有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1008QFG
レーザーテック株式会社 研究開発活動 (2016年6月期)
経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社グループの技術は、光応用技術をコアに、エレクトロニクス、精密機構、及び画像処理などの周辺技術を高いレベルで融合させたオプトメカトロニクスと呼ばれる複合技術であり、代表的な製品である半導体フォトマスク欠陥検査装置やマスクブランクス欠陥検査装置、レーザー顕微鏡、及びFPD用大型マスク欠陥検査装置ほか、すべての製品開発に活用されております。
新しい製品の開発にあたっては、顕微鏡の営業活動などを通じて幅広い業界、市場を調査し、新しいマーケットやアプリケーションを探し出し、それぞれ固有のニーズに合致した新製品を生み出すことを心がけております。
また既に製品を納入している多くのお客様や各種研究開発機関へのサービス・サポートを通じて、お客様の顕在化した要望のみならず、潜在的なニーズを正確につかみ、独創的な視点と技術でどこよりも早く問題解決の方法をご提供することが最重要であると考えております。
当社は、光学技術を追求する過程で、独自のコア技術を確立してまいりました。共焦点光学系、DUV(注)光学系、EUV(注)光学系、及び光干渉計技術などの光学技術を進化させ、高度な周辺技術との融合によって特徴ある製品を生み出しています。また、高精度高速ステージ開発のための精密機構技術、あるいは欠陥検出の画像処理技術などを継続的に深化させ、近年ではAI(人工知能)技術を応用した自動欠陥分類の開発を進めるなど、お客様のニーズに対してタイムリーにソリューションを提供できる研究・製品開発を進めております。
(注) DUV:Deep Ultraviolet、遠紫外線
EUV:Extreme Ultraviolet、極端紫外線
当連結会計年度における研究開発の成果として発売された新製品は次のとおりであります。
(1) SiCウェハ欠陥検査/レビュー装置 SICA88
SiC(注)パワーデバイスはすでに自動車、エアコン、太陽光発電システム、鉄道車両などに使用され始め、市場を着実に拡げております。しかし、SiCパワーデバイスは、その製造の難しさゆえに、いまだ生産工程において結晶欠陥などの様々な問題が発生しており、品質の確保とコストの両面で大きな課題を抱えています。
SICAはこのようなニーズにお応えした検査装置で、2009年に研究開発用のSICA61、2011年に量産用のSICA6Xを発売以来、高い検出感度と高精度な欠陥分類が評価され、業界標準機として多くのお客さまにご採用いただいている製品です。
このたび新たに開発したSICA88は従来からのコンフォーカル微分干渉光学系による表面検査とPL(注)検査を1台に搭載した新しいプラットフォームの検査装置です。表面検査ではウェハ表面のスクラッチやエピ欠陥を、PL検査ではデバイス特性を悪化させる欠陥と言われているエピ膜内部の基底面内転位(BPD)や積層欠陥(SF)を、同時に検出・高精度分類・判定することで、デバイスの不良原因となる欠陥の発見および解析に役立ちます。また、スループットは既存機種であるSICA6Xの2倍に高めました。
本装置はウェハプロセス、Epiプロセス、デバイスプロセスの各プロセスモニタとして、欠陥発生の原因追及に最適であり、さらにウェハのグレーディング(注)によるプロセスコストの削減とデバイスの歩留り向上を可能にいたします。
(注)SiC:Silicon Carbide、シリコンカーバイド
PL:Photoluminescence、フォトルミネッセンス
グレーディング:ウェハの選別とランク付け
(2) ウェハエッジ検査装置 EZ300
EZ300は当社のコア技術であるコンフォーカル光学系を応用し、ウェハ外周部に対する検査・レビュー・測定を行う装置です。EZ300を用いることにより1台の装置でウェハ外周部のインライン検査から欠陥種別の原因特定まで行える「All in One Concept」を実現しました。
従来ではウェハ外周部においてDOI(Defect Of Interest)を分離して検出するインライン管理は難しいとされてきました。そこで、EZ300では高解像度コンフォーカル光学系と独自のソフトウェアアルゴリズムを適用することで、凹凸判定を含む検査時の自動欠陥分類と欠陥計測を可能にしました。これにより、ウェハ外周部に対して、SPC(Statistical Process Control)を用いたインラインQCを構築することが出来るようになり、異常チップ発生時の原因追跡が可能になります。
また、今までウェハ外周部の欠陥種類やサイズを特定するには、欠陥の検査後にSEMやAFMなどの装置を用いていました。しかし、その手法は欠陥位置合わせ等に時間がかかり、長時間を要する解析手法でした。一方、EZ300は高解像度のレビュー機能を用いた、幅・高さ・粗さの3D測定機能、および、画像処理による欠陥分類機能を実現し、プロセスフィードバックや、プロセスの最適化を迅速に行うことが可能になります。
(3) FPDマスク向け位相差測定装置 MPM365gh
近年、FPD業界では、スマートフォンの普及と進化に伴い、ディスプレイの高精細化へ急速にシフトしております。特に画素密度は、1000ppi(1インチあたり1000画素)まで高くなり、それに伴いパターンの微細化が進み、パターン形成時のプロセスマージンが急減してきます。
FPD製造において高精細化の重要な役割を担うフォトマスクでは、フォトマスク上の線幅を微細化するだけでなく、上記の課題の対策として、フォトマスク上にハーフトーン膜を用いることで位相を反転させ転写する微細化技術の採用が徐々に増えつつあります。このような背景からハーフトーン膜の位相差や透過率は、微細なパターンを形成する際のフォトマスク製造プロセスにとって重要な品質管理項目となります。
当社では、こうしたフォトマスクの位相差/透過率測定のニーズに対応すべく、半導体業界の業界標準機であるMPMシリーズの2光束干渉光学系技術を用いて、FPDの露光波長に使われているi線、g線、h線の位相差/透過率を測定可能にしたMPM365ghを製品化しました。
MPM365ghは、プロセス開発の解析用途から量産ラインでの定期管理まで幅広くご利用いただけます。
(4) 大型マスクブランクス欠陥検査装置 LBISシリーズ L852/L1052
スマートフォンに代表される高精細ディスプレイや、4K・8K高解像度テレビへの対応のため、FPD業界では大型フォトマスクのパターンの微細化が急速に進展しています。
それに伴い、フォトマスク製造に必要な大型マスクブランクスの品質管理において、高感度な自動欠陥検査及び欠陥種・サイズ分類まで行う必要性が高まっています。当社では、こうしたマスクブランクスでの高感度検査ニーズに対応すべく、2008年に発表したLB79の後継機種として、LBISシリーズを製品化致しました。光学系の刷新により、高感度化・高スループット化を実現し、さらに自動欠陥レビューと自動欠陥分類機能を標準機能としました。
LBISの適用によって、マスクブランクスの品質向上および、マスクの歩留り改善に貢献します。
当連結会計年度の研究開発費の総額は、15億83百万円であります。
なお、当社グループの事業は、検査・測定機器の設計、製造、販売を行う単一のセグメントであるため、セグメントごとの記載は省略しております。
新しい製品の開発にあたっては、顕微鏡の営業活動などを通じて幅広い業界、市場を調査し、新しいマーケットやアプリケーションを探し出し、それぞれ固有のニーズに合致した新製品を生み出すことを心がけております。
また既に製品を納入している多くのお客様や各種研究開発機関へのサービス・サポートを通じて、お客様の顕在化した要望のみならず、潜在的なニーズを正確につかみ、独創的な視点と技術でどこよりも早く問題解決の方法をご提供することが最重要であると考えております。
当社は、光学技術を追求する過程で、独自のコア技術を確立してまいりました。共焦点光学系、DUV(注)光学系、EUV(注)光学系、及び光干渉計技術などの光学技術を進化させ、高度な周辺技術との融合によって特徴ある製品を生み出しています。また、高精度高速ステージ開発のための精密機構技術、あるいは欠陥検出の画像処理技術などを継続的に深化させ、近年ではAI(人工知能)技術を応用した自動欠陥分類の開発を進めるなど、お客様のニーズに対してタイムリーにソリューションを提供できる研究・製品開発を進めております。
(注) DUV:Deep Ultraviolet、遠紫外線
EUV:Extreme Ultraviolet、極端紫外線
当連結会計年度における研究開発の成果として発売された新製品は次のとおりであります。
(1) SiCウェハ欠陥検査/レビュー装置 SICA88
SiC(注)パワーデバイスはすでに自動車、エアコン、太陽光発電システム、鉄道車両などに使用され始め、市場を着実に拡げております。しかし、SiCパワーデバイスは、その製造の難しさゆえに、いまだ生産工程において結晶欠陥などの様々な問題が発生しており、品質の確保とコストの両面で大きな課題を抱えています。
SICAはこのようなニーズにお応えした検査装置で、2009年に研究開発用のSICA61、2011年に量産用のSICA6Xを発売以来、高い検出感度と高精度な欠陥分類が評価され、業界標準機として多くのお客さまにご採用いただいている製品です。
このたび新たに開発したSICA88は従来からのコンフォーカル微分干渉光学系による表面検査とPL(注)検査を1台に搭載した新しいプラットフォームの検査装置です。表面検査ではウェハ表面のスクラッチやエピ欠陥を、PL検査ではデバイス特性を悪化させる欠陥と言われているエピ膜内部の基底面内転位(BPD)や積層欠陥(SF)を、同時に検出・高精度分類・判定することで、デバイスの不良原因となる欠陥の発見および解析に役立ちます。また、スループットは既存機種であるSICA6Xの2倍に高めました。
本装置はウェハプロセス、Epiプロセス、デバイスプロセスの各プロセスモニタとして、欠陥発生の原因追及に最適であり、さらにウェハのグレーディング(注)によるプロセスコストの削減とデバイスの歩留り向上を可能にいたします。
(注)SiC:Silicon Carbide、シリコンカーバイド
PL:Photoluminescence、フォトルミネッセンス
グレーディング:ウェハの選別とランク付け
(2) ウェハエッジ検査装置 EZ300
EZ300は当社のコア技術であるコンフォーカル光学系を応用し、ウェハ外周部に対する検査・レビュー・測定を行う装置です。EZ300を用いることにより1台の装置でウェハ外周部のインライン検査から欠陥種別の原因特定まで行える「All in One Concept」を実現しました。
従来ではウェハ外周部においてDOI(Defect Of Interest)を分離して検出するインライン管理は難しいとされてきました。そこで、EZ300では高解像度コンフォーカル光学系と独自のソフトウェアアルゴリズムを適用することで、凹凸判定を含む検査時の自動欠陥分類と欠陥計測を可能にしました。これにより、ウェハ外周部に対して、SPC(Statistical Process Control)を用いたインラインQCを構築することが出来るようになり、異常チップ発生時の原因追跡が可能になります。
また、今までウェハ外周部の欠陥種類やサイズを特定するには、欠陥の検査後にSEMやAFMなどの装置を用いていました。しかし、その手法は欠陥位置合わせ等に時間がかかり、長時間を要する解析手法でした。一方、EZ300は高解像度のレビュー機能を用いた、幅・高さ・粗さの3D測定機能、および、画像処理による欠陥分類機能を実現し、プロセスフィードバックや、プロセスの最適化を迅速に行うことが可能になります。
(3) FPDマスク向け位相差測定装置 MPM365gh
近年、FPD業界では、スマートフォンの普及と進化に伴い、ディスプレイの高精細化へ急速にシフトしております。特に画素密度は、1000ppi(1インチあたり1000画素)まで高くなり、それに伴いパターンの微細化が進み、パターン形成時のプロセスマージンが急減してきます。
FPD製造において高精細化の重要な役割を担うフォトマスクでは、フォトマスク上の線幅を微細化するだけでなく、上記の課題の対策として、フォトマスク上にハーフトーン膜を用いることで位相を反転させ転写する微細化技術の採用が徐々に増えつつあります。このような背景からハーフトーン膜の位相差や透過率は、微細なパターンを形成する際のフォトマスク製造プロセスにとって重要な品質管理項目となります。
当社では、こうしたフォトマスクの位相差/透過率測定のニーズに対応すべく、半導体業界の業界標準機であるMPMシリーズの2光束干渉光学系技術を用いて、FPDの露光波長に使われているi線、g線、h線の位相差/透過率を測定可能にしたMPM365ghを製品化しました。
MPM365ghは、プロセス開発の解析用途から量産ラインでの定期管理まで幅広くご利用いただけます。
(4) 大型マスクブランクス欠陥検査装置 LBISシリーズ L852/L1052
スマートフォンに代表される高精細ディスプレイや、4K・8K高解像度テレビへの対応のため、FPD業界では大型フォトマスクのパターンの微細化が急速に進展しています。
それに伴い、フォトマスク製造に必要な大型マスクブランクスの品質管理において、高感度な自動欠陥検査及び欠陥種・サイズ分類まで行う必要性が高まっています。当社では、こうしたマスクブランクスでの高感度検査ニーズに対応すべく、2008年に発表したLB79の後継機種として、LBISシリーズを製品化致しました。光学系の刷新により、高感度化・高スループット化を実現し、さらに自動欠陥レビューと自動欠陥分類機能を標準機能としました。
LBISの適用によって、マスクブランクスの品質向上および、マスクの歩留り改善に貢献します。
当連結会計年度の研究開発費の総額は、15億83百万円であります。
なお、当社グループの事業は、検査・測定機器の設計、製造、販売を行う単一のセグメントであるため、セグメントごとの記載は省略しております。
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