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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100W4Y9 (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 西松建設株式会社 研究開発活動 (2025年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等


当社は技術研究所を中心として、社会や顧客からの要求・要望、社内の各事業部門からの課題解決の要請などに応えるべく、基礎研究から実践的な技術開発まで幅広く研究開発活動を行っております。
具体的には、省力化・生産性向上・高品質化に寄与する技術をはじめ、社会インフラのリニューアル技術、国土強靭化に資する防災・減災に関する技術、省エネ・脱炭素社会に貢献する各種の環境関連技術に関する研究開発を行っております。また、戸田建設株式会社との共同研究をはじめとして、大学などの研究機関や異業種・同業種企業、公共機関との共同研究も積極的に進めており、多くの分野において効率的な研究開発を推進しております。
当連結会計年度における研究開発活動に要した費用総額は2,362百万円で、主な成果は以下のとおりです。

(建設事業(土木・建築・国際))

(1) 生産性向上技術

①板ジャッキを活用した床版切断撤去施工技術を開発
~合成桁形式の床版撤去時間の短縮化を実現~
コンクリートコーリング株式会社と共同で、板ジャッキを用いて合成桁床版を短時間で効率的に撤去することができる技術を開発しました。本技術は、既設床版のハンチ部や上面にカッター等で切断したスリット内へ板ジャッキ(厚さ2.4mm)を挿入し、専用ポンプで水圧を作用させてスリットを拡張・延伸させることで、床版コンクリートを合成桁から簡単に分離でき、撤去することが可能です。桁上に残るコンクリートは極めて少ないため、その後のはつり作業が大幅に低減され、施工時間は一般的なブレーカによる撤去方法に比べて20%~50%短縮できます。

②「NFJコアビット」の開発
~トンネル現場における品質管理業務の生産性向上に貢献~
フジモリ産業株式会社と共同で、ドリルジャンボを使って、吹付けコンクリートの品質管理に必要な供試体を短時間で採取できる「NFJコアビット」を開発しました。本技術は、山岳トンネル工事で使用するドリルジャンボにNFJコアビットを取り付けるだけで、トンネル壁面に施工した吹付けコンクリートのあらゆる箇所から供試体を直接採取することができます。従来は専用型枠を用いて供試体を採取するのに約70分を要していましたが、本技術では作業時間を約10分と大幅に短縮でき、現場での品質管理業務の生産性が向上します。

(2) 省人化・省力化技術

①ホイールローダ遠隔操作システムを山岳トンネル工事の実施工へ試験導入
~山岳トンネル無人化・自動化施工システム「Tunnel RemOS」の実現に向けた大きな一歩~
ジオマシンエンジニアリング株式会社、株式会社カナモトと共同開発した、ホイールローダ遠隔操作システム「Tunnel RemOS-WL(トンネルリモス-ホイールローダ)」を山岳トンネル工事に試験導入し、遠隔でのずり出し作業(掘削岩塊の運搬作業のこと)の施工性を確認しました。本システムは、過年度に開発した試作機を改良した実用機であり、高速かつ繊細な動作が要求されるホイールローダを遠隔操作でも実機搭乗に近い操作感覚で正確に制御することが可能です。今回の試験導入では、ずり出し作業にかかるサイクルタイムの検証とともに、システム機器の操作性向上と耐久性向上も確認できました。今後、実施工への本格的な導入や、自動化システムの開発に取り組む計画です。

②濁水処理設備の自動管理システム「FlocTrack」を開発
~AIを活用して大幅に時間と手間を短縮~
山岳トンネル工事などに設置される濁水処理設備における処理剤の添加量をAIで自動管理できるシステム「FlocTrack」を開発しました。濁水処理設備内で計測したpHや濁度、土粒子の凝集状況(フロックの形成状況)の映像をもとに、汚濁水の水質に合わせて各種処理剤の添加量をAIが最適に調整し添加します。本システムの活用により、濁水担当者の管理時間が約36%短縮され、省力化できます。なお、本システムは「官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)」の予算を活用した国土交通省の2022年度「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」の試行技術として採用されました。

③地中連続壁工法における安定液の品質管理自動計測システムの開発
~現場で安定液(泥水)の粘性及び比重を自動で連続的に精度よく測定~
株式会社三央と共同で、鋼製連壁やRC連壁といった地中連続壁工法で使用する安定液の1つである泥水の品質管理に着目し、ファンネル粘度及び比重を現場にて自動で連続計測できる「品質管理自動計測システム」を開発しました。本システムの活用により、安定液の品質管理作業の省力化・省人化に加え、掘削時のトラブル防止や再生薬剤等の使用量及び廃棄泥水量の削減に寄与できます。また、泥水式シールドや場所打ち杭の工事などにも活用が可能です。

④場所打ちコンクリート杭の孔壁形状確認システムを開発
~孔壁測定結果をデジタル化、現場作業の省力化を実現~
場所打ちコンクリート杭の築造時における孔壁形状確認システムを開発しました。本システムは、孔壁の測定結果をデジタルデータとして自動で取り込み、サーバー上でデジタル帳票を自動的に作成することができます。また、デジタル帳票は、現場職員だけでなく社内の関係部署と簡単に共有可能です。本システムの利用により、孔壁測定結果をワンストップで作成・管理することが可能となり、現場職員の負担軽減、業務時間の短縮・効率化を実現します。

(3) 品質向上技術

①場所打ちコンクリート杭工事の支持層到達管理システムを開発
~支持層への到達を見える化し、精度向上を目指す~
場所打ちコンクリート杭工事における支持層への到達確認を精度よくリアルタイムに行うことができる、アースドリル工法に特化した支持層到達管理システムを開発しました。本システムは、掘削機に取り付けた加速度センサーで測定したデータをもとに新たな加速度指標を定義し、深度計の表示から画像処理(OCR)で取得した深度情報を用いて、当該指標にもとづく深度分布をリアルタイムに作成・表示することができます。従来のような掘削土と地盤調査時のサンプル試料を目視で比較する確認方法だけでなく、掘削機の振動データといった新たな判断材料と併せることで、支持層への到達確認がより高い精度で行うことができ、支持層到達管理の信頼性向上を実現します。

②場所打ちコンクリート杭への高強度鉄筋の適用手法を確立
~設計手法に関して評定を取得~
株式会社安藤・間、株式会社奥村組、佐藤工業株式会社、鉄建建設株式会社、東急建設株式会社、戸田建設株式会社、株式会社長谷工コーポレーション、三井住友建設株式会社と共同で、高強度鉄筋を主筋に使用した場所打ちコンクリート杭の構造性能を確認し、その設計手法に関して、一般財団法人ベターリビングにて一般評定を取得しました。従来よりも強度の高い鉄筋を主筋に用いることで、杭の合理的な設計を可能とするとともに、施工性や施工品質の向上を実現します。

③構造ヘルスモニタリングシステムを開発
~地震リスク評価の精度向上を目的に、再現性の高い解析モデルを自動推定~
地震リスク評価の精度向上を目的に、地震時の計測データから建物の挙動再現解析モデルを自動推定できる構造ヘルスモニタリングシステムを開発し、当社が保有する東京都港区内の事務所ビルでの運用を開始しました。本システムにより、地震発生時に実際の建物から得られた計測データをもとに、将来予想される地震に対して、高い精度でのリスク評価を可能としました。なお、本システムは当社が検証実験などの開発全般を担当し、株式会社構造計画研究所がシステム設計を担当しました。

(4) 環境関連技術

①アサヒ飲料株式会社と協業したカーボンネガティブコンクリートを開発
~大気中よりCO2を吸収した材料からコンクリートを製造~
アサヒ飲料株式会社と共同で、製造過程でのCO2排出量がマイナスとなるカーボンネガティブコンクリートの開発に着手しました。本開発では、アサヒ飲料株式会社の「CO2を食べる自販機」で大気中のCO2を吸収した特殊材を活用します。本材料をコンクリート1m3あたり約200kg以上混和し、さらに製鉄所の副産物である高炉スラグ微粉末をセメントの代替材料として多量に使用することで、一般のコンクリートと同等の強度を有しつつ、環境に優しいカーボンネガティブなコンクリートが作れることを確認しています。今後は、長期的な耐久性の確認や社会実装に向けた試験を行っていく予定です。

②火山ガラス微粉末を用いた環境配慮型コンクリートの共同研究に着手
~国内産出での天然資源を用いた環境配慮技術~
戸田建設株式会社と共同で、コンクリート用火山ガラス微粉末を用いた環境配慮型コンクリートについて、将来の発展性を考慮し、基本性状を確認する研究開発に着手しました。火山ガラスとは火山性堆積物を主原料とする天然ポゾランであり、これを一定の粒度に調整したものが火山ガラス微粉末です。火山ガラス微粉末は、国内で調達可能な天然資源であり、コンクリート用材料として注目されています。これまでに鹿児島県産の火山ガラス微粉末を用いたコンクリートの基本物性を確認しており、今後は実構造部への適用を目標に、レディーミクストコンクリート工場からの出荷を想定した試し練りや、模擬試験体による強度、耐久性、施工性等の確認を行う予定です。

(5) DX関連技術

①補助工法等の注入データの3D可視化・分析が可能な「GroutViz」を開発
~トンネル周辺地山を多面的に評価~
ジオマシンエンジニアリング株式会社、株式会社カテックスと共同で、山岳トンネル工事における地山への薬液注入データの三次元可視化やそれを基にした地山性状の定量評価を可能とするシステム「GroutViz(グラウトビズ)」を開発しました。本システムは、注入装置で記録した注入率、注入圧、注入量といったデータを専用の解析ソフトで読み込むことで、注入データの三次元可視化や、逆距離加重法等の空間データ補間機能を用いた分布傾向の分析を行うことができます。本システムを当社施工中のトンネルへ適用した結果、注入データは実際の地質構造と概ね同じ傾向を示しており、本システムが地山評価に有用であることが確認できました。

②XRを活用した空撮映像への3Dモデル重畳技術を開発
~BIM/CIMとリアルを融合、XR施工管理プラットフォーム実現に向けた要素技術を検証~
株式会社ホロラボと共同で、ドローンの空撮映像に3Dモデルをリアルタイムで重畳し、ヘッドマウントディスプレイと連携して現場全景を俯瞰した施工イメージの可視化、ドローンの操縦支援を行う技術を開発しました。本技術は、XRを活用した複数のデジタル情報を確認しながら直感的なドローン操作が可能となります。また、現場全景の施工イメージを可視化・共有化することが可能なため、現場状況に応じた、より的確で妥当性の高い施工計画の立案や高度な施工管理の実現に役立ちます。さらに、地震や水害等の災害復旧工事で人が近づけない危険な現場でも、ドローンを使った遠隔での広域を見渡した施工計画立案や施工管理支援ツールとしての活用も期待できます。

③AI による配筋検査サービス(AI カメラと専用アプリ)を2024年4月から導入開始
~配筋を立体検知する技術を活用し、プライム ライフ テクノロジーズとの継続的改善スキームを構築~
配筋検査システム協議会の会員会社(当社を含むゼネコン21社)とプライム ライフ テクノロジーズ株式会社は共同で、建設DXサービス「CONSAIT(コンサイト)」として、配筋検査における品質向上と業務効率化をサポートする配筋検査システムを開発し、2024年4月より本システムの先行導入を開始しました。本システムは、パナソニック株式会社の技術を活用して開発したAI カメラ「CONSAIT Eye」を使用します。本カメラで配筋状態を立体的に検知することで、鉄筋径や本数、ピッチ、鉄筋の配置を計測でき、登録した設計データと自動照合し、その結果をもとに帳票を自動作成します。配筋検査の事前準備となる検査用データの入力や各帳票の作成は、「CONSAIT Pro 配筋検査」で効率化されます。本システムにより、検査や記録の正確性、検査品質が向上し、配筋検査の繁雑な作業が効率化されることで作業時間の大幅な短縮を実現します。

(6) 新しい取り組み
①生物多様性保全を目的とするビオトープ「中津クロスポイント」を整備
~技術研究所内に地域性植栽を取り入れた生物多様性フィールドを整備~
箱根植木株式会社及びあいかわ自然ネットワークのご協力の下、技術研究所(神奈川県愛甲郡愛川町)の敷地内に地域性植栽を導入したビオトープ「中津クロスポイント」を新たに整備しました。本名称には、町内に流れる中津川と相模川の二つの一級河川流域に生息する生態系が交差する拠点になってほしいという願いが込められています。今後は、希少な地域性植栽の維持管理を図り、継続的な生物モニタリングを通して生物多様性の保全状況を定量的に評価することで、環境に配慮した緑地整備や地域に根差したまちづくりに貢献していきます。また、地元の小学生などが自然について学べる環境教育の場としての活用も計画しています。

②粗骨材に回収骨材を100%使用したコンクリートを施工中の建設現場に適用
~生コン工場の廃骨材を粗骨材としてフル活用~
生コン工場で発生する回収骨材を粗骨材として100%使用したコンクリートを、当社施工中の建設現場に適用しました。回収骨材とは、建設現場で使用されずに生コン工場に戻ってくるコンクリート(残コン・戻りコン)を洗浄して得られた骨材のことで、回収骨材を標準化している生コン工場は日本全国に少なく、あまり普及しておりません。今回、回収骨材を粗骨材に用いたコンクリートをレベルコンクリートとして現場で約300m3打設し、廃棄予定の回収骨材を約270t再利用することができました。今後、資源循環の観点から、回収骨材が広く認知されて普及するように取り組んでまいります。なお、ここでの活動は、一般社団法人生コン・残コンソリューション技術研究会(RRCS)の残コン・戻りコンの有効活用の一策として行ったものです。

事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00060] S100W4Y9)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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