有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100YEEB (EDINETへの外部リンク)
富士電機株式会社 研究開発活動 (2026年3月期)
富士電機は、「2026年度中期経営計画」の研究開発戦略に基づき、現行製品の競争力強化や次世代機の開発、成長戦略をけん引するGX、DXやグローバル商材の新製品開発、及び2030年以降の市場拡大を見据えた、水素関連などの新技術獲得に取り組んでいます。これらに向けて、パートナー企業やアカデミアとの協業・共創も進めています。
当連結会計年度における富士電機の研究開発費は38,907百万円であり、各部門の研究成果及び研究開発費は次のとおりです。
また、当連結会計年度において富士電機が保有する国内外の産業財産権の総数は13,517件です。
■エネルギー部門
●発電プラント分野
地熱発電プラント向けに、地熱蒸気と熱水の気液混合流体に対応する、業界初の二相流量リアルタイム計測システムを開発し発売しました。本システムは、蒸気生産井からの配管に外付けしたセンサを用いて流速と気液比を計測し、二相流量を算出します。これにより蒸気生産井の生産量減衰兆候などを把握し、早期対策やメンテナンス計画の最適化など、地熱発電プラントの安定稼働に貢献します。
将来の水素社会の到来に備え、自動車用固体高分子形燃料電池モジュールを適用した工場・施設向けの純水素燃料電池システムを開発しています。2025年度は、東亞合成株式会社と共同で、ソーダ電解プラントの副生水素を用いた実証試験を開始しました。また2026年度は、水素キャリアとして輸送や貯蔵が容易なメタノールを改質した水素を用いた実証試験を三菱ガス化学株式会社と共同で実施する予定です。これらの実証を通じて、燃料電池システムの経済性、安全性などの課題を検証します。
●エネルギーマネジメント分野
再生可能エネルギーの普及にともない、蓄電池システムの導入が進む工場や商業施設などの需要家や発電事業者向けに、中容量蓄電池用PCS「PVI1400CJ-3/650B」(650kVA)を開発しました。本製品は、低騒音化、寒冷地仕様、自立運転機能など、顧客の多様なニーズに対応しています。
自家消費を中心とした中小規模太陽光発電向けに、ストリング型太陽光PCS「PIS-112/420-J-Z11」(440V/112.5kW)を開発し発売しました。市場要求の高い容量帯に対応するために、従来品(42kW)に比べて容量を約3倍に拡大しました。これにより、据付け工事や接続配線などの導入コストを低減できます。また、最長20年間の延長保証や沿岸地域への設置を可能とする重耐塩仕様など、さまざまな顧客のニーズに対応しました。
国内外の電力インフラ向けに、300MVA級(国内275kV、海外230kV)の大容量変圧器を開発しました。巻線構造の最適化による損失低減や、放熱器の改良による冷却性能向上により体積を従来品に比べて約30%縮小し、世界最小クラスのサイズを実現しました。本製品は、2026年度中に発売する予定です。
●施設・電源システム分野
省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)に基づく第三次判断基準に適合したモールド変圧器「2026トップランナーモルトラ」(低圧100~600V、高圧3kV、6kV/単相10~500kVA、三相20~2,000kVA)を開発し発売しました。低損失の鉄心材料適用により、エネルギー消費効率を従来品に比べて全容量で15%改善しました。
当連結会計年度における当部門の研究開発費は8,580百万円です。
■インダストリー部門
●FAコンポーネント分野
小型・省スペース化のニーズに対応するため、工作機械や小型搬送機、ファン・ポンプ向けの汎用インバータ「FRENIC-Mini(C3)」を刷新し、発売しました。当社の高効率なパワー半導体の搭載や回路設計の最適化により、従来製品と比較して約15%の薄型化(横幅寸法の短縮)を実現しました。これにより、インバータを格納する制御盤のスペースの有効活用が可能となります。
需要が拡大している海外のエレベータ市場向けに、インバータ「FRENIC-Lift(LM3U)」を開発し発売しました。既存の機械室や乗り場脇などの狭小スペースへの設置に対応するため、インバータにコントローラやUPS等の機器を一体化し、薄型化を実現しました(従来比56%)。また、停電時のショックレス停止機能を業界で初めて内蔵し、停電が多い地域でも安全な運転を実現します。
製造ライン向けに、設備データ監視機能を搭載したプログラマブル表示器「製造ライン監視パッケージ Powered by MONITOUCH X1 Series」を開発し発売しました。本製品は、簡単な初期設定を行うだけで、最大30台の生産設備のエネルギー使用量、製品品質、生産進捗、稼働状態などをリアルタイムで見える化できます。これにより、従来必要であった顧客設備に応じたシステム構築が不要となり、短期間かつ安価に導入できます。
生産設備の稼働データを収集するエッジコントローラ「FiTSAΣB5」にEMS(エネルギーマネジメントシステム)のアプリケーションを標準搭載した「FiTSAΣB5-EMS」を開発し発売しました。これまでのデータ収集機能に加え、電力量計を接続することでエリアや工程ごとのエネルギー使用量をパソコンのWebブラウザ上で分析することができます。これにより、従来のクラウドやサーバーを利用したEMSが不要となり、製造現場のエネルギー監視を容易に実現できます。
工場やビルなどの施設向けの電力品質モニタ「FY10」とデュアル電力モニタ「FY20」を開発し発売しました。「FY10」は、電力計測や漏洩電流計測、高調波電流計測、瞬低検知の4機能を搭載する国内唯一のオールインワンタイプです。「FY20」は、単相3線式及び三相3線式で2回路、単相2線式では4回路の電力計測が可能で、薄型コンパクトな筐体により盤内設置に最適です。本製品により電力の見える化に貢献します。
インド政府が推進する電力利用の適正化に対応するため、同国市場向けスマートメータを開発し発売しました。本製品は、インドのスマートメータ規格(IS16444)に準拠し、標準規格局認証を取得しました。さらに、インドの電力事業者が個別に定めている独自の盗電検出試験などの厳しい基準も満足しました。
●オートメーション分野
ファン・ポンプ・コンプレッサなど向けの高圧インバータ「FRENIC4600FM7」(10kV/1,350kVA、6.6kV/890kVA)を開発しました。本製品は当社製の小型IGBTモジュールを採用するとともに、部品配置を抜本的に見直したことで、業界最小レベルの設置面積を実現しました。また、長寿命部品の採用により高い信頼性を確保し、メンテナンス頻度を低減しました。
中国では脱炭素化に向けて、石油・ガスプラントのタービン駆動コンプレッサのモータ駆動化(電動化)やモータ駆動コンプレッサを使用した圧縮空気によるエネルギー貯蔵設備の導入が進んでいます。そこで、これらモータ駆動向けの大容量水冷高圧インバータ「FRENIC-MV」(43MVA)を開発し発売しました。空冷と比べて高効率な水冷方式を採用したことにより、同容量の他社品に比べて幅寸法を約15%削減しました。なお、本製品は当社と上海電気集団股份有限公司との合弁会社である上海電気富士電機電気技術社との共同開発によるものです。
製造業の様々な外観検査工程に適用可能なAI外観検査装置を開発し発売しました。異常検知AIとルールベース画像処理を当社独自の手法で組み合わせることにより、熟練検査員と同等の精度と検査時間を実現しました。これにより外観検査工程の省力化・省人化に貢献します。本製品は、一般社団法人日本電機工業会の2025年度(第74回)電機工業技術功績者表彰において、ものづくり部門優秀賞を受賞しました。
電気自動車のモータ駆動用インバータや電池などの試験に用いる直流電源装置(300kW)を開発し発売しました。本製品は、幅広い出力電圧範囲(100~1,000V)での評価試験に適用可能で、近年の車載モータや車載電池における高電圧化(800V~)に対応できます。また、供試体の回生電力を電源系統で再利用できる双方向仕様としており、試験実施時の消費電力量やCO2排出量の削減にも貢献します。
●社会ソリューション分野
医療施設で利用される診療用放射性同位元素(RI:Radio Isotope)の放射能を定量測定する「RIキャリブレータ」を開発し発売しました。新たな診断や治療に用いられる核種の増加に対応し、プリセット登録できる核種を従来の9種類から13種類へと拡充しました。これにより、使用頻度の高い主要な核種を簡便に測定できます。また、タブレット端末の導入により操作性を向上しました。本製品により、放射線を利用する医療現場での作業を効率化します。
脱炭素化に向けて普及が期待される小型の電気推進船(約400総トン級など)に搭載する、推進用の永久磁石同期モータ(600V/400~2,600kW)とドライブ装置(690V/2,300kW)を開発しています。モータは、水冷方式を採用するとともに、磁石配置を最適化したことにより、業界最小レベルの小型化を実現しました。ドライブ装置も水冷化したことで大幅に小型化しました。
●器具分野
工場・設備の使用電力の見える化と配線作業の効率向上を両立する「電力計測ユニット」を開発し、発売しました。本製品は、富士電機機器制御株式会社製配線用遮断器(G-TWINシリーズ)の下部に容易に取り付けできるとともに、無線通信の採用により配線レスでデータ収集ができるため、従来品(有線)で必要であった配線及び配線ダクトなどの部材を90%削減でき、配線作業の時間を大幅に削減します。
●ITソリューション分野
オフィス業務の業務効率向上に貢献するWebデータベース「軽技WebDB V1.2」を開発し発売しました。プログラミング不要の簡単操作で、クラウドやサーバーにあるデータファイルからデータベースを自動で作成し、Webシステムを構築できます。さらに本製品は、当社のBI(Business Intelligence)ツール「軽技Web」と合わせて使うことにより、データの収集・管理から分析・見える化までを一気通貫で実現し、顧客の業務負荷を低減します。
また、管理業務の効率化を支援するBIツール「軽技Web」に、製造業の現場に特化した機能を追加した「軽技Web for Factory」を開発し発売しました。稼働監視や工程管理、多変量解析による診断など、製造現場ですぐに使える機能を搭載し、誰でも簡単・迅速に分析や診断ができます。
当連結会計年度における当部門の研究開発費は12,193百万円です。
■半導体部門
●産業分野
再エネ発電システム向けに、絶縁耐圧を向上した2,300V/1,200Aの大容量モジュール(HPnC:High Power next Coreパッケージ)を開発し量産を開始しました。低損失な第7世代IGBT/FWD「Xシリーズ」チップを搭載し、パッケージは従来と同じ外形寸法を維持したまま、新たな絶縁基板と封止材を採用することで絶縁耐圧を従来の4kVから6kVに向上しました。これにより、従来の1,000Vから1,500Vに高電圧化している再エネ発電システムに対応します。
UPSやPCS向けに、低損失な第7世代IGBT「XSシリーズ」チップを用いたディスクリートIGBT(1,200V/140A、100A)の系列拡大品を開発しています。大型チップを搭載可能なTO-247Plusパッケージを採用し、電流定格を向上させ装置の大容量化に貢献します。
エアコンや低圧インバータ、サーボアンプ向けに、第3世代小容量IGBT-IPMのP641シリーズ(650V/20、30、40A)を開発し量産を開始しました。内部構造の最適化と新しい絶縁構造の採用により体積を従来品より約44%削減しました。これにより、電力変換装置の更なる小型化に貢献します。
電源システム向けに、第4世代臨界モードインターリーブPFC-ICを開発し発売しました。力率向上とTHD(全高調波歪率)の改善により、国際標準規格IEC61000-3-2で定められた高調波電流規制ClassCに準拠しました。また、負荷状態に応じてICの制御方法を自動的に切り替える機能を新たに搭載しました。軽負荷時の効率向上、待機電力の低減に貢献します。
最新世代の第8世代IGBTチップを搭載したパワーモジュールの開発を進めており、2026年度から量産を開始する予定です。第7世代IGBTチップを搭載した同一定格のモジュールと比較して15%以上損失を低減し、業界トップレベルの低損失を実現しました。これにより、ドライブ装置などパワエレ機器の電力密度を10%以上向上することが可能となります。
●電装分野
軽・小型車用インバータ(50~100kW)向けに、第7世代RC-IGBTチップを搭載した750V/600Aの直接水冷型パワーモジュール(M682パッケージ)の量産を開始しました。さらに、さまざまな出力の軽自動車に対応するため、系列製品(750V/300A、450A)の開発や、中型車用インバータ(100~125kW)向けに、同じM682パッケージで大電流品の開発を進めています。
2027年以降の電動車モデル向けに、第3世代トレンチゲートSiC-MOSFETチップを搭載した新型モジュールの開発を進めています。このモジュールは、発生損失の大幅な低減に加えて、パッケージの薄型化と低インダクタンス化により、RC-IGBTモジュール(M682)と比較して電力密度を約2倍に向上します。さらに、2030年度以降の製品化を想定し、更なる損失低減を目指した第4世代SiC-MOSFETチップやモジュールの開発を進めています。これらの製品を通じて、車載インバータの高効率化と小型・軽量化に貢献します。
当連結会計年度における当部門の研究開発費は14,168百万円です。
■食品流通部門
●自販機分野
食品流通部門では、経済成長に伴い飲料需要が拡大しているインド市場向けに、新型の飲料用自販機を開発しました。キャッシュレス決済対応や大型商品の搬出機能を備えるとともに、自販機としては初となるインド標準規格局(BIS)認証を取得しました。
●店舗流通分野
コンビニエンスストア(コンビニ)向けに、店舗のエネルギー利用を最適化する新型「エコマックスコントローラ」を開発し発売しました。省エネと快適性を指標とする新たな空調制御やショーケースの冷やし過ぎを防止する制御などの適用により、実店舗において空調・冷凍冷蔵設備の年間消費電力量を約10%削減(当社従来比)できることを確認しました。これにより、コンビニの省エネに貢献します。
フロン排出抑制法に基づく2029年以降の規制強化に先駆けて、地球温暖化係数が極めて低い冷媒(GWP1未満)を適用した冷凍機別置型ショーケースを開発しました。新冷媒向けに最適化した熱交換器と冷媒流量制御により、従来冷媒を使用したショーケースと比較して、消費電力量を大幅に削減しました。
小売業や飲食店向けに、新型自動釣銭機「ECS-V8」を開発し発売しました。入出金部と金銭の収納部を上下に配置する縦型構造を採用したことにより、業界最小の筐体サイズを実現し、従来品と比較して設置面積を約40%削減しました。また、紙幣と硬貨の入出金部を集約し、利用者の利便性を向上しました。本製品により、セルフレジの普及拡大を後押しし、店舗の業務効率化に貢献します。
当連結会計年度における当部門の研究開発費は3,963百万円です。
■その他部門
当連結会計年度における当部門の研究開発費は0百万円です。
■新技術・基盤技術分野
●パワーエレクトロニクス技術
脱炭素化に向けて製鉄業で電気炉の導入が進んでいます。電気炉を使用した製鋼プロセスの高効率化(生産量向上)に向けて、原料の溶解に用いる電極の昇降制御技術を開発し、製鋼アーク炉の制御システムに適用しました。原料の状態変化や負荷変動などに対して電極の位置や昇降速度を最適に制御することで原料の溶解速度を速めて、製鋼時間を従来システムに比べて約5%短縮しました。これにより1日あたりの製鋼回数を増やせるため、顧客の生産量向上に貢献します。
工場・施設などの直流配電の実用化に向けて、直流バスに接続される機器が自律的に直流電圧を一定範囲に保つ独自の電圧協調制御技術を開発しました。これにより、仮に一部の機器が故障した場合でもシステム全停などのリスクを低減できます。今後、本技術を実装したDC-DCコンバータなどの開発を進める予定です。
●AI活用技術
列車のより安全なワンマン運転の実現に向けて、駅ホームにおけるドア閉めのタイミングを判断・通知するAI画像解析・判定技術を用いた列車運転支援システムを開発しました。このシステムは、監視カメラで撮影した乗降客の行動をリアルタイムで解析してドア閉め可否を判断し、運転士や係員に通知します。車掌の判断基準を数値化した当社独自の判定アルゴリズムにより、車掌と同等レベルの安全な判断精度と応答速度を実現しました。
電力取引市場において、蓄電池を活用した電力売買のビジネスが拡大しています。そこで、市場取引を行うEMS(Energy Management System)向けに、AIを活用した取引計画の最適化技術を開発しました。収益を最大化するため、変動の激しい電力市場価格を複数のAIを用いて高精度に予測し、蓄電池の充放電タイミングと取引量を自動で最適化します。シミュレーションによる検証の結果、電力取引による収益が従来比で2倍に向上することを確認しました。本技術を適用した蓄電取引運用システムを2026年度に上市予定です。
●水素・アンモニア・CO2関連技術
水素社会の到来に向けて、水素製造コストの低減が見込めるAEM(Anion Exchange Membrane)型水電解水素生成技術の開発に取り組んでいます。2025年度は、小型セルを10層積層したスタックを開発し、業界最高水準となる電解効率を達成しました。今後は実用化を想定した大型セルの性能評価及び長期信頼性の検証により、早期の技術確立を目指します。本研究は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託研究として実施しています。
水素サプライチェーンにおける液体水素の高精度な移送量管理の実現に向けて、液体水素流量計測技術の開発を進めています。気化しやすい液体水素の流量を高精度に計測するため、気相・液相の体積割合を測定するボイド率センサと超音波流速センサを組み合わせた当社独自の流量計測方式を開発しました。今後、フィールド検証を進め、早期の実用化を目指します。
アンモニアの燃料供給船や貯蔵設備の安全対策向けに、アンモニア漏えい検知技術を開発しています。赤外線カメラと独自の信号処理により、アンモニアガスの漏えいを短時間で検知できることを確認し、原理検証を完了しました。今後、フィールド検証を進める予定です。本研究は、NEDOのグリーンイノベーション基金事業「次世代船舶の開発」プロジェクトの「アンモニア燃料船サプライチェーン構築における周辺機器開発」として実施しています。
工場用コージェネレーションシステムや船舶用ディーゼルエンジンの脱炭素化を目的とし、膜方式によるCO2分離回収装置及び排ガスの前処理技術(除熱、除湿、集塵)の開発に取り組んでいます。2025年度は小型実証機を用いた試験において、排ガスの圧力・温度変動に関わらず、安定したCO2分離性能を確認しました。今後は実用化を見据え、大型実証機による検証を進めます。
当連結会計年度における富士電機の研究開発費は38,907百万円であり、各部門の研究成果及び研究開発費は次のとおりです。
また、当連結会計年度において富士電機が保有する国内外の産業財産権の総数は13,517件です。
■エネルギー部門
●発電プラント分野
地熱発電プラント向けに、地熱蒸気と熱水の気液混合流体に対応する、業界初の二相流量リアルタイム計測システムを開発し発売しました。本システムは、蒸気生産井からの配管に外付けしたセンサを用いて流速と気液比を計測し、二相流量を算出します。これにより蒸気生産井の生産量減衰兆候などを把握し、早期対策やメンテナンス計画の最適化など、地熱発電プラントの安定稼働に貢献します。
将来の水素社会の到来に備え、自動車用固体高分子形燃料電池モジュールを適用した工場・施設向けの純水素燃料電池システムを開発しています。2025年度は、東亞合成株式会社と共同で、ソーダ電解プラントの副生水素を用いた実証試験を開始しました。また2026年度は、水素キャリアとして輸送や貯蔵が容易なメタノールを改質した水素を用いた実証試験を三菱ガス化学株式会社と共同で実施する予定です。これらの実証を通じて、燃料電池システムの経済性、安全性などの課題を検証します。
●エネルギーマネジメント分野
再生可能エネルギーの普及にともない、蓄電池システムの導入が進む工場や商業施設などの需要家や発電事業者向けに、中容量蓄電池用PCS「PVI1400CJ-3/650B」(650kVA)を開発しました。本製品は、低騒音化、寒冷地仕様、自立運転機能など、顧客の多様なニーズに対応しています。
自家消費を中心とした中小規模太陽光発電向けに、ストリング型太陽光PCS「PIS-112/420-J-Z11」(440V/112.5kW)を開発し発売しました。市場要求の高い容量帯に対応するために、従来品(42kW)に比べて容量を約3倍に拡大しました。これにより、据付け工事や接続配線などの導入コストを低減できます。また、最長20年間の延長保証や沿岸地域への設置を可能とする重耐塩仕様など、さまざまな顧客のニーズに対応しました。
国内外の電力インフラ向けに、300MVA級(国内275kV、海外230kV)の大容量変圧器を開発しました。巻線構造の最適化による損失低減や、放熱器の改良による冷却性能向上により体積を従来品に比べて約30%縮小し、世界最小クラスのサイズを実現しました。本製品は、2026年度中に発売する予定です。
●施設・電源システム分野
省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)に基づく第三次判断基準に適合したモールド変圧器「2026トップランナーモルトラ」(低圧100~600V、高圧3kV、6kV/単相10~500kVA、三相20~2,000kVA)を開発し発売しました。低損失の鉄心材料適用により、エネルギー消費効率を従来品に比べて全容量で15%改善しました。
当連結会計年度における当部門の研究開発費は8,580百万円です。
■インダストリー部門
●FAコンポーネント分野
小型・省スペース化のニーズに対応するため、工作機械や小型搬送機、ファン・ポンプ向けの汎用インバータ「FRENIC-Mini(C3)」を刷新し、発売しました。当社の高効率なパワー半導体の搭載や回路設計の最適化により、従来製品と比較して約15%の薄型化(横幅寸法の短縮)を実現しました。これにより、インバータを格納する制御盤のスペースの有効活用が可能となります。
需要が拡大している海外のエレベータ市場向けに、インバータ「FRENIC-Lift(LM3U)」を開発し発売しました。既存の機械室や乗り場脇などの狭小スペースへの設置に対応するため、インバータにコントローラやUPS等の機器を一体化し、薄型化を実現しました(従来比56%)。また、停電時のショックレス停止機能を業界で初めて内蔵し、停電が多い地域でも安全な運転を実現します。
製造ライン向けに、設備データ監視機能を搭載したプログラマブル表示器「製造ライン監視パッケージ Powered by MONITOUCH X1 Series」を開発し発売しました。本製品は、簡単な初期設定を行うだけで、最大30台の生産設備のエネルギー使用量、製品品質、生産進捗、稼働状態などをリアルタイムで見える化できます。これにより、従来必要であった顧客設備に応じたシステム構築が不要となり、短期間かつ安価に導入できます。
生産設備の稼働データを収集するエッジコントローラ「FiTSAΣB5」にEMS(エネルギーマネジメントシステム)のアプリケーションを標準搭載した「FiTSAΣB5-EMS」を開発し発売しました。これまでのデータ収集機能に加え、電力量計を接続することでエリアや工程ごとのエネルギー使用量をパソコンのWebブラウザ上で分析することができます。これにより、従来のクラウドやサーバーを利用したEMSが不要となり、製造現場のエネルギー監視を容易に実現できます。
工場やビルなどの施設向けの電力品質モニタ「FY10」とデュアル電力モニタ「FY20」を開発し発売しました。「FY10」は、電力計測や漏洩電流計測、高調波電流計測、瞬低検知の4機能を搭載する国内唯一のオールインワンタイプです。「FY20」は、単相3線式及び三相3線式で2回路、単相2線式では4回路の電力計測が可能で、薄型コンパクトな筐体により盤内設置に最適です。本製品により電力の見える化に貢献します。
インド政府が推進する電力利用の適正化に対応するため、同国市場向けスマートメータを開発し発売しました。本製品は、インドのスマートメータ規格(IS16444)に準拠し、標準規格局認証を取得しました。さらに、インドの電力事業者が個別に定めている独自の盗電検出試験などの厳しい基準も満足しました。
●オートメーション分野
ファン・ポンプ・コンプレッサなど向けの高圧インバータ「FRENIC4600FM7」(10kV/1,350kVA、6.6kV/890kVA)を開発しました。本製品は当社製の小型IGBTモジュールを採用するとともに、部品配置を抜本的に見直したことで、業界最小レベルの設置面積を実現しました。また、長寿命部品の採用により高い信頼性を確保し、メンテナンス頻度を低減しました。
中国では脱炭素化に向けて、石油・ガスプラントのタービン駆動コンプレッサのモータ駆動化(電動化)やモータ駆動コンプレッサを使用した圧縮空気によるエネルギー貯蔵設備の導入が進んでいます。そこで、これらモータ駆動向けの大容量水冷高圧インバータ「FRENIC-MV」(43MVA)を開発し発売しました。空冷と比べて高効率な水冷方式を採用したことにより、同容量の他社品に比べて幅寸法を約15%削減しました。なお、本製品は当社と上海電気集団股份有限公司との合弁会社である上海電気富士電機電気技術社との共同開発によるものです。
製造業の様々な外観検査工程に適用可能なAI外観検査装置を開発し発売しました。異常検知AIとルールベース画像処理を当社独自の手法で組み合わせることにより、熟練検査員と同等の精度と検査時間を実現しました。これにより外観検査工程の省力化・省人化に貢献します。本製品は、一般社団法人日本電機工業会の2025年度(第74回)電機工業技術功績者表彰において、ものづくり部門優秀賞を受賞しました。
電気自動車のモータ駆動用インバータや電池などの試験に用いる直流電源装置(300kW)を開発し発売しました。本製品は、幅広い出力電圧範囲(100~1,000V)での評価試験に適用可能で、近年の車載モータや車載電池における高電圧化(800V~)に対応できます。また、供試体の回生電力を電源系統で再利用できる双方向仕様としており、試験実施時の消費電力量やCO2排出量の削減にも貢献します。
●社会ソリューション分野
医療施設で利用される診療用放射性同位元素(RI:Radio Isotope)の放射能を定量測定する「RIキャリブレータ」を開発し発売しました。新たな診断や治療に用いられる核種の増加に対応し、プリセット登録できる核種を従来の9種類から13種類へと拡充しました。これにより、使用頻度の高い主要な核種を簡便に測定できます。また、タブレット端末の導入により操作性を向上しました。本製品により、放射線を利用する医療現場での作業を効率化します。
脱炭素化に向けて普及が期待される小型の電気推進船(約400総トン級など)に搭載する、推進用の永久磁石同期モータ(600V/400~2,600kW)とドライブ装置(690V/2,300kW)を開発しています。モータは、水冷方式を採用するとともに、磁石配置を最適化したことにより、業界最小レベルの小型化を実現しました。ドライブ装置も水冷化したことで大幅に小型化しました。
●器具分野
工場・設備の使用電力の見える化と配線作業の効率向上を両立する「電力計測ユニット」を開発し、発売しました。本製品は、富士電機機器制御株式会社製配線用遮断器(G-TWINシリーズ)の下部に容易に取り付けできるとともに、無線通信の採用により配線レスでデータ収集ができるため、従来品(有線)で必要であった配線及び配線ダクトなどの部材を90%削減でき、配線作業の時間を大幅に削減します。
●ITソリューション分野
オフィス業務の業務効率向上に貢献するWebデータベース「軽技WebDB V1.2」を開発し発売しました。プログラミング不要の簡単操作で、クラウドやサーバーにあるデータファイルからデータベースを自動で作成し、Webシステムを構築できます。さらに本製品は、当社のBI(Business Intelligence)ツール「軽技Web」と合わせて使うことにより、データの収集・管理から分析・見える化までを一気通貫で実現し、顧客の業務負荷を低減します。
また、管理業務の効率化を支援するBIツール「軽技Web」に、製造業の現場に特化した機能を追加した「軽技Web for Factory」を開発し発売しました。稼働監視や工程管理、多変量解析による診断など、製造現場ですぐに使える機能を搭載し、誰でも簡単・迅速に分析や診断ができます。
当連結会計年度における当部門の研究開発費は12,193百万円です。
■半導体部門
●産業分野
再エネ発電システム向けに、絶縁耐圧を向上した2,300V/1,200Aの大容量モジュール(HPnC:High Power next Coreパッケージ)を開発し量産を開始しました。低損失な第7世代IGBT/FWD「Xシリーズ」チップを搭載し、パッケージは従来と同じ外形寸法を維持したまま、新たな絶縁基板と封止材を採用することで絶縁耐圧を従来の4kVから6kVに向上しました。これにより、従来の1,000Vから1,500Vに高電圧化している再エネ発電システムに対応します。
UPSやPCS向けに、低損失な第7世代IGBT「XSシリーズ」チップを用いたディスクリートIGBT(1,200V/140A、100A)の系列拡大品を開発しています。大型チップを搭載可能なTO-247Plusパッケージを採用し、電流定格を向上させ装置の大容量化に貢献します。
エアコンや低圧インバータ、サーボアンプ向けに、第3世代小容量IGBT-IPMのP641シリーズ(650V/20、30、40A)を開発し量産を開始しました。内部構造の最適化と新しい絶縁構造の採用により体積を従来品より約44%削減しました。これにより、電力変換装置の更なる小型化に貢献します。
電源システム向けに、第4世代臨界モードインターリーブPFC-ICを開発し発売しました。力率向上とTHD(全高調波歪率)の改善により、国際標準規格IEC61000-3-2で定められた高調波電流規制ClassCに準拠しました。また、負荷状態に応じてICの制御方法を自動的に切り替える機能を新たに搭載しました。軽負荷時の効率向上、待機電力の低減に貢献します。
最新世代の第8世代IGBTチップを搭載したパワーモジュールの開発を進めており、2026年度から量産を開始する予定です。第7世代IGBTチップを搭載した同一定格のモジュールと比較して15%以上損失を低減し、業界トップレベルの低損失を実現しました。これにより、ドライブ装置などパワエレ機器の電力密度を10%以上向上することが可能となります。
●電装分野
軽・小型車用インバータ(50~100kW)向けに、第7世代RC-IGBTチップを搭載した750V/600Aの直接水冷型パワーモジュール(M682パッケージ)の量産を開始しました。さらに、さまざまな出力の軽自動車に対応するため、系列製品(750V/300A、450A)の開発や、中型車用インバータ(100~125kW)向けに、同じM682パッケージで大電流品の開発を進めています。
2027年以降の電動車モデル向けに、第3世代トレンチゲートSiC-MOSFETチップを搭載した新型モジュールの開発を進めています。このモジュールは、発生損失の大幅な低減に加えて、パッケージの薄型化と低インダクタンス化により、RC-IGBTモジュール(M682)と比較して電力密度を約2倍に向上します。さらに、2030年度以降の製品化を想定し、更なる損失低減を目指した第4世代SiC-MOSFETチップやモジュールの開発を進めています。これらの製品を通じて、車載インバータの高効率化と小型・軽量化に貢献します。
当連結会計年度における当部門の研究開発費は14,168百万円です。
■食品流通部門
●自販機分野
食品流通部門では、経済成長に伴い飲料需要が拡大しているインド市場向けに、新型の飲料用自販機を開発しました。キャッシュレス決済対応や大型商品の搬出機能を備えるとともに、自販機としては初となるインド標準規格局(BIS)認証を取得しました。
●店舗流通分野
コンビニエンスストア(コンビニ)向けに、店舗のエネルギー利用を最適化する新型「エコマックスコントローラ」を開発し発売しました。省エネと快適性を指標とする新たな空調制御やショーケースの冷やし過ぎを防止する制御などの適用により、実店舗において空調・冷凍冷蔵設備の年間消費電力量を約10%削減(当社従来比)できることを確認しました。これにより、コンビニの省エネに貢献します。
フロン排出抑制法に基づく2029年以降の規制強化に先駆けて、地球温暖化係数が極めて低い冷媒(GWP1未満)を適用した冷凍機別置型ショーケースを開発しました。新冷媒向けに最適化した熱交換器と冷媒流量制御により、従来冷媒を使用したショーケースと比較して、消費電力量を大幅に削減しました。
小売業や飲食店向けに、新型自動釣銭機「ECS-V8」を開発し発売しました。入出金部と金銭の収納部を上下に配置する縦型構造を採用したことにより、業界最小の筐体サイズを実現し、従来品と比較して設置面積を約40%削減しました。また、紙幣と硬貨の入出金部を集約し、利用者の利便性を向上しました。本製品により、セルフレジの普及拡大を後押しし、店舗の業務効率化に貢献します。
当連結会計年度における当部門の研究開発費は3,963百万円です。
■その他部門
当連結会計年度における当部門の研究開発費は0百万円です。
■新技術・基盤技術分野
●パワーエレクトロニクス技術
脱炭素化に向けて製鉄業で電気炉の導入が進んでいます。電気炉を使用した製鋼プロセスの高効率化(生産量向上)に向けて、原料の溶解に用いる電極の昇降制御技術を開発し、製鋼アーク炉の制御システムに適用しました。原料の状態変化や負荷変動などに対して電極の位置や昇降速度を最適に制御することで原料の溶解速度を速めて、製鋼時間を従来システムに比べて約5%短縮しました。これにより1日あたりの製鋼回数を増やせるため、顧客の生産量向上に貢献します。
工場・施設などの直流配電の実用化に向けて、直流バスに接続される機器が自律的に直流電圧を一定範囲に保つ独自の電圧協調制御技術を開発しました。これにより、仮に一部の機器が故障した場合でもシステム全停などのリスクを低減できます。今後、本技術を実装したDC-DCコンバータなどの開発を進める予定です。
●AI活用技術
列車のより安全なワンマン運転の実現に向けて、駅ホームにおけるドア閉めのタイミングを判断・通知するAI画像解析・判定技術を用いた列車運転支援システムを開発しました。このシステムは、監視カメラで撮影した乗降客の行動をリアルタイムで解析してドア閉め可否を判断し、運転士や係員に通知します。車掌の判断基準を数値化した当社独自の判定アルゴリズムにより、車掌と同等レベルの安全な判断精度と応答速度を実現しました。
電力取引市場において、蓄電池を活用した電力売買のビジネスが拡大しています。そこで、市場取引を行うEMS(Energy Management System)向けに、AIを活用した取引計画の最適化技術を開発しました。収益を最大化するため、変動の激しい電力市場価格を複数のAIを用いて高精度に予測し、蓄電池の充放電タイミングと取引量を自動で最適化します。シミュレーションによる検証の結果、電力取引による収益が従来比で2倍に向上することを確認しました。本技術を適用した蓄電取引運用システムを2026年度に上市予定です。
●水素・アンモニア・CO2関連技術
水素社会の到来に向けて、水素製造コストの低減が見込めるAEM(Anion Exchange Membrane)型水電解水素生成技術の開発に取り組んでいます。2025年度は、小型セルを10層積層したスタックを開発し、業界最高水準となる電解効率を達成しました。今後は実用化を想定した大型セルの性能評価及び長期信頼性の検証により、早期の技術確立を目指します。本研究は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託研究として実施しています。
水素サプライチェーンにおける液体水素の高精度な移送量管理の実現に向けて、液体水素流量計測技術の開発を進めています。気化しやすい液体水素の流量を高精度に計測するため、気相・液相の体積割合を測定するボイド率センサと超音波流速センサを組み合わせた当社独自の流量計測方式を開発しました。今後、フィールド検証を進め、早期の実用化を目指します。
アンモニアの燃料供給船や貯蔵設備の安全対策向けに、アンモニア漏えい検知技術を開発しています。赤外線カメラと独自の信号処理により、アンモニアガスの漏えいを短時間で検知できることを確認し、原理検証を完了しました。今後、フィールド検証を進める予定です。本研究は、NEDOのグリーンイノベーション基金事業「次世代船舶の開発」プロジェクトの「アンモニア燃料船サプライチェーン構築における周辺機器開発」として実施しています。
工場用コージェネレーションシステムや船舶用ディーゼルエンジンの脱炭素化を目的とし、膜方式によるCO2分離回収装置及び排ガスの前処理技術(除熱、除湿、集塵)の開発に取り組んでいます。2025年度は小型実証機を用いた試験において、排ガスの圧力・温度変動に関わらず、安定したCO2分離性能を確認しました。今後は実用化を見据え、大型実証機による検証を進めます。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01740] S100YEEB)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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