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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100VZFR (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 東京海上ホールディングス株式会社 事業等のリスク (2025年3月期)


従業員の状況メニュー研究開発活動

東京海上グループは、「リスク」、「資本」および「リターン」の関係を常に意識し、リスク対比での健全性と収益性を両立しながら高いROEをめざす「リスクベース経営(ERM:Enterprise Risk Management)」を行っています。

○リスクベース経営(ERM)のイメージ図
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具体的には、リスクアペタイト・フレームワークを起点に、事業計画の策定および検証ならびに事業計画に基づいた資本配分計画を決定するERMサイクルにより「リスク」、「資本」および「リターン」を適切にコントロールし、企業価値の持続的な拡大をめざしています。

○ERMサイクルのイメージ図
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(注)1.環境変化等により新たに現れるリスクであり、従来リスクとして認識されていないものおよびリスクの程度が著しく高まったものをいいます。

2.財務の健全性、業務継続性等に極めて大きな影響を及ぼすリスクをいいます。具体的には、エマージングリスクおよび前事業年度のグループの重要なリスクにつき、影響度(経済的影響、業務継続への影響およびレピュテーションへの影響で評価し、最も大きいものを採用)ならびに頻度・蓋然性を評価し、以下の5×5のマトリクスを用いて特定しています。
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3.重要なリスクについて、対応策のPDCAを実施しています。

(1)定性的リスク管理
事業運営を行うなかで直面する様々なリスクを網羅的に把握して対応するため、エマージングリスクの洗出しならびに重要なリスクの特定、評価および対応策のPDCAを実施し、毎年取締役会に報告しています。
当社ではこのようなリスク管理を実施してきましたが、東京海上日動で情報漏えい事案が発生したことを踏まえ、「重要なリスク」の一つである「法令・規制への抵触/コンダクトリスク」の対応を進めるとともに、「重要情報の漏えい」を追加して対応策を策定しました。

○重要なリスクの一覧
重要なリスク/シナリオ対応例
①経済・金融危機
〇リーマンショック級の世界金融危機、地政学リスクや大規模災害等に起因する金融・資本市場の混乱等により、東京海上グループの保有資産の価値が下落する。
〇政府への信認毀損による日本国債暴落、ハイパーインフレーション等により、東京海上グループの保有資産の価値が下落する。

・地政学リスク等の市場への影響を調査する。
・信用リスク集積管理等により、エクスポージャーをコントロールする。
・ストレステストを行い、資本十分性や資金流動性を確認する。
・金融危機のアクションプランを整備する。
②巨大地震
〇首都直下地震、南海トラフ巨大地震、米国における大規模地震が発生し、人的・物的被害が甚大となり、東京海上グループの事業を含む社会や経済活動が停滞するとともに保険金支払が多額になる。

・リスクの集積を含めて適切にリスクを評価し、お客様のニーズに沿った商品の開発を行いつつ、リスクに見合った引受け、リスク分散および再保険手配を行うことで利益の安定化を図る。
・②、③および⑤はストレステストを行い、②および⑤については資本十分性や資金流動性を、③については資金流動性を確認する。


・危機管理態勢(後記(3)参照)や事業継続計画等を整備し、有事訓練により実効性を確認する。
・⑥については、外部委託管理に関する施策の展開やサイバーセキュリティ態勢も整備し、有事訓練により実効性を確認する。
③巨大風水災・セカンダリーぺリル
(含む気候関連物理的リスク)
〇巨大台風や集中豪雨の発生や、雹災・森林火災・洪水等のセカンダリーぺリルの多発により、物的被害が甚大となり、東京海上グループの事業を含む社会や経済活動が停滞するとともに保険金支払が多額になる。
④火山噴火
〇富士山噴火等が発生し、降灰等により物的被害が甚大となり、東京海上グループの事業を含む社会や経済活動が停滞するとともに保険金支払が多額になる。
⑤新ウイルスのまん延
〇致死率の高い感染症がまん延し、保険金支払が多額になる。
⑥サイバーリスク
〇多くの東京海上グループの顧客やそのサプライチェーンがサイバー攻撃を受け、保険金支払が多額になる。
〇東京海上グループや外部委託先のシステムがサイバー攻撃を受け、事業活動の停滞が発生する。
⑦重要情報の漏えい
○東京海上グループや外部委託先へのサイバー攻撃、クラウドシステム等における不適切なアクセス設定により重大な情報漏えいが発生し、お詫び費用等によって多額の損失が発生するとともに、レピュテーションを毀損する。
〇従業員による他社の重要情報の不正取得や、当社グループの重要情報の不正持出しによってお詫び費用等が生じ、多額の損失が発生するとともに、レピュテーションを毀損する。

・情報セキュリティや情報保護について、各社の運用状況をモニタリングし、グループとして必要な支援を行う。
・情報セキュリティ研修等の従業員のセキュリティ意識・知識向上に向けた対策を行う。
⑧法令・規制への抵触/コンダクトリスク
〇競争法(独占禁止法や不正競争防止法)、個人情報保護、マネー・ローンダリング防止、米中対立やウクライナ戦争に関連した経済制裁強化等に関する規制等に抵触し、罰金等を科されるとともに、レピュテーションを毀損する。
〇業界・企業慣行と世間の常識との乖離や重要法令への意識・知識不足により顧客に不利益が発生すること、適切な企業文化の醸成が不足すること等で東京海上グループの取組みが社会から不適切とみなされることにより、レピュテーションを毀損する。

・グループ会社の法令遵守状況をモニタリングし、態勢整備に向けた支援を行う。
・国内外の社会環境、行政機関の動向、法令規制改正等を把握し、必要な対策を講じる。
・従業員の意識や行動に関する調査について、グループとしてめざす姿に関連した設問を拡充したうえで、好取組事例の収集や展開を行い、東京海上グループの取組みを改善する。
⑨地政学リスク
○国家間の対立が軍事衝突に発展し、人的・物的被害が甚大となり、東京海上グループの事業を含む社会や経済活動が停滞する。
〇国際秩序の乱れにより事業環境が悪化し、東京海上グループの事業を含む社会や経済活動が停滞する。

・危機管理態勢(後記(3)参照)や事業継続計画等を整備し、有事訓練により実効性を確認する。
(経済的影響への対応は上記①に記載)
・情報収集や外部専門家の知見も活用し、適切な状況把握や将来予測を行う。
⑩インフレーション
〇原材料費の高騰や世界的な物価の急激な上昇等により、保険金支払単価が上昇し、リスクに見合った商品改定や再保険調達ができず保険引受利益が減少する。

・インフレーションの保険商品への影響を分析し、リスクに見合った商品改定や引受けを行う。
⑪当社事業領域におけるディスラプション
〇デジタルトランスフォーメーションや革新的な新規参入者、規制・市場環境の変化等により、産業構造が大きく転換するようなイノベーションが発生し、既存のビジネスモデルが陳腐化することで東京海上グループの競争優位性が失われ、収入保険料や利益が大きく減少する。

・デジタルトランスフォーメーションの基本戦略推進とプロジェクトの実行を通じて、保険事業の競争優位性を確保する。
・保険に留まらないソリューション事業の確実な成長に向けた取組みを展開する。
⑫AI/データガバナンスの不足
〇AIやデータの利活用を進めるなかで、脆弱性・誤情報の出力や倫理上の問題の課題等を適切に管理できないことにより、訴訟の発生やレピュテーション毀損が発生する。または、生産的な事業活動が阻害される。

・AIやデータの利活用に関するグループ共通のルール、AIガバナンス基盤の整備等を通じて、当社やグループ会社の態勢整備を行う。


○エマージングリスクの例
エマージングリスク/シナリオ対応例
①脱炭素・自然共生社会への不適切な対応
(気候・自然関連移行リスク)
〇脱炭素・自然共生社会への移行に乗り遅れた投資先企業の企業価値が下落し、東京海上グループの保有資産の価値も下落する。
〇脱炭素・自然共生社会への東京海上グループの取組みが社会から不適切とみなされ、レピュテーションを毀損する。
・「環境および社会リスクに対処する東京海上グループポリシー」を表明し、引受禁止/留意事業を特定している。
・新たな脱炭素技術に関連する保険商品・リスクコンサルティングサービスの開発を加速している。
・従来の情報に加え、非財務情報についても投資判断に考慮する「ESGインテグレーション」を実施している。
・東京海上日動では、保険引受に伴う温室効果ガス排出量の約9割を占める大口顧客に、保険商品・サービスの提供や対話を通じた脱炭素計画の策定を求めている。また、2030年までに脱炭素計画未策定の場合は取引を行わない方針であることを公表している。加えて、自然共生社会への移行に向けてエンゲージメントも実施している。
②地球温暖化、自然資本・生物多様性の喪失
(気候・自然関連物理的リスク)
〇地球温暖化や自然資本・生物多様性の喪失の進行により自然災害の激甚化等が進み、短期的にも長期的にも保険金支払が増大する。
・自然災害リスク評価の高度化に向け、自然災害に関するリスク計測モデル精緻化や、気候変動の影響を評価する手法の開発等に取り組んでいる。
・事業の自然への依存や影響について、研究・分析に取り組んでいる。
・保険引受・投融資ポートフォリオの自然資本・生物多様性へのインパクト・影響度を分析し、TNFDレポートにおいて公表している。
③ビジネスパートナーリスク
〇企業活動に対するバリューチェーン全体を見渡した責任・期待が高まっているなか、業務提携・委託・協業先において、不祥事や事故が発生し、当社の事業継続やレピュテーションに重大な影響が生じる。
・「責任ある調達のためのガイドライン」を定め、基本的な考え方をグループ内へ周知したうえで、ビジネスパートナーにも取組みへの協力を促している。
・外部委託先やビジネスパートナー選定における経済安全保障に関する観点を整理のうえ、各社での取組みを推進している。
④事業ポートフォリオの拡大・変遷に伴う経営管理リスク
〇グループ会社に対して、業態・規模・地域性等に即した最適な経営管理を行えず、不適正事案の発生や経営状態の悪化が生じる。
・ソリューション事業の新たな取組みについては、経営支援チームを組成して内部統制の態勢整備を行うとともに、PoC(実証実験)を通じてリスクの抑制を図っている。
・ソリューション事業の買収案件に関しては、PMIチームを編成して買収先の実態を把握したうえで、内部統制の整備や当社における経営管理態勢の構築を行っている。
⑤グローバルな人権尊重対応の遅れ
〇人権尊重に関する東京海上グループの取組みが社会から不適切とみなされ、レピュテーションを毀損する。
・「人権基本方針」を定め、バリューチェーンを含むあらゆる事業活動における人権尊重を推進する姿勢を示すとともに、ビジネスパートナーに対しても本方針の実践を促している。
・保険引受・投融資先における人権尊重を推進する取組みとして、特定セクターにおける人権リスクの予防・軽減を評価する「環境・社会リスクへの対応方針」を定め、対外公表している。
・当社役職員向けのホットラインに加えて、外部ステークホルダー向けのホットラインを設置している。


(2)定量的リスク管理
格付けの維持および倒産の防止を目的として、保有しているリスク対比で実質純資産が十分な水準にあることを多角的に検証し、財務の健全性が確保されていることを、取締役会において確認しています。
具体的には、リスクをAA格相当の信頼水準である99.95%バリューアットリスク(VaR)(注)1で定量評価し、実質純資産(注)2をリスク量で除したエコノミック・ソルベンシー・レシオ(以下「ESR」といいます)の水準により、資本の十分性を確認するとともに、事業投資機会や今後の市場環境の見通し等を総合的に勘案して資本政策を決定しています。
東京海上グループのESRのターゲットレンジは100~140%です。2025年3月末時点におけるESRは149%となり、資本が十分な水準にあることを確認しています。なお、2025年度は、自己株式取得について年間を通じて2,200億円を、期中の市場環境や株価の状況等を総合的に勘案して機動的に実施する方針を2025年5月20日付で公表しており、これを考慮した場合のESRは143%となります。
また、重要なリスクのうち、経済・金融危機、巨大地震および新ウイルスのまん延については、経済的損失が極めて大きいと想定されるシナリオならびに複数の重要なリスクが同時期に発現するシナリオに基づき、資本十分性および資金流動性に関するストレステストを実施しています。また、巨大風水災についても資金流動性に関するストレステストを実施しています。その結果、いずれも問題がないことを確認しています。
(注)1.将来の一定期間のうちに、一定の確率の範囲内で被る可能性のある最大損失額のことをいいます。99.95%VaRとは、今後1年間の損失が99.95%の確率でその額以内に収まる金額水準です。
2.財務会計上の連結純資産に、資産と負債を時価評価し、異常危険準備金の加算やのれんの控除等の調整を加えて算出します。

○ESRの状況
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(3)危機管理
定性的リスク管理および定量的リスク管理を行っていても、全てのリスクを完全にコントロールすることは困難であり、また、自然災害のように発生を抑えることが不可能なリスクも存在します。
そのため、有事に際して被る経済的損失等を極小化し、迅速に通常業務へ復旧するため、危機管理態勢や緊急事態時アクション等を整備しています。
また、当社はグループ会社に対し支援・指示・指導を行い、グループ会社は当社に対し報告・連絡・相談を行うことで、グループ会社においても平時から危機管理態勢や緊急事態時アクション等の整備を行うとともに、緊急事態時においては復旧や事業継続を迅速・的確に対応できるよう努めています。
さらに、自然災害やサイバー攻撃等、緊急事態(注)となり得る事象を想定した模擬訓練を実施し、緊急事態時の実践力・応用力も高めています。
(注)東京海上グループの各社と顧客・代理店等の利害関係者との関係に重大な影響が生じる事態または東京海上グループの各社の業務に著しい支障が生じると判断される事態です。具体的には、自然災害、パンデミック、システム障害、サイバー攻撃、重要情報の漏えい、重大な法令違反および業務停止命令等、重要なリスクの発現やそれに準じた事態の発生を想定しています。

○東京海上グループの危機管理態勢
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なお、本項の記載には将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は本有価証券報告書提出日現在において判断したものです。

従業員の状況研究開発活動


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