています。本フィルム材料を用いることで、基材フィルムと銅配線の界面を極めて平滑な状態で密着させることができます。また、より精度の高い銅配線を形成する方法として、従来用いられている銅シード・モディファイドセミアディティブプロセス(MSAP)は、シード層の銅をエッチングする際に銅配線が同時に溶解するため、配線の表面や側面の凹凸が大きくなる課題がありました。一方、本フィルム材料では、銅とは異なる金属をシード層に用いるためシード層のみをエッチングすることが可能となり、銅配線表面や側面が平滑なファインパターンを得ることができます。
ウェアラブル端末用部材
新規市場として注目されているウェアラブル端末市場は、医療ヘルスケア向けデバイスとして、アプリケーションの具体化が進み、新しい市場の誕生が近づいてきています。医療ヘルスケア向けデバイスは「体に密着させて使用する電子製品」です。ここには柔らかさも備えた「ストレッチャブル性」が必要とされ、当社グループが展開するストレッチャブルな導電材料の採用が広がり始めています。
ディスプレイ用材料
高画質、高輝度、省エネに対するディスプレイへの要求に応えるためにMini LEDの採用が始まり、Micro LEDの研究開発が進められています。当社グループはこれらLEDディスプレイの部材としてバックライトユニットに使用される高反射材等を開発しています。LEDの反射材(LEDの明るさを向上、保持させるための部材)としてDFタイプ、液状タイプまた、インクジェット法で塗布、形成できる部材を開発し市場に提供しています。白色のDFタイプ、白色の液状タイプに関しては、多くのLEDディスプレイのバックライトユニットに採用されています。一方、遮蔽材はブラックマトリックスとしてバックライトの光もれやRGBの混色を防止する役割を担っており、この遮蔽材を従来の印刷法に加え、工程を簡略化でき環境への負荷が小さいインクジェット法で塗布、形成できる部材の開発に取り組んでいます。
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