有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100VY52 (EDINETへの外部リンク)
日鉄ソリューションズ株式会社 研究開発活動 (2025年3月期)
研究開発活動につきましては、技術進化、ビジネストレンド、社会環境・人々の価値観の変化等の不確実な状況を踏まえ、新技術の探索、評価・検証、顧客企業への導入支援等において長年にわたって蓄積してきた経験とノウハウを基に、社会全体の「サステナビリティ」の実現に向けた将来像を3つの「未来目標」として設定しております。
未来目標1「究極のデジタルツイン(注1)」 - すべてをデジタルな世界に転写して再現しよう
未来目標2「業務を理解・実行できる人工知能」 - 機械の知的能力をとことん人間に近づけよう
未来目標3「サステナブルな企業情報システム」 - 変化への対応力があり長持ちするシステムにしよう
当連結会計年度においては、これら未来目標からのバックキャストに対し2025-2027中期経営計画に向けた新たなデリバリーモデルや収益モデルの考え方を反映した課題や必要となる技術を検討して、研究開発活動に取り組みました。当連結会計年度における研究開発費の総額は、2,833百万円であり、各未来目標に向けた主な研究開発成果は次のとおりであります。
(1)未来目標1:究極のデジタルツイン
製造業のデジタルツインを実現するシステム「Geminant(ジェミナント)」(注2)において、PoC(注3)案件を経て製品版をリリースし本番環境への導入に向けた活動を行っております。同様にIoX(注4)関連技術・エッジ技術につきましても実案件への適用を進め、画像解析基盤アーキテクチャやデータ取り込みロジック等の拡張やリアルタイム映像解析デモ環境等の整備を進めております。
アンビエント技術(注5)につきましては、「溶接技能伝承」をテーマとしたVR(注6)溶接シミュレーターの研究開発、「農福連携」(注7)をテーマとした現場作業支援システムの研究開発、「匂いセンサー」を活用した社会課題解決に向けた産学連携の推進等を行っております。
最適化技術及びシミュレーション技術(注8)につきましては、東海旅客鉄道㈱との共同研究が日本オペレーションズ・リサーチ学会の「事例研究賞」を受賞、日本製鉄㈱の実フィールドへの適用において「発明改善功績表彰1級」(注9)を受賞しております。また、惣菜部門向けクラウド販売計画サポートサービス「Delifit AI」(注10)の最適化エンジンとして研究成果を適用しております。
プライバシー保護技術を中心としたデータセキュリティにつきましては、特に秘匿性の確保とデータ活用の両立を実現する匿名加工技術に関して、加工や安全性/有用性検査の自動化について実装が進み、製薬業界を中心とした現場に適用されております。データ流通につきましては、前年度着目した「データスペース」(注11)に加え「データクリーンルーム」(注12)や「Data Train」(注13)も対象とした研究開発に着手しております。
(2)未来目標2:業務を理解・実行できる人工知能
生成AI(注14)技術を中心に、マルチモーダル(注15)や自律エージェント(注16)等の新たな技術につきましてタイムリーに研究開発を進めております。応用研究としても、具体的業務で成果を発揮することを目指し顧客要求に基づく案件支援を多数行いつつ、当社内のサービス開発や他の研究テーマへの適用等実用化を進めており、並行して特許等の知的財産化を進めております。
企業がAIを活用する上で重要なAIアーキテクチャにつきましてはRAG(注17)に加えエージェント(注18)やニューロシンボリック(注19)の研究開発を進めております。
AIによる開発プロセスの改善や人材育成にも取り組んでおります。育成コンテンツを整備して実践的なデータ分析ワークショップを行う等この分野の戦力強化にも取り組んでおります。
(2024年度の主なコンペティション成績)
データ分析世界大会“Kaggle”「Kaggle - Santa 2024 - The Perplexity Permutation Puzzle」で1,514チーム中 第6位に入賞 Gold Medal獲得
(3)未来目標3:サステナブルな企業情報システム
この目標は、環境変化に対して柔軟に対応できるように最新技術の活用によって、システム自体のサステナビリティを担保しながら、サステナブルな社会やビジネスを支えるシステムの実現を目指すものであります。
開発プロセスにつきましては、データドリブン(注20)なプロジェクト管理をプロアクティブに行うために「プロジェクト状況可視化ダッシュボード」の実案件への適用を開始しております。また、様々なユースケースや作業を対象に生成AIの適用可能性検証を開始しております。
システムの設計ノウハウの展開に対しては、クラウドネイティブ技術(注21)のデザインパターン(注22)を整備し複数の実案件に適用しております。国内においてもクラウドネイティブ技術を採用するプロジェクトのすそ野が広がりはじめており、戦力強化のための人材育成として130人を超える受講者を輩出しております。
今後の企業情報システムでは、アジリティを重視するDXと、品質や安定性が重視される基幹系を含む既存の情報システムにおいて、一見相反する要求を両立しなければなりません。それらのエンタープライズレベルでの統合を実現する組織分担・開発プロセス・システムアーキテクチャの研究開発を進めております。
(注1) デジタルツイン:工場の設備・製品等の実世界のオブジェクトをデータとしてデジタルな空間に転写・再現することで、リモートからの監視・制御や、過去の状況の再現・未来の予測シミュレーション等を可能にすること。
(注2) Geminant(ジェミナント):当社が開発したデジタルツイン可視化のためのプラットフォーム及び部品群。
(注3) PoC:概念実証(Proof of Concept)
(注4) IoX:機械・部品が互いにつながる「IoT(モノのインターネット)」と、ヒトがIT武装によって互いにつながる「IoH(ヒトのインターネット)」が、高度に連携・協調することにより大きな成果を出すコンセプト。
(注5) アンビエント技術:環境に溶け込み、ユーザーが促さなくてもいつでも支援を提供できる技術。
(注6) VR:仮想現実(Virtual Reality)。
(注7) 農福連携:農業と福祉の連携。
(注8) シミュレーション技術:合理的に最適条件を導出する技術をコンピュータ上でシミュレーションすること、実験や試験と比較して、時間やコストを抑えられる場合が多く、有用な技術。
(注9) 発明改善功績表彰1級:日本製鉄㈱が社員(含:出向者)の考案した発明や改善提案の中から、特に優秀なものを選び、その貢献を称える表彰制度。1級は1~5級の最上位。
(注10) Delifit AI:2024年12月に当社の流通・サービスソリューション事業本部より提供を開始した惣菜部門に特化した販売計画サポートサービス。
(注11) データスペース:デジタル社会で不可欠なデータに注目した概念で、異なる組織・国・エコシステム・異業種等の間で、信頼性を確保しながらデータを共有するための標準化されたルールや仕組み。
(注12) データクリーンルーム:企業間でデータを安全に共有・分析するためのクラウド環境。個人情報保護法に対応し、かつデータ活用を促進するための重要なツールとして注目。
(注13) Data Train:主にドイツの研究データインフラストラクチャ(NFDI)のコンポーネントとして、データリテラシーを向上させることを目的としたトレーニングプログラム。研究データの有効利用を促進する役割も担う。
(注14) 生成AI:深層学習や機械学習の手法を駆使し、人が生成するようなテキスト、画像、音楽、ビデオ等のデジタルコンテンツを自動で生成するAI技術。
(注15) マルチモーダル:テキスト、画像、音楽、ビデオ等、異なる種類のデータを組み合わせることで、生成AIがより高度な情報処理を行う技術。
(注16) 自律エージェント:環境を感知し、自身の内部方針に従って自律的に行動するプログラムやシステム。
(注17) RAG(Retrieval-Augmented Generation):外部の信頼できる情報源から関連情報を「検索(Retrieval)」し、その情報を参照して回答を「生成(Generation)」する手法
(注18) エージェント:周囲の環境を「認識」し、その情報に基づいて自律的に「判断・意思決定」を行い、特定の「目標達成」のために「行動」を実行するシステム又はプログラム
(注19) ニューロシンボリック:ニューラルネットワーク(統計的学習・パターン認識)とシンボリックAI(記号処理・論理的推論)という、異なる二つのAIアプローチを組み合わせた技術
(注20) データドリブン :収集した様々なデータをもとに意思決定を行う手法。
(注21) クラウドネイティブ技術:クラウドの提供する機能を徹底的に活用して、スケーラブルで信頼性・回復性のある疎結合なシステムを開発する設計技術。
(注22) デザインパターン:ソフトウェア設計において過去に編み出した設計ノウハウを蓄積し、再利用しやすいように特定の規約に沿ってカタログ化したもの。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E05304] S100VY52)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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