有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100W81X (EDINETへの外部リンク)
株式会社新日本科学 研究開発活動 (2025年3月期)
当連結会計年度の研究開発活動は、科学技術の急速な進展により医薬品の開発環境が大きく変化している中、新しい環境にも迅速に対応した質の高い開発支援ができるよう、当社グループの各セグメントにおいて最先端と思われる技術を開発利用しております。
当連結会計年度における研究開発費は、2,217,685千円(セグメント間取引消去58,399千円除く)であり、各セグメント別の研究開発活動は、次のとおりであります。
(1) CRO事業
当社の安全性研究所及び薬物代謝分析センターをはじめとする研究施設では、質の高い試験成績を迅速に委託者に提供できるよう、基礎データの蓄積や解析を行うだけではなく、評価方法の妥当性を検証するための事前検討や新技術獲得のための基礎研究や技術改良に日々取り組んでおります。また、いずれの施設も動物福祉に積極的に取り組み、国際的な認証団体であるAAALAC Internationalにより適合施設として認証されております。さらに、海外グローバル製薬企業からの注目度が上がるなか、きめ細やかで迅速且つ確実な顧客対応を行うため、2023年1月にGlobal Services and Communications Division(GSC 統括部)を新設しました。以降、グローバル対応力のさらなる強化を目指し海外試験受託に熟練したチーム(Global Study Team: GST)を戦略的に育成するほか、米国ではシアトルのほか、ボストンやサンディエゴなど、数か所に営業拠点を置いて、北米営業担当役員も配置し、顧客とのコミュニケーションを強化しています。
医薬品開発の主流は、低分子化合物から抗体や核酸、ペプチドに代表されるバイオ医薬品、iPS細胞に代表される再生医療あるいは遺伝子治療に移行しております。当社は、これらの業界の動きに対応するため、種々の評価系や試験系の検討を実施しております。例えば、抗体医薬ではこれまで日本では受託できる機関がなかった組織交差反応性試験を立ち上げ受託実績を積み上げました。さらに、既存技術より高感度にバイオマーカーを測定できる高感度免疫分析装置SMC×PROやElispotを用いた受託では、高品質な測定結果について製薬企業より評価頂いております。抗体医薬は実験用NHPのみに反応性がみられるものが殆どであり、日本で唯一の実験用NHPを用いた生殖発生毒性試験を実施できる施設として、次世代への影響を評価する試験実績を増やしております。
近年新たながん治療として注目されているがん免疫療法の分野におきましても、その有効性評価が可能な細胞機能解析装置であるフローサイトメーターの最上位機種LSRFortessa X-20を、国内CROでいち早く立ち上げました。当該機種は、非臨床分野のみならず、臨床分野にも応用可能な高性能機種です。
遺伝子治療の領域では、PCR装置を用いた評価系が必須となっております。当社では他社に先駆けてPCR検査エリアの設置と処理能力の増強を図りました。その上で、第二世代のdigital droplet PCRを2020年に導入し、実績を積み上げております。また、2024年5月末に竣工した新社屋研究棟には新たにPCR検査エリアを新設し、処理能力のさらなる増強を図っています。
血漿あるいは血清中の薬物の濃度測定には、液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS/MS)が使用されますが、最上位機種であるSCIEX Triple Quad7500を導入し立ち上げました。当該機種はこれまでにない感度で微量分析物の定量を実現可能です。核酸医薬品や生体内に含まれる微量な物質の血漿あるいは血清中濃度の測定が可能であり、非臨床分野のみならず、臨床分野にも応用可能な高性能機種です。近年、様々なモダリティの医薬品に関する分析が増えていることから、低分子および新モダリティ医薬品のどちらも分析可能な高分解能機種であるOrbitrap Exploris 240を導入しました。近年開発が盛んな抗体-薬物複合体(ADC)は抗体と薬物の結合比や代謝物の分析が求められますが、本装置の導入により分析が可能となりました。
また、実験用NHPの感染実験が実施可能な施設を活用し、各種ウイルスに対するワクチンなどに関して企業や大学との共同研究を行っており、フェレットやマウスを用いた感染実験も確立しております。
これまでの安全性研究所における収益の柱であった安全性評価に加え、近年では医薬品の有効性評価に関わる業績が向上しております。特に当社は実験用NHPを用いた非臨床試験では国内でトップクラスの業績を有しており、これまで培ってきた実績を基礎に実験用NHPを主体とした各種病態モデルを確立し、臨床への外挿性が高い有効性評価手法が国内外の製薬企業より評価を頂いております。それら病態モデルの中でも、臨床でiPS細胞の適用が進められている加齢性黄斑変性症の薬効試験は国内でも少数の試験施設でしか受託体制は整っていないため、当該モデルの確立後から既に複数試験の受託をしております。引き続き、時代に応じて変化する創薬ニーズに対応した新しい病態モデルの確立も積極的に進めております。
有効性評価の実績には、業界に先駆けて導入を進めた各種イメージング機器を用いた非臨床試験数の増加も寄与しております。当社で導入しているMRI、CT、及び血管造影装置はすべて臨床でも使用している機器となります。そのうち近年更新したMRIでは脳活動の機能的評価も可能となりました。すなわち、実験用NHPなどの大動物を用いてヒトと近似の病態モデルを作出し、ヒトと同じ機器を用いて動物を傷つけることなく薬物の評価を継時的にできる技術が高く評価されております。従来、非臨床試験ではイメージングを用いた有効性評価及び安全性評価は一般的ではありませんでしたが、新薬創出の難易度が高まり、動物福祉のさらなる向上が求められている製薬業界において、イメージングを用いた新しい評価系へのニーズは国内外の製薬企業を問わず今後も増加することが予想されます。
これらの研究活動には、外部アカデミア等との共同研究も含まれております。すなわち、京都大学iPS細胞研究所とは再生医療分野の安全性研究について、岐阜薬科大学とは寄附講座を開設した上で眼科疾患を中心とした病態モデル作出について、九州大学とは共同研究講座を開設した上でがん免疫研究について協働しております。これらの研究成果については海外や国内の学会等において発表するほか、国内外の学術雑誌へ論文として掲載しております。
当社は、新たな受託サービス構築を目的として、「再生医療・遺伝子治療の産業化に向けた基盤技術開発事業(AMED)」へ参画しMicrophysiological System(MPS)の社会実装へ向け活動してまいりました。MPSとは,MEMS(micro electro mechanical systems)技術を用いて作製された微小な空間に,生体(in vivo)に近い培養環境を再構築したin vitro培養系のことです。ヒト由来の細胞を使用することで、動物実験では評価が難しい副作用等を評価することを目的として開発が進んでいます。当社の新社屋研究棟にはMPS受託のための専用実験室も設置しており、2025年4月には国内CROとして初めて、受託サービスを開始しております。
以上の活動における研究開発費は、407,926千円であります。
(2) トランスレーショナルリサーチ(TR)事業
TR事業本部はCRO事業と異なる研究開発機関で、その経鼻投与基盤技術(SMART)は、当社が独自に発見した担体をベースにした粉体製剤技術と独自設計の投与デバイス(医療用具)を組み合わせたプラットフォーム技術であり、鼻粘膜からの速やかな薬物吸収に基づく即効性を特徴としており、加えて注射に比べて投与が簡易で製剤の室温保存も可能という強みがあります。このSMARTを各種薬物に応用した研究を進めながら、製剤改良や同基盤技術に付加すべきオプション技術の研究にも鋭意取り組んでおります。経鼻吸収研究開発は、本事業の根幹であり、すでに5種類以上の応用実績を有し、早期に市場への投入が期待されます。特に、完全子会社であるSNLD社では、国内で実施した探索的臨床第2相試験の成績を2025年4月に第77回米国神経学会(American Academy of Neurology: AAN)年次総会にて、5月には日本神経学会にて発表しており、さらに複数の国内外の学会での発表を計画しています。患者様への与薬は少数ながら薬効を確認でき、さらにPOC取得に向けて前進しております。次のステップの開発を行うにあたり、諸条件の精査を進めております。
経鼻ワクチンプロジェクトでは、遮断免疫作用を有する新規経鼻ワクチンの研究が進んでいます。ワクチンメーカーや研究機関との連携体制を構築しながら、当社の独自基盤技術を確立して新規経鼻ワクチンの研究開発に寄与することを目指します。2023年度「ワクチン・新規モダリティ研究開発事業」につき、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(Japan Agency for Medical Research and Development:AMED)の主要機関である先進的研究開発戦略センター(Strategic Center of Biomedical Advanced Vaccine Research and Development for Preparedness and Response:SCARDA)より日本発のワクチン創出のための公募があり、当事業本部「経鼻粘膜ワクチン研究開発センター」より応募した「粉体噴射型 IgA 産生誘導経鼻ワクチンシステムの開発」が採択され、非臨床POCの取得まで助成を受けております。非臨床研究の範疇で、製剤化研究と共に粘膜免疫誘導効果を検証中です。
以上、TR事業本部では、経鼻パーキンソン病治療薬と経鼻ワクチンの開発を2つの基幹プロジェクトに据えております。
一方、血液脳関門(Blood Brain Barrier)の存在により、静脈注射でも脳内に送達できない薬物について、鼻から脳へと薬物を送達させる技術(Nose-to-Brain送達技術)の研究開発活動にも注力しております。中枢神経系疾患に関する医薬へのアンメットメディカルニーズは非常に高く、治療薬の開発は製薬企業における重点領域となっています。アカデミアとも連携し、分子イメージング法なども活用しながら、血中から脳へと移行し難い有効成分が、注射よりも高効率に脳へと移行することを確認しており、2023年のJournal of Controlled Releaseへの論文発表に引き続き、2024年11月には核医学と放射性医薬品科学の分野で重要な科学雑誌Nuclear Medicine and Biology, 138-139に発表しております
さらに、自社開発候補化合物を拡充し、SMARTの応用性を探索中です。経鼻投与デバイスについては、高い噴射性能に加えて、使用目的に応じた使い勝手の更なる向上や、製造コストの更なる低減を達成しつつあり、安定した供給が可能な体制づくりを目指します。
当社よりスピンアウトした経鼻片頭痛薬の開発会社であるSatsuma Pharmaceuticals, Inc.(米国 ノースキャロライナ州)は、2025年4月30日(米国時間)にFDAより経鼻片頭痛薬「Atzumi™」(開発コード:STS101)に関して販売承認を取得しており、米国での販売を視野にパートナリング契約締結に向けた活動を進めております。Atzumi™は当社のSMARTを用いて開発された経鼻治療薬の承認第1号となります。
当事業本部は、引き続き、これらの開発・技術支援及び知財管理をしております。一方で、TR事業本部内に設置した基礎研究室において、遺伝子情報をwet(実験)とdry(大容量ICT)の両環境で扱い、特定の疾患で発現遺伝子の量的変化を解析し、マーカーの同定や治療法の特定、特許出願に取り組んでおります。現在、神奈川がんセンター等のアカデミアと共同研究を進めております。また、MPS(Microphysiological System、生体模倣システム:生体組織や臓器の機能や構造を模倣したシステム)を用いた解析研究を開始しました。
以上の活動における研究開発費は、1,813,699千円であります。
(3) その他
その他の研究開発費は、54,459千円であります。
当連結会計年度における研究開発費は、2,217,685千円(セグメント間取引消去58,399千円除く)であり、各セグメント別の研究開発活動は、次のとおりであります。
(1) CRO事業
当社の安全性研究所及び薬物代謝分析センターをはじめとする研究施設では、質の高い試験成績を迅速に委託者に提供できるよう、基礎データの蓄積や解析を行うだけではなく、評価方法の妥当性を検証するための事前検討や新技術獲得のための基礎研究や技術改良に日々取り組んでおります。また、いずれの施設も動物福祉に積極的に取り組み、国際的な認証団体であるAAALAC Internationalにより適合施設として認証されております。さらに、海外グローバル製薬企業からの注目度が上がるなか、きめ細やかで迅速且つ確実な顧客対応を行うため、2023年1月にGlobal Services and Communications Division(GSC 統括部)を新設しました。以降、グローバル対応力のさらなる強化を目指し海外試験受託に熟練したチーム(Global Study Team: GST)を戦略的に育成するほか、米国ではシアトルのほか、ボストンやサンディエゴなど、数か所に営業拠点を置いて、北米営業担当役員も配置し、顧客とのコミュニケーションを強化しています。
医薬品開発の主流は、低分子化合物から抗体や核酸、ペプチドに代表されるバイオ医薬品、iPS細胞に代表される再生医療あるいは遺伝子治療に移行しております。当社は、これらの業界の動きに対応するため、種々の評価系や試験系の検討を実施しております。例えば、抗体医薬ではこれまで日本では受託できる機関がなかった組織交差反応性試験を立ち上げ受託実績を積み上げました。さらに、既存技術より高感度にバイオマーカーを測定できる高感度免疫分析装置SMC×PROやElispotを用いた受託では、高品質な測定結果について製薬企業より評価頂いております。抗体医薬は実験用NHPのみに反応性がみられるものが殆どであり、日本で唯一の実験用NHPを用いた生殖発生毒性試験を実施できる施設として、次世代への影響を評価する試験実績を増やしております。
近年新たながん治療として注目されているがん免疫療法の分野におきましても、その有効性評価が可能な細胞機能解析装置であるフローサイトメーターの最上位機種LSRFortessa X-20を、国内CROでいち早く立ち上げました。当該機種は、非臨床分野のみならず、臨床分野にも応用可能な高性能機種です。
遺伝子治療の領域では、PCR装置を用いた評価系が必須となっております。当社では他社に先駆けてPCR検査エリアの設置と処理能力の増強を図りました。その上で、第二世代のdigital droplet PCRを2020年に導入し、実績を積み上げております。また、2024年5月末に竣工した新社屋研究棟には新たにPCR検査エリアを新設し、処理能力のさらなる増強を図っています。
血漿あるいは血清中の薬物の濃度測定には、液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS/MS)が使用されますが、最上位機種であるSCIEX Triple Quad7500を導入し立ち上げました。当該機種はこれまでにない感度で微量分析物の定量を実現可能です。核酸医薬品や生体内に含まれる微量な物質の血漿あるいは血清中濃度の測定が可能であり、非臨床分野のみならず、臨床分野にも応用可能な高性能機種です。近年、様々なモダリティの医薬品に関する分析が増えていることから、低分子および新モダリティ医薬品のどちらも分析可能な高分解能機種であるOrbitrap Exploris 240を導入しました。近年開発が盛んな抗体-薬物複合体(ADC)は抗体と薬物の結合比や代謝物の分析が求められますが、本装置の導入により分析が可能となりました。
また、実験用NHPの感染実験が実施可能な施設を活用し、各種ウイルスに対するワクチンなどに関して企業や大学との共同研究を行っており、フェレットやマウスを用いた感染実験も確立しております。
これまでの安全性研究所における収益の柱であった安全性評価に加え、近年では医薬品の有効性評価に関わる業績が向上しております。特に当社は実験用NHPを用いた非臨床試験では国内でトップクラスの業績を有しており、これまで培ってきた実績を基礎に実験用NHPを主体とした各種病態モデルを確立し、臨床への外挿性が高い有効性評価手法が国内外の製薬企業より評価を頂いております。それら病態モデルの中でも、臨床でiPS細胞の適用が進められている加齢性黄斑変性症の薬効試験は国内でも少数の試験施設でしか受託体制は整っていないため、当該モデルの確立後から既に複数試験の受託をしております。引き続き、時代に応じて変化する創薬ニーズに対応した新しい病態モデルの確立も積極的に進めております。
有効性評価の実績には、業界に先駆けて導入を進めた各種イメージング機器を用いた非臨床試験数の増加も寄与しております。当社で導入しているMRI、CT、及び血管造影装置はすべて臨床でも使用している機器となります。そのうち近年更新したMRIでは脳活動の機能的評価も可能となりました。すなわち、実験用NHPなどの大動物を用いてヒトと近似の病態モデルを作出し、ヒトと同じ機器を用いて動物を傷つけることなく薬物の評価を継時的にできる技術が高く評価されております。従来、非臨床試験ではイメージングを用いた有効性評価及び安全性評価は一般的ではありませんでしたが、新薬創出の難易度が高まり、動物福祉のさらなる向上が求められている製薬業界において、イメージングを用いた新しい評価系へのニーズは国内外の製薬企業を問わず今後も増加することが予想されます。
これらの研究活動には、外部アカデミア等との共同研究も含まれております。すなわち、京都大学iPS細胞研究所とは再生医療分野の安全性研究について、岐阜薬科大学とは寄附講座を開設した上で眼科疾患を中心とした病態モデル作出について、九州大学とは共同研究講座を開設した上でがん免疫研究について協働しております。これらの研究成果については海外や国内の学会等において発表するほか、国内外の学術雑誌へ論文として掲載しております。
当社は、新たな受託サービス構築を目的として、「再生医療・遺伝子治療の産業化に向けた基盤技術開発事業(AMED)」へ参画しMicrophysiological System(MPS)の社会実装へ向け活動してまいりました。MPSとは,MEMS(micro electro mechanical systems)技術を用いて作製された微小な空間に,生体(in vivo)に近い培養環境を再構築したin vitro培養系のことです。ヒト由来の細胞を使用することで、動物実験では評価が難しい副作用等を評価することを目的として開発が進んでいます。当社の新社屋研究棟にはMPS受託のための専用実験室も設置しており、2025年4月には国内CROとして初めて、受託サービスを開始しております。
以上の活動における研究開発費は、407,926千円であります。
(2) トランスレーショナルリサーチ(TR)事業
TR事業本部はCRO事業と異なる研究開発機関で、その経鼻投与基盤技術(SMART)は、当社が独自に発見した担体をベースにした粉体製剤技術と独自設計の投与デバイス(医療用具)を組み合わせたプラットフォーム技術であり、鼻粘膜からの速やかな薬物吸収に基づく即効性を特徴としており、加えて注射に比べて投与が簡易で製剤の室温保存も可能という強みがあります。このSMARTを各種薬物に応用した研究を進めながら、製剤改良や同基盤技術に付加すべきオプション技術の研究にも鋭意取り組んでおります。経鼻吸収研究開発は、本事業の根幹であり、すでに5種類以上の応用実績を有し、早期に市場への投入が期待されます。特に、完全子会社であるSNLD社では、国内で実施した探索的臨床第2相試験の成績を2025年4月に第77回米国神経学会(American Academy of Neurology: AAN)年次総会にて、5月には日本神経学会にて発表しており、さらに複数の国内外の学会での発表を計画しています。患者様への与薬は少数ながら薬効を確認でき、さらにPOC取得に向けて前進しております。次のステップの開発を行うにあたり、諸条件の精査を進めております。
経鼻ワクチンプロジェクトでは、遮断免疫作用を有する新規経鼻ワクチンの研究が進んでいます。ワクチンメーカーや研究機関との連携体制を構築しながら、当社の独自基盤技術を確立して新規経鼻ワクチンの研究開発に寄与することを目指します。2023年度「ワクチン・新規モダリティ研究開発事業」につき、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(Japan Agency for Medical Research and Development:AMED)の主要機関である先進的研究開発戦略センター(Strategic Center of Biomedical Advanced Vaccine Research and Development for Preparedness and Response:SCARDA)より日本発のワクチン創出のための公募があり、当事業本部「経鼻粘膜ワクチン研究開発センター」より応募した「粉体噴射型 IgA 産生誘導経鼻ワクチンシステムの開発」が採択され、非臨床POCの取得まで助成を受けております。非臨床研究の範疇で、製剤化研究と共に粘膜免疫誘導効果を検証中です。
以上、TR事業本部では、経鼻パーキンソン病治療薬と経鼻ワクチンの開発を2つの基幹プロジェクトに据えております。
一方、血液脳関門(Blood Brain Barrier)の存在により、静脈注射でも脳内に送達できない薬物について、鼻から脳へと薬物を送達させる技術(Nose-to-Brain送達技術)の研究開発活動にも注力しております。中枢神経系疾患に関する医薬へのアンメットメディカルニーズは非常に高く、治療薬の開発は製薬企業における重点領域となっています。アカデミアとも連携し、分子イメージング法なども活用しながら、血中から脳へと移行し難い有効成分が、注射よりも高効率に脳へと移行することを確認しており、2023年のJournal of Controlled Releaseへの論文発表に引き続き、2024年11月には核医学と放射性医薬品科学の分野で重要な科学雑誌Nuclear Medicine and Biology, 138-139に発表しております
さらに、自社開発候補化合物を拡充し、SMARTの応用性を探索中です。経鼻投与デバイスについては、高い噴射性能に加えて、使用目的に応じた使い勝手の更なる向上や、製造コストの更なる低減を達成しつつあり、安定した供給が可能な体制づくりを目指します。
当社よりスピンアウトした経鼻片頭痛薬の開発会社であるSatsuma Pharmaceuticals, Inc.(米国 ノースキャロライナ州)は、2025年4月30日(米国時間)にFDAより経鼻片頭痛薬「Atzumi™」(開発コード:STS101)に関して販売承認を取得しており、米国での販売を視野にパートナリング契約締結に向けた活動を進めております。Atzumi™は当社のSMARTを用いて開発された経鼻治療薬の承認第1号となります。
当事業本部は、引き続き、これらの開発・技術支援及び知財管理をしております。一方で、TR事業本部内に設置した基礎研究室において、遺伝子情報をwet(実験)とdry(大容量ICT)の両環境で扱い、特定の疾患で発現遺伝子の量的変化を解析し、マーカーの同定や治療法の特定、特許出願に取り組んでおります。現在、神奈川がんセンター等のアカデミアと共同研究を進めております。また、MPS(Microphysiological System、生体模倣システム:生体組織や臓器の機能や構造を模倣したシステム)を用いた解析研究を開始しました。
以上の活動における研究開発費は、1,813,699千円であります。
(3) その他
その他の研究開発費は、54,459千円であります。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E05385] S100W81X)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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