有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100W4NN (EDINETへの外部リンク)
鉄建建設株式会社 研究開発活動 (2025年3月期)
当社の研究開発においては、工事の生産性向上、安全性、品質の向上を図り、長期的な安定受注を図るという技術戦略に基づき、年々テーマ数を増やすとともに、持続可能な社会の実現に向けたサステナブル推進に関するテーマなど多くの研究開発に挑戦し取り組んでいます。
本年度はICT技術の活用・建設DX推進により生産性向上に資するシステムの開発、CO2排出量削減、施工の効率化・省力化や鉄道・大規模更新工事を見据えた新たな施工技術の開発を進め、当社の技術力のさらなる向上に努めます。また、保有工法のブラッシュアップにより他社との差別化を図っていきます。
当連結会計年度の研究開発費は1,101百万円(土木工事1,031百万円・建築工事70百万円)で、主な研究開発活動及びその成果は次のとおりです。なお、研究開発活動には、子会社である株式会社ジェイテックとの共同研究開発活動が含まれています。
(1)土木分野
①建設DX推進への取り組み
~非GNSS環境下でも重機の動きと出来形を1cm単位でリアルタイム検出~
建設業界では、深刻な労働力不足を背景に、生産性向上と労働環境の改善が急務となっています。特に、重機の遠隔操作や自動化技術の普及が進む中で、マシンガイダンス技術の重要性はますます高まっています。このような課題に対応するため、当社はCalTa株式会社、株式会社マップフォーと共同で、可搬式LiDARと独自開発の自動検出システムを組み合わせたマシンガイダンス技術を開発しました。
本技術は、現場に設置した独自開発の自動検出システムと可搬式LiDARを組み合わせ、重機の位置や動き、掘削などの出来形をリアルタイムで検出・解析するものです。このシステムは、可搬式LiDARが取得した点群データを処理して、重機の動きや掘削形状を自動検出し、端末上でリアルタイムに可視化します。これにより、重機へのLiDAR設置や大がかりな改修を行うことなく、非GNSS環境下 (トンネル、地下空間、屋内などのGNSS信号を受信できない環境)でも、現場状況の正確な把握が可能になります。
今後は、本技術を活用して建設現場の遠隔施工を促進し、労働力不足が深刻化する中で建設現場の生産性向上や労働環境改善に貢献してまいります。
②鉄道工事の安定的受注に向けた技術開発
~鉄道高架橋のプレキャスト化に向けた開発~
従来の鉄筋コンクリート高架橋の施工において課題とされていた、大規模な足場・支保工の設置や熟練技能者による複雑な配筋作業に対応すべく、当社はプレキャスト化を推進する新たな施工技術を開発し、実プロジェクトへの適用を実現いたしました。
本技術では、「鋼管拘束型鉄筋継手」および「閉合鉄筋継手」という二種類の新しい継手構造を高架橋に導入し、足場不要、省力化、高効率な施工を実現しております。
「鋼管拘束型鉄筋継手」は、あらかじめ基礎部に設置した鋼管内に無収縮モルタルを充填し、柱部材の鉄筋を挿入することで、基礎と柱を一体化する工法です。特殊材料を使用せず、後工程が不要なため、短時間での施工が可能です。
「閉合鉄筋継手」は、柱側面と梁端部に配置されたコの字型鉄筋を重ねて接合する工法で、梁部材の鉛直方向からの架設が可能となります。また、柱上部に設置したブラケットにより、足場や支保工を用いずに施工できます。
これらの技術は、昨年度に実現場で適用され、足場不要の施工方法、施工誤差の吸収性、施工時間の短縮といった効果を確認しております。
今後は、工法のさらなる普及・展開を図るとともに、施工効率の向上やコストダウンに向けた継続的な改良を進めてまいります。
③サステナブル推進に関する技術開発
~山岳トンネル・シールドトンネルにおけるCO2排出量削減への取組み~
当社は、持続可能な社会の実現に向け、環境保全に寄与するさまざまな技術開発に取り組んでいます。
その一環として、山岳トンネル工事におけるCO2排出量削減を目的に、地山掘削後の一次支保に使用する吹付けコンクリートに着目した研究開発を進めています。これまでに、CO2排出原単位の低い高炉セメントB種を用いた一般吹付けコンクリートを、比較的温暖な地域のトンネル現場に適用し、CO2排出量の大幅な削減を実現しました。さらに、吹付けコンクリートの強度発現に課題のある寒冷地域においても、検討・実験を重ねることで、現場での適用に成功しています。今後は、その他の材料や部材においても、CO2排出量の更なる削減を目指し、研究を推進してまいります。
また、シールドトンネルにおいては、従来のセメントコンクリートに比べ、最大80%のCO2排出量削減が可能なジオポリマーコンクリート「セメノン®」を、国内で初めてシールドセグメントに適用しました。加えて、セメノン®は、従来コンクリートと比べて約15倍の耐酸性、約5倍の透水抵抗性、約1.2倍の耐摩耗性を有しており、下水道関連施設などの酸性環境下においても、長寿命化と維持管理費の低減が可能です。
当社は、これらの技術を積極的に提案・展開することで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
(2)建築分野
①大型物流倉庫・工場への対応
~柱(RC)梁(S)の混合構法(MIRACR[ミラクル]構法)の適用拡大~
建築物における構造合理性に優れた架構形式として、高い軸力保持能力と剛性を有する鉄筋コンクリート(RC)造柱と、ロングスパンに対応可能な鉄骨(S)造梁を組み合わせた「柱RC梁Sの混合構法」が物流倉庫を中心に適用されています。この度、当社保有技術である柱RC梁Sの混合構法(MIRACR構法)の適用拡大を目指して、構法を改定しました。本技術は、鉄筋コンクリート(RC)造柱と鉄骨(S)造梁からなる混合構造において、梁端部柱面に支圧板を配置し、中板および三角スチフナを配置するとともに、周囲をふさぎ板で囲んだRC柱S梁接合部を構築するための構法です。中板には、開口付きと開口なしの場合があります。従来の梁貫通形式に比べて、柱主筋と梁フランジの干渉を避けることが容易にでき、梁段差がある場合には、梁仕口部に設置したFBPプレートを介して、接合部内の中板、三角スチフナを配置することにより梁段差を吸収できる納まりとすることで様々な梁段差にも対応可能であり、接合部の合理的な設計が可能となっています。今後も大型物流倉庫や工場への適用を目指していきます。
②建築物の耐震対策への取組み
~FMS合金を用いたレンズダンパーの適用~
建築物の耐震対策として、地震による建物の揺れを吸収するダンパーを設置して、構造安全性を確保する制震構法があります。当社では、これまで、低降伏点鋼材(LY材)のパネル中央部の両面を凹レンズ形状にしたレンズダンパーを生産施設(工場)へ展開してきました。また、レンズダンパーで用いる鋼材として、これまでのLY材に加えて、疲労特性に優れた新材料として注目されている「FMS合金(Fe-Mn-Si 系合金)」を採用し、2022年に構造性能評価を取得しています。FMS合金は、一般流通材として入手可能となった材料であり、優れた疲労特性を有しています。この度、FMS合金を用いたレンズダンパーを鉄骨造10階の事務所ビルに提案して、採用されました。今後、発生が予想されている南海トラフ地震のような長時間の揺れを伴う巨大地震への対応として有効な制震ダンパーとして、BCP対応を含めて、適用を目指していきます。
③既存ホーム上家の省力化架設の開発
~基礎のプレキャスト化により工期短縮を図る~
既存駅の線路上空に新たに建築物を構築する際に、既存のホーム上家(屋根)が新設の梁と支障する場合があり、既存ホーム上家撤去前に支障物を避けた高さで、仮設の上家を設ける事例が多く見られます。仮設上家は夜間の限られた時間帯での施工となり、更に、添架設備の盛替えなど、工期増大の一因となっています。そこで、既存上家を新設の梁と支障しない高さまで、添架設備を含めて一括で下げることで、仮設上家の設置や添架設備の移転回数を減らして、既存上家を省力化して架設する工法を東日本旅客鉄道株式会社と共同で開発しました。今回、開発した工法は、既存の上家の鉄骨柱の四隅に等辺山形鋼材による仮柱を設置して、当該部分の鉄骨柱を切断して、油圧ジャッキ等を用いて既存上家全体を下げる工法で、仮設上家施工が省略可能となり、大幅な工期短縮が図れます。今後は実プロジェクトへの適用を目指しています。
(3)不動産事業、付帯事業及びその他
研究開発活動は特段行われていません。
本年度はICT技術の活用・建設DX推進により生産性向上に資するシステムの開発、CO2排出量削減、施工の効率化・省力化や鉄道・大規模更新工事を見据えた新たな施工技術の開発を進め、当社の技術力のさらなる向上に努めます。また、保有工法のブラッシュアップにより他社との差別化を図っていきます。
当連結会計年度の研究開発費は1,101百万円(土木工事1,031百万円・建築工事70百万円)で、主な研究開発活動及びその成果は次のとおりです。なお、研究開発活動には、子会社である株式会社ジェイテックとの共同研究開発活動が含まれています。
(1)土木分野
①建設DX推進への取り組み
~非GNSS環境下でも重機の動きと出来形を1cm単位でリアルタイム検出~
建設業界では、深刻な労働力不足を背景に、生産性向上と労働環境の改善が急務となっています。特に、重機の遠隔操作や自動化技術の普及が進む中で、マシンガイダンス技術の重要性はますます高まっています。このような課題に対応するため、当社はCalTa株式会社、株式会社マップフォーと共同で、可搬式LiDARと独自開発の自動検出システムを組み合わせたマシンガイダンス技術を開発しました。
本技術は、現場に設置した独自開発の自動検出システムと可搬式LiDARを組み合わせ、重機の位置や動き、掘削などの出来形をリアルタイムで検出・解析するものです。このシステムは、可搬式LiDARが取得した点群データを処理して、重機の動きや掘削形状を自動検出し、端末上でリアルタイムに可視化します。これにより、重機へのLiDAR設置や大がかりな改修を行うことなく、非GNSS環境下 (トンネル、地下空間、屋内などのGNSS信号を受信できない環境)でも、現場状況の正確な把握が可能になります。
今後は、本技術を活用して建設現場の遠隔施工を促進し、労働力不足が深刻化する中で建設現場の生産性向上や労働環境改善に貢献してまいります。
②鉄道工事の安定的受注に向けた技術開発
~鉄道高架橋のプレキャスト化に向けた開発~
従来の鉄筋コンクリート高架橋の施工において課題とされていた、大規模な足場・支保工の設置や熟練技能者による複雑な配筋作業に対応すべく、当社はプレキャスト化を推進する新たな施工技術を開発し、実プロジェクトへの適用を実現いたしました。
本技術では、「鋼管拘束型鉄筋継手」および「閉合鉄筋継手」という二種類の新しい継手構造を高架橋に導入し、足場不要、省力化、高効率な施工を実現しております。
「鋼管拘束型鉄筋継手」は、あらかじめ基礎部に設置した鋼管内に無収縮モルタルを充填し、柱部材の鉄筋を挿入することで、基礎と柱を一体化する工法です。特殊材料を使用せず、後工程が不要なため、短時間での施工が可能です。
「閉合鉄筋継手」は、柱側面と梁端部に配置されたコの字型鉄筋を重ねて接合する工法で、梁部材の鉛直方向からの架設が可能となります。また、柱上部に設置したブラケットにより、足場や支保工を用いずに施工できます。
これらの技術は、昨年度に実現場で適用され、足場不要の施工方法、施工誤差の吸収性、施工時間の短縮といった効果を確認しております。
今後は、工法のさらなる普及・展開を図るとともに、施工効率の向上やコストダウンに向けた継続的な改良を進めてまいります。
③サステナブル推進に関する技術開発
~山岳トンネル・シールドトンネルにおけるCO2排出量削減への取組み~
当社は、持続可能な社会の実現に向け、環境保全に寄与するさまざまな技術開発に取り組んでいます。
その一環として、山岳トンネル工事におけるCO2排出量削減を目的に、地山掘削後の一次支保に使用する吹付けコンクリートに着目した研究開発を進めています。これまでに、CO2排出原単位の低い高炉セメントB種を用いた一般吹付けコンクリートを、比較的温暖な地域のトンネル現場に適用し、CO2排出量の大幅な削減を実現しました。さらに、吹付けコンクリートの強度発現に課題のある寒冷地域においても、検討・実験を重ねることで、現場での適用に成功しています。今後は、その他の材料や部材においても、CO2排出量の更なる削減を目指し、研究を推進してまいります。
また、シールドトンネルにおいては、従来のセメントコンクリートに比べ、最大80%のCO2排出量削減が可能なジオポリマーコンクリート「セメノン®」を、国内で初めてシールドセグメントに適用しました。加えて、セメノン®は、従来コンクリートと比べて約15倍の耐酸性、約5倍の透水抵抗性、約1.2倍の耐摩耗性を有しており、下水道関連施設などの酸性環境下においても、長寿命化と維持管理費の低減が可能です。
当社は、これらの技術を積極的に提案・展開することで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
(2)建築分野
①大型物流倉庫・工場への対応
~柱(RC)梁(S)の混合構法(MIRACR[ミラクル]構法)の適用拡大~
建築物における構造合理性に優れた架構形式として、高い軸力保持能力と剛性を有する鉄筋コンクリート(RC)造柱と、ロングスパンに対応可能な鉄骨(S)造梁を組み合わせた「柱RC梁Sの混合構法」が物流倉庫を中心に適用されています。この度、当社保有技術である柱RC梁Sの混合構法(MIRACR構法)の適用拡大を目指して、構法を改定しました。本技術は、鉄筋コンクリート(RC)造柱と鉄骨(S)造梁からなる混合構造において、梁端部柱面に支圧板を配置し、中板および三角スチフナを配置するとともに、周囲をふさぎ板で囲んだRC柱S梁接合部を構築するための構法です。中板には、開口付きと開口なしの場合があります。従来の梁貫通形式に比べて、柱主筋と梁フランジの干渉を避けることが容易にでき、梁段差がある場合には、梁仕口部に設置したFBPプレートを介して、接合部内の中板、三角スチフナを配置することにより梁段差を吸収できる納まりとすることで様々な梁段差にも対応可能であり、接合部の合理的な設計が可能となっています。今後も大型物流倉庫や工場への適用を目指していきます。
②建築物の耐震対策への取組み
~FMS合金を用いたレンズダンパーの適用~
建築物の耐震対策として、地震による建物の揺れを吸収するダンパーを設置して、構造安全性を確保する制震構法があります。当社では、これまで、低降伏点鋼材(LY材)のパネル中央部の両面を凹レンズ形状にしたレンズダンパーを生産施設(工場)へ展開してきました。また、レンズダンパーで用いる鋼材として、これまでのLY材に加えて、疲労特性に優れた新材料として注目されている「FMS合金(Fe-Mn-Si 系合金)」を採用し、2022年に構造性能評価を取得しています。FMS合金は、一般流通材として入手可能となった材料であり、優れた疲労特性を有しています。この度、FMS合金を用いたレンズダンパーを鉄骨造10階の事務所ビルに提案して、採用されました。今後、発生が予想されている南海トラフ地震のような長時間の揺れを伴う巨大地震への対応として有効な制震ダンパーとして、BCP対応を含めて、適用を目指していきます。
③既存ホーム上家の省力化架設の開発
~基礎のプレキャスト化により工期短縮を図る~
既存駅の線路上空に新たに建築物を構築する際に、既存のホーム上家(屋根)が新設の梁と支障する場合があり、既存ホーム上家撤去前に支障物を避けた高さで、仮設の上家を設ける事例が多く見られます。仮設上家は夜間の限られた時間帯での施工となり、更に、添架設備の盛替えなど、工期増大の一因となっています。そこで、既存上家を新設の梁と支障しない高さまで、添架設備を含めて一括で下げることで、仮設上家の設置や添架設備の移転回数を減らして、既存上家を省力化して架設する工法を東日本旅客鉄道株式会社と共同で開発しました。今回、開発した工法は、既存の上家の鉄骨柱の四隅に等辺山形鋼材による仮柱を設置して、当該部分の鉄骨柱を切断して、油圧ジャッキ等を用いて既存上家全体を下げる工法で、仮設上家施工が省略可能となり、大幅な工期短縮が図れます。今後は実プロジェクトへの適用を目指しています。
(3)不動産事業、付帯事業及びその他
研究開発活動は特段行われていません。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00065] S100W4NN)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。