有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1007U61
世紀東急工業株式会社 研究開発活動 (2016年3月期)
経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
近年、道路をはじめとする社会インフラの重要性が再認識され、維持管理・更新のあり方も見直されつつあるなど、道路建設業を取り巻く環境は大きく変化しており、舗装に求められるニーズもより多様化、高度化しております。また、公共工事の発注も総合評価方式により入札が行われる比率が高まり、企業が保有する技術力や技術提案能力が工事受注に大きく影響を与えるようになっております。
当社では、このような状況の下、環境・景観に配慮した工法や国・地方の財政状況を踏まえた施工コスト縮減、維持管理の効率化など、舗装に求められる社会のニーズを的確に把握したうえで開発テーマを選定し、研究開発を行っております。
なお、当社の研究開発活動は、技術研究所を中心に行われており、当連結会計年度における建設事業および舗装資材製造販売事業の研究開発費は、2億87百万円となりました。
主な研究開発
(1) ザペック工法タイプGのコスト縮減、付加価値化
当社固有の凍結抑制工法であるザペック工法タイプGは、その機能の優位性が評価されておりますが、より競争力を高めるため、コスト縮減をテーマとし、施工機械の開発に取り組みました。
また、本工法をよりアピールするために、グルービングを備える特性を活かし、音響道路とザペック工法タイプGを組み合わせた工法の開発に取り組みました。供用中の道路において、試験施工(延長180m)を行い、走行試験による音響測定、冬季降雪時の融雪機能の状況観察から、両機能を十分備えた工法であることを確認いたしました。
(2) 常温合材の付加価値商品の開発(カラー常温合材)
常温合材の多様化が進むなか、一般ユーザー向けのカラー常温合材の開発を行いました。脱色バインダーを使用し、保存性、施工性、品質、耐候性を確認し、新商品を開発いたしました。
今後は、販売促進に取り組んでまいります。
(3) 防草舗装の改良及び効果検証
防草舗装のニーズが高いことから、従来の防草アスファルト加熱合材の改良を行いました。忌避剤を添加したアスファルト加熱合材に中温化剤等の特殊添加剤を混入し、また、配合を見直して施工性を改善したものを開発いたしました。
現在は試験ヤードにて防草効果の追跡調査を行っております。
(4) 歩行者が安全で快適に通行できる歩行者系舗装の開発
2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に伴うインフラ整備や、少子高齢化社会対応ユニバーサルデザインの推進を受けた需要拡大を見据え、弾力性、衝撃緩和性を有する歩行者系景観舗装の開発に取り組みました。
具体的には、2014年に土木学会より発刊された「舗装工学ライブラリー11 歩行者系舗装入門―安全で安心な路面を目指して―」において、歩行者が安全で快適に通行できる弾力性の範囲が示されたことから、これを目標値とした工法を開発いたしました。
名称は「アーバンエコナード」とし、営業展開を進めております。
(5) 枯葉舗装(押し花舗装)
東京都練馬区の軽交通道路において、枯葉が貼りついたすべり止め舗装が近隣で好評をえているとの情報があり、市場性のある特殊工法になりうるとして開発いたしました。景観イメージを模写したトレーシングフィルム(転写フィルム)の検討を行い、景観、施工、コストの面から実現性があると判断し、開発をすすめ実用化の目途がたちました。
今後は、転写フィルムの製造委託会社の選定、デザイナー選定、現道での施工・追跡調査を行い、パンフレット、技術資料を整備してまいります。
(6) CIM技術の舗装工事への活用および情報化施工の開発と推進
①CIM(Construction Information Modeling)の適用性検討
電線共同溝工事においてCIMを日々の安全確認、出来形管理、工事写真管理に活用いたしました。地下埋設物が多い場所ではCIMによる3Dモデルが特に効果を発揮することが確認されました。
②GNSSを用いたマシンコントロールの検討
当社では、トータルステーションによる情報化施工技術を進めていますが、複数の情報施工機器を同時に使用する場合には、人工衛星を用いた測位システム(基地局設置RTK-GNSS)が、コスト・手間などにおいて優位であると考え、実際に施工現場において確認した結果、その優位性が実証されました。
今後は、本システムの活用、現場支援を進めてまいります。
③排土板付ミニバックホウのマシンコントロール
小規模工事、または大規模工事の矮小部の施工においては、小型ブルドーザーより排土板付バックホウが利便性が高く、民間工事での効率化を図るべくミニバックホウの排土板を情報化施工技術によりコントロールする技術を開発いたしました。
(7) 中温化フォームド技術の確立
中温化技術、再生合材施工性向上技術としてフォームド技術の開発を行いました。
具体的には多摩合材工場に、マイクロバブル発生装置3基と技術研究所に室内実験用1基を設置し、運用しております。二酸化炭素排出量の削減効果に加え、作業性についても当社独自の評価法を確立し、作業性の良い混合物であることを確認しております。
今後はパンフレット、技術資料を作成し、販売促進を行ってまいります。
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