有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1007SPN
株式会社ニッスイ 業績等の概要 (2016年3月期)
(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益と雇用情勢の改善が続いたが、昨年末頃より個人消費に停滞感が見られるなど、先行き不透明な状況にあった。世界経済(連結対象期間1-12月)については、米国では民間の設備投資の伸びが鈍化したものの、引き続き雇用の改善や個人消費の増加が見られた。欧州では景気は緩やかな回復基調が続いたが、アジアでは中国において景気は緩やかに減速した。
当社および当社グループにおいては、水産事業では南米の鮭鱒養殖事業において販売価格の大幅下落などもあり、厳しい事業環境となった。食品事業では国内で円安基調継続による原材料や加工製品などの輸入コストの上昇があったが、価格改定やコストダウンに努め、北米・欧州でも景気が回復基調のなか売上が伸長し、総じて好調に推移した。
このような状況下で、当連結会計年度における営業成績は、売上高は 6,371億64百万円(前期比12億70百万円減)、営業利益は194億42百万円(前期比13億32百万円増)、経常利益は206億96百万円(前期比6億95百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益は119億83百万円(前期比17億6百万円増)となった。
セグメントの概況は次のとおりである。
(単位:百万円)
売上高 | 前期増減 | 前期比 | 営業利益 | 前期増減 | 前期比 | |
水産事業 | 269,623 | △15,260 | 94.6% | 4,042 | △2,254 | 64.2% |
食品事業 | 305,441 | 8,487 | 102.9% | 10,637 | 3,043 | 140.1% |
ファイン事業 | 25,683 | 358 | 101.4% | 4,633 | 77 | 101.7% |
物流事業 | 15,187 | 971 | 106.8% | 1,854 | 182 | 110.9% |
その他 | 21,228 | 4,172 | 124.5% | 621 | △229 | 73.0% |
全社経費 | - | - | - | △2,347 | 512 | 82.1% |
合計 | 637,164 | △1,270 | 99.8% | 19,442 | 1,332 | 107.4% |
(注)なお、水産事業の営業利益には、南米の鮭鱒養殖事業における在池魚評価損128百万円(前期在池魚評価益253百万円)が含まれている。
① 水産事業
水産事業については、漁撈事業、養殖事業、加工・商事事業を営んでいる。
水産事業では売上高は2,696億23百万円(前期比152億60百万円減)となり、営業利益は40億42百万円(前期比22億54百万円減)となった。
漁撈事業:前期比で減収、減益
・原油安により燃料費が減少したことに加え、ぶりやいわしなどの販売数量が増加した。
・ほき、南だらの漁獲が低調となり、販売数量が減少した。
養殖事業:前期比で減収、減益
・ぶりは、販売価格が弱含みで推移したことに加え、飼料の高騰により生産コストが上昇したが、販売数量は大幅に増加した。
・まぐろは、販売価格は堅調に推移したものの、販売数量は減少した。
・鮭鱒は、飼料の高騰による生産コストの上昇や魚病の影響に加え、販売価格が大きく下落したことにより、大変厳しい事業環境となった。
加工・商事事業:前期比で減収、増益
・販売に合わせて適正な在庫水準を維持したことに加え、魚粉やまぐろなどの販売価格が上昇した。
・すけそうだらのフィレの販売数量および助子の生産量が減少したが、すりみは生産量の増加に加え、販売価格
も上昇した。
・販売は前期並みに推移したものの、為替の影響により売上・利益ともに減少した。
② 食品事業
食品事業については、加工事業およびチルド事業を営んでいる。
食品事業では売上高は3,054億41百万円(前期比84億87百万円増)となり、営業利益は106億37百万円(前期比30億43百万円増)となった。
加工事業:前期比で増収、増益
・円安の影響により、原材料や加工製品などの輸入コストの上昇があったが、価格改定やコストダウンなどに努め、家庭用冷凍食品・業務用冷凍食品などの販売が好調に推移した。
・家庭用冷凍食品会社では、工場集約などの効果は見られたものの、他社との厳しい販売競争の中、主力商品の伸びが足りず、減益となった。
・業務用冷凍食品会社では、主原料のえびの価格が下がったことに加え、大手レストランチェーン向け販売が順調に推移した。
・新たに生産ラインを増強するとともに、水産チルド品を中心に販売数量が増加した。
チルド事業:前期比で増収、増益
・コンビニエンスストア向けチルド弁当やサラダなどの販売が伸長し、生産性も向上した。
③ ファイン事業
ファイン事業については、医薬原料、機能性原料(注1)、機能性食品(注2)、および医薬品、診断薬の生産・販売を行っている。
ファイン事業では売上高は256億83百万円(前期比3億58百万円増)となり、営業利益は46億33百万円(前期比77百万円増)となった。
・医薬原料において後発品使用促進策の影響があり、販売数量が減少した。
・臨床診断薬、産業検査薬などにおいて、販売が堅調に推移した。
④ 物流事業
物流事業については、冷蔵倉庫事業、配送事業、通関事業を営んでいる。
物流事業では売上高は151億87百万円(前期比9億71百万円増)となり、営業利益は18億54百万円(前期比1億82百万円増)となった。
・冷蔵倉庫事業において入出庫料収入が減少したものの、保管料収入などが増加した。
(注1)主に食品素材や化粧品素材向けとなるEPA・DHA、グルコサミン、コレステロール、オレンジラフィー油など。
(注2)特定保健用食品「イマーク」・「イマークS」やEPA・DHA、グルコサミンなどのサプリメント。
(2) キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度の税金等調整前当期純利益209億41百万円(前期比2億36百万円減)、減価償却費162億25百万円(前期比3億47百万円増)、売上債権の減少20億5百万円(前期比2億95百万円増)、たな卸資産の減少14億53百万円(前期比102億76百万円減)、仕入債務の増加8億52百万円(前期比20億30百万円増)、未払費用の増加2億39百万円(前期比15億80百万円減)などの結果、373億95百万円の収入(前期比145億56百万円収入増)となった。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
食品加工・チルド工場の製造設備や日水物流株式会社における大阪舞洲物流センターなどの有形固定資産の取得による支出191億90百万円(前期比32億68百万円増)などにより、170億51百万円の支出(前期比49億15百万円支出増)となった。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
短期借入金の減少75億19百万円(前期比93億49百万円減)、長期借入れによる収入145億39百万円(前期比7億78百万円減)、長期借入金の返済による支出280億58百万円(前期比39億74百万円増)などにより、231億41百万円の支出(前期比152億81百万円支出増)となった。
以上の結果、現金及び現金同等物は期末残高は140億56百万円(前期比30億15百万円減)となった。
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