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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100YL2M (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 住友電気工業株式会社 研究開発活動 (2026年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当社及び連結子会社は、「技術を創造し、変革を生み出し、絶えざる成長に努めます」との経営理念の下、社会の変革・伸長分野に焦点を合わせ、オリジナリティがあり、かつ収益力のある新事業・新製品の開発に努めております。また、将来の社会ニーズを踏まえ、当社グループの次代の成長を担う研究テーマの発掘・育成にも積極的に取り組んでおります。
環境エネルギー関連事業、情報通信関連事業、自動車関連事業、エレクトロニクス関連事業、産業素材関連事業他の各事業分野及び共通基盤技術における当連結会計年度の主な成果は以下のとおりであります。
また、当連結会計年度における研究開発費の総額は162,858百万円であります。
(1) 環境エネルギー関連事業
超電導や次世代送電網の分野でのネットワーク技術を活用したエネルギーソリューション事業など、新しい分野への進出を図るとともに、蓄電池、電力ケーブルなどエネルギー分野での積極的な開発を推進しております。
超電導の分野では、MOD法(溶液塗布熱分解法)による低コスト希土類系高温超電導線材の実用化に取り組んでおります。また、世界初の安定した超電導接続技術を開発し、永久電流で磁場を発生することが可能なコイルを実現しました。これらの技術により、高温超電導線材のNMR(核磁気共鳴装置)やMRI(磁気共鳴画像)への展開や小型核融合炉用マグネットへの応用が期待できます。
次世代送電網の分野では、自然エネルギーの導入、省エネルギー、電力網の分散管理といった社会ニーズに対応すべく、レドックスフロー電池(蓄電池)について、大規模システムによる実証運転を実施しております。
導体材料、高分子材料などの当社固有の材料技術とプロセス技術、めっき技術や表面処理などの電気化学に関するコア技術を活用し、電力ケーブル分野では、長距離直流連系線、再生エネルギー関連の需要伸長に対応すべく、超高圧直流ケーブル、洋上風力ケーブル、ケーブル端末や中間接続用の機器製品を開発しております。
また、HEV(ハイブリッド自動車)等の環境対応車では、駆動モーター等に適用する高性能平角巻線の開発とともに、EV(電気自動車)の急速充電のニーズに対応する次世代の高電圧平角巻線の開発に注力しております。さらに、HEVのニッケル水素電池に使用されるニッケル多孔体に関する技術を燃料電池、水素製造装置の電極にも展開するため、高温での耐久性や強酸に対する信頼性を高めた耐熱耐食性合金の多孔体の開発も進めております。
日新電機㈱では、当社と送配電機器・エネルギーソリューション事業を強化すべく、両社の研究開発部門を融合した「日新住電エネルギーシステム開発センター」にて、環境配慮への要請の高まり、脱炭素に向けた電力システムの変化など、持続可能な社会に向けた動きへ対応すべく、研究開発に取り組んでおります。
電力・環境システム分野では、環境負荷の低減、省スペース化を狙いとする製品の開発と共に、多様な分散型電源が導入拡大される社会において電力の安定需給を支える技術や製品、システムの開発、蓄電池システムや工場・水処理設備の進化に資する運用管理、デジタル化・スマートメンテナンス関連の技術や製品、システムの開発を進めております。
ビーム・プラズマ分野では、社会を支える材料・部品・デバイスの進化に資するべく、パワー半導体用や高精細中小型フラットパネルディスプレイ製造用などのイオン注入装置、多様な材料改質に利用される電子線照射装置、ファインコーティング関連の技術研究や製品開発を進めております。
当事業に係る研究開発費は19,292百万円であります。
(2) 情報通信関連事業
光通信関連製品、デバイス関連製品、化合物半導体材料、ネットワーク・システム関連製品などの分野において、総合的に研究開発を行っております。
光通信関連分野では、光ファイバ・ケーブルの伝送容量向上や長距離化に向け、超低損失ガラス、新タイプの細径光ファイバや高耐曲げ性・高耐側圧性の光ファイバ、1本の光ファイバ中に複数のコアを有するマルチコア型光ファイバ、次世代技術である中空コア光ファイバ等、広範囲な開発を進めております。また脱炭素に向けた光ファイバ新製法開発や、世界的に強化される化学物質規制への対応にも積極的に取り組んでおります。
一方で、AIインフラ基盤として全世界的に敷設が進む大規模データセンターに必須の大容量・高密度光配線製品を開発しており、需要急増に対応するためサプライチェーン強化を図ると共に、コンピューティング能力向上と消費電力低減を両立する光電融合に向けた新技術創出にも取り組んでおります。
デバイス関連分野では、光通信用デバイス及び無線通信用電子デバイス関連の新製品をいち早く市場に投入することにより、事業拡大に努めております。光通信用デバイス関連製品では、データセンター用機器等に搭載される支線系対応製品や、長距離幹線機器に対応したコヒーレント伝送用デバイスを開発しております。無線通信デバイス関連製品では、高効率・高出力のGaN(窒化ガリウム)トランジスタを開発し、携帯基地局用途に製品化しておりますが、5G及び次世代通信用にさらなる効率改善、高周波/広帯域化に取り組んでおります。また、これらデバイス技術の蓄積を活かし、多様な分野への応用が期待できる近赤外、中赤外領域の製品開発も進めております。
化合物半導体材料では、高速通信用の光デバイスや無線通信用電子デバイスなどに用いられるInP(インジウムリン)及びGaAs(ガリウムヒ素)系エピタキシャルウエハの新製品開発を進めております。
ネットワーク・システム関連分野では、持続可能で強靭な社会を支える情報通信機器・システムの研究開発を推進しております。光・無線技術及びその融合技術を活用し、5G/Beyond 5G向けネットワークやオール光ネットワーク、データセンターを支える光伝送システム、無線伝送システム及びそのコアとなる部品、さらにこれらの運用管理を支えるデジタルツインの実現を目指してセンシング技術や統合管理システム等の研究開発に、通信事業者とも連携しながら取り組んでおります。
当事業に係る研究開発費は22,233百万円であります。
(3) 自動車関連事業
近年の自動車関連製品の開発においては、従来にも増して顧客目線の開発・提案が求められております。当社では㈱オートネットワーク技術研究所にてマーケティングから製品開発まで一貫して行う研究開発体制を整備し、変化の激しい事業環境に対応するため、方針決定の迅速化や効率化を図っております。CASEやSDGsなどの社会ニーズの大きな変化と当社が持つ技術シーズをマッチングさせるマーケティング活動を強化するとともに、顧客密着型の活動を深化させ、当社が得意とする情報通信やエネルギー関連技術を活かしたワイヤーハーネスやエレクトロニクス製品などの新製品の開発を行っております。
ワイヤーハーネスに関しては、顧客とともに、次世代車両における電力供給や情報伝送を担うネットワークアーキテクチャを構想し、システム設計やそれに必要な要素技術の開発を進めております。高速通信分野では自動運転やSDV(Software Defined Vehicle)等の進展により将来必要とされる超高速通信に向けて、車載光ハーネス・光コネクタの開発を推進しております。車両の製造革新に対しては、モジュール生産に必要となるモジュール対応ワイヤーハーネスの開発を進めております。本格普及が進む電動車(BEV・PHEV・HEV・FCEV)向けでは、高圧ハーネス・コネクタ、バッテリー内配線モジュールなどの製品開発に取り組んでおります。電動車の高電圧化・大電流化により大きな課題となる電磁ノイズ対策製品の開発も進めております。GX、CE(サーキュラーエコノミー)に対する研究活動も強化しており、ワイヤーハーネスから金属・樹脂などを分離・再生する技術開発にも取り組んでおります。
エレクトロニクス機器に関しては、給電・分配・変換・蓄電に関わる車載電源機器や、車内の情報配線のハブ機能となる車載ゲートウェイなどの開発を進めております。車両と社会インフラ側の電力・通信ネットワークとの連携拡大を見据え、新たなシステムやサービスの開発にも取り組んでおります。
一方で、新製品の開発効率化や高いレベルの品質確保に不可欠な試験・分析・評価・解析などの基盤技術の研究開発も推進しております。CAE(Computer-Aided Engineering)技術やAIを活用したDX化を推進することで、材料選定・性能予測サイクルを短縮し、顧客に対するタイムリーな提案を実現しております。今後の電磁ノイズの高周波化に対応するための高精度計測技術やノイズ測定環境の構築も進めております。
交通インフラ関連分野では、交通事故削減や自動運転社会に向けたインフラ機器・クラウド技術の研究開発を推進しております。具体的にはコネクティッドカー管理システム等の開発を行っております。
住友理工㈱では、ワイヤーハーネスと、ホースやバイタルセンサー等を組み合わせたシステムや製品の開発を推進しております。
自動車用品事業においては、振動や騒音の低減、流体制御性能の高度化による製品の高付加価値化を図るとともに、当社のコア技術の深化を目的とした研究開発を進めております。
EVの普及に伴い注目される熱マネジメント分野では、当社のコア技術から生まれ、優れた断熱効果を持つ薄膜高断熱材「ファインシュライト」の技術を基に、電池用断熱材の開発を進めております。さらに、冷却系ホースや
バッテリー冷却プレート「クールフィットプレート」の開発及び拡販を強化しており、社会や顧客ニーズヘの迅速な対応を図っております。また、独自の加硫シミュレーション技術の確立による、設計から量産工程まで一貫したDXを推進しております。これを活用することで、より高精度な製品設計と、量産における高い競争力の実現を目指してまいります。
当事業に係る研究開発費は108,280百万円であります。
(4) エレクトロニクス関連事業
導体材料、高分子材料などの当社固有の材料技術とプロセス技術、めっき技術や表面処理などの電気化学に関するコア技術を活用し、FPC、電子ワイヤー製品、照射架橋製品、多孔質フッ素樹脂膜製品などの開発を行っております。FPCでは携帯機器向けの微細回路製品、データセンター向けの高速伝送用配線材、5Gやミリ波などの用途に適用する高周波製品の開発に取り組んでおります。また、電子デバイス用の高熱伝導度で低線膨張率の放熱素材、フッ素樹脂フィルムの独自の多孔化技術を適用した半導体製造プロセス向けの微小孔径の多孔質膜の開発にも注力しております。
当事業に係る研究開発費は4,896百万円であります。
(5) 産業素材関連事業他
超硬合金、ダイヤモンド、立方晶窒化硼素、コーティング薄膜、特殊鋼線、鉄系焼結部品やセラミックス、摺動樹脂コーティングに関する当社固有の材料技術とプロセス技術を駆使し、切削用工具・研削用工具や超精密加工用工具、各種自動車機構部品、機能部品等の開発を進めております。
切削用工具・研削用工具開発においては、今後、市場が伸長していく航空機分野及び半導体分野を重点ターゲットとし、計算科学を活用した硬質材料の開発、コーティング技術開発を進めております。
ダイヤモンドでは、超精密加工や高品位加工用工具素材として使用することを目的として、独自の原料技術や超高圧技術で単結晶ダイヤモンド素材や新材料開発及び精密加工技術開発に注力しております。また、量子センサ用ダイヤモンド素材開発にも取り組んでおります。
当事業に係る研究開発費は8,157百万円であります。
今後の成長を担う新規分野への挑戦として、水素エネルギー社会を実現する技術開発を行っております。
以上の各事業分野の研究開発及び生産、品質などを支える解析技術の分野では、電子顕微鏡による原子構造の観察や、ポリマーの分子構造解析など、最先端技術により、モノづくりの品質強化を行っております。これに加え、公益財団法人佐賀県産業振興機構・九州シンクロトロン光研究センターに当社グループ専用のビームラインを保有し、放射光による世界トップ水準の原子スケール解析を常時利用することで、製品開発の加速や知的財産権の強化などを進めております。また、大規模計算や計算科学など高度な計算機シミュレーション技術の開発、AI活用にも注力しており、本技術を活用することで新製品設計最適化、生産プロセスの改善による信頼性向上を推進しております。その他、中国・蘇州市に中国解析センターを設置し、当社グループのグローバル展開を支えております。
研究開発・モノづくりを強化するためにDX技術の開発も進めてまいります。また、DX技術の中核であるAI活用を一層加速いたします。新材料の研究開発においては、原子配置情報から量子力学計算と同等の高精度でエネルギーや力を予測する「NNP(ニューラルネットワークポテンシャル)」技術の導入を推進します。製造工程においては、炉内温度や成分量など従来計測が困難だった物理量をAIで推定する「ソフトセンサ」技術を活用し、製品品質の早期安定化を図ります。さらに、フィジカルAIおよびロボット技術に関する研究開発を深化させ、製造現場の自動化に向けた基盤技術の確立に努めます。併せて、セキュリティリスクの低減と、全社的にAIを安全かつ円滑に活用できる基盤整備にも注力してまいります。
大阪製作所内の研究本館「WinD Lab.」を研究・開発活動の中核とし、2020年度に伊丹製作所内に開所した「Crystal Lab.」並びに横浜製作所内の情報通信分野の研究開発拠点が連携して部門横断的な研究開発の加速に取り組んでおります。なお、生成AIの拡大に伴い、今後も需要増が見込まれるデータセンター関連製品の研究開発を強化するため、横浜製作所内に新たな研究開発棟が完成、稼働予定であり、データセンター向けの光コネクタや光接続部品の技術開発を加速します。海外においても米国カリフォルニア州のICS(Innovation Core SEI,Inc.)の他、欧州・中国等に設けた研究拠点を活用して、広い視野で事業の成長を目指してまいります。また、グループ全体として、これらの研究開発の成果を早期に収穫すべく努めるとともに、企業の社会的責任を自覚し、先進情報通信インフラ構築、省エネ、省資源、環境保護を一層前進させる研究にも注力してまいります。

事業等のリスク株式の総数等


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