有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100VZX7 (EDINETへの外部リンク)
デンカ株式会社 研究開発活動 (2025年3月期)
当社グループは、「一番上手にできる技術」の幅を広げ、持続可能な社会に貢献できるデンカならではの製品開発を推進し、新たな価値を生み出す魅力的な新規事業・製品の創出を加速していきます。そのために、複数の異種技術を融合し、組織の境界、領域を超えたデンカグループ全体のシナジー効果を発揮すべく、グループの総合力を活かす研究開発を推進しております。
デンカイノベーションセンターを中核拠点として、多くの国内外産学官とのオープンイノベーションを推進しております。物質材料研究機構(NIMS)とのNIMS-Denka次世代材料研究センター、山形大学および新潟大学との包括共同研究を展開する等、引き続き積極的な外部連携強化を推進致します。
これらの研究開発、製品化をさらに加速するため、新事業開発部門、コーポレート研究部門・デンカイノベーションセンターを再編するとともに既存事業部門との連携をこれまで以上に強化して、新事業創出の強化と既存事業の更なる発展、研究の責任・運営体制を明確化して、市場の動向を直視し、次世代の市場ニーズに確実かつ迅速に対応することで、早期の実需化につなげたいと考えております。
また、ESG(環境・社会・統治)の視点を常に意識し、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)を羅針盤として研究開発に注力致します。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は14,887百万円、研究要員は867名であり、当連結会計年度に国内で出願公開された特許は181件、国際出願で公開された特許は203件、国内で登録された特許(実用新案を含む)は428件となりました。当連結会計年度における各事業部門別の研究の目的、主要課題、研究成果および研究開発費は次のとおりであります。
(1)電子・先端プロダクツ
電子部材分野では、市場が拡大するパワーモジュール、車両電動化向けなど電子回路基板や放熱材料の多様なニーズに対応したソリューションを提案すべく、当社固有のセラミックスの開発技術や有機・無機材料の複合化技術の進化による高機能材料や新規部材の研究開発を、産学官との連携も行いながら推進しております。
高機能粘接着分野では、ハードロックSGA(高機能構造用接着剤)の新グレード、新規用途開発を推進するとともに、ハードロックOP/UVでは紫外線硬化技術を応用した特殊高機能接着剤の新製品開発の他、電子デバイス製造プロセス用仮固定剤の開発(TBM)などの新規市場開拓にも取り組んでおります。
高機能フィルム分野では、当社保有の樹脂素材技術、有機・無機複合材料設計技術に加え、シートやフィルムの先端加工技術を活かし、ダイアタッチメントフィルム(DAF)用ダイシングテープをはじめとした、電子部品半導体搬送テープ、半導体ウェハやパッケージの保護・仮固定用粘着テープや5Gの伝送損失低減フィルムなど、最先端ニーズを先取りした新規製品を供給すべく開発を進めております。
先端機能材料分野では、半導体封止材向け球状シリカ、放熱材料向け球状アルミナ等、フィラーの高性能化を進めるとともに、5Gに対応する低誘電正接材料(シリカ等)など、先進的な各種機能材料の開発を積極的に推進しております。新規開発品として、回路基板などに用いられる低誘電有機絶縁材料(LDM、商品名スネクトン)の量産設備の投資を行っており、さらに拡販予定です。
機能性セラミックス分野では液晶ディスプレイ・照明に用いるLED向けサイアロン蛍光体や放熱材料として用いられる各種窒化物等の特性向上、さらに低誘電特性を持つフィラーの開発にも取り組んでおります。
特殊導電材料分野では、車両電動化に必要不可欠なリチウムイオン二次電池市場での事業を更に拡大すべく超高純度かつ高機能なカーボンブラックの新製品開発と事業化に取り組んでおります。
当セグメントに係わる研究開発費は5,296百万円でした。
(2)ライフイノベーション
ヘルスケア分野では、デンカイノベーションセンター(東京都町田市)、五泉事業所(新潟県五泉市)、Denka Life Innovation Research (シンガポール)、Icon Genetics(ドイツ)の4拠点体制で、(ポテンシャル)ニーズ優先の研究開発に取り組んでおります。グローバルな視点で最先端の技術を積極的に導入しつつ、スペシャリティー事業の成長加速化を進めるため、予防・早期診断の取り組みに加え、がん領域・遺伝子領域など新規事業展開のための研究開発を推進しております。
がん治療用ウイルスG47Δについては、製剤の供給が当初の計画よりも低い水準で推移しています。現在、使用をご希望される医療機関と患者の皆様にお届けすることを目指し、製造プロセスの見直しを進めています。G47Δを用いたがんウイルス療法は、従来のがん治療法とは全く異なる新規治療法であり、がん治療の体系を根本から変革する可能性のあるものです。当社は、G47Δ製剤の製造を通じ、この治療法の普及に取り組んで行きます。
遺伝子領域においては、戦略的パートナーであるPlexBio社(台湾)の保有する迅速かつ簡便に同時多項目の細菌同定を可能とする測定技術IntelliPlex™を活用し、感染症領域での遺伝子検査システムの開発を推進しており、敗血症の検査薬は早期上市を目標に取り組んでおります。また、新たな取り組みとして、国立大学法人東北大学との共同研究成果をもとに国内外の内視鏡治療技術発展への貢献を目指した「Medical Rising STAR」プロジェクトを始動しております。プロジェクト第1弾として内視鏡的止血術のシミュレータモデルの試験販売を2011年8月に開始し、続いて、プロジェクトの第2弾として胆膵内視鏡シミュレータモデルの開発を行い、24年夏に試験販売を始めました。さらに、製品ラインナップを強化すべく新製品の開発を進めております。
既存事業領域であるワクチン・臨床試薬についても、当社グループの開発リソースを集結させ、次世代mRNAインフルワクチンの開発研究、ならびに各種感染症用迅速検査試薬や健康管理に欠かせない臨床生化学検査試薬や免疫検査試薬の新製品研究開発を、産学連携も活用して推進しており、Mission2030に向けた製品開発活動を活発化させています。
当セグメントに係わる研究開発費は4,370百万円でした。
(3)エラストマー・インフラソリューション
クロロプレンゴム、ERゴムなどのエラストマー分野においては、海外市場を含めた事業拡大のために、スペシャリティー製品の開発および生産技術の強化を進めております。クロロプレンゴムは世界トップシェア維持を確実なものとすべく、独自の技術で差別化した新規グレードを開発し事業の拡大を推進しています。ERゴムは配合技術や新グレードの開発を通じて高付加価値化を図り、事業強化を推進しています。また、エラストマー加工技術を保有するデンカエラストリューション社との連携も強化しております。
特殊混和材分野では、従来からの鉄道や道路などのトンネル建設向けコンクリート混和材に加え、コンクリート製品の製造時に二酸化炭素を吸収・固定化・排出削減できる環境対応技術、3Dプリンティングやコンクリート二次製品の生産性向上、工事現場施工時の仕上げ時間短縮といった省力化に繋がる技術、老朽箇所の修繕・補強、構造物の長寿命化に貢献する技術といった、次世代型技術・製品の開発と事業化に注力しております。
無機製品分野では、無機材料設計の基盤技術を応用し、結晶質アルミナ短繊維と多孔質セラミック材料を複合した耐火炉用高断熱ボードを開発し、事業化を進めております。
アグリプロダクツ分野では国内のみならず海外市場に向けた次世代農業資材として、従来の肥料開発で蓄積した製品技術と遺伝子発現解析技術を基盤とした高機能性バイオスティミュラント製品の開発を推進しております。
当セグメントに係わる研究開発費は2,564百万円でした。
(4)ポリマーソリューション
透明樹脂、耐熱樹脂、シュリンクラベル用樹脂など、特長あるスチレン系機能性樹脂の分野では、市場トレンドにマッチした新規用途展開並びに新規の高機能性樹脂の開発、そして更なる品質向上や生産技術の深耕をシンガポール子会社と一体となり推進しております。
さらに、新しい重合技術やポリマーアロイ技術を駆使した新規高分子材料の開発にチャレンジし、新規機能性樹脂の開発に取り組んでおります。
また、スチレン系製品に関しては、持分法適用関連会社である東洋スチレン社と取り組んでいるスチレンケミカルリサイクルによる使用済みポリスチレンを原料とした再資源化・再製品化や、バイオマス素材の活用(マスバランス方式を含む)など、スチレン系材料の環境対応に関わる各種開発活動にも取り組んでおります。
機能樹脂分野においては、ABS樹脂の耐熱性付与剤であるデンカIP®に関して、当社が長年にわたって高分子樹脂設計で培ってきたスチレン系の精密・重合技術をより深化させ、塗装性等の特性に優れるグレード デンカIPXシリーズの市場開発を進めております。光学用途では、液晶テレビの高輝度化・高精細化に対応した導光板用透明樹脂の市場展開を推進中です。更に今後の市場トレンドにマッチした開発、および環境対応にフォーカスした各種開発も進めております。
化成品分野においては、PVA樹脂の水溶性、生分解性などの特長を活かした開発を推進しております。
樹脂加工製品分野においては、市場のトレンドにマッチしたウィッグ・ヘアピース用合成繊維、食品包装用の耐熱耐油性透明シート、電子レンジ対応容器等に用いる耐熱性透明シートなどの製品群の開発を引き続き推進しております。
食品包装材料分野においては、バイオマス材料の活用等による各種環境対応新規製品、フードロス低減に対応した製品を開発し市場展開を進めております。ウィッグ・ヘアピース用合成繊維 Toyokalon®に関しては、市場ニーズにマッチした製品開発や市場展開および環境負荷低減ニーズに対応した製品開発を進めております。なお本製品の研究活動は、2026年3月末の大船工場稼働停止に伴いシンガポール子会社へ移管予定です。
当セグメントに係わる研究開発費は2,197百万円でした。
(5) その他事業
産業設備の設計・施工等を行なっているデンカエンジニアリング㈱では効率的な粉体の空気輸送設備の技術開発や廃水設備等の研究開発をおこなっている他、各事業所に設置している生産技術部を中心に、デジタル技術を活用した生産性向上について検討する等、研究段階から事業化を見据えたプロセス設計、開発の充実を図っております。
その他事業に係わる研究開発費は458百万円でした。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00774] S100VZX7)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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