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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100W0D2 (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 株式会社ヤクルト本社 研究開発活動 (2025年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当社グループは、腸内菌叢(腸内フローラ)を構成する微生物のヒトへの役割を中心とした生命科学の追究により、世界の人々の健康で楽しい生活づくりに貢献するという企業理念の達成を目指しています。その中にあって当社研究開発部門は、長期的展望に立った基礎研究を行うとともに、それら基礎研究の成果を活かした飲料・食品、化粧品、メディカルバイオーム(Medical(医療)とMicrobiome(細菌叢)を合わせた造語)製品等の研究開発に取り組んでいます。あわせて、事業戦略上求められる研究開発課題の解決や社会の要請に応じた商品の安全性確保と環境対策に関する研究にも力を注いでいます。
当連結会計年度の研究開発費の総額は9,398百万円で、セグメント情報にかかわる研究開発活動の概要は、次のとおりです。

(1) 基礎研究開発分野

基礎研究開発分野においては、腸内フローラとヒトの健康との関わりを明らかにするために、分子生物学・微生物学・免疫学・生理学・栄養学等の多面的な研究を行っています。プロバイオティクスとしての乳酸菌・ビフィズス菌がヒトの健康維持・増進に果たす役割の解明に重点をおくと同時に、新規の微生物や天然物の探索を行い、飲料・食品、化粧品、メディカルバイオーム製品等への利用を目指した機能性素材の開発に積極的に取り組んでいます。
当連結会計年度の研究成果は次のとおりです。
① 「L.パラカゼイ・シロタ株(乳酸菌)」の表層の構成成分である細胞壁多糖LCPS-1の本菌の増殖や生存における役割について検証しました。「L.パラカゼイ・シロタ株(乳酸菌)」または遺伝子組換え技術により「L.パラカゼイ・シロタ株(乳酸菌)」からLCPS-1を欠失させた菌(LCPS-1欠失株)を牛乳(脱脂乳)または豆乳をベースとする培地で培養した結果、LCPS-1欠失株では、培養16時間以降に増殖が抑えられましたが、「L.パラカゼイ・シロタ株(乳酸菌)」の増殖は維持されました。また、LCPS-1欠失株では、「L.パラカゼイ・シロタ株(乳酸菌)」と比べて人工胃液や人工胆汁に対する生存率が低くなることを確認しました。プロバイオティクスが有効性を発揮するには生きたまま腸に到達することが重要と考えており、本研究により、「L.パラカゼイ・シロタ株(乳酸菌)」が生きて腸に到達するためには、LCPS-1の存在が重要であることが示されました。本研究成果は、学術雑誌「International Journal of Food Microbiology」に掲載されました。
② 「L.プランタルム YIT 0132(乳酸菌)」がスギ花粉症の症状を緩和するメカニズムについて検証しました。温州みかん果汁を「L.プランタルム YIT 0132(乳酸菌)」で発酵させた発酵果汁飲料を摂取したヒトの末梢血を用いて遺伝子解析を行った結果、本飲料の摂取による花粉症症状の緩和に関係する免疫調節遺伝子を特定することができました。本研究により、乳酸菌摂取によるアレルギー症状の緩和に関する新たな知見を得ることができました。本研究成果は、学術雑誌「Allergy」に掲載されました。
③ 沖縄モズク由来の「ヤクルトフコイダン」および「ヤクルトフコイダン」に銀を付与したフコイダン銀塩の抗菌および抗ウイルス効果について調べました。その結果、「ヤクルトフコイダン」は新型コロナウイルスの感染に重要なスパイクタンパク質と細胞の接着を阻害することで、新型コロナウイルスの細胞への感染を阻害することを確認しました。また、フコイダン銀塩は、「ヤクルトフコイダン」よりも低濃度で同様の効果を示したほか、インフルエンザウイルスの感染も阻害することが示唆されました。さらに、フコイダン銀塩は、細菌(大腸菌、表皮ブドウ球菌)および真菌(黒カビ)の増殖抑制効果(抗菌効果)も確認しています。本研究により、「ヤクルトフコイダン」およびフコイダン銀塩を感染症予防に活用できる可能性が示されました。本研究成果は、学術雑誌「Marine Drugs」に掲載されました。

今後も、最先端のバイオテクノロジーに基づく腸内フローラ研究を推進し、プロバイオティクスの健康維持・増進機能の検証と解明に取り組んでいきます。さらに、当社独自の新規機能性素材の開発および応用化研究に力を注いでいきます。
当分野の研究開発費は1,487百万円です。

(2) 飲料および食品製造販売事業分野

飲料および食品研究開発分野においては、ヒトの健康に積極的に寄与する商品開発を目指しています。特に、研究開発の対象としては、生活環境の変化や加齢によってバランスのくずれた免疫調節機能を正常化する生体防御面と、世代を超えて拡大している生活習慣病の予防に配慮した生理・代謝機能面に加え、近年の研究により明らかになってきた脳と腸が自律神経を介してお互いに密接に影響を及ぼしあう「脳腸相関」に着目しています。具体的には、プロバイオティクスのパイオニアとして「乳酸菌シロタ株」や「ビフィズス菌BY株」「B.ビフィダムY株」等を利用し、作用領域を拡大した乳酸菌飲料等、自然界に存在する多くの機能性素材を利用した食品の研究開発に力を注いでいます。
また、より一層お客さまのニーズに応えるため、プロバイオティクスを使用した乳製品、清涼飲料等のラインアップの充実を図っています。
当連結会計年度の成果は次のとおりです。
① 乳製品
機能性表示食品である乳製品乳酸菌飲料「Yakult(ヤクルト)1000」のシリーズ品として、糖質・カロリーを低減(32%オフ)し、より甘さを控えた乳製品乳酸菌飲料「Yakult(ヤクルト)1000 糖質オフ」を本年1月に全国で発売するとともに、3月には機能性表示食品として導入しました。
② 清涼飲料等
ア. 豆乳を乳酸菌とビフィズス菌で発酵させて作った植物素材利用食品「豆乳の力」3品を昨年10月に導入しました。
イ. ストレート果汁100%りんごジュース「完熟王林」のシリーズ品として、赤りんごの代表品種であり、コクのある甘味と爽やかな酸味のバランスの優れた青森県産の完熟したふじのみを厳選して使用した「完熟ふじりんご」を昨年12月上旬から数量限定で導入しました。
③ その他海外事業支援
ア. ベトナムヤクルト株式会社が昨年4月に導入した「ヤクルトライト」の技術支援を行いました。
イ. 中国ヤクルト株式会社および広州ヤクルト株式会社が昨年5月に導入した「ヤクルトピーチ風味(鉄プラス)」の技術支援を行いました。
ウ. インドヤクルト・ダノン株式会社が昨年7月に導入した「ヤクルトライトマンゴー風味」の技術支援を行いました。
当分野の研究開発費は7,175百万円です。

(3) その他事業分野

その他事業分野のうち化粧品研究開発分野においては、多様化するお客さまのニーズに応えることを目指し、「美」と「健康」の追究と当社独自の乳酸菌発酵技術を活かした「高機能・高品質で安全性の高い化粧品」の開発を志向しています。
具体的には、乳酸菌生まれの保湿成分を配合したスキンケアシリーズ「ラクトデュウ」から、従来品にオリジナル保湿成分ビフィズス菌はっ酵エキス(大豆)等を新たに配合し、オリジナル保湿成分HBヒアルロン酸(持続型)を増量したリニューアル品3品を、昨年4月および10月に導入しました。
当分野の研究開発費は735百万円です。


その他事業分野のうち医薬品研究開発分野においては、4SC社(ドイツ)から導入したHDAC阻害剤「レスミノスタット」について、皮膚T細胞リンパ腫を対象とした国際共同第Ⅱ相臨床試験を実施中です。
なお、開発中の品目を除き、新たな抗がん剤の開発には着手していないため、当分野の研究開発費は計上していません。
今後は当社の研究基盤である乳酸菌研究をベースに、マイクロバイオーム領域で、医薬部外品や一般用医薬品、サプリメント等への事業転換に取り組みます。

事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00406] S100W0D2)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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