有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100TQH1 (EDINETへの外部リンク)
山陽特殊製鋼株式会社 研究開発活動 (2024年3月期)
当社グループでは、カーボンニュートラル(以下、CN)やグローバルな特殊鋼マーケットでの企業価値の更なる向上に向け、研究開発・品質競争力の強化による技術先進性の更なる拡大を推進しております。このため、商品開発、プロセス開発および基盤研究の機能を明確化するとともに、研究開発の企画機能を強化することで、市場構造の変化や将来的なニーズに応える新商品・技術開発を推進してまいります。また、2050年CNに向けたエコプロダクトの創出を念頭に、更なる市場の拡大が見込まれる「EV」「風力発電」「鉄道」等の分野での多様なニーズに応える技術開発の深化を追求しております。さらに、グループ会社間の連携による相乗効果の発現への取組みを加速させております。
当社グループの研究開発は、当社「研究・開発センター」を中心に推進しており、当連結会計年度の研究開発費の総額は2,228百万円であります。
セグメントごとの主要な研究課題、研究成果および研究開発費は次のとおりであります。
(鋼材事業)
当事業に係る研究開発費は1,780百万円であります。
当事業では、風力発電、自動車、鉄道、環境・エネルギーを中心に、成長が期待される分野に投入する軸受用鋼、構造用鋼、ステンレス鋼および工具鋼等、主力製品の製造プロセス、熱処理プロセスにDⅩを活用することによる品質・コスト競争力の強化、顧客プロセスでCNに貢献するエコプロダクトの開発を推進しております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。
・当社はCN社会に貢献できる高炭素鋼「TOUGHFITⓇ」(タフィット)を商品化し、自動車、建設機械、産業機械メーカー等のお客様に対してPR活動を進めております。「TOUGHFITⓇ」は、合金成分と熱処理条件の最適化によって高炭素鋼の弱点とされていた“硬い一方で脆くなる”というトレードオフを克服し、高硬度と高靭性を併せ持つことに成功した革新的な高炭素鋼であります。高強度や長寿命が要求される動力伝達部品や耐摩耗部品の素材として「TOUGHFITⓇ」を適用することで、硬化熱処理の省略や簡素化、部品の小型軽量化を通じたCO2排出の削減に寄与します。当社は今後、「TOUGHFITⓇ」等の開発鋼の多様な分野への展開を図り、CNを目指す需要家の皆様からのニーズにお応えしてまいります。
(粉末事業)
当事業に係る研究開発費は412百万円であります。
当事業では、今後成長が期待できる分野として、情報記録・処理関連製品、3Dプリンター(以下、AM)用粉末等を中心に新規製品開発を推進しております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。
・当社は、AMに適する合金粉末の製品群として「NOVASHAPEⓇ」の登録商標を取得し、PR活動を行っております。2023年9月には優れた造形性と高い熱伝導性を兼ね備えた金型用AM粉末「S-MECⓇ」シリーズ3品番についてプレスリリースいたしました。S-MECⓇシリーズは成分改良により、金型を3D造形する際の課題のひとつであった割れの発生を抑制。従来は困難であった大型金型への3D造形適用も可能にしております。さらにS-MECⓇシリーズは高い熱伝導性により、金型使用時の冷却サイクル改善による生産性向上や金型の長寿命化にも寄与できる材料となっております。AMは従来の鋳造法による部品作製と比較し、ニアネット成形、複雑形状の作製、納期短縮が可能であることから様々な分野での利用が拡大しており、CNにも貢献できる技術として注目されております。当社は今後も、NOVASHAPEⓇシリーズのブランド化とともに、AMに適した粉末の供給および開発を推進し、各種業界のニーズにお応えしてまいります。
(素形材事業)
当事業に係る研究開発費は35百万円であります。
当事業では、素形材における新規受注品に関する製造技術の開発およびコスト競争力の強化を目的とし、最適金型の迅速設計技術やリングローリングの解析技術の確立、省人化に向けた製造技術の開発等を行っております。また、これらを通じ導き出した最適な製造工法は、製品のニアネットシェイプ化につながり、投入エネルギーのミニマム化によるCO2削減効果も期待できるものとなります。当連結会計年度の主な成果は、鉄道用ベアリングの優位性維持へ向けたCAE解析技術を駆使した鍛造技術の改善、大型HUBベアリングの鍛造方案の改善等であります。当社は今後も、需要家の皆様からのニーズにお応えしてまいります。
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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