有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1009A5W
浜松ホトニクス株式会社 研究開発活動 (2016年9月期)
経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社グループの研究開発活動は、「光の本質に関する研究及びその応用」をメインテーマとし、主に当社の中央研究所、筑波研究所及び各事業部において行っております。
光の世界は未だその本質すら解明されていないという、多くの可能性を秘めた分野であり、光の利用という観点からみても、光の広い波長領域のうち、ごく限られた一部しか利用することができていないのが現状であります。こうした中、当社の中央研究所及び筑波研究所においては、光についての基礎研究と光の利用に関する応用研究を進めており、また、各事業部においては、製品とその応用製品及びそれらを支える要素技術、製造技術、加工技術に関する開発を行っております。
当連結会計年度の研究開発費の総額は、11,873百万円であり、これを事業のセグメントでみますと、各事業区分に配賦できない基礎的研究5,430百万円、電子管事業2,188百万円、光半導体事業3,446百万円、画像計測機器事業599百万円及びその他事業207百万円であります。
当連結会計年度における主要な研究開発の概要は次のとおりであります。
小型・高感度な紫外域用光電子増倍管アッセンブリ
近年、急速な工業化が進む新興国におきましては、主要汚染物質である重金属類の大気や河川等への排出による環境汚染が深刻な社会問題となっております。この重金属等の濃度測定の手法の一つとして原子蛍光分析がありますが、現地での測定の要求も増えているため装置の小型化・可搬化が望まれております。この度、従来型装置に検出器として組み込まれている光電子増倍管を大幅に小型化し、動作回路を一体化したアッセンブリを開発いたしました。本製品は、小型なうえに振動に強い構造を有しているため、携帯可能な小型装置への組み込みが可能です。さらに、原子蛍光分析に求められる紫外域に特化した感度特性を実現したことで、より微量な環境汚染物質の検出も可能となりました。
薄型タイプミニ分光器
分光分析とは、物質が放射するあるいは吸収する光の種類や性質を調べて、その物質の成分を検出する化学分析手法で、産業、医療、環境分析、食品などの様々な分野で用いられています。当社では、屋外などの計測現場において使用する小型で持ち運び可能な分光分析器向けのミニ分光器を開発販売しておりますが、この度、CCDイメージセンサと同程度の高感度を有する当社製CMOSイメージセンサを搭載したミニ分光器を開発いたしました。本製品は、高性能を維持しつつ大幅な薄型化及び低消費電力を実現しております。本製品を分光分析器に組み込むことで、セキュリティ、食品等の成分分析、LED照明等の色測定など多様な用途への利用が可能となり、産業の発展に寄与するものと期待されております。
高速・高精度なX線TDIカメラ
高速かつ高精度な非破壊検査を実現するX線TDIカメラを新たに開発いたしました。近年、各種製品の安全性や信頼性の確保のため全数検査が行われるようになっており、非破壊検査用カメラの処理速度の向上が求められております。この度、当社が開発したX線TDIカメラは、当社製カスタムセンサを搭載することで高感度かつ高解像度を維持しつつ従来製品に比べ2.5倍の高速化を実現しております。また、双方向読み出しに対応することで被検査物の効率的な撮像を可能とするとともに、構成部品の最適化によりX線耐性を向上させました。今後もさらなる高機能化を実現し、新しいアプリケーションや高付加価値製品への投入を目指してまいります。
医療の分野におきまして、当社で開発した定量位相差顕微鏡技術を応用し、血液中のがん細胞撮像技術の開発を進めております(注1)。がんの病状が進行すると、がん細胞の一部が血液等の流れにのって体内を循環し、離れた臓器に到達することによってがんの転移が起こります。当社は、血液中に循環しているがん細胞に着目し、定量位相差顕微鏡技術を応用して、このがん細胞を非染色・非破壊で計測する三次元像撮影の基本技術を確立いたしました。この技術は細胞へのダメージが少なく、生きたままがん細胞を選別・回収できると考えられております。また、組織に針を刺して細胞を採取するのではなく、採血のみでがん病巣の存在やがんの状態の検査を可能にします。これらにより、がんの早期診断や術後再発の危険性の予測、治療中の病勢の評価、抗がん剤の感受性の予測等を患者ごとに行うテーラーメード医療への貢献が期待されます。
また、これまで進めてまいりました脳梗塞などの原因となる血栓をレーザで溶解する「レーザ血栓溶解治療システム(注2)」の開発段階が終了し、次の検証段階に入りました。本システムは、光ファイバが内蔵されたマイクロカテーテルを患者の大腿部の血管から挿入し、目的とする脳血栓まで到達させ、レーザを照射することにより血栓を溶解し、血流を再開通させるものです。本システムに用いているレーザは、血栓だけを選択的に溶解できる波長に調整されているため、血管を傷つける危険性がないことがこれまでの動物実験で確認され、従来の薬剤や機械的除去による方法に比べ、出血などの副作用のリスクを最小限に抑えることができます。今後、急性期脳梗塞患者における安全性と有効性を確認するため、浜松医療センターが実施する医師主導治験に機器を提供し、さらなる結果の検証を進め、早期の実用化を目指してまいります。
光情報処理の分野におきましては、空間に立体像を浮かびあがらせることを可能とする当社独自の小型光源デバイス「iPMSEL」の研究を進めております。従来、空間に画像を描画するためには、発光素子に加えてレンズや可動ミラー等の光学部品が必要でした。新たに開発した「iPMSEL」は、当社の微細加工技術を用いて実現した光学部品の機能を融合した発光素子であり、この度、素子単体から文字・写真などの二次元パターンを直接出力することに成功いたしました。本成果により、空間への自然な三次元立体像の描画に必要とされる素子の集積化が可能となります。今後も研究を推進し、二次元動画及び三次元立体像の出力を目指してまいります。
(注)1 国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の2016年度医療分野研究成果展開事業「先端計測分析技術・機器開発プログラム」にて、実施しています。
2 本研究の一部は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「橋渡し研究加速ネットワークプログラム」の支援によって行われました。
光の世界は未だその本質すら解明されていないという、多くの可能性を秘めた分野であり、光の利用という観点からみても、光の広い波長領域のうち、ごく限られた一部しか利用することができていないのが現状であります。こうした中、当社の中央研究所及び筑波研究所においては、光についての基礎研究と光の利用に関する応用研究を進めており、また、各事業部においては、製品とその応用製品及びそれらを支える要素技術、製造技術、加工技術に関する開発を行っております。
当連結会計年度の研究開発費の総額は、11,873百万円であり、これを事業のセグメントでみますと、各事業区分に配賦できない基礎的研究5,430百万円、電子管事業2,188百万円、光半導体事業3,446百万円、画像計測機器事業599百万円及びその他事業207百万円であります。
当連結会計年度における主要な研究開発の概要は次のとおりであります。
小型・高感度な紫外域用光電子増倍管アッセンブリ
近年、急速な工業化が進む新興国におきましては、主要汚染物質である重金属類の大気や河川等への排出による環境汚染が深刻な社会問題となっております。この重金属等の濃度測定の手法の一つとして原子蛍光分析がありますが、現地での測定の要求も増えているため装置の小型化・可搬化が望まれております。この度、従来型装置に検出器として組み込まれている光電子増倍管を大幅に小型化し、動作回路を一体化したアッセンブリを開発いたしました。本製品は、小型なうえに振動に強い構造を有しているため、携帯可能な小型装置への組み込みが可能です。さらに、原子蛍光分析に求められる紫外域に特化した感度特性を実現したことで、より微量な環境汚染物質の検出も可能となりました。
薄型タイプミニ分光器
分光分析とは、物質が放射するあるいは吸収する光の種類や性質を調べて、その物質の成分を検出する化学分析手法で、産業、医療、環境分析、食品などの様々な分野で用いられています。当社では、屋外などの計測現場において使用する小型で持ち運び可能な分光分析器向けのミニ分光器を開発販売しておりますが、この度、CCDイメージセンサと同程度の高感度を有する当社製CMOSイメージセンサを搭載したミニ分光器を開発いたしました。本製品は、高性能を維持しつつ大幅な薄型化及び低消費電力を実現しております。本製品を分光分析器に組み込むことで、セキュリティ、食品等の成分分析、LED照明等の色測定など多様な用途への利用が可能となり、産業の発展に寄与するものと期待されております。
高速・高精度なX線TDIカメラ
高速かつ高精度な非破壊検査を実現するX線TDIカメラを新たに開発いたしました。近年、各種製品の安全性や信頼性の確保のため全数検査が行われるようになっており、非破壊検査用カメラの処理速度の向上が求められております。この度、当社が開発したX線TDIカメラは、当社製カスタムセンサを搭載することで高感度かつ高解像度を維持しつつ従来製品に比べ2.5倍の高速化を実現しております。また、双方向読み出しに対応することで被検査物の効率的な撮像を可能とするとともに、構成部品の最適化によりX線耐性を向上させました。今後もさらなる高機能化を実現し、新しいアプリケーションや高付加価値製品への投入を目指してまいります。
医療の分野におきまして、当社で開発した定量位相差顕微鏡技術を応用し、血液中のがん細胞撮像技術の開発を進めております(注1)。がんの病状が進行すると、がん細胞の一部が血液等の流れにのって体内を循環し、離れた臓器に到達することによってがんの転移が起こります。当社は、血液中に循環しているがん細胞に着目し、定量位相差顕微鏡技術を応用して、このがん細胞を非染色・非破壊で計測する三次元像撮影の基本技術を確立いたしました。この技術は細胞へのダメージが少なく、生きたままがん細胞を選別・回収できると考えられております。また、組織に針を刺して細胞を採取するのではなく、採血のみでがん病巣の存在やがんの状態の検査を可能にします。これらにより、がんの早期診断や術後再発の危険性の予測、治療中の病勢の評価、抗がん剤の感受性の予測等を患者ごとに行うテーラーメード医療への貢献が期待されます。
また、これまで進めてまいりました脳梗塞などの原因となる血栓をレーザで溶解する「レーザ血栓溶解治療システム(注2)」の開発段階が終了し、次の検証段階に入りました。本システムは、光ファイバが内蔵されたマイクロカテーテルを患者の大腿部の血管から挿入し、目的とする脳血栓まで到達させ、レーザを照射することにより血栓を溶解し、血流を再開通させるものです。本システムに用いているレーザは、血栓だけを選択的に溶解できる波長に調整されているため、血管を傷つける危険性がないことがこれまでの動物実験で確認され、従来の薬剤や機械的除去による方法に比べ、出血などの副作用のリスクを最小限に抑えることができます。今後、急性期脳梗塞患者における安全性と有効性を確認するため、浜松医療センターが実施する医師主導治験に機器を提供し、さらなる結果の検証を進め、早期の実用化を目指してまいります。
光情報処理の分野におきましては、空間に立体像を浮かびあがらせることを可能とする当社独自の小型光源デバイス「iPMSEL」の研究を進めております。従来、空間に画像を描画するためには、発光素子に加えてレンズや可動ミラー等の光学部品が必要でした。新たに開発した「iPMSEL」は、当社の微細加工技術を用いて実現した光学部品の機能を融合した発光素子であり、この度、素子単体から文字・写真などの二次元パターンを直接出力することに成功いたしました。本成果により、空間への自然な三次元立体像の描画に必要とされる素子の集積化が可能となります。今後も研究を推進し、二次元動画及び三次元立体像の出力を目指してまいります。
(注)1 国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の2016年度医療分野研究成果展開事業「先端計測分析技術・機器開発プログラム」にて、実施しています。
2 本研究の一部は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「橋渡し研究加速ネットワークプログラム」の支援によって行われました。
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