有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100YB5L (EDINETへの外部リンク)
武田薬品工業株式会社 研究開発活動 (2026年3月期)
当年度の研究開発費の総額は6,759億円であります。なお、当社の研究開発費の予算は、全社的に決定されており、特定の支出は開発の結果および優先事項に応じて再配分の対象となる場合があるため、当社の研究開発費について、疾患領域あるいは臨床試験段階毎の内訳を報告しておりません。
医薬品の研究開発のプロセスは、長期にわたり多額の費用を伴い、その期間は10年を超えることもあります。このプロセスには、新薬の有効性および安全性の評価のための複数の試験、データを審査し販売承認の可否を判断する規制当局に対する申請が含まれます。こうした精査の過程を通過し、臨床での治療に用いることができる候補物質はごく僅かです。承認取得後も、上市後の製品に対しては、ライフサイクルマネジメント、メディカルアフェアーズやその他の投資を含め、継続的な研究開発活動による支援が行われます。
臨床試験は、地域的および国際的な規制ガイドラインを遵守し、通常5年から7年もしくはそれ以上を費やして実施されるものであり、相応の費用を伴います。通常、臨床試験は医薬品規制調和国際会議(ICH)が制定したガイドラインに沿って実施されます。これに関わる規制当局は、米国では食品医薬品局(FDA)、欧州連合では欧州医薬品庁(EMA)、日本では厚生労働省(MHLW)、中国では国家薬品監督管理局(NMPA)です。
ヒトの臨床試験は以下の3相で実施されます(各相が一部重複することもあります):
・臨床第1相試験
少人数の健康な成人の志願者の方々を被験者として、薬物の安全性、吸収、分布、代謝、排泄について評価するために実施
・臨床第2相試験
少人数の志願患者さんを被験者として、安全性、有効性、用量および用法を評価するために実施
臨床第2相試験は臨床第2a相と臨床第2b相の2つのサブカテゴリーに分割されることがあります。臨床第2a相試験は通常臨床上の有効性または生物学的活性を示すためにデザインされたパイロット試験であり、臨床第2b相試験は薬物が最少の副作用で生物学的活性を示す至適用量を探索するために行われます。
・臨床第3相試験
大人数の志願患者さんを被験者として、既存の薬剤またはプラセボと比較した安全性および有効性を評価するために実施
これら3相のうち、臨床第3相にかかる開発費用が最も大きく、臨床第3相試験へ進めるか否かの決定は、医薬品開発における重要なビジネス判断となります。臨床第3相試験を通過した候補薬物については、管轄の規制当局に新薬承認申請書(NDA)、生物製剤承認申請(BLA)または医薬品販売承認申請(MAA)を提出し、規制当局より承認を取得した場合に上市が可能となります。NDA、BLA、MAAの作成には、膨大な量のデータの収集、検証、分析が必要であり、多額の費用が伴います。製品上市後も、保健当局により有害事象の市販後調査や、当該医薬品のリスク・ベネフィットに関する追加情報を提供するための市販後試験の実施を求められることがあります。
当社の研究開発は、サイエンスにより、患者さんの人生を根本的に変え得るような非常に革新性が高い医薬品を創製することに注力しております。研究開発は、消化器系・炎症性疾患、ニューロサイエンス、およびオンコロジーの3つの重点疾患領域に取り組むとともに、血漿分画製剤にも注力しています。3つの重点疾患領域における研究開発は、当社の研究開発投資費用の中で最も大きい比率を占めております。重点疾患領域(消化器系・炎症性疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、オンコロジー)には未だ有効な治療法が確立されていない高い医療ニーズ(アンメット・メディカル・ニーズ)が存在し、当社はベスト・イン・クラスあるいはファースト・イン・クラスとなりうる画期的な新規候補物質を創出してまいりました。当社は希少疾患と有病率がより高い疾患のいずれに対しても治療法の開発にコミットしており、当社が探求している患者さんの人生を根本的に変え得るような医薬品の多くは、当社の重点疾患領域および血漿分画製剤領域における希少疾患を治療するものとなります。また、当社はイノベーションの質を向上させ、実行を加速させることを目指し、データ・デジタル技術を活用しております。創薬のあらゆる段階にAIを組み込み、業務フローを自動化されたデータに基づく予測プロセスへと再構築することで、イノベーションの加速を目指します。
当社のパイプラインは、当社事業の短期的および長期的かつ持続的な成長を支えるものです。初回の承認取得後も上市後の製品に対して、地理的拡大や効能追加に加え、市販後調査および剤型追加の可能性を含めた継続的な研究開発活動による支援体制が整っております。当社の研究開発チームは、販売部門との緊密な連携を通じ既発売品の価値の最大化を図り、販売活動を通じて得られた知見を研究開発戦略やポートフォリオに反映します。
自社の研究開発機能向上への注力に加え、社外パートナーとの提携も、当社研究開発パイプライン強化のための戦略における重要な要素の一つです。社外提携の拡充と多様化に向けた戦略により、様々な新製品の研究に参画し、当社が大きな研究関連のブレイクスルーを達成する可能性を高めます。
当社の主要な研究開発施設には以下を含みます:
• グレーターボストン地区研究開発サイト:当社の研究開発サイトは米国マサチューセッツ州のケンブリッジおよびレキシントンに位置しています。本サイトは当社の研究開発部門のグローバル本部であり、グローバルでの消化器系・炎症性疾患およびオンコロジー領域の研究開発の中枢です。加えて、血漿分画製剤を含む他の疾患領域の研究開発も支援しています。さらに当社は、ケンドール・スクエアに新たに建設中の約60万平方フィートの最新鋭の研究開発およびオフィス施設について、15年間のリース契約を締結し、2026年より入居する予定です。
• 湘南ヘルスイノベーションパーク内の当社研究所:日本の神奈川県藤沢・鎌倉地域に位置する当社のニューロサイエンス研究の拠点です。湘南ヘルスイノベーションパーク(以下、「湘南アイパーク」)は、当社の湘南研究所を外部に開放する形で、2018年に設立された日本初の製薬企業発サイエンスパークです。当社はより多様なパートナーを招致し、湘南アイパークのさらなる成功を目指すため、2020年に信託設定、2023年には湘南アイパークの運営事業を当社が設立した会社に承継しました。当社は、アンカーテナントとして今後も日本におけるライフサイエンスの研究活性化に注力します。
• オーストリア ウィーン研究開発サイト :オーストリア ウィーンに位置する当社の研究開発サイトであり、研究開発および血漿分画製剤のプログラムを支援しています。本研究サイトは、生物学的製剤の研究開発に注力するとともに血漿分画製剤の製造施設を備えています。
当社の2025年4月以降の主要な研究開発活動の進捗は、以下のとおりです。
研究開発パイプライン
消化器系・炎症性疾患
消化器系・炎症性疾患において、消化器系疾患(肝疾患を含む)および免疫介在性の炎症性疾患の患者さんに革新的で人生を変え得るような治療法をお届けすることに注力しております。炎症性腸疾患(IBD)においては、ENTYVIO(国内製品名:エンタイビオ)の皮下注射製剤の上市や、IBD治療パラダイムにおけるENTYVIOのバックボーン治療薬としての位置づけを実証し、患者さんの予後をさらに改善する方法への理解を深めるため、実臨床エビデンスを構築する臨床試験を実施するなど、フランチャイズのポテンシャルを最大化しております。ザソシチニブ(TAK-279)は、次世代の経口チロシンキナーゼ2(TYK2)阻害薬であり、複数の免疫介在性の炎症性疾患の治療薬となる可能性があります。また、fazirsiran(TAK-999)は、α-1アンチトリプシン欠損関連肝疾患に対するファースト・イン・クラスのRNA干渉治療薬となる可能性があり、後期開発段階にあります。メザギタマブ(TAK-079)は、免疫性血小板減少症(ITP)やIgA腎症(IgAN)など複数の免疫介在性疾患に対する疾患修飾薬としてベスト・イン・クラスとなる可能性を有する抗CD38抗体です。さらに、当社は、自社創製、社外との提携および事業開発を通じて炎症性疾患(消化器系、皮膚科系、リウマチ性の疾患)に加え、厳選した希少血液疾患および腎疾患(アジンマ、メザギタマブ(TAK-079))、肝疾患、神経性消化器疾患における機会を探索し、パイプラインの構築を進めております。
[アジンマ 一般名:ADAMTS13(遺伝子組換え)]
- 2025年12月、当社はアジンマについて、12歳未満の小児の先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)患者への適応拡大に関して厚生労働省から製造販売承認を取得したことを公表しました。本承認は、主に0歳から70歳の cTTP患者(日本人5名を含む)を対象としたグローバル臨床第3相試験である281102試験における安全性および有効性のデータ、およびグローバル臨床第3b相継続試験であるTAK-755-3002試験における安全性および有効性のデータに基づくものです。
[ENTYVIO/エンタイビオ 一般名:ベドリズマブ]
- 2026年2月、当社は、既存治療または抗TNF抗体治療に反応不十分な2歳〜17歳の小児の潰瘍性大腸炎(UC)患者を対象とした、ベドリズマブ静注製剤の国際共同臨床第3相KEPLER試験の良好な結果を公表しました。本試験において、約半数(47.3%)の被験者が54週時点の臨床的寛解という主要評価項目を達成しました。ベドリズマブの安全性プロファイルは、成人での既知の安全性プロファイルと概ね同様でした。また、本結果は第21回Congress of European Crohn’s and Colitis Organisation (ECCO) にて発表されました。
- 2026年6月、当社は、中等症から重症の活動期UCおよびクローン病に罹患する、2歳以上の小児患者へのENTYVIOの静脈内(IV)投与に対する生物学的製剤承認一部変更申請(sBLA)が米国食品医薬品局(FDA)によって受理されたことを公表しました。FDAは、処方薬ユーザーフィー法(Prescription Drug User Fee Act; PDUFA)に基づく審査終了目標日を2027年第1四半期に設定しています。また当社は、中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎またはクローン病に罹患する、2歳以上の小児患者に対する治療薬として、ENTYVIO IVの製造販売承認申請(MAA)を欧州医薬品庁に提出しています。sBLAおよびMAAは、潰瘍性大腸炎を対象としたKEPLER試験およびクローン病を対象とし現在継続中のWEBB試験の2つの臨床第3相試験のデータに基づきます。
[開発コード:TAK-079 一般名:メザギタマブ]
- 2025年6月、当社は、メザギタマブが、免疫性血小板減少症(ITP)を予定される効能・効果として厚生労働省よりオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)指定を取得したことを公表しました。
- 2025年11月、当社は、原発性IgA腎症(IgAN)を対象としたメザギタマブの皮下投与における臨床第1b相、非盲検、プルーフ・オブ・コンセプト試験の新たな中間データを発表しました。米国腎臓学会(ASN)「Kidney Week 2025」で発表された本結果では、メザギタマブの投与を受けた被験者の腎機能(eGFR)が96週(最終投与から18カ月後)時点まで安定していることが示唆され、蛋白尿および血清Gd-IgA1値が速やかに低下し96週時点まで持続しました。本試験において、メザギタマブの忍容性は概ね良好であり、新たな安全性上の懸念は確認されませんでした。
- 2025年11月、当社は、メザギタマブが、IgANを予定される効能・効果として厚生労働省よりオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)指定を取得したことを公表しました。
[開発コード:TAK-279 一般名:ザソシチニブ]
- 2025年12月、当社は、中等症から重症の尋常性乾癬(PsO)の成人患者を対象としたザソシチニブの2つのピボタル臨床第3相試験において良好なトップライン結果が得られたことを公表しました。これらの試験では、複合主要評価項目である16週時点の医師総合評価 (sPGA)0/1およびPsoriasis Area and Severity Index (PASI, 乾癬の面積と重症度を表す指標)75において、プラセボに対するザソシチニブの優越性が示されました。また、これらの試験は44の順位付けされた副次評価項目のすべてを達成し、PsO患者に対し1日1回の経口投与で皮膚病変の完全な消失(クリアスキン)をもたらす可能性が示されました。16週時点でザソシチニブの投与を受けた被験者の半数以上がPASI 90を達成し、平均約30%がPASI 100を達成しました。ザソシチニブの忍容性は概ね良好であり、新たな安全性シグナルは特定されませんでした。
- 2026年3月、当社は、中等症から重症のPsOを有する成人患者を対象としたザソシチニブの2つのピボタル臨床第3相試験の新たなデータを発表しました。ザソシチニブ投与群の約70%が16週時点で皮膚症状の消失またはほぼ消失(sPGA 0/1)を達成し、4週時点という早期からプラセボと比較して有意に高いPASI 75達成率が認められました。また、ザソシチニブは、PsO患者の治療目標として重要度が高まっている皮膚症状の完全な消失(クリアスキン)においても、プラセボおよびアプレミラストと比較し統計学的に有意な改善を示しました。両試験において、複合主要評価項目および主な副次評価項目における奏効率は24週時点まで継続して増加しました。ザソシチニブの忍容性は概ね良好で、安全性プロファイルは臨床第2b相試験の結果と一貫しており、新たな安全性シグナルは認められませんでした。これらの結果は、2026年米国皮膚科学会(AAD)年次総会においてlate-breaking abstractとして発表されました。
- 2026年6月、当社は、中等症から重症のPsOを有する成人患者を対象とした、ザソシチニブとデュークラバシチニブを比較した臨床第3相試験において良好なトップライン結果を公表しました。直接比較試験であるLATITUDE Atlas(TAK-279-PsO-3004)試験では、ザソシチニブ投与群は主要評価項目である16週時点のPASI 100の達成率においてデュークラバシチニブ投与群に対して統計学的に有意な結果を示し、ザソシチニブ群の35%以上がPASI 100を達成しました。また、16週時点におけるPASI 90、sPGA 0を含むすべての主要な副次評価項目についても、ザソシチニブ投与群はデュークラバシチニブ投与群に対して統計学的に有意な結果を示しました。ザソシチニブの安全性および忍容性プロファイルは、これまでの試験結果と一貫しており、新たな安全性シグナルは認められませんでした。
ニューロサイエンス(神経精神疾患)
当社は、高いアンメット・ニーズが存在する神経疾患および神経筋疾患を対象に、革新的治療法に研究開発投資を集中させ、社内の専門知識や外部パートナーとの提携を生かし、革新的なパイプラインを構築しています。当社のニューロサイエンス(神経精神疾患)における重点領域として、オレキシン生物学、希少神経疾患および神経変性疾患に注力しています。オレキシン生物学の関与が示唆される睡眠・覚醒障害に関連する希少疾患およびその他の疾患に対する標準治療の再定義を目指し、オレキシンの可能性を最大限に引き出すために最適化された治療薬ポートフォリオ(オベポレクストン(TAK-861)、TAK-360、TAK-495など)の開発を推進しています。また、当社のポートフォリオ全体にわたり、疾患生物学の理解、トランスレーショナルツール、革新的モダリティ、デジタルイノベーションの進展を活用し、治療薬の開発および患者さんへのアクセスを加速させています。
[VYVANSE/ビバンセ 一般名:リスデキサンフェタミン]
- 2026年6月、当社は、ビバンセに付されていた承認条件の一部について、厚生労働省より解除の通知を受領したことを公表しました。承認条件の一部解除は、当社が提出した特定使用成績調査および適正使用に関する対応等を記した資料に基づき、以下の解除された承認条件に係る必要な措置が適切に講じられたと厚生労働省より判断されたことによるものです。
解除された承認条件:「使用実態下における乱用・依存性に関する評価が行われるまでの間は、他の注意欠陥/多動性障害(AD/HD)治療薬が効果不十分な場合にのみ使用されるよう必要な措置を講じること」
[開発コード:TAK-861 一般名:オベポレクストン]
- 2025年9月、当社は、ナルコレプシータイプ1(NT1)を対象とした画期的なオベポレクストンの臨床第3相試験のデータを、世界睡眠学会World Sleep 2025において複数の口頭発表を行ったことを公表しました。The FirstLightとthe RadiantLightの両試験ともに、NT1の幅広い症状に該当するすべての主要評価項目および副次評価項目において、12週時点ですべての用量群(1mg1日2回/2mg1日2回)でプラセボと比較して統計学的に有意(p<0.001)かつ臨床的に意義のある改善が示されました。本学会での口頭発表には、覚醒度に対する客観的評価および患者報告による主観的評価の他、カタプレキシー、症状の重症度および生活の質などのデータが含まれました。オベポレクストンの忍容性は概ね良好であり、安全性プロファイルはこれまでの臨床試験と同様でした。
- 2026年2月、当社は、米国食品医薬品局(FDA)が、NT1を対象としたオベポレクストンの新薬承認申請(NDA)を受理し、優先審査に指定したことを公表しました。FDAは、処方薬ユーザーフィー法(Prescription Drug User Fee Act; PDUFA)に基づく審査終了目標日を2026年暦年第3四半期(2026年7-9月)に設定しています。本申請は、国際共同臨床第3相試験であるFirstLight試験およびRadiantLight試験を含む包括的なデータパッケージに基づいています。オベポレクストンはFDAおよび中国国家薬品監督管理局からNT1における日中の過度の眠気の治療に対するブレークスルーセラピーの指定を受けています。
- 2026年3月、当社は、オベポレクストンについて、NT1を予定される効能又は効果として、厚生労働省に対し製造販売承認申請を行ったことを公表しました。オベボレクストンは、厚生労働省より先駆的医薬品および希少疾病用医薬品に指定されています。本申請は、主に国際共同臨床第3相試験であるFirstLight試験およびRadiantLight試験を含む包括的なデータパッケージに基づくものです。
- 2026年6月、当社は、米国睡眠医学会の年次学術集会であるSLEEP 2026において2つのピボタル試験の追加解析結果を発表しました。これらの結果は、オベポレクストンがNT1患者に関連する日常生活機能、認知機能および睡眠関連症状を改善したことを示しました。本発表では、FirstLight試験およびRadiantLight試験から得られた、日常生活機能、認知機能および夜間睡眠を含む副次評価項目および探索的評価項目の結果が示されました。オベポレクストンは、すべての用量群において、12週時点でナルコレプシーの機能的影響評価尺度(FINI)の6つの領域すべてにわたり、プラセボと比較して日常生活機能を有意に改善しました(p<0.001)。また、注意、実行機能、記憶に関する客観的な神経心理学的検査と、患者報告アウトカムを用いて評価したところ、オベポレクストンは、プラセボと比較してNT1 に関連する認知機能障害を改善しました。探索的評価項目では、オベポレクストンは両試験において睡眠の質を改善しました。
オンコロジー
オンコロジー領域では、胸部、消化器および血液がんに対する治療薬候補のパイプラインの推進に注力しています。胸部および消化器がんにおいては、複数の適応症に対しTAK-928(IBI363)とTAK-921(IBI343)を評価しています。血液がん領域では、骨髄性腫瘍に対してrusfertide(TAK-121)、elritercept(TAK-226)を含むポートフォリオを拡充しています。社内の高い専門性、グローバル拠点、強固な戦略的提携ネットワークが、イノベーションの推進と長期的な価値創出の実現に向けた基盤となっています。当社は、患者さんを通じて得られるインスピレーションおよびあらゆるイノベーションを活用することで、がんの治癒を目指しております。
[アドセトリス 一般名:ブレンツキシマブ ベドチン]
- 2025年6月、当社は、欧州委員会(EC)より、リスク因子を有するⅡb期、Ⅲ期およびⅣ期の未治療の成人ホジキンリンパ腫患者に対するアドセトリスとエトポシド、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ダカルバジンおよびデキサメタゾン(BrECADD)の併用療法の承認を取得したことを公表しました。BrECADDとして知られるホジキンリンパ腫のフロントライン治療におけるアドセトリス併用療法の承認は、無作為化臨床第3相HD21試験の結果に基づきます。
[ベクティビックス 一般名:パニツムマブ]
- 2025年9月、当社は、ベクティビックスについて、KRAS G12C阻害剤であるルマケラス錠(ソトラシブ)との併用療法として、がん化学療法後に増悪したKRAS G12C変異陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌の 新たな効能又は効果ならびに用法及び用量の製造販売承認事項一部変更承認を厚生労働省より取得したことを公表しました。本承認は、KRAS G12C変異陽性の既治療の転移性の結腸・直腸癌患者を対象として、ベクティビックスとルマケラスを併用投与した際の有効性および安全性を評価する、臨床第3相、国際共同、多施設共同、ランダム化、非盲検、実薬対照試験(CodeBreaK 300試験)の結果に基づくものです。
[開発コード:TAK-121 一般名:rusfertide]
- 2025年6月、当社とProtagonist Therapeutics社は、臨床第3相VERIFY試験の詳細な結果を第61回米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会のプレナリーセッションにおいて発表したことを公表しました。本試験は、主要評価項目である臨床的奏功割合を達成しました。臨床的奏効とは、20週から32週の間に瀉血の適格性がないことと定義されました。Rusfertideと現在の標準治療を併用した場合、highリスクおよびlowリスクの真性多血症(PV)群において臨床的奏功割合が2倍以上に増加し、プラセボと現在の標準治療を併用した場合と比較して、主要評価項目である瀉血の必要性が有意に減少しました。Rusfertideは概ね良好な忍容性を示し、大半の有害事象は低グレードであり重篤ではなく、rusfertideに関係すると判定された重篤な有害事象は報告されませんでした。主要評価項目の分析の時点で、rusfertide群とプラセボ群の比較においてがんのリスク増加のエビデンスは認められませんでした。
- 2025年12月、当社とProtagonist Therapeutics社は、PV患者を対象にrusfertideを評価するピボタル臨床第3相VERIFY試験の新たな52週間の結果を、第67回米国血液学会(ASH)年次総会において発表しました。新たなデータでは、瀉血を要しない持続的なヘマトクリット値のコントロールと奏効が確認され、新たな安全性の問題は観察されませんでした。
- 2026年3月、当社とProtagonist Therapeutics社は、米国食品医薬品局(FDA)が、成人PV患者を対象としたrusfertideの新薬承認申請(NDA)を受理し、優先審査に指定したことを公表しました。FDAは、処方薬ユーザーフィー法(Prescription Drug User Fee Act; PDUFA)に基づく審査終了目標日を2026年暦年第3四半期(2026年7-9月)に設定しています。加えて、rusfertideはFDAより、ブレークスルーセラピー、希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)およびファストトラックの指定を受けています。本申請は主に、臨床第3相VERIFY試験の32週時点の主要解析および52週時点の結果、ならびに臨床第2相REVIVE試験および長期投与THRIVE試験からの4年の有効性と安全性データの結果に基づいています。
[開発コード:TAK-853 一般名:ミルベツキシマブ ソラブタンシン]
- 2026年1月、当社は、ミルベツキシマブ ソラブタンシンについて、葉酸受容体α(FRα)陽性のプラチナ製剤抵抗性の再発卵巣がん(PROC)に対する治療薬として厚生労働省に製造販売承認申請を行ったことを公表しました。本申請は、FRα陽性のPROC患者を対象とした海外臨床第3相試験であるMIRASOL試験、SORAYA試験および国内第1/2相試験であるTAK-853-1501試験の結果に基づくものです。これらの試験を通じて、ミルベツキシマブ ソラブタンシンは、FRα陽性のPROC患者の治療において一貫した有効性と良好な安全性プロファイルを示しました。ミルベツキシマブ ソラブタンシンは、厚生労働省よりFRα陽性のPROCを予定される効能又は効果として希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)に指定されており、本申請は優先審査の対象です。
その他の希少疾患品目
当社の研究開発は、3つの重点疾患領域(消化器系・炎症性疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、オンコロジー)にわたり、希少疾患および有病率がより高い疾患のいずれにおいても、未だ有効な治療法が確立されていない高い医療ニーズ(アンメット・メディカル・ニーズ)が存在する疾患に注力しております。その他の希少疾患品目においては、遺伝性血管性浮腫に対するタクザイロなどの既発売品に加え、高いアンメット・メディカル・ニーズが存在する複数の疾患に焦点をあて取り組んでおります。希少血液疾患においては、アドベイト、アディノベイト/ADYNOVIを通じて、出血性疾患治療における現在のニーズへ対応することに注力しております。また、リブテンシティにおいては、移植後サイトメガロウイルス(CMV)感染/感染症の治療を再定義することを目指しております。当社は、希少疾患の患者さんに対し革新的な医薬品を届けるという当社のビジョンを実現するための取り組みに注力します。当社は、希少疾患において当社が有する専門能力の活用が可能であり、希少疾患に対する当社のコミットメントおよびリーダーシップを高める可能性のある、後期開発段階の事業開発機会の探索を今後も継続する予定です。
[ボンベンディ 一般名:フォン・ヴィレブランド因子(遺伝子組み換え)]
- 2025年9月、当社は、米国食品医薬品局(FDA)が、ボンベンディの生物学的製剤承認一部変更申請(sBLA)を承認したことを公表しました。本承認によりボンベンディの適応症に、1型および2型を含むフォン・ヴィレブランド病(VWD)の成人患者(18歳以上)に対する定期補充療法ならびに小児患者に対する出血時の止血治療および周術期の止血管理が追加されました。本承認は、成人VWD患者を対象とした臨床第3相試験、小児VWD患者を対象とした臨床第3相試験、成人および小児VWD患者を対象とした臨床第3b相継続投与試験ならびにこれらを補完する実臨床データに基づきます。
- 2026年2月、当社は、ボンベンディについて、18歳未満のVWD患者に対する用法・用量追加に関して厚生労働省から製造販売承認事項一部変更の承認を取得したことを公表しました。主に海外臨床第3相非盲検試験(071102試験)および海外第3b相継続投与試験(SHP677-304試験)における18歳未満のVWD患者を対象とした出血時および周術期の安全性および有効性のデータに基づくものです。
[タクザイロ 一般名:ラナデルマブ]
- 2025年9月、当社は、タクザイロ皮下注300mgペンについて、タクザイロシリンジの剤型追加として厚生労働省より製造販売承認を取得したことを公表しました。
血漿分画製剤
当社は、血漿分画製剤(PDT)に特化したPDTビジネスユニットを設立し、血漿の収集から製造、研究開発および商業化まで、エンド・ツー・エンドのビジネスの運営に注力しております。本領域では、様々な希少かつ複雑な慢性疾患に対する患者さんにとって生命の維持に必要不可欠な治療薬の開発を目指しております。本領域に特化した研究開発部門は、既発売の治療薬の価値最大化、新たな治療ターゲットの特定および血漿収集から製造に至るまで血漿分画製剤のバリューチェーン全体にわたる効率性の最適化という役割を担っております。短期的には、当社の幅広い免疫グロブリン製剤ポートフォリオ(ハイキュービア、キュービトル、GAMMAGARD LIQUIDおよびGAMMAGARD LIQUID ERC)における効能追加、地理的拡大および総合的な医療テクノロジーの活用を通じたより良い患者体験を追求しております。また、当社は、グローバルに販売している20種類以上にわたる治療薬ポートフォリオに加え、20%促進型皮下注用免疫グロブリン製剤(TAK-881)といった次世代の免疫グロブリン製剤の開発、およびその他の早期段階の治療薬候補(高シアル化免疫グロブリン(hsIgG)であるTAK-411を含む)の開発を行っております。
[ハイキュービア 一般名:遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼ含有皮下注(ヒト)免疫グロブリン10%]
- 2025年6月、当社は、ハイキュービアについて、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)及び多巣性運動ニューロパチー(MMN)の運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)の適応追加に係る製造販売承認事項一部変更承認を厚生労働省から取得したことを公表しました。本承認は、日本人のCIDP患者およびMMN患者を対象とした国内臨床第3相試験(TAK-771-3002試験)、ならびにCIDP患者を対象とした2つの海外臨床第3相試験(161403試験および161505試験)に基づくものです。
- 2025年7月、当社は、ハイキュービアを在宅や病院内で針を用いずに薬液を輸注セットへ移注できる、17歳以上の患者に対する医療機器であるHYHUBおよびHYHUB DUOについて、米国食品医薬品局(FDA)より、市販前届出510(k)のクリアランスを取得したことを公表しました。HYHUBおよびHYHUB DUOにより、HYQVIAの投与に必要な手順を削減し、投与を簡便化するために開発されました。
[GAMMAGARD LIQUID ERC 一般名:(ヒト)免疫グロブリン10%(低IgA)]
- 2025年6月、当社は、2歳以上の原発性免疫不全症(PID)患者に対する補充療法として、免疫グロブリンA(IgA)含有量の少ない、溶解操作不要な唯一の液状人免疫グロブリン製剤GAMMAGARD LIQUID ERC(IgAの含有量が2μg/mL以下の10%製剤)が、 米国食品医薬品局(FDA)により承認されたことを公表しました。GAMMAGARD LIQUID ERCは溶解操作が不要な液状製剤であり、静脈注射または皮下注射が可能であることから、患者および医療従事者の投与負担の軽減に貢献することが期待されます。
[献血グロベニン-I 一般名:静注(ヒト)免疫グロブリン]
- 2026年2月、当社は、献血グロベニン-I 10%静注について、厚生労働省から製造販売承認を取得したことを公表しました。本承認は、国内で承認を得ている当社の献血グロベニン-I静注用(5%製剤)が承認されている効能又は効果を対象としています。献血グロベニン-I 10%静注は、国内で承認を得ている当社の献血グロベニン-I静注用の剤型を凍結乾燥製剤から液状製剤へ改良し、有効成分濃度を既存製剤の5%から10%へと高濃度化した国内血漿由来の製剤です。有効成分濃度の高濃度化により、投与液量が減少し、投与時間が短縮するとともに、投与液量の負荷を軽減した大量療法が可能になることが期待されます。
[開発コード:TAK-881 一般名:遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼ含有皮下注(ヒト)免疫グロブリン20%]
- 2026年5月、当社は、原発性免疫不全症(PID)患者を対象としたTAK-881-3001試験(ピボタル臨床第2/3相試験)において、主要評価項目を達成し、開発中のTAK-881とハイキュービアの薬物動態の同等性が示されたことを公表しました。また、副次評価項目において、ヒアルロニダーゼ含有20%製剤であるTAK-881の安全性、有効性および忍容性プロファイルは、既存の10%製剤であるハイキュービアと同等であることが示されました。これらの結果は、TAK-881が、PID患者に柔軟な投与スケジュール(PIDでは3週間隔または最長で4週間隔投与)を維持しながら、必要な免疫グロブリン投与量をハイキュービアの半分の液量で投与できる可能性を示すものであり、投与時間の短縮につながることが期待されます。
ワクチン
ワクチンでは、イノベーションを活用し、デング熱(QDENGA)、新型コロナウイルス感染(COVID-19)(ヌバキソビッド筋注)など複数の感染症に取り組んでおります。当社パイプラインの拡充およびプログラムの開発に対する支援を得るために、日本の政府機関およびWHO(世界保健機関)、PAHO(Pan American Health Organization)、Gavi(Global Alliance for Vaccines and Immunization)を含む主要な世界的機関とのパートナーシップを締結しております。これらのパートナーシップは、当社のプログラムを実行し、それらのポテンシャルを最大限に引き出すための重要な能力を構築するために必要不可欠です。
[ヌバキソビッド筋注 一般名:組換えコロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン]
- 2025年8月、当社は、同年6月に製造販売承認事項一部変更承認申請を行ったSARS-CoV-2オミクロン株LP.8.1系統を抗原株としたヌバキソビッドについて厚生労働省より承認を取得したことを公表しました。本承認は、品質の抗原株の変更に係るデータに加え、LP.8.1系統を抗原株としたヌバキソビッドが直近のSARS-CoV-2変異株(LP.8.1、LP.8.1.1、JN.1、KP.3.1.1、XEC、XEC.4、NP.1、LF.7及びLF.7.2.1 )に対しても中和抗体を産生することが認められた非臨床データに基づきます。
[QDENGA 一般名:4価弱毒生デング熱ワクチン]
- 2025年11月、当社は、QDENGAを7年間にわたり評価したピボタル臨床第3相試験であるTIDES(Tetravalent Immunization against Dengue Efficacy Study)試験を完了したことを公表しました。本試験には追加接種の探索的解析も含まれており、これらのデータから、QDENGAのベネフィット・リスクプロファイルとともに、2回接種によりデング熱に対する持続的な予防効果が得られることが確認されました。QDENGAの2回接種(初回接種)の4.5年後に追加接種を行った結果、追加接種2年後のワクチン有効性(VE)はわずかに上昇しました。4種のデングウイルス血清型全てにおいてVEが、7年間にわたり認められました。追加接種後、新たな安全性上の懸念は認められませんでした。これらの結果は、第14回世界小児感染症学会(WSPID)年次総会において発表されました。また当社は、非流行国における追加接種試験の結果を米国熱帯医学衛生学会(ASTMH)年次総会で発表しました。
パイプラインの現状
当社グループの各疾患領域および事業分野における研究開発活動の概要は、以下に示すとおりです。後出する主要な疾患領域および事業分野において開示されている当社グループパイプライン上の治療薬の候補物質は、それぞれ異なる開発段階にあり、現在開発中の候補物質の開発中止や新たな候補物質の臨床ステージ入りにより、パイプラインの内容は今後変わる可能性があります。以下に示す候補物質が製品として上市に至るかは、前臨床試験や臨床試験の結果、様々な医薬品の市場動向、規制当局からの販売承認取得の有無など、様々な要因に影響されます。本表では当社が承認取得を目指しているパイプラインの主な効能および2025年度中に承認されたパイプラインを掲載しています。掲載している効能以外にも、将来の効能・剤型追加の可能性を検討するために臨床試験を行っています。以下の表記載は、米国・欧州・日本・中国に限定していますが、当社グループはその他の地域でも開発活動を行っています。以下、「グローバル」の表記は、少なくとも3つの地域または主要国を指します。下記の表にあるパイプラインの「モダリティ」は、「低分子」、「ペプチド・オリゴヌクレオチド」、「生物学的製剤他」のいずれかに分類しています。
2026年5月13日(決算発表日)における当社グループの消化器系・炎症性疾患領域のパイプラインは以下のとおりです。なお、決算発表日以降の主な開発の進捗は注釈に記載しています。
| 開発コード 製品名 (国/地域) | 薬効(投与経路) | モダリティ | 適応症/剤型追加 | 国/地域 | 開発段階 |
| TAK-755(注)1 <rADAMTS13> アジンマ (米国、欧州、日本) | 遺伝子組換えADAMTS13療法(注射剤) | 生物学的製剤他 | 先天性血栓性血小板減少性紫斑病 | 中国 | 申請(25/3) |
| MLN0002 <vedolizumab> ENTYVIO (グローバル) エンタイビオ(日本) | ヒト化抗α4β7インテグリン モノクローナル抗体 (注射剤) | 生物学的製剤他 | 潰瘍性大腸炎・クローン病(小児) (静脈注射製剤) | グローバル | P-Ⅲ(注)2 |
| 潰瘍性大腸炎・クローン病(小児) (皮下注射製剤) | グローバル | P-Ⅲ | |||
| TAK-999(注)3 <fazirsiran> | GalNAcベースRNA干渉(RNAi)(注射剤) | ペプチド・オリゴヌクレオチド | α‑1アンチトリプシン欠乏症に伴う肝疾患 | 米国 欧州 | P-Ⅲ P-Ⅲ |
| TAK-279 <zasocitinib> | チロシンキナーゼ2(TYK2) 阻害薬(経口剤) | 低分子 | 乾癬 | グローバル | P-Ⅲ |
| 乾癬(小児) | グローバル | P-Ⅲ | |||
| 乾癬性関節炎 | グローバル | P-Ⅲ | |||
| クローン病 | ― | P-Ⅱb | |||
| 潰瘍性大腸炎 | ― | P-Ⅱb | |||
| 白斑 | ― | P-Ⅱb | |||
| 化膿性汗腺炎 | ― | P-Ⅱa | |||
| TAK-079 <mezagitamab> | 抗CD38モノクローナル抗体(注射剤) | 生物学的製剤他 | 免疫性血小板減少症 | グローバル | P-Ⅲ |
| IgA腎症 | グローバル | P-Ⅲ | |||
| TAK-227/ZED1227 (注)4 | トランスグルタミナーゼ2阻害薬(経口剤) | 低分子 | セリアック病 | ― | P-Ⅱb |
| TAK-101(注)5 | Tolerizing Immune Modifying nanoParticle(TIMP)(注射剤) | 生物学的製剤他 | セリアック病 | ― | P-Ⅱ |
| TAK-781 | CYP7A1標的GalNAc 低分子干渉RNA(siRNA) (注射剤) | ペプチド・オリゴヌクレオチド | 原発性硬化性胆管炎 | ― | P-Ⅰ |
(注)1 KMバイオロジクス社との提携
2 2026年6月、当社は、中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎およびクローン病に罹患する、2歳以上の小児患者へのENTYVIOの静脈内投与に対する生物学的製剤承認一部変更申請(sBLA)が米国食品医薬品局(FDA)によって受理されたことを公表しました。
3 Arrowhead Pharmaceuticals社との提携
4 Zedira社およびDr. Falk Pharma社との提携、開発はDr. Falk Pharmaが主導
5 COUR Pharmaceuticals社との提携
2026年5月13日(決算発表日)における当社グループのニューロサイエンス(神経精神疾患)領域のパイプラインは以下のとおりです。なお、決算発表日以降の主な開発の進捗は注釈に記載しています。
| 開発コード 製品名 (国/地域) | 薬効(投与経路) | モダリティ | 適応症/剤型追加 | 国/地域 | 開発段階 |
| TAK-861 <oveporexton> | オレキシン2受容体 アゴニスト(経口剤) | 低分子 | ナルコレプシータイプ1 | 日本 米国 中国 欧州 | 申請(26/3) 申請(26/2) 申請(26/1) P-Ⅲ |
| TAK-755(注) <rADAMTS13> | 遺伝子組換えADAMTS13療法(注射剤) | 生物学的製剤他 | 急性虚血性脳卒中 | ― | P-Ⅱ |
| TAK-360 | オレキシン2受容体 アゴニスト(経口剤) | 低分子 | 特発性過眠症 | ― | P-Ⅱ |
| ナルコレプシータイプ2 | ― | P-Ⅱ | |||
| TAK-495 | オレキシン2受容体 アゴニスト(経口剤) | 低分子 | ― | ― | P-Ⅰ |
(注) KMバイオロジクス社との提携
2026年5月13日(決算発表日)における当社グループのオンコロジー領域のパイプラインは以下のとおりです。なお、決算発表日以降の主な開発の進捗は注釈に記載しています。
| 開発コード 製品名 (国/地域) | 薬効(投与経路) | モダリティ | 適応症/剤型追加 | 国/地域 | 開発段階 |
| SGN-35(注)1 <brentuximab vedotin> アドセトリス (欧州、日本、中国) | CD30モノクローナル抗体薬物複合体 (注射剤) | 生物学的製剤他 | ホジキンリンパ腫におけるBrECADDレジメン(brentuximab vedotin、etoposide、cyclophosphamide、doxorubicin、dacarbazine、dexamethasone)(フロントライン)(注)2 | 欧州 | 承認(25/6) |
| TAK-121(注)3 <rusfertide> | ヘプシジンミメティックスペプチド(注射剤) | ペプチド・オリゴヌクレオチド | 真性多血症 | 米国 | 申請(26/2) |
| TAK-853(注)4 <mirvetuximab soravtansine-gynx> | 葉酸受容体α(FRα)標的 抗体薬物複合体 (注射剤) | 生物学的製剤他 | プラチナ製剤抵抗性卵巣がん | 日本 | 申請(26/1) |
| プラチナ製剤感受性卵巣がん | 日本 | P-Ⅲ | |||
| TAK-226(注)5 <elritercept> | アクチビンA/Bリガンド トラップ(注射剤) | 生物学的製剤他 | 骨髄異形成症候群(MDS)に伴う貧血 (2次治療) | グローバル | P-Ⅲ |
| 骨髄繊維症(MF)に伴う貧血 | ― | P-Ⅱ | |||
| TAK-928/IBI363 (注)6 | PD-1/α-biased IL-2 二重特異性抗体融合タンパク質 (注射剤) | 生物学的製剤他 | 扁平上皮非小細胞肺がん(2次治療) | グローバル | P-Ⅲ |
| 固形がん | ― | P-Ⅱ | |||
| TAK-921/IBI343 (注)6 | Claudin 18.2標的 抗体薬物複合体(注射剤) | 生物学的製剤他 | 胃がん(3次治療) | 日本 中国 | P-Ⅲ |
| 固形がん | ― | P-Ⅰ | |||
| TAK-168/KQB168 (注)7 | 免疫調節薬(経口剤) | 低分子 | 固形がん | ― | P-Ⅰ |
| TAK-188 | CCR8標的抗体薬物複合体 (注射剤) | 生物学的製剤他 | 固形がん | ― | P-Ⅰ |
(注)1 Pfizer社との提携
2 German Hodgkin Study Groupが実施したHD21試験のデータに基づく申請
3 Protagonist Therapeutics社との提携
4 AbbVie社との提携、プラチナ製剤感受性卵巣がんを対象としたグローバルP-Ⅲ試験は同社が主導
5 Keros Therapeutics社との提携
6 Innovent Biologics社との提携
7 Kumquat Biosciences社との提携、P-Ⅰ試験は同社が主導
2026年5月13日(決算発表日)における当社グループのその他の希少疾患品目のパイプラインは以下のとおりです。なお、決算発表日以降の主な開発の進捗は注釈に記載しています。
| 開発コード 製品名 (国/地域) | 薬効(投与経路) | モダリティ | 適応症/剤型追加 | 国/地域 | 開発段階 |
| TAK-577 ボンベンディ (米国、日本、中国) VEYVONDI(欧州) | フォン・ヴィレブランド因子[遺伝子組換え](注射剤) | 生物学的製剤他 | フォン・ヴィレブランド病の出血時および 周術期の補充療法(小児) | 日本 欧州 米国 欧州 | 承認(26/2) 承認(出血時、25/12) 承認(25/9) P-Ⅲ(周術期) |
| フォン・ヴィレブランド病の予防(小児) | グローバル | P-Ⅲ | |||
| TAK-660 アディノベイト (米国、日本) ADYNOVI(欧州) | 抗血友病因子 [遺伝子組換え] PEG修飾(注射剤) | 生物学的製剤他 | 血友病A | 中国 | 申請(25/7) |
| 血友病A(小児) | 欧州 | P-Ⅲ | |||
| TAK-620(注) <maribavir> リブテンシティ (グローバル) | ベンズイミダゾールリボシド系阻害薬(経口剤) | 低分子 | 移植後のサイトメガロウイルス感染(十歳代を含む小児) | グローバル | P-Ⅲ |
(注) GSK社との提携
2026年5月13日(決算発表日)における当社グループの血漿分画製剤のパイプラインは以下のとおりです。なお、決算発表日以降の主な開発の進捗は注釈に記載しています。
| 開発コード 製品名 (国/地域) | 薬効(投与経路) | モダリティ | 適応症/剤型追加 | 国/地域 | 開発段階 |
| TAK-961 <IVIG> 献血グロベニン-I (日本) | 免疫グロブリン 10% [ヒト由来](注射剤) | 生物学的製剤他 | 複数の適応症 | 日本 | 承認(26/2) |
| 自己免疫性脳炎(AE) | 日本 | 申請(25/10) | |||
| TAK-339 <IVIG> グロベニン-I(日本) GAMMAGARD LIQUID (米国) | 免疫グロブリン 10% [ヒト由来](注射剤) | 生物学的製剤他 | 複数の適応症 | 日本 | 承認(25/7) |
| 自己免疫性脳炎(AE) | 日本 | 申請(25/10) | |||
| 続発性免疫不全症候群 | 米国 | P-Ⅲ | |||
| TAK-771(注) <SCIG Infusion 10% (Human) w/ Recombinant Human Hyaluronidase> ハイキュービア (米国、欧州、日本) | 遺伝子組換え型 ヒトヒアルロニダーゼ含有 免疫グロブリンG補充療法 (注射剤) | 生物学的製剤他 | 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎・ 多巣性運動ニューロパチー | 日本 | 承認(25/6) |
| TAK-880 <10% IVIG (Low IgA)> GAMMAGARD LIQUID ERC(米国) DEQSIGA(欧州) | 免疫グロブリン 10% [ヒト由来](注射剤) (IgA低含有) | 生物学的製剤他 | 原発性免疫不全症候群 | 米国 欧州 | 承認(25/6) 承認(25/5) |
| TAK-330 PROTHROMPLEX TOTAL(欧州) | 4因子含有プロトロンビン 複合体濃縮製剤[ヒト由来] (注射剤) | 生物学的製剤他 | 血液凝固障害、手術時の直接経口抗凝固薬(DOAC)使用に伴う出血傾向の抑制 | 米国 | P-Ⅲ |
| TAK-881 <Facilitated 20% SCIG> | 遺伝子組換え型 ヒトヒアルロニダーゼ 含有免疫グロブリンG 20% 補充療法(注射剤) | 生物学的製剤他 | 原発性免疫不全症候群 | 米国 欧州 日本 | P-Ⅲ P-Ⅲ P-Ⅲ |
| 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎 | 米国 欧州 日本 | P-Ⅲ P-Ⅲ P-Ⅲ | |||
| TAK-411 | 高シアル化免疫グロブリン [ヒト由来] (注射剤) | 生物学的製剤他 | 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎 | ― | P-Ⅱ |
(注) Halozyme社との提携
オプション契約:当社が臨床開発かつ/または商業化を将来行う可能性がある契約上の権利を保有するその他のパイプラインの一部
2026年5月13日(決算発表日)における、当社が臨床開発かつ/または商業化を将来行う可能性がある契約上の権利を保有するその他のパイプラインの一部は以下のとおりです。なお、決算発表日以降の主な開発の進捗は注釈に記載しています。
| 開発コード 製品名 (国/地域) | 薬効(投与経路) | モダリティ | 適応症/剤型追加 | 国/地域 | 開発段階 |
| HQP-1351(注)1 <olverembatinib> | BCR-ABL/チロシン キナーゼ阻害薬(TKI)(経口剤) | 低分子 | 慢性骨髄性白血病 | 米国 欧州 日本 | P-Ⅲ |
| ACI-24.060(注)2 | アミロイドβ能動免疫 | 生物学的製剤他 | アルツハイマー病 | ― | P-Ⅱ |
| IBI3001(注)3 | EGFR/B7H3標的 抗体薬物複合体 | 生物学的製剤他 | 固形がん | ― | P-Ⅰ |
(注)1 Olverembatinib/HQP1351は参考情報としてのみ掲載。特定の独占的ライセンスを取得するためのオプション権を当社が行使
(規制当局による承認を含む慣習的な条件を満たす必要がある)するまでの間、Ascentage Pharma社は本候補物質を所有し単独で臨床開発を実施
2 ACI-24.060は参考情報としてのみ掲載。特定の独占的ライセンスを取得するためのオプション権を当社が行使
(規制当局による承認を含む慣習的な条件を満たす必要がある)するまでの間、AC Immune社は本候補物質を所有し単独で臨床開発を実施
3 IBI3001は参考情報としてのみ掲載。特定の独占的ライセンスを取得するためのオプション権を当社が行使
(規制当局による承認を含む慣習的な条件を満たす必要がある)するまでの間、Innovent Biologics社は本候補物質を所有し単独で臨床開発を実施
パイプラインから削除されたプロジェクト
2025年4月1日以降に中止したプロジェクトは以下のとおりです。
| 開発コード | 適応症/剤型追加 (国/地域、開発段階) | 中止および終了理由 |
| TAK-961 <5% IVIG> | 自己免疫性脳炎(AE)(P-Ⅲ) | ポートフォリオおよび申請に関する戦略上の理由により中止。自己免疫性脳炎(AE)を対象に5%製剤で取得したデータを活用し、申請は10%製剤のみで実施。 |
| TAK-003 | デング熱ウイルスによる感染症の予防 (追加接種としての延長投与)(P-Ⅲ) | 結果はQDENGAの7年間にわたる長期安全性プロファイルおよびワクチンの2回接種のスケジュールを改めて支持するものであった。 |
| TAK-755 <rADAMTS13> | 免疫性血栓性血小板減少性紫斑病(P-Ⅱb) | 戦略上の理由によりTAK-755の免疫性血栓性血小板減少性紫斑病(iTTP)における開発を中止。 |
| TAK-594 / DNL593 | 前頭側頭型認知症(P-Ⅱ) | 戦略的判断に基づきTAK-594のDenali社との共同開発を中止。 |
| TAK-004 | 悪心、嘔吐(P-Ⅰ) | 戦略的判断に基づきTAK-004の開発を中止。 |
| TAK-341/MEDI1341 | 多系統萎縮症(MSA)(P-Ⅱ) | TAK-341の臨床第2相試験は主要および副次評価項目を満たさず、さらなる開発を支持する結果ではなかった。 |
| TAK-925 <danavorexton> | ナルコレプシー(P-Ⅰ) | 戦略的判断に基づきdanavorexton(TAK-925)のナルコレプシーにおける開発を中止。 |
| TAK-012 | 再発・難治性の急性骨髄性白血病(P-Ⅰ) | 戦略上の理由によりTAK-012の開発を中止。 |
ライセンスおよび共同研究開発契約
①ライセンスおよび共同研究開発契約の概要
当社は通常の事業において、製品開発および商業化のために第三者とライセンス契約や業務提携を行うことがあります。当社の事業は、こうした個々の契約に大きく依存するものではありませんが、これらの契約は全体として、社内外のリソースを組み合わせて活用することで新製品の開発や上市を可能にするという当社の戦略の一部を構成しています。これまで製品上市に寄与してきた契約の一部に関する概要は以下のとおりであります。
- アドセトリス:2009年、当社はPfizer Inc.(Pfizer社)(2023年12月にPfizer社が買収したSeagen, Inc.の権利を継承)と、アドセトリスのグローバル共同開発および世界各国(同社が本剤を販売している米国、カナダを除く)における販売の提携契約を締結しました。本提携関係に基づき、当社による開発および販売の進捗に関してマイルストン支払いを行いました。また、契約対象地域におけるアドセトリスの正味売上高に基づき10%台前半から20%台半ばの割合で段階的なロイヤルティを支払います。当社とPfizer社は、本提携関係のもとで実施される選択された開発活動の費用を均等に共同で負担しますが、2026年3月31日現在、当社のアドセトリス提携契約に基づく販売マイルストンの残存支払見込額はありません。本提携関係は、いずれか一方の当事者による正当な事由または両者の合意をもって解除することができます。当社は本提携関係を自由に解除でき、Pfizer社は一定の状況において本提携関係を解除できます。両社により提携解除がなされなかった場合、本契約は全ての支払い義務の満了をもって自動的に終了します。
- FRUZAQLA/フリュザクラ:2023年、当社はHUTCHMED Limited(HUTCHMED社)と、フルキンチニブの全世界(中国本土、香港およびマカオを除く)を対象とした開発、商業化および製造に関する独占的ライセンス契約を締結しました。FRUZAQLA/フリュザクラは、米国、欧州、日本および当社がライセンス権を有するその他の国々で承認を取得しています。本ライセンス契約に基づき、当社による開発、規制上および販売の進捗に関するマイルストンに加え、正味売上高に応じたロイヤルティを支払います。本契約は、当社がライセンス権を有する地域において最後のライセンス品のロイヤルティ期間の満了まで継続しますが、それ以前に終了する場合もあります。当社は書面通知により任意でライセンス契約を終了することが可能であり、またいずれの当事者も正当な事由がある場合にライセンス契約を終了することが可能です。
- トリンテリックス:2007年、当社はH. Lundbeck A/S(ルンドベック社)とライセンス、開発、供給および販売契約を締結し、同社の保有する気分障害・不安障害治療薬パイプライン上の複数の化合物について米国および日本における独占的な共同開発および共同販売権を取得しました。2024年7月、ルンドベック社は、当社が米国におけるトリンテリックスの正味売上高に基づきルンドベック社へロイヤルティを支払うことを定めた契約の変更について合意したことを公表しました。本契約変更により、ルンドベック社との共同販売および同社による開発資金の提供は終了しました。本契約は無期限に存続しますが、両者の合意または正当な事由をもって解除されます。
②将来に向けた研究プラットフォームの構築/研究開発における提携の強化
自社の研究開発機能向上への注力に加え、社外パートナーとの提携も、当社研究開発パイプライン強化のための戦略における重要な要素の一つです。社外提携の拡充と多様化に向けた戦略により、様々な新製品の研究に参画し、当社が大きな研究関連のブレイクスルーを達成する可能性を高めます。
- 2025年10月、当社は、Innovent Biologics(Innovent社)と、後期開発段階にある2つのがん治療薬TAK-928(IBI363)およびTAK-921(IBI343)について、中国・香港・マカオ・台湾以外の全世界における開発、製造、商業化に関するライセンスおよび提携契約を締結したことを公表しました。TAK-928は、ファースト・イン・クラスとなる可能性のある 、PD-1/IL-2α-bias二重特異性抗体融合タンパク質です。非小細胞肺がんおよび結腸・直腸がんで評価されており、他の種類の固形腫瘍にも有効性が期待されています。TAK-928は、米国食品医薬品局(FDA)から、抗PD-(L)1療法およびプラチナベースの化学療法後に進行した切除不能な局所進行または転移性sqNSCLC患者の治療のためにファストトラック指定を受けています。開発中のTAK-921は、胃がんおよび膵臓がん細胞に高頻度で発現するClaudin 18.2タンパクを標的とする次世代抗体薬物複合体(ADC)治療薬であり、胃がんおよび膵臓がんで評価されています。TAK-921は、FDAより、1ライン前の治療後に再発または抵抗性となった進行切除不能または転移性膵管がん(PDAC)の治療においてファストトラック指定を受けています。また、初期開発段階の治療薬であるIBI3001の中国・香港・マカオ・台湾以外での全世界での独占的ライセンスオプションを取得します。IBI3001は、EGFRおよびB7H3の両方を標的とするように設計された、ファースト・イン・クラスとなる可能性のある二重特異性ADCです。2025年12月、当社は、全てのクロージング条件を満たし、Innovent社とのライセンスおよび提携契約の締結手続を完了したことを公表しました。
- 2026年1月、当社は、Halozyme Therapeutics, Inc.(Halozyme社)とグローバルでの提携およびライセンス契約を締結したことを公表しました。本契約により、当社にHalozyme社の革新的なENHANZEドラッグデリバリーテクノロジーを独占的にベドリズマブに使用する権利が付与されます。
③当社の研究活動に関するアップデート
- 2025年10月、当社は、戦略的なポートフォリオの優先順位を検討した結果、細胞療法に関する自社での取り組みを中止する決定を公表しました。今後、当社は、当社の細胞療法プラットフォーム技術の強化ならびに当分野での研究や臨床応用可能なプログラムのさらなる進展を担うことのできる外部パートナーを模索してまいります。なお、現在当社が細胞療法技術を用いて実施している進行中の臨床試験はありません。当社は今後、患者さんに対しより迅速かつ大規模に革新的な治療法を届けることができると考えられるプログラムに短期的な投資を再集中します。
④研究開発における提携
下表では、「①ライセンスおよび共同研究開発契約の概要」以外の、研究開発における当社の提携および外部化提携を記載しており、全ての共同研究開発活動を記載しているものではありません。「内容/目的」欄の記述は、別途記載されていない限り契約締結時点のものを示しています。
消化器系・炎症性疾患領域
| 提携先 | 国 | 内容/目的 |
| Arrowhead Pharmaceuticals | 米国 | α-1アンチトリプシン欠乏症による肝疾患(AATLD)を対象とし、臨床段階にあるRNA干渉(RNAi)治療薬fazirsiran(TAK‑999、ARO‑AAT)の開発に向けた提携およびライセンス契約。ARO‑AATは、AATLDの進行を引き起こす変異型α‑1アンチトリプシン蛋白の産生を低減する目的で設計されたファースト・イン・クラスの治療薬となる可能性がある。 |
| COUR Pharmaceuticals | 米国 | COUR社からグリアジンタンパク質含有のImmune Modifying NanoparticleであるTIMP-GLIA(TAK‑101)の全世界での独占的な開発および製品化の権利を獲得。 |
| Engitix | 英国 | Engitix社独自の細胞外マトリックス探索プラットフォームの活用による、肝線維症およびクローン病や潰瘍性大腸炎などの線維性の炎症性腸疾患に対する新規治療薬の特定と開発に関する共同研究およびライセンス契約。 |
| Halozyme | 米国 | Halozyme社の独自のENHANZE®ドラッグデリバリーテクノロジーを独占的にvedolizumabに使用する権利に関する提携およびライセンス契約。 |
| Mirum Pharmaceuticals | 米国 | アラジール症候群(ALGS)、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)および胆道閉鎖症(BA)を対象としたリブマーリ(maralixibat、TAK-625)の日本における開発および販売に関する独占的ライセンス契約。 |
| UCSD/Fortis Advisors | 米国 | UCSD(カリフォルニア大学サンディエゴ校)からのライセンス技術を活用し、好酸球性食道炎治療薬としてEOHILIA(budesonide経口製剤、TAK-721)を開発。 |
| Zedira/Dr. Falk Pharma | ドイツ | セリアック病におけるグルテンに対する免疫反応を予防するよう設計された、ファースト・イン・クラスの治療薬となる可能性のある組織トランスグルタミナーゼ2(TG2)阻害薬TAK-227/ZED1227の開発および販売に関する提携・ライセンス契約。当社は米国およびその他の地域(欧州、カナダ、オーストラリアおよび中国を除く)における独占的権利を保有。 |
ニューロサイエンス(神経精神疾患)領域
| 提携先 | 国 | 内容/目的 |
| AC Immune | スイス | アルツハイマー病治療薬として開発中のACI-24.060を含む、AC Immune社の毒性アミロイドβ(Aβ)を標的とする能動免疫療法に関する全世界の独占的オプションとライセンス契約。 |
| AcuraStem | 米国 | AcuraStem社の、筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対するPIKFYVEを標的とした治療薬について、全世界の開発および商業化に関する独占的ライセンス契約。 |
| Anima Biotech | 米国 | 遺伝的に特定された神経疾患に対するmRNA翻訳調節薬に関する戦略的な共同研究・開発。 |
| BioMarin | 米国 | 髄腔内投与により外因性アリルスルファターゼA酵素の中枢神経系への直接補充を可能にする技術の導入。急速に進行し、最終的には生命を脅かす希少な神経変性疾患である異染性白質ジストロフィー(MLD)患者において長期的な治療を行う(TAK-611)。 |
| Denali Therapeutics | 米国 | Denali社が有する脳へのバイオ治療薬移行性を高めるTransport Vehicle(TV)プラットフォーム技術を用いた、最大3つの神経変性疾患治療薬候補の開発および販売に関する戦略的オプションおよび提携契約。当社は2021年度第3四半期に、DNL593/TAK-594およびDNL919/TAK-920に関するオプション権を行使。2023年度第2四半期にDNL919/TAK-920の開発を中止。2025年2月にATV:TREM2に関する提携プログラムを、当社およびDenali社合意のもと終了。2026年4月、当社はDenali社に対し、DNL593/TAK-594の共同開発および本提携全般について終了する旨を通知。 |
| ルクサナバイオテク | 日本 | ルクサナ社の画期的な人工修飾核酸技術の、神経疾患領域における複数の未公開の標的遺伝子に対する全世界での独占的ライセンス契約。 |
| Neurocrine Biosciences | 米国 | TAK-041/NBI-1065846、TAK-653/NBI-1065845およびTAK-831/NBI-1065844(luvadaxistat)を含む7つの当社の早期から中期開発段階の精神疾患領域パイプラインに関する開発および製品化に関する提携。当社は開発マイルストン、販売マイルストン、および正味売上高に応じたロイヤルティを取得する権利を有する。特定の開発段階において、当社はすべての臨床試験プログラムについて、1つひとつのパイプラインごとに、50:50の利益配分を受ける、または受けない選択をすることができる。当社はNeurocrine社よりTAK-041およびTAK-831の開発中止に関する通知を受領し、2025年3月をもって開発が終了。2025年1月、当社とNeurocrine社はTAK-653に関する契約内容を変更。当社は日本における独占的権利を再獲得し、マイルストンおよびその他の地域の売上に基づくロイヤルティを受け取る権利を有する。当社は日本における開発に係る費用を負担。Neurocrine社は日本以外の全世界での開発に係る費用を負担し、日本における売上に基づくロイヤルティを受け取る権利を有する。 |
| ペプチドリーム | 日本 | 神経筋疾患および神経変性疾患に対するペプチド‑薬物複合体(PDCs)の創製に関する共同研究および独占的ライセンス契約。 |
オンコロジー領域
| 提携先 | 国 | 内容/目的 |
| AbbVie | 米国 | 抗葉酸受容体α(FRa)陽性の卵巣がんを対象とした、mirvetuximab soravtansine-gynxの日本における開発および商業化に関する独占的ライセンス契約。 |
| Adimab | 米国 | オンコロジー領域において、3つのモノクローナル抗体及び3つのCD3二重特異性抗体の創薬・開発・販売に関する契約。 |
| Ascentage Pharma | 中国 | 慢性骨髄性白血病(CML)およびその他の血液がんを対象に開発が進められているBCR-ABLチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)であるolverembatinib/HQP1351の独占的ライセンスを獲得するためのオプション契約。当社がオプション権を行使した場合、中国本土、香港、マカオ、台湾およびロシア以外の全地域で、olverembatinibの開発および商業化に関する全世界的な権利を獲得。 |
| Crescendo Biologics | 英国 | がん領域におけるHumabody®を用いた治療薬の創製、開発および販売に関する提携およびライセンス契約。 |
| Exelixis | 米国 | カボメティクス(cabozantinib)に関して、日本における進行性腎細胞癌及び肝細胞癌をはじめとする適応拡大を含めた独占的な開発・販売権を獲得。 |
| F-star | 英国 | F-star社の独自のFcab™およびmAb2™プラットフォームを活用する、非開示のがん免疫標的を対象とした二重特異性抗体に関する研究、開発および販売に関してロイヤリティを伴う全世界を対象とした独占的ライセンス契約。当社は、本契約に基づくすべての研究、開発および販売に関する活動を担う。 |
| GSK | 英国 | ゼジューラ(niraparib)に関して、日本における全てのがん、および韓国と台湾における前立腺がんを除く全てのがんに関する独占的開発・販売権を獲得。 |
| Heidelberg Pharma | ドイツ | 抗体薬物複合体(ADC)に関する2標的に関するライセンスを含む研究提携(アルファアマニチン毒素及び独占権を有するリンカー)。 |
| Innovent Biologics | 中国 | Innovent Biologics社との、以下を含む次世代のがん免疫療法および抗体薬物複合体(ADC)によるがん治療薬の開発における独占的なライセンス契約、オプション契約および提携契約。ファースト・イン・クラスのPD-1/α-biased IL-2二重特異性抗体融合タンパク質であるTAK-928(IBI363)のグローバル共同開発、米国での共同商業化、米国および中国・香港・マカオ・台湾以外での独占的商業化の権利を含む提携。Claudin 18.2を標的とするADCであるTAK-921(IBI343)の中国・香港・マカオ・台湾以外でのさらなる開発および商業化に関する独占的ライセンス。IBI3001(EGFR/B7H3標的ADC)の中国・香港・マカオ・台湾以外におけるグローバル開発・製造・販売権に関する独占的ライセンスオプション。 |
| Keros Therapeutics | 米国 | Keros Therapeutics社との、全世界(中国本土、香港およびマカオを除く)を対象とした、elritercept(TAK-226)の開発、製造および商業化に関する独占的なライセンス契約。 |
| Kumquat Biosciences | 米国 | 新規の低分子阻害薬によるがん免疫療法の単剤および/または併用療法としての開発および商業化に関する戦略的な独占的提携。 |
| Protagonist Therapeutics | 米国 | 真性多血症を対象とした、天然型ホルモンへプシジンの注射用へプシジンミメティクスペプチドであるrusfertide(TAK-121)の全世界を対象とした開発および商業化に関するライセンス・提携契約。 |
血漿分画製剤
| 提携先 | 国 | 内容/目的 |
| Halozyme | 米国 | ハイキュービアの拡散と吸収を高めることを目的としたHalozyme社の独自基盤技術ENHANZE®の導入。 |
| Kamada | イスラエル | 静脈投与α1プロテアーゼインヒビター(GLASSIA)の開発および商用化の導入契約;GLASSIAの米国、カナダ、オーストラリアおよびニュージーランドにおける独占的供給および流通;継続中の市販後コミットメントの実施。 |
| Johnson & Johnson/Momenta Pharmaceuticals | 米国 | Johnson & Johnson社に買収されたMomenta Pharmaceuticals社との、臨床開発段階にある高シアル化免疫グロブリン(hsIgG)候補物質に関するライセンス契約。 |
| PreviPharma | ドイツ | 新規標的タンパク質の開発に関する研究提携およびオプション契約。 |
ワクチン
| 提携先 | 国 | 内容/目的 |
| Novavax | 米国 | 厚生労働省(MHLW)および日本医療研究開発機構(AMED)からの助成対象となったNovavax社のCOVID‑19ワクチン「ヌバキソビッド®筋注」の日本における開発、製造、商業化に関するNovavax社との提携。2024年9月に当社は、SARS-CoV-2オミクロン株JN.1系統による感染症の予防を対象に、2回接種分バイアルであるヌバキソビッド筋注1mL製剤の製造販売承認を取得したことを公表しました。 |
その他/複数の疾患領域
| 提携先 | 国 | 内容/目的 |
| BridGene Biosciences | 米国 | BridGene社のケモプロテオミクスプラットフォームを用いて、「undruggable」なターゲットに対する低分子医薬品の発見を目指す共同研究。 |
| Charles River Laboratories | 米国 | Charles River Laboratories社が有するエンド・ツー・エンドの創薬および安全性評価プラットフォームを活用し、当社の重点疾患領域における複数のプログラム群を候補化合物の段階まで進めるため提携。 |
| GSK | 英国 | GSK社およびミシガン大学とのヒトサイトメガロウイルス感染症治療薬リブテンシティ(maribavir、TAK-620)の導入契約。 |
| Iambic Therapeutics | 米国 | Iambic社の計算科学に基づく創薬プラットフォームを活用し、ファースト・イン・クラスおよびベスト・イン・クラスとなりうる高品質な低分子候補物質の創出を加速させることを目的とした、複数の疾患領域における探索研究提携。 |
| Ipsen | フランス | 後天性血友病A治療薬としてのオビザー開発のための譲渡(購入)契約。緊急および非緊急の手術におけるインヒビター保有先天性血友病A患者への適用開発も含む。 |
| KMバイオロジクス | 日本 | 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)を対象とするが、同疾患に限らず、アジンマ(rADAMTS13、TAK-755)を治療に用いるための開発提携およびライセンス契約。 |
| Massachusetts Institute of Technology | 米国 | 人工知能(AI)の開発と応用を促進し、人の健康と医薬品開発に貢献するためのMIT‑Takedaプログラム。 Abdul Latif Jameel Clinic for Health in Machine Learning(J‑Clinic)に設置する新しいプログラムは、当社およびMITの専門知識を組み合わせて活用し、当社の投資によってサポートされる。 |
| Nabla Bio | 米国 | Nabla社のAI技術および創薬を目的とした実験的技術を活用し、新たなタンパク質配列の発見に向けた研究提携。 |
知的財産
特許や登録商標を用いて可能な限り自社の製品や技術を守ることは、当社グループの事業戦略において重要な部分を占めています。当社グループが市場競争力を維持し高めるためには、営業秘密、当社独自のノウハウ、技術的イノベーションおよび第三者との契約の取り決めが欠かせません。当社がビジネス上の成功を収めることが出来るかどうかは、強固な特許を取得し行使する能力や、営業秘密を保護し続ける能力、第三者の知的財産権を侵害することなく事業を行う能力、付与されたライセンスの条件を遵守する能力に依存する場合があります。新薬の開発は長期間にわたり、研究開発は多くの費用を必要とします。また、治療薬候補のうち上市されるものはごくわずかであることから、知的財産の保護は新薬の研究開発への投資の回収において重要な役割を担っています。
当社グループは米国、日本、欧州の主要国において可能な限り当社独自の技術の特許保護を求めていきます。その他の国々についても、可能な国々において、選別したうえで特許保護を求めていきます。いずれの場合にも特許保護自体を取得するか、ライセンサーを通じて特許出願をサポートするよう努めています。特許は、当社グループが使用する技術を保護するための主要な手段です。特許は、特許期間中の医薬品に関する発明に基づく他社による製造、使用、販売、販売の提示を排除する権利を特許権者に付与します。当社グループのバイオ医薬品を保護するために、有効成分をカバーする物質特許、薬の用途、製造方法、製剤に関する特許等、様々な種類の特許を使用しています。また、当社グループの商標登録は、特に混乱を招くような類似の名称またはブランドを使用しようとする第三者に対して、当社グループのブランド保護およびその長期的価値を維持するうえで重要な役割を果たしています。
当社グループの医薬品(特に、低分子化合物医薬品)は、主に物質特許によって保護されています。物質特許の存続期間終了をもって当該医薬品の市場独占権は失われる場合がありますが、その後も当該物質の用途、用法、製造方法、新規組成物または剤型に関する特許等の非物質特許によって、商業利益が保護されることがあります。物質特許が満了した場合でも、各国の関連法規制によるデータ保護制度または市場の保護により対象製品が保護されることもあります。
米国では、原則として最も早い通常の特許出願日から20年で特許は満了しますが、米国特許商標庁の審査遅延による特許の発行遅延があった場合は特許期間の調整が行われる可能性があります。また、製品、製品を使用した治療法、製品の製造方法に関する米国の医薬特許は、米国食品医薬品局(FDA)による製品の承認審査期間に応じて特許期間延長の対象となる場合があります。このような場合の存続期間の延長は5年を上限としており、製品の承認取得から14年を超える延長は認められません。FDAの遅延に基づく期間延長が認められるのは、1製品につき1件の特許のみです。FDAは、新規化合物またはオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)に対しては、特許による独占権に加えて、データあるいは市場の独占権を追加付与することがあり、これらは既にある特許保護期間と並行して存続します。データ保護規制またはデータ独占権は、ジェネリック医薬品を発売し得る競合他社が、先発品の安全性および有効性を確立する際にスポンサーが作成した臨床試験データを新規化合物については5年間、オーファンドラッグについては7年間、またはバイオ医薬品については12年間は使用できないようにするものです。市場独占権は、同じ薬剤を同じ適応症で販売することを禁止するものです。
日本では、有効成分については、特許庁により特許が付与されます。患者さんの疾患の治療・診断方法に関する特許請求項は日本では特許の対象となりませんが、特定の疾患、適応症の治療に使用する医薬組成物に関する特許請求項は、特許の対象となります。日本では原則として出願より20年で特許は満了します。医薬特許は、医療品製造承認取得までに要した時間により、5年を限度として延長されることがあります。米国と異なり、日本では1製品につき1つ以上の特許を延長することができます。また、日本では、医薬品の安全性と効能を確認する再審査制度を設けており、その期間は新有効成分含有医薬品については8年、新効能・新医療用配合剤については4年から6年、オーファンドラッグについては10年となっています。
欧州連合(EU)では、欧州特許庁(EPO)または欧州各国の国家特許庁で特許を申請することができます。EPOの制度では、EU全体および英国、スイス、トルコ等のいくつかのEU非加盟国での特許を一括申請することができます。EPOが特許を付与すれば、特許権者が指定する国々において特許が有効となります。特許権者の要請により、統一特許裁判所(UPC)協定に批准した単一特許(UP)制度に参加しているEU加盟国の領域については単一効特許が認められています。EPOまたは欧州諸国のいずれかが認める特許の存続期間は、原則として出願から20年です。医薬品の特許は、補充的保護証明書(SPC)制度のもと、さらに追加の独占期間を付与されます。SPCは、特許権者が欧州医薬品庁(EMA)または各国の規制当局から販売承認を受けるのに要した時間を補償する制度です。SPCによる特許期間の最長の延長期間は5年であり、欧州で最初の販売承認を取得した日から最長15年まで特許期間を延長することができます。認可された小児臨床試験計画(PIP)によるデータが提出されたオーファン以外の製品であれば、その医薬品に係るSPCのさらなる6ヶ月の小児延長が認められます。SPC制度を含め、承認後の特許は、各国の法制度により運用されています。特許およびSPCに関する規制はそれぞれEPOおよびEUのレベルで作られましたが、国ごとの運用の違いにより、例えば、EU各国の国内裁判所で無効申立てされた場合など、必ずしも同じ結果にはつながりません。また、EUは承認されたヒト用医薬品につき、特許保護と並行して、規制上のデータ保護(RDP)を与えています。現在承認されている医薬品に関する制度は、通常「8+2+1」と呼ばれています。これは、まず初めに競合他社が関連データに依拠することができないデータ保護期間が8年間、続いて競合他社が販売承認申請のために当該データを使用できるものの、競合品を上市することができない市場独占期間が2年間、さらに、スポンサーが最初のデータ保護期間8年間の間に、他の治療薬が存在しない適応症か「既存治療薬に比べて有意な臨床的有効性」が認められる新たな適応症を追加した場合、追加で1年間の市場独占権を認めるものです。これは各国での承認にもEUの中央審査による承認にも当てはまります。また、EUには米国に類似したオーファンドラッグの独占制度があります。医薬品がオーファンドラッグとして指定された場合、10年間の市場独占権が与えられ、この間当該医薬品と同じ適応症を持つ同様の医薬品には販売承認が付与されません。特定の条件下では、小児臨床試験計画の完了によるさらに2年間の小児用医薬品に係る延長が認められます。規制上のデータ保護等の制度を含む欧州の医薬品法は現在改正が行われており、将来的に異なる独占期間が適用される可能性があります。改正プロセスにおいて、2025年12月に欧州理事会と欧州議会との間で政策的な合意が成立し、RDPに関しては8+1+1+1の制度とすること、およびオーファンドラッグに係るインセンティブの見直しについて合意に至りました。しかしながら、新たな法令の合意済みの内容については公表されておらず、そのスケジュールに関しては定かではありません。
当社グループ製品の関連特許満了後の後発品の市場参入や、競合他社によるOTC医薬品の発売等、当社グループは世界中で知的財産に関わる課題に直面しています。当社グループのグローバルジェネラルカウンセルは、法務ならびに知的財産権の業務についても監督責任を負っています。当社グループの知的財産部は、下記3つの優先事項に注力することにより、当社グループの全社的な戦略をサポートしています。
・疾患領域およびビジネスユニットの戦略に沿った自社製品および研究開発パイプラインの価値の最大化および関連する権利の保護
・パートナーとの提携サポートによる外部イノベーションのよりダイナミックな活用の促進
・新興国市場を含む世界各国での知的財産権取得および保護(なお、当社の医薬品へのアクセスを拡大するというコミットメントとして、後発開発途上国および低所得国において、特許を申請または特許権を行使しないことを確約しています)
当社グループの知的財産権が侵害されることは、それらの権利から得ることが期待される収益が失われるリスクとなるため、当社グループは特許やその他の知的財産を管理するための内部プロセスを整備しています。当該プロセスでは、第三者からの侵害に継続的に警戒するとともに、当社グループの自社製品および活動が第三者の知的財産権を侵害しないよう、研究開発段階から注意を払っています。
通常の事業活動において、当社グループの特許は第三者から無効の申し立てを受ける可能性があります。当社グループは、当事者として知的財産権に関する訴訟等に関与しております。係属中の重要な訴訟の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 31 コミットメントおよび偶発負債」をご参照ください。
下表では、記載された製品について、対象地域ごとに、存続している物質特許および規制上の保護期間(「RP」)(米国およびEU)もしくは再審査期間(「RP」)(日本)ならびに満了日を記載しております。特許期間の延長(PTE)、補充的保護証明書(SPC)、小児用医薬品に係る独占期間(PEP)は当局により認められたものについては満了日に反映され、申請手続中で認められていないものについては、延長された満了日を別途記載しています。
当社グループのバイオ医薬品は、下記の特許満了期間に関わらず、同じ適応症に対する類似製品またはバイオシミラーを製造する他社との競争に直面するか、今後直面する可能性があります。また、欧州の特許の一部は、SPCにより、いくつかの国で下表に記載の満了期限を超えて対象製品に追加的な保護が付与される場合があります。
| 製品名 | 満了日(日本) (注)1(注)2 | 満了日(米国) (注)1 | 満了日(EU) (注)1 | ||
| 消化器系疾患領域: | |||||
| ENTYVIO エンタイビオ | 特許:— RP: 2028年7月(注)2 | 特許: —(注)6 | 特許: — (注)6 | ||
| GATTEX/REVESTIVE GATTEX/レベスティブ | 特許: — RP:2031年6月(注)2 | 特許: —(注)5 | 特許: — | ||
| TAKECAB タケキャブ(注)3 | 特許: 2031年8月 | 特許: —(注)3 | 特許: —(注)3 | ||
| PANTOLOC /CONTROLOC (PANTOPRAZOLE) | 未発売 | 特許: — | 特許: — | ||
| DEXILANT | 未発売 | 特許: — | 特許: — | ||
| LIALDA/MEZAVANT(注)3 リアルダ | 特許: —(注)3 | 特許: — | 特許: — | ||
| RESOLOR/MOTEGRITY | 未発売 | 特許: — | 特許: — | ||
| EOHILIA | 未発売 | 特許:— RP:2031年2月 | 未発売 | ||
| 希少疾患領域: | |||||
| TAKHZYRO タクザイロ | 特許:2036年1月 RP: 2032年3月(注)2 | 特許:2032年8月 RP: 2030年8月 | 特許:2033年11月 RP: 2030年11月 | ||
| ADVATE アドベイト | 特許: — | 特許: — | 特許: — | ||
| ADYNOVATE/ADYNOVI アディノベイト | 特許:— | 特許: — RP: 2027年11月 | 特許:2029年2月まで延長(注)10 RP: 2028年1月 | ||
| ELAPRASE(注)3 エラプレース | 特許: —(注)3 | 特許: — | 特許: — | ||
| REPLAGAL リプレガル | 特許: — | 未発売 | 特許: — | ||
| VPRIV ビプリブ | 特許: — | 特許: — | 特許: — | ||
| 製品名 | 特許満了日(日本) (注)1(注)2 | 特許満了日(米国) (注)1 | 特許満了日(EU) (注)1 | ||
| FIRAZYR フィラジル | 特許: — RP: 2028年9月(注)2 | 特許: — | 特許: — | ||
| LIVTENCITY リブテンシティ | 特許: — RP: 2034年6月(注)2 | 特許: — RP: 2028年11月 | 特許: — RP: 2032年11月 | ||
| VONVENDI ボンベンディ | 特許: — RP: 2030年3月(注)2 | 特許: 2030年12月 RP: 2027年12月(注)9 | 特許: — RP: 2028年8月 | ||
| ADZYNMA アジンマ | 特許: — RP: 2034年3月(注)2 | 特許: — RP: 2035年11月 | 特許: — RP: 2034年8月 | ||
| 血漿由来の免疫疾患治療領域: | |||||
| GAMMAGARD LIQUID | 特許: — | 特許: — | 特許: — | ||
| HYQVIA ハイキュービア | 特許: — RP: 2031年9月(注)2 | 特許: — RP: 2026年9月 | 特許: — | ||
| CUVITRU キュービトル | 特許: — RP: 2031年9月 | 特許: — RP: 2028年9月 | 特許: — RP: 2026年7月 | ||
| FLEXBUMIN | 未発売 | 特許: — | 特許: — | ||
| HUMANALBUMIN | 未発売 | 特許: — | 未発売 | ||
| FEIBA ファイバ | 特許: — | 特許: — | 特許: — | ||
| HEMOFIL | 未発売 | 特許:— | 未発売 | ||
| IMMUNATE | 未発売 | 未発売 | 特許:— | ||
| IMMUNINE | 未発売 | 未発売 | 特許:— | ||
| CINRYZE | 未発売 | 特許:— | 特許:— | ||
| GLASSIA | 未発売 | 特許: — | 未発売 | ||
| ARALAST | 未発売 | 特許: — | 未発売 | ||
| オンコロジー領域: | |||||
| ADCETRIS(注)4 アドセトリス | 特許: 2028年7月(注)7 RP: 2028年5月(注)2(注)8 | 特許: —(注)4 | 特許: 2027年10月 | ||
| LEUPLIN/ENANTONE リュープリン/ENANTONE | 特許: — | 特許: — | 特許: — | ||
| NINLARO ニンラーロ | 特許: 2031年7月 RP: 2027年3月(注)2 | 特許: 2029年11月 | 特許: 2031年11月 RP: 2026年11月 | ||
| ICLUSIG(注)3 アイクルシグ | 特許: —(注)3 | 特許: 2027年1月 | 特許: —(注)3 | ||
| ALUNBRIG アルンブリグ | 特許: 2032年11月 RP: 2029年1月(注)2 | 特許: 2031年4月 | 特許: 2033年11月 RP: 2028年11月 | ||
| VECTIBIX(注)4 ベクティビックス | 特許: — | 特許: —(注)4 | 特許: —(注)4 | ||
| ZEJULA(注)4 ゼジューラ | 特許: 2033年1月 RP: 2028年9月(注)2 | 特許: —(注)4 | 特許: —(注)4 | ||
| 製品名 | 特許満了日(日本) (注)1(注)2 | 特許満了日(米国) (注)1 | 特許満了日(EU) (注)1 | ||
| FRUZAQLA フリュザクラ | 特許:2034年5月 RP: 2032年9月(注)2 | 特許: 2032年3月 RP:2028年11月 | 特許: 2029年5月 RP: 2034年6月 | ||
| CABOMETYX(注)4 カボメティクス | 特許: 2029年9月 RP: 2028年3月(注)2 | 特許: —(注)4 | 特許: —(注)4 | ||
| ワクチン領域: | |||||
| QDENGA | 未発売 | 未発売 | 特許: — RP: 2032年12月 | ||
| ニューロサイエンス(神経精神疾患)領域: | |||||
| VYVANSE/ELVANSE ビバンセ/ELVANSE | 特許: 2029年6月 RP: 2027年3月(注)2 | 特許: — | 特許:いくつかの国では2028年2月、2028年7月、または2029年9月まで延長 | ||
| TRINTELLIX(注)4 トリンテリックス | 特許: 2027年10月 RP: 2029年9月(注)2 | 特許: 2026年12月 | 特許: —(注)4 | ||
| ADDERALL XR | 未発売 | 特許: — | 未発売 | ||
| INTUNIV インチュニブ | 特許: — | 特許: — | 特許: — | ||
| その他: | |||||
| AZILVA アジルバ | 特許: — | 未発売 | 未発売 | ||
| FOSRENOL(注)3 ホスレノール | 特許: —(注)3 | 特許: — | 特許: — | ||
(注)1 表中の「—」は物質特許の満了または該当なしを表します。
2 日本では、後発品の承認申請は、先発品の再審査期間終了後に行われ、規制当局による審査の後、承認、薬価収載されます。したがって、後発品は再審査期間の満了後から一定の期間を経て市場に参入します。
3 本製品は、第三者への導出契約を締結しているため、全ての地域で当社グループが販売を行っているわけではありません。
4 本製品は、特定の地域限定で第三者からの導入契約を締結しているため、全ての地域で当社グループが販売を行っているわけではありません。詳細については「ライセンスおよび共同研究開発契約」をご参照ください。
5 2026年3月時点で米国において発売された後発品はありません。GATTEX/レベスティブの後発品の正確な参入時期について現時点では定かではありません。
6 当社グループは、ENTYVIOの製剤、投与方法、製造工程といった様々な項目について特許権を保有しており、そのうち一部は2032年に満了する予定です。なお、2032年より前にバイオシミラーの上市を目指す場合には、特許権侵害や関連するすべての特許の有効性を確認する必要があるため、バイオシミラーの正確な参入時期について現時点では定かではありません。
7 次に関する特許期間の延長(PTE): (a) ホジキンリンパ腫(フロントライン)、(b) 再発・難治性のPTCL(ALCLを除く)、および (c) 再発・難治性のホジキンリンパ腫、再発・難治性のPTCLおよびホジキンリンパ腫(フロントライン)の小児用(再発・難治性のホジキンリンパ腫および再発・難治性のALCLのPTEは、2026年4月に満了)。
8 小児ホジキンリンパ腫(フロントライン)のみのRP(再発・難治性のホジキンリンパ腫、再発・難治性のALCL、ホジキンリンパ腫(フロントライン)、PTCLと再発・難治性の小児ホジキンリンパ腫、および再発・難治性の小児PTCLについてのRPは、2024年1月に満了、再発・難治性CTCLのRPは2029年9月に満了)。
9 重症3型フォン・ヴィレブランド病(VWD)の成人に対する定期補充療法に係るRPは、2029年1月に満了します。また、VWDの小児患者さんの出血時のオンデマンド療法および周術期管理、ならびに重症3型VWD以外の成人に対する定期補充療法に係るRPは、2032年9月に満了します。
10 オーストリア、ベルギー、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイスおよび英国にのみ適用されます。
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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