有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100W1XX (EDINETへの外部リンク)
荒川化学工業株式会社 研究開発活動 (2025年3月期)
当社グループにおいて研究開発活動は、当社、ペルノックス㈱、高圧化学工業㈱および山口精研工業㈱がおこなっております。顧客ニーズに対し提案型の製品開発をおこなうとともに、「つなぐを化学するSPECIALITY CHEMICAL
PARTNER」というビジョンに基づき鋭意研究開発活動を展開しております。2016年度に研究開発本部を設置して研究開発資源を一元化し、第5次中期5ヵ年経営実行計画がスタートした2021年度より技術面を軸に再編して機能性コーティング開発部、水系ポリマー開発部、フォレストケミカル開発部、ファイン・エレクトロニクス開発部、コーポレート開発部に開発推進部を加えた体制としております。あらためて当社グループのコア技術・素材を事業ポートフォリオの中核に据え、長期的に経営資源を投入し、顧客ニーズに対して研究開発部門の自律性を高め、多面的に対応できる形へと組み替えました。事業分野は機能性コーティング事業、製紙・環境事業、粘接着・バイオマス事業、ファイン・エレクトロニクス事業であり、その研究テーマは多岐にわたっております。
当連結会計年度の研究開発費は3,058百万円であり、主な研究成果は次のとおりであります。なお、研究開発費には、報告セグメントに配賦しない中長期での成長の源泉となるコーポレート研究開発費用384百万円を含んでおり、ライフサイエンス分野などへの本格参入に向けてのコア技術(ロジンや水系ポリマーなど)の展開、および千葉アルコン製造㈱の安定製造に向けた技術的対応を進めております。
(1) 機能性コーティング事業
当事業では、光学フィルム用途、電子材料用途を中心に光硬化型機能性コーティング剤「ビームセット」「オプスター」や熱硬化型機能性コーティング剤「アラコート」の研究開発に注力しております。また、印刷インキや塗料用途において、環境負荷低減に向けた製品の研究開発をおこなうとともに、剥離紙・フィルム用離型剤としてシリコーン樹脂の開発もおこなっております。また、ポリマー合成技術を活かした機能性材料の新規用途開発にも積極的に取り組んでおります。光硬化型機能性コーティング剤「ビームセット」「オプスター」では、5G関連分野での量産に向け、市場からの高品質要求への対応に注力しております。ディスプレイ用途において、難密着素材への密着性付与、耐傷つき性、光学特性調整技術およびフレキシブル性のレベルアップを達成し、多くの採用が得られております。また、無溶剤光硬化型粘着剤の開発にも取り組んでおり、こちらもディスプレイ用途での実績が拡大しております。水系化による環境に配慮した製品の開発にも継続的に取り組んでおり、水系では塗料用やフィルムコーティング用にて顧客での高評価が得られつつあります。
熱硬化型機能性コーティング剤「アラコート」は、非シリコーン系剥離コーティング剤の開発に取り組み、着実に電子材料用途で実績拡大が進んでおります。また、環境負荷低減のための水系化製品もラインアップしサンプルワークを開始しております。
印刷インキ用樹脂では、各種原料ソースを使いこなす技術開発を進め、顧客での使用形態に応じたワニス製品の開発も進めることで、持続可能な製品供給を目指しています。バイオマス素材としてロジン系樹脂の開発にも取り組んでおり、バイオマス度の向上と機能性を付与したバイオマスインキ用に実績化の目途が得られております。
剥離紙・フィルム用離型剤「シリコリース」は、硬化方式別に熱硬化型および光硬化型、形態別には溶剤系に加えて、環境に配慮した無溶剤系を取り揃えており、さらなる軽剥離化やミスト低減に優れた製品開発を進めております。また、従来からの剥離紙用途に加え、電子部材用途での検討が進み、実績が拡大しております。
当事業に係る研究開発費は952百万円であります。
(2) 製紙・環境事業
当事業では、紙の強度を向上させる紙力増強剤や紙へのにじみ止め性を付与するサイズ剤など、紙の機能を向上させる薬品開発に加え、環境視点に基づいた水系ポリマーの技術と用途開発をおこなっております。顧客ニーズや年々悪化する古紙原料や抄紙条件に適応させ、紙のさらなる高機能化ならびに薬品の低コスト化、紙の生産性向上や合理化に寄与する技術の検討をおこなっており、中国、台湾、ASEAN等の海外市場向け製品の開発も積極的に進めております。また、水系ポリマー技術を活かした地球環境と社会に貢献できる新規の開発テーマにも取り組んでおります。紙力増強剤では、内添紙力増強剤「ポリストロンシリーズ」で高分子量化技術を駆使した、高い紙力増強効果を発現する製品が国内外で販売拡大しております。表面紙力増強剤「ポリマセットシリーズ」では、紙や塗工機の種類に応じた製品設計を行い、顧客での評価が進んでおります。また、地球環境に配慮した新規製品として、バイオマス由来の機能性成分の配合および高濃度化による輸送頻度の低減を通じて、CO2排出量削減に寄与する製品の実績化が進み、更なる拡大に向けて注力しております。
また、環境に配慮した独自の水系ポリマー技術による紙用機能性コーティング剤の製品開発も進めております。ガスバリア性や耐水耐油性などを紙に付与する機能性コーティング剤の開発を進め、脱プラスチックやPFAS代替に向けて、顧客での評価が進んでおります。
当事業に係る研究開発費は572百万円であります。
(3) 粘接着・バイオマス事業
当事業では、多様化する粘着・接着剤用樹脂に対する顧客ニーズに対応した高機能性製品の開発に取り組み、グローバルに展開しております。環境に配慮した製品の開発も推進しており、脱溶剤化やCO2削減に貢献する水系エマルジョン型粘着付与樹脂製品の高機能化や光硬化型粘着剤向け粘着付与樹脂の提案も積極的に進めております。2024年度は、「エマルジョン型タッキファイヤーの開発」について日本接着学会「技術賞」を受賞しました。また、バイオマス素材としての利点を活かしたロジン誘導体事業の拡大と持続性確保に向けてロジン変性技術の深化やロジンの有効活用を目指した開発にも取り組んでおります。ロジンエステル、超淡色ロジンなどのロジン誘導体や水素化石油樹脂は粘着付与樹脂として多く使用されております。一方で、これまで培ってきた素材に関するノウハウや変性技術を活用し、バイオマス複合材用途など最近の技術トレンドや社会のニーズに対応したプラスチック添加剤「PLAFIT™」の市場浸透やゴム用途への提案を進めております。また、ライフサイエンス分野での新規用途開拓を目指し、抗菌・抗バイオフィルム剤としての用途開発にも取り組んでいます。
当事業に係る研究開発費は246百万円であります。
(4) ファイン・エレクトロニクス事業
当事業では、半導体・電子部品およびデジタルデバイス関連用途を中心として、精密部品洗浄剤や洗浄システム、はんだ関連材料、熱可塑性ポリイミド樹脂、機能性ファインケミカル材料、リチウムイオン二次電池向け材料の研究開発をおこなっております。ペルノックス㈱においては、エポキシ、ウレタン、シリコーン系の絶縁封止材料、コーティング材料、接着剤、導電ペースト材料を、主として電子部品、他に自動車関連部品、産業機器部品、各種センサー部品向けに開発、製造、販売しております。また、山口精研工業㈱においてはハードディスク用基板やSAWフィルター用基板、パワー半導体用SiC基板向け等の精密研磨剤の研究開発をおこなっております。精密部品洗浄剤「パインアルファ」では、AI半導体向けに水溶性フラックス洗浄剤を開発し、良好な顧客評価を得ており、環境対応としては、廃水レス洗浄システムを実績化しました。はんだ関連材料であるフラックスでは、新たに当社ロジン技術を活かした半導体パッケージ用途で電極材質に対応した製品を開発、実績化しました。
溶剤可溶型低誘電ポリイミド樹脂「PIAD」では、5Gスマートフォンや5G基地局等に使用される高周波対応フレキシブルプリント回路基板用途、主にAI向け半導体パッケージ基板用途を中心に開発を進め、実績化が進みました。また、低誘電、柔軟性という特徴を持った感光性ポリイミド組成物を開発、エレクトロニクス実装学会主催の実装フェスタ関西2024にて「インパクトポスター賞」を受賞しました。AI等で発展著しいハイパフォーマンスコンピューティングに対応するべく、チップの高集積化に貢献していきます。
リチウムイオン二次電池向け材料では、当社のコア技術である水系ポリマーの技術を活用し、負極用バインダーやセラミックコーティングセパレータ用バインダーを市場に提案しており、徐々に採用が進んでおります。
ファインケミカル材料では、半導体向け材料をはじめ各種機能材料の開発を行っています。また当社グループの高圧化学工業㈱が保有する耐腐食性に優れ、高温・高圧・水素化反応にも対応できる設備での新規受託案件の実績化も着実に進んでおり、今後さらなる伸長が期待される状況です。
半導体モジュール樹脂では、新たにUV硬化樹脂の開発に成功、基板封止保護材として実績化が進展、深部や影部硬化可能といった特徴ある製品開発を進めております。また低熱膨張と流動性を両立した高耐熱性液状注型樹脂の開発を推進、より一層の高性能化を追求し各種電子部品への展開を進めております。
精密研磨剤製品では、データセンター用ハードディスクの高容量化に合わせて、研磨剤の品質向上、生産性向上に注力しております。
当事業に係る研究開発費は901百万円であります。
なお、当連結会計年度末における研究開発スタッフは225名であり、取得済特許権保有件数は、国内501件、海外423件、出願中のものは国内154件、海外211件であります。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01048] S100W1XX)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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