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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100XSL3 (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 株式会社ユーグレナ 研究開発活動 (2025年12月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

(1) 研究開発戦略及び研究課題
当社グループの研究開発活動は、ユーグレナをはじめとする微細藻類及びその他バイオマスを多段階で活用する「バイオマスの5F」戦略の実現・推進に資することを基本的な方向性としております。この戦略は、Food(食品)、Fine Chemical(高機能原料)、Feed(飼料)、Fertilizer(肥料)、Fuel(燃料)の順に、付加価値の高い用途から低い用途、小さい市場から大きい市場へと段階的かつ多面的に展開する事業ポートフォリオを構築するものです。研究開発活動においても、「バイオマスの5F」戦略と連動して、①高付加価値の機能性素材としての拡販に向けた機能性研究や科学的エビデンスの強化、②新たな需要の創出に資する新規素材や用途の開発、ならびに③Feed・Fertilizer・Fuelといったコモディティ領域での事業展開を見据えた低コスト化及びスケールアップに向けた技術開発、等を主要な研究課題として位置付け、事業戦略と一体となった研究テーマに重点的に取り組んでおります。
具体的には、(1)ヘルスケア事業との関連では、既存の収益基盤であるFood領域における健康食品やサプリメント向け素材としての微細藻類粉末に関して、また、Fine Chemical領域における機能性食品・化粧品向け高機能素材としての微細藻類の含有物(パラミロン等)や抽出物(ユーグレナエキス等)に関して、機能性研究、素材開発及び生産技術開発を強化しております。(2)アグリ事業との関連では、短期的にはFeed領域・Fertilizer領域における機能性飼料・肥料原料としての研究開発を、中長期的には微細藻類を含む未利用資源の活用や藻油抽出後の脱脂藻体の活用など資源循環型農業の実現に資する技術開発を推進しております。(3)バイオ燃料事業との関連では、Fuel領域におけるバイオ燃料原料としての藻油の低コストかつ大規模な生産を目指して、屋内タンクによる従属栄養培養のスケールアップと生産性向上の技術開発と、低GHG負荷の糖源開発等に取り組んでおります。
これらを通じて、「人と地球を健康にする」のパーパスのもと、技術基盤の強化と事業化の加速を両立し、中長期的な事業成長と持続可能な社会への貢献を目指してまいります。

(2) 研究開発体制
当社グループは、外部との共同研究も活用しながら、ユーグレナ等の藻類及び微生物全般に関する機能性解明や生産技術の向上に向けた研究開発活動、並びに新規素材や新技術の開発等を推進する体制を構築しております。

① グループ内における研究体制
当社グループの研究開発体制は、以下の3つの研究所から構成されております。研究と事業との連携を強化するため、2024年より各研究所はCo-CEO直下で所管してきましたが、2026年3月より研究開発専任の執行役員を任命し、研究開発の体制強化と加速を図っております。また、株式会社サティス製薬などのグループ会社においても、各事業領域に関連する研究開発を推進しております。

・中央研究所(神奈川県横浜市鶴見区)
微細藻類ユーグレナをはじめとする各種微生物素材の基礎及び応用研究、ヘルスケア・食品・化粧品向け素材開発と機能性研究、バイオマスの高付加価値利用技術、未利用資源活用に向けた技術開発等を行っております。

・生産技術研究所(沖縄県石垣市)
石垣島ユーグレナをはじめとした当社の独自原料の安定生産及び培養コスト削減、特定成分の高含有化、品質管理技術の高度化のほか、バイオ燃料を含む各用途に適した培養プロセスの開発を進めております。

・熱帯バイオマス技術研究所(マレーシア国クアラルンプール市)
現地大学・企業との連携のもと、当社初の海外研究所としてR&Dの海外戦略を立案・遂行するとともに、藻類等の大規模生産技術の確立や、安価な糖源確保に向けた糖源開発など、将来の事業展開を見据えた研究開発を推進しております。

当社グループは、研究開発テーマについて、各研究所での計画立案を起点に、研究所長及び主管部門での合意、経営会議等でのレビューを経て承認するプロセスを整備し、進捗についても定期的に報告・管理する体制としております。研究開発内容に重大な変更がある場合や中止・凍結等についても所定の承認プロセスを設け、研究と事業の接続及び投資の規律を担保しております。
② 外部との共同研究体制
当社グループ内で実施している研究開発・技術開発に加えて、大学をはじめとする公的研究機関や、企業との連携を進めることで、オープンイノベーションを通じた研究成果の社会実装の加速を目指しております。
a.公的研究機関との共同研究体制
大学をはじめとする公的研究機関が得意とする研究領域において、公的研究機関との間で研究委託又は共同研究を実施し、独自の知見を活かした連携を推進することで、単独では実現できない研究開発・技術開発を実現しております。
b.企業との共同研究体制
研究開発・技術開発成果の事業化を加速化するために、バイオマスの生産や生産された素材・原料の活用方法を独自で研究開発するだけではなく、実際に商品やサービスを供給するマーケットに近い企業との間で共同研究を実施しております。

(3) 研究主要課題及び研究成果
研究主要課題及び研究成果は次のとおりです。なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は675百万円となっております。

① ヘルスケア領域における技術開発
当社グループは、食品や化粧品等のヘルスケア用途を中心に、ユーグレナをはじめとする藻類及び微生物全般を活用した新規素材の開発と、既存・新規素材の機能性解明を進めることで、顧客に対する新たな価値提供を目指しております。当連結会計年度は、(i)食品用原料「精製パラミロン」の開発・規格化及び「パラミロン1000」の上市、(ii)腸内環境・免疫及びスキンケア領域における機能性研究の進展を主な成果としております。

(i)食品用原料「精製パラミロン」の開発・規格化及び「パラミロン1000」の上市
当社は2017年に、ユーグレナ由来の多糖であるパラミロンを55%以上含有する「ユーグレナグラシリスEX55」を原料規格化し、ユーグレナ由来の多様な栄養素をバランスよく含む素材として健康食品市場で展開してまいりました。そして、当連結会計年度は、これまでに培った研究・製造技術や知見を活かして、パラミロンを80%以上の高濃度で抽出・精製した食品用原料「精製パラミロン」を開発し、国産最高濃度での規格化に成功しました。さらに、当連結会計年度において、パラミロンを従来品比で約1.7倍にあたる1,000mg配合した新商品「パラミロン1000」を開発し、発売しました。「パラミロン1000」は、「精製パラミロン」の開発により実現した独自の処方設計により、高濃度パラミロンを配合しながらも価格を従来品と同一水準に据え置くことを可能としたものであり、当社原料の研究開発成果を最終製品において具現化した事例です。
パラミロンはユーグレナが生成する特徴的な多糖であり、当社はこれまでに睡眠の質の改善、作業時の一時的なストレス緩和、起床時の疲労感軽減を訴求する機能性表示食品を上市しております。さらに、これまでの当社の研究では、パラミロンが免疫バランスの維持やインフルエンザなどの感染症状の緩和、風邪の発症抑制に関与する可能性があることも報告しています。パラミロンは高い安定性を持ち、ユーグレナ粉末と比較して味や香りへの影響が少ないことから、今回開発した「精製パラミロン」により機能性訴求や処方設計の自由度が大きく向上し、様々な機能性を訴求できる機能性表示食品をはじめとしたヘルスケア用途での応用拡大が期待されます。
また、素材ラインナップの拡充により、多様な栄養素を包括的に摂取したいというニーズには従来のユーグレナ粉末(石垣島ユーグレナ)や「ユーグレナグラシリスEX55」を、特定の機能性を高濃度で訴求したいというニーズには「精製パラミロン」を提供することで、お客様の目的に応じた原料の選択肢が大きく広がりました。各素材はいずれもパラミロンを含有しつつ、それぞれ異なる特長と用途を持っており、ヘルスケア市場における顧客企業の多様なニーズへの対応力向上と新たな需要創出に寄与しています。

(ii) 腸内環境・免疫及びスキンケア領域における機能性研究の進展
当社は、慶應義塾大学及び北里大学との共同研究において、絶食時にユーグレナ由来パラミロンを摂取することで、腸内環境及び免疫機能を短期間で改善し得る可能性を確認しました。
本研究では、絶食により腸内細菌叢のバランスが変化し、さらに絶食中のパラミロン摂取により、腸管免疫の成熟と安定化に重要な役割を果たしていることが知られるBacteroidesや、コレステロール低下に寄与することが知られている[Eubacterium]coprostanoligenesの相対占有率が有意に増加するとともに、糞便中の免疫グロブリンA(IgA)産生が向上することが、マウスを用いた実験で示されました。
この研究成果は学術雑誌BMC Microbiologyにも掲載されており、ユーグレナ及びパラミロンの新たな健康機能性の解明と、今後のヘルスケア分野での応用可能性をさらに広げるものと期待されます。

また、当社は、「バイオマスの5F」戦略において高付加価値なFine Chemical(高機能原料)と位置付けるパラミロンについて、スキンケア分野での機能解明も進めています。当社が独自に開発した医薬部外品・化粧品原料「パラミロン原末(ユーグレナ多糖体)」に関しては、新たに、花粉やPM2.5といった微粒子の肌への付着を抑制し、洗浄時の除去を助ける可能性を示した研究結果を発表しました。本研究では、パラミロン原末またはパラミロン原末を配合したゲルを塗布した皮膚に、花粉及びPM2.5を模した微粒子モデルを散布し、その付着量及び洗浄後の残存量を評価した結果、特にパラミロンを一定濃度以上配合した区分で、肌表面への微粒子付着量の低減及び洗浄後の残存量の低減傾向が確認されました。これは、パラミロン特有の結晶性粒子構造及び水・油に対する不溶性により、肌表面で物理的なバリアとして機能し、外部微粒子から肌を保護し得る可能性を示すものです。
これらの成果により、パラミロンは、腸内環境及び免疫機能への作用を通じたインナーケアに加え、微粒子付着抑制などアウターケアにおいても有用性が示されており、当社のFine Chemical領域の中核素材として、食品・サプリメントから化粧品まで、ヘルスケア分野における応用可能性が一層広がるものと考えています。
さらに、2026年2月に、グループ会社の株式会社サティス製薬と共同で、ユーグレナ、オーランチオキトリウム、クロレラの3種の微細藻類から、ヒト型を含む3種の超長鎖セラミドを世界で初めて発見し、特許を出願しました。これまで化粧品分野では、比較的短鎖な合成セラミド(C36)が主流でしたが、これはヒトの皮膚が本来もつ超長鎖セラミドとは構造的に異なるという課題がありました。また、植物や真菌由来の天然セラミドも活用されてきましたが、含まれる種類が限定的であり、ヒト皮膚セラミドの多様性を、天然素材のみで補うことは、これまで困難とされてきました。今回発見された微細藻類由来セラミドは、C44を主体とする超長鎖構造を有しており、ヒト皮膚セラミドと高い構造的親和性を示しています。ヒト皮膚セラミドの多様性を天然由来成分で補うアプローチにより、角層ラメラ構造の再構築、脂質秩序性向上、水分蒸散量低下、表皮細胞の分化促進、炎症抑制など、多層的な皮膚バリア改善効果が期待されます。
今後も、これまでに解明された知見を活かすとともに、新規の機能性を解明することで、高付加価値の新製品開発や現在は製品化されていない領域における利用技術の開発を推進してまいります。

② アグリ領域における機能性研究・素材開発
当社グループは、ユーグレナ等の微細藻類を飼料・肥料の原料や付加価値を向上させる素材として活用する研究開発に取り組んでいます。
当連結会計年度は、ユーグレナがもつニワトリに対する飼料価値に着目し、宮崎大学及びあすかアニマルヘルス株式会社との共同研究において、パラミロン配合飼料の給与によりニワトリの獲得免疫能が向上する可能性、ならびにユーグレナ配合飼料の給与によりニワトリの成長が促進される可能性を確認しました。具体的には、ニワトリへのパラミロン配合飼料の給与によりワクチン接種後の抗体価が上昇する傾向が認められたほか、ユーグレナ配合飼料の給与により体重増加や飼料要求率の改善といった成果が得られており、家禽分野における生産性向上及び健康維持に資する素材としてユーグレナ及びパラミロンのポテンシャルが示されています。
これらの研究成果は、これまでヘルスケア領域で当社が培ってきたユーグレナ及びパラミロンの免疫・代謝に関する知見が動物用飼料分野においても活用可能であることを示すものであり、当社グループが推進する「バイオマスの5F」戦略におけるFeed(飼料)領域の事業化・ブランド化に直結しています。
また、Fertilizer(肥料)分野においても、当社はこれまでに、微細藻類ユーグレナを肥料として利用した際の収穫量増加や収穫後の鮮度低下抑制の可能性などを報告しており、ユーグレナの添加が土壌及び作物に有用な影響を与え得ることを確認してきました。さらに、ユーグレナ粉末を土壌に添加する試験において、土壌中の善玉菌である放線菌数及びA/F値(※)が増加する結果が得られたことから、土壌微生物叢の改善を通じた収量・品質向上効果が期待されています。これらの研究成果をもとに、ユーグレナを用いた有機液肥や培養土の事業化に取り組みました。
こうしたFeed(飼料)及びFertilizer(肥料)領域での研究成果を基盤として、当連結会計年度はアグリ領域初の自社ブランド『いきものたちにユーグレナ』から、ユーグレナを活用した100%有機肥料「ユーグレナ入りペレット肥料」3種及び「ユーグレナ入り有機培養土」1種の計4製品を発売しました。これらの製品は、厳選した有機素材にユーグレナを配合することで、土壌微生物の基質となる成分を供給し、放線菌をはじめとする土壌微生物叢を豊かにすることで、健全な土づくりと植物の健やかな成長を支援するよう設計されたものです。研究段階で得られたユーグレナの肥料・培養土としての有用性に関する知見が、製品設計及びブランド展開に直接結び付いており、当社の研究開発が、アグリ領域におけるソリューションとして結実した事例となっています。
今後も当社グループは、飼料・肥料分野における機能性解明及び高付加価値製品の開発と、環境負荷低減に貢献する循環型農業モデルの実現を目指してまいります。
※A/F値:放線菌と糸状菌の割合(放線菌/糸状菌)を数値化したもの。土壌分析の指標として広く使用される。
一般的にA/F値が高いほど放線菌が優勢で病害が少なく、低いと糸状菌が優勢で連作障害のリスクが高い傾向を示す。

③ エネルギー領域における技術開発
当社グループは、脱炭素社会の実現に向け、微細藻類ユーグレナ等を活用した次世代バイオ燃料の研究開発を重点領域として推進しています。特に、持続可能なバイオジェット燃料(SAF)及びバイオディーゼル燃料(HVO)の製造に用いる原料としての藻油を、商業規模で生産するためのスケールアップと低コスト化に向けた培養技術の開発と高度化を国内外で推進しています。
当連結会計年度には、当社が開発を進める従属栄養培養プロセスにおいて、商業生産用タンクでユーグレナの高密度培養のスケールアップ実証試験を行い、「当社の独立栄養培養比で約2,000倍相当となる土地面積あたりの生産量」及び「当社のヘルスケア向けユーグレナの光従属栄養培養比で最大約10倍の培養密度」を達成したことを発表しました。これは、藻油の供給量拡大と生産コスト削減に寄与する技術として、SAF・HVO製造商業プラントへの将来的な藻油供給実現に向けた重要な成果です。
また、商業規模での従属栄養培養には、安価で低GHG負荷の非可食バイオマス糖源を大量に確保することが不可欠であり、既存の食品系糖類ではコスト・食料競合・GHG排出の観点から限界があります。そのため、新たな炭素源の研究開発が喫緊の課題となっています。この課題解決に向けて当社は、経済産業省「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」に採択されたプロジェクトとして、マレーシアに豊富に存在する未利用バイオマス資源であるパーム農業残渣(パーム古木及びパーム茎葉の搾汁液、及び木質繊維)を微細藻類培養の糖源として活用する可能性調査事業を開始しました。本事業では、パーム残渣の賦存量調査、搾汁液及び木質繊維の糖化プロセスの検討、糖組成が微細藻類の増殖・脂質生産に与える影響評価、ならびに糖化プロセス全体のLCA解析など、糖源開発に必要な基礎的かつ応用的研究を一貫して実施しています。これにより、商業規模での従属栄養培養に不可欠な低コスト・低環境負荷型の炭素源確立を目指しています。この取り組みは、Fuel領域を最終到達点とする「バイオマスの5F」戦略において、持続可能で大規模な燃料生産を可能にするための基盤を構築するものであり、未利用資源の有効利用と環境負荷低減を両立させる技術開発となります。
当社は今後も、微細藻類を活用したバイオ燃料生産の高度化とコスト低減に向けた研究開発を継続し、持続可能なエネルギーシステムの実現に貢献してまいります。

④ 全事業に共通する技術開発・基盤研究及び研究成果の展開
当社グループは、全社事業に共通する基盤技術の強化を目的として、藻類及び微生物を対象とした生産効率向上に資する継続的な技術開発に加えて、ゲノム編集を含む育種技術の精緻化と、それらを活用した新素材創出に向けた研究を推進しています。これらの基盤研究により、従来は実現が困難であった特性を持つ素材の創出や、新たな製品カテゴリーの形成に向けた可能性を拡大し、当社の多様な事業領域に横断的に貢献する技術的土台の強化を図っています。さらに、技術的な深化に留まらず、研究成果が社会に与えるインパクトの検証や国際的な連携強化を通じて、技術基盤の多角的な活用と事業化を加速させております。
当連結会計年度は、 (i)ゲノム編集を含む育種技術の精緻化、(ii)「GENKIプログラム」のインパクト検証、(iii)研究成果の社会実装と国際連携の強化を重点として推進しました。

(i)ゲノム編集を含む育種技術の精緻化
技術開発面では、ユーグレナのゲノム編集技術の高度化に直結する重要な成果として、ユーグレナのゲノム構造解明に成功しました。真核生物は一般に、遺伝子中にタンパク質合成に直接関与しないイントロンと呼ばれる非翻訳領域を持ちますが、ユーグレナには他の真核生物とは異なる特徴を持つ“非典型的イントロン”が存在することが知られていました。この特殊性は、対象遺伝子の構造理解やゲノム編集ツールの設計において一定の障壁となっており、ユーグレナの品種改良を効率的に進めるために理解・克服すべき課題でした。当社と理化学研究所との共同研究では、ユーグレナ全ゲノムの解読を通じて、この非典型的イントロンがゲノム全体でどの程度存在するのかを初めて明らかにしました。さらに、人工的に設計したイントロンをユーグレナ細胞内で動作させることによって、非典型イントロンの機能原理に関する新たな知見の獲得にも至りました。これらの成果は学術的価値が高いだけでなく、ユーグレナの任意の遺伝子に対してゲノム編集技術を適用する際の基盤情報として極めて重要であり、科学雑誌『Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)』に掲載されました。
また、ゲノム編集技術の選択肢を拡大し、ユーグレナの品種改良をより柔軟かつ産業利用しやすいものとするための取り組みも進展しました。当社は、過去の研究開発を通じて、主にCRISPR-Cas9及びCRISPR-Cas12aを利用したユーグレナのゲノム編集に成功してきました。これらは酵素試薬として広く販売されており、多様な研究に用いられています。しかし、これらのツールを用いて作製されたゲノム編集生物を産業利用する場合、海外企業によるライセンス管理の複雑さが課題となる可能性がありました。当社は国内企業であるC4U社との共同研究により、同社が単独でライセンス供与可能なCRISPR-Cas3をユーグレナに適用することに成功し、ユーグレナに利用可能なゲノム編集ツールの多様化を実現しました。これにより、目的に応じたライセンス選択が可能となり、品種改良の柔軟性向上とコスト低減が期待されます。

さらに研究過程では、パラミロン合成に関わる遺伝子や、難消化性のワックスエステル合成に関わる遺伝子を改変した株の作出にも成功しました。従来、ユーグレナのゲノム編集は主にバイオ燃料原料など化成品用途を目的として進めてきましたが、これらの株を活用することで、高タンパク食品素材の開発や、ワックスエステル生成を抑制した新たな製造プロセスの検討が可能となり、食品用途を含む幅広い事業展開に資する技術基盤が整いつつあります。ゲノム編集の過程で導入されるRNAが細胞内で速やかに分解され、外来の核酸が残存しないことも確認しており、遺伝子組換え体には該当せず、古典的育種による品種改良株と区別できない性質を持つ株として、食品素材開発においても革新的な技術として安全に活用できる可能性が広がっています。

(ii) 「GENKIプログラム」のインパクト検証
当連結会計年度においては、バングラデシュの子どもたちに豊富な栄養素を持つユーグレナクッキーを届ける「GENKIプログラム」において、研究成果の社会実装とそのインパクト検証の一環として、11年間の取り組みを総括したインパクト評価レポートを初めて公表しました。本レポートの作成にあたっては、現地の声や生活の変化を丁寧に聞き取る定性的な調査に加え、GENKIプログラムに参加する子ども200人と参加していない子ども200人を対象として、身長・体重・握力の測定、尿検査、症状アンケートなどによる定量的・定性的な測定を実施しました。尿検査には、当社と株式会社ユーリアとの共同研究により開発された栄養コンディションチェッカーを用いました。
本評価では、クッキー摂取群において学校の欠席率が非摂取群と比較して大幅に低下し、出席率向上への寄与が明確となりました。また、めまい・頭痛・動悸などの自覚症状発生率の低下、便秘傾向の改善、さらには尿検査における亜鉛充足度指標の優位性など、健康状態の改善が複数の項目で確認されています。加えて、集中力や生活活力の向上が報告され、教師・保護者からも行動面の変化が多く寄せられました。
これらの結果から、ユーグレナクッキーの摂取及び食育による食の多様性の向上が、栄養状態や身体機能、生活活力を含む総合的な健康指標の改善に寄与している可能性が示唆されました。加えて、学校での配布による家庭の食費負担軽減や、衛生教育を通じた地域の健康意識向上など、副次的効果も見られています。
今後は、本評価で得られた知見を基盤に、現地の学校給食制度への展開を進め、毎日100万食の提供体制構築を目指します。また、今回のインパクト評価でデータ収集や解析が不十分な点については追跡調査を実施し、定期的な評価を継続していくことで、本プログラムを発展させ、より多くの子どもたちへ笑顔と成長機会を届ける取り組みを進めてまいります。

(iii)国際連携の強化
当社グループは、2023年に設立したマレーシア研究拠点を中心に、熱帯圏の地理的特性を活かした微細藻類研究を推進しています。同拠点の設立以降、当社は「Global Algae Summit(国際藻類学会)」を発起・開催しており、当連結会計年度に開催した同学会には、東南アジアを中心に10か国から223名の研究者が参加しました。本学会では、藻類業界の主要関心領域であるバイオ燃料に加え、医薬品、化粧品、食品、飼料、肥料など多様な用途に関する研究発表が行われ、培養・回収方法など産業応用に直結する技術も幅広く議論されました。当社にとっても新たな研究シーズの発見や国際的な研究交流の深化につながる重要な機会となっており、今後も東南アジアの藻類研究を牽引し、地域特性を活かした微細藻類の事業活用に向けた研究開発を継続してまいります。

(4) 研究開発成果の特許化
当社グループは、研究開発活動における成果について、積極的に特許化に取り組んでおります。
主要なグループ会社において保有している特許は、当連結会計年度末現在、国内68件、海外11件であり、また現在出願中の特許は国内37件、海外8件(特許協力条約による出願は含まない)であります。

事業等のリスク株式の総数等


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