有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100XRP4 (EDINETへの外部リンク)
ペプチドリーム株式会社 研究開発活動 (2025年12月期)
当社グループの研究開発は、放射性医薬品(RI)領域においてはPDPSを活用することによる自社プログラムまたは提携プログラムとして革新的な放射性治療薬・診断薬の創製・開発を実施しています。また、ペプチドリームの100%子会社であるPDRファーマを通じてこれらのプログラムや海外製品の導入により、国内における放射性医薬品の臨床開発を実施しています。Non-RI領域については、PDPSを活用することによる自社創薬及び世界中の特別な技術を有する創薬企業、バイオベンチャー企業、アカデミア等と戦略的な提携を組むことで、ペプチド医薬品、PDC、MPC等に関する創薬研究開発を実施し、パイプライン拡充を図っています。
(A)放射性医薬品(RI)領域
当社グループは、日本国内で放射性医薬品事業を推進する上で必要となる創薬研究・開発から製造、販売に至るまですべての機能を一気通貫で有しています。ペプチドリームの100%子会社であるPDRファーマでは、放射性治療薬・診断薬(A-1)および医療機器やデジタルソリューション(ソフトウェア、ハードウェア)ならびにその他サービス等(A-2)の製造や販売等を行っています。また、ペプチドリームではPDRファーマとの連携により、自社プログラムまたは提携プログラムとして革新的な放射性治療薬・診断薬(A-3)の創製・開発を実施しています。腫瘍の縮小効果をもつ放射性核種をがん細胞に選択的に送達するためのキャリアーとして環状ペプチドの有用性が次々と示される中、両社のシナジーを最大限発揮することにより、革新的で高付加価値の放射性医薬品を開発・販売するとともに、海外の製薬企業から有望な放射性医薬品を導入することにより放射性医薬品領域での成長を目指しています。
(A)-1 当社グループが販売・提供している医療機器・デジタルソリューション
PDRファーマを通じて当社グループが日本国内で販売・提供している医療機器やデジタルソリューション(ソフトウェア、ハードウェア)は以下の通りです(2026年1月末時点)。ソフトウェアの多くは放射性治療薬や放射性診断薬を販売している医療機関に対して、無償で提供しています。
· Bridgea INJECTOR:PET用放射性医薬品の自動投与装置。5mL・10mLバイアルに対応が可能。全体を鉛で遮蔽することで従事者被ばくを軽減。PDRファーマを通じて日本国内で販売。
· Bridgea DISPENSER:医薬品製造会社から供給される放射性医薬品の専用容器内の複数本のバイアルからリクエストに応じた薬液を抜き取り、必要な薬液量に調整する自動装置。2025年9月に薬液抜き取り作業の負担と被ばく量を大幅に軽減することを目的に集液機能を追加いたしました。PDRファーマを通じて日本国内で販売。
· Bridgea GATEWAY:Bridgea INJECTORの投与結果を核医学医療被ばく線量管理の国際標準データフローに従った規格に変換。手入力不要で正確にデータを院内システムに送信。PDRファーマを通じて日本国内で販売。
· Bridgea TIMER:PET検査の時間管理を従事者で共有するソフトウェア。Bridgea GATEWAYからのデータを活用し、従事者間の意思疎通を支援します。PDRファーマを通じて日本国内で販売。
· Bridgea TIMER Guide:PET検査進行案内システム。PET検査の被検者への案内をメッセージや音声で自動表示。業務の効率化と従事者の被ばく低減に貢献します。PDRファーマを通じて日本国内で販売。
· onti:医療被ばく線量の電子記録・管理・最適化を支える情報システムであり、患者情報の取得、投与ミスの防止、投与量の自動計算、放射性医薬品使用記録の作成などの運用支援機能を含んでいます。X線診断装置の線量管理はもとより核医学検査支援機能も含めた国際標準のワークフローに準拠しており、コネクタソン合格品です。PDRファーマを通じて日本国内で販売。2025年9月にontiのオプションとして、核医学検査スケジュールソフトウェア「onti dandori」の販売を開始しました。本ソフトウェアは、核医学検査の複雑なスケジュールを整理して視覚化することで、誰でもわかりやすく業務を遂行できる、医療の質と安全性を両立させるためのサポートツールです。
· ankan®:医療安全管理システム。医療被ばく線量情報を国際標準規格に対応した形式で自動的に記録・管理します。PDRファーマを通じて日本国内で販売。
· AMYclzニューロ®:患者のアミロイドPET画像とMRI画像を重ね合わせ、SUVrやセンチロイドスケールなどの定量指標を算出し基準画像データベースと比較することで、アミロイドβの分布や統計情報を視覚的に表示します。PDRファーマを通じて日本国内で販売・提供。
· ボーンナビ®BSI:骨シンチ画像の解析を行うために開発された画像解析プログラムであり、診断用画像機器から得られる骨シンチグラフィ画像の定量化を可能にします。ボーンナビは、骨シンチ画像から人工ニューラルネットワーク(ANN)、骨全体に対する高集積部位の面積割合(BSI)、高集積部位数等の値を算出し、骨病巣に関する情報提供を行います。PDRファーマを通じて日本国内で販売・提供。
· カーディオレポ®:SPECT画像診断装置等から提供される心筋血流画像を利用し、各種心筋パラメータ表示する心筋血流・機能解析プログラム。主に虚血性心疾患の診断支援や心機能の評価に利用されます。PDRファーマを通じて日本国内で販売・提供。
· AMYfollowTM:アミロイドPET検査(アミヴィッド®静注)で得られた画像(治療前後)を並べて表示させた経時変化レポートを提供するレポート作成支援ソフトウェア。わかりやすく視覚的に整理されたレポートは、患者さんへの説明や、医療従事者間の情報共有を支援します。PDRファーマを通じて日本国内で販売。
· eZISニューロ®:脳血流画像の解剖学的標準化を行い脳血流に関する情報提供を行う脳画像統計解析プログラム。PDRファーマを通じて日本国内で販売・提供。
(A)-2 放射性医薬品(RI)領域の開発パイプライン
当社グループにおける放射性医薬品(RI)領域の開発パイプラインは以下の通りです。(2026年1月末時点)
![]() |
· 64Cu-ATSMプログラム:
適応症:再発・難治性悪性神経膠腫
モダリティ:64Cuで標識したジアセチルビスN4-メチルチオセミカルバゾン(リンクメッド社創製)
提携先:リンクメッド株式会社(リンクメッド)
開発ステータス:
64Cu-ATSMは現在、悪性脳腫瘍の中でも治療の選択肢が限定的と言われる再発・難治性悪性神経膠腫の患者さんを対象に、これまでの標準治療と比較して、生存期間を延長する効果がどの程度得られるかを検証するためのランダム化比較第3相医師主導治験(STEP-64試験、試験番号NCCH2301、jRCT2031240090)を、国立がん研究センター、神奈川県立がんセンターが主体となる形で実施されています。リンクメッドは、悪性神経膠腫・中枢神経系悪性リンパ腫などの悪性脳腫瘍や転移性脳腫瘍の患者さんを対象とした64Cu-ATSMの第1相医師主導臨床試験(STAR-64試験、試験番号NCCH1711)を完了したことを2024年6月に発表し、その結果を米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology: ASCO2024)で報告しています。
本試験の結果、64Cu-ATSMの安全性・寛容性に関して良好な結果を確認し、悪性脳腫瘍の患者さんに対する64Cu-ATSMの投与量として、99MBq/kgの7日ごとに4回の投与が推奨されるとの結論が得られました。有効性に関しては、全生存期間はあくまで副次的な評価項目ですが、64Cu-ATSMを投与した患者さん18人のうち14人(77.8%)が6か月以上、12人(66.7%)が1年以上生存されました。特に、膠芽腫の患者さんにおいては、9人のうち5人(55.6%)が1年以上生存されました。一般的に再発した膠芽腫の患者さんにおいて1年以上の生存率は30~40%であり、第1相臨床試験の結果は初期的ながら有望なものとして、第3相臨床試験に進めるための根拠となりました。本試験は、国立がん研究センター中央病院 臨床研究支援部門が支援し、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の研究費をもとに、第1相から第3相に進んだ初めての医師主導治験です。
プログラム詳細:
多くの腫瘍においては、がん細胞の急速な増殖と、新生血管からの不十分な酸素供給により腫瘍内部が酸素の乏しい低酸素状態になっていることが知られています。64Cu-ATSMは低酸素状態の組織に集積する性質を有することから、がん細胞のDNAにダメージを与え細胞死へ導く64Cuを腫瘍に送達することを可能とし、各種腫瘍への治療効果が期待されています。悪性脳腫瘍は、日本国内だけでも、毎年約4,000~5,000例が罹患すると報告されています。5年生存率は約15.5%、生存期間の中央値は約18カ月、再発率が約51%と非常に予後の悪いがんの一つとして知られています。現状、外科手術、放射線治療、化学療法等の既存の治療法で十分な効果が得られず再発した場合には、有効な治療法が確立されていません。2023年12月、当社グループはリンクメッドと戦略的パートナーシップに合意しました。今後の開発・商業化において必要となるコストおよび製品上市後に得られる収益を両社間で分配します。リンクメッドが主体となって64Cu-ATSMの開発を進め、PDRファーマが主体となって国内での承認申請および商業化にむけた準備を進めてまいります。またリンクメッドは、2025年11月に64Cuを用いた放射性医薬品の国内における量産体制構築に向けて最先端の工場を千葉市内に建設いたしました。
· 177Lu/64Cu-PSMA I&Tプログラム:
適応症:前立腺がん
モダリティ:
前立腺がん細胞上に発現されるPSMA(prostate specific membrane antigen、前立腺特異的膜抗原)を標的とし、177Lu(治療用、177Lu-PSMA-I&T)または64Cu(診断用、64Cu-PSMA-I&T)で標識した低分子化合物(PSMA I&T)(Curium社創製)
提携先:
Curium社(Curium社は海外の開発販売権を保有し、Curium社とPDRファーマは共同で日本国内での開発・商業化を実施いたします。)
開発ステータス:
177Lu-PSMA-I&Tおよび64Cu-PSMA-I&T は現在、国内承認取得を目指した臨床試験を実施しております。2026年2月4日発表の通り、177Lu-PSMA-I&T は、2025年国内承認取得を目指した臨床試験において最初の患者投与を開始しました。本成果は、2025年10月に発表した64Cu‑PSMA‑I&T診断薬の国内承認取得を目指した臨床試験の開始に続くものです。
177Lu-PSMA-I&T(jRCT2011250026)の臨床試験においては、転移性去勢抵抗性前立腺がん患者さんを対象に177Lu-PSMA-I&Tの有効性および安全性を評価します。また、64Cu-PSMA-I&Tの臨床試験(jRCT2031250225)においては、初発の前立腺がん患者さんを対象に 64Cu-PSMA-I&T PET/CTの診断性能を評価します。2024年11月、Curium社は、グローバル第3相ピボタル試験(ECLIPSE試験、 ClinicalTrials.gov identifier; NCT05204927)において、177Lu-PSMA-I&T治療薬の患者登録を完了し、主要評価項目を達成したことを発表しました。ECLIPSE試験は、多施設オープンラベルランダム化試験法を用い、転移性去勢抵抗性前立腺がん患者における177Lu-PSMA-I&Tの安全性および有効性をホルモン療法と比較検討しています。本試験には欧米51施設から400名以上の患者が登録されています。
64Cu-PSMA-I&T PET診断薬では、現在2つの第3相臨床試験(多施設)が実施されています。SOLAR RECUR試験は、生化学的再発を呈する前立腺がん患者の診断を目的とした臨床試験であり(ClinicalTrials.gov識別子 NCT06235099)、現時点で200名以上の被験者が登録されています。SOLAR STAGE試験は、予後不良、中間リスクから高リスクの前立腺がん患者および新規に診断された男性を対象とした臨床試験です(ClinicalTrials.gov識別子 NCT06235151)。第1/2相臨床試験(SOLAR試験)では、ファースト・イン・ヒューマン試験として、組織学的に確認された転移性前立腺がん患者に対して領域レベルの病変検出率および患者レベルの病変検出率という二つのプライマリーエンドポイントを達成しました。
2024年10月、PDRファーマはCurium社と、177Lu-PSMA-I&Tおよび64Cu-PSMA-I&Tの日本国内における臨床開発、承認申請、商業化に関する戦略的提携の締結を発表しました。本提携においてPDRファーマとCurium社は177Lu-PSMA-I&Tおよび64Cu-PSMA-I&Tの日本国内における臨床開発を共同で実施し、PDRファーマが承認申請、製造、販売を主導します。Curium社は、両剤の海外における開発を主導し、またCurium社が独自に保有する64Cuのハイスループット製造技術の技術移転等を通じてPDRファーマによる国内製造体制の立ち上げを支援します。PDRファーマとCurium社は、両剤の国内での開発コストや商業化以降の利益をシェアいたします。
プログラム詳細:
前立腺がんは日本において患者数が拡大しており、年間の新規患者数は約9万人~10万人と報告されています。転移性去勢抵抗性前立腺がんの臨床試験での全生存期間は約3年で、実際にはさらに短いとも言われており、治療に対する大きなアンメットニーズが存在しています。64Cuを用いた診断薬(64Cu-PSMA-I&T)は、68Ga(半減期:68分)や18F(半減期:110分)等のPET診断薬の核種と比較して半減期が長い(12.7時間)という特徴があり、国内の医療機関における取り扱いや患者さんの診断ワークフローにおいてより高い柔軟性をもたらすことが期待されます。
· 225Ac/68Ga-GPC3(RYZ-801/811)プログラム:
適応症:肝細胞がん(HCC)
モダリティ:
225Ac (治療用)または68Ga (診断用)で標識したグリピカン-3(GPC3)を標的とする環状ペプチド(PDPS®を用いて創製)
提携先:
Bristol-Myers Squibb社(BMS社)傘下のRayzeBio社(2024年にBMS社により買収。RayzeBio社/BMS社は225Ac/68Ga-GPC3の全世界での開発販売権を有しており、ペプチドリームは日本の開発販売権に関するオプション権を保有しています。)
開発ステータス:
現在、肝細胞がんの患者さんを対象としたRYZ-801の安全性・忍容性・線量、初期的有効性、およびRYZ-811の安全性・忍容性・体内分布を確認するための第1/1b相臨床試験が実施されています(ClinicalTrials.gov identifier; NCT06726161)。
プログラム詳細:
本試験は用量漸増試験と拡大試験の2つのパートから成ります。両パートにおいて、患者さんに対してまず68Ga-RYZ811を用いたPET/CTまたはPET/ MRIスキャンを行い、225Ac-RYZ801による治療の適格性を判断します。用量漸増パートでは、225Ac-RYZ801の投与量を漸増させ、推奨量を決定します。拡大試験では、用量漸増試験で決定した推奨量の225Ac-RYZ801を投与し、安全性と初期的有効性を検討します。
肝臓がんは米国におけるがんによる死因の中で6番目に多く、年間死亡者数は29,380人と推定されています。肝臓がんの患者さんにおける5年生存率は約20%であり、特に肝臓がんが進行した患者さんでは生存率が低いことが知られています。GPC3は、75%の肝細胞がんで過剰な発現が認められるがん胎児性タンパク質であり、正常組織では全くまたは僅かしか発現が見られません。225Ac-RYZ801は治療薬として開発を進めており、HCCに225Acを送達するためにGPC3を標的とする、新規・独自のペプチドです。68Ga-RYZ811は、225Ac-RYZ801と同一のペプチドで68Gaを送達するPET診断薬であり、臨床試験や治療の際に、225Ac-GPC3による治療効果が得られる可能性が高いGPC3を発現するHCCの患者さんをスクリーニングし、特定することを目的に開発されています。
· 177Lu/68Ga-FAP(FXX489)プログラム:
適応症:
固形がん(局所進行性または転移性浸潤性膵管がん(PDAC)、非小細胞性肺がん(NSCLC)、HR陽性/HER2陰性の小葉がんおよび乳管がん、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)、大腸がん(CRC))
モダリティ:177Lu (治療用; 177Lu-NNS309)または68Ga(診断用; 68Ga-NNS309)で標識した線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)を標的とした環状ペプチド(PDPS®を用いて創製)
提携先:Novartis社(Novartis社は同プログラムの全世界商業化権を保有。)
開発ステータス:
現在、固形がんの患者さんに対して177Lu-NNS309の安全性、忍容性、線量、初期的有効性、および68Ga-NNS309の安全性とイメージング剤としての特性を検証するための第1相臨床試験(オープンラベル、多施設)が実施されています(ClinicalTrials.gov identifier; NCT06562192)。FXX489についてNovartis社は、2025年4月27日にAmerican Association Cancer Research (AACR)年次総会2025において、“FXX489, a FAP targeting ligand with best-in-class potential for radioligand therapy”(FXX489、FAPを標的としたベスト・イン・クラスのポテンシャルを持つ放射性リガンド療法)というタイトルで発表を行いました。
プログラム詳細:
本試験は用量漸増試験と拡大試験の2つのパートから成ります。両パートにおいて、患者さんに対してまず68Ga-NNS309を用いたPET/コンピュータ断層撮影(CT)またはPET/磁気共鳴画像(MRI)スキャンを行い、177Lu-NNS309による治療の適格性を判断します。用量漸増パートでは、177Lu-NNS309の投与量を漸増させ、推奨量を決定します。拡大試験では、用量漸増試験で決定した推奨量の177Lu-NNS309を投与し、安全性と初期的有効性を検討します。
· 225Ac/64Cu-CA9(PD-32766T/PD-32766D)プログラム:
適応症:淡明腎細胞がん(ccRCC)等のがん
モダリティ:
Carbonic Anhydrase IX (「CAIX(CA9)」)を225Ac(治療用PD-32766T)または64Cu(診断用PD-32766D)で標識した環状ペプチド(PDPS®を用いて創製)
提携先:自社品
開発ステータス:
2025年12月、腎臓がんの患者さんを対象とした 225Ac-PD-32766/ 64Cu-PD-32766の第1相臨床試験開始に向けた IND申請がFDAに承認されたことを発表しました。第1相臨床試験の開始は2026年を予定しています。第1相臨床試験はオープンラベル、多施設で実施され、淡明細胞型腎細胞がんの患者さんに対する225AcPD-32766の安全性、忍容性、吸収線量、初期的有効性を検証するとともに、64Cu-PD-32766の安全性、イメージング特性を確認する予定です(ClinicalTrials.gov identifier; 申請中)。淡明細胞型腎細胞がん(ccRCC)患者さんを対象としたヒューマン・イメージング試験(特定臨床研究(第0相試験)、以下「本特定臨床研究」)が国立研究開発法人国立がん研究センターで実施されました。本特定臨床研究においては、合計で5名のccRCC患者さんが登録され、64Cu-PD-32766の投与の後、PET/CTによるイメージング検査が実施されました。64Cu-PD-32766の投与は十分な安全性・忍容性を示し、有害事象は認められず、5名すべての患者さんにおいてがん組織への蓄積が確認されました。本特定臨床研究の結果は米国臨床腫瘍学会泌尿器腫瘍シンポジウム(ASCO-GU 2025)で発表しました。また前臨床試験の結果を2025 米国核医学会年会(SNMMI)、2025 欧州核医学会(EANM)年次大会で発表しました。
プログラム詳細:
CA9は炭酸脱水酵素ファミリーの一員であり、RCC、膠芽腫、トリプルネガティブ乳がん、卵巣がん、大腸がん等の様々な固形がんで発現していることが知られています。RCCは米国内のがん患者数において9番目に多いことが知られており、全世界でがんと診断されて亡くなられる患者さんの約2%を占めています。また、5年生存率は12%と、予後の悪いがんとしても知られています。2020年には全世界で431,288人の患者さんが腎臓がんと診断され、そのうち約9割が腎細胞がんと推定されています。RCCには主に淡明細胞型(ccRCC)、乳頭状(pRCC-type1およびtype2)、嫌色素性(chRCC)等があり、RCC症例の約70%をccRCCが占めています。
CA9は淡明腎細胞がんに高発現(95%以上)する細胞表面のがん抗原で、正常細胞ではほとんど発現しないことから、淡明腎細胞がんの診断・治療における重要な標的として注目されています。RCC異種移植腫瘍モデルの前臨床研究において、CA9結合ペプチドは特異的な腫瘍取り込み、および単回投与による退縮を含む有意な腫瘍増殖阻害を示しました。治療薬と同じペプチドを用いたPET診断薬は、臨床試験や治療において、225Ac-CA9治療に良好な反応を示す可能性が最も高いCA9発現がんを有する患者さんを選別、特定することを可能にすると考えています。従来のがん治療薬に対して標的型の放射性医薬品を開発する重要な利点は、治療薬と同じペプチドを用いた診断薬で対象となる患者さんのイメージングデータを早期に取得する (第0相試験)ことで、薬剤の生体内分布・薬物動態・がん組織への集積等に関する情報を得ることができ、診断薬の有用性や治療薬の有益性の可能性について初期的な知見が得られるという点です。さらに、その際に得られる情報を活用しその後の第1相臨床試験および第2相臨床試験をデザインすることで臨床開発を加速することができるという利点もあります。
· Novartis社プログラム(放射性核種・標的は非開示):
適応症:がん
モダリティ:環状ペプチド(PDPS®を用いて創製)
提携先:Novartis社(Novartis社は同プログラムの全世界商業化権を保有)
開発ステータス:
IND申請の準備は完了しており、安全性、忍容性、線量を確認するための第1相臨床試験を開始することを予定しています。
· 225Ac/64Cu-CLDN18.2 (PD-29875T/PD-29875D)プログラム:
適応症:固形がん(胃がん、すい臓がん、胆管がん、泌尿生殖器がん、大腸がん等)
モダリティ:
Claudin 18.2(CLDN18.2)を225Ac(治療用PD-29875T)または64Cu(診断用PD-29875D)で標識した環状ペプチド(PDPS®を用いて創製)
提携先:自社品
開発ステータス:
PD-29875TおよびPD-29875Dは安全性 、忍容性、線量を確認するための第1相臨床試験を開始することを目指し、IND申請に向けた各種試験を実施中です。また、第1相臨床試験の開始に先立ち、64Cu-PD-29875の第0相臨床試験を2026年に開始する予定です(jRCTs031250563)。第0相臨床試験は、食道胃接合部がんを含む胃がん患者さんを対象として、64Cu-PD-29875によるPET/CT検査の有効性、安全性、薬物動態及び被ばく線量の評価を目的としています。また、PD-29875の前臨床試験の結果を、American Association Cancer Research (AACR)年次総会2025、および2025 米国核医学会年会(SNMMI)で発表しました。
プログラム詳細:
CLDN18.2はクラウディンファミリーに属するタンパク質であり、上皮組織における細胞間のタイトジャンクション形成因子として機能します。このタンパク質は、胃がん、すい臓がん、胆管がん、泌尿生殖器がん、大腸がんなどの多くの固形がんにおいて発現しています。当社独自の創薬開発プラットフォームPDPS®によって見出されたPD-29875は、PDRファーマにおいて実施されたin vivoイメージングおよび薬効試験をもとに最適化されました。現在、PD-29875のIND申請に向けた試験を開始し、胃がんに対する治療薬(225Ac-PD-29875)と同一ペプチドを用いた診断薬(64Cu-PD-29875)の開発を計画しています。診断薬は治療薬と同一のペプチドとキレーターを使用しているため、CLDN18.2を発現し、PD-29875の治療が奏功することが期待できる患者を臨床試験や治療の際に選別・同定することが可能となります。
胃がんは、2020年の全世界のがん患者数において5番目に多く、がんによる死因において4番目に多いことが知られており、全世界でがんと診断される患者さんの約7%を占めています。また、5年生存率は32%と予後の悪いがんとしても知られています。2020年には全世界で約110万人の患者さんが胃がんと診断され、77万人の方が亡くなられました。また、患者数は2040年までに180万人に増加すると予想されています。
· Cadherin-3 (CDH3) プログラム(標的は非開示):
適応症:固形がん(頭頸部扁平上皮がん、トリプルネガティブ乳がん等のがん)
モダリティ:Cadherin-3 (CDH3)を225Ac/177Lu(治療用)または64Cu/68Ga(診断用)で標識した環状ペプチド(PDPS®を用いて創製)
提携先:自社品
開発ステータス:
2025年12月23日、放射性医薬品における3つ目の自社プログラムとしてCDH-3(頭頸部扁平上皮がん)を標的とした開発候補化合物を発表しました。また、IND申請に向けた準備試験に加え、第1相臨床試験の開始に先立ち、第0相臨床試験の実施可能性についても検討しています。
プログラム詳細:
CDH3、別名P-カドヘリンは、カドヘリンファミリーに属する細胞間接着タンパク質であり、組織構築・形態形成・シグナル伝達に必要不可欠と考えられています。通常は表皮基底層や前駆上皮層で発現していますが、がん組織においては腫瘍の増悪、浸潤性、部分的な上皮間葉転換(EMT: Epithelial Mesenchymal Transformation)と強い関連性をもって過剰発現していることが知られています。腫瘍生物学においてEMTとは、上皮細胞がその構造的な特徴を失い、遊走能を持つ間葉系の性質を獲得することを指し、がん組織において浸潤、転移、さらには治療抵抗性を増大させると考えられています。本開発候補化合物は、当社独自の創薬開発プラットフォームであるPDPS®を用いて創製され、子会社であるPDRファーマで実施されたin vivoイメージング試験・薬効試験をもとに最適化が行われました。当社は治療薬(225Ac/ 177Lu-CDH3)と、ペアとなるイメージング診断薬(64Cu/ 68Ga-CDH3)を、まずは頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)等の固形がんの治療および診断に向けて開発する計画です。このイメージング診断薬は、治療薬と同一のペプチドリガンドが使用されていることから、CDH3を発現し、治療が奏功することが期待できる患者さんを臨床試験や治療の際に選別・同定することが可能となります。HNSCCは、口唇、口腔、咽頭、喉頭、唾液腺の悪性腫瘍であり、発声、嚥下、外見に深刻な影響を及ぼします。HNSCCは全世界で7番目に多いがんであり、年間約89万人の患者さんが新規に診断され、約45万人の患者さんが亡くなられています。手術、放射線治療、がん免疫治療の進歩にもかかわらず、進行性、再発性、治療抵抗性を持つ多くの患者さんにとって、既存の治療は依然として不十分であり、アンメット・メディカル・ニーズが存在しています。
· RayzeBio社/BMS社プログラム(標的は非開示):
適応症:固形がん
モダリティ:225Ac (治療用)または68Ga(診断用)で標識した環状ペプチド(PDPS®を用いて創製)
提携先:
BMS社傘下のRayzeBio社(RayzeBio社/BMS社は全世界の開発販売権を保持しており、ペプチドリームは日本の開発販売権に関するオプション権を保有しています)
開発ステータス: IND申請に向けて準備中
· 18F-PD-L1(18F-BMS-986229)プログラム:
適応症:がんのイメージング
モダリティ:18Fで標識されたPD-L1(programmed death ligand-1)を標的とする環状ペプチド(PDPS®を用いて創製)
提携先:BMS社
開発ステータス:
18F-PD-L1を用いたPET診断による胃食道癌の評価に関する第1相臨床試験(ClinicalTrials.gov Identifier: NCT04161781; 米国Memorial Sloan Kettering Cancer Centerにて実施)が完了しました。本試験では、安全性および有用性という主要評価項目を達成し、その結果はJournal of Nuclear Medicineに掲載されました (2024年5月号: Volume 65, Issue 5: Cytryn et al., 18F-BMS-986229 PET to Assess Programmed-Death Ligand 1 Status in Gastroesophageal Cancer)。18F-PD-L1はPD-L1発現を非侵襲的に可視化し、単一部位の生検では得られない全身の不均一な分布を把握し、PD-L1の発現に関するより包括的な情報を提供する可能性を示しました。
PET診断により18F-PD-L1集積が確認された患者は、第一選択治療としてPD-1阻害薬を使用した場合に無増悪生存期間(PFS)が有意に延長することが示されました(集積あり:PFS中央値28.4か月、集積なし:PFS中央値9.9か月)。このデータは、18F-PD-L1を用いた診断が、抗PD-1治療対象患者の適切な選定および予後予測の改善につながる潜在性を示唆しており、最適な治療法の選択と治療成績の向上に寄与する可能性があります。
(A)-3 放射性医薬品(RI)領域の前臨床・創薬プログラム:
上記の臨床ステージプログラムに加えて、ペプチドリームは標的型ペプチド-放射性核種複合体(RI-PDC)の創薬パイプラインを広範囲に有しており、Novartis社(2019年、2024年)、RayzeBio社(2020年、現BMS社傘下)、Genentech社(2023年)と複数の標的を対象とするRI-PDCに関する創薬分野の提携を行っているほか、自社開発プログラムも拡大しています。これらの取組から生まれたプログラムのうち、臨床候補化合物の選定/IND申請のための試験開始等の段階まで進んだものについてパイプライン表/リストに掲載しています。また、ペプチドリームはRayzeBio社/BMS社およびGenentech社とのすべての提携プログラムについて、日本国内での商業化に関するオプション権を保有しています。
(A)-4 放射性医薬品(RI)領域の臨床段階の導入プログラム:
当社グループは、放射性治療薬および国内での開発・商業化を目的とした放射性医薬品の導入/提携の機会を積極的に模索しています。ペプチドリームが2022年にPDRファーマとの経営統合を完了して以来、両社による3件の提携/導入を実施しました。具体的には、2022年にはLilly社とPET診断薬である18F-フロルタウシピルの日本国内での開発および商業化に関する共同開発契約を締結し、2023年にはリンクメッドと放射性治療薬64Cu-ATSMの日本市場での開発および商業化に向けた戦略的パートナーシップに合意しました。また、2024年にはCurium社と177Lu-PSMA-I&Tおよび64Cu-PSMA-I&Tの日本市場における開発および商業化に関する戦略的提携を締結しました。標的型放射性医薬品の開発企業は世界中で急速に増加しており、その大多数が米国市場に注力している状況において、当社グループはそれらの企業が日本市場への参入を希望する際の「パートナー・オブ・チョイス」となることを目指し、独自の地位を構築しています。さらに、高付加価値プログラムの提携/戦略的導入は、当社グループの自社および共同研究による創薬活動を補完する重要な戦略となっています。
(A)-5 放射性医薬品(RI)領域:その他
現在、記載する項目はございません。
(B)Non-RI領域
当社グループは、放射性医薬品事業に加え、PDPS®(Peptide Discovery Platform System)を中核とする創薬活動において、(1) ペプチド医薬品、(2) ペプチド-薬物複合体(PDC)、(3) 多機能ペプチド複合体(MPC)の分野でリーディング・カンパニーとして各種事業を推進しております。世界的な大手製薬企業や戦略的提携先との提携・ライセンス契約に加え、自社プログラムも着実に拡充しており、ペプチドを用いた次世代の革新的医薬品の創製と開発を目指しています。
(B)-1 Non-RI領域の開発パイプライン
当社グループにおけるNon-RI領域の開発パイプラインは以下の通りです。(2026年1月末時点)
![]() |
· GhRアンタゴニスト(ALXN2420)プログラム:
適応症:先端巨大症
モダリティ:成長ホルモン受容体アンタゴニスト(GHRA)である環状ペプチド(PDPS®を用いて創製)
提携先:Alexion/AstraZeneca社 (Amolyt社は2024年7月にAstraZeneca社により買収)
開発ステータス:
先端巨大症の成人患者さんを対象としたグローバル第2相臨床試験が現在実施されています。第2相臨床試験は、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照、多施設共同の用量探索試験であり、先端巨大症の成人患者さんを対象としてソマトスタチンアナログ(SSA)と併用した皮下投与によるALXN2420の有効性、安全性、薬物動態を評価することを目的として実施されます(ClinicalTrials.gov: NCT07037420)。健常人における安全性、忍容性、薬物動態の評価を目的とし、2024年5月に完了した第1相臨床試験では、ランダム化二重盲検プラセボ対照比較試験として、単回漸増(SAD)および反復漸増(MAD)試験を実施いたしました。SAD試験では、ALXN2420(3名)およびプラセボ(2名)の計5名の被検者について3mg用量の皮下投与が実施され、また、ALXN2420(6名)およびプラセボ(2名)の計8名の被験者について 10, 20, 40, 60, 90, 120mg各用量の皮下投与が実施されました。MAD試験では、ALXN2420(6名)およびプラセボ(2名)の計8名の被験者について 10, 20, 40, 60, 90, 120mg各用量の皮下投与が1日1回、14日間連続で実施されました。すべての被験者について治療の忍容性が確認され、安全性上の懸念は見られませんでした。また、Cmax(※1)およびAUC(※2)の用量依存的な増加が確認されています。ALXN2420の薬物動態半減期は20~22時間と算出されました。SAD試験では、ALXN2420は10mg用量以上の投与群において用量依存的に血中IGF-1濃度を減少させ、高濃度の投与群では72時間にわたり抑制効果を示しました。MAD試験では、用量依存的な血中IGF-1濃度の減少がゆるやかに起こり、その後維持されました。SAD試験の同濃度の群と比較して血中IGF-1濃度を減少させる効果が大きく、投与後2週間にわたり減少効果を維持することが示されました。これは、反復投与による蓄積効果によるものと考えられます。Amolyt社は、新規GhRアンタゴニストであるALXN2420が健常人において血中IGF-1濃度を有意に減少させていることから、今後、先端巨大症の患者さんを対象とする臨床試験へと進めていくことを支持する結果であったと報告しています。
プログラム詳細:
ペプチドリームとAmolyt社(現在はAstraZeneca社の子会社)は2020年12月に戦略的共同研究開発およびライセンスオプション契約を締結し、本契約に基づきGHRA環状ペプチドポートフォリオの全世界の権利のライセンスを受けるオプションを2021年9月に行使しました。第1相臨床試験の結果については、第26回欧州内分泌学会(ECE、2024年5月、スウェーデンストックホルム開催)および2024年米国内分泌学会(ENDO、2024年6月、米国ボストン開催)にて発表されました。
先端巨大症は、成長ホルモン(GH)を分泌する脳下垂体腺腫(良性腫瘍)が原因で生じる慢性の希少内分泌疾患であり、GHの過剰分泌によってインスリン様成長因子(IGF-1)が肝臓で異常に産生されるという特徴があります。先端巨大症の治療目標は、IGF-1濃度の正常化を通じて症状を軽減し、将来の合併症を防止することです。
多くの患者においてソマトスタチンアナログ(SSA)単剤治療では血中IGF-1濃度のコントロールが不十分であることが報告されています。ALXN2420は16アミノ酸からなる二環性ペプチドであり、GH受容体(GhR)に結合してGH刺激によるIGF-1産生を抑制します。これまでの研究により、ALXN2420は血中IGF-1濃度を低下させ、SSAであるオクトレオチドとの併用によりその抑制効果を高める結果が得られ、European Journal of Endocrinologyに掲載されました(2025年3月)。ALXN2420は、SSA単剤治療でコントロールが不十分な先端巨大症患者に対して、SSAとの併用療法を目指して開発されています。
※1 Cmax:最高血中濃度。薬物投与後の血中濃度が最大になった値のこと。
※2 AUC:血中濃度曲線の積分値。薬物が投与後から代謝・排出されるまでにわたり、血中を循環した全体量を示す指標。
· CD38-ARM™(BHV-1100)プログラム:
適応症:多発性骨髄腫
モダリティ:
CD38とIgGを標的とする環状ペプチドを結合させたヘテロ二量体のペプチド複合体(PDPS®を用いて創製)
提携先:Biohaven, LTD. (「Biohaven社」)
開発ステータス:
BHV-1100およびCIML-NK細胞を投与する第1a/1b相臨床試験(ClinicalTrials.gov Identifier:NCT04634435)は2025年に完了しました。本試験の目的は、サイトカイン誘導性メモリー細胞様(CIML)ナチュラルキラー(NK)細胞とBHV-1100および免疫グロブリン(IVIG)によるex-vivo併用製剤ならびに低用量IL-2を初回または2回目の寛解期にある微小残存病変陽性(MRD+)の多発性骨髄腫(MM)患者に投与し、安全性および有効性を評価することにあります。この治療は、細胞表面にCD38を発現する骨髄腫細胞を標的としています。本試験には合計7名の患者が組み入れられました。BHV-1100プログラムの今後の開発方針等については、Biohaven社での検討が進められています。
· MSD社プログラム(標的は非開示):
適応症:非開示
モダリティ:環状ペプチド治療薬(PDPS®を用いて創製)
提携先: Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA(MSD社)
開発ステータス:
MSD社が2018年に実施したPDPS®技術ライセンス契約に基づきMSD社がペプチドリームのPDPS®を用いて見出した環状ペプチドについては、現在、健常人を対象に安全性・忍容性・薬物動態を検討する第1相臨床試験を実施しています(2023年7月開始)。
· MSD社プログラム(標的は非開示):
適応症:炎症性疾患
モダリティ:環状ペプチド治療薬(PDPS®を用いて創製)
提携先: Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA(MSD社)
開発ステータス:MSD社が2018年に実施したPDPS®技術ライセンス契約に基づきMSD社がペプチドリームのPDPS®を用いて見出した環状ペプチドについては、現在、健常人を対象に安全性・忍容性・薬物動態を検討する第1相臨床試験を実施しています(2024年6月開始)。
· S2-タンパク質阻害薬(PA-001)プログラム:
適応症:新型コロナウイルス感染症
モダリティ:
新型コロナウイルス感染症ウイルスの表面に発現するS2タンパク質を阻害する環状ペプチド(PDPS®を用いて創製)
提携先:ペプチエイド
開発ステータス:
2025年9月、ペプチエイドはPA-001の第1相臨床試験(以下「本試験」)が完了し、良好な安全性・忍容性および薬物動態の結果が得られたことを発表しました。本試験は、健常成人および高齢者を対象に、PA-001の単回および反復静脈内投与時の安全性、忍容性および薬物動態を評価するプラセボ対照ランダム化二重盲検試験として実施されました。単回投与(18~128mg)、反復投与(64mgまたは128mgを5日間)いずれにおいても、重篤な有害事象や投与中止例は認められませんでした。血中濃度は用量依存的に増加し、蓄積性は認められませんでした。高齢者においても、非高齢者と比較して薬物動態に大きな差は認められませんでした。また、健常者を対象とした試験のため、臨床試験識別コードは付与されていません。同社は、PA-001の今後の開発方針について検討しています。
プログラム詳細:
ペプチエイドは2022年8月に発表した通り、PA-001の日本人健康成人男性30名を対象とした臨床研究法に基づく特定臨床研究を実施し、良好な安全性プロファイルおよび用量依存的な血中濃度プロファイルの相関を確認しました。PA-001プログラムは、2023年に日本医療研究開発機構(AMED)の研究事業に採択され、補助金の支援を受けて臨床試験を実施しています。
· 旭化成ファーマプログラム(標的は非開示):
適応症:炎症性疾患
モダリティ:環状ペプチド治療薬(PDPS®を用いて創製)
提携先:旭化成ファーマ株式会社(AKP社)
開発ステータス:
2025年12月9日、ペプチドリームとAKP社は、2016年に締結した共同研究開発契約から最初の医薬品候補化合物が選定されたことを発表しました。当社のPDPS ®を用いて創製されたあとAKP社との共同研究開発により最適化および開発が進められた環状ペプチド治療薬は、炎症性疾患を対象とするファースト・イン・クラスおよびベスト・イン・クラスとなる可能性を有しています。なお、本プログラムの臨床開発は、すべてAKP社が実施いたします。
· マイオスタチン阻害薬プログラム:
適応症:
肥満症、DMD(Duchene muscular dystrophy、デュシェンヌ型筋ジストロフィー)、SMA(Spinal muscular atrophy、脊髄性筋萎縮症)および他の筋疾患
モダリティ:マイオスタチンを阻害する環状ペプチド(PDPS®を用いて創製)
提携先:自社品
開発ステータス:
当社は、マイオスタチンプログラムの提携交渉を継続して進めています。また、データパッケージをさらに強化するための追加的な前臨床試験やIND申請に向けた準備も継続しています。Regeneron社、Lilly社、Scholar Rock社による最近の報告では、マイオスタチン・パスウェイの阻害薬が臨床において筋肉の維持効果を示すことが確認されており、当社が唯一の経口投与可能なマイオスタチン阻害薬を有していることから、本プログラムの価値向上につながっています。
プログラム詳細:
ペプチドリームは、マイオスタチンを強力に阻害する環状および架橋環状ペプチド阻害薬の候補群を創出しました。マイオスタチン(成長分化因子8、またはGDF8としても知られる)は、GDF11およびアクチビンとともに、トランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)スーパーファミリーに属し、筋肉の成長や機能を調節する複雑なプロセスで筋肉の成長や機能を調節する役割をもちます。多くの前臨床および臨床試験により、マイオスタチン阻害薬によって除脂肪筋肉量の増強、身体強度の改善、内臓脂肪量の減少、インスリンによる血糖値低下等の代謝機能障害の改善につながることが示されており、マイオスタチンが様々なSMA・FSHD(Facioscapulohumeral muscular dystrophy、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー)・DMD等の筋ジストロフィー、他の筋肉消耗を伴う疾患、肥満、メタボリックシンドローム、2型糖尿病等の創薬ターゲットとして重要であることを示すエビデンスが蓄積されてきています。
当社は以前、DMD疾患マウスモデルを用いた前臨床試験において、ペプチドのマイオスタチン阻害薬を週1回皮下または経口で投与することによりマイオスタチン経路が強く抑制され、筋肉へのマイオスタチン曝露が起こらないことにより、四肢の握力が有意に改善することを示しました。また、マイオスタチン阻害薬がsemaglutide等のGLP-1受容体アゴニストを服用する肥満症患者の除脂肪体重を維持するというエビデンスが次々と得られている中、経口マイオスタチン阻害薬の肥満症に対する効果を調べる試験を開始しました。
本化合物群の評価は、食事誘発肥満(DIO)マウスモデルを用いて実施されました。DIOモデルでは、マウスには高脂肪食(60%)およびsemaglutide(0.12mg/kgを1日1回注射で投与)、または高脂肪食(60%)およびsemaglutide(0.12mg/kgを1日1回注射で投与)と、本化合物群のペプチド(0.5, 1.5, 4.5mg/kgを1日1回経口投与 または 3, 10, 30mg/kgを週1回経口投与)が与えられました。体重は2日毎に測定され、投与開始後14日目および28日目の脂肪体重・除脂肪体重の変化はエコーMRIを用いて分析しました。本試験で得られた主な知見は以下の通りです。
有意な体重減少:
semaglutideと経口ペプチドマイオスタチン阻害薬を併用投与したマウス群では、コントロール群と比較して有意に体重が減少し、試験期間体重の減少は維持されました。
除脂肪体重の維持:
多くの既存の肥満症治療が脂肪と除脂肪筋肉量の両方を減少させるのに対し、当社の経口ペプチドマイオスタチン阻害薬はsemaglutideとの併用投与において、1日1回投与群・週1回投与群のいずれも除脂肪体重を維持しました。これは本化合物が体組成を改善する機能を有する可能性を示しています。
治療効果の増強:
本試験の結果、マイオスタチン阻害薬とsemaglutideの相乗的な効果が肥満症患者さんにとって有効であり、多くの既存の肥満症治療の問題点である筋肉量の減少が起こらず、体重コントロールが可能となる新たな治療法になると示唆されます。
· IL-17A/ IL-17F 二重阻害プログラム:
適応症: 乾癬(乾癬性関節炎や強直性脊椎炎など複数の自己免疫疾患)
モダリティ:IL-17A/A, IL-17A/F and IL-17F/Fを阻害する環状ペプチド(PDPS®を用いて創製)
提携先:自社品
開発ステータス:
2025年12月5日に開催されたR&D説明会において、自社開発の経口ペプチド治療薬として2つ目となる、経口IL-17A/ IL-17F二重阻害薬が臨床開発ポートフォリオに加わったことを発表しました(説明会資料はウェブサイトに掲載しています)。本開発候補化合物は、乾癬疾患モデル動物への経口投与において、既存の生物学的製剤と同等の有効性を示しました。今後は、皮膚や筋骨格系の症状に対してより深く持続的な反応をもたらすことで患者さんのQOLを向上させることを目指しています。当社は本プログラムについて臨床試験を視野に入れ、IND申請に向けた試験を進めていきます。同時に、グローバル開発を加速し世界中の自己免疫疾患で苦しむ患者さんにベスト・イン・クラスの経口治療薬を届けるため、戦略的パートナーシップの構築も検討してまいります。
プログラム詳細:
IL-17パスウェイは、乾癬、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎を含む複数の主要な自己免疫疾患において、臨床的に治療効果を有することが立証された創薬標的です。現在承認されているIL-17阻害剤は、優れた臨床効果を示していますが、いずれも注射剤であるために利便性や継続的な利用に関して課題があるものと考えられます。当社の経口IL-17阻害ペプチドはPDPS®を活用して創製され、経口投与の利点を活かしつつ生物学的製剤と同等の有効性を発揮することを目指し、従来の治療パラダイムに変革をもたらし得る医薬品候補化合物としてデザインされています。また、単独療法に加え、TNF阻害剤やJAK阻害剤との併用療法にも適用可能な柔軟性を備えており、治療が難しい疾患を抱える患者さんに新たな治療の選択肢を提供することを目標としています。
· J&J社プログラム(標的は非開示):
適応症:炎症性疾患
モダリティ:環状ペプチド治療薬(PDPS®を用いて創製)
提携先:ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J社)
開発ステータス:
2026年1月13日、ペプチドリームは、2017年から開始されたJ&J社との共同研究開発契約から最初の開発候補化合物を発表しました。本化合物は当社のPDPS®を用いて創製され、両社の共同研究開発により最適化および開発が進められ、炎症性疾患を対象とするファースト・イン・クラスおよびベスト・イン・クラスとなる可能性を有しています。なお、本プログラムの臨床開発は、すべてJ&J社が実施いたします。
· KIT阻害薬(MOD-B)プログラム:
適応症:マスト細胞により引き起こされる免疫炎症性疾患・アレルギー疾患
モダリティ:KITを阻害する低分子化合物(PDPS®を用いて創製)
提携先:アリヴェクシス株式会社(アリヴェクシス、旧モジュラス)
開発ステータス:同定された開発候補化合物は、マスト細胞により引き起こされる炎症経路において重要な役割を果たすキナーゼであるKITに対して選択的阻害活性を示す新規の低分子化合物(MOD-B)であり、マスト細胞により引き起こされるアレルギー疾患を含む様々な免疫炎症性疾患などの治療への活用が期待されます。アリヴェクシスはMOD-Bプログラムの提携・導出活動に積極的に取り組んでいます。
(B)-2 Non-RI領域の前臨床・創薬プログラム:
上記のプログラムに加えて、ペプチドリームは、(1)ペプチド医薬品、(2)核酸-PDC(「Oligo-PDC」)、(3)Cytotoxic-PDC(「Cytotoxic-PDC」) (4)多機能ペプチド複合体(「MPC」)の4つのモダリティにわたって、提携プログラム・自社プログラムの両方で広範囲にわたる前臨床プログラムのパイプラインを有しています。これらの非常に多様なパイプラインについて臨床候補化合物の同定、臨床試験を進めていくことがペプチドリームの成長および価値創出に貢献するものと考えています。これらの取組から生まれたプログラムのうち、臨床候補化合物の選定/IND申請のための試験開始等の段階まで進んだものについてパイプライン表/リストに掲載しています。
ペプチド医薬品領域:
ペプチドリームは、ペプチド創薬分野におけるグローバルリーダー企業の一社として、多様な疾患領域、治療メカニズム、投与経路に対する数多くの提携を通じて、多岐にわたる有望なプログラムを展開しています。2025年には、ペプチド医薬品領域において大きな進展が見られ、特に経口剤の分野における進捗が注目されています。
核酸-PDC/Cytotoxic-PDC領域:
細胞傷害性を有する放射性核種((A)RIセクション参照)、組織特異的な核酸医薬、抗がん剤など、多様な治療薬ペイロードを標的部位に送達する手段として環状ペプチドの有用性が顕著となっており、ペプチドリーム社はこのPDC領域において先導的役割を担っています。
塩野義製薬株式会社(2019年、組織を標的としたPDC)、武田薬品工業株式会社(2020年/2021年、ペプチドリーム株式会社がJCRファーマ株式会社と共同で見出したトランスフェリン受容体結合ペプチドを用いた筋組織・中枢神経を標的としたPDC)、Alnylam Pharmaceuticals, Inc.(2021年、組織を標的としたPDC、Alnylam社)、Lilly社(2022年、組織を標的としたPDC)、MSD社(2022年、がんを標的としたPDC)、Novartis社(2024年、組織を標的としたPDC)などとの提携により、多岐にわたる前臨床段階のプログラムを進めています。2025年12月、当社はAlnylam社との肝臓以外の様々な臓器に対してsiRNAを送達するペプチド-siRNA複合体の創製・開発に関する共同研究開発において重要なマイルストーン達成したことを発表しました。このマイルストーンは、PDPS®が、肝臓以外の臓器で受容体を介したsiRNA治療薬の細胞内への取り込みを可能にするものであり、RNAi分野における長年の課題を克服する画期的な可能性を示すものです。ペプチド-siRNA複合体は、皮下投与により野生型の動物モデルで強力かつ特異的に細胞に取り込まれ、標的遺伝子の顕著なノックダウンを示しました。受容体ノックアウトモデルでは活性がほとんど認められなかったことから、標的治療メカニズムによるものであることが確認されました。
MPC領域:
過去10年間において二重特異的抗体が承認され、最近では複数の抗原に同時に結合可能な三重・多重特異的抗体が登場している中、MPC(多機能ペプチド複合体)の潜在性が新たな治療薬として拡大しています。環状ペプチドの複数結合により、多重特異的抗体と同様な多機能分子の創製が可能です。現在、ペプチドリームは前臨床段階にある自社のMPCプログラムの強化に取り組んでいます。同社は、MPCが二重特異的抗体や他の多機能分子と比較して優れたモダリティであると考えています。特に、T細胞およびNK細胞を標的とする新規ペプチドの同定に注力し、これらペプチドを上述のがん選択的標的ペプチドと結合させることで、新規のT細胞・NK細胞エンゲージャー分子の生成が可能となり、有望な治療薬の領域であると期待されています。また、ペプチドリームは標的タンパク質分解誘導剤の分野においても環状ペプチドの活用を研究しており、その一環として2023年7月にアステラス製薬との提携を発表しました。
こうした活動の結果、当連結会計年度における研究開発費は5,022,914千円、売上高研究開発費比率は27.1%となりました。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E27486] S100XRP4)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。






トップページ
ビジュアル財務諸表
大株主名検索
役員名検索
スペシャルコンテンツ
サイト内検索
お知らせ
お問合せ
使い方
ご利用規約
個人情報について
監修と運営
どん・ブログ
facebook ページ
オススメ書籍