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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100YGGI (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 鹿島建設株式会社 研究開発活動 (2026年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等


当社グループは、中期経営計画に基づき、施工自動化やAI活用、木材利用促進、革新的な制震技術など中核事業の一層の強化に資する技術とともに、社会課題解決型ビジネスやオープンイノベーションによる新たな価値創出への挑戦を目指して、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーの実現に寄与する環境配慮型技術などの開発を進めている。
当連結会計年度における研究開発費の総額は242億円であり、主な成果は次のとおりである。なお、当社は研究開発活動を土木事業、建築事業のセグメントごとに区分していないため建設事業として記載している。

(建設事業)

1 当社

(1) 国内建設事業を深める
① 自動化施工システム「A4CSEL※」 4機種連携により盛土の一連作業を自動化
当社は、建設機械の自動運転を核とした自動化施工システム「A4CSEL※」(クワッドアクセル)の開発と現場適用を進める一環で、バックホウとアーティキュレートダンプトラック(*1)の2機種を新たに自動化した。これらと、すでに自動化しているブルドーザ、振動ローラの4機種の連携作業により、盛土作業を構成する積込み、運搬、敷均し、転圧にいたる一連の作業の自動化を実現した。これにより、自動化施工が可能な作業が増え、造成工事における更なる生産性向上が可能となる。
*1:A4CSELが導入している従来のダンプトラックに比べ、アーティキュレートダンプトラックは中折れ機構のため、より悪路の走行、小範囲での旋回が可能

② 高速道路高架橋の耐震補強にUHPFRC(*2)を初適用
当社は、超高性能繊維補強セメント系複合材料(UHPFRC)を、長野自動車道(特定更新等)岡谷高架橋改良工事(2018年度)におけるRC(鉄筋コンクリート)橋脚の耐震補強において、高速道路高架橋へ初適用した。大規模地震への備えとして、従来の耐震補強工法と併用し、地震で損傷しやすいRC橋脚基部のかぶりコンクリートの一部にUHPFRCを適用することで、橋脚の断面積や自重を大きく増やすことなく耐震性能を飛躍的に高めることが可能となる。
*2:Ultra High Performance Fiber Reinforced cement-based Composites
水結合材比が15%程度で極めて緻密なセメント系材料を繊維で補強したもので、本工事の耐震補強で適用したUHPFRCの規格値は圧縮強度150N/mm2

③ 橋梁の損傷・健全度診断を支援するWebシステム「BMStar※_AI」を開発・運用
当社は、青森県と共同で、橋梁点検をAIが支援するWebシステム「BMStar※_AI」(ビーエムスター・エーアイ)を開発し、同県が管理する橋梁の定期点検で運用している。本システムは、損傷箇所の画像をAIが識別することによって、橋梁の損傷範囲・程度の検出・区分評価及び健全度診断を支援するもので、これを活用することにより、橋梁を点検する専門技術者の経験や技量の差による影響を抑えた正確な診断が可能となり、点検精度が向上する。本システムの普及展開により、維持管理事業を取り巻く社会課題である点検技術者の担い手不足を補うとともに、技術力向上を支援することで、橋梁維持管理事業の推進に貢献することが可能となる。

④ 太径鉄筋を全自動で配筋する「鉄筋自動プレファブ工法」を開発
当社は、カジマメカトロエンジニアリング㈱、スターテクノ㈱及び岡部㈱と共同で、鉄筋コンクリート構造物の施工効率の向上を目的とした「鉄筋自動プレファブ工法」を開発し、東北電力原子力発電所内の関連工事に導入した。本工法は、多関節型ロボットと専用ツールを用いて、鉄筋を全自動でプレファブ化する技術であり、建設現場内(オンサイト)にて太径鉄筋(*3)の配筋・結束を全自動化することで、大型鉄筋ユニットを効率的に製造する。本工法により、人による重量物作業を大幅に削減して安全性を向上させるとともに、従来の鉄筋プレファブ工法に比べ歩掛(*4)を約50%向上させることが可能になる。
*3:D35及びD38(直径約35mm、重さ7.51kg/m及び約38mm、8.95kg/mのネジ節棒鋼)
*4:作業を行う場合の作業手間を数値化したもの

(2) 技術立社として新たな価値を創る
① 下水道光ファイバを活用した地中空洞化調査技術の開発を開始
当社は、NTT東日本㈱、東京大学生産技術研究所、東京都下水道局及び東京都下水道サービス㈱と共同で、国土交通省が公募した「2025年度 上下水道科学研究費補助金」に採択され、「光ファイバケーブルを用いたセンシング技術による地中空洞化検知に関する研究」を開始した。埋設管の損傷などによる道路陥没が年間1万件を超えるなど、大きな社会課題となる中で、人的被害につながる恐れのある地中深くの大きな空洞を早期に検知すべく、本研究では通信用・下水道光ファイバケーブルで捉える地盤振動特性の変化から異常を検知するモデルの構築・評価を行い、深度2m以上の地中の異変を光ファイバで検知できることを明らかにしていく。


② 自治体初のCO2の地産地消型コンクリート製造の実現に向け横浜市と連携協定を締結
当社と横浜市は、ごみ焼却工場の排ガスから回収したCO2の新たな活用方法として、コンクリートにCO2を吸収・固定させた製品を製造し、市内での活用に向け検討を進めることを目的に、「地域資源を活用した環境配慮型コンクリートのモデル構築に向けた連携協定書」を締結した。当社の「CO2-SUICOM※(*5)(*6)」(シーオーツースイコム)技術により、横浜市域のごみ焼却工場の排ガスから分離・回収されたCO2を吸収・固定させたコンクリート製品を製造し、市内で活用する「自治体初のCO2地産地消モデル」の構築を共同で目指す。
*5:CO2-Storage Utilization Infrastructure by Concrete Materials
*6:当社、中国電力㈱及びデンカ㈱の登録商標

③ 既存建物の機能と耐震性を同時に向上させる増築制震技術「E3SKY(*7)」を初適用
当社は、既存建物の機能と耐震性を同時に向上させる増築制震技術「E3SKY」(イースカイ)を開発し、当社技術研究所本館(東京都調布市)の増築制震リニューアル工事に適用した。本技術は、既存のRC(鉄筋コンクリート)造の上に増築を行い、その増築部を既存建物に対するTMD(*8)として利用するものである。時代背景や社会環境などに応じた建物への要求機能の変化に対応しつつ、耐震性を大きく高めて建物を永く使い続けることができる、サーキュラーエコノミーにも資する技術である。既存中低層建物のリニューアルに本技術を適用することで、より快適でより安全・安心な建物を実現する。
*7:Energy dissipation×Expansion×Environment of Simple Kajima stYle(鹿島式増築制震技術)
*8:Tuned Mass Damper(同調質量型制震装置)

④ 国内唯一の高温固定床式・小型メタン発酵装置「メタクレス※・ミニ」を開発
当社は、㈱ヴァイオスと共同で、国内で唯一の高温固定床式・小型メタン発酵装置「メタクレス※・ミニ」を開発した。本装置は、高効率な処理性能を有しながら、装置のサイズがコンパクトであるため小スペースに設置できることが最大の特長である。本装置の導入により、設置スペースの制約や導入費用などの理由から普及が遅れていた食品製造工場や商業施設などにおいて、排出される少量のバイオマス(*9)からのエネルギー創出とカーボンニュートラルへの取組みを同時に実現することが可能となる。また、周辺地域の未利用バイオマスも原料とすることで、より広範囲な再生可能エネルギーの地産地消も可能となる。
*9:食品廃棄物をはじめとする有機性廃棄物

(3) サステナビリティ
① 2種類の環境配慮型コンクリートを国土交通省の直轄工事に大量適用
当社は、山鳥坂ダム仮排水トンネル工事(愛媛県大洲市)に、当社らが開発した2種類の環境配慮型コンクリートを大量に適用した。「ECM(エネルギー・CO2・ミニマム)コンクリート※(*10)」を912.4m3、「CO2-SUICOM※」製の埋設型枠を273枚(163.8㎡)導入することで、当初計画のコンクリートで施工した場合と比較して、CO2排出量を約45t削減し、仮排水トンネルのインバート(底版)コンクリート全体のCO2排出量のうち約12%のCO2を削減することに成功した。ECMコンクリートやCO2-SUICOMをはじめとする環境配慮型コンクリートをさまざまな構造物へ積極的に展開し、「国土交通省土木工事の脱炭素アクションプラン」及び「2050年のカーボンニュートラル」の実現に貢献していく。
*10:当社及び㈱竹中工務店の登録商標

② 木造制震構造「欄間制震システム※」を採用した木造フラッグシップビルとして自社支店ビルを建替え
当社は、自社の東北支店ビル(仙台市青葉区)を、純木質耐火集成材及び新開発の木造制震構造「欄間制震システム※」を採用した本格的な木造建築に建て替え、当社の木造中高層建築のフラッグシップビルと位置付ける。本ビルは、超高層ビルと同等の耐震設計基準を満足する高い安全性を有するだけでなく、執務スペースは多柱空間で木に囲まれ、心身の健全性向上をもたらす、快適なワークプレイスとなる。また、構造材の一部には社有林からの産出材を使用する。当社は本ビルを契機に、社有林をはじめ建築への国産材活用を積極的に進め、森林の再生を促すことで脱炭素社会の実現に貢献する。

③ 無垢の杉材を用いた木質耐火被覆工法「Tie-KaSOLID※」を中低層鉄骨造建物に実適用
当社は、シンプルかつスリムで自然な木目の美しさを有する木質耐火被覆工法「Tie-KaSOLID※」(タイカソリッド)を開発し、神姫バス姫路本社ビル(兵庫県姫路市)に実適用した。本工法は、中低層鉄骨造建物の柱部材に必要な1.5時間の耐火大臣認定を取得しており、鋼管柱を囲うように無垢の杉材「KaSOLID※(*11)」(カソリッド)をつなぎ合わせて施工する工法である。KaSOLIDは、日本国内に多数存在しながら商業利用が進まない杉の大径木から、無駄なく大型板を切り出すとともに、部材寸法を標準化して乾燥効率の最適化を図ることで、製材コストを抑えたものである。本工法により鉄骨造建物において木質空間を実現可能にするとともに、脱炭素社会の実現に貢献する。
*11:Kajima Simple and Optimum-cutting Lumber with Intentioned Dimension

④ 世界最高レベルの制震効率を発揮する電気不要の環境配慮型オイルダンパー「HiDAX※-Re」を開発
当社は、建物制震用オイルダンパーとして世界最高レベルの制震効率を発揮する、電気不要の環境配慮型オイルダンパー「HiDAX※-Re」(ハイダックス・アールイー)を開発し、当社が施工した栄トリッドスクエア※(名古屋市中区)に適用した。本技術は、開発済のセミアクティブ型(*12)制震オイルダンパー「HiDAX-R」の振動エネルギー回生システム(VERS(*13))を世界で初めて完全パッシブ化(*14)したもので、発生頻度の高い震度4~5クラスの地震による揺れや長周期地震動に特に高い制震効果を発揮する。また、停電の影響を受けない、電気工事やコントローラなどの付属品が不要、維持管理において電気部品の交換が不要でメンテナンスフリーといった特長がある。本技術により制震効率と経済性、取り扱い易さを高次元で実現することが可能になる。
*12:わずかな外部電力を用いて制御する方式
*13:Vibration Energy Recovery System
*14:外部からのエネルギーを一切必要としないこと

⑤ 森林の地下水涵養機能(*15)を科学的かつ高精度に評価する技術を開発
当社は、森林が持つ地下水涵養機能を科学的かつ高精度に評価する技術を開発した。本技術は、森林内に設置した計測用センサで降水量や水分蒸発散量の実測データを取得し、間伐などの手入れ(森林施業)によって地下水量の豊かさが促進される効果を定量的に把握するものである。本技術により、持続可能な水資源管理や科学的根拠に基づく新しい森林管理の普及を実現する。
*15:雨水や雪解け水を地中に浸透させ、地下水として蓄える機能

(国内関係会社)
1 鹿島道路㈱
(1) アスファルト混合物製造技術の開発
水や添加剤を使用せず空気のみでアスファルトを微細気泡化するエアフォームドアスファルト技術を開発した。本技術は、中温化技術による製造・施工時の温度低減効果に加え、微細気泡化することでベアリング効果が長時間継続され、締固め性能及び施工性の向上を実現した。また、CO2排出量の削減や広域運搬への対応を可能とし、環境負荷低減と生産性向上に寄与する。

(2) 施工技術の高度化
建設機械自動化に向けて、ホイールローダの自動運転に向けた基礎技術開発に注力した。電動ホイールローダを導入し、遠隔操作化、車両位置の把握、自動走行経路の作成、センサーによる対象物検知等の技術の確立に注力するとともに、将来のアスファルトプラントにおける自動制御技術に向けた開発基盤を整備した。

2 ケミカルグラウト㈱
高圧噴射撹拌工法による杭補強工法の研究開発
既存建物基礎の耐震補強を目的として、高圧噴射撹拌工法を用いた杭基礎の補強工法を開発した。本工法は、国土強靭化に資する技術としてBRAIN事業(*16)に採択された。実大水平載荷試験の結果、杭基礎の水平剛性及び回転剛性が向上し、水平抵抗力が2倍程度に増加することが確認され、5年間にわたる研究開発は、事業目標達成の評価を得た。
また、本工法は、エコタイト※-S工法(*17)の小型施工機を用いることで、建築物を供用しながら日常生活や事業活動を妨げずに杭補強が可能である。
今後、大地震時の防災拠点となる公共施設や工場のBCP対策への本工法の適用を目指し、ゼネコンや建築設計事務所などと連携した技術営業を推進していく。
*16:Building Research Aid for Implementing New technologies(国立研究開発法人建築研究所の革新的社会資本整備研究開発推進事業)
*17:一般財団法人日本建築総合試験所の建築技術性能証明を取得済の本設基礎に適用できる高圧噴射撹拌工法

(開発事業等及び海外関係会社)

研究開発活動は特段行われていない。

(注) 工法等に「※」が付されているものは、当社及び関係会社の登録商標である。

事業等のリスク株式の総数等


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