有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100YDD9 (EDINETへの外部リンク)
本田技研工業株式会社 研究開発活動 (2026年3月期)
当社および連結子会社の研究開発は、先進の技術によって、個性的で国際競争力のある商品群を生み出すことを目的としています。製品に関する研究開発につきましては、当社のほか、㈱本田技術研究所、ホンダディベロップメントアンドマニュファクチュアリングオブアメリカ・エル・エル・シーを中心に、また、生産技術に関する研究開発につきましては、当社のほか、ホンダディベロップメントアンドマニュファクチュアリングオブアメリカ・エル・エル・シーを中心に、それぞれ現地に密着した研究開発を行っています。
当社は2025年4月に電動事業開発本部にある四輪事業戦略統括部とSDV事業開発統括部を四輪事業本部に統合するとともに、四輪開発本部の新設および二輪・パワープロダクツ電動事業統括部を二輪・パワープロダクツ事業本部に統合しましたが、2026年4月1日より、グローバルでの事業環境が想定以上のスピードで変化する中で、市場・技術動向をこれまで以上に的確にとらえ、独自技術や新しい価値を最適なタイミングで市場に届けられるよう、四輪開発本部ならびに四輪事業本部の組織運営体制の変更を行いました。魅力ある商品を生み出し続けることができる研究開発組織へと進化させ、さらなる競争力の向上を図るため、四輪開発本部と、四輪事業本部にあるSDV事業開発統括部の研究開発機能を、㈱本田技術研究所へ移管しました。また、SDV事業開発統括部の事業機能を事業戦略統括部に再編し、SDV事業開発統括部を発展的に解消しました。さらに、二輪・パワープロダクツ事業の電動化戦略が実行段階へ移行したことを受け、これまで電動事業とICE事業に分けていた営業・事業戦略・開発機能をそれぞれ統合しました。電動事業とICE事業を一体で運営することでリソースを最適配分し、カーボンニュートラルへの取り組みを継続するとともに、さらに競争力のある商品を継続的に生み出すことをめざします。
当連結会計年度に発生した研究開発支出は、1兆1,748億円となりました。
また、当社および連結子会社では研究開発支出の一部について、無形資産に計上しています。連結損益計算書に計上されている研究開発費の詳細については、連結財務諸表注記の「21 研究開発費」を参照ください。
セグメントごとの研究開発活動の状況につきましては、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来生じうる実際の結果と大きく異なる可能性もあります。詳細は「3 事業等のリスク」を参照ください。
(二輪事業)
二輪事業では、「チャレンジする組織風土を最大化し、今後の環境変化を乗り越え、手の届く価格で、お客様に喜んでもらえる商品を創造し続けられるものづくり集団となる」を方針として、研究開発活動に取り組んでまいりました。
主な成果として、水冷・4ストローク・DOHC・直列4気筒・999㎤エンジンを搭載した、大型ロードスポーツモデル「CB1000F」を2025年11月に、「CB1000F」をベースに、ヘッドライトカウルや専用カラーステッチシートなどを装備した「CB1000F SE」を2026年1月に日本にて発売しました。「CB1000F」は、Hondaを代表するプロダクトブランド「CB」のフラッグシップモデルとして、Hondaスポーツバイクラインアップの「進化する基準」である「CB」の最新の回答として具現化したモデルです。「CB1000F SE」は、「CB1000F」をベースに、外観と装備の充実をはかり、所有感のさらなる向上をめざした仕様としています。「CB1000F」「CB1000F SE」では、バルブタイミングおよびリフト量を最適化した新設計カムシャフトを採用し、低回転から高回転まで、谷のないスムーズな出力特性としています。また、左右2気筒ごとに異なるバルブタイミングとすることに加え、エアファンネルを新設計し、低中回転域でのトルクフルなセッティングにするとともに、鼓動感のある重厚な排気音をめざしました。さらに、トランスミッションは1,2速をローレシオ化することで駆動力を高めるとともに、低速時の取り回しやすさに配慮しています。また、高速巡航時のエンジン回転をおさえるなど、気負わず扱いやすい変速比としています。
さらに、2025年11月にイタリア・ミラノで開催された「EICMA 2025」にて、水冷・4ストローク・DOHC・直列4気筒・1000㎤の高性能エンジンを搭載した、スポーツツアラー「CB1000GT」を世界初公開しました。「CB1000 HORNET」に搭載し力強さで定評の水冷・4ストローク・DOHC・直列4気筒・1000㎤エンジンをベースに、専用のFI(フューエルインジェクション)セッティングとTBW(スロットルバイワイヤ、以下 TBW)システムを採用し、力強い出力特性を維持しながら、スロットルの開け始めの出力をより滑らかにすることなどにより、長距離ツーリングでライダー、パッセンジャーの疲労を軽減し、快適性に寄与しています。また、サスペンションには、幅広い走行シチュエーションや積載状況に対応する、電子制御サスペンションEERA(注1)(Electronically Equipped Ride Adjustment)を標準装備し、車体姿勢、ECUのエンジン制御情報、車輪回転速度などから走行状態を把握し、前後サスペンションの減衰力を最適化することで、路面状況に適した高度な減衰力自動調整を可能としています。
加えて、電子制御過給機付きV型3気筒エンジンを搭載したプロトタイプモデル「V3R 900 E-Compressor Prototype」を初公開しました。エンジンは、一昨年「EICMA 2024」で世界初公開した水冷75度V型3気筒エンジンをそのままに、排気量を900ccとし、スリム&コンパクトを追求しました。また、二輪車として世界初(注2)の電子制御過給機の採用により、エンジンへの過給を任意にコントロールすることで、低回転からハイ・レスポンスなトルクを実現しました。これにより、900ccの排気量でありながら1200cc相当のパフォーマンスを実現し、環境性能にも貢献する仕様を目標としています。
2026年3月に大阪で開催された「第42回大阪モーターサイクルショー2026」にて、コンセプトモデル「CB400 SUPER FOUR E-Clutch Concept」「CBR400R FOUR E-Clutch Concept」を公開しました。両モデルともに、ファンライドの最大化をめざした車体/足まわりからなる新プラットフォームに、新設計の直列4気筒エンジンを搭載しました。また、クラッチコントロールを自動制御する「Honda E-Clutch」やダイレクトなスロットルレスポンスに寄与するTBWなど各種の電子制御技術を採用し、より上質なライディング体験を提供します。
さらに、TBWと組み合わせた「Honda E-Clutch」を「CB750 HORNET」「XL750 TRANSALP」に搭載し、2026年4月に「CB750 HORNET E-Clutch」「XL750 TRANSALP E-Clutch」として発売しました。TBWと「Honda E-Clutch」の協調、制御技術により、スロットルを開けた際のバタフライバルブ開度やエンジン反応の最適化を図り、ライダーの技能や走行環境にあわせて、より柔軟かつ快適なクラッチ操作やスロットルワーク実現に寄与しています。シフトダウンの際は、半クラッチ制御にTBWがエンジン回転数を合わせることで、短時間で回転差を吸収し、変速ショックの低減を図っています。また、急減速時や、路面の段差などによってリアタイヤが跳ねる場面では、前後輪の車輪速差からリアタイヤが跳ねている可能性を検出し、半クラッチ制御を介入させることで、車体挙動の安定化を図っています。搭載レイアウトは、従来の「Honda E-Clutch」に対し、リフト機構を2軸化することで、クラッチアクチュエーターを前方に配置することを可能とし、エンジンの構造を大きく変更することなく、システムのコンパクト化を実現しています。
「環境負荷ゼロ社会の実現」へ向けた取り組みとして、2040年代には全ての二輪製品でのカーボンニュートラルを実現することを目標にしています。この目標を達成するため、今後の環境戦略の主軸として二輪車の電動化に取り組んでおり、2024年を電動二輪車のグローバル展開1年と位置付け、電動二輪市場への参入を本格化しています。
2025年11月にイタリア・ミラノで開催された「EICMA 2025」にて、初の電動モーターサイクル「Honda WN7」を一般公開しました。「Honda WN7」は、搭載性に優れた軽量コンパクトな水冷・インバーター一体型モーターを専用開発しました。最高出力は50kWで排気量600ccのICE車相当、最大トルクは100Nmで1000ccのICE車に匹敵する性能をそれぞれ発揮し、街中での発進・停止時や郊外でのクルージング時でも、ゆとりのある走行を実現します。モーターからの出力は新規開発したギアボックスを介してベルトドライブに伝達され、リアタイヤを駆動させるとともに、静粛性にも貢献しています。駆動バッテリーは、新規開発した9.3kWhの固定式リチウムイオンバッテリーを採用し、バッテリーの充電には急速充電を可能にするCCS2(注3)規格と一般家庭にある普通充電Type 2(注4)規格を採用することで、急速充電器では30分でバッテリー残容量20%から80%まで充電でき、外出先で素早く充電し待機時間のストレスを軽減します。また、普通充電では残容量0%から100%まで2.4時間以内(注2)で完了し、フル充電時の航続距離は140km(WMTCモード)です。「Honda WN7」はHondaの二輪車生産におけるマザー工場として位置付けている熊本製作所にて生産し、電動化が進むグローバル市場に順次供給します。また、「Honda WN7」は2026年3月に、国際的に権威のあるデザインアワードのひとつである「iF デザインアワードゴールド」のプロダクトデザイン部門において、最高賞となる「iF デザインアワードゴールド」を受賞しました。
さらに、2026年3月に日本において、着脱式バッテリーを動力用電源に採用した、原付一種(第一種原動機付自転車)の電動二輪パーソナルコミューター「ICON e:」を発売しました。動力用電源には着脱式バッテリーを採用し、充電は持ち運びにも便利なコンパクトな充電器を用いて、車載状態とバッテリー単体の二通りの方法を可能としています。後輪にコンパクトなインホイールモーターを採用し、パワーコントロールユニットがモーター出力を効率的に制御することで、一充電あたりの走行距離81km(30km/h 定地走行テスト値)を実現することで、クリーンで静かな走行を可能にしています。
また、2026年2月にタイにおいて、固定式バッテリーを搭載した排気量110cc相当の電動二輪パーソナルコミューター「Honda UC3」を発売しました。動力用電源には、Hondaで初めてとなる固定式LFP(リン酸鉄リチウムイオン)バッテリーを採用しました。モーターは、Honda独自の開発・生産となるホイールサイドモーターを採用し、最大出力6.0kWを発揮します。また、回生制御や磁気回路構造の最適化により、高効率化を図ることで一充電あたりの航続距離122km(注5)を実現しています。「Honda UC3」は、今後、ベトナムへの投入を予定するなど、Hondaはグローバルで電動二輪車を毎年投入する予定で、お客様のニーズに応える幅広い商品ラインアップを展開します。
二輪事業に係る研究開発支出は、1,123億円となりました。
(注) 1 EERAはAstemo株式会社の登録商標
2 当社調べ(2025年11月時点)
3 Combined Charging System Type2の略称、電気自動車急速充電器用コネクターの仕様
4 200V、充電ガン使用時
5 タイにおけるWMTCモード1での認定値
(四輪事業)
四輪事業では、「魅力ある強い商品のために総合力を発揮し、ものづくりプロセスの深化により、四輪事業を永続的に成長させる」を方針として研究開発に取り組んでまいりました。
主な成果として、2025年9月に6代目となる新型「PRELUDE」を発売しました。新型「PRELUDE」では、Honda独自の2モーターハイブリッドシステム「e:HEV」に、Honda車として初となる制御技術「Honda S+ Shift」を採用しました。モーター駆動でありながら仮想の8段変速で加減速時に緻密にエンジン回転数をコントロールし、あたかも有段変速機があるかのようなダイレクトな駆動レスポンスと鋭いシフトフィールを実現し、ドライバーとクルマが一体化するような、爽快で意のままの走りをめざしました。Hondaはこの「Honda S+ Shift」を、新型「PRELUDE」を皮切りに、順次ハイブリッドモデルへ搭載していく計画です。
2025年11月には2020年代後半に投入予定の電動車向け次世代技術を公開した「Honda四輪技術ワークショップ」を開催しました。2027年以降に投入するハイブリッドモデルに採用予定の次世代プラットフォームでは、高いボディー剛性と軽量化を高次元に両立させる技術や、共用率を向上させたモジュラーアーキテクチャーなど、さまざまな革新技術を組み合わせることで、ドライバーが軽快で爽快な走りを実感できる、Hondaならではの「操る喜び」をさらに高めていきます。特に、ダイナミクス性能を左右する操縦安定性の新たな指標として「新操安剛性マネジメント」を確立しました。ボディー剛性の最適化により、車体を軽量化すると同時に、コーナーリング時に車体がしなるような挙動を与えることで、タイヤへの荷重をコントロールし接地力を向上させ、これまでにない操縦安定性と軽快で気持ちの良い走りを実現します。これに加え、Hondaは、力強い走行性能、牽引性能に、環境性能を兼ね備えるDセグメント以上の大型車向けハイブリッドシステムを開発しています。高効率と低コストを高次元に両立した新開発のドライブユニットやバッテリーパックを備えた次世代の大型ハイブリッドシステムとして、2020年代後半に、大型車への底堅い需要がある北米市場に商品投入することをめざしています。
EVでは、2025年9月に新型軽乗用EV「N-ONE e:」を発売しました。Hondaのパッケージングの基本思想である「M・M(マン・マキシマム/メカ・ミニマム)思想」(注1)により広い室内空間を実現しながら、EVならではの力強くクリーンな走りと静粛性、そして日常使いに安心感をもたらす航続距離295km(注2)の実現により、幅広いお客様に支持されるスタンダードなEVとなることをめざした軽乗用EVです。なお、「N-ONE e:」は、2025~2026 日本自動車殿堂カーオブザイヤー(主催:特定非営利活動法人 日本自動車殿堂)を受賞しました。
また、2025年10月に開催された「Japan Mobility Show 2025」においては、小型EV「Super-ONE Prototype」と、次世代EV「Honda 0 α」のプロトタイプを世界初公開しました。「Super-ONE Prototype」は、環境性能や日常での使い勝手の良さに加え、小型EVとしての軽快な走りによる「操る喜び」に、五感を刺激する演出を加えることで、刺激的で高揚感あふれる走行体験を提供します。専用に開発した「BOOSTモード」では、出力を拡大しパワーユニットの性能を最大限に引き出すとともに、仮想有段シフト制御とアクティブサウンドコントロールシステムの連動により、あたかも有段変速機を備えたエンジン車のような迫力あるサウンドと鋭いシフトフィーリングを演出します。これにより、視覚や聴覚、そして加速感や振動などの体感を通じてドライバーの感性を刺激し、高揚感のあふれるEVの走行体験を提供します。「Super-ONE Prototype」の量産モデルは、2026年より日本を皮切りに、小型EVのニーズの高い、英国やアジア各国などで発売を予定しています(注3)。また、「Honda 0 α」の量産モデルは、「Honda 0 シリーズ」の開発アプローチである「Thin, Light, and Wise.(薄い、軽い、賢い)」を具現化した技術を搭載し、2027年から日本やインドでの販売を予定しています。
Hondaは、これからもカーボンニュートラル達成に向けた取り組みを推進していきます。
四輪事業に係る研究開発支出は、1兆292億円となりました。
(注) 1 M・M(マン・マキシマム/メカ・ミニマム)思想:人のためのスペースは最大に、メカニズムは最小にというHondaの
クルマづくりの基本思想
2 一充電走行距離(国土交通省審査値)WLTCモード 295km:一充電走行距離は定められた試験条件での値。お客様の使用
環境(気象、渋滞等)や運転方法(急発進、エアコン使用等)に応じて一充電走行距離は大きく異なる
WLTCモード:市街地、郊外、高速道路の各走行モードを平均的な使用時間配分で構成した国際的な走行モード
3 量産モデルの社名は地域によって異なり、日本やアジア大洋州では「Super-ONE」、アジア大洋州の一部の国では
「Honda Super-ONE」、英国では「Super-N」として発売予定
(パワープロダクツ事業及びその他の事業)
パワープロダクツ事業では、「暮らしの“未来”を創造し「役立ち」と「喜び」を更なる高みへ」を方針として、研究開発活動に取り組んでまいりました。
主な成果として、2025年5月に高い加速性能と燃費性能でご好評をいただいている4ストローク船外機「BFシリーズ」に、V型8気筒300馬力エンジンを搭載した大型船外機「BF300」を発売しました。「BF300」は、Honda船外機のフラッグシップモデル「BF350」用に専用設計されたV型8気筒エンジンをベースとし、排気量4,952㎤、最大出力300馬力による力強いパワーと豊かなトルクを発揮します。高出力でありながらレギュラーガソリンでの航行が可能なほか、O₂センサーを使用し燃料噴射量を補正する空燃比フィードバック機能により高い燃費性能を実現しています。
船外機以外については、小型除雪機シリーズにハイブリッド除雪機「HSS960i」「HSS1370i」を新たに追加し、正転オーガ(注1)搭載の「Jタイプ」は2025年7月、クロスオーガ(注2)搭載の「JXタイプ」は2025年9月に発売しました。「HSS960i」「HSS1370i」の2機種は、除雪部をエンジン、走行部をモーターで駆動するHonda独自のハイブリッドシステムを採用し、スムーズな走行と作業負荷に応じた速度制御が可能で、使い勝手の良さとパワフルな除雪性能を両立します。また、2機種それぞれに設定した「JXタイプ」には、硬雪の除雪作業をさらに容易にするHonda独自の除雪機構「クロスオーガ」をHondaのハイブリッド除雪機として初めて搭載しました。さらに同タイプには、「電動オーガハイト」機能を装備したことで、除雪作業に不慣れな方でも、雪の深さに合わせて手元のスイッチで簡単にオーガの高さを調整することができます。
さらに、2025年10月に米国ケンタッキー州ルイビルで開催された「Equip Exposition 2025」にて、Hondaが開発・販売する商品で初となる電動乗用芝刈機「ProZision」シリーズとして、芝刈り作業を自動運転で行う「ProZision Autonomous」、手動で行う「ProZision」の2機種を世界初公開しました。「ProZision」シリーズは、これまでHondaが芝刈機の研究開発で培ってきた高度な芝刈り技術に加え、最新の自動化・知能化技術を搭載した乗用芝刈機です。造園作業の過酷な条件にも対応する高い走破性と、MicroCut®ツインブレードを生かした高い刈り取り性能を実現しました。「ProZision Autonomous」では、GNSS(Global Navigation Satellite System)(注3)で正確な自己位置を認識しながら、予め作業者が設定した芝刈り経路やパターンを記憶し、高精度に再現することで自動運転での芝刈り作業を実現します。その際、搭載されたレーダー、LiDARにより周囲360度のセンシングを行い、地形の変化や障害物を検知し、自動で走行経路を判断することで、作業者が乗車することなく安全な刈り取り作業と高品質な芝の仕上がりを可能としています。
航空機においては、Honda独自の最先端技術を開発して、空の世界においても新しい価値を創造し、長期的な観点から航空機ビジネスを成長させていくためのビジネス基盤の構築をしてまいりました。
2025年10月に「HondaJet」が、ベリーライトジェットカテゴリー内のツインエンジンジェット機として世界で初めて、持続可能な航空燃料(Sustainable Aviation Fuel、以下 SAF)を100%使用した試験飛行に成功しました。SAFは航空領域でのCO₂排出量を削減し、カーボンニュートラルを達成する手段の1つとして注目されています。SAFの利用はASTM Internationalによる認可制となっており、既存のジェット燃料へSAFを混合できる含有率の上限が定められています。現在の上限は50%となっていますが、本試験飛行では、100%SAF使用時のエンジン性能、燃焼特性、飛行システムへの影響などについて包括的な技術評価を実施し、将来的なSAF利用拡大に向けた重要な検証データを取得しました。本結果は、SAF普及に向けた技術的課題の特定および解決に向けて大きな進展となるものであり、当社の中長期的な環境戦略および製品競争力強化にも寄与するものです。
また、2026年2月に「HondaJet Elite Ⅱ」に搭載される緊急自動着陸システム(Emergency Autoland、以下 EAL)について、米国連邦航空局(FAA)の認証を取得しました。これにより「HondaJet Elite Ⅱ」は、ベリーライトジェットカテゴリーにおけるツインエンジンジェット機として、EALを搭載する世界初のモデルとなります。EALは、何らかの理由でパイロットによる継続的な操縦・運航が困難な緊急事態において、航空機を自動で最寄りの空港に着陸・停止させるシステムです。専用ボタンの操作による手動での起動に加え、システムがパイロットの異常を検知した場合など、EALによる操縦が適切と判断した場合にも自動的に起動します。EALが作動すると、現地の航空交通管制機関へ緊急事態を自動的に通知します。その後、天候や地形、燃料残量、滑走路条件などを踏まえて最適な着陸先となる空港を選定し、目的地までの飛行経路を設定することで、機体は進入経路に沿って自動航行し、着陸・停止します。緊急事態が発生してから機体停止に至るまで、システムが自律的に運航・制御を行い、緊急時でも安心・安全な運航を実現します。今回の米国連邦航空局によるEALの認証取得を受け、まずは米国において、本システムを搭載した「HondaJet Elite II」の販売を開始するとともに、既にお客様へ納入済みの「HondaJet Elite II」を対象にアフターサービスを通じた本システムの提供を開始します。また今後は、「HondaJet Elite II」の販売を行っている日本を含むグローバル各国においても、航空局認証を取得後、順次提供を予定しています。
パワープロダクツ事業及びその他の事業に係る研究開発支出は、332億円となりました。
(注) 1 雪をかき集める刃(オーガ)が正転する機構
2 雪をかき集める刃(オーガ)が雪を取り込む正転と除雪機の浮き上がり抑える逆転を同時に行う機構
3 衛星測位システムの総称
次世代技術分野においては、2025年4月から10月に開催された「大阪・関西万博」にて、モビリティロボット「UNI-ONE」の新型を出展しました。「UNI-ONE」はHondaのロボティクス研究で培った、座ったまま体重移動するだけで移動でき、両手が自由に使える着座型のモビリティロボットです。2023年以降、さまざまな企業や施設へ有償試験導入し、ユーザーニーズへの対応や事業性に関する検証を行ってきました。これらの検証を通して、人混みの中でも「UNI-ONE」と歩行者が共存でき、歩行と比較してユーザーの疲労度が大幅に軽減できたという検証結果を得られています。新型「UNI-ONE」はこれまでの検証を踏まえて、走行時のハイポジションモードに切り替わる際のふらつきを抑えて乗りやすくし、走行可能な傾斜路の勾配を10度まで拡大しました(旧型は6度まで)。また航続距離も10kmに拡大しており(旧型は8km)、実用性を向上させています。
2025年6月には、自社開発の再使用型ロケット(注)の実験機(全長6.3m、直径85cm、重量Dry900kg/Wet1,312㎏)を用いて、Hondaとして初となる離着陸実験に成功しました。今回、ロケットを再使用するために必要な、上昇・下降時の機体の安定性や着陸機能などの要素技術の実証を目的とした離着陸実験をHondaとして初めて実施しました。その結果、目標とした機体の離着陸挙動の作動(到達高度271.4m、着地位置の目標との誤差37cm、飛行時間56.6秒)、上昇・下降時のデータ取得を実現し、実験は成功を収めました。この実験の成功について、日本の宇宙輸送能力拡大への寄与、宇宙アクセスの自立性確保や国際競争力強化への貢献などが評価され、内閣府主催の「第7回宇宙開発利用大賞」において内閣総理大臣賞を受賞しました。Hondaが取り組むのは、カーボンニュートラル社会をめざすHondaのモビリティとして、ロケット機体の再使用技術だけでなく、再生可能燃料(バイオメタン/グリーンメタン)を使用することで、宇宙領域においても「サステナブルな輸送」に貢献できる「サステナブルロケット」の実現です。次の技術開発目標である2029年の準軌道への到達能力実現に向け、引き続き取り組んでいきます。
なお、これらの取り組みに係る研究開発支出は各事業に配分されています。
(注) 再使用型ロケット(Reusable Launch Vehicle, RLV)とは、使い捨てが主流である従来のロケット(Expendable Launch Vehicle、
ELV)とは異なり、同一の機体を用いた短時間での繰り返し運用ができるロケットです。打ち上げられた後、機体の一部または全
部が地上に帰還・着陸します。
当連結会計年度末時点において、当社および連結子会社は、国内で12,200件以上、海外で24,900件以上の特許権を保有しています。また、出願中の特許が国内で4,300件以上、海外で10,400件以上あります。当社および連結子会社は、特許の重要性を認識していますが、特許のうちのいくつか、または、関連する一連の特許が終了または失効したとしても、当社および連結子会社の経営に重要な影響を及ぼすことはないと考えています。
当社は2025年4月に電動事業開発本部にある四輪事業戦略統括部とSDV事業開発統括部を四輪事業本部に統合するとともに、四輪開発本部の新設および二輪・パワープロダクツ電動事業統括部を二輪・パワープロダクツ事業本部に統合しましたが、2026年4月1日より、グローバルでの事業環境が想定以上のスピードで変化する中で、市場・技術動向をこれまで以上に的確にとらえ、独自技術や新しい価値を最適なタイミングで市場に届けられるよう、四輪開発本部ならびに四輪事業本部の組織運営体制の変更を行いました。魅力ある商品を生み出し続けることができる研究開発組織へと進化させ、さらなる競争力の向上を図るため、四輪開発本部と、四輪事業本部にあるSDV事業開発統括部の研究開発機能を、㈱本田技術研究所へ移管しました。また、SDV事業開発統括部の事業機能を事業戦略統括部に再編し、SDV事業開発統括部を発展的に解消しました。さらに、二輪・パワープロダクツ事業の電動化戦略が実行段階へ移行したことを受け、これまで電動事業とICE事業に分けていた営業・事業戦略・開発機能をそれぞれ統合しました。電動事業とICE事業を一体で運営することでリソースを最適配分し、カーボンニュートラルへの取り組みを継続するとともに、さらに競争力のある商品を継続的に生み出すことをめざします。
当連結会計年度に発生した研究開発支出は、1兆1,748億円となりました。
また、当社および連結子会社では研究開発支出の一部について、無形資産に計上しています。連結損益計算書に計上されている研究開発費の詳細については、連結財務諸表注記の「21 研究開発費」を参照ください。
セグメントごとの研究開発活動の状況につきましては、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来生じうる実際の結果と大きく異なる可能性もあります。詳細は「3 事業等のリスク」を参照ください。
(二輪事業)
二輪事業では、「チャレンジする組織風土を最大化し、今後の環境変化を乗り越え、手の届く価格で、お客様に喜んでもらえる商品を創造し続けられるものづくり集団となる」を方針として、研究開発活動に取り組んでまいりました。
主な成果として、水冷・4ストローク・DOHC・直列4気筒・999㎤エンジンを搭載した、大型ロードスポーツモデル「CB1000F」を2025年11月に、「CB1000F」をベースに、ヘッドライトカウルや専用カラーステッチシートなどを装備した「CB1000F SE」を2026年1月に日本にて発売しました。「CB1000F」は、Hondaを代表するプロダクトブランド「CB」のフラッグシップモデルとして、Hondaスポーツバイクラインアップの「進化する基準」である「CB」の最新の回答として具現化したモデルです。「CB1000F SE」は、「CB1000F」をベースに、外観と装備の充実をはかり、所有感のさらなる向上をめざした仕様としています。「CB1000F」「CB1000F SE」では、バルブタイミングおよびリフト量を最適化した新設計カムシャフトを採用し、低回転から高回転まで、谷のないスムーズな出力特性としています。また、左右2気筒ごとに異なるバルブタイミングとすることに加え、エアファンネルを新設計し、低中回転域でのトルクフルなセッティングにするとともに、鼓動感のある重厚な排気音をめざしました。さらに、トランスミッションは1,2速をローレシオ化することで駆動力を高めるとともに、低速時の取り回しやすさに配慮しています。また、高速巡航時のエンジン回転をおさえるなど、気負わず扱いやすい変速比としています。
さらに、2025年11月にイタリア・ミラノで開催された「EICMA 2025」にて、水冷・4ストローク・DOHC・直列4気筒・1000㎤の高性能エンジンを搭載した、スポーツツアラー「CB1000GT」を世界初公開しました。「CB1000 HORNET」に搭載し力強さで定評の水冷・4ストローク・DOHC・直列4気筒・1000㎤エンジンをベースに、専用のFI(フューエルインジェクション)セッティングとTBW(スロットルバイワイヤ、以下 TBW)システムを採用し、力強い出力特性を維持しながら、スロットルの開け始めの出力をより滑らかにすることなどにより、長距離ツーリングでライダー、パッセンジャーの疲労を軽減し、快適性に寄与しています。また、サスペンションには、幅広い走行シチュエーションや積載状況に対応する、電子制御サスペンションEERA(注1)(Electronically Equipped Ride Adjustment)を標準装備し、車体姿勢、ECUのエンジン制御情報、車輪回転速度などから走行状態を把握し、前後サスペンションの減衰力を最適化することで、路面状況に適した高度な減衰力自動調整を可能としています。
加えて、電子制御過給機付きV型3気筒エンジンを搭載したプロトタイプモデル「V3R 900 E-Compressor Prototype」を初公開しました。エンジンは、一昨年「EICMA 2024」で世界初公開した水冷75度V型3気筒エンジンをそのままに、排気量を900ccとし、スリム&コンパクトを追求しました。また、二輪車として世界初(注2)の電子制御過給機の採用により、エンジンへの過給を任意にコントロールすることで、低回転からハイ・レスポンスなトルクを実現しました。これにより、900ccの排気量でありながら1200cc相当のパフォーマンスを実現し、環境性能にも貢献する仕様を目標としています。
2026年3月に大阪で開催された「第42回大阪モーターサイクルショー2026」にて、コンセプトモデル「CB400 SUPER FOUR E-Clutch Concept」「CBR400R FOUR E-Clutch Concept」を公開しました。両モデルともに、ファンライドの最大化をめざした車体/足まわりからなる新プラットフォームに、新設計の直列4気筒エンジンを搭載しました。また、クラッチコントロールを自動制御する「Honda E-Clutch」やダイレクトなスロットルレスポンスに寄与するTBWなど各種の電子制御技術を採用し、より上質なライディング体験を提供します。
さらに、TBWと組み合わせた「Honda E-Clutch」を「CB750 HORNET」「XL750 TRANSALP」に搭載し、2026年4月に「CB750 HORNET E-Clutch」「XL750 TRANSALP E-Clutch」として発売しました。TBWと「Honda E-Clutch」の協調、制御技術により、スロットルを開けた際のバタフライバルブ開度やエンジン反応の最適化を図り、ライダーの技能や走行環境にあわせて、より柔軟かつ快適なクラッチ操作やスロットルワーク実現に寄与しています。シフトダウンの際は、半クラッチ制御にTBWがエンジン回転数を合わせることで、短時間で回転差を吸収し、変速ショックの低減を図っています。また、急減速時や、路面の段差などによってリアタイヤが跳ねる場面では、前後輪の車輪速差からリアタイヤが跳ねている可能性を検出し、半クラッチ制御を介入させることで、車体挙動の安定化を図っています。搭載レイアウトは、従来の「Honda E-Clutch」に対し、リフト機構を2軸化することで、クラッチアクチュエーターを前方に配置することを可能とし、エンジンの構造を大きく変更することなく、システムのコンパクト化を実現しています。
「環境負荷ゼロ社会の実現」へ向けた取り組みとして、2040年代には全ての二輪製品でのカーボンニュートラルを実現することを目標にしています。この目標を達成するため、今後の環境戦略の主軸として二輪車の電動化に取り組んでおり、2024年を電動二輪車のグローバル展開1年と位置付け、電動二輪市場への参入を本格化しています。
2025年11月にイタリア・ミラノで開催された「EICMA 2025」にて、初の電動モーターサイクル「Honda WN7」を一般公開しました。「Honda WN7」は、搭載性に優れた軽量コンパクトな水冷・インバーター一体型モーターを専用開発しました。最高出力は50kWで排気量600ccのICE車相当、最大トルクは100Nmで1000ccのICE車に匹敵する性能をそれぞれ発揮し、街中での発進・停止時や郊外でのクルージング時でも、ゆとりのある走行を実現します。モーターからの出力は新規開発したギアボックスを介してベルトドライブに伝達され、リアタイヤを駆動させるとともに、静粛性にも貢献しています。駆動バッテリーは、新規開発した9.3kWhの固定式リチウムイオンバッテリーを採用し、バッテリーの充電には急速充電を可能にするCCS2(注3)規格と一般家庭にある普通充電Type 2(注4)規格を採用することで、急速充電器では30分でバッテリー残容量20%から80%まで充電でき、外出先で素早く充電し待機時間のストレスを軽減します。また、普通充電では残容量0%から100%まで2.4時間以内(注2)で完了し、フル充電時の航続距離は140km(WMTCモード)です。「Honda WN7」はHondaの二輪車生産におけるマザー工場として位置付けている熊本製作所にて生産し、電動化が進むグローバル市場に順次供給します。また、「Honda WN7」は2026年3月に、国際的に権威のあるデザインアワードのひとつである「iF デザインアワードゴールド」のプロダクトデザイン部門において、最高賞となる「iF デザインアワードゴールド」を受賞しました。
さらに、2026年3月に日本において、着脱式バッテリーを動力用電源に採用した、原付一種(第一種原動機付自転車)の電動二輪パーソナルコミューター「ICON e:」を発売しました。動力用電源には着脱式バッテリーを採用し、充電は持ち運びにも便利なコンパクトな充電器を用いて、車載状態とバッテリー単体の二通りの方法を可能としています。後輪にコンパクトなインホイールモーターを採用し、パワーコントロールユニットがモーター出力を効率的に制御することで、一充電あたりの走行距離81km(30km/h 定地走行テスト値)を実現することで、クリーンで静かな走行を可能にしています。
また、2026年2月にタイにおいて、固定式バッテリーを搭載した排気量110cc相当の電動二輪パーソナルコミューター「Honda UC3」を発売しました。動力用電源には、Hondaで初めてとなる固定式LFP(リン酸鉄リチウムイオン)バッテリーを採用しました。モーターは、Honda独自の開発・生産となるホイールサイドモーターを採用し、最大出力6.0kWを発揮します。また、回生制御や磁気回路構造の最適化により、高効率化を図ることで一充電あたりの航続距離122km(注5)を実現しています。「Honda UC3」は、今後、ベトナムへの投入を予定するなど、Hondaはグローバルで電動二輪車を毎年投入する予定で、お客様のニーズに応える幅広い商品ラインアップを展開します。
二輪事業に係る研究開発支出は、1,123億円となりました。
(注) 1 EERAはAstemo株式会社の登録商標
2 当社調べ(2025年11月時点)
3 Combined Charging System Type2の略称、電気自動車急速充電器用コネクターの仕様
4 200V、充電ガン使用時
5 タイにおけるWMTCモード1での認定値
(四輪事業)
四輪事業では、「魅力ある強い商品のために総合力を発揮し、ものづくりプロセスの深化により、四輪事業を永続的に成長させる」を方針として研究開発に取り組んでまいりました。
主な成果として、2025年9月に6代目となる新型「PRELUDE」を発売しました。新型「PRELUDE」では、Honda独自の2モーターハイブリッドシステム「e:HEV」に、Honda車として初となる制御技術「Honda S+ Shift」を採用しました。モーター駆動でありながら仮想の8段変速で加減速時に緻密にエンジン回転数をコントロールし、あたかも有段変速機があるかのようなダイレクトな駆動レスポンスと鋭いシフトフィールを実現し、ドライバーとクルマが一体化するような、爽快で意のままの走りをめざしました。Hondaはこの「Honda S+ Shift」を、新型「PRELUDE」を皮切りに、順次ハイブリッドモデルへ搭載していく計画です。
2025年11月には2020年代後半に投入予定の電動車向け次世代技術を公開した「Honda四輪技術ワークショップ」を開催しました。2027年以降に投入するハイブリッドモデルに採用予定の次世代プラットフォームでは、高いボディー剛性と軽量化を高次元に両立させる技術や、共用率を向上させたモジュラーアーキテクチャーなど、さまざまな革新技術を組み合わせることで、ドライバーが軽快で爽快な走りを実感できる、Hondaならではの「操る喜び」をさらに高めていきます。特に、ダイナミクス性能を左右する操縦安定性の新たな指標として「新操安剛性マネジメント」を確立しました。ボディー剛性の最適化により、車体を軽量化すると同時に、コーナーリング時に車体がしなるような挙動を与えることで、タイヤへの荷重をコントロールし接地力を向上させ、これまでにない操縦安定性と軽快で気持ちの良い走りを実現します。これに加え、Hondaは、力強い走行性能、牽引性能に、環境性能を兼ね備えるDセグメント以上の大型車向けハイブリッドシステムを開発しています。高効率と低コストを高次元に両立した新開発のドライブユニットやバッテリーパックを備えた次世代の大型ハイブリッドシステムとして、2020年代後半に、大型車への底堅い需要がある北米市場に商品投入することをめざしています。
EVでは、2025年9月に新型軽乗用EV「N-ONE e:」を発売しました。Hondaのパッケージングの基本思想である「M・M(マン・マキシマム/メカ・ミニマム)思想」(注1)により広い室内空間を実現しながら、EVならではの力強くクリーンな走りと静粛性、そして日常使いに安心感をもたらす航続距離295km(注2)の実現により、幅広いお客様に支持されるスタンダードなEVとなることをめざした軽乗用EVです。なお、「N-ONE e:」は、2025~2026 日本自動車殿堂カーオブザイヤー(主催:特定非営利活動法人 日本自動車殿堂)を受賞しました。
また、2025年10月に開催された「Japan Mobility Show 2025」においては、小型EV「Super-ONE Prototype」と、次世代EV「Honda 0 α」のプロトタイプを世界初公開しました。「Super-ONE Prototype」は、環境性能や日常での使い勝手の良さに加え、小型EVとしての軽快な走りによる「操る喜び」に、五感を刺激する演出を加えることで、刺激的で高揚感あふれる走行体験を提供します。専用に開発した「BOOSTモード」では、出力を拡大しパワーユニットの性能を最大限に引き出すとともに、仮想有段シフト制御とアクティブサウンドコントロールシステムの連動により、あたかも有段変速機を備えたエンジン車のような迫力あるサウンドと鋭いシフトフィーリングを演出します。これにより、視覚や聴覚、そして加速感や振動などの体感を通じてドライバーの感性を刺激し、高揚感のあふれるEVの走行体験を提供します。「Super-ONE Prototype」の量産モデルは、2026年より日本を皮切りに、小型EVのニーズの高い、英国やアジア各国などで発売を予定しています(注3)。また、「Honda 0 α」の量産モデルは、「Honda 0 シリーズ」の開発アプローチである「Thin, Light, and Wise.(薄い、軽い、賢い)」を具現化した技術を搭載し、2027年から日本やインドでの販売を予定しています。
Hondaは、これからもカーボンニュートラル達成に向けた取り組みを推進していきます。
四輪事業に係る研究開発支出は、1兆292億円となりました。
(注) 1 M・M(マン・マキシマム/メカ・ミニマム)思想:人のためのスペースは最大に、メカニズムは最小にというHondaの
クルマづくりの基本思想
2 一充電走行距離(国土交通省審査値)WLTCモード 295km:一充電走行距離は定められた試験条件での値。お客様の使用
環境(気象、渋滞等)や運転方法(急発進、エアコン使用等)に応じて一充電走行距離は大きく異なる
WLTCモード:市街地、郊外、高速道路の各走行モードを平均的な使用時間配分で構成した国際的な走行モード
3 量産モデルの社名は地域によって異なり、日本やアジア大洋州では「Super-ONE」、アジア大洋州の一部の国では
「Honda Super-ONE」、英国では「Super-N」として発売予定
(パワープロダクツ事業及びその他の事業)
パワープロダクツ事業では、「暮らしの“未来”を創造し「役立ち」と「喜び」を更なる高みへ」を方針として、研究開発活動に取り組んでまいりました。
主な成果として、2025年5月に高い加速性能と燃費性能でご好評をいただいている4ストローク船外機「BFシリーズ」に、V型8気筒300馬力エンジンを搭載した大型船外機「BF300」を発売しました。「BF300」は、Honda船外機のフラッグシップモデル「BF350」用に専用設計されたV型8気筒エンジンをベースとし、排気量4,952㎤、最大出力300馬力による力強いパワーと豊かなトルクを発揮します。高出力でありながらレギュラーガソリンでの航行が可能なほか、O₂センサーを使用し燃料噴射量を補正する空燃比フィードバック機能により高い燃費性能を実現しています。
船外機以外については、小型除雪機シリーズにハイブリッド除雪機「HSS960i」「HSS1370i」を新たに追加し、正転オーガ(注1)搭載の「Jタイプ」は2025年7月、クロスオーガ(注2)搭載の「JXタイプ」は2025年9月に発売しました。「HSS960i」「HSS1370i」の2機種は、除雪部をエンジン、走行部をモーターで駆動するHonda独自のハイブリッドシステムを採用し、スムーズな走行と作業負荷に応じた速度制御が可能で、使い勝手の良さとパワフルな除雪性能を両立します。また、2機種それぞれに設定した「JXタイプ」には、硬雪の除雪作業をさらに容易にするHonda独自の除雪機構「クロスオーガ」をHondaのハイブリッド除雪機として初めて搭載しました。さらに同タイプには、「電動オーガハイト」機能を装備したことで、除雪作業に不慣れな方でも、雪の深さに合わせて手元のスイッチで簡単にオーガの高さを調整することができます。
さらに、2025年10月に米国ケンタッキー州ルイビルで開催された「Equip Exposition 2025」にて、Hondaが開発・販売する商品で初となる電動乗用芝刈機「ProZision」シリーズとして、芝刈り作業を自動運転で行う「ProZision Autonomous」、手動で行う「ProZision」の2機種を世界初公開しました。「ProZision」シリーズは、これまでHondaが芝刈機の研究開発で培ってきた高度な芝刈り技術に加え、最新の自動化・知能化技術を搭載した乗用芝刈機です。造園作業の過酷な条件にも対応する高い走破性と、MicroCut®ツインブレードを生かした高い刈り取り性能を実現しました。「ProZision Autonomous」では、GNSS(Global Navigation Satellite System)(注3)で正確な自己位置を認識しながら、予め作業者が設定した芝刈り経路やパターンを記憶し、高精度に再現することで自動運転での芝刈り作業を実現します。その際、搭載されたレーダー、LiDARにより周囲360度のセンシングを行い、地形の変化や障害物を検知し、自動で走行経路を判断することで、作業者が乗車することなく安全な刈り取り作業と高品質な芝の仕上がりを可能としています。
航空機においては、Honda独自の最先端技術を開発して、空の世界においても新しい価値を創造し、長期的な観点から航空機ビジネスを成長させていくためのビジネス基盤の構築をしてまいりました。
2025年10月に「HondaJet」が、ベリーライトジェットカテゴリー内のツインエンジンジェット機として世界で初めて、持続可能な航空燃料(Sustainable Aviation Fuel、以下 SAF)を100%使用した試験飛行に成功しました。SAFは航空領域でのCO₂排出量を削減し、カーボンニュートラルを達成する手段の1つとして注目されています。SAFの利用はASTM Internationalによる認可制となっており、既存のジェット燃料へSAFを混合できる含有率の上限が定められています。現在の上限は50%となっていますが、本試験飛行では、100%SAF使用時のエンジン性能、燃焼特性、飛行システムへの影響などについて包括的な技術評価を実施し、将来的なSAF利用拡大に向けた重要な検証データを取得しました。本結果は、SAF普及に向けた技術的課題の特定および解決に向けて大きな進展となるものであり、当社の中長期的な環境戦略および製品競争力強化にも寄与するものです。
また、2026年2月に「HondaJet Elite Ⅱ」に搭載される緊急自動着陸システム(Emergency Autoland、以下 EAL)について、米国連邦航空局(FAA)の認証を取得しました。これにより「HondaJet Elite Ⅱ」は、ベリーライトジェットカテゴリーにおけるツインエンジンジェット機として、EALを搭載する世界初のモデルとなります。EALは、何らかの理由でパイロットによる継続的な操縦・運航が困難な緊急事態において、航空機を自動で最寄りの空港に着陸・停止させるシステムです。専用ボタンの操作による手動での起動に加え、システムがパイロットの異常を検知した場合など、EALによる操縦が適切と判断した場合にも自動的に起動します。EALが作動すると、現地の航空交通管制機関へ緊急事態を自動的に通知します。その後、天候や地形、燃料残量、滑走路条件などを踏まえて最適な着陸先となる空港を選定し、目的地までの飛行経路を設定することで、機体は進入経路に沿って自動航行し、着陸・停止します。緊急事態が発生してから機体停止に至るまで、システムが自律的に運航・制御を行い、緊急時でも安心・安全な運航を実現します。今回の米国連邦航空局によるEALの認証取得を受け、まずは米国において、本システムを搭載した「HondaJet Elite II」の販売を開始するとともに、既にお客様へ納入済みの「HondaJet Elite II」を対象にアフターサービスを通じた本システムの提供を開始します。また今後は、「HondaJet Elite II」の販売を行っている日本を含むグローバル各国においても、航空局認証を取得後、順次提供を予定しています。
パワープロダクツ事業及びその他の事業に係る研究開発支出は、332億円となりました。
(注) 1 雪をかき集める刃(オーガ)が正転する機構
2 雪をかき集める刃(オーガ)が雪を取り込む正転と除雪機の浮き上がり抑える逆転を同時に行う機構
3 衛星測位システムの総称
次世代技術分野においては、2025年4月から10月に開催された「大阪・関西万博」にて、モビリティロボット「UNI-ONE」の新型を出展しました。「UNI-ONE」はHondaのロボティクス研究で培った、座ったまま体重移動するだけで移動でき、両手が自由に使える着座型のモビリティロボットです。2023年以降、さまざまな企業や施設へ有償試験導入し、ユーザーニーズへの対応や事業性に関する検証を行ってきました。これらの検証を通して、人混みの中でも「UNI-ONE」と歩行者が共存でき、歩行と比較してユーザーの疲労度が大幅に軽減できたという検証結果を得られています。新型「UNI-ONE」はこれまでの検証を踏まえて、走行時のハイポジションモードに切り替わる際のふらつきを抑えて乗りやすくし、走行可能な傾斜路の勾配を10度まで拡大しました(旧型は6度まで)。また航続距離も10kmに拡大しており(旧型は8km)、実用性を向上させています。
2025年6月には、自社開発の再使用型ロケット(注)の実験機(全長6.3m、直径85cm、重量Dry900kg/Wet1,312㎏)を用いて、Hondaとして初となる離着陸実験に成功しました。今回、ロケットを再使用するために必要な、上昇・下降時の機体の安定性や着陸機能などの要素技術の実証を目的とした離着陸実験をHondaとして初めて実施しました。その結果、目標とした機体の離着陸挙動の作動(到達高度271.4m、着地位置の目標との誤差37cm、飛行時間56.6秒)、上昇・下降時のデータ取得を実現し、実験は成功を収めました。この実験の成功について、日本の宇宙輸送能力拡大への寄与、宇宙アクセスの自立性確保や国際競争力強化への貢献などが評価され、内閣府主催の「第7回宇宙開発利用大賞」において内閣総理大臣賞を受賞しました。Hondaが取り組むのは、カーボンニュートラル社会をめざすHondaのモビリティとして、ロケット機体の再使用技術だけでなく、再生可能燃料(バイオメタン/グリーンメタン)を使用することで、宇宙領域においても「サステナブルな輸送」に貢献できる「サステナブルロケット」の実現です。次の技術開発目標である2029年の準軌道への到達能力実現に向け、引き続き取り組んでいきます。
なお、これらの取り組みに係る研究開発支出は各事業に配分されています。
(注) 再使用型ロケット(Reusable Launch Vehicle, RLV)とは、使い捨てが主流である従来のロケット(Expendable Launch Vehicle、
ELV)とは異なり、同一の機体を用いた短時間での繰り返し運用ができるロケットです。打ち上げられた後、機体の一部または全
部が地上に帰還・着陸します。
当連結会計年度末時点において、当社および連結子会社は、国内で12,200件以上、海外で24,900件以上の特許権を保有しています。また、出願中の特許が国内で4,300件以上、海外で10,400件以上あります。当社および連結子会社は、特許の重要性を認識していますが、特許のうちのいくつか、または、関連する一連の特許が終了または失効したとしても、当社および連結子会社の経営に重要な影響を及ぼすことはないと考えています。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E02166] S100YDD9)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。




トップページ
ビジュアル財務諸表
大株主名検索
役員名検索
スペシャルコンテンツ
サイト内検索
お知らせ
お問合せ
使い方
ご利用規約
個人情報について
監修と運営
どん・ブログ
facebook ページ
オススメ書籍