有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100W35B (EDINETへの外部リンク)
株式会社 ジーエス・ユアサ コーポレーション 研究開発活動 (2025年3月期)
当社グループは、自動車電池、産業電池電源、車載用リチウムイオン電池、その他の事業について、基盤技術から製品・製造技術に至るまで、積極的な研究開発活動を行っております。
自動車電池の研究開発は、国内においては、㈱GSユアサの技術開発部門、自動車電池事業部技術本部、㈱GSユアサエナジーの技術開発部門等がそれぞれ実施しております。また、海外においては、海外生産拠点の技術開発部門、㈱GSユアサの技術開発部門、自動車電池事業部技術本部、GS Yuasa Asia Technical Center Ltd.等がそれぞれ実施しております。産業電池電源の研究開発は、㈱GSユアサの技術開発部門、産業電池生産本部技術部、電源システム開発本部、電源システム生産本部技術部、㈱GSユアサ ライティングサービス等がそれぞれ実施しております。車載用リチウムイオン電池の研究開発は、㈱GSユアサの研究・技術開発部門、㈱ブルーエナジーの技術開発部、株式会社Honda・GS Yuasa EV Battery R&D等がそれぞれ実施しております。その他事業の研究開発は、㈱GSユアサの研究・技術開発部門、㈱ジーエス・ユアサ テクノロジーの技術部、㈱GSユアサメンブレンの技術生産部等がそれぞれ実施しております。
当連結会計年度における研究開発費の金額は18,499百万円(連結グループ全体の研究開発費11,291百万円に、持分法適用関連会社である株式会社Honda・GS Yuasa EV Battery R&D(以下、HGYB)の研究開発費の総額7,207百万円を含めた金額)であります。HGYBは、持分法適用関連会社ではありますが、当社グループの主要な開発活動を担っている拠点であるため上記金額に含めております。当該金額は、すべて車載用リチウムイオン電池事業に係る研究開発費であります。
当連結会計年度における各事業別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は、次のとおりであります。
(1) 自動車電池
自動車電池においては、国内、海外における自動車用鉛蓄電池、二輪車用鉛蓄電池に関する研究開発を実施しております。
自動車用鉛蓄電池の国内においては、拡大しているHEV、BEV補機用途電池の開発を継続的に進めております。補修市場向けのEN電池シリーズにおいては、更なる減液抑制を達成できる技術を開発し、補水メンテナンスの軽減と耐久性向上を実現した電池を2023年6月より販売しております。これはGOA社と共同開発した触媒付液栓(GRテック液栓Ⓡ)によって、水の電気分解で発生した水素と酸素を再結合させるという独自技術によるものです。
海外においては、欧州を中心としたモビリティの電動化需要を見据え、駆動用リチウムイオンと並行して需要のある補機・バックアップ用鉛蓄電池の国際規格化への参画、及び、この規格に適合するVRLA(AGM)電池開発を、トルコのInci GS Yuasa Aku Sanayiで進めております。またタイを中心として、東南アジア諸国へ中国系メーカーのBEVが進出してきており、それら車両に適した補機用途電池の開発も進めております。
二輪車用鉛蓄電池の分野では国内海外とも、レジャー用バイク、一般生活用のコミューターバイク等に加え、自動車用補機用途等車両ニーズに適応した新技術の開発を進めております。二輪車においてもアイドリングストップ車やハイブリッド車等の環境対応車両への関心が高まっており、当社グループの高い耐久性能と充電受入性能を実現した二輪車用鉛蓄電池が採用されております。
欧州市場において二輪車用鉛蓄電池を自動車用補機電池(12V電源用途)として使用する車両が拡大しており、GYAUXシリーズとして品種拡大/市場投入を推進しております。今後も大きな成長が見込まれるインド市場向けには、アイドリングストップ車用に加えて、ハイブリッド車用の制御弁式鉛蓄電池を開発し、品種の拡大と新車提案を進めております。また、性能面で選ばれるGY電池という市場イメージに加えて、原材料費変動に強く生産効率にも優れた、コスト競争力のある製品開発についても推進しております。更に、カーボンニュートラル達成に向け、製造時の充電方法の改良による省エネルギー化も推進しております。
この分野に係る研究開発費は、1,984百万円であります。
(2) 産業電池電源
産業電池及び電源装置事業では、産業用鉛蓄電池、電源装置、産業用リチウムイオン電池、照明に関する研究開発を実施しております。産業用鉛蓄電池の分野では、カーボンニュートラルに向けた循環型社会への貢献として、3R(リサイクル・リユース・リデュース)を軸とした環境配慮型商品の推進に取り組んでおります。鉛蓄電池の優れたリサイクル性を活かした再生部材の適用率向上や、鉛蓄電池の接続板や接続ケーブル等接続銅部材のリユースを進めております。リデュースに関しましては、新技術や新製造手法での使用電力の大幅削減によるCO2排出量の更なる低減を目指しており、今年度より順次、量産適用を進めております。
電気車用向けとしては、特にバッテリー式フォークリフトの需要が増加しているASEANや欧州地域等への海外拡販に取り組んでおります。タイ工場及びトルコ工場において、新技術や新部材の活用により、性能・コスト等それぞれ市場ニーズに適した商品開発を進めており、順次、量産を開始しております。日本国内では、今年度より新工場での量産を開始予定であり、それに伴い、旧工場と比較して生産エネルギー10%以上の低減を達成させます。
蓄電システム分野では、太陽光発電設備等の再エネ併設及び需要家向けをメインターゲットとしたPCS併設型蓄電システム「ラインバック メガグリッド」の開発が完了し、出荷を開始しております。重耐塩仕様を標準としたことで沿岸部への設置も可能となります。2025年度はさらなる上位システムの取り込みを狙い、サイトコントローラ(ローカルEMS)機能の開発に着手しております。合わせてBCP用途として自立出力機能の開発にも着手しており、2025年度内の開発完了を計画しております。上記蓄電システム用の蓄電池については、発火防止構造を有しており、搭載するリチウムイオン電池モジュールが万一熱暴走した場合の安全性を高めております。万一、蓄電池盤内に充満した可燃性ガスに引火した場合においても、蓄電池盤に具備した避圧機構により、燃焼ガスを電池盤外に排出することが可能となります。さらに最新のBMSを搭載することで、システム全体の安全性と信頼性を確保しております。また、弊社独自の遠隔監視による解析・診断、保守・保全、容量保証の各種サービスを取り揃えた「STARELINKサービス」にも対応しており、2025年3月にサービス提供を開始しております。
加えて電源装置分野では、中長期を見据えカーボンニュートラルの観点から環境負荷を減らすため「小型化・高効率」をテーマに変換効率99%の電力変換器の回路技術、電力会社との共同研究による制御技術を開発しており、更なる小型化とお客様の利便性を向上させるための電源の筐体・構造に関する新技術の検討を進めております。開発効率の向上と共通部材の使用率の向上をするために、最新のシミュレーション技術を導入したフロントローディング設計やモジュラー設計にも取り組んでおります。以上のような技術を取り入れ、2024年度はユニット並列冗長方式UPS、MLUシリーズにおいてリチウムイオン電池対応版や屋外型常時商用1kVA UPS,SGU-Aにおいて1kVA~5kVAまで並列増設を可能にした製品を発売しております。
照明分野では、「省エネ」+「省資源」をキーワードに独自性のある研究開発を進めております。2024年度は、LEDの普及が遅れている市場に、マーケットイン型のLED製品をリリースしております。引続き独自性のある潜在ニーズの製品化に注力してまいります。
この分野に係る研究開発費は、2,988百万円であります。
(3) 車載用リチウムイオン電池
車載用リチウムイオン電池事業では、株式会社ブルーエナジー(以下「BEC」)で生産を行うHEV(ハイブリッド車)用リチウムイオン電池、GSユアサ栗東工場で生産を行うPHEV(プラグインハイブリッド車)用、車載12V用のリチウムイオン電池があります。HEV用リチウムイオン電池においては、BECの第二工場の生産能力を拡大し、新機種のセル・モジュールの生産ラインの立上げを進めています。第一工場の安定稼働と合わせて、今後の顧客からの受注増加に合わせた生産対応を進めています。
PHEV用リチウムイオン電池においては、従来電池よりも40%以上高いエネルギー密度を有する新型電池LEV65の量産を開始しました。
BEV用リチウムイオン電池においては、BEV用リチウムイオン電池の新工場建設予定地にて建築工事に着工しています。また、本田技研工業株式会社との合弁による株式会社Honda・GS Yuasa EV Battery R&Dにおいては、入出力特性や寿命特性に優れた競争力のあるBEV用のリチウムイオンバッテリーの設計ならびに製造に関する技術開発を進めています。さらに、コスト競争力向上のための主要原材料のサプライチェーンや効率的な生産システムの構築も進めています。
車載12V用リチウムイオン電池においては、これまでの始動用で培った優れた低温出力特性に加え、寿命特性を改善したBEV用補機電池の開発を進めています。
全固体電池については、2022年にNEDO「グリーンイノベーション基金事業/次世代蓄電池・次世代モーターの開発」に採択された補助金を活用し、当社独自の固体電解質技術をベースに高エネルギー密度化を目指して、特徴ある電池を開発しております。2024年12月には、中間審査にあたるステージゲートを通過しました。全固体電池の実用化に向けて今後もさらに研究開発のスピードを加速させていきます。
この分野に係る研究開発費は13,168百万円(セグメント全体の研究開発費5,961百万円に、HGYBの研究開発費の総額7,207百万円を含めた金額)であります。
(4) その他
その他事業では、航空宇宙用リチウムイオン電池、膜製品に関する研究開発を実施しております。航空用途では、米国ボーイング社787型機に搭載されるリチウムイオン電池を納入中です。宇宙用途では、液体燃料ロケット「H-ⅡA」及び「H3」、に当社のロケット用リチウムイオン電池を納入しております。また、人工衛星用途では、宇宙ステーションの電源をはじめとし、先進レーダ衛星「だいち4号」、準天頂衛星システム「みちびき」、宇宙ステーション補給機「シグナス」等、数多くに搭載されております。当社の電池は現在までに250機以上の人工衛星や宇宙ステーション補給機等の宇宙機に搭載されており、軌道投入容量で世界トップクラスを維持しています。
2019年から参画したNEDO航空機用先進システム実用化プロジェクトにおける軽量なリチウム硫黄電池の研究開発については、5年間の研究開発に取り組み、質量エネルギー密度500Wh/kgのセル開発に成功しました(現行のリチウムイオン電池の2倍以上のエネルギー密度)。本プロジェクトはおおよそのプロジェクト目標を達成して、2024年3月に完了し、成果報告書を公開しました。リチウム硫黄電池をはじめとした軽量な電池の実用化に向けてさらに開発を継続しています。
膜製品分野においては鉛蓄電池のセパレータ技術を応用した、分離・精製・浄化等を目的とした膜を開発しており、多岐にわたる用途に使用されております。
特に固液分離の分野では、省エネルギー化及び小型化を目指したシステムの開発に加え、遠隔監視装置を開発し、膜分離装置の運用におけるコスト削減、スペース効率化、メンテナンスの簡素化といった課題の解決に向け、実証試験を実施しております。
さらに、気体分離の分野においても、カーボンニュートラルの実現を目指した新規膜製品の開発を推進しています。これらの製品についても実用化に向けて実証試験を進めており、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しております。
この分野に係る研究開発費は、357百万円であります。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E02089] S100W35B)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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