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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100Y992 (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 味の素株式会社 研究開発活動 (2026年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当社グループは2030年に向け、「アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-beingに貢献する」企業になることを目指します。ここでアミノサイエンス®とは、創業以来、アミノ酸のはたらきに徹底的にこだわった研究プロセスや実装化プロセスから得られる多様な素材・機能・技術・サービスを総称したものであり、また、それらを社会課題の解決やWell-beingの貢献につなげる、当社グループ独自の科学的アプローチであり、他企業が容易には真似できない当社グループの競争優位の源泉のひとつとなります。2030年に向け、フードシステムで繋がる健康栄養課題の解決と環境への貢献をセットで取組み、「環境負荷を50%削減」と「10億人の健康寿命を延伸」の2つのアウトカムを実現していきます。また、当社グループの成長戦略では、中長期の成長が期待される市場において、当社グループならではの強みであるアミノサイエンス®を活かし、持続的に社会価値を提供できる、4つの成長領域(ヘルスケア、フード&ウェルネス、ICT、グリーン)にフォーカスし、既存事業の確実な成長と、事業モデル変革(BMX)による成長ドライブにより、2030年に向けて飛躍的な成長を目指します。

当連結会計年度における当社グループの研究開発費は32,108百万円です。
また、当社グループが保有している特許は国内外合わせて約4,280件です。
当連結会計年度の各事業区分における研究開発活動の概要とその成果は次のとおりです。

(1) 調味料・食品セグメント
当社食品研究所が中心となり、味の素AGF㈱、味の素冷凍食品㈱、上海味の素食品研究開発センター社(中国)をはじめとする国内外のグループ会社の研究開発部門とも密接に連携し、味、香り・風味、食感など、「おいしさを構成するすべての要素」を俯瞰した技術開発、製品開発、及びそのアプリケーション開発を行っています。
また、日本国内の少子化・高齢化、世帯人数の減少、健康志向といった課題に対し、「おいしさ」、「食へのアクセス(あらゆる人に栄養を届ける)」、「地域や個人の食生活」の3つを妥協しない基本姿勢とし、課題解決先進国の日本で磨いたモデルをグローバルに展開しています。グローバルな製品開発体制のもと、マーケティング力、ブランド力を強みに、各国生活者の嗜好とニーズに適応した調味料、加工食品の開発に継続して取り組んでいます。


日本市場においては、家庭調理における簡便性と、本格的なおいしさを両立することを目的として、調味設計技術や心理的価値設計技術の高度化を進めています。「Cook Do®」シリーズ等では、当社独自の心理的価値設計技術「AJI-EMap®」を活用し、生活者が料理に期待する満足感や高揚感を可視化したうえで、味や香り、コク、後味の設計に反映しています。また、「おいしさ設計技術®」に基づき、油脂や香辛料の配合設計、熱変化を考慮した風味設計を行うことで、調理工程のばらつきがあっても安定した品質が得られる製品づくりを実現しています。さらに、粉体化技術、混合技術、溶解制御技術を組み合わせることにより、調理時の扱いやすさと再現性を高めています。
2025年度には、中華・韓国合わせ調味料や汎用調味料分野を中心に、こうした技術を応用した新製品を展開しました。「Cook Do® きょうの大皿®」シリーズでは、ごまの風味と香辛料の香りにだしや発酵調味料のコクを組み合わせたを展開し、肉と野菜をフライパンで炒めるだけで満足感の高い主菜を調理できる設計としています。また、「Cook Do® KOREA!」シリーズでは、本場韓国コチュジャンや牛だしを基軸に、にんにくやごま油の香味を最適化したを展開し、家庭で本格的な韓国メニューを手軽に再現できる品質設計を行っています。
加えて、加熱調理プロセスに着目した製品として、「スチーミー®」シリーズからを展開しました。独自の配合と圧力スチームパウチを用いることで、電子レンジ調理でも水分保持性を高め、ぱさつきやすい鶏むね肉をしっとりと仕上げる技術を実現しています。
さらに、主食・洋風調味料分野では、フライパンひとつで調理可能な「パスタキューブ®」を展開し、ビーフのコクや香味野菜、ハーブの風味を最適に組み合わせることで、家庭では再現が難しい味わいを提供しています。
また、素材選定の観点では、山梨県の自然循環農法で平飼いされた鶏卵を使用したを展開し、原料由来のコクやまろやかさを活かした品質設計を行っています。
これらの取組みを通じて、当社グループは、調理工程の簡素化と品質の再現性向上を両立させるとともに、日本の食卓に根差した調味料価値の深化と、生活者の多様化する嗜好や調理シーンへの対応を進めています。


海外市場では、各国・地域の食文化、嗜好、健康課題や社会課題を踏まえた製品開発を進めています。ベトナム味の素社ではマヨネーズのおいしさそのままで、従来品より30%脂質をカットした「Aji-mayo®」を開発しました。これは、味の満足感を維持しながら栄養課題の改善に貢献する研究開発成果の社会実装例です。また、インドネシア味の素社では、日本で培われたペースト状調味料の設計・製造ノウハウを生かして、手早く仕上がる煮物用調味料を開発し、生活者の家事時間短縮に役立っています。
今後も当社グループの独自素材の活用や独自技術に裏打ちされたおいしさの追求とともに健康価値や調理利便性を高めた製品開発を継続強化し、現地の生活者の嗜好に合うおいしさや、健康を始めとする生活の向上に貢献していきます。


2025年度の栄養・加工食品分野においては、即席食品や簡便調理食品に対する生活者ニーズの高度化を踏まえ、「おいしさ」と「栄養価値」を両立させる製品開発を継続して進めています。
スープ類や麺(パスタ)加工食品では、香味野菜の加熱・粉体化技術の活用や、湯戻り性向上の検討により、家庭調理においても満足感の高い味わいと食感を実現する設計を行っています。これらの技術は、「クノール® カップスープ」ポタージュシリーズに加え、もちもちとした食感のパスタを特長とする「スープDELI®」パスタ入りスープ製品に応用されています。
2025年度には、パスタ量を増量し一品での満足感を高めた「スープDELI® PASTA+」として、及びを展開しました。独自の湯戻り性制御技術により、簡便調理でありながら食べ応えのある食感を実現しています。
また、スープと麺・具材の一体感に着目した配合設計を行い、「Yum Yum®」ブランドのにおいても、現地の本格感と食べ応えの両立を図っています。さらに、たんぱく質やアミノ酸などの栄養素を日常の食事の中で無理なく摂取できるよう、配合設計や溶解性技術の高度化を進めています。「味の素KK プロテインみそ汁」では、当社独自の「おいしさ設計技術®」を活用し、味噌汁のおいしさをしっかり感じられる味わいで、かつ溶解性技術によりお湯に溶けやすく仕上げています。
加えて、スープ分野では、パンの食感とスープのおいしさを両立する新製法を採用した「クノール® サクサクdeコパン」を展開しました。お湯を注いだ後もパンのサクサク食感が持続する構造設計により、即席スープでありながら食体験価値の向上を図っています。
さらに、和風即席食品分野では、当社が長年培ってきた「だし」の研究成果を活かした「だし屋のみそ汁」を展開しました。だし素材の特長を活かした粉末設計により、忙しい日常においても手軽にだしの効いた味わいを楽しめる即席みそ汁を実現しています。
これらの取組みを通じて、当社グループは、簡便調理と品質・栄養価値の両立を図るとともに、生活者の多様な食シーンに対応した栄養・加工食品の価値創出を推進しています。


海外の栄養・加工食品分野では、事業を展開する各国・地域の食文化、嗜好、資源、原料、ステークホルダーを尊重しながら、アミノ酸のはたらきを活かした製品開発を進めています。具体的には、減塩やたんぱく質摂取といった健康課題に対応するため、おいしさを維持しながら栄養価値を高める配合設計や加工技術を活用し、各ローカル市場に適した製品を提供しています。例えば、タイ味の素では即席麺「Yum Yum®」について、「おいしさ設計技術®」の応用により、食塩低減に伴う塩味の低下やコク・風味の減衰を補う配合を開発し、減塩を進めています。今後も、当社グループの独自素材や独自技術に裏打ちされたおいしさの追求とともに、健康価値領域における研究開発を継続的に強化し、各地域の生活者の嗜好に合ったおいしさと栄養改善への貢献を目指します。


2025年度のコーヒー類分野においては、生活者の嗜好や飲用シーンの多様化を踏まえ、コーヒー本来のおいしさを維持しながら、健康価値や利便性を付加した製品開発を進めています。抽出設計、香味設計、配合技術を高度化することで、日常生活に無理なく取り入れられる飲料価値の拡張に取り組んでいます。
健康志向への対応としては、《「ブレンディ®」 毎日の腸活コーヒー》シリーズにおいて、“おいしさはそのまま”に、コーヒーとしての飲みやすさと腸内環境への配慮を両立する設計を行っています。2025年度には、飲用習慣への導入のしやすさを高めたタイプ、を展開しました。これにより、日常的なコーヒー飲用を通じた健康価値の提供を進めています。

スティック製品のリニューアルでは、新たなクリーミングパウダーを使用することで《「ブレンディ®」 スティック》ユーザーが味わいにおいて重要視しているミルク感を向上させ、それぞれのフレーバーに最適な味わいのバランスを実現することでおいしさを刷新しました。また、嗜好性の拡張を目的として、《「ブレンディ®カフェラトリー®」 スティック》では、素材の組み合わせや香り立ちに着目した製品開発を行っています。“芳醇シリーズ”の一つとして、グレープフルーツとジャスミンティーを組み合わせたを開発し、茶系飲料とフルーツの香味バランスを追求した設計を実現しています。これにより、甘さや香りを重視する生活者層にも対応しています。
さらに、《「ブレンディ®」 ポーション》シリーズでは、家庭内におけるアイス飲用やアレンジ需要の高まりを背景に、果実や茶葉、抹茶素材の配合設計を通じた製品開発を進めています。2025年度には、及びを新たに展開するとともに、について風味改良を行いました。加えて、《「ブレンディ®」 マイボトルスティック》では、携帯性や簡便性に優れた飲用形態に着目し、初の機能性表示食品として“いいこと毎日シリーズ”3品種を開発しました。マイボトルに溶かすだけで手軽に健康習慣を取り入れられる設計とすることで、外出時や職場での飲用シーンにも対応しています。
これらの研究開発を通じて、当社グループは、コーヒー・飲料分野において、おいしさ、健康価値、飲用シーンの多様化を両立した製品設計を推進しています。


2025年度においては、欧米を中心に伸長し、かつ顧客からの要望も大きいクリーンラベル市場を念頭に置き、発酵トマト、コク味物質含有酵母エキスなどの発酵技術を活用した独自素材の開発と製品応用を通じて、家庭用・業務用の両分野でおいしさ価値の向上に取り組んでいます。
発酵トマト素材については、スパイス感、フレッシュなトマト感を付与・増強する技術として開発を進め家庭用、業務用の両分野に活用を開始しています。家庭用では「クノール®カップスープ」などのトマト使用製品に対してフレッシュなトマト風味の立ち上がりや厚みを補い、原料高騰や加熱工程後でも満足感のある味わいの実現に寄与するものです。また、加工用では発酵トマトを配合した「アロマックス®」「パンチアップ®」を発売し、スパイス感、フレッシュ感を付与する原料として食品加工メーカーへの展開が進んでいます。
酵母エキス素材については、先味のコク増強機能に着目し、最終製品での熟成感や濃厚感の付与、塩味感の向上に寄与する技術として開発され、当社家庭用の風味調味料シリーズ等に展開しています。これら発酵技術は北米をはじめグローバルな機能検証が行われており、多様な領域で、味の立ち上がりと奥行きを両立する独自素材として活用を進めています。

調味料・食品セグメントに係わる研究開発費は、8,388百万円です。

(2) 冷凍食品セグメント
味の素冷凍食品㈱研究開発センターと海外グループ会社の開発部門を中心に、現地の嗜好とニーズに適応した商品開発に取り組んでいます。さらに、当社食品研究所との連携により、減塩等の健康価値の向上に取り組んでいます。


2025年度の冷凍食品分野においては、生活者のライフスタイルの多様化や調理時間の短縮ニーズの高まりを背景に、日常の食卓利用から個食、健康志向まで幅広い喫食シーンに対応する製品開発を進めています。食卓カテゴリーを中心としたラインアップ拡充に加え、調理の簡便性、品質の安定性、栄養価値を両立させる設計を通じて、冷凍食品の提供価値向上に取り組んでいます。
冷凍「AJINOMOTO BRANDギョーザ」では、味の素冷凍食品㈱が有する原料配合、焼成条件設計、油脂設計等の独自技術を活用し、調理時の剥離性や仕上がり品質の安定性を高める開発を継続しています。羽根の素の配合改良や加熱条件の最適化により、フライパン調理や電子レンジ調理においても、皮の食感と中具のジューシーさを両立した品質設計を実現しています。また、大容量パックやトレイレス包装の採用により、家庭内での保存性や使い勝手にも配慮した設計を行っています。

から揚げなどの冷凍鶏肉加工食品分野では、簡便調理とおいしさを両立させる技術開発を進めています。若鶏もも肉を使用した定番品に加え、スパイスや漬け込み条件、加熱プロセスを最適化することで、家庭では調理が難しいメニューを手軽に提供する製品開発に取り組んでいます。2025年度には、本格的なスパイスの香りとやわらかくジューシーな食感を実現したを展開するとともに、鶏もも肉にソイプロテインを配合し、高たんぱく化と食感・風味を両立させたを新たに開発しました。これらの製品では、独自の配合設計や下味技術により、健康志向とおいしさの両立を図っています。また、高たんぱくニーズへの対応として、など、たんぱく質を効率よく摂取できる冷凍食品の開発を進めています。栄養価を高めながらも、肉感や食べ応えを損なわない設計とすることで、日常の食事の中で無理なくたんぱく質を摂取できる製品を提供しています。
外食品質を家庭で手軽に楽しめる冷凍食品として展開している「ザ★®」ブランドや、「洋食亭®」ハンバーグでは、原料配合や加熱条件、ソース設計の見直しを通じて、風味や食感の向上を図っています。食卓の主菜としての満足感を高めるとともに、電子レンジ調理に適した品質設計を行うことで、調理負担の軽減にも取り組んでいます。
さらに、お弁当用途向けの「おべんとPON®」シリーズでは、自然解凍対応やスティック型包装といった独自の容器・包装設計により、調理の手間削減と廃棄物削減を両立しています。加えて、製造過程で発生する規格外品を活用した「未来CYCLE」シリーズとしてを展開し、フードロス削減とおいしさの両立に向けた新たな取組みも進めています。
このほか、冷凍米飯や丼の具といった分野においても、本格的な味わいと簡便調理を両立するための配合設計や製法開発を行っています。
これらの研究開発を通じて、当社グループは、冷凍食品を多様な食シーンに適応させるとともに、利便性、おいしさ、栄養価値を備えた製品の提供を強化しています。


北米や欧州では、日本食人気の定着やアジアンフード需要の拡大を背景に、リテール市場を中心としたアジアン冷凍食品市場が引き続き成長しています。北米では、これまでアジアンマーケットやクラブストアを中心に展開してきた餃子について、一般リテール向けに羽根つき餃子を発売し、日本で培った調理性とおいしさを訴求した商品ラインアップの拡充を進めました。併せて、小売チャネルでの展開やプロモーション活動を通じて、より幅広い消費者層への認知拡大が図られています。
欧州では、餃子や和風スナック類などの製品ラインアップを拡充し、リテール市場での展開を強化しました。既存製品の改良に加え、現地の嗜好や喫食シーンに対応した商品開発を進めることで、非アジア系生活者層への浸透が進み、販売エリアの拡大につながっています。
ASEAN及び中南米市場では、本格的な冷凍食品市場への参入に向けた取組みを進めました。市場特性やオペレーション適性の検証を行うとともに、供給スキームの構築を進めています。
今後も、日本で培われた生産技術や商品開発力を活かし、簡便な調理とおいしさを両立した製品の提供に加え、健康機能や付加価値を備えた冷凍食品の開発を継続することで、海外冷凍食品事業の持続的な成長に貢献していきます。

冷凍食品セグメントに係わる研究開発費は、1,956百万円です。

(3) ヘルスケア等セグメント
当社バイオ・ファイン研究所、食品研究所、味の素バイオファーマサービス事業(ベルギー、米国、日本、インド)、味の素-ジェネチカ・リサーチ・インスティチュート社(ロシア)、味の素ファインテクノ㈱等の国内外の各グループ会社及びその技術開発部門とも連携し、世界中の人々の健康や生活に貢献するための商品及びソリューションを提供しています。


医薬用・食品用アミノ酸市場の伸びに対応するために、生産性の向上とコスト競争力の強化を目的とした発酵・精製プロセス開発と導入を継続して進めています。また、動物細胞培養用の培地事業は味の素CELLiST Korea社をプラットフォームとし、国内外のバイオ医薬品メーカーとの開発を継続、拡大しています。


バイオファーマサービス分野は、低分子、中分子から高分子、そして遺伝子治療に関わる包括的な原薬や中間体の製法開発からGMP製造に至るまで、ベルギー、米国、日本、インドを拠点に、一貫したサービスを提供するグローバルな医薬品開発製造受託機関(CDMO)事業です。革新的な独自プラットフォーム技術である「AJIPHASE®」、「CORYNEX®」、「AJICAP®」をはじめ、オリゴ核酸合成、抗体薬物複合体(ADC)、高活性原薬製造、連続フロー製造などのサービスを、前臨床から商業製造まで幅広く提供しています。
オリゴ核酸分野では、㈱ジーンデザインでの固相合成による少量多品種対応から、「AJIPHASE®」の液相合成技術を用いた大量製造までをカバーする開発・製造体制を構築し、味の素オムニケム社との連携強化を通じて、事業を推進しています。ADC分野では、独自の部位特異的抗体修飾技術「AJICAP®」を活用し、原薬製造プロセスの効率化や品質安定性向上に取り組んでおり、アステラス製薬㈱とのライセンス契約締結や、NJ Bio社やPiramal Pharma Solutions社との提携による顧客への研究開発支援拡充など、外部展開を進めています。また、微生物発現技術「CORYNEX®」においてもOlon社との提携により需要の高いペプチド・タンパク質の効率的かつ持続可能な製造環境を整備するなど、外部との協力関係の強化を通じて、事業拡大及び社会貢献の最大化を推し進めています。
2023年度に子会社化した米国の遺伝子治療薬CDMOであるForge Biologics社は、バリューチェーン上の要所であるアデノ随伴ウイルス(AAV)及びプラスミドの製造能力を有し、高純度・高収率のAAVベクター製造サービスを提供しています。また、当社とAAVの生産性向上を目的とした培地等の共同開発などによる技術基盤の強化を進め、遺伝子治療薬CDMO分野における研究開発・供給体制の拡充を図っています。


電子材料分野においては、味の素ファインテクノ㈱と共同で、次世代PC、データセンター向けサーバー、5G通信ネットワーク用途を中心に、「ABF™」の開発を推進しています。「ABF™」は、高い絶縁信頼性、加工適性、微細配線対応力を特長とし、先端半導体パッケージにおけるビルドアップ層用材料として幅広く採用されています。
近年、データトラフィックの急増や生成AIの普及を背景に、半導体パッケージには、さらなる高速・大容量通信と低消費電力化が求められています。これに対応するため、当社グループでは、電気配線と光配線を同一パッケージ内で融合させる光電融合パッケージ向け材料の研究開発にも取り組んでいます。具体的には、高周波帯における低誘電率・低誘電正接特性や、熱・機械的信頼性の確保といった要求に対応する材料設計を進めています。
これらの研究開発を通じて、当社グループは、従来の電子回路基板用途にとどまらず、次世代半導体パッケージや先端通信インフラを支えるキーマテリアルとして、「ABF™」の適用領域拡大と付加価値向上を図っています。


-機能性栄養食品-
「アミノバイタル®」は、当社が100年以上にわたり培ってきたアミノサイエンス®の知見をスポーツ分野に展開し、1995年に発売した機能性栄養食品ブランドです。長年にわたりトップアスリートや高強度で運動を行う人を中心に支持されるとともに、国際的なスポーツ大会や競技現場において、アミノ酸補給に関する知見の検証や製品設計の高度化に取り組んできました。これらの取組みは、実使用環境に即した研究開発の重要なフィードバック基盤となっています。
近年は、スポーツ実施層の裾野拡大や健康意識の高まりを背景に、運動を習慣とするより幅広い生活者のこころとからだの健康に貢献することを目的として、研究開発領域を日常生活へと拡張しています。発売30周年の節目にあたる2025年度には、朝食のプラス1品や間食など、普段の生活の中で手軽に摂取できるゼリードリンク「アミノバイタル®ami活」を開発しました。
本製品では、エネルギー源となるアラニン・プロリン、BCAAやアルギニンなどのアミノ酸3,000mgを配合するとともに、ビタミンや食物繊維など不足しがちな栄養素も同時に摂取できる設計としています。開発にあたっては、当社グループ独自の目標品質設計技術である「AJI-PMap®」を活用し、ゼリー飲料が多く飲用される朝の時間帯に好ましい官能特性を設定することで、果物を食べているかのような独特な食感と味わいを実現しています。
また、身体機能の維持・向上に着目した製品として、「アミノバイタル®CONNECT関節サポート」を展開しています。本製品は、コラーゲンに多く含まれるアミノ酸に着目し、ひざ関節に違和感を持つ人において関節の違和感を軽減する機能が報告されている、6種のアミノ酸(セリン、アスパラギン酸ナトリウム、グルタミン酸、グリシン、アラニン、プロリン)を主成分(4,000mg)とする設計としています。
これらの研究開発を通じて、当社グループは、トップアスリートを支えてきた科学的知見を基盤としながら、日常生活における運動習慣や健康維持までを視野に入れた機能性栄養食品の価値創出を進め、アミノサイエンス®の社会実装を継続的に拡大しています。

-健康基盤食品-
健康基盤食品分野においては、日常生活の中で無理なく継続できる健康習慣の形成を支えることを目的に、アミノ酸や機能性成分の生理機能に関する研究を基盤とした製品開発を進めています。2025年度には、エネルギー代謝に着目した機能性表示食品の展開を強化しました。
「カプシEX®」は、辛くない唐辛子に多く含まれるジヒドロカプシエイトを機能性関与成分として配合し、日常のエネルギー代謝の一部である安静時のエネルギー消費の向上をサポートする製品です。これまで通信販売を中心に展開してきましたが、2025年度には店頭向け製品としてを新たに発売し、より多くの生活者が日常的に取り入れやすい提供形態へと拡張しました。
本製品は、強い運動や特別な行動を伴わず、日常生活の延長線上で健康管理を行いたいという生活者ニーズに応えることを意図した設計としており、当社が進める「健康基盤食品」の考え方を体現する製品の一つです。当社グループは今後も、科学的根拠に基づく機能性素材と、継続しやすい摂取形態を組み合わせることで、生活者の健康維持・増進を支える製品開発を推進していきます。

-パーソナルケア素材-
当社グループは1972年に、グルタミン酸を原料としたアミノ酸系洗浄剤「アミソフト®」を発売して以来、半世紀以上にわたり、世界55カ国、5,000社以上の化粧品メーカー等に対し、アミノ酸由来の化粧品・トイレタリー製品向け原料を提供してきました。アミノサイエンス®を基盤とする当社グループのパーソナルケア素材は、肌や髪へのやさしさに加え、保湿性や感触、環境適性にも優れる素材として、スキンケア、ヘアケア、メークアップ製品など幅広い分野で活用されています。
スキンケア及びメークアップ化粧品向けにアミノ酸由来機能性粉体「AMIHOPE® SB-201」を開発し、2025年度に上市しました。本品は、アミノ酸由来成分による独自の表面設計技術により、粉体同士の凝集を抑制し、なめらかな感触と均一な塗布性を両立した設計としています。また、従来の粉体素材と比較して、使用感や仕上がりの向上に加え、環境適性にも配慮した素材として、多様な化粧品処方への展開が期待されています。
素材メーカーとしての強みを活かし、当社は自社のアミノ酸系化粧品素材に特化したスキンケアブランド「JINO(ジーノ)」を展開し、素材研究と製品開発を一体化した研究開発を進めています。2025年度には、「ジーノ」を刷新し、通販サイト限定で展開しました。本製品では、生体内でのアミノ酸のはたらきに着目し、様々な機能を持つアミノ酸を23種類配合してあらゆる肌悩みに応えてきましたが、今回のリニューアルでは当社バイオ・ファイン研究所が長年にわたり蓄積してきた皮膚科学研究に基づく独自の「アミノ美肌理論®」を採用し、肌細胞の状態を整えるアプローチを強化しました。
また、「ジーノ」ブランドでは、肌のゆらぎやバリア機能に着目した研究成果を製品に反映しています。2026年2月には、アミノ酸系保湿成分「ELDEW®」を高濃度配合した「ジーノ」を通販サイト限定で発売し、アミノ酸由来成分によるうるおい保持と外的刺激からの保護を両立する設計を行いました。この成分は、化粧品原料としても、唇や肌の保湿保持を目的としたスキンケアやメークアップ製品に広く採用されています。
さらに、当社は皮膚構造を構成するタンパク質に着目し、角層から真皮に至る「4つの美肌タンパク質」にアプローチする独自のスキンケア概念を確立しました。この研究成果は、「ジーノ」のリニューアルなどを通じて製品に反映されており、アミノ酸組成バランスに基づく多層的な保湿・ハリケア設計を実現しています。
これらの研究開発を通じて、当社グループは、アミノサイエンス®に基づく素材技術と製品開発を両輪として、肌の健やかさと生活者のWell-beingに貢献するパーソナルケア素材の価値創出を進めています。

ヘルスケア等セグメントに係わる研究開発費は、11,292百万円です。

(4) その他
その他セグメントに係わる研究開発費は、88百万円です。

(5) 全社
当社が想定する2030~50年の未来図からバックキャストし、グループの将来を担うと期待される領域での事業展開を見据え、関係する研究テーマを全社研究とし、資源を集中的に投資し、開発を進めています。全社研究では、当社の食品研究所、バイオ・ファイン研究所が中心となり、国内外の研究機関と連携して進めている先端研究・技術を活用し、グループ内の各研究所とともに様々な事業に向けた新技術・独自素材の開発や、各事業分野に共通した基盤技術の強化に取り組んでいます。
無形資産への投資も増強していきます。まず技術資産には、「おいしさ設計技術®」や先端バイオ・ファイン技術に代表されるアミノサイエンス®が挙げられます。今後、より一層顧客に寄り添うためにはデジタルのケイパビリティが欠かせないと考えています。顧客と技術をマッチングさせイノベーションを生み出す人財資産、顧客資産、それらの基盤となる組織資産への投資も増強していきます。


当社は、オープンイノベーションを積極的に推進しており、国内外の企業や研究機関等と連携することで、これまでにない新しい価値の創造を重要な経営テーマと位置付けています。イノベーション戦略チームは、当社グループにおける成長領域のイノベーションをグローバルに加速するため、社内のさまざまな組織(コーポレートベンチャーキャピタル、研究開発部門、事業部門など)や世界各地の外部パートナーと連携し、オーガニック及びインオーガニックの双方の成長戦略の立案・実行を担っています。
本チームは、日本、北米、欧州、ラテンアメリカ、ASEANを拠点として活動を展開しており、北米では、スタートアップ等とのパートナリング体制の強化や先端イノベーション情報の収集を加速するため、米国シリコンバレー(カリフォルニア州パロアルト市)にコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)の拠点を新設しました。さらに、ヘルスケアをはじめとする成長領域のイノベーションをグローバルに加速する観点から、イノベーション・エコシステムの中心地であるボストンエリアにも拠点を構え、先端技術や外部パートナーとの連携を推進しています。
加えて、欧州及びASEANにおいても、大学・研究機関やスタートアップなど多様なイノベーションプレーヤーとの連携を進め、各地域の特性を踏まえた技術探索や協業機会の創出に取り組んでいます。これらのグローバル拠点は、次世代事業の創出に向けて、世界の先端イノベーション動向に直接アクセスし、出資、協業、M&Aなどを迅速に検討・判断するためのインテリジェンス機能(Search, Access & Partnering)を担う、イノベーション戦略チームのグローバルな活動を支える基盤となっています。

2025年度の主なオープンイノベーションは下記のとおりとなります。

-ヘルスケア領域-
当社グループは、アミノサイエンス®を基盤とした先端バイオ技術の活用により、付加価値の高いヘルスケア事業への転換を進めています。2023年度には、米国の遺伝子治療薬CDMOであるForge Biologics社を完全子会社化し、遺伝子治療をはじめとする次世代医薬分野への本格参入を通じて、ヘルスケア領域の成長加速と高収益化を推進しています。
Forge Biologics社との協働では、遺伝子治療薬の開発において要素技術となるウイルスベクター製造の高効率化を可能とする、細胞培地用サプリメントを開発しました。当社が長年培ってきたアミノ酸及び培地設計に関する知見を活かし、ウイルスベクター製造工程の効率化や品質安定化を目指します。
また、バイオ医薬品分野では、抗体薬物複合体(ADC)を含む次世代医薬品の製造を支える技術開発にも取り組んでおり、2025年度にはアステラス製薬㈱と、ADC原薬の開発・製造に関する技術ライセンス契約を締結しました。これにより、当社が保有するバイオ医薬品の開発・製造技術について外部展開を進めるとともに、先端医薬品分野における技術基盤の強化を図っています。
さらに、メディカルニュートリション領域では、カナダの外科栄養スタートアップ企業であるEnhanced Medical Nutrition社(オンタリオ州)への出資を完了しました。本出資を通じて、米国を拠点とする味の素キャンブルック社及び、英国・アイルランドを拠点とするニュアルトラ社による既存のメディカルフード事業と連携し、周術期を含む患者の栄養課題に対するソリューション開発を一層強化しています。

-フード&ウェルネス領域-
当社は、食を起点としたWell-beingの実現に向けて、フード&ウェルネス領域において、デジタル技術や外部パートナーとの協業を通じた新たな価値創出を進めています。2025年度には、給食・社員食堂などの業務用市場を対象に、栄養設計・献立作成・運営効率化を一体で支援する仕組みの構築に取組みました。
具体的には、給食業界向けシステム・パッケージソフトの開発を行う株式会社カイテクノロジーとの協業により、当社の栄養設計に関する知見と、同社の業務システムを組み合わせ、おいしさ・栄養・価格という多面的な顧客ニーズに応える最適な献立提供のための実証実験を開始しました。本実証では、AIを活用した献立作成や栄養管理支援を通じて、栄養バランスの確保と現場業務の負荷軽減の両立を検証しています。
また、医療施設や企業を対象とした食事・栄養管理の高度化を目的に、アプリケーションサービスプロバイダー事業を開始しました。本事業では、当社の栄養設計技術やデータを活用し、専門性の高い栄養管理や献立支援をデジタルサービスとして提供することで、利用者の健康増進と運営効率の向上を支援しています。
さらに、働く人の食環境改善を目的として、置き型社食®サービスを展開する株式会社OKANとの協業を開始しました。本協業を通じて、オフィスや工場など多様な就業環境において、栄養バランスに配慮した食事へのアクセスを向上させ、従業員の健康意識や行動変容を促す取組みを進めています。
当社は今後も、アミノサイエンス®を基盤とした栄養設計技術や商品と、外部パートナーのデジタル技術・サービスを掛け合わせることで、個人・組織それぞれの食の課題に対応し、フード&ウェルネス領域におけるWell-beingの社会実装を加速していきます。

-ICT領域-
「ABF™」は、高性能半導体に不可欠な絶縁材として、半導体パッケージの進化とともに高い成長を続けています。その競争力の源泉は、アミノサイエンス®を起点とした独自の材料技術に加え、半導体産業のバリューチェーン上のキープレイヤーとの密接な共創エコシステムにあります。顧客や関連企業との協働を通じて、次世代半導体パッケージに求められる特性を先取りし、それを材料設計へ迅速に反映できる体制を構築しています。
また、当社グループは、高分子化学に関する知見や分子設計能力、配合処方技術を活かした高速開発システムを強みとしており、これにより「ABF™」を継続的に進化させてきました。「ABF™」の進化は、微細配線化や高速通信、低消費電力化といった半導体パッケージの高度化を支え、AI、データセンター、自動運転など、社会のICTインフラの発展に貢献しています。
さらに、データ通信量の増大に伴う消費電力の増加という課題に対応するため、光と電気を融合した次世代半導体パッケージにおいても、「ABF™」で培った材料技術や共創の枠組みを活かし、低消費電力化と高性能化を両立するソリューションの提供を目指しています。
加えて、「ABF™」を中核としながら、その周辺領域への技術展開も進めています。磁性材料、封止材、ABF-RCC(樹脂付き銅箔)などの開発を通じて、半導体材料領域での価値提供を拡張するとともに、2030年以降を見据え、バイオエレクトロニクスをはじめとする新たなICT分野についても外部パートナーと連携した探索活動を行っています。
このように、当社グループのICT分野におけるオープンイノベーションは、単独技術の開発にとどまらず、共創エコシステムと高速開発を両輪とすることで成立しています。今後も、社会やユーザーのニーズを先取りしながら技術を進化させ、半導体産業に不可欠なイノベーションプロバイダーとして、スマート社会の実現に貢献していきます。

-グリーン領域-
当社グループは、強みであるアミノサイエンス®を活かし、サステナブルな食システムの構築やアグロ事業を通じ、2030年にGHG削減のポジティブインパクト160万トン/年の創出を目指しています。グリーン領域では、グリーンフード事業、アグロ事業、畜産飼料事業を通じて、持続可能な地球環境及び生活者のWell-beingに貢献するサステナブルな食の提供に共に取組みます。
昨年から先進国事業モデルの開発と実証をシンガポールからスタートし、「Atlr.72®(アトリエ・セブンツー)」ブランドのスイーツを販売しています。今年度は主食カテゴリーに展開し直営店での販売実証と改良をアジャイルに行い継続需要が見込めた製品を加工食品として一般小売チャネルに広げていく高速開発モデルを実践します。
また、次世代のサステナブルな食の拡大に向けて、植物性たんぱく質を活用した「次世代のサステナブルな食(バージョン2)」を展開するオーストラリアのv2food Pty Ltd(v2フード社)への出資を行いました。これによりv2フード社が有する植物性たんぱく質に関する知見及び技術と、当社の「おいしさ設計技術®」やグローバルな事業基盤を組み合わせた、より環境負荷の低い素材・食品の開発と社会浸透を加速していきます。

アグロ事業では、バイオスティミュラント事業を中心に、農業の効率化、作物の高品質化、環境負荷の低減に貢献しています。日本政府とブラジル政府が推進する日伯グリーン・パートナーシップ・イニシアティブ(日伯GPI)の取組みの一つである「ブラジル劣化農地回復モデルに向けた実証調査」プロジェクトにパートナーとして参画することを決定し、ブラジル国内のモデル農場にて、液体葉面散布剤「AJIFOL®」「AMINO Arginine」等のバイオスティミュラント製品を提供し、その効果を検証します。副生物の有効活用と、農地への還元を通じたバイオサイクルの確立により、持続的なアグリフードシステムへの貢献を目指します。
さらに、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「バイオものづくり革命推進事業」に対し、当社は「環境保護と食品供給の安定化を実現する精密発酵技術の開発」を提案し採択されました。本研究では、当社が培ってきた発酵生産の知見と独自の先端バイオ技術に加え、AIやシミュレーションを活用して、目的たんぱく質を効率的かつ安定的に商業生産するための生産プロセス開発の高度化・迅速化を進め、社会実装を見据えた技術基盤の強化を図ります。

全社に係わる研究開発費は、10,382百万円です。


事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00436] S100Y992)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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