有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1007YML
株式会社大気社 研究開発活動 (2016年3月期)
経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度における研究開発費は8億89百万円であります。
当社は、技術開発センター(神奈川県)、座間技術センター(神奈川県)、塗装システム事業部開発部門(大阪府)の3研究開発組織において、空調設備及び塗装設備の各分野における技術開発を前期に引き続き活発に実施し、多くの成果を得ました。また、Geico S.p.A.(イタリア・ミラノ市)は、パルディスイノベーションセンターにおいて、塗装設備の分野における技術開発と展示会を実施し、多くの成果を得ました。
セグメントごとの研究開発は以下のとおりであります。
当連結会計年度における研究開発費の金額は4億19百万円であります。
当連結会計年度は温度制御の高精度化に取り組み、膨張弁を独自のロジックで制御するシステムを開発しました。この技術は、負荷変動や設定温度の変更などによる室温の変動が安定するまでの整定時間を短縮できる効果があり、より高精度な温度制御が要求される用途に直膨空調システムを適用することが可能となります。
この制御システムの導入により、直膨空調システムはこれまでの環境試験室以外への展開も期待できることから、今後はさらなる販売拡大を図ってまいります。
自動車向け環境試験室では、温湿度以外に様々な試験環境の要求があり、2014年3月期に開発した新雪を再現する結晶雪発生装置を応用し、当連結会計年度には吹雪を想定した吹雪発生装置を開発しました。
当社は自動車の空力試験用の風洞設備を販売しており、風洞にこれら降雪装置を組み込んだ環境風洞設備への展開や、建材試験分野への販売拡大を図ってまいります。
当連結会計年度は、実際の生産ラインでの照明、温度、湿度、風速など栽培条件の最適化のための実験を行い、結球レタスの栽培コストの低減を図りました。今後は、栽培装置の開発、栽培品種の拡充などを進め、他社との差別化を実現してまいります。
当連結会計年度は切替式RTOの圧力変動の低減に有効な多塔化を実現するため、三塔切替式を対象に、従来の二方弁に代わり新たに考案した四方弁を適用する新型RTOを開発し、回転式と同等の優れた圧力変動抑制効果を低コストで実現することができました。
排気処理分野では、今後も既存商品の性能向上のための技術開発などを継続し、受注拡大を図ってまいります。
当連結会計年度における研究開発費の金額は4億69百万円であります。
ドライサーキュラーMarkⅡの特徴は、プレコート剤の供給方式を変更することにより、プレコート剤の管理を容易にし、配管や機器点数を削減したシンプルなシステムにしている点です。この改良により、イニシャルコストの大幅な削減と、より安定した運用が可能となりました。
現在、ドライサーキュラーMarkⅡの1号機を既に納入しており、2号機、3号機の受注も決まっております。今後は、継続的なフォローを実施していくとともに、更なる商品改良に努めてまいります。また同時に積極的な営業活動も展開し、更なる受注拡大を推進してまいります。
近年の自動車塗装工程においては、環境保全の観点から水性塗料の採用が主流となっています。水性塗料を静電塗装する塗装機は、以下の2種類があります。
1.内部印加式回転霧化塗装機:塗装機から直接塗料に静電気を与える塗装機
2.外部印加式回転霧化塗装機:塗装機により液滴化された塗料粒子に静電気を与える塗装機
当社の主力商品である内部印加式塗装機は、自動車ボディへの塗料の塗着効率の高さの特長を活かし、広く採用頂いておりますが、構造が複雑です。一方、外部印加式塗装機は、構造がシンプルで安価ですが、内部印加式塗装機に比べ塗料の塗着効率が低く、また、塗装機本体が塗料により汚れるため頻繁に清掃を行う必要がありました。
当社は、上記外部印加式塗装機の課題である、塗料の塗着効率及び塗料による汚れに対する改良を行った塗装機の性能検証を完了し、新しく商品ラインアップに加えました。
今後、この2種類の塗装機の特長を活かし、顧客のニーズに高い技術レベルで対応し、更なる受注拡大を推進してまいります。
Geico S.p.A.は、前期から開発を進めてきた新しい発想に基づく回転式コンベヤシステム「Lean Dip」の実用化開発を完了しました。また、同システムの1号機の受注も決定しております。今後も継続的な改良及び他社との差別化を進め、更なる拡販を目指してまいります。
この「J-Hive」は、モジュール化された塗装ユニットを自在に配置する事が可能で、いかなるレイアウトにも対応できるという大きな特長があります。また、塗装ユニットの下部の構造によって、水で塗料ミストを捕集する従来型の湿式ブース及び、炭酸カルシウム粉末で塗料ミストを捕集する「Dry Spin」や、紙製フィルターで塗料ミストを捕集する「Dry Car」と組みあわせるドライブースのいずれにおいても運用が可能な、非常に高いフレキシブル性を持ち併せています。
今後は顧客へのPR活動を精力的に行い、拡販展開を進めてまいります。
この「Dry Car」は、従来のドライブースでは塗料ミストの捕集に必要であった炭酸カルシウム粉末を使用しません。従って、炭酸カルシウム粉末の運搬やタンクへの充填、塗料ミストを捕集した後の粉末の処理などの作業も不要となります。また、塗料ミストを捕集した紙製フィルターは容易に交換でき、交換後のフィルターの処分も非常に簡単になりました。
Geico S.p.A.は、「Dry Car」の更なる採用拡大を目指して、高負荷条件下でも捕集効率が高く、かつ、長寿命なフィルターを、専業メーカーと共同で新たに開発中です。
当社は、技術開発センター(神奈川県)、座間技術センター(神奈川県)、塗装システム事業部開発部門(大阪府)の3研究開発組織において、空調設備及び塗装設備の各分野における技術開発を前期に引き続き活発に実施し、多くの成果を得ました。また、Geico S.p.A.(イタリア・ミラノ市)は、パルディスイノベーションセンターにおいて、塗装設備の分野における技術開発と展示会を実施し、多くの成果を得ました。
セグメントごとの研究開発は以下のとおりであります。
(1)環境システム事業
当連結会計年度における研究開発費の金額は4億19百万円であります。
① 直膨空調システムの温度制御の高精度化
当社では、冷凍機の冷媒で空気を直接冷却する直膨空調システムの開発を進め、主に環境試験室に導入してまいりました。当連結会計年度は温度制御の高精度化に取り組み、膨張弁を独自のロジックで制御するシステムを開発しました。この技術は、負荷変動や設定温度の変更などによる室温の変動が安定するまでの整定時間を短縮できる効果があり、より高精度な温度制御が要求される用途に直膨空調システムを適用することが可能となります。
この制御システムの導入により、直膨空調システムはこれまでの環境試験室以外への展開も期待できることから、今後はさらなる販売拡大を図ってまいります。
② 吹雪発生装置の開発による環境試験室の拡充
当社では、自社開発した大型直膨空調システムを用い、広範囲な温湿度環境(温度-40~+50℃、湿度30~80%)に対応する自動車向け環境試験室を販売してまいりました。自動車向け環境試験室では、温湿度以外に様々な試験環境の要求があり、2014年3月期に開発した新雪を再現する結晶雪発生装置を応用し、当連結会計年度には吹雪を想定した吹雪発生装置を開発しました。
当社は自動車の空力試験用の風洞設備を販売しており、風洞にこれら降雪装置を組み込んだ環境風洞設備への展開や、建材試験分野への販売拡大を図ってまいります。
③ 大気グリーン ファーム
当社では、完全人工光型水耕植物工場における結球レタスの安定量産化に成功し、この栽培プラントを「大気グリーン ファーム」として販売しております。当連結会計年度は、実際の生産ラインでの照明、温度、湿度、風速など栽培条件の最適化のための実験を行い、結球レタスの栽培コストの低減を図りました。今後は、栽培装置の開発、栽培品種の拡充などを進め、他社との差別化を実現してまいります。
④ RTO(蓄熱型直接燃焼装置)の性能向上
当社では、VOC(揮発性有機化合物)の排気処理装置の主力商品として、切替式及び回転式のRTOを販売しております。当連結会計年度は切替式RTOの圧力変動の低減に有効な多塔化を実現するため、三塔切替式を対象に、従来の二方弁に代わり新たに考案した四方弁を適用する新型RTOを開発し、回転式と同等の優れた圧力変動抑制効果を低コストで実現することができました。
排気処理分野では、今後も既存商品の性能向上のための技術開発などを継続し、受注拡大を図ってまいります。
(2)塗装システム事業
当連結会計年度における研究開発費の金額は4億69百万円であります。
① プレコート式ドライ塗装ブース「ドライサーキュラーMarkⅡ」の開発
当社では、自動車メーカー等に主力設備の一つである湿式スクラバー方式の塗装ブースを多数納入しております。省エネルギー化のニーズに応えるため、2012年3月期に大幅な省エネ効果とCO2発生量削減効果が得られる画期的なプレコート式ドライ塗装ブースの開発を完了しました。また、当連結会計年度には、システムをシンプル化したドライサーキュラーの改良(ドライサーキュラーMarkⅡ)に成功しました。ドライサーキュラーMarkⅡの特徴は、プレコート剤の供給方式を変更することにより、プレコート剤の管理を容易にし、配管や機器点数を削減したシンプルなシステムにしている点です。この改良により、イニシャルコストの大幅な削減と、より安定した運用が可能となりました。
現在、ドライサーキュラーMarkⅡの1号機を既に納入しており、2号機、3号機の受注も決まっております。今後は、継続的なフォローを実施していくとともに、更なる商品改良に努めてまいります。また同時に積極的な営業活動も展開し、更なる受注拡大を推進してまいります。
② 外部印加式回転霧化塗装機
当社では、自動車メーカー等に静電塗装システムを多数納入しております。静電塗装システムとは、噴霧した塗料粒子に静電気を与えることにより、塗料を被塗物に効果的に付着させるシステムです。近年の自動車塗装工程においては、環境保全の観点から水性塗料の採用が主流となっています。水性塗料を静電塗装する塗装機は、以下の2種類があります。
1.内部印加式回転霧化塗装機:塗装機から直接塗料に静電気を与える塗装機
2.外部印加式回転霧化塗装機:塗装機により液滴化された塗料粒子に静電気を与える塗装機
当社の主力商品である内部印加式塗装機は、自動車ボディへの塗料の塗着効率の高さの特長を活かし、広く採用頂いておりますが、構造が複雑です。一方、外部印加式塗装機は、構造がシンプルで安価ですが、内部印加式塗装機に比べ塗料の塗着効率が低く、また、塗装機本体が塗料により汚れるため頻繁に清掃を行う必要がありました。
当社は、上記外部印加式塗装機の課題である、塗料の塗着効率及び塗料による汚れに対する改良を行った塗装機の性能検証を完了し、新しく商品ラインアップに加えました。
今後、この2種類の塗装機の特長を活かし、顧客のニーズに高い技術レベルで対応し、更なる受注拡大を推進してまいります。
③ 新型回転式コンベヤシステム「Lean Dip」の開発
近年、前処理・電着工程での塗装品質の向上、工程の短縮、ランニングコスト削減が可能な回転式コンベヤシステムの採用が増えています。Geico S.p.A.は、前期から開発を進めてきた新しい発想に基づく回転式コンベヤシステム「Lean Dip」の実用化開発を完了しました。また、同システムの1号機の受注も決定しております。今後も継続的な改良及び他社との差別化を進め、更なる拡販を目指してまいります。
④ 新コンセプトの塗装ブース「J-Hive」の開発
Geico S.p.A.は、ますます高まる塗装設備の省エネルギー・省スペースの要望に応えるべく、革新的なコンセプトの塗装ブース「J-Hive」を開発し、2015年9月15日から16日に開催された自動車塗装に関する国際会議であるSurcar Shanghaiにて発表を行い、Innovation Awardを受賞しました。この「J-Hive」は、モジュール化された塗装ユニットを自在に配置する事が可能で、いかなるレイアウトにも対応できるという大きな特長があります。また、塗装ユニットの下部の構造によって、水で塗料ミストを捕集する従来型の湿式ブース及び、炭酸カルシウム粉末で塗料ミストを捕集する「Dry Spin」や、紙製フィルターで塗料ミストを捕集する「Dry Car」と組みあわせるドライブースのいずれにおいても運用が可能な、非常に高いフレキシブル性を持ち併せています。
今後は顧客へのPR活動を精力的に行い、拡販展開を進めてまいります。
⑤ 紙製フィルター式ドライブース「Dry Car」の開発
Geico S.p.A.は、以前より開発を進めている、紙製フィルターにより塗料ミストを捕集するドライブース「Dry Car」に、フィルター交換作業を大幅に軽減する事ができる補助装置を付加したシステムを新たに開発しました。これにより、今まで人の手で行ってきたフィルター交換作業の大幅な効率化を実現できることとなり、実案件での採用も決定しました。この「Dry Car」は、従来のドライブースでは塗料ミストの捕集に必要であった炭酸カルシウム粉末を使用しません。従って、炭酸カルシウム粉末の運搬やタンクへの充填、塗料ミストを捕集した後の粉末の処理などの作業も不要となります。また、塗料ミストを捕集した紙製フィルターは容易に交換でき、交換後のフィルターの処分も非常に簡単になりました。
Geico S.p.A.は、「Dry Car」の更なる採用拡大を目指して、高負荷条件下でも捕集効率が高く、かつ、長寿命なフィルターを、専業メーカーと共同で新たに開発中です。
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